(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102074
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】ワイヤレスヘッドフォンおよびワイヤレスヘッドフォンの制御方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20230714BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H04R1/10 101B
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002420
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健
【テーマコード(参考)】
5D005
5D220
【Fターム(参考)】
5D005BB01
5D005BB07
5D220AA04
5D220DD03
5D220DD05
(57)【要約】
【課題】材料費のコストアップを抑制しつつユーザが必要なタイミングに接続対象となる電子機器との間でペアリングシーケンスの開始を支援する。
【解決手段】ワイヤレスヘッドフォンは、外部端末との間で無線通信する無線通信部と、装着者の耳への装着の有無を検知する検知部と、装着者の入力操作を検知する入力検知部と、装着者の耳への装着が検知部により検知されていない場合、操作者からの特定の入力操作の入力検知部による検知に基づいて、外部端末との間の無線通信に関するペアリングを行うペアリングモードに動作モードを遷移する制御部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端末との間で無線通信する無線通信部と、
装着者の耳への装着の有無を検知する検知部と、
前記装着者の入力操作を検知する入力検知部と、
前記装着者の耳への装着が前記検知部により検知されていない場合、前記装着者からの特定の入力操作の前記入力検知部による検知に基づいて、前記外部端末との間の無線通信に関するペアリングを行うペアリングモードに動作モードを遷移する制御部と、を備える、
ワイヤレスヘッドフォン。
【請求項2】
スピーカ、をさらに備え、
前記制御部は、前記ペアリングモードに前記動作モードを遷移したことを通知する所定音を前記スピーカから出力させる、
請求項1に記載のワイヤレスヘッドフォン。
【請求項3】
スピーカ、をさらに備え、
前記制御部は、前記ペアリングモードに前記動作モードを遷移したことを通知する所定音を所定値より大きな音量で前記スピーカから出力させる、
請求項1に記載のワイヤレスヘッドフォン。
【請求項4】
前記検知部は、前記ワイヤレスヘッドフォンを充電可能であって前記ワイヤレスヘッドフォンの筐体を格納可能な格納部を有する充電ケースに前記ワイヤレスヘッドフォンが格納されていることを検知する格納センサである、
請求項1に記載のワイヤレスヘッドフォン。
【請求項5】
前記検知部は、前記装着者の外耳あるいは耳介への装着を検知する赤外線センサである、
請求項1に記載のワイヤレスヘッドフォン。
【請求項6】
前記検知部は、前記装着者の外耳あるいは耳介への装着を検知する静電センサである、
請求項1に記載のワイヤレスヘッドフォン。
【請求項7】
前記入力検知部は、前記ワイヤレスヘッドフォンの筐体の一端部が前記格納部に格納されている間に前記充電ケースから露出する前記ワイヤレスヘッドフォンの筐体の他端部に配置され、前記ワイヤレスヘッドフォンの筐体の一端部が前記格納部に格納されている時に前記特定の入力操作を検知する、
請求項4に記載のワイヤレスヘッドフォン。
【請求項8】
発光素子、をさらに備え、
前記制御部は、前記ペアリングモード中、前記ペアリングモード中であることを示す所定の点灯パターンにしたがって前記発光素子を点灯させる、
請求項1に記載のワイヤレスヘッドフォン。
【請求項9】
前記発光素子は、前記ワイヤレスヘッドフォンを充電可能であって前記ワイヤレスヘッドフォンの筐体を格納可能な格納部を有する充電ケースに前記ワイヤレスヘッドフォンの筐体の一端部が格納されている間に前記発光素子からの光が前記装着者に視認可能な前記ワイヤレスヘッドフォンの筐体の任意の位置に配置される、
請求項8に記載のワイヤレスヘッドフォン。
【請求項10】
外部端末との間で無線通信するワイヤレスヘッドフォンの制御方法であって、
装着者の耳への装着の有無を検知するステップと、
前記装着者の入力操作を検知するステップと、
前記装着者の耳への装着が検知されていない場合、前記装着者からの特定の入力操作の検知に基づいて、前記外部端末との間の無線通信に関するペアリングを行うペアリングモードに動作モードを遷移するステップと、を有する、
ワイヤレスヘッドフォンの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレスヘッドフォンおよびワイヤレスヘッドフォンの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対のワイヤレスヘッドフォンを収容可能なケースが開示されている。このケースは、蓋と、蓋が閉じた位置から開いた位置に移動した時に検出信号を生成する蓋センサと、を有する。また、ケースは、検出信号の受信に応答して、ワイヤレスヘッドフォンに信号を送ってワイヤレスヘッドフォンをオンにし、ユーザの入力(例えば、蓋の開閉、ケースの筐体に設けられた入力ボタンの押下)に応じてワイヤレスヘッドフォンと電子機器との間のペアリングシーケンスを開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9967649号明細書
【特許文献2】国際公開第2012/053289号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、ユーザの入力が蓋の開閉である場合、その蓋の開閉によってワイヤレスヘッドフォンと電子機器との間でペアリングシーケンスが開始してしまうと、例えばユーザが意図しない蓋の開閉が検知された場合に電子機器(例えばスマートフォン)との間でペアリングシーケンスが開始してしまうという課題が存在する。または、ユーザの入力がケースの筐体に設けられた入力ボタンの押下である場合、ケースにペアリングシーケンスの開始用の入力ボタンを別途配置する必要が生じ、ケースの材料費のコストアップが避けられないという課題が存在する。いずれにしても、特許文献1の構成では、材料費のコストアップを抑制しつつユーザが必要なタイミングにワイヤレスヘッドフォンの接続対象となる電子機器との間でのペアリングシーケンスを開始することは困難であった。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、材料費のコストアップを抑制しつつユーザが必要なタイミングに接続対象となる電子機器との間でペアリングシーケンスの開始を支援するワイヤレスヘッドフォンおよびワイヤレスヘッドフォンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、外部端末との間で無線通信する無線通信部と、装着者の耳への装着の有無を検知する検知部と、前記装着者の入力操作を検知する入力検知部と、前記装着者の耳への装着が前記検知部により検知されていない場合、前記装着者からの特定の入力操作の前記入力検知部による検知に基づいて、前記外部端末との間の無線通信に関するペアリングを行うペアリングモードに動作モードを遷移する制御部と、を備える、ワイヤレスヘッドフォンを提供する。
【0007】
また、本開示は、外部端末との間で無線通信するワイヤレスヘッドフォンの制御方法であって、装着者の耳への装着の有無を検知するステップと、前記装着者の入力操作を検知するステップと、前記装着者の耳への装着が検知されていない場合、前記装着者からの特定の入力操作の検知に基づいて、前記外部端末との間の無線通信に関するペアリングを行うペアリングモードに動作モードを遷移するステップと、を有する、ワイヤレスヘッドフォンの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、材料費のコストアップを抑制しつつユーザが必要なタイミングに接続対象となる電子機器との間でペアリングシーケンスの開始を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るワイヤレス通信システムのシステム構成例を示すブロック図
【
図2】実施の形態1に係るスマートフォンのハードウェア構成例を示すブロック図
【
図3】実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォンが充電ケースに格納されている様子の一例を示す図
【
図4】実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォンの操作入力部が見える前面側から見た外観図
【
図5】実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォンの操作入力部が見えない背面側から見た外観図
【
図6】ペアリングモードへの遷移を例示する第1のユースケース例を示す動作遷移図
【
図7】ペアリングモードへの遷移を例示する第2のユースケース例を示す動作遷移図
【
図8】ペアリングモードへの遷移を例示する第3のユースケース例を示す動作遷移図
【
図9】実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォンの動作手順例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態に至る経緯)
特許文献1において、ユーザの入力が蓋の開閉である場合、その蓋の開閉によってワイヤレスヘッドフォンと電子機器との間でペアリングシーケンスが開始してしまうと、例えばユーザが意図しない蓋の開閉が検知された場合に電子機器(例えばスマートフォン)との間でペアリングシーケンスが開始してしまうという課題が存在する。または、ユーザの入力がケースの筐体に設けられた入力ボタンの押下である場合、ケースにペアリングシーケンスの開始用の入力ボタンを別途配置する必要が生じ、ケースの材料費のコストアップが避けられないという課題が存在する。いずれにしても、特許文献1の構成では、材料費のコストアップを抑制しつつユーザが必要なタイミングにワイヤレスヘッドフォンの接続対象となる電子機器との間でのペアリングシーケンスを開始することは困難であった。
【0011】
そこで、以下の実施の形態では、材料費のコストアップを抑制しつつユーザが必要なタイミングに接続対象となる電子機器との間でペアリングシーケンスの開始を支援するワイヤレスヘッドフォンおよびワイヤレスヘッドフォンの制御方法の例を説明する。
【0012】
一方で、特許文献2の構成では、イヤフォンが装着されている間でなければ有効と設定された操作に対応する携帯機器の制御が実行できないため、イヤフォンが装着されていないと携帯機器への処理が実行されないという課題が存在する。このため、イヤフォンの装着中でなければ動作しない携帯機器の動作機能1つに対して1つの操作を割り当てる必要があり、多くの動作機能を割り当てることが困難であるか、または多くの動作機能を割り当てるために複雑な操作をユーザに求めなければならず利便性の向上が望めなかった。
【0013】
そこで、以下の実施の形態では、同一の操作でもユーザの装着状態に応じて異なる動作機能を実行し、ユーザの利便性を向上するヘッドフォンおよびヘッドフォンの制御方法の例を説明する。
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るワイヤレスヘッドフォンおよびワイヤレスヘッドフォンの制御方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
実施の形態1に係るワイヤレス通信システムは、例えばTWS(True Wireless Stereo)に準拠した無線通信(例えばBluetooth(登録商標))を、ユーザ(装着者の一例)の左右両耳のそれぞれに挿入可能な一対のワイヤレスヘッドフォンとユーザにより携帯される無線端末(例えばスマートフォン)との間で提供する。以下、ヘッドフォンという用語とイヤフォンという用語とは技術的に区別せず、本開示に係るワイヤレスヘッドフォンの一例として、ワイヤレスイヤフォンを例示して説明する。なお、無線通信の方式は、Bluetooth(登録商標)に限定されなくてもよく、例えばWi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)でもよい。
【0016】
実施の形態1に係るワイヤレス通信システム100のシステム構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、実施の形態1に係るワイヤレス通信システム100のシステム構成例を示すブロック図である。ワイヤレス通信システム100は、一対のワイヤレスイヤフォン10L,10Rと、スマートフォン50と、を少なくとも含む構成である。ワイヤレス通信システム100は、充電ケース30をさらに含む構成としてもよい。
【0017】
ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれは、ユーザの耳に装着して使用されるインナー型の音響装置であり、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの本体のそれぞれに取り付けられるイヤーピースEPL,EPR(
図3参照)を有して構成される。ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれは、左右一対で構成され、ユーザの左耳および右耳のそれぞれに装着される。例えば、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれは、ユーザの耳に対しイヤーピースEPL,EPRのそれぞれにより外耳道の内部に挿入された状態で保持され、この保持された状態がワイヤレスイヤフォン10L,10Rの使用状態となる。
【0018】
一対のワイヤレスイヤフォン10L,10Rにおいて、ユーザの左耳に挿入可能なワイヤレスイヤフォン10Lおよびユーザの右耳に挿入可能なワイヤレスイヤフォン10Rの内部構成は同一である。このため、
図1において、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれの内部構成に対し、同一の内部構成には同一の符号を付す。原則的には、その符号の末尾にはワイヤレスイヤフォン10Lの内部構成に係るものには「L」を、ワイヤレスイヤフォン10Rの内部構成に係るもの「R」を付加することで、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの内部構成を左右で区別可能となるように表記するが、一部の内部構成については「L」,「R」の符号関係は適用しない。例えば、LED、RAM、ROMについては順番が連続する符号が付与される。また、以下の説明では、一方の、例えば左側のワイヤレスイヤフォン10Lのみ説明し、他方の、例えば右側のワイヤレスイヤフォン10Rの説明を簡略化あるいは省略する。
【0019】
ワイヤレスイヤフォン10Lは、スピーカSPKLが配置された一端側においてイヤーピースEPLが着脱可能に設けられた筐体を有する(
図4あるいは
図5参照)。ワイヤレスイヤフォン10Lは、イヤフォン制御部11L、操作入力部12L、LED(Light Emission Diode)131、装着センサ14L、RAM(Random Access Memory)151、ROM(Read Only Memory)161、音声入出力制御部17L、充電ケース格納検知部18L、無線通信部19L、バッテリBTLを有する電力監視部20L、充電ケース通信部21L、発話マイクMCL1、FF(FeedForward)マイクMCL2、FB(FeedBack)マイクMCL3、スピーカSPKLを有する。
【0020】
ワイヤレスイヤフォン10Rは、スピーカSPKRが配置された一端側においてイヤーピースEPRが着脱可能に設けられた筐体を有する。ワイヤレスイヤフォン10Rは、イヤフォン制御部11R、操作入力部12R、LED132、装着センサ14R、RAM152、ROM162、音声入出力制御部17R、充電ケース格納検知部18R、無線通信部19R、バッテリBTRを有する電力監視部20R、充電ケース通信部21R、発話マイクMCR1、FFマイクMCR2、FBマイクMCR3、スピーカSPKRを有する。
【0021】
次に、ワイヤレスイヤフォン10Lの個々の内部構成について、
図1、
図4および
図5を参照して説明する。
図4は、実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォン10Lの操作入力部12Lが見える前面側から見た外観図である。
図5は、実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォン10Lの操作入力部12Lが見えない背面側から見た外観図である。
【0022】
イヤフォン制御部11Lは、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを用いて構成される。イヤフォン制御部11Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lの全体的な動作を司るコントローラとして機能し、ワイヤレスイヤフォン10Lの各部の動作を統括するための制御処理、ワイヤレスイヤフォン10Lの各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。イヤフォン制御部11Lは、ROM161に記憶されたプログラムおよびデータに従って動作したり、動作時にRAM151を使用し、イヤフォン制御部11Lが作成または取得したデータもしくは情報をRAM151に一時的に保存したり無線通信部19Lもしくは充電ケース通信部21Lに送ったりする。
【0023】
操作入力部12L(入力検知部の一例)は、ユーザの入力操作を検知するデバイスにより構成され、例えばユーザの入力操作を検知するタッチセンサを用いて構成される。
図3を参照して後述するが、操作入力部12Lは、ユーザからの入力操作がなされる操作面OPLを有し、この操作面OPLになされた入力操作の検知に応じた信号を生成してイヤフォン制御部11Lに送る。ユーザからの入力操作は、例えば、操作面OPLの1回押し操作、操作面OPLの2回押し操作(例えば1秒未満の2回連続押し操作)、操作面OPLの3回押し操作(例えば1.5秒未満の3回連続押し操作)、操作面OPLが所定時間(例えば5秒)以上継続して押下される長押し操作、あるいは、操作面OPLのフリック操作が挙げられるが、これらに限定されなくてもよい。さらに、2回連続押し操作がなされる時間は1秒未満に限定されず、同様に、3回連続押し操作がなされる時間は1.5秒未満に限定されなくてよい。
【0024】
LED131(発光素子の一例)は、1つ以上のLED素子を有し、後述するペアリングモード中にイヤフォン制御部11Lからの制御信号に応じて、その制御信号に対応するパターンに従う点灯、点滅、あるいは点灯および点滅の組み合わせを行う。LED131は、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体に露出するように設けられた操作入力部12Lの操作面OPLの円周上の端部(例えば+X方向に沿う操作面OPL上端部)に相当するワイヤレスイヤフォン10Lの筐体一端側の位置に配置される(
図4参照)。LED131がこの位置に配置されることで、ワイヤレスイヤフォン10Lが充電ケース30に格納された際(
図3参照)、LED131の点灯あるいは点滅の様子が充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPL内の壁面で反射等することで直接的あるいは間接的にユーザにとって明確に認識可能となる。なお、LED131は、ワイヤレスイヤフォン10Lの構成として省略されてもよい。さらに、LED131は、操作面OPLの円周上の端部(例えば+X方向に沿う操作面OPL上端部)に相当するワイヤレスイヤフォン10Lの筐体一端側の位置(例えば充電ケース30の蓋34が開いている時にユーザにより視認可能に露出した位置)に配置されることに限定されなくてもよく、例えばLED131からの光がイヤフォン格納スペースSPLの内壁(図示略)にて反射可能な、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体一端側以外の位置(例えば充電ケース30の蓋34が開いている時にユーザにより視認可能に露出しない位置)に配置されてもよい。これにより、LED131は、充電ケース30の蓋34が開いている時にユーザから視認可能であるか否か(つまり、露出しているか否か)に拘わらず、LED131の光が直接的に点灯もしくは点滅、あるいは間接的に反射することでユーザに容易に点灯あるいは点滅のパターンを認識させることができる。
【0025】
なお、LED132(発光素子の一例)は、1つ以上のLED素子を有し、後述するペアリングモード中にイヤフォン制御部11Rからの制御信号に応じて、その制御信号に対応するパターンに従う点灯、点滅、あるいは点灯および点滅の組み合わせを行う。LED132は、LED131と同様に、ワイヤレスイヤフォン10Rの筐体に露出するように設けられた操作入力部12Rの操作面OPLの円周上の端部(例えば+X方向に沿う操作面OPL上端部)に相当するワイヤレスイヤフォン10Rの筐体一端側の位置に配置される。LED132がこの位置に配置されることで、ワイヤレスイヤフォン10Rが充電ケース30に格納された際(
図3参照)、LED132の点灯あるいは点滅の様子が充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPR内の壁面で反射等することで直接的あるいは間接的にユーザにとって明確に認識可能となる。なお、LED132は、ワイヤレスイヤフォン10Rの構成として省略されてもよい。
【0026】
装着センサ14Lは、ユーザの耳(装着センサ14Lの場合は左耳)への装着の有無を検知するデバイスにより構成され、例えば赤外線センサあるいは静電センサを用いて構成される。赤外線センサの場合、装着センサ14Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に装着されていれば、装着センサ14Lから照射された赤外線が左耳内で反射した赤外線を受光することでユーザの左耳への装着を検知可能である。また、装着センサ14Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に装着されていなければ、装着センサ14Lから照射された赤外線が反射しないで赤外線を受光しないことでユーザの左耳への非装着を検知可能である。一方、静電センサの場合、装着センサ14Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に装着されていれば、ユーザの左耳内までの距離に応じた静電容量の変化値が装着センサ14Lが保持する閾値より大きいと判定することでユーザの左耳への装着を検知可能である。また、装着センサ14Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に装着されていなければ、静電容量値の変化値が装着センサ14Lが保持する閾値より小さいと判定することでユーザの左耳への非装着を検知可能である。装着センサ14Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に挿入された時に外耳道に対向する位置、かつ操作面OPLの背面側に設けられる(
図5参照)。
【0027】
RAM151は、イヤフォン制御部11Lの各処理(動作)を実行する際に用いられるワークメモリであり、イヤフォン制御部11Lにより生成あるいは取得されたデータもしくは情報を一時的に保存する。
【0028】
RAM152は、イヤフォン制御部11Rの各処理(動作)を実行する際に用いられるワークメモリであり、イヤフォン制御部11Rにより生成あるいは取得されたデータもしくは情報を一時的に保存する。
【0029】
ROM161は、イヤフォン制御部11Lの各処理(動作)を規定するプログラム、および、そのプログラムの実行時にデータを格納している。
【0030】
ROM162は、イヤフォン制御部11Rの各処理(動作)を規定するプログラム、および、そのプログラムの実行時にデータを格納している。
【0031】
音声入出力制御部17Lは、発話マイクMCL1、FFマイクMCL2、FBマイクMCL3およびスピーカSPKLのそれぞれとの間でデータ信号(例えば音声信号)の入出力が可能となるように接続され、音声信号の入出力に関する各種処理(動作)を実行可能な通信回路を用いて構成される。音声入出力制御部17Lは、イヤフォン制御部11Lから送られたデジタル形式の音声信号をアナログ形式に変換してスピーカSPKLから出力させる。また、音声入出力制御部17Lは、発話マイクMCL1、FFマイクMCL2およびFBマイクMCL3のそれぞれにより収音されたアナログ形式の音信号(音声信号を含む。以下同様。)を入力してデジタル形式の音信号に変換してイヤフォン制御部11Lに送る。
【0032】
図4および
図5では、一対のワイヤレスイヤフォン10L,10Rのうちワイヤレスイヤフォン10Lを例示して図示しているが、
図4および
図5の説明はワイヤレスイヤフォン10Rについても同様に適用可能である。
図4および
図5の説明では、3次元座標(XYZ座標)を便宜的に設けており、
図4の操作入力部12Lの操作面OPLと平行になるようにXY平面が設けられ、そのXY平面と垂直にZ軸が設けられている。
【0033】
発話マイクMCL1は、ユーザの発話に基づいて生じる音声を収音(つまり、音声信号を検知)可能なマイクロフォンデバイスにより構成される。発話マイクMCL1は、ユーザの発話に基づいて生じる音声を収音して電気信号に変換して音声入出力制御部17Lに送る。発話マイクMCL1は、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に挿入された時にワイヤレスイヤフォン10Lの延在方向がユーザの口元を向くように配置され(
図4参照)、操作面OPL下部(つまり-X方向)の位置に配置される。ユーザによって発話される音声は発話マイクMCL1により収音されて電気信号に変換され、この電気信号の大小によって、発話マイクMCL1によるユーザの発話の有無が検知可能となる。
【0034】
FFマイクMCL2は、ワイヤレスイヤフォン10Lの外部の周囲音を音信号として収音(検知)可能なマイクロフォンデバイスにより構成される。FFマイクMCL2は、外部の周囲音を電気信号(音信号)に変換して音声入出力制御部17Lに送る。FFマイクMCL2は、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に挿入された時に発話マイクMCL1に比べてユーザの口元から遠い位置であって、LED131の近傍かつ操作面OPL上部(つまり+X方向)の位置に配置される(
図4参照)。
【0035】
FBマイクMCL3は、ユーザの左耳の外耳道に可能な限り近接して配置され、外耳道付近の音を収音(検知)可能なマイクロフォンデバイスにより構成される。FBマイクMCL3は、外耳道付近の音(例えばスピーカSPKLから出力された音)の一部が回り込んだ音を電気信号(音信号)に変換して音声入出力制御部17Lに送る。FBマイクMCL3は、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に挿入された時に外耳道に対向する位置に配置される(
図5参照)。
【0036】
スピーカSPKLは、イヤフォン制御部11Lからの指示に基づいて音声入出力制御部17Lから送られた音信号を音響的に出力する。スピーカSPKLは、例えばワイヤレスイヤフォン10Lがペアリングモード(後述参照)に移行する旨の音声メッセージが録音された規定の音声信号を音響的に出力する。
図4および
図5に示すように、スピーカSPKLの周囲を覆うようにイヤーピースEPLが設けられる。
【0037】
充電ケース格納検知部18Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体が充電ケース30内(具体的には、充電ケース30に設けられたイヤフォン格納スペースSPL内)に格納されているか否かを検知するデバイスにより構成され、例えば磁気センサを用いて構成される。充電ケース格納検知部18Lは、例えば検知される磁力がワイヤレスイヤフォン10Lが有する閾値より大きいことを判定することで、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体が充電ケース30内に格納されていることを検知する。一方、充電ケース格納検知部18Lは、検知される磁力がワイヤレスイヤフォン10Lが有する閾値より小さいことを判定することで、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体が充電ケース30内に格納されていないことを検知する。充電ケース格納検知部18Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体が充電ケース30内に格納されているか否かの検知結果をイヤフォン制御部11Lに送る。なお、充電ケース格納検知部18Lは、磁気センサ以外のセンサデバイス(例えば赤外線センサ)を用いて構成されてもよい。
【0038】
無線通信部19Lは、アンテナATLを有し、スマートフォン50との間で無線通信を行う通信回路を用いて構成される。無線通信部19Lは、スマートフォン50あるいはワイヤレスイヤフォン10Rから送信されたデータ信号をアンテナATLを介して受信したり、イヤフォン制御部11Lから送られたデータ信号をアンテナATLを介してスマートフォン50あるいはワイヤレスイヤフォン10Rに送信したりする。
【0039】
電力監視部20Lは、バッテリBTLを有し、バッテリBTLの残留電力を監視するための回路を用いて構成される。電力監視部20Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体が充電ケース30内(具体的には、充電ケース30に設けられたイヤフォン格納スペースSPL内)に格納されている間、充電ケース30から送電されるバッテリBTLの充電用の電力を受電可能であり、その受電された電力に基づいてバッテリBTLの残留電力を監視し、監視結果をイヤフォン制御部11Lに送る。
【0040】
充電ケース通信部21Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体が充電ケース30内(具体的には、充電ケース30に設けられたイヤフォン格納スペースSPL内)に格納されている間に充電ケース30との間でデータ信号の通信を行う通信回路を用いて構成される。充電ケース通信部21Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体が充電ケース30内(具体的には、充電ケース30に設けられたイヤフォン格納スペースSPL内)に格納されている間、充電ケース30の充電ケース制御部31との間でデータ信号の通信(送受信)を行う。
【0041】
充電ケース30は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれを格納可能なイヤフォン格納スペースSPL,SPRを有する本体筐体部BDと、ヒンジ等を介して本体筐体部BDに対して開閉可能な蓋34とを有する(
図3参照)。充電ケース30は、充電ケース制御部31、充電ケースLED32、蓋センサ33、蓋34、バッテリBT1を有する充電ケース電力監視部35、磁石MGL,MGRを有する。
【0042】
次に、充電ケース30の個々の内部構成について、
図1および
図3を参照して説明する。
図3は、実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォンが充電ケースに格納されている様子の一例を示す図である。
【0043】
充電ケース制御部31は、例えばCPU、MPUあるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等のプロセッサを用いて構成される。充電ケース制御部31は、充電ケース30の全体的な動作を司るコントローラとして機能し、充電ケース30の各部の動作を統括するための制御処理、充電ケース30の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。充電ケース制御部31は、充電ケース30が有するROM(図示略)に記憶されたプログラムおよびデータに従って動作したり、動作時に充電ケース30が有するRAM(図示略)を使用し、充電ケース制御部31が作成または取得したデータもしくは情報をRAM(図示略)に一時的に保存したりワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれに送ったりする。
【0044】
充電ケースLED32は、少なくとも1つのLED素子を有し、充電ケース制御部31からの制御信号に応じて、その制御信号に対応するパターンに従う点灯、点滅、あるいは点灯および点滅の組み合わせを行う。充電ケースLED32は、例えばワイヤレスイヤフォン10L,10Rの両方が格納されて充電中である間、所定の色(例えば緑色)の点灯を行う。
図3に示すように、充電ケースLED32は、例えば充電ケース30の本体筐体部BDの上端中央部の一端側に設けられた凹状段差部DSの底面中央部に配置される。この位置に配置されることで、ユーザは、充電ケース30においてワイヤレスイヤフォン10L,10Rの両方が充電中であることを直感的に分かりやすく視認できる。
【0045】
蓋センサ33は、蓋34が充電ケース30の本体筐体部BDに対して開閉しているか否かを検知可能なデバイスにより構成され、例えば蓋34が閉まっている時の圧力に基づいて蓋34の開閉を検知可能な圧力センサを用いて構成される。なお、蓋センサ33は、上述した圧力センサに限定されなくてもよく、蓋34が閉まっている時の磁力に基づいて蓋34の開閉を検知可能な磁気センサを用いて構成されてもよい。蓋センサ33は、蓋34が閉まっていること(つまり、開いていないこと)あるいは閉まっていないこと(つまり、開いていること)を検知すると、その検知結果を示す信号を充電ケース制御部31に送る。
【0046】
蓋34は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rを格納可能な充電ケース30の本体筐体部BDの露出を防ぐために設けられる。
【0047】
充電ケース電力監視部35は、バッテリBT1を有し、バッテリBT1の残留電力を監視するための回路を用いて構成される。充電ケース電力監視部35は、外部電源EXPWからの電力の供給を受けることで充電ケース30のバッテリBT1を充電したり、定期的あるいは常時バッテリBT1の残留電力を監視し、その監視結果を充電ケース制御部31に送ったりする。
【0048】
磁石MGLは、ワイヤレスイヤフォン10Lの筐体が充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPL内に格納されているか否かの判定に設けられ、イヤフォン格納スペースSPLの近傍に配置される。
【0049】
磁石MGRは、ワイヤレスイヤフォン10Rの筐体が充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPR内に格納されているか否かの判定に設けられ、イヤフォン格納スペースSPRの近傍に配置される。
【0050】
イヤフォン格納スペースSPLは、充電ケース30の本体筐体部BD内にワイヤレスイヤフォン10Lの筐体を格納可能なスペースを有して構成される。
【0051】
イヤフォン格納スペースSPRは、充電ケース30の本体筐体部BD内にワイヤレスイヤフォン10Rの筐体を格納可能なスペースを有して構成される。
【0052】
スマートフォン50は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれとの間で既定の無線通信方式(例えばBluetooth(登録商標))にしたがって、データ信号の送受信を行う。スマートフォン50は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの装着者であるユーザにより携帯(所持)される。なお、スマートフォン50は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれとの間でBluetooth(登録商標)等の無線通信を行う無線端末の一例であり、携帯電話機でもよいし、電話機能を有さない無線端末であればよい。
【0053】
次に、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれと無線通信するスマートフォン50の内部構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、実施の形態1に係るスマートフォンのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0054】
スマートフォン50は、制御部51、表示/操作部52、ROM53、RAM54、音声入出力制御部55、マイクMC1、スピーカSPK1、近距離無線制御部56、イヤフォン通信I/F部57、無線LAN通信I/F部58、音声バス59、公衆回線プロトコル制御部60、公衆回線通信I/F部61、USB(Universal Serial Bus)通信I/F部62、バッテリBT2を有する。なお、
図2ではインターフェースを「IF」と略記している。
【0055】
制御部51は、例えばCPU、DSPまたはFPGAを用いて構成される。制御部51は、スマホOS(Operating System)処理部51Aおよびスマホアプリ処理部51Bを機能的に有し、スマホOS処理部51Aおよびスマホアプリ処理部51BのそれぞれとROM53およびRAM54のそれぞれとの協働によって各種の処理および制御を行う。
【0056】
スマホOS処理部51Aは、スマートフォン50が行う各種処理に関する基本的なオペレーションに関する処理ならびに制御を実行する。
【0057】
スマホアプリ処理部51Bは、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれとの間で実行可能なスマートフォン50に適したアプリケーションを含む各種のアプリケーションの処理を実行する。
【0058】
表示/操作部52は、ユーザの入力操作を受け付けたり、制御部51により生成されたデータを表示したりするタッチパネルを用いて構成され、いわゆるユーザインターフェースを形成する。表示/操作部52は、例えばワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれがペアリングモードに移行した時、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれからの通知に基づいて、制御部51の制御の下でペアリングモードに移行した旨のメッセージをポップアップで表示してもよい。
【0059】
ROM53は、制御部51の各処理(動作)を規定するプログラム、および、そのプログラムの実行時にデータを格納している。
【0060】
RAM54は、制御部51の各処理(動作)を実行する際に用いられるワークメモリであり、制御部51により生成あるいは取得されたデータを一時的に保存する。
【0061】
音声入出力制御部55は、マイクMC1およびスピーカSPK1のそれぞれとの間でデータ信号(例えば音声信号)の入出力が可能となるように接続され、音声信号の入出力に関する各種処理(動作)を実行可能な通信回路を用いて構成される。音声入出力制御部55は、制御部51から音声バス59を介して送られたデジタル形式の音声信号をアナログ形式に変換してスピーカSPK1から出力させる。また、音声入出力制御部55は、マイクMC1により収音されたアナログ形式の音信号(音声信号を含む)を入力してデジタル形式の音信号に変換して制御部51に送る。
【0062】
マイクMC1は、ユーザの発話に基づいて生じる音声を収音(つまり、音声信号を検知)可能なマイクロフォンデバイスにより構成される。マイクMC1は、収音された音声を電気信号に変換して音声入出力制御部55に送る。
【0063】
スピーカSPK1は、制御部51からの指示に基づいて、制御部51および音声バス59を介して音声入出力制御部55から送られた音信号を音響的に出力する。スピーカSPK1は、例えばスマホアプリ処理部51Bにより再生されている音楽信号をワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれから出力されていない時に音響的に出力する。
【0064】
近距離無線制御部56は、入力される音声信号等の音信号を無線通信するための制御を実行可能な回路を用いて構成され、イヤフォン通信I/F部57および無線LAN通信I/F部58のそれぞれとの間でデータ信号の入出力が可能に接続される。近距離無線制御部56は、イヤフォン通信I/F部57および無線LAN通信I/F部58のうち少なくとも1つから送られた音信号を入力し、音声バス59を介して制御部51に送る。近距離無線制御部56は、音声バス59を介して入力された音声信号等の音信号をイヤフォン通信I/F部57および無線LAN通信I/F部58のうち少なくとも1つに送る。
【0065】
イヤフォン通信I/F部57は、アンテナAT1を有し、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれとの間で無線通信(例えばBluetooth(登録商標))を行う通信回路を用いて構成される。イヤフォン通信I/F部57は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれから送信されたデータ信号をアンテナAT1を介して受信したり、近距離無線制御部56から送られたデータ信号をアンテナAT1を介してワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれに送信したりする。
【0066】
無線LAN通信I/F部58は、アンテナAT2を有し、無線LANルータ(図示略)を介してインターネットに接続可能な通信回路を用いて構成される。また、無線LAN通信I/F部58は、上述した無線LANルータ(図示略)を介して、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれとの間で無線通信(例えばWi-Fi(登録商標)等の無線LAN)を行ってもよい。無線LAN通信I/F部58は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれから送信されたデータ信号をアンテナAT2を介して受信したり、近距離無線制御部56から送られたデータ信号をアンテナAT2を介してワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれに送信したりする。
【0067】
音声バス59は、音声信号等の音信号のデータ伝達経路であり、制御部51と音声入出力制御部55との間、制御部51と近距離無線制御部56との間、公衆回線プロトコル制御部60と制御部51、音声入出力制御部55あるいは近距離無線制御部56との間で音信号の伝達を行う。
【0068】
公衆回線プロトコル制御部60は、入力される音声信号等の音信号を無線通信するための制御を実行可能な回路を用いて構成され、公衆回線通信I/F部61との間でデータ信号の入出力が可能に接続される。公衆回線プロトコル制御部60は、公衆回線通信I/F部61から送られた音信号を入力し、音声バス59を介してあるいは直接に制御部51に送る。公衆回線プロトコル制御部60は、音声バス59を介して入力された音声信号等の音信号を公衆回線通信I/F部61に送る。
【0069】
公衆回線通信I/F部61は、アンテナAT3を有し、他の外部端末(図示略)との間で無線通信(例えばLTE(Long Term Evolution)等の4G(第4世代移動通信方式)あるいは5G(第5世代移動通信方式)に準拠した無線通信)を行う通信回路を用いて構成される。公衆回線通信I/F部61は、上述した他の外部端末(図示略)から送信されたデータ信号をアンテナAT3を介して受信したり、公衆回線プロトコル制御部60から送られたデータ信号をアンテナAT3を介して上述した他の外部端末(図示略)に送信したりする。
【0070】
USB通信I/F部62は、USBケーブル(図示略)を介して接続可能な外部機器(図示略)との間でデータ信号の入出力を行う通信回路を用いて構成される。USB通信I/F部62は、上述した外部機器(図示略)にデータ信号を送ったり、その外部機器(図示略)から送られたデータ信号を入力して制御部51に送ったりする。
【0071】
バッテリBT2は、外部の商用電源(図示略)から供給される電力を蓄電可能な二次電池を用いて構成され、スマートフォン50を構成する各部に必要な電源を供給する。
【0072】
次に、実施の形態1に係るワイヤレス通信システム100において、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rとスマートフォン50との間で行われるBluetooth(登録商標)のペアリングの動作概要例について、
図6~
図8を参照して説明する。
図6は、ペアリングモードへの遷移を例示する第1のユースケース例を示す動作遷移図である。
図7は、ペアリングモードへの遷移を例示する第2のユースケース例を示す動作遷移図である。
図8は、ペアリングモードへの遷移を例示する第3のユースケース例を示す動作遷移図である。
【0073】
図6の第1ユースケース例では、スマートフォン50を所持するユーザがBluetooth(登録商標)により無線接続する対象となるワイヤレスイヤフォン10L,10Rを購入した直後の状態を想定する。
図6のステップSt1に示すように、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのうち一方(例えばワイヤレスイヤフォン10R)が充電ケース30から取り出されており、他方(例えばワイヤレスイヤフォン10L)が充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPL内に格納されている。ワイヤレスイヤフォン10Rは電源がオンしている状態とする。以下の
図6の説明においては、説明を簡易化するために、ワイヤレスイヤフォン10Lにユーザが操作を行ってワイヤレスイヤフォン10L,10Rをペアリングモードに移行させるユースケースを例示して説明するが、ワイヤレスイヤフォン10Lとワイヤレスイヤフォン10Rとを入れ替えてワイヤレスイヤフォン10Rにユーザが操作を行ってワイヤレスイヤフォン10L,10Rをペアリングモードに移行させる場合も同様である。
【0074】
ユーザにより充電ケース30の本体筐体部BDに対して蓋34が開けられると、充電ケース30の充電ケース制御部31は、蓋センサ33からの蓋34が開けられた旨の検知結果を示す信号を入力してワイヤレスイヤフォン10Lに送る。ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、充電ケース30からの信号の入力に基づいて、電源をオンする(St1)。なお、ワイヤレスイヤフォン10Lの電源をオンする方法は充電ケース30からの信号入力に限定されなくてもよい。
【0075】
ここで、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザにより充電ケース30から取り出されると、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ユーザの耳への挿入(装着)の有無に拘わらずにワイヤレスイヤフォン10Lが充電ケース30から取り出されてから所定時間が経過した時点で、LED131を所定のパターン(例えば赤色と青色とが交互に点滅するパターン)にしたがって発光させ、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの動作モードを、スマートフォン50との間でペアリング(つまり、Bluetooth(登録商標)の無線通信を行うための無線接続処理)を行うためのペアリングモードに移行(遷移)する(St2)。なお、上述した所定のパターンは、赤色と青色とが交互に点滅するパターンに限定されなくてよく、例えば赤色単色あるいは青色単色で点滅するパターンでもよく、ユーザがペアリングモードに移行することを認識可能なパターンであればよい。これにより、ワイヤレスイヤフォン10Lは、ユーザによる充電ケース30からワイヤレスイヤフォン10Lが取り出されただけで、簡易にペアリングモードに移行可能となる。また、ユーザは、ペアリングモード中であることをLED131の発光により容易に認識可能となる。
【0076】
一方、ステップSt1の状態から、充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPL内に格納されている状態(言い換えると、ユーザに装着されていない非装着状態)のワイヤレスイヤフォン10Lの操作入力部12Lの操作面OPLがユーザの指FG1により長押し操作(例えばユーザの指FG1が5秒以上接触した操作)されたとする。この場合、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、操作入力部12Lにより上述した長押し操作を検知する(St3)。
【0077】
ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ユーザの操作入力部12Lの操作面OPLへの長押し操作の検知(非装着状態の検知の一例)に基づいて、無線通信部19Lを介した近距離無線(例えばBluetooth(登録商標))をオンし、既に充電ケース30から取り出されているワイヤレスイヤフォン10Rとの間のBluetooth(登録商標)による無線通信を確立して開始する。さらに、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、LED131を所定のパターン(例えば赤色と青色とが交互に点滅するパターン)にしたがって発光させ、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの動作モードを、スマートフォン50との間でペアリング(つまり、Bluetooth(登録商標)の無線通信を行うための無線接続処理)を行うためのペアリングモードに移行(遷移)する(St4)。これにより、ワイヤレスイヤフォン10Lは、充電ケース30内にワイヤレスイヤフォン10Lが格納されている時でも、ユーザによる操作入力部12Lの操作面OPLへの長押し操作という簡単な操作により、簡易にペアリングモードに移行可能となる。また、ユーザは、ペアリングモード中であることをLED131の発光により容易に認識可能となる。
【0078】
図7の第2ユースケース例では、スマートフォン50とは異なる他のスマートフォン(図示略)にペアリング済みのワイヤレスイヤフォン10L,10Rのうちワイヤレスイヤフォン10Rが充電ケース30から取り出されており、ワイヤレスイヤフォン10Lが充電ケース30内に格納されており、スマートフォン50を所持するユーザがワイヤレスイヤフォン10Lのペアリング相手をスマートフォン50に変更する場合を想定する。
図6と同様、ワイヤレスイヤフォン10Rは電源がオンしている状態とする。以下の
図7の説明においては、説明を簡易化するために、ワイヤレスイヤフォン10Lにユーザが操作を行ってワイヤレスイヤフォン10L,10Rをペアリングモードに移行させるユースケースを例示して説明するが、ワイヤレスイヤフォン10Lとワイヤレスイヤフォン10Rとを入れ替えてワイヤレスイヤフォン10Rにユーザが操作を行ってワイヤレスイヤフォン10L,10Rをペアリングモードに移行させる場合も同様である。
【0079】
ユーザにより充電ケース30の本体筐体部BDに対して蓋34が開けられると、充電ケース30の充電ケース制御部31は、蓋センサ33からの蓋34が開けられた旨の検知結果を示す信号を入力してワイヤレスイヤフォン10Lに送る。ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、充電ケース30からの信号の入力に基づいて、電源をオンする(St1)。なお、ワイヤレスイヤフォン10Lの電源をオンする方法は充電ケース30からの信号入力に限定されなくてもよい。
【0080】
ここで、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザにより充電ケース30から取り出されると、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ユーザの耳への挿入(装着)がされていない非装着状態を装着センサ14Lにおいて検知するとともに、前回の起動時にペアリングしたスマートフォン(具体的には、スマートフォン50とは異なる他のスマートフォン(上述参照))との間で再度ペアリングを実行する(St5)。ステップSt5の状態で、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、非装着状態が検知され、かつ、ワイヤレスイヤフォン10Lの操作入力部12Lの操作面OPLにユーザの長押し操作がされたことを検知したとする(St6)。この場合、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、LED131を所定のパターン(例えば赤色と青色とが交互に点滅するパターン)にしたがって発光させ、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの動作モードを、ペアリングの相手端末を現在ペアリング中の他のスマートフォン(図示略、上述参照)からスマートフォン50に切り替えるようにペアリングする(St7)。なお、上述した所定のパターンは、赤色と青色とが交互に点滅するパターンに限定されなくてよく、例えば赤色単色あるいは青色単色で点滅するパターンでもよく、ユーザがペアリングモードに移行することを認識可能なパターンであればよい。これにより、ワイヤレスイヤフォン10Lは、現在他のスマートフォン(図示略、上述参照)との間でペアリング中であっても、ユーザによる充電ケース30からのワイヤレスイヤフォン10Lの取り出しおよび非装着状態下で操作入力部12の操作面OPLへの長押し操作が検知されることで、簡易にスマートフォン50にペアリングするようにペアリングの相手端末を切り替え可能となる。また、ユーザは、ペアリングモード中であることをLED131の発光により容易に認識可能となる。なお、ステップSt3,St4の処理内容は
図6と
図7とで同一であるため、説明の重複を避けるために、
図7のステップSt3,St4の内容説明は省略する。
【0081】
図8の第3ユースケース例では、スマートフォン50を所持するユーザがBluetooth(登録商標)により無線接続する対象となるワイヤレスイヤフォン10L,10Rを購入した直後でも直後でなくてもよい状態を想定する。
図8のステップSt11に示すように、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、ともに充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPL,SPRに格納されている。ユーザにより蓋34が開けられているので、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、充電ケース30からの信号の入力に基づいて電源をオンしている(St11)。以下の
図8の説明においては、説明を簡易化するために、ワイヤレスイヤフォン10Lにユーザが操作を行ってワイヤレスイヤフォン10L,10Rをペアリングモードに移行させるユースケースを例示して説明するが、ワイヤレスイヤフォン10Lとワイヤレスイヤフォン10Rとを入れ替えてワイヤレスイヤフォン10Rにユーザが操作を行ってワイヤレスイヤフォン10L,10Rをペアリングモードに移行させる場合も同様である。
【0082】
ユーザがワイヤレスイヤフォン10Rを充電ケース30から取り出し(St12)、右耳にワイヤレスイヤフォン10Rを装着したとする(St13)。なお、ステップSt13では、ユーザがワイヤレスイヤフォン10Rを右耳に装着していることが図示されているが、装着は必須ではなく、充電ケース30から取り出されていればよい。つまり、ステップSt13はオプションの処理であり、省略されてもよい。
【0083】
ここで、充電ケース30内に格納されているワイヤレスイヤフォン10Lの操作面OPLがユーザの指FG1により長押し操作(例えば5~15秒程度の長押し操作)がなされ、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lがその長押し操作を操作入力部12Lを介して検知したとする。ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、その長押し操作の検知に基づいて、無線通信部19Lを介した近距離無線(例えばBluetooth(登録商標))をオンし、既にユーザの右耳に装着されているワイヤレスイヤフォン10Rとの間のBluetooth(登録商標)による無線通信を確立して開始する。さらに、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのイヤフォン制御部11L,11Rは、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの動作モードを、スマートフォン50との間でペアリングするためのペアリングモードに移行する(St14)。さらに、ユーザの右耳に既に装着されているワイヤレスイヤフォン10Rのイヤフォン制御部11Rは、ペアリングモードに移行した旨をユーザに把握させるために、ペアリング中であることを示す音声(例えば“Pairing in progress”)をスピーカSPKRから出力する。これにより、ワイヤレスイヤフォン10Lは、ユーザの簡易な操作により、現在ペアリング中であることを分かりやすくユーザに把握させることができ、ユーザの誤操作を低減できる。
【0084】
次に、実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォン10L,10Rの動作手順例について、
図9を参照して説明する。
図9は、実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォン10L,10Rの動作手順例を示すフローチャートである。
図9のフローチャートでは、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのうちいずれか一方(例えばワイヤレスイヤフォン10L)に対するユーザの操作がなされることを想定して説明する。なお、
図9の説明において、ワイヤレスイヤフォン10Lをワイヤレスイヤフォン10Rと入れ替えて同様に適用してもよい。
【0085】
図9において、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ユーザによりワイヤレスイヤフォン10Lの操作入力部12Lの操作面OPLにタッチ操作があったか否かを判定する(St21)。ユーザによりワイヤレスイヤフォン10Lの操作入力部12Lの操作面OPLにタッチ操作があったと判定されるまで(St21、NO)、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ステップSt21の処理を繰り返す。
【0086】
ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ユーザによりワイヤレスイヤフォン10Lの操作入力部12Lの操作面OPLにタッチ操作があったと判定した場合(St21、YES)、ワイヤレスイヤフォン10Lが充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPL内に格納されているか否かを充電ケース格納検知部18Lからの信号に基づいて判定する(St22)。ワイヤレスイヤフォン10Lが充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPL内に格納されていると判定された場合(St22、YES)、ワイヤレスイヤフォン10Lの処理はステップSt27に進む。
【0087】
一方、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lが充電ケース30のイヤフォン格納スペースSPL内に格納されていないと判定した場合(St22、NO)、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に挿入(装着)されているか否かを装着センサ14Lからの信号に基づいて判定する(St23)。ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に挿入(装着)されていないと判定された場合(St23、NO)、ワイヤレスイヤフォン10Lの処理はステップSt27に進む。
【0088】
一方、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に挿入(装着)されていると判定した場合(St23、YES)、ユーザがワイヤレスイヤフォン10Lの操作入力部12の操作面OPLへのタッチ操作のタッチを離すまでの時間を操作入力部12からの信号に基づいて判定する(St24)。ユーザの操作面OPLへのタッチ操作のタッチを離すまでの時間が0.5秒から1秒まであると判定された場合(St24、0.5~1秒)、ワイヤレスイヤフォン10Lの処理はステップSt21に戻る。
【0089】
ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ユーザの操作面OPLへのタッチ操作のタッチを離すまでの時間が0.5秒未満(短タッチ操作の一例)であると判定した場合(St24、0.5秒未満)、ワイヤレスイヤフォン10Lの装着時の短タッチ操作に対応する動作機能(例えば再生中の音楽あるいは動画等のコンテンツの再生の一時停止、あるいはその一時停止の解除)を実行する(St25)。一方、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ユーザの操作面OPLへのタッチ操作のタッチを離すまでの時間が1秒以上(長タッチ操作の一例)であると判定した場合(St24、1秒以上)、ワイヤレスイヤフォン10Lの装着時の長タッチ操作に対応する動作機能(例えばノイズキャンセルモードの変更、音声認識機能の起動、通話中に生じた着信の切断)を実行する(St26)。ステップSt25,St26の後、ワイヤレスイヤフォン10Lの処理はステップSt21に戻る。このように、ワイヤレスイヤフォン10L(ワイヤレスイヤフォン10Rも含む)は、ユーザが同一の操作(例えば操作面OPLへのタッチ操作)を行っても(St24)、その操作の時間長さに応じて、異なる動作機能を実行可能である(St25,St26)。
【0090】
また、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に非装着状態である時(St22のYES、あるいは、St23のNO)、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ユーザがワイヤレスイヤフォン10Lの操作入力部12の操作面OPLへのタッチ操作のタッチを離すまでの時間を操作入力部12からの信号に基づいて判定する(St27)。ユーザの操作面OPLへのタッチ操作のタッチを離すまでの時間が5秒未満であると判定された場合(St27、5秒未満)、ワイヤレスイヤフォン10Lの処理はステップSt21に戻る。
【0091】
一方、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ユーザの操作面OPLへのタッチ操作のタッチを離すまでの時間が5秒以上であると判定された場合(St27、5秒以上)、無線通信部19Lを介した近距離無線(例えばBluetooth(登録商標))をオンし、既に充電ケース30から取り出されているワイヤレスイヤフォン10Rとの間のBluetooth(登録商標)による無線通信を確立して開始する(St28)。さらに、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの両方の動作モードを、スマートフォン50との間でペアリングを行うためのペアリングモードに移行(変更)する(St29)。この時、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ワイヤレスイヤフォン10Rに直接に、ペアリングモードに移行(変更)するための移行指示を送る。ワイヤレスイヤフォン10Rのイヤフォン制御部11Rは、ワイヤレスイヤフォン10Lからの移行指示に基づいて、動作モードをペアリングモードに移行(変更)する。
【0092】
ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ステップSt29のペアリングモードへの移行に伴い、LED131の発光色あるいは点灯(点滅も含む)方法のパターンをペアリングモード中に対応するパターンに変更して発光させる(St30)。ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、挿入(装着)されていないワイヤレスイヤフォン10RのスピーカSPKRからの出力音量を上げた状態で(St31)、ペアリングモードに移行した旨の音声メッセージの既定音声をスピーカSPKRから出力する(St32)。なお、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ワイヤレスイヤフォン10Rがユーザの右耳に挿入(装着)されていると判定した場合、ワイヤレスイヤフォン10RのスピーカSPKRからの出力音量を上げずに現状の設定値を維持した状態で、ペアリングモードに移行した旨の音声メッセージの既定音声をスピーカSPKRから出力してもよい。ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ステップSt32の後、スマートフォン50との間で公知の処理であるペアリングを行う(St33)。この時、ワイヤレスイヤフォン10Rのイヤフォン制御部11Rも同様に、スマートフォン50との間で公知の処理であるペアリングを行う(St33)。
【0093】
ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、ステップSt33のペアリングが終了したと判定した場合(St34、YES)、ペアリングモードを終了してペアリングモードへの移行前の動作モードに戻すとともに、ステップSt30,St31で変更されたLED131の点灯(点滅も含む)のパターンならびにスピーカSPKLの出力音量を元のパターンならびに音量値(つまり、ペアリングモードを終了してペアリングモードへの移行前の動作モードに対応するパターンならびに音量値)に戻す(St35)。なお、ペアリングが終了するまで(St34、NO)、ワイヤレスイヤフォン10Lのイヤフォン制御部11Lは、スマートフォン50との間で公知の処理であるペアリングを継続して行う。このように、ワイヤレスイヤフォン10L(ワイヤレスイヤフォン10Rも含む)は、ユーザが同一の操作(例えば操作面OPLへのタッチ操作)を行っても(St24,St27)、そのワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に挿入(装着)されているか否かに応じて、異なる動作機能を実行可能である(St25あるいはSt26、St28~St35)。つまり、ワイヤレスイヤフォン10Lは、同一の操作(例えば操作面OPLへのタッチ操作)があっても、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に装着されていればタッチ操作の長さに応じた動作機能を実行し(St25,St26)、一方、ワイヤレスイヤフォン10Lがユーザの左耳に装着されていなければペアリングの処理を実行する(St30~St35)。
【0094】
以上により、実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、外部端末(例えばスマートフォン50との間で無線通信する無線通信部19L,19Rと、装着者の耳への装着の有無を検知する検知部(例えば装着センサ14L,14Rあるいは充電ケース格納検知部18L,18R)と、装着者の入力操作を検知する入力検知部(例えば操作入力部12L,12R)と、装着者の耳への装着が検知部により検知されていない場合、装着者からの特定の入力操作(例えばタッチ操作)の入力検知部による検知に基づいて、外部端末(例えばスマートフォン50)との間の無線通信に関するペアリングを行うペアリングモードに動作モードを遷移する制御部(例えばイヤフォン制御部11L,11R)と、を備える。
【0095】
これにより、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rを開発するための材料費のコストアップを抑制しつつ、ユーザが必要なタイミング(例えばユーザが特定操作を行う任意のタイミング)にワイヤレスイヤフォン10L,10Rの接続対象となる電子機器(例えばスマートフォン50)との間でペアリングシーケンスの開始を支援できる。
【0096】
また、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、スピーカSPKL,SPKR、をさらに備える。制御部(例えばイヤフォン制御部11L,11R)は、ペアリングモードに動作モードを遷移したことを通知する所定音(例えばペアリングモードに移行した旨の既定音声からなる音声メッセージ)をスピーカSPKL,SPKRから出力させる。これにより、ユーザは、ペアリングモードに移行したことを簡単に把握できて、利便性の向上が見込める。
【0097】
また、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、スピーカSPKL,SPKR、をさらに備える。制御部(例えばイヤフォン制御部11L,11R)は、ペアリングモードに動作モードを遷移したことを通知する所定音(例えばペアリングモードに移行した旨の既定音声からなる音声メッセージ)を所定値(例えば初期値あるいは直前に設定されている出力音量値)より大きな音量でスピーカSPKL,SPKRから出力させる。これにより、ユーザは、ユーザの周囲が騒がしい環境下にいる場合でも、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rからペアリングモードに移行したことを簡単に把握できて、利便性の向上が見込める。
【0098】
また、検知部は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rを充電可能であってワイヤレスイヤフォン10L,10Rの筐体を格納可能な格納部(例えばイヤフォン格納スペースSPL,SPR)を有する充電ケース30にワイヤレスイヤフォン10L,10Rが格納されていることを検知する格納センサ(例えば充電ケース格納検知部18L,18R)である。これにより、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rが装着者であるユーザの対応する耳(左耳,右耳)に挿入(装着)されていない非装着状態の検知手法として、クレードル等の充電ケース30に格納されているか否かの検知によって簡易に判定できる。
【0099】
また、検知部は、装着者(例えばユーザ)の外耳あるいは耳介への装着を検知する赤外線センサである。これにより、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rが装着者であるユーザの対応する耳(左耳,右耳)に挿入(装着)されていない非装着状態の検知手法として、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれに設けられた赤外線センサによる赤外線の耳内部の反射の有無によって簡易に判定できる。
【0100】
また、検知部は、装着者(例えばユーザ)の外耳あるいは耳介への装着を検知する静電センサである。これにより、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rが装着者であるユーザの対応する耳(左耳,右耳)に挿入(装着)されていない非装着状態の検知手法として、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rのそれぞれに設けられた静電センサによる静電容量値の変化の有無によって簡易に判定できる。
【0101】
また、入力検知部は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの筐体の一端部(例えばイヤーピースEPL,EPRが取り付けられる側の筐体端部)が格納部(例えばイヤフォン格納スペースSPL,SPR)に格納されている間に充電ケース30から露出するワイヤレスイヤフォン10L,10Rの筐体の他端部(例えば蓋34が開いた時に露出する側の筐体端部)に配置され(
図4参照)、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rの筐体の一端部(例えばイヤーピースEPL,EPRが取り付けられる側の筐体端部)が格納部(例えばイヤフォン格納スペースSPL,SPR)に格納されている時に特定の入力操作を検知する。これにより、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、充電ケース30内に格納されている状態でも、蓋34が開いていればユーザから特定の入力操作(例えば操作面OPLへのタッチ操作)を検知可能である。
【0102】
また、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、発光素子(例えばLED131,132)、をさらに備える。制御部(例えばイヤフォン制御部11L,11R)は、ペアリングモード中、ペアリングモード中であることを示す所定の点灯パターンにしたがって発光素子(例えばLED131,132)を点灯させる。これにより、ユーザは、ペアリングモード中であることを簡易に把握できる。
【0103】
また、発光素子(例えばLED131,132)は、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rを充電可能であってワイヤレスイヤフォン10L,10Rの筐体を格納可能な格納部(例えばイヤフォン格納スペースSPL,SPR)を有する充電ケース30にワイヤレスイヤフォン10L,10Rの筐体の一端部(例えばイヤーピースEPL,EPRが取り付けられる側の筐体端部)が格納されている間に発光素子(例えばLED131,132)からの光が装着者(例えばユーザ)に視認可能なワイヤレスイヤフォン10L,10Rの筐体の任意の位置(例えば、その筐体の他端部(例えば蓋34が開いた時に露出する側の筐体端部)、あるいは、LED131,132からの光がイヤフォン格納スペースSPL,SPRの内壁にて反射可能なワイヤレスイヤフォン10L,10Rの筐体の一端部(上述参照)以外の位置)に配置される。これにより、ユーザは、LED131,132による点灯パターンにしたがった点灯を直接的あるいは間接的(例えばイヤフォン格納スペースSPL,SPR内の壁面での反射を介する)にペアリングモード中であることを容易に視認できる。
【0104】
また、実施の形態1に係るワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、本開示に係るヘッドフォンの一例であり、装着者の耳への装着の有無を検知する検知部(例えば装着センサ14L,14Rあるいは充電ケース格納検知部18L,18R)と、装着者からの入力操作を検知する入力検知部(例えば操作入力部12L,12R)と、装着者からの入力操作に応じた処理を実行する制御部(例えばイヤフォン制御部11L,11R)と、を備える。制御部(例えばイヤフォン制御部11L,11R)は、装着者の耳への装着が検知されている間に装着者からの第1の入力操作(例えばタッチ操作)が検知されると第1の処理(例えば短タッチ操作あるいは長タッチ操作に応じた動作機能)を実行し、装着者の耳への装着が検知されていない間に装着者からの第1の入力操作(例えばタッチ操作)が検知されると第1の処理とは異なる第2の処理(例えばスマートフォン50とのペアリング)を実行する。
【0105】
これにより、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、装着者であるユーザから同一の操作を受けた場合でも、ユーザの装着状態(つまり、装着状態あるいは非装着状態)に応じて異なる動作機能を実行でき、ユーザの利便性を向上できる。
【0106】
また、入力検知部(例えば操作入力部12L,12R)は、装着者からの入力操作がなされる操作面OPLを有する。第1の入力操作は、操作面OPLの1回押し操作、操作面OPLの2回押し操作、操作面OPLの3回押し操作、操作面OPLが所定時間(例えば5秒)以上継続して押下される長押し操作、あるいは、操作面OPLのフリック操作のうちいずれかである。これにより、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、ユーザから、簡易な操作(具体的には、操作面OPLの1回押し操作、操作面OPLの2回押し操作、操作面OPLの3回押し操作、操作面OPLが所定時間(例えば5秒)以上継続して押下される長押し操作、あるいは、操作面OPLのフリック操作のうちいずれか)によって、ユーザの装着状態(つまり、装着状態あるいは非装着状態)に応じて異なる動作機能を実行できる。
【0107】
また、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、外部端末(例えばスマートフォン50)との間で無線通信する無線通信部19L,19R、をさらに備える。制御部(例えばイヤフォン制御部11L,11R)は、第2の処理として、外部端末(例えばスマートフォン50)と無線通信部19L,19Rとの間で無線通信するためのペアリングを実行可能なペアリングモードにワイヤレスイヤフォン10L,10Rの動作モードを遷移する。これにより、ワイヤレスイヤフォン10L,10Rは、ユーザの耳への装着状態の有無に応じて、スマートフォン50との間のペアリングを行うか否かの切り替えを便宜的に使い分け可能である。
【0108】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本開示は、材料費のコストアップを抑制しつつユーザが必要なタイミングに接続対象となる電子機器との間でペアリングシーケンスの開始を支援するワイヤレスヘッドフォンおよびワイヤレスヘッドフォンの制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0110】
10L、10R ワイヤレスイヤフォン
11L、11R イヤフォン制御部
12L、12R 操作入力部
14L、14R 装着センサ
17L、17R、55 音声入出力制御部
18L、18R 充電ケース格納検知部
19L、19R 無線通信部
20L、20R 電力監視部
21L、21R 充電ケース通信部
30 充電ケース
31 充電ケース制御部
32 充電ケースLED
33 蓋センサ
34 蓋
35 充電ケース電力監視部
50 スマートフォン
51 制御部
52 表示/操作部
53、161、162 ROM
54、151、152 RAM
56 近距離無線制御部
57 イヤフォン通信I/F部
58 無線LAN通信I/F部
59 音声バス
60 公衆回線プロトコル制御部
61 公衆回線通信I/F部
62 USB通信I/F部
100 ワイヤレス通信システム
131、132 LED
ATL、ATR アンテナ
BT1、BTL、BTR バッテリ
MGL、MGR 磁石
SPL、SPR イヤフォン格納スペース