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  • 特開-コネクタ 図1
  • 特開-コネクタ 図2
  • 特開-コネクタ 図3
  • 特開-コネクタ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102174
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20230714BHJP
【FI】
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002591
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(72)【発明者】
【氏名】浦池 大輔
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB76
5E223AC37
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB22
5E223CB31
5E223CD01
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB32
5E223DB36
(57)【要約】
【課題】回路基板の表面と同じ向きに開いた嵌合開口を有するコネクタであって、伝送特性を良好に保ちつつ、カメラによる検査を容易とする。
【解決手段】コネクタ10は、ハウジング20とコンタクト30を備えている。ハウジング20は、上向きに開い嵌合開口21を有する。コンタクト30は、ハウジング20を上から垂直に投影したときの投影図上のハウジング20の外縁の内側に配置されている。ここで、ハウジング20には、コンタクト30の基板接続部31の真上に視認窓24が形成されている。この視認窓24は、回路基盤60に垂直な方向からハウジング20を眺めたときに基板接続部31を視認させる視認窓である。そこで、上方に設置したカメラ70で、検査時にこの視認窓24を通過する視認通路71に沿って基板接続部31を覗いて、基板接続部31の半田付けの良否を容易に検査することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタが挿し込まれる嵌合開口を有し該嵌合開口が回路基板表面と同じ上方を向いた姿勢に該回路基板に固定されるハウジングと、
前記回路基板の表面に半田付けされる基板接続部を有するコンタクトとを備え、
前記コンタクトが、前記ハウジングを前記回路基板表面に垂直に投影したときの投影図上の該ハウジングの外縁の内側に配置され、
前記ハウジングが、前記基板接続部を視認させる視認通路を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングが、該ハウジングを前記回路基板表面に垂直な方向から眺めたときに前記基板接続部を視認させる視認窓を有し、
前記視認通路が、前記視認窓を通過する通路であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングが、斜め下を向いた検査用切欠き面を有し、
前記視認通路が、前記検査用切欠き面に沿って前記基板接続部を斜め上から視認させる通路であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングが金属製であり、前記回路基板に挿し込まれて半田付けされる突起部を有することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記コンタクトを支持する樹脂製の支持体と、
前記支持体を取り巻き前記ハウジングに接して前記嵌合開口内に突き出た、相手コネクタのグランドと接続される金属製のグランドコンタクトとを備えたことを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に実装されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回路基板に実装される複数タイプのコネクタが開示されている。すなわち、この特許文献1には、回路基板表面と同じ向きに開いた嵌合開口を有するタイプのコネクタと、回路基板の表面に沿う向きに開いた嵌合開口を有するタイプのコネクタが開示されている。いずれのタイプのコネクタであっても、そのコネクタを回路基板に搭載するにあたっては、コンタクトが回路基板に確実に半田付けされたことのカメラによる検査が行われることがある。
【0003】
ここで、回路基板の表面に沿う向きに開いた嵌合開口を有するタイプのコネクタの場合は、コンタクトの、回路基板への半田付け部が、ハウジングの横に露出しているため、半田付けされたことのカメラによる検査は容易である。これに対し、回路基板の表面と同じ向きに開いた嵌合開口を有するタイプのコネクタの場合は、検査が容易とは言えない場合がある。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された、回路基板表面と同じ向きに開いた嵌合開口を有するタイプのコネクタの場合は、コンタクトがハウジングの底から下向きに突き出ている。このため、カメラによる検査を行なおうとすると、回路基板表面とハウジングの底との間の隙間を横から覗き込むようにして検査を行う必要があり、検査が困難であるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-18723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回路基板表面と同じ向きに開いた嵌合開口を有するタイプのコネクタについて、カメラによる検査を容易とするために、ハウジングの底から下向きに突き出たコンタクトをさらに横向きに延ばしてハウジングの横からはみ出させ、その食み出た部分を回路基板に半田付けすることが考えられる。
【0007】
しかしながら、特に信号の高速伝送が要求されるコネクタの場合はコンタクトの長さも伝送特性に影響し、必要な伝送特性を確保するためにはハウジングの横からはみ出すほどコンタクトを延長することができない場合がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、回路基板表面と同じ向きに開いた嵌合開口を有するタイプであって、コンタクトが回路基板に確実に半田付けされたことのカメラによる検査が容易なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のコネクタは、
相手コネクタが挿し込まれる嵌合開口を有しその嵌合開口が回路基板表面と同じ上方を向いた姿勢に回路基板に固定されるハウジングと、
回路基板の表面に半田付けされる基板接続部を有するコンタクトとを備え、
上記コンタクトが、ハウジングを回路基板表面に垂直に投影したときの投影図上のハウジングの外縁の内側に配置され、
上記ハウジングが、上記基板接続部を視認させる視認通路を有することを特徴とするコネクタ。
【0010】
本発明のコネクタは、上記の視認通路を有するため、上記基板接続部をその視認通路に沿って覗くことにより基板接続部の半田付けの良否を容易に検査することができる。
【0011】
ここで、上記ハウジングが、そのハウジングを回路基板表面に垂直な方向から眺めたときに上記基板接続部を視認させる視認窓を有し、
上記視認通路が、その視認窓を通過する通路であることが好ましい。
【0012】
この視認窓を形成すると、上記基板接続部を回路基板表面に垂直な方向から覗いて検査することができる。
【0013】
ここで、本発明のコネクタにおいて、コンタクトが、差動信号伝送用のペアのコンタクトからなり、上記視認窓が、ペアのコンタクト双方の基板接続部を覗かせる視認窓で
あってもよい。
【0014】
また、本発明のコネクタにおいて、
上記ハウジングが、斜め下を向いた検査用切欠き面を有し、
上記視認通路が、その検査用切欠き面に沿って上記基板接続部を斜め上から視認させる視認通路であってもよい。
【0015】
本発明のコネクタにおいて、検査用切欠き面を有すると、基板接続部を斜め上から視認して、基板接続部の半田付けの良否を容易に検査することができる。
【0016】
ここで、本発明のコネクタにおいて、ハウジングが金属製であり、回路基板に挿し込まれて半田付けされる突起部を有することが好ましい。
【0017】
ハウジングを金属製とすることでノイズが遮蔽され、回路基板に突起部を挿し込んで半田付けすることにより、コネクタが回路基板に強固に固定される。
【0018】
また、この場合にさらに、
コンタクトを支持する樹脂製の支持体と、
その支持体を取り巻きハウジングに接して嵌合開口内に突き出た、相手コネクタのグランドと接続される金属製のグランドコンタクトとを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上の本発明によれば、回路基板表面と同じ向きに開いた嵌合開口を有するタイプであって、伝送特性を良好に保ちつつ、カメラによる検査が容易なコネクタが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のコネクタの第1実施形態の斜視図である。
図2図1に斜視図を示すコネクタの平面図(A)と側面図(B)である。
図3図2(B)に示した矢印A-Aに沿う断面図である。
図4】本発明のコネクタの第2実施形態を示した図である。
図5】本発明のコネクタの第3実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明のコネクタの第1実施形態の斜視図である。
【0023】
また、図2は、図1に斜視図を示すコネクタの平面図(A)と側面図(B)である。
【0024】
さらに、図3は、図2(B)に示した矢印A-Aに沿う断面図である。
【0025】
このコネクタ10は、ハウジング20とコンタクト30(図3参照)を備えている。
【0026】
ハウジング20は金属のダイキャスト製であり、嵌合開口21と下方に突き出た4本の突起部22を有する。このコネクタ10は、図3に示すように、4本の突起部22が回路基板60に挿し込まれて半田付けされることにより、回路基板60に固定される。嵌合開口21は、このコネクタ10が回路基板60に固定された状態において、回路基板60の表面と同じ上向きに開いている。この嵌合開口21には、不図示の相手コネクタが上方から挿し込まれる。このハウジング20には、横向きに嵌合開口21の内外に貫通したロック孔23が設けられている。このロック孔23は、嵌合開口21に挿し込まれてこのコネクタ10と嵌合した相手コネクタに係合し、相手コネクタを抜け止めする役割の孔である。
【0027】
また、このコネクタ10のコンタクト30は、図3に示すように、回路基板60の表面61に接して回路基板60に半田付けされる基板接続部31が設けられている。このコンタクト30は、ハウジング20を回路基板60の表面61に垂直に投影したときの投影図上のハウジング20の外縁の内側に配置されている。
【0028】
また、このコネクタ10は、樹脂製の支持体40と金属製のグランドコンタクト50とを備えている。
【0029】
支持体40は、コンタクト30を金属製のハウジング20やグランドコンタクト50から離間させた状態にコンタクト30を支持している。
【0030】
また、グランドコンタクト50は、支持体40を取り巻きハウジングに接して嵌合開口21内に突き出た筒状の部材である。このグランドコンタクトは、相手コネクタのグランドと接続され、相手コネクタのグランド、ハウジング20、および回路基板60のグランドを繋ぐ役割を担っている。
【0031】
また、ハウジング20には、コンタクト30の基板接続部31の真上に視認窓24が形成されている。この視認窓24は、上記の投影図上、すなわち、図2(A)の平面図上でコンタクト30の基板接続部31を覗かせている。すなわち、この視認窓24は、ハウジング20を回路基板60の表面61に垂直な方向から眺めたとき基板接続部31を視認させる視認窓である。そこで、図3に示すように、上方に設置したカメラ70で、検査時に、この視認窓24を通過する視認通路71に沿って基板接続部31を覗いて、基板接続部31の半田付けの良否を容易に検査することができる。
【0032】
このように、この第1実施形態のコネクタ10には、コンタクト30の基板接続部31を上方から視認させる視認窓24が設けられている。このため、カメラ70でその視認窓24を通過する視認通路71に沿って基板接続部31を覗くことにより、基板接続部31の半田付けの良否を容易に検査することができる。
【0033】
図4は、本発明のコネクタの第2実施形態を示した図である。この図4は、上述の第1実施形態のコネクタにおける図2(A)の平面図に相当する平面図である。
【0034】
この図4に示す第2実施形態のコネクタの説明および図5を参照して後述する第3実施形態のコネクタの説明にあたっては、上述の第1実施形態のコネクタの各要素に付した符号をそのまま採用して説明する。
【0035】
図4に示す第2実施形態のコネクタ10には、コンタクト30のペアが2組配置されている。それに伴って、支持体40およびグランドコンタクト50も2つずつ備えられている。そして、視認窓24も、コンタクト30のペアごとに設けられている。1つの視認窓24からは、ペアを成す2つのコンタクト30の基板接続部31が覗いている。
【0036】
この例に示すように、本発明のコネクタは、そこに備えられるコンタクトの数を問うものではない。また、コンタクトが差動信号伝送用であるか否かも問うものではない。
【0037】
図5は、本発明のコネクタの第3実施形態を示した図である。この図5は、上述の第1実施形態のコネクタにおける図3の断面図に相当する断面図である。
【0038】
この図5に示す第3実施形態のコネクタ10のハウジング20には、図3に示すような視認窓24は形成されていない。この図5に示す第3実施形態のコネクタ10のハウジング20には、その視認窓24に代わり、斜め下を向いた検査用切欠き面25が形成されている。これにより、このコネクタ10には、コンタクト30の基板接続部31を検査用切欠き面25に沿って斜め上から視認させる視認通路71が形成されている。そこで、この図5に示すように、上方斜め上にカメラ70を設置して視認通路71に沿って基板接続部31を覗き、基板接続部31の半田付けの良否を検査することができる。
【0039】
この第3実施形態のコネクタ10の他の点については、上述の第1実施形態のコネクタ10と同じであり、重複説明は省略する。
【0040】
このように、本発明の各実施形態によれば、回路基板60の表面と同じ向きに開いた嵌合開口21を有するタイプであって、伝送特性を良好に保ちつつ、カメラによる検査が容易なコネクタが実現する。
【符号の説明】
【0041】
10 コネクタ
20 ハウジング
21 嵌合開口
22 突起部
23 ロック孔
24 視認窓
25 検査用切欠き面
30 コンタクト
31 基板接続部
40 支持体
50 グランドコンタクト
60 回路基板
61 回路基板の表面
70 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5