(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102133
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】換気口用フィルター
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20220101AFI20230714BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20230714BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20230714BHJP
F24F 8/24 20210101ALI20230714BHJP
F24F 8/15 20210101ALI20230714BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230714BHJP
A61K 36/61 20060101ALI20230714BHJP
A61K 36/15 20060101ALI20230714BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20230714BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230714BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230714BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230714BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230714BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20230714BHJP
B01D 39/00 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
B01D46/00 F
A61L9/16 F
F24F7/003
F24F8/24
F24F8/15
A61P31/12
A61K36/61
A61K36/15
A61K36/752
A61P31/14
A61P3/02
A61P43/00 111
A61P31/04
A61P31/10
B01D39/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002522
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】522013050
【氏名又は名称】株式会社ソーラーハート
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸
【テーマコード(参考)】
4C088
4C180
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
4C088AB03
4C088AB57
4C088AB62
4C088MA17
4C088MA70
4C088NA14
4C088ZB33
4C088ZB35
4C088ZC02
4C088ZC21
4C180AA07
4C180AA16
4C180AA17
4C180DD09
4C180EC01
4C180FF07
4D019AA01
4D019BB03
4D019BC06
4D019BC13
4D058JA12
4D058KB12
4D058SA13
4D058TA08
(57)【要約】
【課題】新型コロナウイルスを含むウイルスを不活化する換気口用フィルターを提供する。
【解決手段】室外から室内に換気口を介して取り込まれる空気を清浄化するための換気口用フィルターであって、ティーツリー(オーストラリア等で自生する樹木)薬剤、松の葉、種子、樹皮、樹幹、実などのいずれかを乾燥粉体としアルカリ水に溶かずまたは煮出すなどにより抽出した液体、柑橘系植物薬剤(柑橘系種子抽出物である脂肪酸フラボノイド)のいずれか一以上の薬剤を空気流路に接触する構造体に含浸させてなることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外から室内に換気口を介して取り込まれる空気を清浄化するための換気口用フィルターであって、ティーツリー(オーストラリア等で自生する樹木)薬剤、松乾燥粉体、柑橘系植物薬剤のいずれか一以上の薬剤を空気流路に接触する構造体に含浸させてなる換気口用フィルター。
【請求項2】
前記薬剤は、ウイルス不活化能を有する薬剤である請求項1に記載の換気口用フィルター。
【請求項3】
前記不活化されるウイルスは、コロナウイルス類を含む請求項2に記載の換気口用フィルター。
【請求項4】
前記薬剤は、健康増進効能を有する薬剤である請求項1から請求項3のいずれか一に記載の換気口用フィルター。
【請求項5】
前記薬剤は、バクテリア、カビ、細菌の少なくとも一以上を殺す効能を有する請求項1から請求項4のいずれか一に記載の換気口用フィルター。
【請求項6】
フィルター用基材を準備するフィルター用基材準備ステップと、
準備されたフィルター用基材に請求項1に記載の薬剤を浸透させる薬剤浸透ステップと、
薬剤が浸透したフィルター用基材を乾燥させる乾燥ステップと、
乾燥したフィルター用基材をフィルターの形状に加工する加工ステップと、
を有する換気口用フィルターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<前提:本件出願は後に優先権主張をする出願の基礎出願であり、優先権主張出願を後日することが出願人の認識である>
本発明は、ウイルス、細菌、カビなど有害な空気中の浮遊物を除去ならびに不活化するフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アレルギー疾患を持つ患者の増加が問題となってきている。
特に、花粉症の患者は、日本では2000万人を超えるといわれ、国民病として認識されるようになってきている。また、アトピー性皮膚炎も空気中に含まれる花粉やカビ、PM2.5などでも悪化すると言われており、空気中に含まれる異物を除去することは、アレルギー患者にとって非常に重要であり、近年では、空気清浄機の需要も高まっている。
【0003】
また近年の、新型コロナウイルスのパンデミックにより、換気の重要性が注目されるとともに、空気中のウイルスの除去や不活化のニーズは高まっている。
こうしたことから、ウイルスの不活性化に着目したエアフィルターが特許文献1に開示されている。
特許文献1では、通気性基材にマツから抽出した天然エキス成分が含有されてなることを特徴とするエアフィルターまたは通気性基材にマツから抽出した天然エキス成分を含む複数の種類の天然エキス成分が含有されてなることを特徴とするエアフィルターであり、通気性基材中のマツから抽出した天然エキス成分を0.01g/m 2 以上含有量することで、ウイルスを不活化する効果を得るというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のエアフィルターでは、インフルエンザウイルスの増殖抑制については言及されているが、新型コロナウイルスに対する効果があるかは不明である。
本発明は、斯かる実情に鑑み、新型コロナウイルスを含むウイルスに対して不活化作用があり、ウイルスの不活化作用がこれまでの成分よりもより強化された換気口用フィルターを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために本発明において、以下の換気口用フィルターを提供するものである。
すなわち、第一の発明として、室外から室内に換気口を介して取り込まれる空気を清浄化するための換気口用フィルターであって、ティーツリー(オーストラリア等で自生する樹木)薬剤、松乾燥粉体、柑橘系植物薬剤のいずれか一以上の薬剤を空気流路に接触する構造体に含浸させてなる換気口用フィルターを提供するものである。(請求項1対応)
【0007】
第二の発明として、前記特徴に加えて、薬剤は、ウイルス不活化能を有する薬剤である換気口用フィルターを提供するものである。(請求項2対応)
【0008】
第三の発明として、前記特徴に加えて、不活化されるウイルスは、コロナウイルス類を含む換気口用フィルターを提供するものである。(請求項3対応)
【0009】
第四の発明として、前記特徴に加えて、薬剤は、健康増進効能を有する薬剤である請求項1から請求項3のいずれか一に記載の換気口用フィルターを提供するものである。(請求項4対応)
【0010】
第五の発明として、前記に加えて、薬剤は、バクテリア、カビ、細菌の少なくとも一以上を殺す効能を有する換気口用フィルターを提供するものである。(請求項5対応)
【0011】
第六の発明として、換気口用フィルターは、フィルター用基材を準備するフィルター用基材準備ステップと、準備されたフィルター用基材に請求項1に記載の薬剤を浸透させる薬剤浸透ステップと、薬剤が浸透したフィルター用基材を乾燥させる乾燥ステップと、乾燥したフィルター用基材をフィルターの形状に加工する加工ステップとを有する換気口用フィルターの製造方法により製造されるものである。(請求項6対応)
【発明の効果】
【0012】
本発明の換気口用フィルターによれば、新型コロナウイルスを含むあらゆるウイルスの不活化が可能になるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1B】実施形態1を設置する換気口外壁側の外形の一例を示す図
【
図1C】実施形態1を設置する換気装置の外形の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
<実施形態1:概要>
本発明の実施形態1の換気口用フィルターは、住宅の換気口に設置された換気装置に取り付けることができるフィルターである。
図1Aから
図1Cは、本実施形態における外形を示す図である。
【0015】
図1Aに示すように、住宅0101の壁面に、換気口が開けられ、住宅内に外気を取り込む構造となっている。そこに本実施形態の換気口用フィルターを設置することで、取り込んだ外気に含まれる浮遊物をフィルターで除去するものである。
【0016】
図1Bは、換気口の壁面外部の外形を示す図であり、換気口に換気口カバー0102が取り付けられており、外気を取り込む隙間があるとともに、雨などの吹込みを防止する構造となっている。
【0017】
図1Cは、換気口に設置された換気装置の室内における外形を示す図であり、換気装置0104が壁面に設置され、その中心部の空洞は、換気口とつながっている。
空洞の奥には、外気を取り込むための図示しないファンが取り付けられている。その中心の空洞部に、本実施形態の換気口用フィルター0105を挿入する構造となっている。なお、通常の住宅の換気口は、一般的にはφ100mmのパイプが使用され、換気装置の中心空洞部の円形の直径も規格で決められており、例えば93mmで統一されている。従って、この直径93mmの穴にはめ込みできるような構造としておくことで、一般的な住宅の換気装置に設置することができるのである。
換気口用フィルターを取り付けたら、カバー0106を取り付けて設置は完了する。
以上が本発明の実施形態1の換気口用フィルターの利用の一例である。
【0018】
<実施形態1:フィルターの構造>
図2は本発明の換気口用フィルターの構造の一例を示す図である。
図に示すように、本発明の換気口用フィルターは、フィルター外枠0200に、第一層フィルター0201と、第二層フィルター0202と、第三層フィルター0203とで構成されている。
各層とも、繊維状であり、空気流路に接触する構造体であるが、その繊維の細かさに差がある。
【0019】
第一層フィルターは、屋外側に配置される不織布で構成された層である。ここでは、埃や塵などの比較的大きな浮遊物を遮断する層である。さらに、不織布の屋外側には防水加工がされており、雨などの水分が吹き込んできた場合に、フィルター内に水分が侵入するのを防止する。これは、水分によりカビや雑菌の繁殖を防止するためのものになる。
【0020】
第二層フィルターは、超細密フィルターでカビの胞子や、花粉などの微細な粒子を遮断する層である。
【0021】
第三層フィルターは、高機能フィルターであり、PM2.5や細菌、ウイルスなど2μmから10μm程度の微小な粒子を遮断する。この第三層フィルターは、本発明の換気口フィルターが該当し、後記する特殊な薬剤を浸透させてあり、細菌やウイルスを不活化する作用がある。
以上の様に構成された3つの層で、様々な空気中に浮遊する粒子を遮断し、さらに細菌や、ウイルスを不活化することで、安全な空気を住宅内に取り込むことができる。
なお、本実施形態では3層で説明してきたが、これに限定するものではなく、5層などもっと細かに分類するようにしても良い。
【0022】
<実施形態1:薬剤>
本発明の換気口用フィルターは、ティーツリー(オーストラリア等で自生する樹木)薬剤、松乾燥粉体、柑橘系植物薬剤のいずれか一以上を含む薬剤に含浸させるものである。
薬剤の成分はすべて天然成分であり、人体への悪影響がなく、環境にもやさしい成分である。
【0023】
<実施形態1:薬剤の成分 ティーツリー>
ティーツリーはオーストラリア等で自生する樹木で、清潔感にとんだ強い香りを放つ。
ティーツリー精油は強力な抗菌作用を持ち、さらに免疫力を向上させる効果があり、風邪などの感染症予防によく用いられます。先住民のアボリジニはその葉を砕いて傷薬として用いてたそうである。
【0024】
<実施形態1:薬剤の成分 脂肪酸フラボノイド>
柑橘系種子抽出物である脂肪酸フラボノイドは天然の抗生物質と言われるほど抗菌力が非常に高く、更に抗ウイルス作用等がある。また、抗酸化作用もあるので防錆効果もあります。浸透圧により細菌、カビ類、ウイルス類の活性を防げ、有効成分が長期間抗菌作用を持続する。
【0025】
<実施形態1:薬剤の成分 脂肪酸フラボノイドのウイルス不活化>
ウイルスのエンベロープに付着し、エンベロープを構成している蛋白被膜に対して浸透圧差でエンベロープ内の水分を吸出し、蛋白被膜を破壊します。勿論、ウイルスに限らずバクテリアやカビ類の細胞膜も同様の原理で破壊します。分かりやすく人間の皮膚に例えると、塩をかけると中から水分が出てしわしわになるのと同様で、それが人間のような多細胞の生き物であれば逆に新陳代謝を促す要素にもなりますが、単細胞生物やウイルスにとってはそれが致命傷であるという事である。
【0026】
<実施形態1:薬剤の成分 松>
松の葉、種子、樹皮、樹幹、実などのいずれかを乾燥後、粉体としアルカリ水に溶かすまたは煮だすなどにより成分を抽出した液体である。
松の成分により、抗菌効果、ウイルスの不活化などの効果が期待される。
【0027】
<実施形態1:製造方法>
実施形態1の換気口用フィルターの製造方法は、フィルター用機材準備ステップと、薬剤浸透ステップと、乾燥ステップと、加工ステップとで構成される。
【0028】
<実施形態1:製造方法 フィルター用基材準備ステップ>
高機能フィルターの元になる繊維のシートと、特殊薬剤を準備する。
特殊薬剤は、ティーツリー精油、脂肪酸フラボノイド、松の抽出液の3つの成分を所定の比率で混合したものである。
【0029】
<実施形態1:製造方法 薬剤浸透ステップ>
前記の特殊溶剤を、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastics)水槽に入れ、フィルターの基材となる繊維のシートを水槽に浸漬し、特殊薬剤を繊維シートに浸透させる。
【0030】
<実施形態1:製造方法 乾燥ステップ>
十分に特殊溶剤が浸透した繊維シートを、乾燥装置に入れ乾燥する。
【0031】
<実施形態1:製造方法 加工ステップ>
乾燥した繊維シートを、所定の大きさおよび形状に裁断し、型枠にいれて組み立てる。
他のフィルター層と組み合わせてフィルターカートリッジとして組み立てる。
以上が本実施形態の換気口用フィルター製造方法の一連の流れである。
【0032】
なお、以上述べてきたステップは、順番を入れ替えても本発明の範囲内である。
例えば、先に繊維シートを裁断してから、薬剤浸透ステップ、乾燥ステップを行い、加工ステップで組み立てるようにしても良い。
【0033】
<実施形態1:効果>
本発明の換気口フィルターを使用すれば、住宅内の換気を良好におこないつつ、外気からの様々な浮遊物の流入を防止し、室内の空気をクリーンに維持できる。
【0034】
<実施形態1:応用例>
実施形態1では、住宅の換気口で吸気口となる換気装置に設置することを説明したが、本発明の換気口フィルターはこれに限らず、排気口に適用することも可能である。
例えば、感染症の隔離病棟などからの排気口に対して適用することで、ウイルスや細菌が隔離エリアから排出されて拡散されることを防止できる。
これにより、従来の隔離病棟の様に、減圧や高価な排気設備を使用しなくとも安価な構成で、実現できるので仮設の隔離エリアを構成するなどの応用が可能である。
また、本フィルターを利用した換気口は屋外と屋内間に設けられる形態で説明をしてきたが、必ずしも設置場所はこれに限定されず、部屋と部屋との間の壁に設けたり、部屋と廊下の間に設けられる等、設置場所は限定されない。例えば1フロアに複数の部屋型店舗がテナントとして入居している雑居ビルのような場合には、部屋と通路との間に設けられると効果がある。このような場合には通路を多数の人が行き交い、かつ、一般的には通路の強制換気がないために通路のウイルス濃度が高くなる可能性があり、除菌対策を施しているテナントの室内へのウイルス等の侵入を防止する必要性が高いからである。
【符号の説明】
【0035】
0101 住宅
0102 換気口
0103 換気口外壁側
0104 換気装置
0105 フィルターカートリッジ
0106 カバー
0200 フィルター外枠
0201 第一層フィルター
0202 第二層フィルター
0203 第三層フィルター