(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102095
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】電池の製造設備および電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/169 20210101AFI20230714BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20230714BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20230714BHJP
【FI】
H01M50/169
H01M10/04 Z
H01M50/176
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002457
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】義本 明広
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011DD13
5H011DD26
5H011FF02
5H011FF04
5H011JJ29
5H028AA07
5H028BB00
5H028BB05
5H028BB15
5H028BB17
5H028CC08
(57)【要約】
【課題】生産性を向上させつつ溶接品質を良好なものとする電池の製造設備を提供する。
【解決手段】複数の構成部品間の溶接部位をレーザ溶接する二次電池1の製造設備である。構成部品としてのバッテリケース2を傾斜させて保持する一対の傾斜保持部9,9と、少なくとも一対の第一,第二レール間で傾斜保持部9,9に治具6をレールに沿わせて搬送する搬送機構と、一対の第一レール,第二レール間に設けられてバッテリケース2の溶接経路5に沿って溶接部位をレーザ溶接するレーザ溶接機15とを備える。傾斜保持部9は、ホルダ部の傾斜した当接面間にて二次電池1をレーザ溶接機に向けて挟持する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を構成する複数の構成部品をレーザ溶接する電池の製造設備であって、
前記構成部品を保持する複数の治具と、
少なくとも一対のレールを有して、前記複数の治具を前記レールに沿わせて搬送する搬送機構と、
前記一対のレール間に設けられて、前記複数の構成部品間の溶接部位をレーザ溶接するレーザ溶接機と、を備えて、
前記治具は、前記構成部品を前記レーザ溶接機に向けて傾けて保持する傾斜保持部を有して、
前記レーザ溶接機は、前記一対のレールのそれぞれに沿って搬送された前記溶接部位をレーザ照射範囲内に収めること、を特徴とする電池の製造設備。
【請求項2】
前記一対のレールは、何れか一方の搬送方向に前記治具を搬送する第一レールと、
前記第一レールと平行に設けられて前記治具を反対方向に搬送する第二レールと、を有し、
前記第一レールにおける前記治具の搬送方向終端と、前記第二レールにおける前記治具の搬送方向始端との間に設けられて前記第一レールから搬送された前記治具を前記第二レールへ循環させる折り返し部を設けて、
前記折り返し部は、折り返しの際、前記治具の方向を同じ方向に維持したまま折り返す折り返し機構を有すること、を特徴とする請求項1に記載の電池の製造設備。
【請求項3】
前記傾斜保持部には、前記レールを間に挟んで両側にそれぞれ前記構成部品を保持するホルダ部が設けられていること、を特徴とする請求項1または2に記載の電池の製造設備。
【請求項4】
前記傾斜保持部には、前記レールを間に挟んで両側にそれぞれ前記構成部品を傾斜させて挟持する当接面を有する傾斜ホルダ部が設けられていること、を特徴とする請求項1または2に記載の電池の製造設備。
【請求項5】
前記構成部品は、有底筒体のバッテリケースと、前記バッテリケースの開口部を塞ぐ蓋体と、を有し、
前記溶接部位は、前記開口部周縁と、前記蓋体の外周縁との間に設けられることを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載の電池の製造設備。
【請求項6】
前記構成部品は、有底筒体のバッテリケースの開口部を塞ぐ蓋体と、前記蓋体の端子孔に挿通される端子と、を有し、
前記溶接部位は、前記端子孔の上面側開口部の周縁と、前記蓋体から突設された前記端子の周縁と、の間に設けられることを特徴とする請求項1~5のうち何れか一項に記載の電池の製造設備。
【請求項7】
溶接部位を有する複数の構成部品をそれぞれ治具で保持して平行な一対のレールに沿わせて搬送する搬送工程と、
前記一対のレール間に配置された前記治具の傾斜保持部をレーザ溶接機に向けて傾斜させた状態で前記構成部品間の前記溶接部位をレーザ照射範囲内に収めてレーザ溶接するレーザ溶接工程と、
前記治具を同じ方向に維持したまま、前記一対のレール間で移動させて前記構成部品を循環させる折り返し工程と、
を備えることを特徴とする電池の製造方法。
【請求項8】
前記レーザ溶接工程は、前記レーザ溶接機の両側に搬送されたそれぞれの前記構成部品の溶接部位を片側ずつ交互に溶接することを特徴とする請求項7に記載の電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の製造設備および電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池の製造設備および電池の製造方法としては、電池を保持する治具を搬送装置により循環させるものが知られている。
このようなものでは、溶接工程の前工程で循環型の搬送装置により治具を移動させる(たとえば特許文献1等参照)。前工程ではバッテリケースの内部に電解液等が注入されて上面の開口に蓋体が被せられて組付けられる。そして、前工程の後で行われる溶接工程において開口周縁に蓋体がレーザ溶接されてバッテリケースは、密閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の電池の製造設備および電池の製造方法では、同一製造ライン上のレーザ溶接を行うレーザ溶接機の数量を削減して装置コストの増大を抑制することにより電池の製造コストを低減させることができる。
しかしながら、たとえば一台のレーザ溶接機で離間して設定された複数箇所の溶接部位をレーザ溶接する場合、蓋体から突設されたターミナル等の構成部品に遮られてレーザ光が到達しない溶接部位が発生する。このため、所望の溶接品質を維持するためには、さらなる改善が求められている。
そこで、本発明は、生産性を向上させつつ溶接品質を良好なものとする電池の製造設備および電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電池の製造設備は、電池を構成する複数の構成部品をレーザ溶接する電池の製造設備である。製造設備は、構成部品を保持する複数の治具と、少なくとも一対のレールを有して、複数の治具をレールに沿わせて搬送する搬送機構とを備える。電池の製造設備は、一対のレール間に設けられて構成部品間に位置する溶接部位をレーザ溶接するレーザ溶接機を備える。また、治具は、構成部品をレーザ溶接機に向けて傾斜させた状態で保持する傾斜保持部を有する。そして、レーザ溶接機は、一対のレールのそれぞれに沿って搬送された構成部品間の溶接部位をレーザ照射範囲内に収めること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生産性を向上させつつ溶接品質を良好なものとする電池の製造設備および電池の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態の電池の製造設備および電池の製造方法で、全体の構成を説明する上面図である。
【
図2】実施形態の電池の製造設備で製造される二次電池の構成を説明する斜視図である。
【
図3】実施形態1の電池の製造設備で二次電池を傾斜させて保持する傾斜保持部を両側に一対設けた治具の構成を説明する斜視図である。
【
図4】実施形態1の電池の製造方法で溶接順序を説明する模式的な上面図である。
【
図5】電池の製造方法でレーザ溶接機と、溶接部位との位置関係を説明する模式的な端面図である。
【
図6】実施形態1の電池の製造工程を治具の進行順序に沿って説明するフローチャートである。
【
図7】実施形態2の電池の製造設備で、二次電池を傾斜させて保持するホルダ部を水平な傾斜保持部に設けた治具の構成を説明する斜視図である。
【
図8】実施形態2の治具で、
図7中VIII-VIII線に沿った位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の電池の製造設備および電池の製造方法の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。また、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1~6は、本発明の基本的な実施形態1の電池の製造設備10および製造方法を示している。
【0009】
製造設備10は、
図1に示すように周状に連設されたレール部と、レール部に沿って二次電池(電池)1を保持した複数の治具6を循環させて搬送する搬送機構17と、を有している。実施形態1の搬送機構17は、環状に接続された第一~第四レール11~14を有するレール部に沿って各治具6を個別に搬送することができる。
【0010】
[電池の構成]
実施形態1の製造設備10によって製造される電池は、
図2に示すような二次電池1である。二次電池1は、有底筒体のバッテリケース2と、バッテリケース2の内部に収容される正極と負極とをセパレータを介して積層した電極体等の電池構成要素と、バッテリケース2の上面に開口形成された開口部4を覆う蓋体3とを有している。
実施形態1では、バッテリケース2および蓋体3をレーザ溶接される構成部品としている。しかしながら、これに限らずたとえば、蓋体3およびこの蓋体3にレーザ溶接される各電極(または電極を構成する一対の+,-端子)3aを構成部品としてもよい。
このうち、蓋体3は、平面視略長方形の板状に形成されている。また、蓋体3は、長手方向に所定寸法離間させて後述する一対の電極3a,3aを有している。また、蓋体3は、開口部4の周囲との間には全周にわたり溶接経路5が形成されている。
【0011】
実施形態1では、溶接部位としての溶接経路5に沿ってレーザ溶接が行われる。バッテリケース2の上面側の開口部4の内周縁には全周にわたり蓋体3の外周縁がレーザ溶接される。これにより開口部4が蓋体3により塞がれて正極と負極とをセパレータを介して積層した電極体等の電池構成要素をバッテリケース2内に収容した状態で二次電池1は密閉される。
【0012】
[治具]
製造設備10は、二次電池1の構成部品としてのバッテリケース2または蓋体3を保持する複数の治具6を有している。
図3に示すように、各治具6は、循環治具7と、循環治具7の左,右両側に配置されてそれぞれバッテリケース2,2を保持する傾斜保持部9,9と、を有している。
【0013】
このうち、傾斜保持部9,9は、所定の角度α(たとえばα=約15度)で外側方に向けて側縁端を下降させて傾けられた状態で、循環治具7の左,右側辺からそれぞれ一体に突設されて固定されている。
また、各傾斜保持部9,9には、凹状のホルダ部8,8が設けられている。そして、ホルダ部8は、それぞれバッテリケース2を所定の高さ位置まで没入させて所定の高さ位置に保持することができる。
バッテリケース2は、循環治具7の上面に対して所定角度αで傾けられて傾斜保持部9の上面側とほぼ同じ高さ位置に蓋体3が位置するように保持される。このため、蓋体3の外周縁および開口部4間の溶接部位は、レーザ溶接機15に正対するように傾斜された状態で配置される。したがって溶接部位には、レーザ溶接機15からのレーザ光がほぼ垂直に照射される。これにより、溶接部位のそれぞれ箇所は、ほぼ均等にレーザ溶接可能となる。
【0014】
[ホルダ部]
図3に示すように、実施形態1の傾斜保持部9は、バッテリケース2または蓋体3を傾斜状態で保持するホルダ部8を有している。
ホルダ部8には、治具6の幅方向に対となる保持片が設けられている。保持片
の少なくとも一方は、対向する他方の保持片に対して近接離反方向へ移動可能に形成されている。
たとえば、ホルダ部8の一対の保持片間を拡開させてバッテリケース2または蓋体3を保持片間に投入する。そして、ホルダ部8は、対向する保持片間を近接方向に移動させて、蓋体3の両側面に幅方向から各保持片を当接させる。
これにより、バッテリケース2または蓋体3は、ホルダ部8内の所望の位置にて保持片により両側から挟持されて保持される。
【0015】
なお、
図2に示すような二次電池1は、バッテリケース2の幅方向外寸法と比して蓋体3の幅方向外寸法が同等かあるいは、やや小さく設定されているものが知られている。このため、実施形態1のホルダ部8は、対向する保持片間を近接方向に移動させる移動量を変更して、バッテリケース2または蓋体3の幅方向外寸寸法に対応させることができる。
このように、実施形態1では、同一のホルダ部8を用いて寸法や形状が相違する構成部品を両側から挟持して保持することができる。したがって、ホルダ部8を有する治具6を共通の設備として使用することが可能となり設備コストの増大を抑制できる。
【0016】
[レール部]
図1に示す実施形態1のレール部は、周状に接続されている。レール部は、少なくとも一対の第一レール11および第二レール12と、第一レール11および第二レール12の間に略直交して設けられる第三レール13および第四レール14と、を有している。
【0017】
このうち、第一レール11は、待機している治具6を第一レール11に沿わせてR方向へ搬送する投入待機ステージ30を有している。また、第一レール11は、投入待機ステージ30から治具6が搬送されるR方向へ順次、電池搭載ステージ40、高さ計測調整ステージ50を所定の間隔で有している。
第二レール12は、治具6を第二レール12に沿わせてL方向へ搬送する。第二レール12は、治具6が搬送されるL方向に順次、電池排出ステージ60および、清掃ステージ70を所定の間隔で有している。
実施形態1の第一レール11と第二レール12とは所定間隔を置いて平行に配置される。そして、第二レール12が治具6を搬送するL方向は、第一レール11が治具6を搬送するR方向に対して180度反対向きとなるように設定されている。
【0018】
さらに、第三レール13は、第一レール11の終端11aから第二レール12の始端12aに向けて電池を搭載した治具6をW方向へ搬送する。
また、第四レール14は、第二レール12の終端12bから第一レール11の始端11bに向けて電池を搭載していない治具6をWR方向へ搬送して投入待機ステージ30に戻す。そして、第四レール14が治具6を搬送するWR方向は、第三レール13が治具6を搬送するW方向に対して180度反対向きとなるように設定されている。
【0019】
[レーザ溶接ステージ]
実施形態1の製造設備10は、第一レール11と第二レール12とによって挟まれる略中間位置で、第三レール13側に近接して溶接ステージ16を有している。溶接ステージ16は、後述するレーザ溶接機15を備えている。レーザ溶接機15は、一定のレーザ照射範囲S内に位置する溶接部位をレーザ溶接可能に構成されている。
【0020】
図3に示すように、搬送機構17は、略コ字状の摺動面を対向させて各第一レール11~第四レール14の上面に跨るスライダ17aを複数有している。スライダ17aは、それぞれ下方から治具6を支持するとともに、各第一レール11~第四レール14の長手方向に向けて摺動面を摺接させながら搬送されて各治具6を個別に循環させる。
また、搬送機構17は、第一レール11または、第二レール12に沿って治具6を搬送する。そして、搬送機構17は、
図1に示す溶接ステージ16のスキャンエリア内に電池が到達すると、治具6を第一レール11または、第二レール12の上で一旦停止させる。
これにより、溶接ステージ16に設けられたレーザ溶接機15は、電池の構成部品間に位置する溶接部位をレーザ照射範囲S内に収めてレーザ溶接することが可能となる。
【0021】
図1に示す実施形態1の搬送機構17は、投入待機ステージ30、電池搭載ステージ40、計測調整ステージ50、電池排出ステージ60、清掃ステージ70のそれぞれに治具6を搬送する。
搬送機構17は、投入待機ステージ30、電池搭載ステージ40、計測調整ステージ50、電池排出ステージ60、清掃ステージ70を経て循環により再び投入待機ステージ30に治具6を戻す。そして、搬送機構17は、各投入待機ステージ30等に治具6が到達すると各第一レール11~第四レール14の上の何れかの箇所で治具6を一旦停止させることができる。
【0022】
[折り返し機構]
図1に示す実施形態1の電池の製造設備は、第一レール11における治具6の搬送方向Rの終端11aと、第二レール12における治具6の搬送方向Lの始端12aとの間に、折り返し部20が設けられている。折り返し部20には、第一レール11の終端11aと、第二レール12の始端12aとの間の二か所の接続部にてそれぞれ略直交するように第三レール13が設けられている。これにより、第三レール13は、第一レール11から搬送された治具6を第二レール12へ続けて搬送することができる。
【0023】
さらに、第二レール12の終端12bと第一レール11の始端11bの間には、折り返し部20Rが設けられている。折り返し部20Rには、第二レール12の終端12bと第一レール11の始端11bとの間の二か所の接続部にてそれぞれ略直交するように第四レール14が設けられている。これにより、第四レール14は、第二レール12から第一レール11へ二次電池1を搭載していない複数の治具6を続けて搬送して投入待機ステージ30に戻すことができる。
【0024】
これらの折り返し部20,20Rは、折り返し機構をそれぞれ有している。折り返し機構は、治具6を折り返す際、治具6の方向を同じ方向に維持したまま、すなわち、治具6の向きを変えることなく、第一レール11および第二レール12間でそれぞれ折り返すことができる。
【0025】
実施形態1の折り返し機構は、
図3に示す各第一レール11~第四レール14の上を移動するスライダ17aのほぼ中央に鉛直方向へ向けて回動軸(図示せず)を有している。
スライダ17の回動軸は、治具6を下方から回動可能に支持している。治具6は、製造される電池の構成部品を着脱可能に保持している。そして、折り返し機構はスライダ17aが各第一レール11~第四レール14が直交する各接続部に到達すると、スライダ17aに対して治具6を鉛直の回動軸を回動中心として90度回動させる。
【0026】
実施形態1の折り返し部20は、第一レール11と第三レール13との間、および第三レール13と第二レール12との間がそれぞれ90度相違する進行方向に接続されている。
搬送機構17は、治具6を第一レール11から第三レール13に移動する際、スライダ17aの向きが90度回転すると、折り返し機構は、治具6をスライダ17aの回転方向(
図1中左廻り方向)と反対方向(
図1中右廻り方向)に90度で回転させる。また、治具6を第三レール13から第二レール12に移動する際、スライダ17aの向きが90度回転すると、折り返し機構は治具6をスライダ17aの回転方向と反対方向に90度回転させる。よって折返し機構は治具6の方向を同じ方向に維持したまま、治具6を折り返し部20にて第一レールから第二レールへ移動させる。
折り返し部20Rは、第二レール12と第四レール14との間、および第四レール14と第一レール11との間がそれぞれ90度相違する進行方向に接続されている。そして、それぞれのレールの接続部分で搬送機構17が折り返し部20と同様に治具6の方向を同じ方向に維持したまま、治具6を折返し部20Rにて第二レール12から第一レール11へ移動させることができる。
【0027】
すなわち、実施形態1の搬送機構17は、第一レール11および第二レール12間で第二レール12または第四レール14を通過させて治具6を移動させる。
折り返し機構は、各折り返し部20,20Rでスライダ17aの回転方向と反対の方向に180度、治具6を回転させる。
これにより、搬送方向R,Lが180度異なる第一レール11および第二レール12間を移動しても治具6は、同じ方向に維持されたまま、各第一レール11~第四レール14に沿って電池を搬送することができる。
【0028】
[レーザ照射範囲]
図4に示すように、実施形態1のレーザ溶接機15は、一対の第一レール11,第二レール12間で、かつ第三レール13に近接して設けられている。
図5に示すように、レーザ溶接機15は、レーザ照射範囲Sの上方位置に配置されて、ガルバノスキャナからなるガルバノスキャナ機構を走査手段として有している。これにより、レーザ溶接機15は、ガルバノスキャナによって照射するレーザ光を高精度かつ高速で走査させて一定のスキャンエリアを走査可能としている。
【0029】
スキャンエリアは、一対の第一レール11,第二レール12のそれぞれに沿って搬送される内側のバッテリケース2の溶接部位A,Bがレーザ照射範囲S内に収まるように設定されている。なお、実施形態1のレーザ溶接機15では、理解を容易化する為、スキャンエリアの範囲をレーザ照射範囲Sとほぼ同様として説明する。
【0030】
また、バッテリケース2の開口部4を塞ぐ蓋体3およびこの蓋体3にレーザ溶接される各電極(または電極を構成するそれぞれの、+,-端子)3aを構成部品とする場合がある。この場合、電極3aの端子部分が挿通される端子孔の上面側開口部の周縁と、蓋体3から突設された各電極3aの外周縁との間に実施形態1の溶接経路5に相当する溶接部位が設定される。そしてレーザ溶接機15は、設定されたこれらの溶接部位を所望の形状にレーザ溶接することができる。
【0031】
次に、実施形態1の電池の製造工程について
図1~
図5を参照しつつ、
図6のフローチャートの順序に沿って説明する。
実施形態1の電池の製造方法は、
図1に示す治具6を第一レール11に沿わせて投入待機ステージ30から電池搭載ステージ40へ搬送する。
電池搭載ステージ40では、溶接部位を有する複数のバッテリケース2がそれぞれ治具6で保持される(ケース保持工程:S1)。
この際、
図3に示すように、治具6は、循環治具7の左,右側辺に傾斜保持部9,9をそれぞれ一体に設けている。傾斜保持部9,9は、所定の角度α(たとえばα=約15度)でそれぞれ外側方に向けて側縁端を下降させて循環治具7に固定されている。
このため、各傾斜保持部9,9は、凹状のホルダ部8,8に所定の高さ位置まで没入させて、一対の保持片間にそれぞれバッテリケース2を挟持する。バッテリケース2は傾斜保持部9の上面側の傾斜に伴って所定の傾斜角度αで保持される。
また、蓋体3は、バッテリケース2の開口部4(
図2参照)を塞ぐように組付けられる。これにより、蓋体3の外周縁と開口部4の周囲との間に溶接部位としての溶接経路5が環状に設定される。
【0032】
そして、平行な一対の第一レール11または第二レール12に沿わせて各電池の構成部品を保持した治具6を反対の搬送方向L,Rへ向けて搬送する(搬送工程:S2)。
搬送工程では、搬送機構17が投入待機ステージ30にて待機している治具6を第一レール11に沿わせてR方向へ搬送する。
【0033】
電池搭載ステージ40では、搬入された治具6の傾斜保持部9,9の各ホルダ部8,8に二次電池1を構成するバッテリケース2が投入されて保持される。実施形態1の電池搭載ステージ40では、バッテリケース2の内部に正極と負極とをセパレータを介して積層した電極体等の電池構成要素が挿入されて上面の開口部4に蓋体3が被せられる。
【0034】
高さ計測調整ステージ50に治具6が搬送されると、主に開口部4の内周縁に沿って周状に形成される溶接部位としての溶接経路5の高さ位置が調整される。この高さ調整がレーザ溶接工程の前工程で行われる。これにより溶接品質および溶接速度を向上させることが出来る。
【0035】
次に、溶接ステージ16にてレーザ溶接機15を用いたバッテリケース2の密封が行われる(レーザ溶接工程A:S3)。すなわち、
図4に示す第一レール11,第二レール12間に配置されたレーザ溶接機15を用いて溶接部位Aがレーザ溶接される。実施形態1の製造設備10では、それぞれの二次電池1の溶接部位A,Bがレーザ照射範囲S内に収められる。
図5に示すように一対の第一,第二レール11,12によって搬送される治具6には、バッテリケース2を保持する傾斜保持部9が循環治具7と一体となるように傾斜して設けられている。
傾斜保持部9のうち、内側(レーザ溶接機15側)のホルダ部8に保持されているバッテリケース2は、ケース上面側に設定された溶接経路5を傾斜保持部9の傾斜に伴わせて所定の角度αで内向きに傾斜させている。
【0036】
まず、片側の第一レール11を移動する治具6d~6fは、保持する電池の溶接部位Aがそれぞれレーザ照射範囲S内に収まる。次に、
図2に示す各バッテリケース2上面にそれぞれの蓋体3が溶接経路5に沿ってレーザ溶接される。
溶接経路5は、レーザ照射範囲S内でレーザ溶接される際、レーザ溶接機15の照射口に正対している。このため、レーザ溶接機15から照射されたレーザ光は、傾斜配置されたバッテリケース2の溶接経路5にほぼ垂直に均等に照射されてレーザ溶接が行われる。このため、実施形態1の電池の製造設備10は、生産性を向上させつつ溶接品質を良好なものとすることができる。
【0037】
また、
図1に示す折り返し部20では、治具6を同じ方向に維持したまま、回転させることなく、第一レール11から第二レール12間で移動させてバッテリケース2を循環させる(折り返し工程:S4)。
【0038】
たとえば、第二レール12の搬送方向Lが第一レール11の搬送方向Rに対して180度反対に向いていても各治具6a~6cの方向は、第一レール11を搬送される各治具6d~6fの方向と同一方向に維持される。
各治具6a~6cは、それぞれ保持する二次電池1のバッテリケース2に形成された開口部周縁の溶接部位Bをそれぞれレーザ照射範囲S内に収める。そして、片側ずつ蓋体3が溶接経路5に沿って傾斜配置されたバッテリケース2上面にレーザ溶接される(レーザ溶接工程B:S5)。
【0039】
そして、バッテリケース2が蓋体3により密封された二次電池1は、電池排出ステージ60で排出される(バッテリ排出工程:S6)。
ホルダ部8が空となった治具6は、清掃ステージ70で清掃される(清掃工程:S7)。清掃された治具6は、第三レール13と略同様の構造の折り返し機構を有する折り返し部20Rにより第四レール14の連結部分で折り返される(折り返し工程:S8)。これによりホルダ部8が空の治具6は、清掃ステージ70から、投入待機ステージ30に戻りレールに沿った循環を繰返すことができる。
【0040】
図4に示すように、実施形態1の電池の製造設備10は、レーザ溶接機15が一対の第一レール11,第二レール12を間に挟んで設けられている。二次電池1は、レーザ溶接機15の両側に設けられた一対の第一レール11,第二レール12に沿って搬送される治具6により内向きに傾斜した状態で保持されている。
このため、レーザ溶接工程では、
図5に示す二次電池1の構成部品間の溶接部位A,Bに正対するレーザ溶接機15から照射された斜めのレーザ光があたかも真上からほぼ垂直に照射される。
実施形態1の製造設備10は、
図2に示す二次電池1のバッテリケース2の開口部周縁および蓋体3の外周縁間の溶接経路5に沿ってレーザ溶接機15からのレーザ光がほぼ均等に照射される。このため、実施形態1の製造設備10は、溶接部位の直上にレーザ溶接機15を配置するものと同様に溶接品質を良好なものとすることができる。
【0041】
実施形態1のレーザ溶接工程は、レーザ溶接機15の両側に搬送されたそれぞれのバッテリケース2を片側ずつ交互に溶接する。
たとえば、第二レール12では、治具6aの二次電池1のレーザ溶接が終了すると、治具6aがスキャンエリアから図中左の搬送方向Lへ移動される。この際、治具6b,6cは第二レール12に沿ってそれぞれ次のステージ等に向けて図中左の搬送方向Lへ移動する。
この間にすでに第一レール11では、治具6eの二次電池1が前工程から図中右の搬送方向Rへ移動してスキャンエリア内に到達している(
図4中、溶接部位A参照)。このため、レーザ溶接機15は、連続させてレーザ光の照射をレーザ照射範囲S内に位置する治具6a,6eに保持されている二次電池1に対して行える。したがって、レーザ溶接機15は、レーザ光を照射しない休止時間を短縮できる。
【0042】
治具6eの二次電池1のレーザ溶接中に治具6bの二次電池1は、図中左の搬送方向Lへ移動してスキャンエリア内に到達している(
図4中、溶接部位B参照)。このため、治具6eの二次電池1と連続させてレーザ溶接機15によるレーザ照射範囲S内に反対側の治具6bの二次電池1を収めてレーザ溶接出来、レーザ溶接機15が休止している時間を短縮できる。
【0043】
第一レール11にて治具6eの二次電池1のレーザ溶接が終了すると、治具6eがスキャンエリアから図中右の搬送方向Rへ移動される。この際、治具6d,6fは第一レール11に沿ってそれぞれ次のステージ等に向けて図中右の搬送方向Rへ移動する。
この間にすでに第二レール12では、スキャンエリア内に治具6cの二次電池1が到達する。これらの上記工程をレールに沿った循環移動中に繰り返すことにより製造設備10は、連続させてレーザ溶接機15によるレーザ光の照射をレーザ照射範囲S内に位置する二次電池1に対して行えて休止時間を短縮できる。
【0044】
そして、
図1に示す搬送機構17は、折り返し機構を用いることにより治具6の方向を同じ方向に維持したまま、折り返し部20で折り返して、第一レール11から第二レール12へ移動させて循環させることが出来る。
図3に示すように治具6には、第一レール11または第二レール12を間に挟んで循環治具7の両側にそれぞれバッテリケース2を保持するホルダ部8が設けられている。このため、単一のレーザ溶接機15を用いても休止時間を短縮させた連続的なレーザ光の照射が可能となる。したがって、この製造方法では、レーザ溶接により生じる従来の高速化の妨げを容易に解消できる。
【0045】
図7~8は、本発明の実施形態2の電池の製造設備および製造方法を示している。なお、実施形態2では、
図1~6に示す実施形態1の電池の製造設備10および製造方法と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略して相違する部分を中心に説明する。
【0046】
図7に示す実施形態2では、実施形態1の治具6の循環治具7の左,右両側に配置される傾斜保持部9,9(
図3参照)に代えて、治具26が循環治具27の左,右両側から、循環治具27の上面側と略面一に水平方向へ延設される一対の傾斜保持部29,29を有している。
これらの傾斜保持部29,29には、それぞれ外側に所定の角度αで傾斜して二次電池1を構成する構成部品を保持するホルダ部28,28が設けられている。
【0047】
ホルダ部28は、所定の角度αで外側方に向けて傾けられた上面部28aを有している。
図に示すように上面部28aには、少なくとも長辺側の対向する一対の保持片28b,28cがそれぞれ設けられている。各保持片28b,28cには、少なくとも何れか一方が近接,離反方向に移動するように構成されている。
実施形態2の傾斜保持部29と保持片28bとの間には、アクチュエータ28fが水平方向へ伸縮可能に配置されている。アクチュエータ28fは、伸縮により保持片28cを保持片28b方向へ近接,離反させるように構成されている。
【0048】
また、保持片28b,28cには、ホルダ部28に収容された二次電池1のバッテリケース2を両側から挟持する当接面28d,28eが形成されている。当接面28d,28eは、所定の角度αで外側方に向けてお互いに平行となるように傾けられて形成されている。
これにより、バッテリケース2または蓋体3は、ホルダ部8内の所望の位置にて保持片により両側から挟持されて保持される。
そして、それぞれバッテリケース2を上面部28aとほぼ面一となる所定の高さ位置まで没入させて、上面部28aと同じ傾斜角度αで二次電池1を傾けた状態で保持することができる。
【0049】
このように構成された実施形態2の治具26は、実施形態1の作用効果に加えてさらにホルダ部28の各保持片28b,28cに形成された当接面28d,28eが所定の角度αで構成部品を傾斜させて保持する。
このため、構成部品間の溶接部位は、レーザ溶接機15に正対するように傾斜された状態で配置される。したがって溶接部位にレーザ溶接機15からのレーザ光をほぼ垂直に照射してほぼ均等にレーザ溶接可能となる。
【0050】
なお、実施形態2の傾斜保持部29は、構成部品をレーザ溶接機15に向けて傾けて保持するものであれば、どのように構成されていてもよい。たとえば、ホルダ部8および傾斜保持部9を一体としたまま、循環治具7に対する接続角度を可変させるようにしてもよい。この場合、さらに傾斜角度αの設定の自由度を向上させることができる。
他の構成および作用効果については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0051】
上述してきたように、実施形態1,2の電池の製造設備10および製造方法は、生産性を向上させつつ溶接品質を良好なものとすることができる、といった実用上有益な作用効果を発揮することができる。
詳しくは、実施形態1,2の電池の製造設備10は、レーザ溶接機15を一台として生産性を向上させつつ、レーザ溶接機15を設置するスペースを縮小することができる。また、
図5に示すようにレーザ溶接機15から斜めに照射されたレーザ光は、位置が異なる複数の溶接部位にほぼ垂直に照射されて、溶接品質を良好なものとすることができる。
さらに、レーザ溶接機15の数量を二台等、複数として増大させることなく、単数等に抑制することができる。このため、ガルバノスキャナ等を有する高価なレーザ溶接機15を用いても台数が半減して機器コストを減少させることができる。
【0052】
また、レーザ溶接機15に付随するチラー(冷却水循環装置)および各主配管、配線等の数量も減少させることができる。そして、カメラを用いた画像処理システムまたは位置補正機構、シールドガス機能、集塵システム等の溶接品質を向上させるための機器コストを減少させることができる。
さらに、レーザ溶接機15等のランニングコストおよびメンテナンスコストも半減させることができる。
このため、実施形態1,2の製造設備10は、少ない数量のレーザ溶接機15を用いて生産性を向上させつつ溶接品質を良好なものとすることができる。
【0053】
また、各治具6の両側に設けられたホルダ部8がそれぞれバッテリケース2を保持している。
このため、重量バランスが良好で、一基の治具6で二個の二次電池1を安定させて搬送出来る。そして、レーザ溶接機15は、左,右一対の傾斜保持部9,9にそれぞれ保持された各二次電池1の構成部品間の溶接部位に正対する。このため、レーザ溶接機15は、良好なレーザ照射精度で溶接部位をレーザ溶接でき、さらに溶接品質を向上させることができる。
【0054】
たとえば、バッテリケース2,2を保持する傾斜保持部9,9が循環治具7の左,右側辺に回動軸を介してそれぞれ回動可能に接続されていてもよい。これにより、電池搭載ステージ40にて二次電池1の構成部品が投入される際には、傾斜保持部9の上位面を略水平に位置させる。これによりホルダ部8に構成部品を投入する際、あるいは構成部品同士を組付ける際の作業性が良好である。
【0055】
そして、溶接ステージ16にてレーザ溶接されるまでに溶接部位は、傾斜保持部9と共に回動軸を回動中心として傾けられる。このため、溶接部位は、レーザ溶接機15に正対して溶接の品質を向上させることができる。
このように、製造設備10および製造設備10を用いた製造方法では、レーザ溶接の品質を所定以上に保持しつつさらに製造効率を向上させて目標とされる単位時間あたりの生産量を達成可能である。
【0056】
以上、本発明について、実施形態1,2に基づいて説明したが、本発明は、実施形態1,2に記載した構成に限定されるものではない。本発明は、実施形態1,2に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成変更することができるものである。また、実施形態1,2の構成の一部について、追加、削除、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態1,2に対して可能な変形は、たとえば、以下のようなものである。
【0057】
すなわち、実施形態1,2の製造設備10の治具6は、バッテリケース2,2を保持する傾斜保持部9,9が循環治具7に一体に固定されている。
しかしながら治具6の構成は、特にこれに限らない。たとえば、循環治具7の左,右側辺に傾斜保持部9,9が回動軸を介してそれぞれ左,右先端側を上下に移動させるように回動可能に接続されていてもよい。
この場合、電池搭載ステージ40で傾斜保持部9に設けられたホルダ部8に構成部品が投入された後、それぞれの傾斜保持部9,9を回動させて左,右側辺から所定の角度αで外側方に向けて側縁端を下降させる。これにより溶接ステージ16にてレーザ溶接されるまでに傾斜保持部9に保持されている構成部品はレーザ溶接機15に向けて正対するように傾けられる。そして、構成部品の溶接部位がレーザ溶接機15のレーザ光によりほぼ垂直にレーザ溶接されるように構成されていてもよい。
【0058】
また、
図3に示す実施形態1の治具6は、循環治具7の左,右側辺に傾斜保持部9,9が所定の角度α(たとえばα=約15度)で固定されている。しかしながら、循環治具7および傾斜保持部9間を接続する角度αは特にこれに限らない。
たとえば、循環治具7に接続される傾斜保持部9の角度をα=約1度~60度、好ましくは、約5度~45度、さらに好ましくは約10度~20度の範囲内に設定してもよい。
すなわち、少なくともレーザ溶接工程にて構成部品の溶接部位に対してほぼ垂直にレーザ光を溶接部位に照射できればよく、どのような角度αで循環治具7の左,右側辺に各傾斜保持部9,9が接続されていてもよい。
たとえば、傾斜保持部9,29は、構成部品をレーザ溶接機15に向けて傾けて保持するものであれば、どのように構成されていてもよい。たとえば、治具6の循環治具7および傾斜保持部9を一体としたまま、上面部をすべて傾斜させてもよい。すなわち構成部品がレーザ溶接機15に向けて傾けてホルダ部8,28が保持するものであれば、実施形態1,2の構成に限らず、傾斜保持部およびホルダ部の形状、数量および電池の構成部品を保持する機構やあるいは傾斜させる機構がどのようなものであってもよい。
【0059】
さらに、実施形態1,2のレーザ溶接機15は、一対の第一レール11,第二レール12間に設けられている。三本以上の複数本のレールが配置されている場合であってもよい。すなわち、少なくとも何れか一対のレール間にレーザ溶接機15が設けられていればよい。
さらに、レーザ溶接機15の形状、数量および型式が特に限定されるものではない。
【0060】
そして、実施形態1,2の折り返し部20,20Rには、スライダ17aに対して治具6を鉛直の回動軸を回動中心として90度回動させる折り返し機構が設けられている。しかしながら折り返し機構の構成は、特にこれに限らない。たとえば、折り返しの際、治具6の方向を同じ方向に維持したまま折り返す機構であれば、どのような構成の折り返し機構であってもよい。
【0061】
さらに、複数の構成部品として実施形態1,2では、
図2に示すように二次電池1のバッテリケース2とバッテリケース2の開口部4を塞ぐ蓋体3とを示して説明してきたが特にこれに限らない。
たとえば構成部品が有底筒体のバッテリケース2の開口部4を塞ぐ蓋体3と、蓋体3に開口形成された端子孔3hに挿通する端子3dと、によって構成されていてもよい。この場合、蓋体3および端子3dとの間に位置する溶接部位がレーザ溶接機15と正対してレーザ溶接される。
すなわち、電池を構成する構成部品であれば、他のどのような電池の構成部品であってもよく、構成部品の数量、形状または、材質が特に限定されるものではない。
【0062】
そして、実施形態1,2では、溶接部位として周状の溶接経路5を設定して開口部4の全周縁をレーザ溶接しているが特にこれに限らない。たとえば蓋体3および端子3dとの間に位置する溶接部位をレーザ溶接するものでは、少なくとも一か所以上、好ましくは、対角に位置する一対に構成部品間をレーザ溶接すればよい。すなわち、溶接部位は、環状または、スポット状等どのような形状のものであってもよく、レーザ溶接される溶接部位の数量、形状または、組合せが特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0063】
1 二次電池(電池)
2 バッテリケース(構成部品の一つ)
3 蓋体(構成部品の一つ)
6 治具
9 傾斜保持部
10 製造設備
11,12 第一,第二レール(一対のレール)
15 レーザ溶接機
17 搬送機構
S レーザ照射範囲