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  • 特開-ゲーム装置およびゲームプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010218
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】ゲーム装置およびゲームプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/24 20140101AFI20230113BHJP
   A63F 13/21 20140101ALI20230113BHJP
   A63F 13/42 20140101ALI20230113BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A63F13/24
A63F13/21
A63F13/42
G06F3/01 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114199
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】中村 達也
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA46
5E555AA76
5E555BA20
5E555BB20
5E555BC08
5E555CA04
5E555CA41
5E555CB19
5E555CB59
5E555CC22
5E555DB18
5E555DC19
5E555DC21
5E555DD05
5E555DD06
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 ゲームにおいて、操作デバイスを扱う新しい楽しさを提案する。
【解決手段】 プレイヤは、ハンドル302を握って操作デバイス300に含まれるピストン306を押し込む。この押し込み操作により、流出口310から空気が射出され、圧力計308は空気圧を検出する。圧力計308の空気圧の大きさは制御値としてデジタル信号化される。ゲーム装置本体のゲーム制御部は制御値に基づいてゲームを制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作デバイスに対する押し込み操作を検出する操作検出部と、
前記押し込み操作に基づいて流体を射出する流体射出部と、
流体の射出状態を示す制御値を算出する制御値計算部と、
前記制御値に基づいてゲームの進行を制御するゲーム制御部と、を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記操作デバイスは、プレイヤが押し込み操作可能なピストンを含むことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記制御値計算部は、前記ピストンの可動範囲の少なくとも一部の範囲内における押し込み操作にともなって射出される流体の圧力、射出速度および射出量の1以上に基づいて前記制御値を算出することを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
操作デバイスに含まれるピストンの押し込み操作を検出する操作検出部と、
前記ピストンの移動量を示す制御値を算出する制御値計算部と、
前記制御値に基づいてゲームの進行を制御するゲーム制御部と、を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
前記操作検出部は、更に、前記ピストンの端部に取り付けられるハンドルの回転量を検出し、
前記ゲーム制御部は、更に、前記ハンドルの回転量に基づいて前記ゲームの進行を制御することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記制御値に基づいて、前記ゲームにおけるオブジェクトの移動速度または攻撃力を変化させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項7】
操作デバイスに対する押し込み操作に基づいて流体が射出されるとき、流体の射出状態を示す制御値を算出する機能と、
前記制御値に基づいてゲームの進行を制御する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするゲームプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤの押し込み操作に基づいてゲームを制御する技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ・ゲームにおいては、プレイヤはさまざまな操作デバイスをつかってキャラクタなどのゲーム・オブジェクトを操作する。操作デバイスとしては、ゲームパッド、ジョイスティック、タッチパネルなどが一般的である。
【0003】
このほかにも、車のハンドル、列車の運転台、太鼓などの楽器、バランスボード、模造銃など、さまざまな形状・構造の操作デバイスが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-189483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲームのおもしろさのひとつに、操作デバイスを取り扱う楽しさがある。操作デバイスにとっては、操作しやすく、操作内容から操作結果をイメージしやすいことが重要である。
【0006】
本発明は、上記認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、コンピュータ・ゲームにおいて操作デバイスを扱うときの新しい楽しさを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様におけるゲーム装置は、操作デバイスに対する押し込み操作を検出する操作検出部と、押し込み操作に基づいて流体を射出する流体射出部と、流体の射出状態を示す制御値を算出する制御値計算部と、制御値に基づいてゲームの進行を制御するゲーム制御部と、を備える。
【0008】
本発明の別の態様におけるゲーム装置は、操作デバイスに含まれるピストンの押し込み操作を検出する操作検出部と、ピストンの移動量を示す制御値を算出する制御値計算部と、制御値に基づいてゲームの進行を制御するゲーム制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゲームの操作デバイスを扱うときの新しい楽しさを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ゲーム装置のハードウェア構成の模式図である。
図2】操作デバイスの断面構造の模式図である。
図3】ハンドル周辺の拡大斜視図である。
図4】ゲーム装置の機能ブロック図である。
図5】ゲーム画面の画面図である。
図6】発射台の発射の処理過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態におけるコンピュータ・ゲーム(以下、「ゲームG」とよぶ)は、UFO型の敵キャラクタをミサイルで迎撃し、二人のプレイヤが敵キャラクタの撃墜数を競うゲームである。
【0012】
図1は、ゲーム装置100のハードウェア構成の模式図である。
ゲーム装置100は、本体部200と操作デバイス300を含む。本体部200は、ゲーム画面を表示するための大型のディスプレイ202を備える。本実施形態における操作デバイス300はピストン型の装置として構成される。プレイヤは、操作デバイス300が有するハンドル302を通してピストンを押し込むことでミサイル(ゲーム・オブジェクト)を発射させることができる。ゲーム装置100は2つの操作デバイス300を備える。二人のプレイヤはそれぞれの操作デバイス300を操作することでミサイルを発射させ、単位時間あたりの敵キャラクタの撃墜数を競う。
【0013】
プレイヤがハンドル302を押し込むとき、操作デバイス300からチューブ104を経由して流体が射出される。本実施形態における流体は空気であるとして説明する。
【0014】
図2は、操作デバイス300の断面構造の模式図である。
操作デバイス300においてはシリンダ304にピストン306が挿入され、ピストン306の端部にハンドル302が回転可能に固定される(詳細後述)。上述したように、プレイヤがハンドル302を押し込むと、シリンダ304内に充填された空気がピストン306により押されて、空気は流出口310からチューブ104に射出される。流出口310は「流体射出部」として機能する。
【0015】
チューブ104には、圧力計308が設置される。圧力計308は流出口310から射出される空気(流体)の圧力を検出する。圧力計308が検出した最大圧力値は本体部200に通知される。プレイヤはハンドル302を勢いよく押し込むほど、射出される空気の圧力を大きくできる。
【0016】
操作デバイス300のピストン306には可動範囲Lが設定されている。詳細は後述するが、本実施形態においては、空気の最大圧力値に基づいてゲームGが制御される。プレイヤは可動範囲Lの全域に渡ってピストン306を押し込む必要はない。プレイヤはピストン306を小刻みに押し込んでもよい。最大圧力値に基づいてゲームGを制御するため、可動範囲L全域を使わなくても、最大圧力値を十分に大きくすることは可能である。
【0017】
図3は、ハンドル302周辺の拡大斜視図である。
プレイヤは、ハンドル302を握ってピストン306を押し込むほかに、ハンドル302を水平方向に回転させることもできる。ハンドル302の下面側には2つの赤外線送信機312が設置される。ハンドル302からは下方に赤外線が常時照射される。床面には赤外線センサ(不図示)が面状に配置されており、赤外線送信機312から照射される赤外線を検出する。ハンドル302の回転にともなって赤外線の検出位置は変化する。本体部200は検出位置に応じてハンドル302の回転角を特定する。赤外線に限らず、ロータリーエンコーダなどの他の既知手段により本体部200はハンドル302の回転角を検出してもよい。プレイヤはハンドル302を回転させながら、ハンドル302を押し込むことでゲームGを制御する。
【0018】
図4は、ゲーム装置100の機能ブロック図である。
本体部200の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサ(co-processor)などの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0019】
操作デバイス300は、流出口310としての流体射出部324を含む。操作検出部322は、圧力計308を含む装置である。操作検出部322は、ピストン306の押し込み操作にともなう空気圧およびハンドル302の回転量の双方を検出する。
【0020】
本体部200は、表示部208、ゲーム制御部204および制御値計算部206を含む。
制御値計算部206は、操作検出部322からハンドル302の回転量と押し込み操作時により射出される空気の最大圧力値を取得し、これらをデジタル値としての「制御値」に変換する。本実施形態における制御値は、最大圧力値に対応する「第1制御値」と、回転量に対応する「第2制御値」を含む。以下、第1制御値および第2制御値をまとめていうときや特に区別しないときには「制御値」とよぶ。
【0021】
ゲーム制御部204は制御値にしたがってゲームGの進行を制御する。表示部208はゲーム制御部204の指示にしたがってゲーム画面をディスプレイ202に表示させる。
【0022】
図5は、ゲーム画面220の画面図である。
ここでは2つの操作デバイス300を操作する二人のプレイヤを、「プレイヤA」、「プレイヤB」とする。ゲーム制御部204はプレイヤAに対応する発射台222Aと、プレイヤBに対応する発射台222Bを画面表示させる。プレイヤAがピストン306をシリンダ304に押し込むと、発射台222Aからはミサイル224Aが発射される。同様にして、プレイヤBの押し込み操作により、発射台222Bからミサイル224Bが発射される。プレイヤはハンドル302を回転させることで発射台222の発射角度、すなわち、ミサイル224の打ち上げ方向を調整できる。
【0023】
プレイヤAがハンドル302を押すと、流出口310から空気が噴射され、圧力計308は空気圧を検出する。制御値計算部206は検出された空気圧の最大値に基づいて第1制御値を算出する。同様にして、制御値計算部206はそのときのハンドル302の回転角に基づいて第2制御値を算出する。
【0024】
第1制御値が所定の閾値T1より大きければ、ゲーム制御部204はミサイル224を発射する。第1制御値が所定の閾値T2(>閾値T1)よりも大きければ、ゲーム制御部204はミサイル224の攻撃力を通常よりもアップさせる(以下、「強化設定」とよぶ)。ゲーム画面220において、ゲーム制御部204は上空から多数の敵キャラクタ226を下降させる。プレイヤは発射台222の発射角度を調整しながらミサイル224を発射することにより敵キャラクタ226を迎撃する。
【0025】
ミサイル224が敵キャラクタ226に当たれば、敵キャラクタ226は撃墜される。二人のプレイヤA、プレイヤBは、3分程度の制限時間内にいかに多くの敵キャラクタ226を撃墜できるかを競う。強化設定されたミサイル224が敵キャラクタ226にぶつかるときには、爆発地点の近くにいる別の敵キャラクタ226も誘爆されるため、1つのミサイル224により複数の敵キャラクタ226を撃墜することもできる。
【0026】
図6は、発射台222の発射の処理過程を示すフローチャートである。
図6に示す処理は、圧力計308が空気圧の変化を検出し、制御値計算部206が第1制御値を計算したときに実行される。具体的には、圧力計308は空気圧の変化(増加)を検出してから一定時間、たとえば、1秒間における空気圧の最大値を制御値計算部206に通知する。制御値計算部206はこの空気圧の最大値を変数とする所定の単調増加関数に基づいて第1制御値を計算する。すなわち、最大空気圧が大きいほど第1制御値は大きな値となる。
【0027】
第1制御値が閾値T1以下であれば(S10のN)、以降の処理は実行されずミサイル224は発射されない。第1制御値が閾値T1以上であれば(S10のY)、ゲーム制御部204は第1制御値が閾値T2より大きいか否かを判定する(S12)。第1制御値が閾値T2よりも大きいときには(S12のY)、ゲーム制御部204はミサイル224の攻撃力を強化設定する(S14)。第1制御値が閾値T2以下のときには(S12のN)攻撃力は変更されず「通常」のままとなる。
【0028】
ゲーム制御部204は、第2制御値(回転角)に基づいて発射台222の方向を制御する(S16)。ゲーム制御部204は指定された発射方向にミサイル224を発射させる(S18)。このあと、ゲーム制御部204は、発射されたミサイル224ごとに敵キャラクタ226の当たり判定も実行する。
【0029】
[総括]
以上、実施形態に基づいてゲーム装置100を説明した。
プレイヤは、ハンドル302を押し込むだけの簡単操作にてミサイル224を発射できる。プレイヤは、ハンドル302を押すことで空気が射出され、その射出された空気によってミサイル224が発射されるかのような操作感を楽しむことができる。ゲームGで好成績を収めるには、プレイヤはハンドル302を強く、多く押し込む必要がある。プレイヤの運動にもなるので体を動かす楽しさを提供できる。
【0030】
プレイヤは、ピストン306の押し込みに際して可動範囲Lをめいっぱい使う必要はない。制御値計算部206は、最大圧力値に基づいて第1制御値とするためである。体の小さな子どもでもピストン306を瞬間的に強く押すことさえできれば十分に大きな第1制御値を得ることができるため、子どもにとっても扱いやすいユーザインタフェースを提供できる。
【0031】
プレイヤは、更に、ハンドル302を回転させることでミサイル224の発射方向を調整できる。ハンドル302とピストン306が一体化しているため、プレイヤは「回しながら押す」という簡単な操作にて、ミサイル224を制御できる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0033】
[変形例]
操作デバイス300において射出される流体は、空気以外の気体であってもよい。たとえば、操作デバイス300は、窒素、水蒸気などを射出してもよい。流体は、気体に限らず、液体であってもよい。たとえば、射出される流体は、水や油であってもよい。流体は空気と液体の混合気であってもよい。
【0034】
流体を射出する操作デバイス300はピストン型に限らない。たとえば、操作デバイス300は、バネあるいは圧電素子によりユーザの押圧を検出可能なボタンを有するジョイパッドであってもよい。制御値計算部206はボタンへの押圧力を検出し、押圧力に対して単調増加する第1制御値を算出してもよい。
【0035】
制御値計算部206は、流体の最大圧力値以外の計測値に基づいて第1制御値を生成してもよい。たとえば、制御値計算部206は流体の単位時間あたりの平均圧力、流体の最大射出速度、流体の単位時間あたりの平均射出速度、流体の射出量、単位時間あたりの射出量のうちの1以上を変数とする任意の単調増加関数により第1制御値を算出してもよい。
【0036】
制御値計算部206は、流体に限らず、ピストン306の移動量あるいは移動速度を変数とする任意の単調増加関数により第1制御値を算出してもよい。たとえば、操作検出部322はエンコーダによりピストン306の移動量あるいは移動速度を計測してもよい。ゲーム制御部204は、このようにして算出された第1制御値によりミサイル224の威力を調整してもよい。
【0037】
制御値計算部206は、ミサイル224などのオブジェクトの攻撃力に限らず、第1制御値に応じてオブジェクトの移動速度、大きさ、形状、色彩を変化させてもよい。
【0038】
ハンドル302はボタンなどの他のユーザインタフェースを備えてもよい。たとえば、ゲーム制御部204は、プレイヤがボタンを押したときにはミサイル224の種類あるいは軌道を変化させてもよい。
【0039】
シューティングゲーム以外にも、ゲーム装置100は応用可能である。たとえばレースゲームにおいて、プレイヤはハンドル302の回転角により車の進行方向を変化させ、ハンドル302の押し込み操作により車の速度を変化させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
100 ゲーム装置、104 チューブ、200 本体部、202 ディスプレイ、204 ゲーム制御部、206 制御値計算部、208 表示部、220 ゲーム画面、222 発射台、222A 発射台、222B 発射台、224 ミサイル、224A ミサイル、224B ミサイル、226 敵キャラクタ、300 操作デバイス、302 ハンドル、304 シリンダ、306 ピストン、308 圧力計、310 流出口、312 赤外線送信機、322 操作検出部、324 流体射出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6