(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102152
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】低刺激性化粧料
(51)【国際特許分類】
A01N 31/02 20060101AFI20230714BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230714BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230714BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230714BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20230714BHJP
A01N 31/04 20060101ALI20230714BHJP
A01N 37/12 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A01N31/02
A61Q1/00
A61K8/34
A61K8/37
A01P3/00
A01N31/04
A01N37/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002557
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】593084649
【氏名又は名称】日本コルマー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】西浦 英樹
【テーマコード(参考)】
4C083
4H011
【Fターム(参考)】
4C083AC081
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC422
4C083EE06
4C083EE10
4H011AA02
4H011AA03
4H011BA06
4H011BB03
4H011BB06
4H011DA13
4H011DG05
(57)【要約】
【課題】防腐性は高いが、その一方で炎症反応を誘導し刺激性も高い防腐剤を使用することなく、防腐性は低いが刺激性も低い防腐剤を組み合わせて配合することにより高い防腐性を有する防腐促進剤、および防腐促進剤を含む低刺激性化粧料を提供する。
【解決手段】フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステルおよび1,2-ヘキサンジオールを除く少なくとも3種以上の防腐剤を含有する防腐促進剤、及び該防腐促進剤を含有した低刺激性化粧料であって、フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステルおよび1,2-ヘキサンジオールを含有しない低刺激性化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステルおよび1,2-ヘキサンジオールを除く少なくとも3種以上の防腐剤を含有する防腐促進剤。
【請求項2】
防腐剤がペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、1,3-ブチレングリコール、カプリル酸グリセリル、ビサボロールから選ばれる少なくとも3種以上である請求項1記載の防腐促進剤。
【請求項3】
請求項1または2記載の防腐促進剤を含有した、低刺激性化粧料であって、フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステルおよび1,2-ヘキサンジオールを含有しない低刺激性化粧料。
【請求項4】
請求項3記載の低刺激性化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防腐促進剤、および該防腐促進剤を含む低刺激性化粧料、低刺激性化粧料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より化粧品や医薬品、医薬部外品などの組成物には、製品の保存性を維持するため、各種の防腐剤が用いられている。このような防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン類)、フェノキシエタノール、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、多価アルコール類等が挙げられる。
これらの中でも特に、パラベン、フェノキシエタノールは、化粧品等において有効性の優れたものとして頻繁に用いられている。
【0003】
しかしながら、これまでにパラベン等の単体で防腐性に優れた剤は、敏感肌の消費者にとっては、刺激を伴なう場合がある。そこで、防腐性を保ちつつ、刺激性の少ない防腐剤の選定や、使用量を軽減しつつ、防腐剤の効果を高める検討が行われている。
【0004】
具体的には、複数の防腐剤を組み合わせ、防腐剤の使用量を軽減する方法が検討されている。
特許文献1では、1,3-ブチレングリコールと1,2- ペンタンジオールを併用することにより防腐性が高まり、かつ安全性に優れた化粧料が記載されている。
特許文献2では、パラベン類またはフェノキシエタノールに、1,3-プロパンジオールを配合することで防腐性が優れ、皮膚刺激が抑制された防腐剤組成物が記載されている。
【0005】
近年、消費者の安全性への意識が高まり、皮膚への低刺激性、低アレルギー性を備えた化粧品および医薬部外品が必要とされていることから、防腐性にも優れた低刺激性化粧料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-322591号公報
【特許文献2】特開2005-15401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、単体で防腐性に優れたフェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステル、1,2-ヘキサンジオールを含有しないで、防腐性に優れ、かつ低刺激性の化粧料はこれまでに知られていない。
従って、本発明は、防腐性は高いが、その一方で炎症反応を誘導し、高い刺激性を伴う防腐剤を使用することなく、防腐性は低いが刺激性も低い防腐剤を組み合わせて配合することにより、高い防腐性を有する防腐促進剤、および該防腐促進剤を含む低刺激性化粧料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステルおよび1,2-ヘキサンジオールを除く少なくとも3種以上の防腐剤を含有する防腐促進剤、及び該防腐促進剤を含有した低刺激性化粧料であって、フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステルおよび1,2-ヘキサンジオールを含有しない低刺激性化粧料の提供に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の防腐促進剤は、フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステルおよび1,2-ヘキサンジオールを除く、単独使用では十分な防腐性を示さない量の防腐剤において、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、1,3-ブチレングリコール(BG)、カプリル酸グリセリル、ビサボロールから選ばれる3種以上を組み合わせる事で優れた防腐性が得られ、さらに皮膚刺激性の低さを伴うものである。また、本発明の効果は、該防腐促進剤を含む化粧水や乳化組成物など全ての化粧料において有効である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における防腐剤とは、細菌やカビ等の微生物の増殖を防止する目的で使用されるものをいい、一般に防腐剤として用いられるもののほかに、殺菌又は抗菌性能を有するものを含む。また、本発明における防腐性とは、細菌、酵母等の汚染微生物すべてに対して、菌数を減少させる効果のことをいう。
【0011】
防腐剤としては、化粧料や医薬部外品に用いられるものとしてパラオキシ安息香酸エステル(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類);フェノキシエタノール;1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,3-ブチレングリコール等のアルカンジオール類;2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(エチルヘキシルグリセリン)等のアルキルグリセリルエーテル類;カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル類;サリチル酸;安息香酸ナトリウム;メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノ等のイソチアゾリンオン誘導体;イミダゾリニウムウレア;デヒドロ酢酸及びその塩;フェノール類;トリクロサン等のハロゲン化ビスフェノール類、酸アミド類、四級アンモニウム塩類;トリクロロカルバニド、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、ヘキサクロロフェン、ヒノキチオール;フェノール、イソプロピルフェノール、クレゾール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム等のその他フェノール類;フェニルエチルアルコール、感光素類、抗菌性ゼオライト、銀イオンが好ましいものとして挙げられる。
【0012】
本発明者は、上記防腐剤の中でも、特にフェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステルおよび1,2-ヘキサンジオールの存在によって炎症反応を誘導する炎症性サイトカイン遺伝子の発現が顕著となることを発見し、これらの防腐剤を含有しない、低刺激性化粧料の検討を行った。
【0013】
さらに上記防腐剤の中でも、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、1,3-ブチレングリコール、カプリル酸グリセリル、ビサボロールから選ばれる少なくとも3種以上を組みあわせて用いることは、防腐性に優れ、皮膚刺激性が低い点から特に好ましい。
【0014】
本発明において、化粧料とは、例えば化粧水、エッセンス、乳液、クリーム、パック、サンスクリーン剤等の基礎化粧料、パウダーファンデーション、おしろい、リキッドファンデーション、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、口紅、コンシーラー、チーク、ネイルカラー等のメイクアップ化粧料、シャンプー、コンディショナー、ヘアスタイリング剤等の頭髪化粧料、ボディシャンプー等の身体洗浄料、メイク落とし、洗顔料等の外用組成物を包括するものであり、医薬部外品である同外用組成物にも適用される。
【0015】
本発明に使用するペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、1,3-ブチレングリコール、カプリル酸グリセリル、ビサボロールは、一般に市販されているものを配合することができる。
【0016】
化粧料に含有する場合、ペンチレングリコールでは化粧料全体中に、0.1~5質量%が好ましく、さらに0.5~4質量%が好ましく、特に1~3質量%が好ましい。エチルヘキシルグリセリンでは化粧料全体中に、0.005~0.5質量%が好ましく、さらに0.01~0.4質量%が好ましく、特に0.05~0.3質量%が好ましい。1,3-ブチレングリコールでは化粧料全体中に、1.0~30.0質量%が好ましく、さらに3.0~20.0質量%が好ましく、特に5.0~15.0質量%が好ましい。カプリル酸グリセリルでは化粧料全体中に、0.05~1.0質量%が好ましく、さらに0.1~0.5質量%が好ましく、特に0.2~0.4質量%が好ましい。ビサボロールでは化粧料全体中に、0.05~1.0質量%が好ましく、さらに0.1~0.8質量%が好ましく、特に0.2~0.6質量%が好ましい。
【0017】
本発明の低刺激性化粧料には、保湿剤、油剤、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤、キレート剤、酸化防止剤、中和剤、生理活性成分、塩類、粉体(顔料、色素)、紫外線吸収剤、香料等の成分を適宜使用することができ、全て一般に市販されているものを配合することができる。
【0018】
本発明でいう「防腐促進剤」は、単独使用では十分な防腐性を示さない量の防腐剤において、3種以上を組み合わせる事で優れた防腐性が得られ、さらに皮膚刺激性の低さを伴うものをいい、「低刺激性化粧料」は、皮膚刺激性が低い化粧料をいう。
【実施例0019】
[防腐剤による炎症性サイトカイン遺伝子の発現]
(1)(試験濃度検討)試験方法
ヒト表皮角化細胞を前日に培養し、翌日、各防腐剤(メチルパラベン、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール)の各濃度を調整し添加した。24時間後、MTTアッセイにより細胞生存率を算出し表1に記載した。細胞生存率70%以上の濃度を遺伝子発現検証の試験濃度(メチルパラベン:0.1質量%、ペンチレングリコール:0.6質量%、1,2-ヘキサンジオール:0.4質量%、エチルヘキシルグリセリン:0.015質量%、フェノキシエタノール:0.2質量%)として決定した。
【0020】
【0021】
(2)(遺伝子発現の検証)試験方法
ヒト表皮角化細胞を前日に培養し、翌日、各防腐剤(メチルパラベン、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール)を上記試験濃度となるよう添加した。6時間及び18時間培養後、細胞を回収し、RNAを抽出した。そして、cDNAを作製し、リアルタイムPCRによって炎症サイトカイン遺伝子(IL-6、IL-8、IL-1β、TNF-α)の発現を確認し、表2に遺伝子発現量を記載した。
【0022】
【0023】
表2に示す結果からも明らかなように、フェノキシエタノール、1,2-ヘキサンジオールは、 IL-6、TNF-αの発現を有意に増加させることが認められた。
これは、特にフェノキシエタノール、1,2-ヘキサンジオールが炎症を引き起こす因子であることを意味する。
【0024】
[防腐性試験]
7種混合菌接種(細菌/酵母)を使用した日本コルマー保存効力試験法により防腐性を判定した。日本コルマー保存効力試験法と、一般的な防腐性試験法のJP法、ISO法との差異を表3に示す。日本コルマー保存効力試験法で使用するコントロール処方は、JP法、ISO法の合格基準を満たすものである。
【0025】
【0026】
<1.試験菌>
細菌6種/酵母1種(合計7種)
Pseudomonas aeruginosa NBRC 13275
Burkholderia cepacia NBRC 14595
Staphylococcus aureus NBRC 13276
Escherichia coli NBRC 3972
Enterobacter cloacae NBRC 13535
Proteus mirabilis NBRC 3849
Candida albicans NBRC 1594
それぞれの試験菌を適切に培養したのち、菌縣濁液を調製する。
全ての菌縣濁液を等量ずつ混和し、7種混合菌縣濁液とする。
【0027】
<2.サンプル準備と接種>
(1)適切な滅菌容器にサンプルを20g量りとる。
(2)サンプルに7種混合菌縣濁液を0.2mL(サンプルの1/100量)接種する。
(3)サンプルを攪拌し、7種混合菌縣濁液を均一に分散させる。
(4)試験終了までサンプルを32℃で保管する。
【0028】
<3.試験方法>
(1)7種混合菌縣濁液接種日から原則、1、4、7、11日後にサンプリングを実施し、
カンテン平板法による微生物試験を行う。
(2)32℃で3日(もしくはそれ以上)培養し、菌数を測定する。
(3)測定した菌数からサンプル1g当たりの試験菌残存菌数を換算する。
残存菌数が検出限界以下となった場合、次回の試験より液体培養法へ移行する。
(4)液体培養法において、試験菌の検出が認められなかった場合には試験を終了し、
防腐性判定基準と比較する。
【0029】
<4.防腐性判定基準>
同時に実施した下記記載のコントロール処方(一般試験法のJP法、ISO法の合格基準を満たしたもの)と同等以上の防腐性を有すること。
【0030】
コントロール処方:化粧水
(成分)
メチルパラベン:0.14質量%
1,3-ブチレングリコール:0.01質量%
保湿剤:12.99%質量%
pH調整剤:0.17質量%
精製水:残余
【0031】
(製造方法)
A:精製水、保湿剤、メチルパラベン、1,3-ブチレングリコールを80℃で混合し、加熱溶解する。
B:Aを35℃まで冷却し、pH調整剤にてpHを調整する。
【0032】
防腐性試験結果を以下の4段階に分類した。
防腐性判定基準
◎:防腐効果が十分に強い(コントロールより3日前に菌が死滅)
〇:防腐効果が強い(コントロールと同日に菌が死滅)
△:防腐効果が弱い(コントロールより3日後以降に菌が死滅)
×:防腐効果がない(TNTCから変化なし、または菌が死滅しきらない)
TNTC(Too Numerous To Count:測定不能多数)
【0033】
(実施例1~4、比較例1~36):防腐促進剤
下記表4に示した、防腐剤のみを精製水に含有させた水溶液について、上記防腐性試験を行い、評価結果をあわせて表4に記載した。
【0034】
【0035】
実施例および比較例の評価結果から、実施例1~4は、単独使用では十分な防腐性を示さない量の防腐剤において、3種以上を組み合わせる事で優れた防腐性が得られることが判った。
【0036】
(実施例5~8、比較例37~46):防腐促進剤を含有した化粧料
下記表5に示した、防腐促進剤を含有した化粧料について、上記防腐性試験を行い、評価結果をあわせて表5に記載した。
【0037】
【0038】
実施例および比較例の評価結果から、実施例1~4の組み合わせの防腐剤は化粧料に含有された場合(実施例5~8)においても優れた防腐性を有することが判った。
下記に各化粧料の処方および製造方法を記載する。
【0039】
化粧水ベース(1) 処方
(成分)
各防腐剤:表5記載量
界面活性剤:2.0質量%
pH調整剤:0.07質量%
保湿剤:3.0質量%
精製水:残余
【0040】
(製造方法)
A:精製水、保湿剤、界面活性剤、防腐剤を室温で混合する。
B:AをpH調整剤にてpHを調整する。
【0041】
化粧水ベース(2) 処方
(成分)
各防腐剤:表5記載量
界面活性剤:0.20質量%
pH調整剤:0.14質量%
保湿剤:6.30質量%
精製水:残余
【0042】
(製造方法)
A:精製水、保湿剤、界面活性剤、防腐剤を室温で均一に混合する。
B:AをpH調整剤にてpHを調整する。
【0043】
化粧水ベース(3) 処方:実施例5
(成分)
BG:3.00質量%
エチルヘキシルグリセリン:0.05質量%
ペンチレングリコール:3.00質量%
界面活性剤:1.30質量%
保湿剤:13.33質量%
pH調整剤:0.07質量%
増粘剤:0.05質量%
精製水:残余
【0044】
(製造方法)
A:精製水、保湿剤、エチルヘキシルグリセリン、ペンチレングリコール、増粘剤を80℃で混合し、加熱溶解する。
B:Aを35℃まで冷却し、BGと界面活性剤を添加しで均一に混合する。
C:BをpH調整剤にてpHを調整する。
【0045】
乳液ベース(1) 処方
(成分)
油剤:5.50質量%
保湿剤:11.00質量%
各防腐剤:表5記載量
界面活性剤:1.00質量%
乳化安定化剤:0.75質量%
pH調整剤:0.36質量%
精製水:残余
【0046】
(製造方法)
A:精製水、各防腐剤、保湿剤、乳化安定剤を80℃で均一に混合する。
B:油剤、界面活性剤を80℃で均一に混合する。
C:AをBに加えてホモミキサーで攪拌する。
D:Cを35℃まで冷却し、pH調整剤にてpHを調整する。
【0047】
(成分)
クリームベース(1) 処方
油剤:9.50質量%
保湿剤:4.00質量%
各防腐剤:表5記載量
界面活性剤:2.70質量%
乳化安定化剤:3.79質量%
pH調整剤:0.04質量%
精製水:残余
【0048】
(製造方法)
A:精製水、各防腐剤、保湿剤、乳化安定剤(一部)を80℃で均一に混合する。
B:油剤、界面活性剤、乳化安定剤(残り)を80℃で均一に混合する。
C:AをBに加えてホモミキサーで攪拌する。
D:Cを35℃まで冷却し、pH調整剤にてpHを調整する。
【0049】
クリームベース(2) 処方:実施例6
(成分)
BG:5.50質量%
エチルヘキシルグリセリン:0.10質量%
ペンチレングリコール:2.00質量%
油剤:26.30質量%
保湿剤:8.00質量%
界面活性剤:3.70質量%
乳化安定化剤:4.20質量%
pH調整剤:0.11質量%
精製水:残余
【0050】
(製造方法)
A:精製水、BG、エチルヘキシルグリセリン、ペンチレングリコール、保湿剤、乳化安定剤(一部)を80℃で均一に混合する。
B:油剤、界面活性剤、乳化安定剤(残り)を80℃で均一に混合する。
C:AをBに加えてホモミキサーで攪拌する。
D:Cを35℃まで冷却し、pH調整剤にてpHを調整する。
【0051】
クリームベース(3) 処方:実施例7
(成分)
BG:6.00質量%
カプリル酸グリセリル:0.20質量%
ペンチレングリコール:2.50質量%
油剤:27.7質量%
保湿剤:6.0質量%
界面活性剤:5.6質量%
乳化安定化剤:4.22質量%
pH調整剤:0.07質量%
精製水:残余
【0052】
(製造方法)
A:精製水、BG、カプリル酸グリセリル、ペンチレングリコール、保湿剤、乳化安定剤(一部)を80℃で均一に混合する。
B:油剤、界面活性剤、乳化安定剤(残り)を80℃で均一に混合する。
C:AをBに加えてホモミキサーで攪拌する。
D:Cを35℃まで冷却し、pH調整剤にてpHを調整する。
【0053】
リキッドファンデーションベース(1) 処方:実施例8
BG:7.00質量%
ビサボロール:0.50質量%
カプリル酸グリセリル:0.05質量%
顔料:16.80質量%
界面活性剤:5.00質量%
油溶性成分:32.90質量%
保湿剤:3.00質量%
乳化安定化剤:2.55質量%
紫外線吸収剤:6.95質量%
精製水:残余
【0054】
(製造方法)
A:油剤(一部)、紫外線吸収剤、カプリル酸グリセリルを80℃で均一に混合溶解する。
B:Aへ油剤(残り)、界面活性剤、乳化安定化剤(一部)、顔料を順次添加し、ディスパー処理で均一に混合する。
C:保湿剤、精製水、乳化安定化剤(残り)を室温で混合する。
D:BへCとビサボロールを加えてホモミキサーで攪拌する。
【0055】
[刺激性試験]:スティンギングテスト
検証にあたっては、自信を敏感肌と自覚するモニター5名に実施例および比較例の試料を前腕内側部に使用させ、塗布前、塗布直後、6時間後、24時間後の肌状態として、刺激(ぴりぴり感)を感じたかについてアンケート形式で集計した。
【0056】
スティンギングテスト試験結果を以下の4段階に分類した。
刺激性判定基準
◎:皮膚刺激性がない(塗布後に刺激を感じた人はなし)
〇:皮膚刺激性が弱い(塗布後に5名中1名が刺激を感じた)
△:皮膚刺激性がやや強い(塗布後に5名中2~3名が刺激を感じた)
×:皮膚刺激性が強い(塗布後に5名中4~5名が刺激を感じた)
【0057】
(実施例1~4、比較例1~36)防腐促進剤の低刺激性
下記表6に示した、防腐剤のみを精製水に含有させた水溶液について、上記スティンギングテストを行い、評価結果をあわせて表6に記載した。
【0058】
【0059】
実施例および比較例の評価結果から、実施例1~4は、刺激を感じたモニター数が0人であり、低刺激性であることが判った。
【0060】
(実施例5および8)低刺激性化粧料
下記表7に示した、本発明の防腐促進剤を配合した化粧料である実施例5および8について、上記スティンギングテストを行い、評価結果をあわせて表7に記載した。
【0061】
【表7】
実施例の評価結果から、実施例5および8は、いずれも刺激を感じたモニター数が0人であり、低刺激性であることが判った。
【0062】
[刺激性試験]:皮膚モデル試験
使用皮膚モデル
J-TEC LabCyte EPI-MODEL 24well
OECD ガイドラインで定められた通常の試験方法よりも過酷な条件下で評価することで、健常肌では検出できない刺激を検出することができ、現在日本人の大多数を占めると言われる敏感肌を想定した敏感肌モデルとして設定している。
【0063】
(1)試験方法
皮膚モデルは 24 well plate に移し、1 時間以上維持培地で培養した。被験サンプル
の曝露は表皮側に50 μL 添加した。24 時間培養後、PBS(-)で洗浄を行い、MTT 添
加培地に移して 3 時間培養後、イソプロパノールで色素抽出を行い、OD570 nm の吸
光度を測定する事で細胞生存率を算出した。
【0064】
(2)判定基準
刺激の判定は細胞生存率を指標とし、70%よりも大きければ刺激なし、70%以下で
あれば刺激ありと判断した。
【0065】
(実施例6および7)低刺激性化粧料
下記表8に示した、本発明の防腐促進剤を配合した化粧料である実施例6および7について、上記皮膚モデル試験を行い、評価結果をあわせて表8に記載した。
【0066】
【表8】
実施例の評価結果から、実施例6および7はいずれも細胞生存率が70%よりも大きく、低刺激性であることが判った。
【0067】
[刺激性試験]:パッチテスト
倫理委員会で認証を受けた試験プロトコールで24時間閉塞パッチテストを行った。
【0068】
(1)試験方法
ヒトパッチテスト試験概要書の内容を理解し、書面による同意の得られた被験者10名の
上腕内側部に、試験資料を24時間閉塞貼付し、24時間後にテープを剥離して、60分後(24時間後)に1回目判定、24時間後(48時間後)に2回目の判定を行った。
【0069】
(2)判定基準
基準写真(河合, Visual Dermatology, 3(1), 74-81, 2004)を参考に判定し、表9の評点から皮膚刺激指数を算出し、表10に基づき皮膚刺激指数5.0以下を低刺激性と判断した。
【0070】
【0071】
(皮膚刺激指数の算出)
テープ貼付24時間後と48時間後それぞれの評点から、各試験資料の評点総和を被験者数で除した商を百分率で表し、数値の高い方を皮膚刺激指数とした。
【0072】
【0073】
(実施例6)低刺激性化粧料
下記表11に示した、本発明の防腐促進剤を配合した化粧料である実施例6について、上記パッチテストを行い、評価結果をあわせて表11に記載した。
【0074】
【0075】
実施例の評価結果から、実施例6は皮膚刺激指数が0であり、低刺激性であることが判った。