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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102045
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】薪割り装置
(51)【国際特許分類】
   B27L 7/00 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
B27L7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002373
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】592067580
【氏名又は名称】株式会社アルミス
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】余田 貴司
【テーマコード(参考)】
2B241
【Fターム(参考)】
2B241DA14
2B241DB13
(57)【要約】
【課題】切り出された複数の薪をスムーズに刃体から取り出し可能とした薪割り装置を提供する。
【解決手段】平面視において先端が十字形に交差する第一刃3と、第一刃3の十字形の交差部6からずれた位置を起点として、平面視において交差部6から離れるように延設されて第一刃3のいずれの部分とも傾斜角を有する第二刃4と、第一刃3および第二刃4によって切り出された薪Fが押し込まれる押し込み部5と、を有する構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において先端が十字形に交差する第一刃(3)と、
前記第一刃(3)の十字形の交差部(6)からずれた位置を起点として、平面視において前記交差部(6)から離れるように延設されて前記第一刃(3)のいずれの部分とも傾斜角を有する第二刃(4)と、
前記第一刃(3)および前記第二刃(4)によって切り出された薪(F)が押し込まれる押し込み部(5)と、
を有する薪割り装置。
【請求項2】
前記押し込み部(5)が、三辺が前記第一刃(3)および前記第二刃(4)によって切り出された薪(F)が押し込まれる第一押し込み部(5a)と、二辺が前記第一刃(3)および前記第二刃(4)によって切り出された薪(F)が押し込まれる第二押し込み部(5b)と、を有し、
前記第一刃(3)および前記第二刃(4)が、刃先(3a、4a)と、前記刃先(3a、4a)と一体に構成され当該刃先(3a、4a)の後端側に延設された基部(3b、4b)と、をそれぞれ有し、
前記第二刃(4)の前記基部(4b)のうち少なくとも一部が、押し込み方向に向かうにつれて前記第一押し込み部(5a)側から前記第二押し込み部(5b)側に向かって傾斜している請求項1に記載の薪割り装置。
【請求項3】
少なくとも一部の前記第二刃(4)の先端が、前記第一刃(3)の先端の十字形を含む平面から外れるように配置されている請求項1または2に記載の薪割り装置。
【請求項4】
前記第一刃(3)の前記交差部(6)から前記第二刃(4)の前記起点までの間に、薪(F)の押し込み方向と直交する方向の前記第一刃(3)の厚みを、当該第一刃(3)の前記交差部(6)から前記起点までの間以外の部分の厚みよりも厚くした厚肉部(3c)を形成した請求項1から3のいずれか1項に記載の薪割り装置。
【請求項5】
前記第一刃(3)および前記第二刃(4)が入り込むことが可能な凹部(9)が形成され、前記第一刃(3)および前記第二刃(4)に設置された木材(W)を押し込む押圧部材(8)を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の薪割り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、丸太などの木材から薪を切り出す薪割り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
丸太などの木材から薪を切り出す装置として、例えば特許文献1に挙げるものが提案されている。本文献に記載の装置は、シャシー1に対して同一軸上をスライドするスライドフレーム2、3に設けられた割り具10、13によって丸太を周方向に4分割することができるように構成されている。また、割り具10、13を軸周りにずらすことによって、丸太を8分割や12分割することもできるよう構成されている(特許文献1の特に段落0021~0027、図3~5を参照)。
【0003】
特許文献1に係る構成においては、分割数を増やすためには割り具の調節を複数回行う必要があるため作業が面倒である。また、分割片の形状は、丸太の軸方向から見て扇形のものに限られるため、例えばバーベキュー用のコンロに用いる際に使いづらいなどの不具合が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-237814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この不具合を解消するために、例えば図15(a)に示すように、木材Wから薪Fを切り出すための刃体10を格子状に設けることで、比較的取り扱いやすい形状の薪Fを一度の作業で多く切り出すことも考えられる。しかしながら、切り出し作業の完了後に、図15(b)に示すように刃体10の間に特に矩形状に切り出された薪Fが詰まってしまい、その薪Fの取り出しに手間を要する問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、切り出された複数の薪をスムーズに刃体から取り出し可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、
平面視において先端が十字形に交差する第一刃と、
前記第一刃の十字形の交差部からずれた位置を起点として、平面視において前記交差部から離れるように延設されて前記第一刃のいずれの部分とも傾斜角を有する第二刃と、
前記第一刃および前記第二刃によって切り出された薪が押し込まれる押し込み部と、
を有する薪割り装置を構成した。
【0008】
このようにすると、第一刃および第一刃の交差部から離れるように延設された第二刃によって、丸太などの木材を複数の薪に切り出すことができる。しかも、第二刃を交差部から離れるように延設することで、第一刃と第二刃との間の間隔が交差部から離れるほど広がり、切り出された薪が押し込み部に向かって押し込まれた際に、第一刃と第二刃との間に詰まりにくい。このため、切り出された複数の薪をスムーズに取り出すことができる。
【0009】
前記構成においては、
前記押し込み部が、三辺が前記第一刃および前記第二刃によって切り出された薪が押し込まれる第一押し込み部と、二辺が前記第一刃および前記第二刃によって切り出された薪が押し込まれる第二押し込み部と、を有し、
前記第一刃および前記第二刃が、刃先と、前記刃先と一体に構成され当該刃先の後端側に延設された基部と、をそれぞれ有し、
前記第二刃の前記基部のうち少なくとも一部が、押し込み方向に向かうにつれて前記第一押し込み部側から前記第二押し込み部側に向かって傾斜しているのが好ましい。
【0010】
このようにすると、第一押し込み部に押し込まれた薪の切り出しに関与した第二刃がその押し込みに伴って薪から離間する。このため、薪の切断表面と第二刃が強く摺接して、ささくれなどの不具合が発生するのを防止することができる。
【0011】
前記各構成においては、
少なくとも一部の前記第二刃の先端が、前記第一刃の先端の十字形を含む平面から外れているのが好ましい。
【0012】
このようにすると、木材を第一刃および第二刃に向かって押し込んだ際に、この木材が第一刃と第二刃に接触するタイミングがずれる。すると、木材に対して負荷が一気に作用しないため、木材の不特定の場所から割れが発生したり、ささくれが生じたりする不具合を防止することができる。
【0013】
前記各構成においては、
前記第一刃の前記交差部から前記第二刃の前記起点までの間に、薪の押し込み方向と直交する方向の前記第一刃の厚みを、当該第一刃の前記交差部から前記起点までの間以外の部分の厚みよりも厚くした厚肉部を形成するのが好ましい。
【0014】
このようにすると、厚肉部によって木材の割れ目が一気に拡がり、第一刃が薪の切断表面から離間しやすくなる。このため、薪の切断表面と第一刃が強く摺接するのを防止して、ささくれなどの不具合が発生するのを抑制することができる。また、押し込むにつれて切り出された薪が交差部から速やかに離れるため、詰まり防止効果を一層高めることができる。
【0015】
前記各構成においては、
前記第一刃および前記第二刃が入り込むことが可能な凹部が形成され、前記第一刃および前記第二刃に設置された木材を押し込む押圧部材を有するのが好ましい。
【0016】
このようにすると、木材に対する第一刃および第二刃の切り出し深さを最大で凹部の形成深さ分だけ深くすることができるため、薪の切り出し作業を効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る薪割り装置は、第一刃の先端の十字形の交差部からずれた位置を起点として、この交差部から離れるように第二刃を延設したので、切り出された薪が押し込み部に向かって押し込まれた際に、第一刃と第二刃との間に詰まりにくい。このため、切り出された複数の薪をスムーズに取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る薪割り装置の一実施形態を示す平面図
図2図1に示す薪割り装置の正面図
図3図1に示す薪割り装置の側面図
図4図1中のIV部分を矢印Aの方向から見た断面図
図5図1中のV部分を矢印Aの方向から見た断面図
図6】第一刃および基部が傾斜していない第二刃の側面図
図7】基部が傾斜した第二刃の側面図
図8】押圧部材の一例を示す底面図
図9図8に示す押圧部材の正面図
図10図1に示す薪割り装置に丸太を設置した状態を示す平面図
図11】第一刃と第二刃の高さが異なる薪割り装置で薪を切り出しているところを示す側面図であって、(a)は木材が第二刃のみに接触した状態、(b)は木材が第一刃および第二刃の両方に接触した状態
図12図1に示す薪割り装置で丸太から薪が切り出された状態を示す平面図
図13】基部が傾斜した第二刃で薪を切り出しているところを示す側面図
図14】押圧部材の作用を示す正面図
図15】従来例に係る薪割り装置で丸太から薪を切り出しているところを示す平面図であって、(a)は丸太を装置にセットした状態、(b)は薪の切り出しが完了した状態
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る薪割り装置1の一実施形態を図面に基づいて説明する。この薪割り装置1は、図1から図5に示すように、周囲を囲むように設けられたフレーム2の内側に、第一刃3と、第二刃4と、押し込み部5とを備えた構成となっている。この薪割り装置1は、丸太などの木材W(図10参照)を第一刃3および第二刃4に向かって押し付けるプレス機(図示せず)を備えている。
【0020】
木材Wの設置側から見た図1に示すように、この薪割り装置1は、図1中のc線に対して左右対称に構成されている。c線の左側部分と右側部分は、それぞれ独立して薪割り装置1としての機能を発揮する。なお、この薪割り装置1は、水平置きまたは垂直置きのいずれの態様で用いることも可能である。以下においては、水平置き(薪割り装置1の上に木材Wを設置する置き方)とした態様に基づいて説明する。
【0021】
第一刃3は、平面視において十字形に交差するように形成されている。この実施形態においては、c線に対して左右対称に構成するために2か所において十字形が形成されるように刃体を組み合わせている。
【0022】
図6に示すように、第一刃3は、刃先3aと基部3bから構成されている。刃先3aは、その先端角θが約40度に加工され、その先端が挿入される木材Wに垂直に向かうように配置されている。刃先3aの先端には、わずかに丸め加工(例えば、R0.5mm)が施されている。基部3bは、刃先3aと一体に構成され、刃先3aの後端側に延設されている。この延設方向は、刃先3aの先端が向く方向と一致している。この実施形態においては、刃先3aと基部3bを一体物としているが、刃先3aと基部3bを別部材で構成した上で溶接などの手段によって一体化してもよい。
【0023】
なお、ここでいう十字形とは、刃体同士が必ずしも正確に90度で交差することは要さず、多少の角度範囲(例えば、交差部6の鋭角側の角度が70度以上90度未満の範囲、より好ましくは80度以上90度未満の範囲)にある場合も含まれる。
【0024】
第一刃3の十字形の交差部6から後述する第二刃4の起点までの間には、薪Fの押し込み方向と直交する方向の第一刃3の厚みを、第一刃3の交差部6から前記起点までの間以外の部分の厚みよりも厚くした厚肉部3cが形成されている。この厚肉部3cの肉厚は特に限定されないが、本実施形態においては、第一刃3の厚肉部3c以外の箇所の肉厚の約3倍としている。
【0025】
第二刃4は、第一刃3の十字形の交差部6からずれた位置を起点として、平面視においてこの交差部6から離れるように延設されている。この第二刃4は、平面視において第一刃3のいずれの部分とも傾斜角を有する、すなわち、第一刃3とは直交しないように全体として波形に構成されている。
【0026】
第二刃4は、刃先4aと基部4bから構成されている。刃先4aは、その先端角θが約40度に加工され、その先端が丸太などの木材Wに垂直に向かうよう配置されている。刃先4aの先端には、わずかに丸め加工(例えば、R0.5mm)が施されている。基部4bは刃先4aと一体に構成され、刃先4aの後端側に延設されている。基部4bは、図6に示す第一刃3と同様に、その延設方向が刃先4aの先端が向く方向と一致したものと(以下、適宜垂直タイプという。)、図7に示すように、その延設方向が刃先4aの先端が向く方向から傾斜角θ’(本実施形態では4度)だけ傾斜したもの(以下、適宜傾斜タイプという。)の2種類がある。第二刃4の基部4bのうち少なくとも一部(傾斜タイプの第二刃4の基部4b)は、木材Wから切り出した薪F(図12参照)の押し込み方向に向かうにつれて、後述する押し込み部5の第一押し込み部5a側から第二押し込み部5b側に向かって傾斜している。
【0027】
押し込み部5は、第一刃3および第二刃4によって切り出された薪Fが押し込まれる部分(空間)である。この押し込み部5は、三辺が第一刃3および第二刃4によって切り出された薪Fが押し込まれる第一押し込み部5aと、二辺が第一刃3および第二刃4によって切り出された薪Fが押し込まれる第二押し込み部5bとを有している。
【0028】
第一押し込み部5aに押し込まれる薪Fは、二辺が第一刃3で、一辺が第二刃4でそれぞれ切り出され、残りの部分は元の木材Wの外形が保たれた形状となり、第二押し込み部5bに押し込まれる薪Fは、一辺が第一刃3で、一辺が第二刃4でそれぞれ切断され、残りの部分は元の木材Wの外形が保たれた形状となる。
【0029】
十字形をなす第一刃3の刃先3aの先端は、一枚の平面(本実施形態では水平面)を形成している。第二刃4の刃先4aの先端は、図2および図3に示すように、この平面から若干外れるように配置されている。より具体的には、第二刃4は、第一刃3よりも木材W側に約10mm突出しており、木材Wを薪割り装置1に載置した際に、第一刃3よりも先に第二刃4がこの木材Wに接触するように構成されている。
【0030】
波形に構成された第二刃4の延設方向中央部には、c線(図1)に沿ってこの第二刃4とフレーム2との間に介在して、この延設方向中央部を補強する補強部材7が設けられている。なお、補強部材7とする代わりに第一刃3や第二刃4と同様に刃体とすることもできる。
【0031】
木材Wの押し込みに用いられる押圧部材8の一例を図8および図9に示す。この押圧部材8の木材Wに対向する面には、第一刃3および第二刃4が入り込むことが可能な凹部9が形成されている。この凹部9の深さは、第一刃3および第二刃4によって完全に切断されるまで木材Wを押圧部材8で押し込むことができる限りにおいて適宜決めることができる。
【0032】
本発明に係る薪割り装置1を用いた作業手順について説明する。まず、図10に示すように薪割り装置1を水平に設置し、フレーム2の内側に丸太などの木材Wを載置する。このとき、第二刃4の刃先4aが第一刃3の刃先3aよりも突出しているため、図11(a)に示すように、木材Wは第二刃4の刃先4aの上に乗って、第一刃3には接触しない状態となっている。この状態で木材Wをプレス機で下向きに押圧する。すると、木材Wが第二刃4によって切り出されながら下向きに押し込まれる。
【0033】
木材Wが第一刃3と第二刃4の突出量の差分(約10mm)だけさらに押し込まれると、図11(b)に示すように、木材Wは初めて第一刃3に接触する。さらに、木材Wをプレス機で下向きに押圧すると、図12に示すように、第一刃3および第二刃4による薪Fの切り出しが進み、押し込み部5(第一押し込み部5aおよび第二押し込み部5b)に薪Fが押し込まれる。
【0034】
上記の薪割り装置1は、十字形に設けられた第一刃3と、第一刃3および第一刃3の交差部6から離れるように延設された第二刃4によって、丸太などの木材Wを複数の薪Fに切り出すことができる。しかも、第二刃4を交差部6から離れるように延設することで、第一刃3と第二刃4との間の間隔が交差部6から離れるほど広がっているため、図12に示すように、切り出された薪Fが押し込み部5に向かって押し込まれた際に、その薪Fが図12中に矢印で示す方向に変位し、第一刃3と第二刃4との間に詰まりにくい。このため、切り出された複数の薪Fをスムーズに取り出すことができる。
【0035】
上記の薪割り装置1は、第二刃4の基部4bのうち少なくとも一部が、押し込み方向に向かうにつれて第一押し込み部5a側から第二押し込み部5b側に向かって傾斜しているため、図13に模式的に示すように、第一押し込み部5aに押し込まれた薪Fの切り出しに関与した第二刃4がその押し込みに伴って薪Fから離間して隙間gが生じる。このため、薪Fの切断表面と第二刃4が強く摺接して、ささくれなどの不具合が発生するのを防止することができる。
【0036】
上記の薪割り装置1は、少なくとも一部の前記第二刃4が、第一刃3の先端の十字形を含む平面から外れており、木材Wを第一刃3および第二刃4に向かって押し込んだ際に、図11(a)(b)に示すように、この木材Wが第一刃3と第二刃4に接触するタイミングがずれる。このため、木材Wに対する負荷が一気に作用せず、木材Wの不特定の場所から割れが発生したり、ささくれが生じたりする不具合を防止することができる。
【0037】
上記の薪割り装置1は、第二刃4の延設方向中央部に補強部材7を設けたので、木材Wに対する押圧力が第二刃4に作用しても、この第二刃4にたわみが生じにくい。このため、木材Wから安定的に薪Fを切り出すことができる。なお、この補強部材7を刃体とすることにより、この薪割り装置1による薪Fの切り出し効率を高めることができる可能性もある。
【0038】
上記の薪割り装置1は、第一刃3の一部に厚肉部3cを形成したので、この厚肉部3cによって木材Wの割れ目が一気に拡がり、第一刃3が薪Fの切断表面から離間しやすくなる。このため、薪Fの切断表面と第一刃3が強く摺接するのを防止して、ささくれなどの不具合が発生するのを抑制することができる。また、図12に示すように、押し込むにつれて切り出された薪Fが交差部6から離れるため、詰まり防止効果を一層高めることができる。
【0039】
上記の薪割り装置1は、木材Wの押し込みに凹部9が形成された押圧部材8を用いたので、図14に示すように、木材Wに対する第一刃3および第二刃4の切り出し深さを最大で凹部9の形成深さ分だけ深くすることができるため、薪Fの切り出し作業を効率よく行うことができる。また、木材Wを第一刃3および第二刃4に完全に押し込むことができるため、第一刃3および第二刃4の刃先から木材Wが突出しない。このため、次に切断する木材Wを第一刃3および第二刃4を安定的に設置することができる。なお、木材Wを第一刃3および第二刃4に完全に押し込まずに、次に切断する木材Wを切断未完了(第一刃3および第二刃4の刃先から突出した状態)の木材Wに続けて設置することもできる。
【0040】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およびすべての変更が含まれることが意図される。
【0041】
例えば、上記の実施形態においては、二つ割りにした丸太の断面が向き合うように載置することを前提としており(図10参照)、刃体間に薪Fが比較的詰まりにくいc線から離れた側の第二刃4を垂直タイプ、刃体間に薪Fが比較的詰まりやすいc線に近い側の第二刃4を傾斜タイプとしたが、すべての第二刃4を垂直タイプまたは傾斜タイプとすることもできる。
【0042】
また、上記の実施形態においては、傾斜タイプの第二刃4の刃先4aが木材Wに垂直に向かう一方で、基部4bの延設方向が刃先4aの先端が向く方向から傾斜角θ’だけ傾斜した構成としたが、刃先4aが基部4bとともに傾斜角θ’だけ傾斜した構成とすることができる可能性もある。
【0043】
また、上記の実施形態においては、第二刃4の刃先4aを第一刃3の刃先3aよりも突出させる構成としたが、第一刃3の刃先3aを第二刃4の刃先4aよりも突出させる構成としたり、第一刃3および第二刃4のいずれの刃先3a、4aも同一平面上の構成としたりすることもできる。
【0044】
また、上記の実施形態においては、c線に対して左右対称に構成するために、第一刃3の2か所において十字形が形成されるように刃体を組み合わせた構成としたが、c線の左または右の一方のみで十字形が形成されるよう刃体を組み合わせた構成とすることもできる。
【0045】
また、上記の実施形態では、二つ割りにした丸太を隣り合うように2本並べたが、丸太が小径の場合には、二つ割りしない丸太の状態のまま2本並べて設置することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1 薪割り装置
2 フレーム
3 第一刃
3a 刃先
3b 基部
3c 厚肉部
4 第二刃
4a 刃先
4b 基部
5 押し込み部
5a 第一押し込み部
5b 第二押し込み部
6 交差部
7 補強部材
8 押圧部材
9 凹部
W 木材
F 薪
g 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15