(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102028
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】接着剤組成物、積層板及びフレキシブルプリント基板
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20230714BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20230714BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230714BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J7/30
B32B27/00 104
H05K1/03 670
H05K1/03 610H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002352
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】山手 太軌
(72)【発明者】
【氏名】上田 宙輝
(72)【発明者】
【氏名】河西 拓也
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK01B
4F100AK29A
4F100AK51A
4F100AL05A
4F100BA01
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB00A
4F100GB43
4F100JA07A
4F100JD15
4F100JK06
4F100JL11
4J004AA14
4J004BA00
4J004FA05
4J004FA08
4J040EF131
4J040EF181
4J040EF301
4J040LA01
4J040LA06
4J040LA09
4J040MA02
4J040MA10
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】
本発明は、無機材料、有機材料の双方に対する接着性、誘電特性に優れた接着剤組成物、これより得られる積層板及び当該積層板からなるフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の接着剤組成物は、1,2-構造/1,4-構造のモル比率が55/45~100/0であり両末端に水酸基を有するポリブタジエン由来の構造、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート由来の構造及び鎖延長剤由来の構造を含有するポリウレタンを含む。
ポリブタジエンは、二重結合の全部があるいはその一部が水素添加されているポリブタジエンであることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2-構造/1,4-構造のモル比率が55/45~100/0であり両末端に水酸基を有するポリブタジエン由来の構造、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート由来の構造及び鎖延長剤由来の構造を含有するポリウレタンを含む接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリブタジエンが、二重結合の全部があるいはその一部が水素添加されているポリブタジエンである請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリブタジエンの数平均分子量(Mn)が、500~10000である請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記鎖延長剤が、脂肪族グリコールである請求項1~3いずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項5】
プラスチックフィルムと、前記プラスチック上に請求項1~4のいずれかに記載の接着剤組成物を含む接着剤層が設けられた、積層板。
【請求項6】
請求項5に記載の積層板を備えるフレキシブルプリント基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤組成物、積層板及びフレキシブルプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント基板は、一般に耐熱性及び電気絶縁性に優れたポリイミド、液晶ポリマー等を素材とする耐熱性有機絶縁フィルムに、銅箔やITO膜等の導体を、接着剤を用いて接着して一体化させたものである。当該接着剤としては接着性が良好であることからエポキシ樹脂系接着剤が用いられている。しかし、近年、配線密度や実装密度が格段に高くなっており、プリント配線板の耐熱性、耐湿性、接着性、作業性について一層の向上が求められている。
【0003】
特許文献1には、両末端に水酸基を有するポリブタジエン(NISSO-PB―G2000:日本曹達社製)、1,4-ブタンジオール、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート(TODI:日本曹達社製)を用いて製造したポリウレタンが開示されている。当該ポリウレタンは、射出成型に適した機械的物性と優れた耐水性を有する。当該特許文献には、接着剤としての用途の記載はない。
【0004】
特許文献2には、高周波数帯で誘電損失が少なく、成形性に優れたポリウレタン樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-17476号公報
【特許文献2】特開2021-191852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、無機材料、有機材料の双方に対する接着性、誘電特性に優れた接着剤組成物、これより得られる積層板及び当該積層板からなるフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、1,2-構造/1,4-構造のモル比率が55/45~100/0であり両末端に水酸基を有するポリブタジエン由来の構造、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート由来の構造及び鎖延長剤由来の構造を含有するポリウレタンを含む接着剤組成物及びこれより得られる積層板並びに当該積層板からなるフレキシブルプリント基板を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)1,2-構造/1,4-構造のモル比率が55/45~100/0であり両末端に水酸基を有するポリブタジエン由来の構造、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート由来の構造及び鎖延長剤由来の構造を含有するポリウレタンを含む接着剤組成物。
(2)前記ポリブタジエンが、二重結合の全部があるいはその一部が水素添加されているポリブタジエンである(1)に記載の接着剤組成物。
(3)前記ポリブタジエンの数平均分子量(Mn)が、500~10000である(1)又は(2)に記載の接着剤組成物。
(4)前記鎖延長剤が、脂肪族グリコールである(1)~(3)のいずれかに記載の接着剤組成物。
(5)プラスチックフィルムと、前記プラスチック上に(1)~(4)のいずれかに記載の接着剤組成物を含む接着剤層が設けられた、積層体。
(6)(5)に記載の積層板を備えるフレキシブルプリント基板。
【発明の効果】
【0009】
本発明の接着剤組成物は、耐熱性、接着性、絶縁信頼性、難燃性に優れるため、これを用いた接着性シート、フィルム積層体、金属箔積層体、リジッドプリント配線板やフレキシブルプリント配線板はパーソナルコンピュータや携帯電話等の情報端末機器に搭載されるプリント配線板の小型化、高密度化に大いに寄与する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(接着剤組成物)
本発明の接着剤組成物は、1,2-構造/1,4-構造のモル比率が55/45~100/0であり両末端に水酸基を有するポリブタジエンと、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネートと、鎖延長剤とを反応させて得られるポリウレタンを含有するものである。
その結果、本発明に用いられるポリウレタンは、1,2-構造/1,4-構造のモル比率が55/45~100/0であり両末端に水酸基を有するポリブタジエン由来の構造、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート由来の構造及び鎖延長剤由来の構造を含有する。各構造単位は、ポリウレタン製造における周知の結合様式により結合している。
【0011】
本発明に用いられる両末端に水酸基を有するポリブタジエンは、1,2-構造/1,4-構造のモル比率が、好ましくは55/45~100/0、より好ましくは55/45~95/5、更に好ましくは70/30~95/5である。
1,2-構造及び1,4-構造とは、それぞれ、以下の式(I)及び(II)により表される繰り返し単位を意味する。
【化1】
式(II)で表される1,4-構造は、シス体、トランス体のいずれであってもよい。
1,2-構造/1,4-構造のモル比率は、例えば、
1H-NMRで測定して算出することができる。1,2-構造/1,4-構造のモル比率の調整法は、公知の方法で行うことができる。例えば、ブタジエンを重合する際に使用する触媒の種類や重合副資材を選択することによって1,2-構造/1,4-構造のモル比率をコントロールすることができる。
両末端に水酸基を有するポリブタジエン中の二重結合は、その全部が、あるいはその一部が水素添加されていてもよい。
本発明に用いられるポリブタジエンは、二重結合の全部があるいはその一部が水素添加されているポリブタジエンであることが好ましい。
また、ポリブタジエン成分の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500~10000、より好ましくは1000~7000である。前記数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定したものである。その測定条件は、移動相THF(テトラヒドロフラン)、移動相流量1mL/分、カラム温度40℃、試料注入量40μL、試料濃度2重量%である。
両末端に水酸基を有するポリブタジエンとしては、市販品を用いることができる。具体的には、Nisso-PB-G-1000(日本曹達社製)、Nisso-PB-G-2000(日本曹達社製)、Nisso-PB-G-3000(日本曹達社製)、Nisso-PB-GI-1000(日本曹達社製)、Nisso-PB-GI-2000(日本曹達社製)、Nisso-PB-GI-3000(日本曹達社製)などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
本発明に用いられる3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート(以下、TODIと記載することがある)は、下記式(1)で表される化合物である。
【化2】
【0013】
TODIは、市販品を用いることができる。具体的には、日本曹達社製TODIを挙げることができる。
反応時に使用するTODIの量は、Rレシオの値が、好ましくは1~10、より好ましくは1.3~5.0、さらに好ましくは1.3~3.0、特に好ましくは1.3~2.1となるように設定する。なお、Rレシオは、両末端に水酸基を有するポリブタジエンに由来する水酸基のモル数に対するTODIに由来するイソシアナト基のモル数の比である。
【0014】
本発明に用いられる鎖延長剤としては、低分子ポリオールなどが挙げられる。
【0015】
低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール及び1,9-ノナンジオール等の脂肪族ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の脂肪族トリオール;ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジオール;キシリレングリコール及びビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香環を有するジオール等が挙げられる。これらの中でも、射出成型に適した機械強度、耐水性および取り扱い性に優れるポリウレタンが得られるという観点から、脂肪族グリコールまたは脂環族グリコールが好ましく、脂肪族グリコールがより好ましく、炭素原子数2~5の脂肪族グリコールがより更に好ましく、ブタンジオールが特に好ましい。
【0016】
反応時に使用する鎖延長剤の量は、NCOインデックスの値が、好ましくは0.2~10、より好ましくは0.5~1.25、さらに好ましくは0.9~1.1となるように設定する。なお、NCOインデックスは、両末端に水酸基を有するポリブタジエンに由来する水酸基と鎖延長剤に由来する水酸基との合計モル数に対するTODIに由来するイソシアナト基のモル数の比である。
【0017】
本発明に用いられるポリウレタンは、その製法において特に制限されず、例えば、プレポリマー法やワンショット法によって製造することができる。
プレポリマー法では、両末端に水酸基を有するポリブタジエンとTODIとを先ず反応させて末端イソシアナト基を有するウレタンプレポリマーを得て、これに鎖延長剤を反応させてポリウレタンを得る方法である。ワンショット法は、両末端に水酸基を有するポリブタジエンとTODIと鎖延長剤とをほぼ同時に反応器に添加して反応させてポリウレタンを得る方法である。
反応は、反応原料を十分に攪拌することができる程度の粘度になるまで反応原料の温度を上げることによって行うことができる。反応時の具体的な温度は、好ましくは室温~150℃、さらに好ましくは、60~140℃である。反応時の温度が低すぎると反応の進行が遅く、製造に要する時間が長くなる傾向がある。反応時の温度が高すぎると副反応が生じることがある。
この反応は溶剤無しでも、溶剤中でも行うことができる。溶剤としては反応に不活性なものを用いることが好ましい。溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。
【0018】
ポリウレタンの合成反応においては触媒を使用することができる。触媒としては、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどの第3級アミン類、スタナスオクテート、オクチル酸カリウム、ジブチルスズジラウレートなどの金属触媒などを挙げることができる。触媒の使用量は両末端に水酸基を有するポリブタジエンとTODIと鎖延長剤との合計量に対して、好ましくは1~1000ppm、より好ましくは5~800ppmである。触媒の使用量が少なすぎると反応が遅くなり、製造に要する時間が長くなる。触媒の使用量が多すぎると発熱が激しく、反応をコントロールしにくい上に、ゲル化物が生成したり、着色したポリウレタンが得られたりすることがある。
【0019】
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で適宜その他の添加剤を加えることができる。その他の添加剤としては、難燃剤、無機充填剤、劣化防止剤、可塑剤等を挙げることができる。
【0020】
(積層板)
以下、本発明の積層板の一実施形態として、接着剤シートおよびプリント配線板用積層板が挙げられる。本実施形態の接着剤シート(積層板の一例)は、プラスチックフィルムと、プラスチックフィルム上に設けられた、上記した実施形態のプリント配線板用接着剤組成物を含むプリント配線板用接着剤層を有する。
【0021】
プラスチックフィルムとしては、特に制限されず、用途に応じて公知のものが制限なく使用され得る。プラスチックフィルムは、具体的には、ポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、液晶ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、アクリルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム等が例示される。これらの中でも、プラスチックフィルムは、電気特性、耐熱性のバランスから、液晶ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムの厚みは、用途に応じて適宜設定されればよい。
【0022】
接着剤シートの製造方法は特に限定されない。接着剤シートは、たとえば、基材であるプラスチックフィルム上に、硬化時の膜厚が5~50μm程度となるように上記した実施形態のプリント配線板用接着剤組成物を塗工することにより製造され得る。
【0023】
また、本実施形態の接着剤シートは、上記した実施形態のプリント配線板用組成物が塗工されたプリント配線板接着剤層に、さらに金属箔が設けられた積層板であってもよい。このような積層板は、プリント配線板用積層板として好適である。金属箔をプリント配線板接着剤層に設ける方法は特に限定されない。一例を挙げると、金属箔は、プリント配線板接着剤層に積層されてもよく(ラミネート法)、蒸着されてもよく(蒸着法)、スパッタされてもよい(スパッタ法)。
【0024】
金属箔は、特に限定されず、各種公知のものが使用され得る。金属箔は、具体的には、金箔、ITO箔、銀箔、銅箔、ニクロム箔、アルミニウム箔等が例示される。これらの中でも、金属箔は、フレキシブルプリント配線板の用途において、導電性や耐腐食性が優れる点から、銅箔であることが好ましい。
【0025】
(フレキシブルプリント配線板)
以下、本発明のフレキシブルプリント配線板の一実施形態について説明する。本実施形態のフレキシブルプリント配線板は、上記したプリント配線板用積層板(積層板の一例)を備える。フレキシブルプリント配線板は、たとえばプリント配線板用積層板の金属箔面を、エッチング処理により部分除去し、回路を形成したものである。このようなフレキシブルプリント配線板は、タッチパネル用基板、電子ペーパー用基板、フレキシブルディスプレイ用基板等のディスプレイ用基板として好適に利用できる。
以下に実施例を示すが、本発明の技術的範囲は、これらに限定されない。
【実施例0026】
実施例1)ポリウレタンの製造
300mLセパラブルフラスコに、両末端に水酸基を有する水素化ポリブタジエン(NISSO-PB-GI2000:日本曹達社製)86.35gを仕込み、オイルバスで130℃に加温しながら、200rpmで約30分間撹拌した。その後、系内に窒素を導入して常圧とした。続いて、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート(TODI:日本曹達社製)12.85gを仕込み、130℃で30分間撹拌することでプレポリマーを作製した。3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネートの使用量は、Rレシオの値が1.3となるように設定した。次いで、あらかじめ60℃で加温していた1,4-ブタンジオール(東京化成社製)0.80gを仕込み、5分間撹拌することでポリウレタン反応を行った。1,4-ブタンジオールの使用量は、NCOインデックスの値が1.05となるように設定した。得られたポリウレタン反応物を、あらかじめ100℃に加温したSUS型に流し込み、100℃で40分間加熱した。その後、120℃で、さらに24時間加熱することで約2mm厚のポリウレタンシートを得た。
【0027】
実施例2)ポリウレタンの製造
300mLセパラブルフラスコに、両末端に水酸基を有する水素化ポリブタジエン(NISSO-PB-GI2000:日本曹達社製)83.08gを仕込み、オイルバスで130℃に加温しながら、200rpmで約30分間撹拌した。その後、系内に窒素を導入して常圧とした。続いて、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート(TODI:日本曹達社製)15.22gを仕込み、130℃で30分間撹拌することでプレポリマーを作製した。3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネートの使用量は、Rレシオの値が1.6となるように設定した。次いで、あらかじめ60℃で加温していた1,4-ブタンジオール(東京化成社製)1.70gを仕込み、5分間撹拌することでポリウレタン反応を行った。1,4-ブタンジオールの使用量は、NCOインデックスの値が1.05となるように設定した。得られたポリウレタン反応物を、あらかじめ100℃に加温したSUS型に流し込み、100℃で40分間加熱した。その後、120℃で、さらに24時間加熱することで約2mm厚のポリウレタンシートを得た。
【0028】
実施例3)ポリウレタンの製造
300mLセパラブルフラスコに、両末端に水酸基を有する水素化ポリブタジエン(NISSO-PB-GI2000:日本曹達社製)78.16gを仕込み、オイルバスで130℃に加温しながら、200rpmで約30分間撹拌した。その後、系内に窒素を導入して常圧とした。続いて、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート(TODI:日本曹達社製)18.79gを仕込み、130℃で30分間撹拌することでプレポリマーを作製した。3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネートの使用量は、Rレシオの値が2.1となるように設定した。次いで、あらかじめ60℃で加温していた1,4-ブタンジオール(東京化成社製)3.05gを仕込み、5分間撹拌することでポリウレタン反応を行った。1,4-ブタンジオールの使用量は、NCOインデックスの値が1.05となるように設定した。得られたポリウレタン反応物を、あらかじめ100℃に加温したSUS型に流し込み、100℃で40分間加熱した。その後、120℃で、さらに24時間加熱することで約2mm厚のポリウレタンシートを得た。
【0029】
[評価]
<比誘電率および誘電正接の測定>
1cm角のポリウレタンシートを180℃、4MPaで2分間プレスすることで、約0.2mm厚のフィルムを作製し、誘電率(Dk)と誘電正接(Df)を以下の装置及び条件で測定した。結果を表1に示す。
装置
株式会社エーイーティー社製、円筒型空洞共振器、TEモード共振器
条件
方法:TE011モード
周波数:10GHz
温度:室温
【0030】
<吸水率の測定>
JIS K7209に準拠して実施した。ポリウレタンシートを23℃の蒸留水に24時間浸漬し、重量変化から吸水率を算出した。結果を表1に示す。
【0031】
<剥離強度>
1cm角のポリウレタンシートを180℃、4MPaで2分間プレスすることで、約0.2mm厚のフィルムを作製し、短冊(25×50mm)にカットした。そのカットしたフィルムを用いて、2×25×100mmの液晶ポリエステル基板(住友化学社製LCP、スミカスーパーE6007LHF/BZ)と0.02×25×150mmの銅箔(古河電工社製、FV-WS)の微細粗化処理面を25×50mmの範囲で貼り合わせ、200℃、8MPaで熱プレスすることで接着した。得られたサンプルに対し、剥離速度50mm/minで90度剥離試験を行い、引き剥がす際に要した力を測定した。結果を表1に示す。
【0032】