(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102033
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】コンテナ緊締装置
(51)【国際特許分類】
B61D 45/00 20060101AFI20230714BHJP
B60P 7/13 20060101ALI20230714BHJP
B61D 3/20 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
B61D45/00 Z
B60P7/13
B61D3/20
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002357
(22)【出願日】2022-01-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000230696
【氏名又は名称】日本貨物鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 一仁
(72)【発明者】
【氏名】望月 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】小松 寛明
(57)【要約】
【課題】小型化を可能にしたコンテナ緊締装置を提供する。
【解決手段】コンテナ緊締装置1は、手動ハンドル17と、該手動ハンドル17の回動に伴って、台枠5の上面から出没してコンテナを緊締する固定部材18と、手動ハンドル17の回動に伴って回動する第1及び第2回動部材19、20と、該第1及び第2回動部材19、20の回動に伴って回動する連絡棒21と、を備え、手動ハンドル17の回転軸25の径方向中心と、連絡棒21の径方向中心とが、略水平方向に沿う同一直線上に位置している。その結果、コンテナ緊締装置1を、特に、その上下方向に沿って小型化することができる。これにより、コンテナ緊締装置1を、台枠5の側梁6であって、その高さ方向の寸法が最も小さい部位でも容易に装着することが可能になる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨車の台枠上に置かれたコンテナを緊締するためのコンテナ緊締装置であって、
該コンテナ緊締装置は、前記台枠を構成する左右一対の側梁の側面にそれぞれ装着され、
前記コンテナ緊締装置は、手動ハンドルと、該手動ハンドルの回動に伴って、前記台枠の上面から出没して前記コンテナを緊締する固定部材と、前記手動ハンドルの回動に伴って回動する回動部材と、該回動部材の回動に伴って回動する連絡棒と、を備え、
前記手動ハンドルの回転軸と、前記連絡棒とは、互いに別軸であり、前記側梁の長手方向と直交する方向に延び、
前記手動ハンドルの回転軸の径方向中心と、前記連絡棒の径方向中心とは、略水平方向に沿う同一直線上に位置することを特徴とするコンテナ緊締装置。
【請求項2】
前記回動部材は、その回動中心を基準に、前記側梁の上端から内側に突設された内向上側フランジと、前記側梁の下端から内側に突設された内向下側フランジとの間を回動する構成であることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ緊締装置。
【請求項3】
前記手動ハンドルの回転軸の径方向中心、及び前記連絡棒の径方向中心は、前記側梁の上端から内側に突設された内向上側フランジと、前記側梁の下端から内側に突設された内向下側フランジとの間の上下方向略中央に位置することを特徴する請求項1または2に記載のコンテナ緊締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨車の台枠上のコンテナを緊締するためのコンテナ緊締装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンテナ緊締装置として
図11に示すものがある。
図11に示す従来のコンテナ緊締装置150は、例えば、
図1も参照して、貨車3の台枠5を構成する左右一対の側梁6、6の側面にそれぞれ装着される。コンテナ緊締装置150は、手動ハンドル17と、該手動ハンドル17の回動に伴って回動する連絡棒21(
図1参照)と、手動ハンドル17の回動に伴って台枠5の上面から出没する固定部材18と、を備えている。また、左右一対の側梁6、6にそれぞれ装着されたコンテナ緊締装置150、150は、連絡棒21により互いに連結される。
【0003】
その結果、左右一対のコンテナ緊締装置150、150のうち一方のコンテナ緊締装置150の手動ハンドル17の回動操作が、連絡棒21を経由して、他方のコンテナ緊締装置150の手動ハンドル17に伝達される。そして、台枠5上にコンテナが載置されると、左右一対のコンテナ緊締装置150、150のうちいずれか一方のコンテナ緊締装置150の手動ハンドル17を回動させることで連絡棒21を回動させる。その結果、左右一対のコンテナ緊締装置150、150の各固定部材18、18が台枠5の上面から突出されて、各固定部材18、18によりコンテナを貨車3の台枠5上に緊締することができる。
【0004】
なお、その他、従来のコンテナ緊締装置として、特許文献1に開示されたものがある。当該特許文献1に開示されたコンテナ緊締装置は、コンテナの両側中央下部に突設するアンカーを挿入してこれをロックするクランプと、このクランプを固設する受台と、この受台の荷台面に対する出没固定機構を有するコンテナ緊締装置において、前記出没固定機構は、荷台横根太に直交しクランプ長手方向と平行に配設する回動軸と、起立したクランプの受台下面を支持する座板と、この座板から離隔する方向に回動するクランプを荷台面より下方で受けるクランプ受と、倒伏したクランプを横根太間に収納する際には荷台面と面一になりクランプが起立する際には受台前面に当接してクランプの回動を抑止する折畳蓋を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、近年、台枠を構成する左右一対の側梁の高さを低くする、すなわち低床化する傾向にあり、
図11に示す従来のコンテナ緊締装置では、高さ方向の寸法上の制約があり、対応することが困難で改善する必要があった。また、特許文献1に記載のコンテナ緊締装置では、この問題を解決することはできない。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、小型化を可能にしたコンテナ緊締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、貨車の台枠上に置かれたコンテナを緊締するためのコンテナ緊締装置であって、該コンテナ緊締装置は、前記台枠を構成する左右一対の側梁の側面にそれぞれ装着され、前記コンテナ緊締装置は、手動ハンドルと、該手動ハンドルの回動に伴って、前記台枠の上面から出没して前記コンテナを緊締する固定部材と、前記手動ハンドルの回動に伴って回動する回動部材と、該回動部材の回動に伴って回動する連絡棒と、を備え、前記手動ハンドルの回転軸と、前記連絡棒とは、互いに別軸であり、前記側梁の長手方向と直交する方向に延び、前記手動ハンドルの回転軸の径方向中心と、前記連絡棒の径方向中心とは、略水平方向に沿う同一直線上に位置することを特徴とするものである。
請求項1の発明では、特に、手動ハンドルの回転軸の径方向中心と、連絡棒の径方向中心とを、略水平方向に沿う同一直線上に位置させているので、コンテナ緊締装置を、その上下方向に沿って小型化することができる。これにより、コンテナ緊締装置を、台枠の側梁であって、その高さが最も低い部位、すなわちその高さ方向の寸法が最も小さい部位でも容易に装着することが可能になる。
【0009】
請求項2に記載した発明は、請求項1の発明において、前記回動部材は、その回動中心を基準に、前記側梁の上端から内側に突設された内向上側フランジと、前記側梁の下端から内側に突設された内向下側フランジとの間を回動する構成であることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、回動部材を、側梁の限られた回動範囲内で回動させることで、固定部材を台枠の上面から出没させることができる。そして、コンテナ緊締装置を小型化したうえでその機能を十分に発揮することができる。
【0010】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2の発明において、前記手動ハンドルの回転軸の径方向中心、及び前記連絡棒の径方向中心は、前記側梁の上端から内側に突設された内向上側フランジと、前記側梁の下端から内側に突設された内向下側フランジとの間の上下方向略中央に位置することを特徴とするものである。
請求項3の発明では、固定部材を台枠の上面から突出させるときの手動ハンドルの回動角度と、固定部材を台枠の上面から没入させるときの手動ハンドルの回動角度とを略同じにすることができ、操作性が良好になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るコンテナ緊締装置によれば、特に、上下方向に沿って小型化することが可能になり、コンテナ緊締装置を、側梁の高さ方向の寸法が小さい部位でも容易に装着することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1(a)は、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置が装着される貨車の台枠の平面図であり、(b)は側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置の平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置に採用したストッパ機構を説明するための断面図である
【
図4】
図4は、貨車の台枠の左右一対の側梁に、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置が装着された状態の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置において、側梁の外側からの斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置において、側梁の内側からの斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置において、固定部材の固定部が台枠の上面から突出した状態を示すボックス内の断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置において、固定部材の固定部が台枠の上面から没入した状態を示すボックス内の断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置において、固定部材の固定部が台枠の上面から突出した状態を示す側梁の内側からの正面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置において、固定部材の固定部が台枠の上面から没入した状態を示す側梁の内側からの正面図である。
【
図11】
図11は、従来のコンテナ緊締装置を示す側梁の外側からの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を
図1~
図10に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るコンテナ緊締装置1は、
図1に示すように、貨車3の台枠5を構成する左右一対の側梁6、6の側面にそれぞれ装着される。貨車3は、前後方向に沿って一対配置される台車4と、各台車4上に配置される台枠5と、を備えている。台枠5は、左右一対の側梁6、6を備えている。各側梁6には、一対の台車4、4の間の部位においてその高さ方向の寸法を増大させた、いわゆる魚腹型が採用される。側梁6は、前後一対の台車4、4の上方に位置する部位がその高さ方向の寸法が最も小さくなる。本実施形態に係るコンテナ緊締装置1、1は、左右一対の側梁6、6であって、前後方向に沿って複数箇所にそれぞれ装着される(
図1では8箇所)。言い換えれば、本実施形態に係るコンテナ緊締装置1、1は、左右一対の側梁6、6であって、その高さ方向の寸法が最も小さくなる部位を含む複数箇所(
図1では8箇所)に装着される。
【0014】
そして、本実施形態に係るコンテナ緊締装置1、1は、左右一対の側梁6、6であって、その高さ方向の寸法が最も小さい部位にそれぞれ装着可能となる。以下の実施形態では、本実施形態に係るコンテナ緊締装置1が、側梁6の高さ方向の寸法が最も小さい部位に装着される形態を説明する。
図4を参照して、左右一対の側梁6、6であって、その高さ方向の寸法が最も小さい部位の上端には、外側に向かって突設される外向上側フランジ10と、内側に向かって突設される内向上側フランジ11とが備えられる。また、その高さ方向の寸法が最も小さい側梁6の下端には、内側に向かって突設される内向下側フランジ12が備えられる。なお、
図1及び
図4を参照して、左右一対の側梁6、6の外向上側フランジ10及び内向上側フランジ11の上面が台枠5の上面となる。左右一対の側梁6、6の外向上側フランジ10、10には、コンテナ緊締装置1と対応する位置に、後述する固定部材18の固定部56が挿通される挿通孔15が上下方向に沿ってそれぞれ貫通される。
【0015】
本実施形態に係るコンテナ緊締装置1は、
図2及び
図4を参照して、作業者が操作する手動ハンドル17と、手動ハンドル17の回動に伴って、台枠5の上面から突出する突出位置と没入(後退)位置との間を移動可能な(以下、単に出没という)固定部材18と、該手動ハンドル17の回動に伴って回動する第1回動部材19と、該第1回動部材19の回動に伴って回動する第2回動部材20と、第2回動部材20の回動に伴って回動する連絡棒21と、を備えている。手動ハンドル17は、回転軸24と、該回転軸24の軸方向一端から下方に延びるハンドル部25と、を備えている。ハンドル部25は、側梁6の外側に配置される。作業者がハンドル部25を回動させることで回転軸24が回動する。回転軸24は、側梁6の長手方向と直交する方向に延びる。要するに、手動ハンドル17の回転軸24は、側梁6の外側からその挿通孔28を通ってその内側に延びる。
【0016】
図2、
図4、
図5~
図7を参照して、側梁6の外側の面、すなわち側梁6の外向上側フランジ10を除く外側の面には、後述する固定部材18の固定部56が出没自在に収容されるボックス30が連結される。当該ボックス30と手動ハンドル17の回転軸24とは、側梁6の長手方向に沿って間隔を置いて配置される。ボックス30は、固定部材18の固定部56が出没自在に収容される第1ボックス部31と、第1ボックス部31の下方に配置され、後述するストッパ機構60のストッパ部材62が側梁6の長手方向に沿ってスライド自在に収容される第2ボックス部32と、第1及び第2ボックス部31、32を両側方から覆う一対のカバー部材33、33(
図3も参照)と、を備えている。なお、
図5では、一方のカバー部材33の図示を省略している。また、
図5及び
図6では、側梁6の図示を省略している。
【0017】
ボックス30には、手動ハンドル17の回転軸24側に、当該回転軸24を回転自在に支持する一対の支持部36、36が突設される。なお、
図5では、一方の支持部36の図示を省略している。一対の支持部36、36の先端には挿通孔38、38が形成される。一対の支持部36、36は、側梁6の長手方向と直交する方向に沿って間隔を開けて設けられる。一対の支持部36、36のうち一方(側梁3の外側の面に当接される一方のカバー部材33と略同じ位置)が側梁6の外側の面に連結される。ボックス30には、一方の支持部36とは反対側に連結部37(側梁3の外側の面に当接される一方のカバー部材33と略同じ位置)が突設される。この連結部37が側梁6の外側の面に連結される。そして、ボックス30は、一方の支持部36及び連結部37により側梁6の外側の面に固定される。手動ハンドル17の回転軸24は、ボックス30から突設された一対の支持部36、36の挿通孔38、38に挿通されて回転自在に支持される。
【0018】
図5、
図7及び
図8を参照して、第1ボックス部31の上方は開放されている。第1ボックス部31と第2ボックス部32とは、仕切り壁部40により区画されている。第1ボックス部31の手動ハンドル17の回転軸24側の壁部には、後述するレバー部材72の第1レバー部74の回動範囲に沿って開口部42が形成される。この開口部42に連続するようにして、仕切り壁部40に切欠き部43が形成される。仕切り壁部40及び第2ボックス部32の底部には、後述する固定部材18のシャフト部57が挿通される挿通孔46、47がそれぞれ形成される。第2ボックス部32は、側梁6の長手方向に沿って貫通される。
【0019】
図3を参照して、第2ボックス部32において、手動ハンドル17の回転軸24側の開口50は、塞ぎ板状部52により閉塞される。塞ぎ板状部52は、一対のカバー部材33、33にそれぞれ固定される。塞ぎ板状部52に設けた開口部53に、後述するストッパ機構60のストッパ部材62が、側梁6の長手方向に沿ってスライド自在に配置される。なお、ボックス30の第2ボックス部32において、塞ぎ板状部52が配置される開口50とは反対側の開口51は、塞ぎブロック状部54によって閉塞される。
【0020】
図5、
図7及び
図8を参照して、固定部材18は、第1ボックス部31内から出没自在に突出されるブロック状の固定部56と、該固定部56の下面から下方に向けて延びるシャフト部57と、を備えている。
図8を参照して、固定部56が第1ボックス部31内に収容された際には、シャフト部57は第2ボックス部32の底部に設けた挿通孔47を通過してボックス30の下方に突出する。一方、
図7を参照して、固定部56が第1ボックス部31から上方に向かって突出して、側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面から所定高さにまで上昇すると、そのシャフト部57が仕切り壁部40に設けた挿通孔46内で、その下面が仕切り壁部40の底面と略同一平面上に位置する。
【0021】
また、本実施形態に係るコンテナ緊締装置1には、
図3、
図7及び
図8を参照して、固定部材18の固定部56を、側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面から所定高さに至るまで上昇させた状態を保持するストッパ機構60が備えられている。ストッパ機構60は、ボックス30の第2ボックス部32内に、側梁6の長手方向に沿ってスライド自在に収容されるストッパ部材62と、該ストッパ部材62を第2ボックス部32内に収容する方向に付勢する複数のスプリング63、63と、を備えている。ストッパ部材62は、第2ボックス部32内から塞ぎ板状部52の開口部53を経由して、後述するレバー部材72の下方に至るまで延びる。ストッパ部材62は、側梁6の長手方向に沿ってスライド自在に第2ボックス部32内に支持され、断面矩形状で側梁6の長手方向に沿って延びるスライド部66と、該スライド部66の先端から側梁6の長手方向と直交する方向両側にそれぞれ突設されるスプリング受け部67、67(
図3参照)と、スライド部66の基端に設けられ、上方に向かって屈曲される突起部68(
図7及び
図8参照)とが一体的に構成される。
【0022】
スライド部66は、側梁6の長手方向と直交する方向において、固定部材18のシャフト部57の位置と同じ位置に配置される。
図3を参照して、スライド部66の各スプリング受け部67、67と、ボックス30(一対のカバー部材33、33)に固定される塞ぎ板状部52の長手方向両端(一対の受け凸部)との間にスプリング63、63がそれぞれ配置される。このストッパ機構60の作用は後で詳述する。
図2、
図7及び
図8を参照して、ボックス30の一対の支持部36、36間に、レバー部材72が回動自在に支持される。該レバー部材72は、円筒状部73と、該円筒状部73の外周面から固定部材18の固定部56の下面を支持するように延びる第1レバー部74と、円筒状部73の外周面からストッパ機構60のストッパ部材62の突起部68に向かって延びる第2レバー部75と、を備えている。
【0023】
第1レバー部74及び第2レバー部75は互いに略反対方向を指向している。第1レバー部74は、レバー部材72が回動した際、その先端の上限位置と、下限位置とを設定したうえで、
図7及び
図8に示す側面視にて直線状に形成してもよく、湾曲状に形成してもよい。第2レバー部75は、第1レバー部74より短い。
図8を参照して、第2レバー部75は、レバー部材72が回動して、第1レバー部74の先端が下限位置に到達した際、第2レバー部75の先端がストッパ部材62のスライド部66の突起部68をボックス30から離れる方向に押圧できればよい。
図2、
図7及び
図8を参照して、レバー部材72の円筒状部73内に、手動ハンドル17の回転軸24が挿通されて互い相対回転不能に連結される。そして、手動ハンドル17の回転軸24は、ボックス30から延びる一対の支持部36、36の挿通孔38、38に回転自在に支持されつつ、レバー部材72の円筒状部73と相対回転不能に連結され、且つ側梁6の挿通孔28に回動自在に挿通されて、側梁6の内側に延びる。
【0024】
図8を参照して、固定部材18の固定部56が、ボックス30の第1ボックス部31内に収容されている状態では、レバー部材72の第1レバー部74の先端が固定部材18の固定部56の下方であって、ボックス30の仕切り壁部40に設けた切欠き部43内に配置される。このとき、レバー部材72の第2レバー部75により、ストッパ機構60のストッパ部材62の突起部68がボックス30から離れる方向に押される。その結果、ストッパ部材62は、各スプリング63、63の付勢力に抗して、シャフト部57の下方から第2ボックス部32の外方へ向かう方向に移動しつつ、外方に向かって押圧された状態が維持される。
【0025】
この状態から、
図7を参照して、手動ハンドル17のハンドル部25を一方向に回動させる。すると、回転軸24がレバー部材72と共に同方向に回動する。そして、レバー部材72の第1レバー部74が同方向に回動することで、第1レバー部74の先端が固定部材18の固定部56の下面を上方に向かって押す。すると、当該固定部56がボックス30の第1ボックス部31内から上方に突出し、側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面に設けた挿通孔15から所定高さの位置まで上昇する。これと同時に、第2レバー部75も同方向に回動して、第2レバー部75の先端がストッパ機構60のストッパ部材62の突起部68から離れることで、各スプリング63、63の付勢力により、ストッパ部材62のスライド部66が第2ボックス部32内に収容されつつ、固定部材18のシャフト部57の下方に配置されて、固定部56の自重降下を阻止する。
【0026】
一方、
図7の状態から、固定部材18の固定部56を側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面から没入させる際には、
図8を参照して、手動ハンドル17のハンドル部25を他方向に回動させることで、レバー部材72を同方向に回動させる。すると、レバー部材72の第1レバー部74の先端がボックス30の仕切り壁部40に設けた切欠き部43内に配置される。これと同時に、レバー部材72の第2レバー部75により、ストッパ機構60のストッパ部材62の突起部68をボックス30から離れる方向に押すことで、ストッパ部材62が、各スプリング63、63の付勢力に抗して、固定部材18のシャフト部57の下方から第2ボックス部32の外方に向かって移動する。その結果、固定部材18の固定部56が、自重により降下して、ボックス30の第1ボックス部31内に収容される。
【0027】
また、
図2、
図4及び
図6を参照して、側梁6の内側、すなわち側梁6の内向上側フランジ11と内向下側フランジ12の間にベース部材78が配置される。ベース部材78は、側梁6の内側の面から内方に間隔を置いた位置に配置される。ベース部材78は、側梁6の長手方向に沿って長い板状に形成される。ベース部材78の最大高さは、側梁6の内向上側フランジ11と内向下側フランジ12との間の距離よりも小さくなる。ベース部材78の長手方向一端部は、一端に向かってその幅が狭くなる略三角状を呈している。
【0028】
ベース部材78の長手方向略中央部に支持孔82が形成される。当該支持孔82に手動ハンドル17の回転軸24が挿通されて、当該回転軸24がベース部材78に対して相対回転自在に支持される。ベース部材78の一端には、第1ロッド部80が側梁6の内側に向かって延びる。ベース部材78の他端には、側梁6の長手方向に沿って貫通する支持筒状部84が一体的に接続される。支持筒状部84の対向壁(回転軸24の軸方向に沿う対向壁)には、側梁6と直交する方向に貫通する挿通孔85、85がそれぞれ形成される。
【0029】
上述したように、手動ハンドル17の回転軸24は、ベース部材78の長手方向略中央部に設けた支持孔82に相対回転自在に支持されて側梁6の内側に延びる。回転軸24の内側の端部には、第1回動部材19が相対回転不能に連結される。第1回動部材19は、円筒状部88と、該円筒状部88の軸方向両端から突設される一対の内側アーム部89及び外側アーム部90とからなる平面視略コ字状に形成される。手動ハンドル17の回転軸24が、第1回動部材19の円筒状部88内に挿通されて互いに相対回転不能に連結される。
【0030】
そして、第1回動部材19は、手動ハンドル17の回動に伴って、その回転軸24を中心に、側梁6の内向上側フランジ11と、内向下側フランジ12との間を回動する。
図9及び
図10から解るように、内側アーム部89の先端と、外側アーム部90の先端とは、円筒状部88の周方向に沿って若干ズレた位置に配置される。
図2、
図4及び
図6を参照して、内側アーム部89の先端には、第2ロッド部93が側梁6の内側に向かって延びる。そして、
図2及び
図6を参照して、ベース部材78に設けた第1ロッド部80の先端と、第1回動部材19の内側アーム部89に設けた第2ロッド部93の先端とにロック用スプリング95が架け渡されている。なお、
図4、
図9及び
図10では、ロック用スプリング95の図示を省略している。
【0031】
図2、
図4及び
図6を参照して、第2回動部材20は、円筒状部98と、該円筒状部98の軸方向両端から突設される一対のアーム部99、99とからなる平面視コ字状に形成される。第1回動部材19の外側アーム部90の先端が、第2回動部材20の一対のアーム部99、99の先端間に配置され、これらが連結ピン100により互いに相対回転自在に連結される。第2回動部材20の円筒状部98は、ベース部材78の支持筒状部84内に配置される。当該第2回動部材20に、連絡棒固定部材102が互いに相対回転不能に連結される。連絡棒固定部材102は、連絡棒21と連結される円板状のフランジ部104と、該フランジ部104の径方向中央部からフランジ部104の軸方向に沿って延びる回転軸105と、から構成される。連絡棒固定部材102の回転軸105は、側梁6の長手方向と直交する方向に延びている。なお、
図9及び
図10を参照して、手動ハンドル17の回転軸24と、連絡棒固定部材102の回転軸105とは、互いに別軸であり、側梁6の長手方向に沿って間隔を置いた位置にある。
【0032】
連絡棒固定部材102の回転軸105は、ベース部材78の支持筒状部84に設けた各挿通孔85、85に相対回転自在に挿通される。連絡棒固定部材102の回転軸105は、ベース部材78の支持筒状部84内に配置される第2回動部材20の円筒状部98内に挿通されて互いに相対回転不能に連結される。そして、第2回動部材20は、第1回動部材19の回動に伴って、その連絡棒固定部材102を中心に、側梁6の内向上側フランジ11と、側梁6の内向下側フランジ12との間を回動する。これと同時に、第2回動部材20の回動に伴って、連絡棒固定部材102が回動する。
【0033】
図1を参照して、連絡棒21は、左右一対のコンテナ緊締装置1、1を繋ぐためのものあり、連絡棒21は、コンテナ緊締装置1の構成要素の1つである。言い換えれば、連絡棒21は、一方のコンテナ緊締装置1の手動ハンドル17の回動操作を、他方のコンテナ緊締装置1の手動ハンドル17に伝達するものである。
図2及び
図6を参照して、連絡棒21は、回転軸108と、該回転軸108の軸方向両端に設けられる一対の円板状のフランジ部109とから構成される。連絡棒21の一方のフランジ部109と、左右一対のコンテナ緊締装置1、1のうち一方のコンテナ緊締装置1の連絡棒固定部材102のフランジ部104とが連結される。また、連絡棒21の他方のフランジ部109と、他方のコンテナ緊締装置1の連絡棒固定部材102のフランジ部104とが連結される。
【0034】
図9及び
図10から解るように、手動ハンドル17の回転軸24の径方向中心と、連絡棒固定部材102の回転軸105の径方向中心とは、側梁3の長手方向に沿って間隔を置いて配置される。言い換えれば、手動ハンドル17の回転軸24の径方向中心と、連絡棒固定部材102の回転軸105の径方向中心とは、略水平方向に沿う同一直線上に位置している。その結果、
図4も参照して、手動ハンドル17の回転軸24の径方向中心と、連絡棒21の径方向中心とが、略水平方向に沿う同一直線上に位置する。また、
図9及び
図10から解るように、手動ハンドル17の回転軸24の径方向中心と、連絡棒固定部材102の回転軸105の径方向中心とは、側梁6の内向上側フランジ11と、内向下側フランジ12との間の上下方向略中央に位置している。その結果、
図4も参照して、手動ハンドル17の回転軸24の径方向中心と、連絡棒21の径方向中心とは、側梁6の内向上側フランジ11と、内向下側フランジ12との間の上下方向略中央に位置する。
【0035】
そして、左右一対のコンテナ緊締装置1、1において、各固定部材18の固定部56を各側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面から出没させる際には、作業者が、一方のコンテナ緊締装置1の手動ハンドル17のハンドル部25を所定方向に回動させると、回転軸24が同方向に回動する。すると、上述したように(
図7及び
図8を参照)、一方のコンテナ緊締装置1における固定部材18の固定部56が、一方の側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面(挿通孔15)から出没する。これと同時に、
図9及び
図10を参照して、第1回動部材19が回転軸45を中心に所定方向に回動すると共に、第2回動部材20が連絡棒固定部材102の回転軸105を中心に所定方向に回動する。
【0036】
続いて、第1及び第2回動部材19、20の回動により連絡棒固定部材102が所定方向に回動して、連絡棒21が所定方向に回動する。当該連絡棒21の回転に伴って、他方のコンテナ緊締装置1においても、連絡棒固定部材102、第1回動部材19及び第2回動部材20が回動して、手動ハンドル17の回転軸24が回動する。その結果、他方のコンテナ緊締装置1においても、手動ハンドル17の回転軸24の回動により、上述したように(
図7及び
図8を参照)、他方のコンテナ緊締装置1における固定部材18の固定部56が、他方の側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面(挿通孔15)から出没する。そして、左右一対のコンテナ緊締装置1、1のうちいずれか一方のコンテナ緊締装置1の手動ハンドル17を所定方向に回動させることで、左右一対のコンテナ緊締装置1、1の各固定部材18、18を左右一対の側梁6、6(台枠5)の上面から突出させて、各固定部材18、18により、コンテナを貨車3の台枠5上に緊締することができる。
【0037】
なお、
図9及び
図10を参照して、手動ハンドル17のハンドル部25を一方向または他方向に回動させて、固定部材18の固定部56を側梁6の外向上側フランジ10の上面から出没させた状態では、第1回動部材19の内側アーム部89の先端は、斜め上方(突出時であり、
図9を参照)または斜め下方(没入時であり、
図10を参照)に位置する。これらの状態では、ベース部材78に備えた第1ロッド部80の先端と、第1回動部材19の内側アーム部89に備えた第2ロッド部93の先端とに架け渡されているロック用スプリング95(
図6参照)により、第1回動部材19の先端が手動ハンドル17のハンドル部25の回動方向と同じ方向に付勢されるために、手動ハンドル17が意図する方向とは逆方向に回動せずに、その位置に留まることになる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るコンテナ緊締装置1によれば、特に、手動ハンドル17の回転軸24と、連絡棒21(連絡棒固定部材102の回転軸105)とは、互いに別軸であり、側梁6の長手方向と直交する方向に延びる。また、手動ハンドル17の回転軸24の径方向中心と、連絡棒21(連絡棒固定部材102の回転軸105)の径方向中心とは、側梁6の長手方向に沿って間隔を置いて配置され、言い換えれば、略水平方向に沿う同一直線上に位置している。その結果、コンテナ緊締装置1を、その上下方向に沿って小型化することができる。これにより、コンテナ緊締装置1を、台枠5の側梁6であって、その高さ方向の寸法が最も小さい部位でも容易に装着することが可能になる。
【0039】
また、本実施形態に係るコンテナ緊締装置1は、第1及び第2回動部材19、20は、その回動中心を基準に、側梁6の内向上側フランジ11と、内向下側フランジ12との間を回動する構成である。これにより、第1及び第2回動部材19、20を、側梁6の限られた回動範囲、すなわち側梁6の内向上側フランジ11と内向下側フランジ12との間の限られた最小限の範囲を回動させることで、固定部材18の固定部56を側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面から出没させることができる。このように、コンテナ緊締装置1では、その上下方向に沿って小型化しても、その機能を十分に果たすことができる。
【0040】
さらに、本実施形態に係るコンテナ緊締装置1は、手動ハンドル17の回転軸24の径方向中心、及び連絡棒21(連絡棒固定部材102の回転軸105)の径方向中心は、側梁6の内向上側フランジ11と、内向下側フランジ12との間の上下方向略中央に位置している。これにより、固定部材18の固定部56を側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面から突出させるときの手動ハンドル17(ハンドル部24)の回動角度と、固定部材18の固定部56を側梁6の外向上側フランジ10(台枠5)の上面から没入させるときの手動ハンドル17(ハンドル部24)の回動角度とを略同じにすることができ、操作性が良好になる。
【符号の説明】
【0041】
1 コンテナ緊締装置,3 貨車,5 台枠,6 側梁,11 内向上側フランジ,12 内向下側フランジ,17 手動ハンドル,18 固定部材,19 第1回動部材,20 第2回動部材,21 連絡棒,24 回転軸