(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102206
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/76 20060101AFI20230714BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230714BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230714BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20230714BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20230714BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H01L29/78 656E
H01L29/78 652R
H01L29/78 652Q
H01L29/78 657F
H01L29/78 653C
H01L29/78 652K
H01L29/78 652D
H01L29/78 658F
H01L27/088 A
H01L27/088 331A
H01L27/092 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002636
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰詔
(72)【発明者】
【氏名】奥田 肇
【テーマコード(参考)】
5F048
【Fターム(参考)】
5F048AB10
5F048AC01
5F048AC03
5F048AC06
5F048AC10
5F048BA02
5F048BA12
5F048BB05
5F048BB11
5F048BB16
5F048BB19
5F048BC01
5F048BC03
5F048BC07
5F048BC12
5F048BD07
5F048BF01
5F048BG12
5F048BG13
5F048BG14
(57)【要約】
【課題】半導体層の結晶欠陥を抑制でき、かつ微細化を図ることができる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
半導体装置は、トレンチ71によって区画された区画領域61を有する半導体層51と、半導体層51の主面52においてトレンチ71から区画領域61の内方部側に間隔を空けて形成され、区画領域61を被覆するフィールド絶縁層と、少なくともトレンチ71内に形成されたトレンチ絶縁層72と、半導体層51の主面52のフィールド絶縁層とトレンチ絶縁層72との間において環状に形成された中間領域78と、中間領域78に形成され、フィールド絶縁層とトレンチ絶縁層72とを連結するブリッジ絶縁層79とを含み、ブリッジ絶縁層79は、半導体層51の主面52に対して埋め込まれたブリッジ埋め込み部209を有している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレンチによって区画された区画領域を有する半導体層と、
前記半導体層の主面において前記トレンチから前記区画領域の内方部側に間隔を空けて形成され、前記区画領域を被覆するフィールド絶縁層と、
少なくとも前記トレンチ内に形成されたトレンチ絶縁層と、
前記半導体層の主面の前記フィールド絶縁層と前記トレンチ絶縁層との間において環状に形成された中間領域と、
前記中間領域に形成され、前記フィールド絶縁層と前記トレンチ絶縁層とを連結するブリッジ絶縁層とを含み、
前記ブリッジ絶縁層は、前記半導体層の主面に対して埋め込まれたブリッジ埋め込み部を有している、半導体装置。
【請求項2】
前記ブリッジ絶縁層は、バーズビークを含む周縁部を有している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トレンチ絶縁層は、前記トレンチの内壁を被覆するトレンチ内部被覆部と、前記トレンチ内部被覆部から前記半導体層の主面に引き出され、前記ブリッジ絶縁層を介して前記フィールド絶縁層に連結されたフィールド被覆部とを含み、
前記フィールド被覆部は、前記半導体層の主面に対して埋め込まれた第1埋め込み部を有し、
前記フィールド絶縁層は、前記半導体層の主面に対して埋め込まれた第2埋め込み部を有し、
前記ブリッジ埋め込み部、前記第1埋め込み部および前記第2埋め込み部は、前記半導体層の主面に沿う方向に一体的に連続する単一の埋め込み部によって形成されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の前記ブリッジ絶縁層が、前記中間領域の環状方向に互いに間隔を空けて形成されており、
前記中間領域に形成され、前記ブリッジ埋め込み部、前記第1埋め込み部および前記第2埋め込み部に囲まれたメサ形状のコンタクト部と、
前記コンタクト部に接続されたコンタクト電極とを含む、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の前記コンタクト部が、前記中間領域の環状方向に互いに等しい間隔を空けて形成されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ブリッジ絶縁層は、前記トレンチ内部被覆部の厚さよりも小さな厚さを有している、請求項3~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記トレンチ内部被覆部の厚さが2000Å以上4000Å以下であり、
前記ブリッジ絶縁層の厚さが1000Å以上3000Å以下である、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体層は、前記ブリッジ埋め込み部の底部に接しており、前記半導体層の主面に対して段差を有する低段面を有し、
前記半導体層の主面と前記半導体層の低段面との間の段差は1000Å以上1500Å以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体層の主面に形成され、前記フィールド絶縁層および前記ブリッジ絶縁層を被覆する層間絶縁層を含み、
前記層間絶縁層は、6000Å以上10000Å以下の厚さを有している、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記フィールド絶縁層、前記トレンチ絶縁層および前記ブリッジ絶縁層は、連続的に延びる一つの絶縁層によって形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記フィールド絶縁層には、開口が形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記区画領域は、絶縁ゲート型のトランジスタを含むアクティブ領域であり、
前記フィールド絶縁層の前記開口内には、前記トランジスタのゲート絶縁層が形成されている、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記トレンチ絶縁層は、前記トレンチ内において凹状の空間を区画するように、前記トレンチの内壁に沿って膜状に形成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記トレンチ内において前記トレンチ絶縁層によって区画された前記凹状の空間に埋め込まれた埋め込み層をさらに含む、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記埋め込み層は、ポリシリコンを含む、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記トレンチは、前記半導体層の主面の法線方向から見た平面視において環状に形成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
半導体層に選択的にトレンチを形成することによって、前記トレンチによって区画された区画領域を前記半導体層に形成する工程と、
熱酸化によって、前記トレンチの内壁および前記半導体層の主面にベース酸化膜を形成する工程と、
前記ベース酸化膜とは異なる材料からなるマスク絶縁膜によって、前記ベース酸化膜の全体を被覆する工程と、
前記マスク絶縁膜を選択的に除去することによって、前記マスク絶縁膜から前記ベース酸化膜の一部をフィールド絶縁部、トレンチ絶縁部およびブリッジ絶縁部として露出させる工程であって、前記フィールド絶縁部が前記トレンチから前記区画領域の内方部側に間隔を空けた前記区画領域の一部を被覆し、前記トレンチ絶縁部が少なくとも前記トレンチの内壁を被覆し、前記ブリッジ絶縁部が前記フィールド絶縁部と前記トレンチ絶縁部との間において環状に形成された前記半導体層の中間領域を選択的に被覆する第1除去工程と、
熱酸化によって、前記ベース酸化膜における前記フィールド絶縁部、前記トレンチ絶縁部および前記ブリッジ絶縁部を選択的に厚膜化する工程と、
前記ベース酸化膜の厚膜化後、前記マスク絶縁膜を除去する第2除去工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1除去工程は、等方性エッチングによって前記マスク絶縁膜を除去する工程を含む、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
熱酸化によって、半導体層の主面にベース酸化膜を形成する工程と、
前記ベース酸化膜とは異なる材料からなるマスク絶縁膜によって、前記ベース酸化膜の全体を被覆する工程と、
前記マスク絶縁膜を選択的に除去することによって、前記マスク絶縁膜から前記ベース酸化膜の一部を第1絶縁部、第2絶縁部およびブリッジ絶縁部として露出させる工程であって、前記第2絶縁部が前記第1絶縁部を取り囲み、前記ブリッジ絶縁部が前記第1絶縁部と前記第2絶縁部とを部分的に連結する第1除去工程と、
前記第2絶縁部の一部および当該第2絶縁部の一部に被覆されていた前記半導体層の領域を選択的に除去することによって、前記半導体層にトレンチを形成し、前記トレンチによって区画された区画領域を前記半導体層に形成する工程と、
熱酸化によって、前記ベース酸化膜における前記第1絶縁部および前記ブリッジ絶縁部、ならびに前記トレンチの形成時に除去されなかった前記第2絶縁部の残りの部分を選択的に厚膜化するとともに、前記トレンチの内壁にトレンチ内部被覆部を形成する工程と、
前記ベース酸化膜の厚膜化および前記トレンチ内部被覆部の形成後、前記マスク絶縁膜を除去する第2除去工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第2除去工程は、異方性エッチングによって前記マスク絶縁膜を除去する工程を含む、請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1トレンチによって区画されたn型MIS領域を有する半導体層と、第1トレンチ内に形成された第1トレンチ絶縁層と、半導体層の第1主面において第1トレンチからn型MIS領域の内方部側に間隔を空けて形成され、n型MIS領域を被覆する第1フィールド絶縁層と、半導体層の第1主面において第1トレンチおよび第1フィールド絶縁層の間の領域に形成され、第1トレンチ絶縁層および第1フィールド絶縁層に連結された第1ブリッジ絶縁層とを含む、半導体装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態は、半導体層の結晶欠陥を抑制でき、かつ微細化を図ることができる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る半導体装置は、トレンチによって区画された区画領域を有する半導体層と、前記半導体層の主面において前記トレンチから前記区画領域の内方部側に間隔を空けて形成され、前記区画領域を被覆するフィールド絶縁層と、少なくとも前記トレンチ内に形成されたトレンチ絶縁層と、前記半導体層の主面の前記フィールド絶縁層と前記トレンチ絶縁層との間において環状に形成された中間領域と、前記中間領域に形成され、前記フィールド絶縁層と前記トレンチ絶縁層とを連結するブリッジ絶縁層とを含み、前記ブリッジ絶縁層は、前記半導体層の主面に対して埋め込まれたブリッジ埋め込み部を有しているである。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態に係る半導体装置によれば、半導体層の結晶欠陥を抑制でき、かつ微細化を図ることができる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、前記半導体装置の内部構造を示す模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIPDチップの電気的構造を示すブロック回路図である。
【
図7】
図7は、
図4のn型MIS領域の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図4のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図11】
図11は、参考例に係る半導体装置を示す平面図であって、結晶欠陥が生じるメカニズムを説明するための図である。
【
図12】
図12は、前記半導体装置の製造フローを示す図である。
【
図13A】
図13Aは、前記半導体装置のブリッジ絶縁層の形成に関連する工程を示す模式的な斜視図である。
【
図14】
図14は、前記半導体装置の製造フローを示す図である。
【
図15A】
図15Aは、前記半導体装置のブリッジ絶縁層の形成に関連する工程を示す模式的な斜視図である。
【
図16】
図16は、
図1の半導体装置において異なるパッケージタイプが適用された形態例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な斜視図である。
図1では、明瞭化のため樹脂パッケージ6を透過して示している。
図2は、半導体装置1の内部構造を示す模式的な平面図である。
【0010】
図1を参照して、半導体装置1は、この形態では、TO-220やTO-252に代表されるTO(Transistor Outline)系のパッケージが、パッケージタイプとして適用された電子部品である。この形態では、TO-252が適用されている。
【0011】
半導体装置1は、半導体チップの一例としてのIPD(Intelligent Power Device)チップ2、ダイパッド3、複数(この形態では、3個)のリード端子4、複数の導線5および樹脂パッケージ6を含む。
【0012】
IPDチップ2は、直方体形状に形成されている。IPDチップ2は、一方側の第1チップ主面10、他方側の第2チップ主面11、ならびに、第1チップ主面10および第2チップ主面11を接続するチップ側面12を有している。第1チップ主面10および第2チップ主面11は、それぞれ、電極が形成された電極面である。つまり、IPDチップ2は、縦型構造を有する半導体チップである。
【0013】
図2を参照して、IPDチップ2は、入力領域13および出力領域14を含む。入力領域13および出力領域14は、素子分離構造15によってそれぞれ区画されている。具体的な説明は省略するが、素子分離構造15は、トレンチに絶縁体が埋め込まれたトレンチ絶縁構造を有していてもよい。
【0014】
入力領域13は、コントロールIC16を含む。入力領域13は、CMIS(Complementary Metal Insulator Semiconductor)が形成されたCMIS領域17を含む。CMIS領域17の具体的な構造については、後述する。出力領域14は、絶縁ゲート型の電界効果トランジスタの一例としての出力パワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)18を含む。出力パワーMISFET18は、コントロールIC16によって制御される。
【0015】
第1チップ主面10の法線方向から見た平面視において、出力領域14の面積S1は、入力領域13の面積S2以上である(S2≦S1)。面積S2に対する面積S1の比S1/S2は、1を超えて10以下であってもよい(1<S1/S2≦10)。入力領域13の平面形状および出力領域14の平面形状は、任意であり、特定の形状に限定されない。
【0016】
ダイパッド3は、直方体形状に形成されている。ダイパッド3は、第2チップ主面11側からIPDチップ2を支持している。ダイパッド3は、導電性接合材19を介してIPDチップ2に接続されている。導電性接合材19は、金属製ペーストまたは半田であってもよい。
【0017】
複数のリード端子4は、外部接続される外部端子として機能する。複数のリード端子4は、ダイパッド3の周囲に設けられている。複数のリード端子4は、この形態では、第1リード端子4a、第2リード端子4bおよび第3リード端子4cを含む。
【0018】
第1リード端子4aおよび第2リード端子4bは、ダイパッド3の一辺(第1辺)に沿って配列されている。第1リード端子4aおよび第2リード端子4bは、それぞれ、ダイパッド3から間隔を空けて配置されている。第1リード端子4aおよび第2リード端子4bは、それぞれ、配列方向に直交する方向に沿って延びる帯状に形成されている。
【0019】
第3リード端子4cは、ダイパッド3と一体的に形成されている。第3リード端子4cは、ダイパッド3の一辺(第1辺)に対向する対向辺(第2辺)から矩形状に引き出されている。第1チップ主面10の法線方向から見た平面視において、第3リード端子4cの中央部には、ダイパッド3に向かって窪んだ切り欠き凹部が形成されている。
【0020】
第1リード端子4aおよび第2リード端子4bは、それぞれ、導線5を介してIPDチップ2の任意の領域に電気的に接続されている。導線5は、ボンディングワイヤを含んでいてもよい。導線5はアルミニウムを含んでいてもよい。導線5は、より具体的には、第1導線5aおよび第2導線5bを含む。第1導線5aは、第1リード端子4aを、入力領域13に電気的に接続させている。第2導線5bは、第2リード端子4bを、出力領域14に電気的に接続させている。
【0021】
出力領域14に接続された第2導線5bは、入力領域13に接続された第1導線5aよりも太い。そして、出力領域14に対する第2導線5bの接続面積は、入力領域13に対する第1導線5aの接続面積よりも大きい。これにより、出力領域14で生じた熱を、第2導線5bを介して外部に適切に放散させることができる。
【0022】
第2導線5bは、この形態では、ブリッジ部8および接続部9を含む。ブリッジ部8は、第2リード端子4bおよび出力領域14の間の領域に架設されている。ブリッジ部8は、第2リード端子4bの上に位置する一端部、および、出力領域14の上に位置する他端部を含む。
【0023】
接続部9は、出力領域14に接続されるように、ブリッジ部8の他端部から出力領域14の上の領域に引き出されている。接続部9は、第1チップ主面10の法線方向から見た平面視において、出力領域14に沿って延びるように、ブリッジ部8が延びる第1方向に対して所定角度だけ傾斜した第2方向に沿って延びている。出力領域14が延びる方向が、ブリッジ部8が延びる方向にほぼ一致している場合には、第2方向は、第1方向にほぼ一致していてもよい。
【0024】
ブリッジ部8および接続部9に分けて第2導線5bを設計することにより、ブリッジ部8が延びる方向に捕らわれることなく、出力領域14に対する接続部9の接続面積を確保できる。これにより、出力領域14で生じた熱を、第2導線5bを介して外部に適切に放散させることができる。
【0025】
第1リード端子4aおよび第2リード端子4bの間の領域には、フレーム部7が設けられている。フレーム部7は、ダイパッド3から引き出されている。フレーム部7は、第1リード端子4aおよび第2リード端子4bの配列方向に直交する方向に沿って延びている。フレーム部7は、製造工程中に、ダイパッド3を支持していたリードフレームの一部が残存したものある。
【0026】
樹脂パッケージ6は、直方体形状に形成されている。樹脂パッケージ6は、封止樹脂を含む。封止樹脂は、エポキシ樹脂であってもよい。樹脂パッケージ6は、IPDチップ2、ダイパッド3、複数のリード端子4およびフレーム部7を封止している。ダイパッド3の裏面は、樹脂パッケージ6から露出している。ダイパッド3の裏面は、IPDチップ2を支持する面とは反対側の面である。複数のリード端子4は、それぞれ、樹脂パッケージ6の内部から外部に引き出されている。フレーム部7は、樹脂パッケージ6の内部から外部に引き出されている。
【0027】
図3は、
図1に示すIPDチップ2の電気的構造を示すブロック回路図である。以下では、半導体装置1が車に搭載された場合を例にとって説明する。
【0028】
図3を参照して、IPDチップ2は、主電源端子部21、入力端子部22、出力端子部23、グランド端子部24、ENABLE端子部25およびSENSE端子部26を含む。
【0029】
主電源端子部21は、バッテリに接続されてもよい。主電源端子部21には、12V~14V程度の主電圧が印加されてもよい。主電源端子部21は、IPDチップ2内の各種回路部に主電圧を提供する。
【0030】
入力端子部22は、マイクロコントローラユニット、DC/DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等に接続されてもよい。入力端子部22には、5Vの入力電圧が印加されてもよい。出力端子部23は、負荷に接続される。グランド端子部24は、IPDチップ2内の各種回路部にグランド電圧を提供する。
【0031】
ENABLE端子部25は、マイクロコントローラユニットに接続されてもよい。ENABLE端子部25には、IPDチップ2の駆動および停止を制御する制御信号が入力されてもよい。SENSE端子部26は、抵抗器に接続されてもよい。
【0032】
IPDチップ2のコントロールIC16は、センサMISFET27、入力回路部28、電圧制御回路部29、保護回路部30、ゲート駆動制御回路部31、アクティブクランプ回路部32、電流検出回路部33、バッテリ逆接続保護回路部34および異常検出回路部35を含む。
【0033】
IPDチップ2の出力パワーMISFET18は、ゲート、ドレインおよびソースを含む。出力パワーMISFET18のゲートは、コントロールIC16(より具体的には、ゲート駆動制御回路部31)に接続されている。
【0034】
出力パワーMISFET18のドレインは、主電源端子部21に接続されている。出力パワーMISFET18のソースは、コントロールIC16(より具体的には、電流検出回路部33)および出力端子部23に接続されている。
【0035】
センサMISFET27は、ゲート、ドレインおよびソースを含む。センサMISFET27のゲートは、ゲート駆動制御回路部31に接続されている。センサMISFET27のドレインは、主電源端子部21に接続されている。センサMISFET27のソースは、電流検出回路部33に接続されている。
【0036】
入力回路部28は、入力端子部22および電圧制御回路部29に接続されている。入力回路部28は、シュミットトリガ回路を含んでいてもよい。入力回路部28は、入力端子部22に印加された電圧信号の波形を整形する。入力回路部28によって生成された信号は、電圧制御回路部29に入力される。
【0037】
電圧制御回路部29は、ゲート駆動制御回路部31、保護回路部30、バッテリ逆接続保護回路部34および異常検出回路部35に接続されている。電圧制御回路部29は、入力回路部28の信号および保護回路部30の信号に応じて、種々の電圧を生成する。
【0038】
電圧制御回路部29は、この形態では、駆動電圧回路部36、第1定電圧回路部37、第2定電圧回路部38および基準電圧・基準電流回路部39を含む。
【0039】
駆動電圧回路部36は、ゲート駆動制御回路部31を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧は、主電圧から所定値を差し引いた値に設定されてもよい。駆動電圧は、主電圧から5Vを差し引いた7V~9V程度に設定されてもよい。駆動電圧は、ゲート駆動制御回路部31に入力される。
【0040】
第1定電圧回路部37は、保護回路部30を駆動するための第1定電圧を生成する。第1定電圧は、5V程度であってもよい。第1定電圧回路部37は、ツェナーダイオードを含んでいてもよい。第1定電圧回路部37によって生成された第1定電圧は、保護回路部30(より具体的には、後述する負荷オープン検出回路部41等)に入力される。
【0041】
第2定電圧回路部38は、保護回路部30を駆動するための第2定電圧を生成する。第1定電圧は、5V程度であってもよい。第2定電圧回路部38は、レギュレータ回路を含んでいてもよい。第2定電圧回路部38によって生成された第2定電圧は、保護回路部30(より具体的には、後述する過熱保護回路部42や低電圧誤動作抑制回路部43)に入力される。
【0042】
基準電圧・基準電流回路部39は、各種回路部の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧は、5V程度であってもよい。基準電流は、数mA~数百mAであってもよい。基準電圧・基準電流回路部39によって生成された基準電圧および基準電流は、各種回路部に入力される。各種回路部がコンパレータを含む場合、基準電圧および基準電流は、当該コンパレータに入力される。
【0043】
保護回路部30は、ゲート駆動制御回路部31、異常検出回路部35、センサMISFET27のソースおよび出力パワーMISFET18のソースに接続されている。保護回路部30は、過電流保護回路部40、負荷オープン検出回路部41、過熱保護回路部42および低電圧誤動作抑制回路部43を含む。
【0044】
過電流保護回路部40は、ゲート駆動制御回路部31およびセンサMISFET27のソースに接続されている。過電流保護回路部40は、過電流から出力パワーMISFET18を保護する。過電流保護回路部40は、電流モニタ回路を含んでいてもよい。過電流保護回路部40によって生成された信号は、ゲート駆動制御回路部31(より具体的には、後述する駆動信号出力回路部46)に入力される。
【0045】
負荷オープン検出回路部41は、電圧制御回路部29および出力パワーMISFET18のソースに接続されている。負荷オープン検出回路部41は、出力パワーMISFET18のショート状態やオープン状態を検出する。負荷オープン検出回路部41によって生成された信号は、電圧制御回路部29に入力される。
【0046】
過熱保護回路部42は、IPDチップ2の温度を監視する。過熱保護回路部42は、サーミスタ等の感温デバイスを含んでいてもよい。過熱保護回路部42は、過度な温度上昇から出力パワーMISFET18を保護する。過熱保護回路部42によって生成された信号は、電圧制御回路部29に入力される。
【0047】
低電圧誤動作抑制回路部43は、主電圧が所定値未満である場合に、出力パワーMISFET18が誤動作するのを抑制する。低電圧誤動作抑制回路部43によって生成された信号は、電圧制御回路部29に入力される。
【0048】
保護回路部30の電圧は、異常検出回路部35によって監視されている。保護回路部30において、過電流保護回路部40、負荷オープン検出回路部41、過熱保護回路部42および低電圧誤動作抑制回路部43のいずれかに不具合が生じた場合、保護回路部30の電圧に変動が生じる。保護回路部30の変動後の電圧は、電圧検出信号として異常検出回路部35に入力される。
【0049】
ゲート駆動制御回路部31は、出力パワーMISFET18のゲートおよびセンサMISFET27のゲートに接続されている。ゲート駆動制御回路部31は、電圧制御回路部29の信号および保護回路部30の信号に応じて、ゲート駆動信号を生成する。ゲート駆動信号は、出力パワーMISFET18のゲートおよびセンサMISFET27のゲートをオン/オフさせるための信号である。ゲート駆動制御回路部31からのゲート駆動信号は、出力パワーMISFET18のゲートおよびセンサMISFET27のゲートに入力される。
【0050】
ゲート駆動制御回路部31は、より具体的には、発振回路部44、チャージポンプ回路部45および駆動信号出力回路部46を含む。
【0051】
発振回路部44は、電圧制御回路部29の信号に応じて発振する。発振回路部44によって生成された信号は、チャージポンプ回路部45に入力される。チャージポンプ回路部45は、発振回路部44の信号を昇圧させる。チャージポンプ回路部45によって生成された信号は、駆動信号出力回路部46に入力される。
【0052】
駆動信号出力回路部46は、チャージポンプ回路部45の信号および保護回路部30(より具体的には、過電流保護回路部40)の信号に応じてゲート駆動信号を生成する。駆動信号出力回路部46によって生成されたゲート駆動信号は、出力パワーMISFET18のゲートおよびセンサMISFET27のゲートに入力される。これにより、センサMISFET27および出力パワーMISFET18が同時に駆動制御される。
【0053】
アクティブクランプ回路部32は、主電源端子部21、出力パワーMISFET18のゲートおよびセンサMISFET27のゲートに接続されている。アクティブクランプ回路部32は、サージ電圧から出力パワーMISFET18を保護する。サージ電圧には、主電源端子部21に対する印加電圧がオフに切り替わった際に生じ得るターンオフサージ電圧が含まれてもよい。
【0054】
アクティブクランプ回路部32は、互いに逆バイアス接続された二つのダイオードを含んでいてもよい。二つのダイオードは、ツェナーダイオードおよびpn接合ダイオードを含んでいてもよい。
【0055】
電流検出回路部33は、センサMISFET27のソースおよび出力パワーMISFET18のソースに接続されている。電流検出回路部33は、センサMISFET27によって生成された信号および出力パワーMISFET18によって生成された信号に応じて、電流検出信号を生成する。電流検出回路部33によって生成された電流検出信号は、異常検出回路部35に入力される。
【0056】
バッテリ逆接続保護回路部34は、グランド端子部24およびゲート駆動制御回路部31に接続されている。バッテリ逆接続保護回路部34は、バッテリが逆接続された際に、逆電圧から電圧制御回路部29や出力パワーMISFET18等を保護する。
【0057】
異常検出回路部35は、第1マルチプレクサ回路部47および第2マルチプレクサ回路部48を含む。第1マルチプレクサ回路部47は、2つの入力部および1つの出力部を含む。第2マルチプレクサ回路部48は、2つの入力部、1つの出力部および1つの選択制御入力部を含む。
【0058】
第1マルチプレクサ回路部47の入力部には、ENABLE端子部25および第2マルチプレクサ回路部48の出力部がそれぞれ接続されている。第1マルチプレクサ回路部47の出力部には、SENSE端子部26が接続されている。
【0059】
第2マルチプレクサ回路部48の入力部には、保護回路部30および電流検出回路部33がそれぞれ接続されている。第2マルチプレクサ回路部48の出力部には、SENSE端子部26が接続されている。第2マルチプレクサ回路部48の選択制御入力部には、電圧制御回路部29が接続されている。第2マルチプレクサ回路部48は、電圧制御回路部29の信号、保護回路部30の電圧検出信号および電流検出回路部33の電流検出信号に応じて、異常検出信号を生成する。第2マルチプレクサ回路部48によって生成された異常検出信号は、第1マルチプレクサ回路部47に入力される。
【0060】
たとえば、マイクロコントローラユニットからENABLE端子部25にオン信号が入力されている場合、異常検出信号は、異常検出電流信号としてSENSE端子部26から取り出される。異常検出電流信号は、SENSE端子部26に外付けされた抵抗器によって電圧信号に変換される。IPDチップ2の状態異常は、この電圧信号に基づいて検出される。
【0061】
図4は、
図2の領域IVの拡大図である。
図5は、
図4のV-V線に沿う断面図である。
図6は、
図4のVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、
図4のn型MIS領域61の一部を拡大して示す斜視図である。
図8は、
図4のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9は、
図4のIX-IX線に沿う断面図である。なお、
図5~
図9では、半導体層51の第1主面52の高さ位置を一直線の破線で示している。また、
図7では、
図5および
図6で示された構成のうち、説明に必要な構成のみを示している。
【0062】
図2および
図4~
図9を参照して、IPDチップ2は、半導体層51を含む。半導体層51は、直方体形状に形成されている。半導体層51は、一方側の第1主面52、他方側の第2主面53、ならびに、第1主面52および第2主面53を接続する側面54(
図2参照)を有している。第1主面52および第2主面53は、それらの法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において、四角形状(より具体的には長方形状)に形成されている。
【0063】
図5~
図9を参照して、半導体層51は、この形態では、半導体基板55、および、半導体基板55の上に形成されたエピタキシャル層56を含む積層構造を有している。半導体基板55によって半導体層51の第2主面53が形成されている。エピタキシャル層56によって半導体層51の第1主面52が形成されている。半導体基板55およびエピタキシャル層56によって、半導体層51の側面54(
図2参照)が形成されている。
【0064】
半導体基板55は、n型半導体基板である。エピタキシャル層56は、半導体基板55のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有するn型エピタキシャル層である。半導体層51の第2主面53には、裏面電極57が形成されている。裏面電極57は、導電性接合材19を介してダイパッド3に接合される(
図1も併せて参照)。
【0065】
図4を参照して、IPDチップ2の入力領域13において、半導体層51の第1主面52には、アクティブ領域の一例としてのCMIS領域17が形成されている。CMIS領域17は、互いに電気的に分離されたn型MIS領域61およびp型MIS領域62を含む。CMIS領域17は、第1素子分離構造63および第2素子分離構造64をさらに含む。第1素子分離構造63および第2素子分離構造64は、この形態では、互いに間隔を空けて形成されている。
【0066】
第1素子分離構造63は、n型MIS領域61を他の領域から区画している。第1素子分離構造63は、n型MIS領域61を取り囲む環状に形成されている。n型MIS領域61は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。第1素子分離構造63は、平面視においてn型MIS領域61を取り囲む四角環状に形成されている。
【0067】
第2素子分離構造64は、p型MIS領域62を他の領域から区画している。第2素子分離構造64は、p型MIS領域62を取り囲む環状に形成されている。p型MIS領域62は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。第2素子分離構造64は、平面視においてp型MIS領域62を取り囲む四角環状に形成されている。
【0068】
以下、
図4~
図7を参照して、n型MIS領域61側の構造について説明した後、
図4、
図8および
図9を参照して、p型MIS領域62側の構造について説明する。なお、p型MIS領域62側の構造に対応する斜視図については、
図7のn型MIS領域61側の構造と同じであるため省略する。
【0069】
図4~
図7を参照して、n型MIS領域61において半導体層51の第1主面52の表層部には、n型MIS領域61を区画する第1トレンチ71が形成されている。
【0070】
第1トレンチ71は、平面視においてn型MIS領域61を取り囲む四角環状に形成されている。第1トレンチ71の深さは、1μm以上10μm以下(たとえば4μm程度)であってもよい。
【0071】
第1トレンチ71の内部には、第1トレンチ絶縁層72を介して第1埋め込み層73が形成されている(
図7では省略)。第1素子分離構造63は、第1トレンチ71、第1トレンチ絶縁層72および第1埋め込み層73を含む第1トレンチ絶縁構造を有している。第1素子分離構造63は、第1トレンチ71の深さやアスペクト比に応じて、DTI(Deep Trench Isolation)構造やSTI(Shallow Trench Isolation)構造とも称される。
【0072】
第1トレンチ絶縁層72は、酸化シリコンを含んでいてもよい。第1トレンチ絶縁層72は、第1トレンチ71の内壁面に沿って膜状に形成されている。これにより、第1トレンチ71の内部には、第1トレンチ絶縁層72によって、凹状の空間が区画されている。
【0073】
図5~
図7を参照して、第1トレンチ絶縁層72は、トレンチ内部被覆部201と、第1フィールド被覆部202とを含む。
【0074】
トレンチ内部被覆部201は、第1トレンチ71の内部に形成され、第1トレンチ71の内壁面を被覆している。トレンチ内部被覆部201は、たとえば、2000Å以上4000Å以下の厚さT1(
図5および
図6参照)を有している。
【0075】
第1フィールド被覆部202は、第1トレンチ71の内側から半導体層51の第1主面52の上に引き出されている。これにより、第1フィールド被覆部202は、半導体層51のn型MIS領域61を被覆している。第1フィールド被覆部202は、第1トレンチ絶縁層72において半導体層51の第1主面52に重なる領域であるため第1オーバラップ部と称してもよい。
図4では、明瞭化のため、ハッチングによって第1フィールド被覆部202を示している。
【0076】
第1フィールド被覆部202は、第1トレンチ71の開口端から所定の幅を有し、n型MIS領域61の周縁を被覆している。第1フィールド被覆部202は、平面視において第1トレンチ71の内縁に沿う四角環状に形成されている。第1フィールド被覆部202は、平面視において第1トレンチ71の内縁に沿う有端帯状に形成されていてもよい。第1フィールド被覆部202は、半導体層51の第1主面52を被覆する一体なフィールド絶縁層96の一部として形成されている。フィールド絶縁層96は、n型MIS領域61内に形成された複数の半導体領域同士を互いに分離する領域分離絶縁層である。
【0077】
図6を参照して、第1フィールド被覆部202は、トレンチ内部被覆部201の厚さT1よりも小さな厚さT2を有している。第1フィールド被覆部202の厚さT2は、たとえば、500Å以上3000Å以下であってもよい。第1フィールド被覆部202は、半導体層51の第1主面52に対して埋め込まれた第1埋め込み部203と、第1主面52に対して突出する第1突出部204とを一体的に含む。第1フィールド被覆部202の厚さT2は、第1埋め込み部203の厚さT3と第1突出部204の厚さT4との合計の厚さ(T2=T3+T4)であってもよい。
【0078】
半導体層51は、第1埋め込み部203の底部に接しており、第1主面52に対して段差S1を有する第1低段面205を有している。したがって、第1フィールド被覆部202は、第1主面52と第1低段面205との間の段差S1に相当する厚さ分、半導体層51に埋め込まれている。第1埋め込み部203の厚さT3(=段差S1)は、たとえば、1000Å以上1500Å以下であってもよい。一方、第1フィールド被覆部202は、第1主面52と第1突出部204の上面との間の段差S2に相当する厚さ分、半導体層51の第1主面52から突出している。第1突出部204の厚さT4(=段差S2)は、第1埋め込み部203の厚さT3よりも小さく、たとえば、-500Å以上1500Å以下であってもよい。つまり、半導体層51の第1主面52に対する第1フィールド被覆部202の埋め込み量は、第1主面52に対する突出量よりも大きくてもよい。なお、上記範囲における「-(マイナス)」の範囲は、第1フィールド被覆部202がエッチングによって深くまで膜減りし、第1突出部204が消失して当該膜減りが第1埋め込み部203まで進行することを意味していてもよい。
【0079】
第1埋め込み層73は、第1トレンチ絶縁層72(トレンチ内部被覆部201)によって区画された凹状の空間に埋め込まれている。第1埋め込み層73は、ポリシリコンを含んでいてもよい。第1埋め込み層73の露出面の上には、第1キャップ絶縁層75が形成されている。第1キャップ絶縁層75は、酸化シリコンを含んでいてもよい。
【0080】
第1トレンチ71の幅W1に対する第1トレンチ絶縁層72(トレンチ内部被覆部201)の厚さT1の比T1/W1は、0.1以上0.5未満であってもよい。第1トレンチ71の幅W1は、0.3μm以上2.0μm以下(たとえば1.6μm)であってもよい。第1トレンチ絶縁層72の厚さT1は、0.1μm以上0.5μm以下(たとえば0.3μm)であってもよい。
【0081】
半導体層51の第1主面52の上には、n型MIS領域61を被覆する第1フィールド絶縁層76が形成されている。
図4では、明瞭化のため、ハッチングによって第1フィールド絶縁層76を示している。第1フィールド絶縁層76は、第1トレンチ71の内縁からn型MIS領域61の内方部側に間隔を空けて形成されている。
【0082】
第1フィールド絶縁層76は、より具体的には、第1トレンチ絶縁層72の第1フィールド被覆部202から間隔を空けて形成されている。第1フィールド絶縁層76の内方部には、半導体層51の第1主面52を露出させる第1開口77が形成されている。これにより、第1フィールド絶縁層76は、平面視において四角環状に形成されている。第1フィールド絶縁層76は、半導体層51の第1主面52を被覆する一体なフィールド絶縁層96の一部として形成されている。
【0083】
図5を参照して、第1フィールド絶縁層76は、第1トレンチ絶縁層72の第1フィールド被覆部202の厚さT2とほぼ等しい厚さT5(T2=T5)を有している。つまり、第1フィールド絶縁層76の厚さT5は、たとえば、1000Å以上3000Å以下であってもよい。第1フィールド絶縁層76は、半導体層51の第1主面52に対して埋め込まれた第1フィールド埋め込み部206と、第1主面52に対して突出する第1フィールド突出部207とを一体的に含む。第1フィールド絶縁層76の厚さT5は、第1フィールド埋め込み部206の厚さT6と第1フィールド突出部207の厚さT7との合計の厚さ(T5=T6+T7)であってもよい。
【0084】
半導体層51は、第1フィールド埋め込み部206の底部に接しており、第1主面52に対して段差S3を有する第1フィールド低段面208を有している。したがって、第1フィールド絶縁層76は、第1主面52と第1フィールド低段面208との間の段差S3に相当する厚さ分、半導体層51に埋め込まれている。第1フィールド埋め込み部206の厚さT6(=段差S3)は、たとえば、1000Å以上1500Å以下であってもよい。一方、第1フィールド絶縁層76は、第1主面52と第1フィールド突出部207の上面との間の段差S4に相当する厚さ分、半導体層51の第1主面52から突出している。第1フィールド突出部207の厚さT7(=段差S4)は、第1フィールド埋め込み部206の厚さT6よりも小さく、たとえば、-500Å以上1500Å以下であってもよい。つまり、半導体層51の第1主面52に対する第1フィールド絶縁層76の埋め込み量は、第1主面52に対する突出量よりも大きくてもよい。なお、上記範囲における「-(マイナス)」の範囲は、第1フィールド絶縁層76がエッチングによって深くまで膜減りし、第1フィールド突出部207が消失して当該膜減りが第1フィールド埋め込み部206まで進行することを意味していてもよい。
【0085】
第1トレンチ絶縁層72および第1フィールド絶縁層76の間の第1中間領域78には、第1ブリッジ絶縁層79が形成されている。
図4では、明瞭化のため、ハッチングによって第1ブリッジ絶縁層79を示している。第1中間領域78は、平面視において第1フィールド絶縁層76を取り囲む四角環状の領域である。
【0086】
図7を参照して、第1ブリッジ絶縁層79は、第1トレンチ絶縁層72および第1フィールド絶縁層76に連結されている。第1ブリッジ絶縁層79は、より具体的には、第1フィールド絶縁層76および第1フィールド被覆部202に連架されている。第1ブリッジ絶縁層79は、半導体層51の第1主面52を被覆する一体なフィールド絶縁層96の一部として形成されている。つまり、この形態では、第1トレンチ絶縁層72の第1フィールド被覆部202、第1フィールド絶縁層76および第1ブリッジ絶縁層79が、連続的に延びる一つのフィールド絶縁層96によって形成されていてもよい。第1ブリッジ絶縁層79、第1トレンチ絶縁層72および第1フィールド絶縁層76は、同一の絶縁材料を含んでいてもよい。第1ブリッジ絶縁層79、第1トレンチ絶縁層72および第1フィールド絶縁層76は、酸化シリコンを含んでいてもよい。
【0087】
図6を参照して、第1ブリッジ絶縁層79は、第1トレンチ絶縁層72の第1フィールド被覆部202の厚さT2とほぼ等しい厚さT8(T2=T8)を有している。つまり、第1ブリッジ絶縁層79の厚さT8は、たとえば、1000Å以上3000Å以下であってもよい。第1ブリッジ絶縁層79は、半導体層51の第1主面52に対して埋め込まれた第1ブリッジ埋め込み部209と、第1主面52に対して突出する第1ブリッジ突出部210とを一体的に含む。第1ブリッジ絶縁層79の厚さT8は、第1ブリッジ埋め込み部209の厚さT9と第1ブリッジ突出部210の厚さT10との合計の厚さ(T8=T9+T10)であってもよい。
【0088】
半導体層51は、第1ブリッジ埋め込み部209の底部に接しており、第1主面52に対して段差S5を有する第1ブリッジ低段面211を有している。したがって、第1ブリッジ絶縁層79は、第1主面52と第1ブリッジ低段面211との間の段差S5に相当する厚さ分、半導体層51に埋め込まれている。第1ブリッジ埋め込み部209の厚さT9(=段差S5)は、たとえば、1000Å以上1500Å以下であってもよい。一方、第1ブリッジ絶縁層79は、第1主面52と第1ブリッジ突出部210の上面との間の段差S6に相当する厚さ分、半導体層51の第1主面52から突出している。第1ブリッジ突出部210の厚さT10(=段差S6)は、第1ブリッジ埋め込み部209の厚さT9よりも小さく、たとえば、-500Å以上1500Å以下であってもよい。つまり、半導体層51の第1主面52に対する第1ブリッジ絶縁層79の埋め込み量は、第1主面52に対する突出量よりも大きくてもよい。なお、上記範囲における「-(マイナス)」の範囲は、第1ブリッジ絶縁層79がエッチングによって深くまで膜減りし、第1ブリッジ突出部210が消失して当該膜減りが第1ブリッジ埋め込み部209まで進行することを意味していてもよい。
【0089】
図4を参照して、第1ブリッジ絶縁層79は、この形態では、第1中間領域78に複数形成されている。第1ブリッジ絶縁層79は、一対の第1連結部分80および一対の第2連結部分81を含む。一対の第1連結部分80は、第1フィールド絶縁層76を挟んで互いに対向するように、任意の第1方向Xに間隔を空けて配置されている。一対の第2連結部分81は、第1フィールド絶縁層76を挟んで互いに対向するように、第1方向Xに交差する第2方向Yに間隔を空けて配置されている。第1方向Xは、この形態では、n型MIS領域61およびp型MIS領域62の配列方向に設定されている。第2方向Yは、この形態では、第1方向Xに直交する方向に設定されている。
【0090】
図4では、4つの一対の第1連結部分80が、第2方向Yに沿って互いに間隔を空けて形成されており、4つの一対の第2連結部分81が、第1方向Xに沿って互いに間隔を空けて形成されている例が示されている。第1トレンチ71の角部に沿う領域において隣接する第1連結部分80および第2連結部分81は、互いに連なっていてもよい。つまり、一対の連結部分が、第1フィールド絶縁層76を挟んで互いに対向するように、第1トレンチ71の対角方向に間隔を空けて配置されていてもよい。
【0091】
第1トレンチ絶縁層72の第1方向Xに沿う伸縮、および、第1フィールド絶縁層76の第1方向Xに沿う伸縮は、一対の第1連結部分80によって規制される。これにより、半導体層51において第1方向Xに沿う応力が生じることが抑制される。
【0092】
第1トレンチ絶縁層72の第2方向Yに沿う伸縮、および、第1フィールド絶縁層76の第2方向Yに沿う伸縮は、一対の第2連結部分81によって規制される。これにより、半導体層51において第2方向Yに沿う応力が生じることが抑制される。
【0093】
このように、第1ブリッジ絶縁層79は、第1中間領域78の幅を所定値に保持する。これにより、第1フィールド絶縁層76および/または第1トレンチ絶縁層72の熱膨張等に起因する第1トレンチ絶縁層72および第1フィールド絶縁層76の相対的な位置関係の変動が抑制される。
【0094】
よって、半導体層51に対する応力の集中が抑制される。これにより、半導体層51に結晶欠陥が生じることが抑制される。したがって、第1ブリッジ絶縁層79は、n型MIS領域61の半導体層51の第1主面52の上において、半導体層51を補強し、結晶欠陥を抑制する結晶欠陥抑制構造を形成している。
【0095】
第1中間領域78には、半導体層51の第1主面52を露出させる第1コンタクト開口82が形成されている。この形態では、第1フィールド絶縁層76の第1開口77の周囲に、複数(この形態では12個)の第1コンタクト開口82が形成されている。
【0096】
第1コンタクト開口82は、第1トレンチ絶縁層72、第1フィールド絶縁層76および第1ブリッジ絶縁層79によって区画されている。第1コンタクト開口82は、平面視において、
図4に示すように円形状に区画されていてもよいし、
図7に示すように四角形状に区画されていてもよい。第1コンタクト開口82は、平面視において三角形状、六角形状等の他の多角形状に区画されていてもよい。
【0097】
第1コンタクト開口82を区画する第1トレンチ絶縁層72、第1フィールド絶縁層76および第1ブリッジ絶縁層79の各周縁部は、バーズビークを含む。バーズビークは、たとえば、半導体層51の第1主面52を選択的にマスクで被覆した状態で熱酸化処理によって酸化膜を形成した際、当該酸化膜がマスクの周縁部下に潜り込んで形成される、酸化膜の周縁部である。酸化膜のバーズビークでは、マスクで被覆されていなかった領域に形成された酸化膜のベース部に比べて厚さが小さくなる。
【0098】
この形態では、第1トレンチ絶縁層72(第1フィールド被覆部202)の周縁部にバーズビーク65が形成され、第1フィールド絶縁層76の周縁部にバーズビーク66が形成され、第1ブリッジ絶縁層79の周縁部にバーズビーク67が形成されている。バーズビーク65~67は、
図7に示すように、第1コンタクト開口82を取り囲む環状に一体的に連続している。したがって、第1コンタクト開口82は、全周にわたってバーズビーク65~67で形成されている。また、
図6に示すように、第1開口77は、第1フィールド絶縁層76のバーズビーク66によって区画されている。
【0099】
第1コンタクト開口82から露出する半導体層51の第1主面52の表層部は、第1コンタクト部97である。
図7を参照して、第1コンタクト部97は、第1ブリッジ埋め込み部209、第1埋め込み部203および第1フィールド埋め込み部206に囲まれたメサ形状に形成されている。つまり、この形態では、フィールド絶縁層96で被覆されていない部分が半導体層51の第1主面52の一部として選択的に突出しており、部分的なメサ形状を形成している。一方、フィールド絶縁層96で被覆された半導体層51の部分は、第1低段面205、第1フィールド低段面208および第1ブリッジ低段面211を含む凹面を形成している。なお、半導体層51の第1主面は、広義に解釈する場合、半導体層51の厚さ方向一方側の第1主面52全体を含んでいてもよい。一方、半導体層51の第1主面は、狭義に解釈する場合、第1主面52のうち、第1低段面205、第1フィールド低段面208および第1ブリッジ低段面211に対して高い位置に形成された主面の部分を含んでいてもよい。
【0100】
図5および
図6を参照して、第1コンタクト開口82内には、半導体層51の第1主面52を被覆する第1コンタクト絶縁層83が形成されている。第1コンタクト絶縁層83は、第1フィールド被覆部202の厚さT2以下の厚さを有している。第1フィールド絶縁層76の第1開口77内には、半導体層51の第1主面52を被覆する第1ゲート絶縁層84が形成されている。第1ゲート絶縁層84は、第1フィールド被覆部202の厚さT2以下の厚さを有している。なお、第1コンタクト絶縁層83は、省略されていてもよい。
【0101】
第1トレンチ71に取り囲まれた領域(n型MIS領域61)において、半導体層51の表層部には、p型ウェル領域85が形成されている。p型ウェル領域85は、第1トレンチ71の深さ方向途中部まで形成されている。p型ウェル領域85の底部は、第1トレンチ71の側壁に接している。
【0102】
p型ウェル領域85の表層部には、p
+型コンタクト領域87が形成されている。p
+型コンタクト領域87は、p型ウェル領域85のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有している。p
+型コンタクト領域87は、平面視において第1コンタクト開口82と重なる領域に形成されている。この形態では、p
+型コンタクト領域87は、第1コンタクト部97に選択的に形成されている。
図5および
図6を参照して、p
+型コンタクト領域87は、バーズビーク65~67と第1コンタクト絶縁層83との境界部を跨り、バーズビーク65~67に重なる部分を有している。
【0103】
p型ウェル領域85の表層部には、さらに、n+型ソース領域88およびn+型ドレイン領域89が互いに間隔を空けて形成されている。n+型ソース領域88およびn+型ドレイン領域89は、それぞれ、平面視において第1フィールド絶縁層76の第1開口77によって取り囲まれた領域内に形成されている。n+型ソース領域88およびn+型ドレイン領域89は、それぞれ、平面視において同一方向に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。
【0104】
半導体層51の第1主面52の上には、第1ゲート電極90、第1コンタクト電極91、第1ソース電極92および第1ドレイン電極93が形成されている。
【0105】
第1ゲート電極90は、第1ゲート絶縁層84の上に形成されている。第1ゲート電極90は、第1ゲート絶縁層84を挟んで、n+型ソース領域88、n+型ドレイン領域89およびp型チャネル領域94に対向している。
【0106】
p型チャネル領域94は、p型ウェル領域85の表層部において、n+型ソース領域88およびn+型ドレイン領域89の間に介在する部分によって形成されている。
【0107】
半導体層51の第1主面52の上には、層間絶縁層95が形成されている。層間絶縁層95は、フィールド絶縁層96、第1ゲート電極90、第1コンタクト電極91、第1ソース電極92および第1ドレイン電極93を被覆している。
【0108】
層間絶縁層95は、単一の絶縁層を含む単層構造を有していてもよい。層間絶縁層95は、複数の絶縁層が積層された積層構造を有していてもよい。層間絶縁層95は、酸化シリコンまたは窒化シリコンを含んでいてもよい。
【0109】
層間絶縁層95は、窒化シリコンおよび酸化シリコンを含む絶縁層を含んでいてもよい。窒化シリコンおよび酸化シリコンを含む絶縁層は、たとえば、窒化シリコン層、HDP(High Density Plasma)酸化シリコン層およびUSG(Undoped Silica Glass)層を含んでいてもよい。より具体的には、窒化シリコン層、HDP酸化シリコン層およびUSG層がこの順で積層された構造を有していてもよい。また、層間絶縁層95は、これらの層のうちいずれかの単層構造であってもよい。USG層は、平坦化された平坦面を有していてもよい。USG層の平坦面は、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法によって研削された研削面であってもよい。
【0110】
層間絶縁層95の厚さT11は、6000Å以上10000Å以下であってもよい。層間絶縁層95が窒化シリコン層、HDP酸化シリコン層およびUSG層の積層構造を含む場合、厚さの内訳は、たとえば、窒化シリコン層が300Å以上600Å以下であり、HDP酸化シリコン層が3000Å以上5000Å以下であり、USG層が3000Å以上5000Å以下であってもよい。
【0111】
第1コンタクト電極91は、層間絶縁層95を貫通して、p+型コンタクト領域87に電気的に接続されている。第1ソース電極92は、層間絶縁層95を貫通して、n+型ソース領域88に電気的に接続されている。第1ドレイン電極93は、層間絶縁層95を貫通して、n+型ドレイン領域89に電気的に接続されている。
【0112】
図4、
図8および
図9を参照して、p型MIS領域62において半導体層51の第1主面52の表層部には、p型MIS領域62を区画する第2トレンチ101が形成されている。
【0113】
第2トレンチ101は、平面視においてp型MIS領域62を取り囲む四角環状に形成されている。第2トレンチ101の深さは、1μm以上10μm以下(たとえば4μm程度)であってもよい。
【0114】
第2トレンチ101の内部には、第2トレンチ絶縁層102を介して第2埋め込み層103が形成されている。第2素子分離構造64は、第2トレンチ101、第2トレンチ絶縁層102および第2埋め込み層103を含む第2トレンチ絶縁構造を有している。第2素子分離構造64は、第2トレンチ101の深さやアスペクト比に応じて、DTI(Deep Trench Isolation)構造やSTI(Shallow Trench Isolation)構造とも称される。
【0115】
第2トレンチ絶縁層102は、酸化シリコンを含んでいてもよい。第2トレンチ絶縁層102は、第2トレンチ101の内壁面に沿って膜状に形成されている。これにより、第2トレンチ101の内部には、第2トレンチ絶縁層102によって、凹状の空間が区画されている。
【0116】
図8および
図9を参照して、第2トレンチ絶縁層102は、トレンチ内部被覆部301と、第2フィールド被覆部302とを含む。
【0117】
トレンチ内部被覆部301は、第2トレンチ101の内部に形成され、第2トレンチ101の内壁面を被覆している。トレンチ内部被覆部301は、たとえば、2000Å以上4000Å以下の厚さT12(
図8および
図9参照)を有している。
【0118】
第2フィールド被覆部302は、第2トレンチ101の内側から半導体層51の第1主面52の上に引き出されている。これにより、第2フィールド被覆部302は、半導体層51のp型MIS領域62を被覆している。第2フィールド被覆部302は、第2トレンチ絶縁層102において半導体層51の第1主面52に重なる領域であるため第2オーバラップ部と称してもよい。
図4では、明瞭化のため、ハッチングによって第2フィールド被覆部302を示している。
【0119】
第2フィールド被覆部302は、第2トレンチ101の開口端から所定の幅を有し、p型MIS領域62の周縁を被覆している。第2フィールド被覆部302は、平面視において第2トレンチ101の内縁に沿う四角環状に形成されている。第2フィールド被覆部302は、平面視において第2トレンチ101の内縁に沿う有端帯状に形成されていてもよい。第2フィールド被覆部302は、半導体層51の第1主面52を被覆する一体なフィールド絶縁層98の一部として形成されている。フィールド絶縁層98は、p型MIS領域62内に形成された複数の半導体領域同士を互いに分離する領域分離絶縁層である。
【0120】
図9を参照して、第2フィールド被覆部302は、トレンチ内部被覆部301の厚さT12よりも小さな厚さT13を有している。第2フィールド被覆部302の厚さT13は、たとえば、1000Å以上3000Å以下であってもよい。第2フィールド被覆部302は、半導体層51の第1主面52に対して埋め込まれた第2埋め込み部303と、第1主面52に対して突出する第2突出部304とを一体的に含む。第2フィールド被覆部302の厚さT13は、第2埋め込み部303の厚さT14と第2突出部304の厚さT15との合計の厚さ(T13=T14+T15)であってもよい。
【0121】
半導体層51は、第2埋め込み部303の底部に接しており、第1主面52に対して段差S7を有する第2低段面305を有している。したがって、第2フィールド被覆部302は、第1主面52と第2低段面305との間の段差S7に相当する厚さ分、半導体層51に埋め込まれている。第2埋め込み部303の厚さT14(=段差S7)は、たとえば、1000Å以上1500Å以下であってもよい。一方、第2フィールド被覆部302は、第1主面52と第2突出部304の上面との間の段差S8に相当する厚さ分、半導体層51の第1主面52から突出している。第2突出部304の厚さT15(=段差S8)は、第2埋め込み部303の厚さT14よりも小さく、たとえば、-500Å以上1500Å以下であってもよい。つまり、半導体層51の第1主面52に対する第2フィールド被覆部302の埋め込み量は、第1主面52に対する突出量よりも大きくてもよい。なお、上記範囲における「-(マイナス)」の範囲は、第2フィールド被覆部302がエッチングによって深くまで膜減りし、第2突出部304が消失して当該膜減りが第2埋め込み部303まで進行することを意味していてもよい。
【0122】
第2埋め込み層103は、第2トレンチ絶縁層102(トレンチ内部被覆部301)によって区画された凹状の空間に埋め込まれている。第2埋め込み層103は、ポリシリコンを含んでいてもよい。第2埋め込み層103の露出面の上には、第2キャップ絶縁層105が形成されている。第2キャップ絶縁層105は、酸化シリコンを含んでいてもよい。
【0123】
第2トレンチ101の幅W2に対する第2トレンチ絶縁層102(トレンチ内部被覆部301)の厚さT12の比T12/W2は、0.1以上0.5未満であってもよい。第2トレンチ101の幅W2は、0.3μm以上2.0μm以下(たとえば1.6μm)であってもよい。第2トレンチ絶縁層102の厚さT12は、0.1μm以上0.5μm以下(たとえば0.3μm)であってもよい。第2トレンチ101の幅W2は、第1トレンチ71の幅W1とほぼ等しくてもよい(W2=W1)。第2トレンチ絶縁層102の厚さT12は、第1トレンチ絶縁層72の厚さT1とほぼ等しくてもよい(T12=T1)。
【0124】
半導体層51の第1主面52の上には、p型MIS領域62を被覆する第2フィールド絶縁層106が形成されている。
図4では、明瞭化のため、ハッチングによって第2フィールド絶縁層106を示している。第2フィールド絶縁層106は、第2トレンチ101の内縁からp型MIS領域62の内方部側に間隔を空けて形成されている。
【0125】
第2フィールド絶縁層106は、より具体的には、第2トレンチ絶縁層102の第2フィールド被覆部302から間隔を空けて形成されている。第2フィールド絶縁層106の内方部には、半導体層51の第1主面52を露出させる第2開口107が形成されている。これにより、第2フィールド絶縁層106は、平面視において四角環状に形成されている。第2フィールド絶縁層106は、半導体層51の第1主面52を被覆する一体なフィールド絶縁層98の一部として形成されている。
【0126】
図8を参照して、第2フィールド絶縁層106は、第2トレンチ絶縁層102の第2フィールド被覆部302の厚さT13とほぼ等しい厚さT16(T13=T16)を有している。つまり、第2フィールド絶縁層106の厚さT16は、たとえば、1000Å以上3000Å以下であってもよい。第2フィールド絶縁層106は、半導体層51の第1主面52に対して埋め込まれた第2フィールド埋め込み部306と、第1主面52に対して突出する第2フィールド突出部307とを一体的に含む。第2フィールド絶縁層106の厚さT16は、第2フィールド埋め込み部306の厚さT17と第2フィールド突出部307の厚さT18との合計の厚さ(T16=T17+T18)であってもよい。
【0127】
半導体層51は、第2フィールド埋め込み部306の底部に接しており、第1主面52に対して段差S9を有する第2フィールド低段面308を有している。したがって、第2フィールド絶縁層106は、第1主面52と第2フィールド低段面308との間の段差S9に相当する厚さ分、半導体層51に埋め込まれている。第2フィールド埋め込み部306の厚さT17(=段差S9)は、たとえば、1000Å以上1500Å以下であってもよい。一方、第2フィールド絶縁層106は、第1主面52と第2フィールド突出部307の上面との間の段差S10に相当する厚さ分、半導体層51の第1主面52から突出している。第2フィールド突出部307の厚さT18(=段差S10)は、第2フィールド埋め込み部306の厚さT17よりも小さく、たとえば、-500Å以上1500Å以下であってもよい。つまり、半導体層51の第1主面52に対する第2フィールド絶縁層106の埋め込み量は、第1主面52に対する突出量よりも大きくてもよい。なお、上記範囲における「-(マイナス)」の範囲は、第2フィールド絶縁層106がエッチングによって深くまで膜減りし、第2フィールド突出部307が消失して当該膜減りが第2フィールド埋め込み部306まで進行することを意味していてもよい。
【0128】
第2トレンチ絶縁層102および第2フィールド絶縁層106の間の第2中間領域108には、第2ブリッジ絶縁層109が形成されている。
図4では、明瞭化のため、ハッチングによって第2ブリッジ絶縁層109を示している。第2中間領域108は、平面視において第2フィールド絶縁層106を取り囲む四角環状の領域である。
【0129】
第2ブリッジ絶縁層109は、第2トレンチ絶縁層102および第2フィールド絶縁層106に連結されている。第2ブリッジ絶縁層109は、より具体的には、第2フィールド絶縁層106および第2フィールド被覆部302に連架されている。第2ブリッジ絶縁層109は、半導体層51の第1主面52を被覆する一体なフィールド絶縁層98の一部として形成されている。つまり、この形態では、第2トレンチ絶縁層102の第2フィールド被覆部302、第2フィールド絶縁層106および第2ブリッジ絶縁層109が、連続的に延びる一つのフィールド絶縁層98によって形成されていてもよい。第2ブリッジ絶縁層109、第2トレンチ絶縁層102および第2フィールド絶縁層106は、同一の絶縁材料を含んでいてもよい。第2ブリッジ絶縁層109、第2トレンチ絶縁層102および第2フィールド絶縁層106は、酸化シリコンを含んでいてもよい。
【0130】
図9を参照して、第2ブリッジ絶縁層109は、第2トレンチ絶縁層102の第2フィールド被覆部302の厚さT13とほぼ等しい厚さT19(T13=T19)を有している。つまり、第2ブリッジ絶縁層109の厚さT19は、たとえば、1000Å以上3000Å以下であってもよい。第2ブリッジ絶縁層109は、半導体層51の第1主面52に対して埋め込まれた第2ブリッジ埋め込み部309と、第1主面52に対して突出する第2ブリッジ突出部310とを一体的に含む。第2ブリッジ絶縁層109の厚さT19は、第2ブリッジ埋め込み部309の厚さT20と第2ブリッジ突出部310の厚さT21との合計の厚さ(T19=T20+T21)であってもよい。
【0131】
半導体層51は、第2ブリッジ埋め込み部309の底部に接しており、第1主面52に対して段差S11を有する第2ブリッジ低段面311を有している。したがって、第2ブリッジ絶縁層109は、第1主面52と第2ブリッジ低段面311との間の段差S11に相当する厚さ分、半導体層51に埋め込まれている。第2ブリッジ埋め込み部309の厚さT20(=段差S11)は、たとえば、1000Å以上1500Å以下であってもよい。一方、第2ブリッジ絶縁層109は、第1主面52と第2ブリッジ突出部310の上面との間の段差S12に相当する厚さ分、半導体層51の第1主面52から突出している。第2ブリッジ突出部310の厚さT21(=段差S12)は、第2ブリッジ埋め込み部309の厚さT20よりも小さく、たとえば、-500Å以上1500Å以下であってもよい。つまり、半導体層51の第1主面52に対する第2ブリッジ絶縁層109の埋め込み量は、第1主面52に対する突出量よりも大きくてもよい。なお、上記範囲における「-(マイナス)」の範囲は、第2ブリッジ絶縁層109がエッチングによって深くまで膜減りし、第2ブリッジ突出部310が消失して当該膜減りが第2ブリッジ埋め込み部309まで進行することを意味していてもよい。
【0132】
図4を参照して、第2ブリッジ絶縁層109は、この形態では、第2中間領域108に複数形成されている。第2ブリッジ絶縁層109は、一対の第1連結部分110および一対の第2連結部分111を含む。一対の第1連結部分110は、第2フィールド絶縁層106を挟んで互いに対向するように、第1方向Xに間隔を空けて配置されている。一対の第2連結部分111は、第2フィールド絶縁層106を挟んで互いに対向するように、第2方向Yに間隔を空けて配置されている。
【0133】
図4では、4つの一対の第1連結部分110が、第2方向Yに沿って互いに間隔を空けて形成されており、4つの一対の第2連結部分111が、第1方向Xに沿って互いに間隔を空けて形成されている例が示されている。第2トレンチ101の角部の領域で互いに隣接する第1連結部分110および第2連結部分111は、互いに連なっていてもよい。つまり、一対の連結部分が、第2フィールド絶縁層106を挟んで互いに対向するように、第2トレンチ101の対角方向に間隔を空けて配置されていてもよい。
【0134】
第2トレンチ絶縁層102の第1方向Xに沿う伸縮、および、第2フィールド絶縁層106の第1方向Xに沿う伸縮は、一対の第1連結部分110によって規制される。これにより、半導体層51において第1方向Xに沿う応力が生じることが抑制される。
【0135】
第2トレンチ絶縁層102の第2方向Yに沿う伸縮、および、第2フィールド絶縁層106の第2方向Yに沿う伸縮は、一対の第2連結部分111によって規制される。これにより、半導体層51において第2方向Yに沿う応力が生じることが抑制される。
【0136】
このように、第2ブリッジ絶縁層109は、第2中間領域108の幅を所定値に保持する。これにより、第2フィールド絶縁層106および/または第2トレンチ絶縁層102の熱膨張等に起因する第2トレンチ絶縁層102および第2フィールド絶縁層106の相対的な位置関係の変動が抑制される。
【0137】
よって、半導体層51に対する応力の集中が抑制される。これにより、半導体層51に結晶欠陥が生じることが抑制される。したがって、第2ブリッジ絶縁層109は、p型MIS領域62の半導体層51の第1主面52の上において、半導体層51を補強し、結晶欠陥を抑制する結晶欠陥抑制構造を形成している。
【0138】
第2中間領域108には、半導体層51の第1主面52を露出させる第2コンタクト開口112が形成されている。この形態では、第2フィールド絶縁層106の第2開口107の周囲に、複数(この形態では12個)の第2コンタクト開口112が形成されている。
【0139】
第2コンタクト開口112は、第2トレンチ絶縁層102、第2フィールド絶縁層106および第2ブリッジ絶縁層109によって区画されている。第2コンタクト開口112は、平面視において、
図4に示すように円形状に区画されていてもよいし、四角形状に区画されていてもよい。第2コンタクト開口112は、平面視において三角形状、六角形状等の他の多角形状に区画されていてもよい。
【0140】
第2コンタクト開口112を区画する第2トレンチ絶縁層102、第2フィールド絶縁層106および第2ブリッジ絶縁層109の各周縁部は、バーズビークを含む。バーズビークは、たとえば、半導体層51の第1主面52を選択的にマスクで被覆した状態で熱酸化処理によって酸化膜を形成した際、当該酸化膜がマスクの周縁部下に潜り込んで形成される、酸化膜の周縁部である。酸化膜のバーズビークでは、マスクで被覆されていなかった領域に形成された酸化膜のベース部に比べて厚さが小さくなる。
【0141】
この形態では、第2トレンチ絶縁層102(第2フィールド被覆部302)の周縁部にバーズビーク68が形成され、第2フィールド絶縁層106の周縁部にバーズビーク69が形成され、第2ブリッジ絶縁層109の周縁部にバーズビーク70が形成されている。バーズビーク68~70は、第2コンタクト開口112を取り囲む環状に一体的に連続している。したがって、第2コンタクト開口112は、全周にわたってバーズビーク68~70で形成されている。また、
図8に示すように、第2開口107は、第2フィールド絶縁層106のバーズビーク69によって区画されている。
【0142】
第2コンタクト開口112から露出する半導体層51の第1主面52の表層部は、第2コンタクト部99である。
図7を参照して、第2コンタクト部99は、第2ブリッジ埋め込み部309、第2埋め込み部303および第2フィールド埋め込み部306に囲まれたメサ形状に形成されている。つまり、この形態では、フィールド絶縁層98で被覆されていない部分が半導体層51の第1主面52の一部として選択的に突出しており、部分的なメサ形状を形成している。一方、フィールド絶縁層98で被覆された半導体層51の部分は、第2低段面305、第2フィールド低段面308および第2ブリッジ低段面311を含む凹面を形成している。なお、半導体層51の第1主面は、広義に解釈する場合、半導体層51の厚さ方向一方側の第1主面52全体を含んでいてもよい。一方、半導体層51の第1主面は、狭義に解釈する場合、第1主面52のうち、第2低段面305、第2フィールド低段面308および第2ブリッジ低段面311に対して高い位置に形成された主面の部分を含んでいてもよい。
【0143】
第2コンタクト開口112内には、半導体層51の第1主面52を被覆する第2コンタクト絶縁層113が形成されている。第2コンタクト絶縁層113は、第2フィールド被覆部302の厚さT13以下の厚さを有している。なお、第2コンタクト絶縁層113は、省略されていてもよい。第2フィールド絶縁層106の第2開口107内には、半導体層51の第1主面52を被覆する第2ゲート絶縁層114が形成されている。第2ゲート絶縁層114は、第2フィールド被覆部302の厚さT13以下の厚さを有している。
【0144】
第2トレンチ101に取り囲まれた領域(p型MIS領域62)において、半導体層51の表層部には、p型ウェル領域115が形成されている。p型ウェル領域115は、第2トレンチ101の深さ方向途中部まで形成されている。p型ウェル領域115の底部は、第2トレンチ101の側壁に接している。
【0145】
p型ウェル領域115の表層部には、n型ウェル領域116が形成されている。n型ウェル領域116は、p型ウェル領域115の深さ方向途中部まで形成されている。
【0146】
n型ウェル領域116の底部は、半導体層51の第1主面52およびp型ウェル領域115の底部の間の領域に位置している。n型ウェル領域116の周縁は、平面視において、第2フィールド絶縁層106の第2開口107を取り囲んでいる。
【0147】
p型ウェル領域115の表層部には、p
+型コンタクト領域117が形成されている。p
+型コンタクト領域117は、p型ウェル領域115のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有している。p
+型コンタクト領域117は、平面視において第2コンタクト開口112に重なる領域に形成されている。この形態では、p
+型コンタクト領域117は、第2コンタクト部99に選択的に形成されている。
図8および
図9を参照して、p
+型コンタクト領域117は、バーズビーク68~70と第2コンタクト絶縁層113との境界部を跨り、バーズビーク68~70に重なる部分を有している。p
+型コンタクト領域117は、n型ウェル領域116から間隔を空けて形成されている。
【0148】
n型ウェル領域116の表層部には、さらに、p+型ソース領域118およびp+型ドレイン領域119が互いに間隔を空けて形成されている。p+型ソース領域118およびp+型ドレイン領域119は、それぞれ、平面視において第2フィールド絶縁層106の第2開口107によって取り囲まれた領域内に形成されている。p+型ソース領域118およびp+型ドレイン領域119は、それぞれ、平面視において同一方向に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。
【0149】
半導体層51の第1主面52の上には、第2ゲート電極120、第2コンタクト電極121、第2ソース電極122および第2ドレイン電極123が形成されている。
【0150】
第2ゲート電極120は、第2ゲート絶縁層114の上に形成されている。第2ゲート電極120は、第2ゲート絶縁層114を挟んで、p+型ソース領域118、p+型ドレイン領域119およびn型チャネル領域124に対向している。
【0151】
n型チャネル領域124は、n型ウェル領域116の表層部において、p+型ソース領域118およびp+型ドレイン領域119の間に介在する部分によって形成されている。
【0152】
半導体層51の第1主面52の上には、層間絶縁層95が形成されている。層間絶縁層95は、フィールド絶縁層98、第2ゲート電極120、第2コンタクト電極121、第2ソース電極122および第2ドレイン電極123を被覆している。
【0153】
第2コンタクト電極121は、層間絶縁層95を貫通して、p+型コンタクト領域117に電気的に接続されている。第2ソース電極122は、層間絶縁層95を貫通して、p+型ソース領域118に電気的に接続されている。第2ドレイン電極123は、層間絶縁層95を貫通して、p+型ドレイン領域119に電気的に接続されている。
【0154】
【0155】
図10を参照して、IPDチップ2の出力領域14において、半導体層51には、出力パワーMISFET18が形成されている。
【0156】
半導体層51の第1主面52の表層部には、ゲートトレンチ132が形成されている。ゲートトレンチ132は、MIS構造の単位セル133を区画している。
【0157】
ゲートトレンチ132は、平面視においてストライプ状または格子状に形成されている。ゲートトレンチ132の深さは、1μm以上10μm以下(この形態では4μm程度)であってもよい。
【0158】
ゲートトレンチ132内には、下側ゲート絶縁層134、下側ゲート電極層135、上側ゲート絶縁層136、上側ゲート電極層137および中間絶縁層138が形成されている。
【0159】
これにより、ゲートトレンチ132を含むスプリットゲート構造139が形成されている。スプリットゲート構造139は、ゲートトレンチ132内において、2つの電極が絶縁体によって上下方向に分離された構造を有している。
【0160】
下側ゲート電極層135は、下側ゲート絶縁層134を挟んでゲートトレンチ132の底部側に埋め込まれている。上側ゲート電極層137は、上側ゲート絶縁層136を挟んでゲートトレンチ132の開口側に埋め込まれている。上側ゲート電極層137は、ゲートトレンチ132内において、下側ゲート電極層135の上に形成されている。
【0161】
中間絶縁層138は、下側ゲート電極層135および上側ゲート電極層137の間の領域に形成されている。下側ゲート電極層135および上側ゲート電極層137は、中間絶縁層138によって互いに絶縁されている。以下、スプリットゲート構造139について具体的に説明する。
【0162】
下側ゲート絶縁層134は、ゲートトレンチ132の底部において、ゲートトレンチ132の内壁に沿って膜状に形成されている。下側ゲート絶縁層134は、ゲートトレンチ132の底部において下側凹部140を区画している。
【0163】
下側ゲート電極層135は、下側凹部140に埋め込まれている。下側ゲート電極層135は、ゲートトレンチ132の側壁に沿って延びる壁状に形成されている。下側ゲート電極層135は、凸部141を有している。
【0164】
凸部141は、下側ゲート絶縁層134の上端よりも上方(半導体層51の第1主面52側)に突出している。中間絶縁層138は、下側ゲート電極層135の凸部141を被覆している。
【0165】
上側ゲート絶縁層136は、ゲートトレンチ132の開口側において、ゲートトレンチ132の内壁に沿って膜状に形成されている。上側ゲート絶縁層136の上端は、半導体層51の第1主面52に形成された表面絶縁層142と一体を成している。上側ゲート絶縁層136の下端は、下側ゲート絶縁層134の上端と一体を成している。
【0166】
下側ゲート電極層135の凸部141の両サイドには、中間絶縁層138、下側ゲート絶縁層134および上側ゲート絶縁層136によって区画された溝が形成されている。これにより、ゲートトレンチ132の開口側には、断面視において逆凹状の上側凹部143が区画されている。
【0167】
上側ゲート電極層137は、上側凹部143に埋め込まれている。上側ゲート電極層137の露出面は、半導体層51の第1主面52よりも下方に位置していてもよい。
【0168】
上側ゲート電極層137の露出面は、ゲートトレンチ132の底壁に向かう凹湾曲状の湾曲面を有していてもよい。上側ゲート電極層137の露出面は、半導体層51の第1主面52に対してほぼ平行な平坦面を有していてもよい。
【0169】
下側ゲート電極層135および上側ゲート電極層137は、それぞれ、ポリシリコンを含んでいてもよい。一つの形態例において、下側ゲート電極層135および上側ゲート電極層137には、ゲート電圧が印加されていてもよい。この構造では、半導体層51のオン抵抗を低下させることができる。
【0170】
他の形態例において、上側ゲート電極層137には、ゲート電圧が印加されている一方で、下側ゲート電極層135には、基準電圧(たとえばソース電圧)が印加されていてもよい。
【0171】
つまり、下側ゲート電極層135は、フィールドプレート電極として形成されていてもよい。この構造では、半導体層51および下側ゲート電極層135の間の寄生容量を低下させることができる。
【0172】
下側ゲート絶縁層134、上側ゲート絶縁層136、中間絶縁層138および表面絶縁層142は、同一の絶縁材料を含んでいてもよい。下側ゲート絶縁層134、上側ゲート絶縁層136、中間絶縁層138および表面絶縁層142は、互いに異なる絶縁材料を含んでいてもよい。
【0173】
下側ゲート絶縁層134、上側ゲート絶縁層136、中間絶縁層138および表面絶縁層142は、SiO2,AlO,TaO,TiO,AlN,AlSiN,TiN,SiN,NiO,WO,BN,CrNまたはSiONのうちの少なくとも1種の絶縁材料を含んでいてもよい。下側ゲート絶縁層134、上側ゲート絶縁層136、中間絶縁層138および表面絶縁層142の代表的な絶縁材料としては、SiO2およびSiNを例示できる。
【0174】
上側ゲート電極層137の露出面の上には、第3キャップ絶縁層144が形成されている。第3キャップ絶縁層144は、酸化シリコンを含んでいてもよい。
【0175】
下側ゲート絶縁層134の厚さは、上側ゲート絶縁層136の厚さ以上であってもよい。中間絶縁層138の厚さは、下側ゲート絶縁層134の厚さ以下であってもよい。中間絶縁層138の厚さは、上側ゲート絶縁層136の厚さ以上であってもよい。中間絶縁層138の厚さは、上側ゲート絶縁層136の厚さ以下であってもよい。
【0176】
ゲートトレンチ132の幅に対する下側ゲート絶縁層134の厚さの比(厚さ/幅)は、0.1以上0.5未満であってもよい。ゲートトレンチ132の幅に対する上側ゲート絶縁層136の厚さの比(厚さ/幅)は、0.01以上0.05以下であってもよい。ゲートトレンチ132の幅は、0.3μm以上2.0μm以下(たとえば1.6μm)であってもよい。下側ゲート絶縁層134の厚さは、0.1μm以上0.5μm以下(たとえば0.3μm)であってもよい。上側ゲート絶縁層136の厚さは、0.01μm以上0.05μm以下(たとえば0.03μm)であってもよい。
【0177】
単位セル133は、p型ボディ領域145、n+型ソース領域146およびp+型コンタクト領域147を含む。
【0178】
p型ボディ領域145は、半導体層51の第1主面52の表層部に形成されている。p型ボディ領域145は、ゲートトレンチ132の深さ方向途中部まで形成されている。
【0179】
p型ボディ領域145の底部は、ゲートトレンチ132の側壁に接している。p型ボディ領域145は、互いに隣り合う複数のゲートトレンチ132によって共有されている。
【0180】
n+型ソース領域146は、p型ボディ領域145の表層部に形成されている。n+型ソース領域146は、ゲートトレンチ132の側壁に沿って形成されている。n+型ソース領域146は、上側ゲート絶縁層136を挟んで上側ゲート電極層137と対向している。
【0181】
p+型コンタクト領域147は、p型ボディ領域145の表層部に形成されている。p+型コンタクト領域147は、n+型ソース領域146を貫通しており、p型ボディ領域145に電気的に接続されていてもよい。また、n+型ソース領域146およびp+型コンタクト領域147は、それぞれ、リソグラフィ技術およびイオン注入技術によってp型ボディ領域145に選択的に形成されていてもよい。
【0182】
p+型コンタクト領域147は、ゲートトレンチ132の側壁から間隔を空けて形成されている。p+型コンタクト領域147は、ゲートトレンチ132の側壁に接する部分を有していてもよい。
【0183】
上側ゲート電極層137は、上側ゲート絶縁層136を挟んで、n+型ソース領域146、p型チャネル領域148およびエピタキシャル層56に対向している。p型チャネル領域148は、p型ボディ領域145において、n+型ソース領域146およびエピタキシャル層56の間の領域によって形成されている。
【0184】
半導体層51の第1主面52の上には、ソースパッド電極150が形成されている。ソースパッド電極150は、n+型ソース領域146およびp+型コンタクト領域147に電気的に接続されている。
【0185】
半導体層51の第1主面52の上には、層間絶縁層95が形成されている。層間絶縁層95は、スプリットゲート構造139およびソースパッド電極150を被覆している。
【0186】
図11は、参考例に係る半導体装置151を示す平面図であって、結晶欠陥が生じるメカニズムを説明するための図である。
図11は、半導体装置1のn型MIS領域61に対応する部分の画像でもある。
【0187】
図11において、半導体装置1に対して述べられた構造と同様の構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。また、参考例に係る半導体装置151において、p型MIS領域62側の構造は、n型MIS領域61側の構造と同様であるので説明を省略する。
【0188】
参考例に係る半導体装置151では、第1ブリッジ絶縁層79が形成されていない。第1フィールド絶縁層76は、島状に形成されている。第1トレンチ絶縁層72および第1フィールド絶縁層76は、互いに独立して存在している。
【0189】
第1トレンチ絶縁層72および第1フィールド絶縁層76の間の第1中間領域78の全域には、第1コンタクト開口82が形成されている。第1コンタクト開口82は、平面視において第1フィールド絶縁層76を取り囲む四角環状に形成されている。
【0190】
p+型コンタクト領域87は、平面視において第1コンタクト開口82に沿う四角環状に形成されている。また、第1コンタクト電極91は、平面視において第1コンタクト開口82に沿う四角環状に形成されている。
【0191】
このような構造の場合、p+型コンタクト領域87に対する第1コンタクト電極91の接続面積を増加させることができる。これにより、電位の安定化を図ることができる。
【0192】
しかし、第1トレンチ絶縁層72、第1埋め込み層73および/または第1フィールド絶縁層76の熱膨張等に起因する伸縮の影響は、それぞれ独立して半導体層51に付与される。
【0193】
その結果、第1トレンチ絶縁層72、第1埋め込み層73および/または第1フィールド絶縁層76の相対的な位置関係が変動するから、半導体層51において応力が生じる。
【0194】
半導体層51に生じた応力によって、半導体層51において結晶欠陥152が引き起こされてしまう(破線で取り囲まれた領域参照)。このような結晶欠陥152は、半導体装置151の品質を劣化させる。
【0195】
これに対して、半導体装置1では、第1トレンチ絶縁層72および第1フィールド絶縁層76の間の第1中間領域78に、第1ブリッジ絶縁層79が形成されている。これにより、第1中間領域78の幅を、第1ブリッジ絶縁層79によって所定値に保持できる。その結果、第1トレンチ絶縁層72および第1フィールド絶縁層76の相対的な位置関係が、第1フィールド絶縁層76および/または第1トレンチ絶縁層72の熱膨張等に起因する伸縮によって変動するのを抑制することができる。よって、半導体層51に対する応力を抑制することができる。
【0196】
とりわけ、この形態では、第1ブリッジ絶縁層79が、第1中間領域78に複数形成されている。複数の第1ブリッジ絶縁層79は、一対の第1連結部分80および一対の第2連結部分81を含む。一対の第1連結部分80は、第1フィールド絶縁層76を挟んで互いに対向するように、第1方向Xに間隔を空けて配置されている。一対の第2連結部分81は、第1フィールド絶縁層76を挟んで互いに対向するように、第2方向Yに間隔を空けて配置されている。これにより、第1トレンチ絶縁層72の第1方向Xに沿う伸縮、および、第1フィールド絶縁層76の第1方向Xに沿う伸縮を、一対の第1連結部分80によって規制できる。その結果、半導体層51において第1方向Xに沿う応力を抑制することができる。
【0197】
また、第1トレンチ絶縁層72の第2方向Yに沿う伸縮、および、第1フィールド絶縁層76の第2方向Yに沿う伸縮を、一対の第2連結部分81によって規制できる。その結果、半導体層51において第2方向Yに沿う応力を抑制することができる。よって、半導体層51に結晶欠陥152が生じるのを適切に抑制できる半導体装置1を提供できる。
【0198】
次に、半導体装置1の製造フローを第1形態および第2形態に分けて説明する。
[製造フローの第1形態]
図12は、半導体装置1の製造フロー(第1形態)を示す図である。
図13A~
図13Eは、半導体装置1の第1ブリッジ絶縁層79の形成に関連する工程を示す模式的な斜視図であり、
図7に対応する斜視図である。
図13A~
図13Eでは、入力領域13のうち、n型MIS領域61だけが示されているが、p型MIS領域62にもn型MIS領域61と同じ構造が形成される。
【0199】
半導体装置1を製造するには、まず、
図13Aを参照して、一枚の円板状の半導体ウエハ161が準備される(ステップS1)。半導体ウエハ161は、シリコン製の半導体ウエハであってもよい。半導体ウエハ161は、半導体層51のベースとなる。次に、所定パターンを有する第1エッチングマスク(図示せず)が、半導体ウエハ161の第1主面162の上に形成される。第1エッチングマスクは、第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132を形成すべき領域を露出させる複数の開口を選択的に有している。
【0200】
次に、
図13Aを参照して、第1エッチングマスクを介するエッチング法によって、半導体ウエハ161の表層部が選択的に除去される。これにより、半導体ウエハ161の第1主面162に、第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132が形成される(ステップS2)。
図13Aでは、第1トレンチ71のみが示されている。第1トレンチ71によってn型MIS領域61が区画され、第2トレンチ101によってp型MIS領域62が区画される。
【0201】
次に、
図13Bを参照して、半導体ウエハ161の第1主面162にベース酸化膜212が形成される(ステップS3)。ベース酸化膜212は、半導体ウエハ161の第1主面162、第1トレンチ71の内壁、第2トレンチ101の内壁およびゲートトレンチ132の内壁に沿って形成される。ベース酸化膜212は、酸化シリコンであってもよい。ベース酸化膜212は、たとえば、300Å以上600Å以下の厚さを有していてもよい。ベース酸化膜212は、酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。ベース酸化膜212は、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法によって形成されてもよい。
【0202】
次に、
図13Bを参照して、ベース酸化膜212上にマスク絶縁膜213が形成される(ステップS4)。マスク絶縁膜213は、ベース酸化膜212の全体を被覆するように、半導体ウエハ161の第1主面162の全面に形成される。マスク絶縁膜213は、ベース酸化膜212とは異なる絶縁材料からなる。マスク絶縁膜213は、ベース酸化膜212よりも大きな厚さを有している。マスク絶縁膜213は、たとえば、1000Å以上2000Å以下の厚さを有していてもよい。この形態では、マスク絶縁膜213は、窒化シリコンであってもよい。マスク絶縁膜213は、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法によって形成されてもよい。
【0203】
次に、
図13Cを参照して、マスク絶縁膜213が選択的にエッチングされてパターニングされる(ステップS5)。より具体的には、所定パターンを有する第2エッチングマスク(図示せず)が、マスク絶縁膜213の全体を被覆するように、半導体ウエハ161の第1主面162の全面に形成される。第2エッチングマスクは、ベース酸化膜212の一部をフィールド絶縁部76A、トレンチ絶縁部72Aおよびブリッジ絶縁部79Aとして露出させるための開口を選択的に有している。フィールド絶縁部76A、トレンチ絶縁部72Aおよびブリッジ絶縁部79Aは、それぞれ、第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72および第1ブリッジ絶縁層79に対応している。つまり、フィールド絶縁部76Aは、第1トレンチ71からn型MIS領域61の内方部側に間隔を空けたn型MIS領域61の一部を被覆している。トレンチ絶縁部72Aは、少なくとも第1トレンチ71の内壁および第1トレンチ71から引き出された第1主面162の所定幅の部分を被覆している。ブリッジ絶縁部79Aは、フィールド絶縁部76Aとトレンチ絶縁部72Aとの間において環状に形成された第1中間領域78を被覆している。そして、第2エッチングマスクを介するエッチング法によって、マスク絶縁膜213が選択的に除去される。これにより、マスク絶縁膜213の除去された部分から、フィールド絶縁部76A、トレンチ絶縁部72Aおよびブリッジ絶縁部79Aが露出する。
【0204】
マスク絶縁膜213の除去は、等方性エッチングで行うことが好ましい。等方性エッチングを採用することによって、第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132内のマスク絶縁膜213をできる限り残存させずに効率よく除去することができる。等方性エッチングとしては、たとえば、等方性ウエットエッチング、等方性ケミカルドライエッチング(CDE)等が挙げられ、適宜選択してもよい。
【0205】
次に、
図13Dを参照して、ベース酸化膜212が厚膜化される(ステップS6)。より具体的には、ベース酸化膜212がマスク絶縁膜213で選択的に被覆された状態で熱酸化処理される。これにより、マスク絶縁膜213から選択的に露出しているベース酸化膜212のフィールド絶縁部76A、トレンチ絶縁部72Aおよびブリッジ絶縁部79Aにおいて熱酸化が進行し、当該部分76A,72A,79Aが選択的に厚膜化する。その結果、LOCOS膜からなる第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72および第1ブリッジ絶縁層79を含むフィールド絶縁層96が形成される。たとえば、ベース酸化膜212が2000Å以上4000Å以下の厚さとなるまで厚膜化される。一方、ベース酸化膜212のうちマスク絶縁膜213で被覆されている被覆部214の厚さは、当初の熱酸化処理(
図13B)の際の厚さ(たとえば、300Å以上600Å以下)に維持される。
【0206】
次に、
図13Eを参照して、マスク絶縁膜213と、ベース酸化膜212の被覆部214とが除去される(ステップS7)。たとえば、熱リン酸を用いてマスク絶縁膜213を全体的にエッチング除去し、その後、たとえばフッ酸を用いて、ベース酸化膜212の被覆部214をエッチング除去してもよい。これにより、マスク絶縁膜213が除去された部分に第1開口77および第1コンタクト開口82が形成される。この際、被覆部214の除去の際、第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72および第1ブリッジ絶縁層79もエッチング液に晒されるが、これらの層72,76,79は被覆部214に比べて遥かに厚いので、膜厚が若干減る程度で済む。以上の工程を経て、第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72および第1ブリッジ絶縁層79が一体的に連続する絶縁層165が形成される。
【0207】
図示は省略するが、この絶縁層165は、p型MIS領域62および出力領域14にも形成される。p型MIS領域62では、絶縁層165は、第2フィールド絶縁層106、第2トレンチ絶縁層102および第2ブリッジ絶縁層109のベース絶縁膜として形成されており、第2開口107および第2コンタクト開口112を有している。出力領域14では、絶縁層165は、下側ゲート絶縁層134のベース絶縁膜として形成される。
【0208】
次に、第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132にポリシリコンが埋め込まれる(ステップS8)。これにより、入力領域13において、第1埋め込み層73および第2埋め込み層103が形成される。一方、ゲートトレンチ132においては、当該ポリシリコンの不要部分を除去することによって、下側ゲート電極層135が形成される。その後、出力領域14において絶縁層165が選択的に除去されることによって、下側ゲート絶縁層134の上端よりも上方に突出した凸部141を有する下側ゲート電極層135が形成される。
【0209】
次に、入力領域13において、第1キャップ絶縁層75、第2キャップ絶縁層105、第1コンタクト絶縁層83、第2コンタクト絶縁層113、第1ゲート絶縁層84および第2ゲート絶縁層114が形成される。また、出力領域14において、中間絶縁層138、上側ゲート絶縁層136および表面絶縁層142が形成される。これらの薄膜絶縁層の形成(ステップS9)は、共通の酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって同時に行われてもよい。また、これらの絶縁層の一部または全部は、異なる酸化処理法によって異なるタイミングで形成されてもよい。絶縁層の形成工程は、CVD法によって実施されてもよい。
【0210】
次は、素子の形成工程である(ステップS10)。素子の形成工程では、たとえば、まず、ポリシリコンの埋め込みによって、出力領域14において上側ゲート電極層137が形成される。次に、上側ゲート電極層137の露出面の上に、第3キャップ絶縁層144が形成される。第3キャップ絶縁層144は、自然酸化膜であってもよいし、酸化処理によって形成されてもよい。次に、入力領域13では、n型不純物およびp型不純物が、それぞれ、イオン注入マスクを介するイオン注入法により、半導体ウエハ161の第1主面162の表層部に選択的に導入される。これにより、入力領域13において、p型ウェル領域85、p+型コンタクト領域87、n+型ソース領域88、n+型ドレイン領域89、p型ウェル領域115、n型ウェル領域116、p+型コンタクト領域117、p+型ソース領域118およびp+型ドレイン領域119が形成される。また、出力領域14では、n型不純物およびp型不純物が、それぞれ、イオン注入マスクを介するイオン注入法により、半導体ウエハ161の第1主面162の表層部に選択的に導入される。これにより、出力領域14において、p型ボディ領域145、n+型ソース領域146およびp+型コンタクト領域147が形成される。
【0211】
なお、この素子の形成工程において、エッチング工程が少なくとも一回行われる。当該エッチング工程は、たとえば、上側ゲート電極層137用のポリシリコンのパターニング工程を含む。この際、フィールド絶縁層96もエッチング液等に晒されるので、若干削られる。その結果、第1トレンチ71内のトレンチ内部被覆部201の厚さT1に比べて、フィールド絶縁層96の厚さT2,T5,T8が小さくなる。
【0212】
次に、半導体ウエハ161の第1主面162の上に層間絶縁層95が形成される(ステップS11)。次に、第1ゲート電極90、第1コンタクト電極91、第1ソース電極92、第1ドレイン電極93、第2ゲート電極120、第2コンタクト電極121、第2ソース電極122、第2ドレイン電極123、ソースパッド電極150等が、層間絶縁層95に埋め込まれる(ステップS12)。その後、層間絶縁層95の表面が研削される。層間絶縁層95の表面は、CMP法によって研削されてもよい。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0213】
以上の第1形態に係る方法によれば、第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72および第1ブリッジ絶縁層79を含むフィールド絶縁層96がLOCOS法によって形成される。言い換えれば、フィールド絶縁層96の第1開口77および第1コンタクト開口82から露出するアクティブ領域が、マスク絶縁膜213で被覆された領域に形成される。そのため、従来に比べて、アクティブ領域の形成時の寸法制御性を向上させることができる。
【0214】
たとえば、特許文献1に記載の方法では、半導体ウエハの全面に形成された絶縁層のウエットエッチングによってコンタクト開口等の開口を形成している。この方法によってアクティブ領域を形成可能であるが、レジスト(エッチングマスク)の開口部から横方向にも下方向と同じ速度でエッチングが進行するため、当該横方向へのエッチングを考慮した寸法マージンをエッチングマスクに設定しておく必要がある。一方で、寸法マージンが小さすぎると、横方向のエッチングによって絶縁層とレジストとの接触面積が小さくなってレジストが剥離する密着不良が発生する可能性がある。そのため、一定量の寸法マージンが必須であり、これが微細化の促進の障害となっている。これに対して本開示の方法よれば、LOCOS法による厚膜化によってフィールド絶縁層96が形成されるので、フィールド絶縁層96の周縁部の寸法制御性に優れる。その結果、従来に比べて微細化に対応した半導体装置1を提供することができる。
【0215】
また、フィールド絶縁層96が埋め込み部(この形態では、第1埋め込み部203、第1フィールド埋め込み部206、第1ブリッジ埋め込み部209)として部分的に第1主面52に対して埋め込まれる。これにより、第1主面52(半導体層51のシリコン面)とフィールド絶縁層96の上面との段差を、フィールド絶縁層96の実際の厚さよりも小さくすることができる。たとえば、
図5および
図6を参照して、第1主面52(半導体層51のシリコン面)とフィールド絶縁層96の上面との段差S2,S4,S6を、フィールド絶縁層96の厚さT2,T5,T8よりも小さくすることができる。その結果、フィールド絶縁層96の形成後の工程で形成される堆積構造物(たとえば、ゲート材料等)の一部が残留する残留問題を軽減することができる。
【0216】
第1主面52とフィールド絶縁層96の上面との段差を小さくできるため、層間絶縁層95の厚さT11を小さくすることができる。そのため、第1コンタクト電極91、第1ソース電極92、第1ドレイン電極93等のコンタクト電極の長さ(層間絶縁層95の厚さ方向における長さ)を短くすることができる。その結果、MISFETのオン抵抗を低減することができる。さらに、フィールド絶縁層96上に抵抗素子やダイオード素子を形成した場合、これらの素子用のコンタクトを層間絶縁層95に形成する必要がある。層間絶縁層95が薄ければ、当該素子用コンタクトのアスペクト比を低くできるので、コンタクトを容易に形成することができる。特に、半導体装置の微細化が進むと、コンタクト等の配線幅が小さくなるため、埋め込みコンタクトの低いアスペクト比は有効な効果となる。
[製造フローの第2形態]
図14は、半導体装置1の製造フロー(第2形態)を示す図である。
図15A~
図15Eは、半導体装置1の第1ブリッジ絶縁層79の形成に関連する工程を示す模式的な斜視図であり、
図7に対応する斜視図である。
図15A~
図15Eでは、入力領域13のうち、n型MIS領域61だけが示されているが、p型MIS領域62にもn型MIS領域61と同じ構造が形成される。
【0217】
半導体装置1を製造するには、まず、
図15Aを参照して、一枚の円板状の半導体ウエハ161が準備される(ステップS1)。半導体ウエハ161は、シリコン製の半導体ウエハであってもよい。半導体ウエハ161は、半導体層51のベースとなる。次に、半導体ウエハ161の第1主面162にベース酸化膜212が形成される(ステップS2)。ベース酸化膜212は、半導体ウエハ161の第1主面162の全体を被覆するように第1主面162の全面に形成される。ベース酸化膜212は、酸化シリコンであってもよい。ベース酸化膜212は、たとえば、300Å以上600Å以下の厚さを有していてもよい。ベース酸化膜212は、酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。ベース酸化膜212は、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法によって形成されてもよい。
【0218】
次に、
図15Aを参照して、ベース酸化膜212上にマスク絶縁膜213が形成される(ステップS3)。マスク絶縁膜213は、ベース酸化膜212の全体を被覆するように、半導体ウエハ161の第1主面162の全面に形成される。マスク絶縁膜213は、ベース酸化膜212とは異なる絶縁材料からなる。マスク絶縁膜213は、ベース酸化膜212よりも大きな厚さを有している。マスク絶縁膜213は、たとえば、1000Å以上2000Å以下の厚さを有していてもよい。この形態では、マスク絶縁膜213は、窒化シリコンであってもよい。マスク絶縁膜213は、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法によって形成されてもよい。
【0219】
次に、
図15Bを参照して、マスク絶縁膜213が選択的にエッチングされてパターニングされる(ステップS4)。より具体的には、所定パターンを有する第3エッチングマスク(図示せず)が、マスク絶縁膜213の全体を被覆するように、半導体ウエハ161の第1主面162の全面に形成される。第3エッチングマスクは、ベース酸化膜212の一部を第1絶縁部176A、第2絶縁部172Aおよびブリッジ絶縁部179Aとして露出させるための開口を選択的に有している。第1絶縁部176A、第2絶縁部172Aおよびブリッジ絶縁部179Aは、それぞれ、第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72(第1フィールド被覆部202)および第1ブリッジ絶縁層79に対応している。つまり、第2絶縁部172Aが第1絶縁部176Aを取り囲んでいる。ブリッジ絶縁部179Aは、第1絶縁部176Aと第2絶縁部172Aとの間の第1中間領域78において、第1絶縁部176Aと第2絶縁部172Aとを部分的に連結している。そして、第3エッチングマスクを介するエッチング法によって、マスク絶縁膜213が選択的に除去される。これにより、マスク絶縁膜213の除去された部分から、第1絶縁部176A、第2絶縁部172Aおよびブリッジ絶縁部179Aが露出する。
【0220】
マスク絶縁膜213の除去は、異方性エッチングで行うことが好ましい。異方性エッチングであればエッチングが下方向に優先的に進行し、横方向へ進行しにくいため、マスクパターンにほぼ一致するようにマスク絶縁膜213を除去することができる。つまり、マスク絶縁膜213のパターニング時の寸法制御性を向上できるので、結果として、残存するマスク絶縁膜213の下に、アクティブ領域の形状を精度よく残すことができる。異方性エッチングとしては、たとえば、反応性イオンエッチング(RIE)等が挙げられ、適宜選択してもよい。
【0221】
次に、
図15Cを参照して、所定パターンを有する第4エッチングマスク215が、ベース酸化膜212およびマスク絶縁膜213を被覆するように、半導体ウエハ161の第1主面162の上に形成される。第4エッチングマスク215は、第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132を形成すべき領域を露出させる複数の開口216を選択的に有している。次に、第4エッチングマスク215を介するエッチング法によって、マスク絶縁膜213およびベース酸化膜212がこの順に除去された後、半導体ウエハ161の表層部が選択的に除去される。これにより、半導体ウエハ161の第1主面162に、第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132が形成される(ステップS5)。
図15Cでは、第1トレンチ71のみが示されている。第1トレンチ71によってn型MIS領域61が区画され、第2トレンチ101によってp型MIS領域62が区画される。第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132の形成後、第4エッチングマスク215は除去される。
【0222】
次に、
図15Dを参照して、ベース酸化膜212が厚膜化される(ステップS6)。より具体的には、ベース酸化膜212がマスク絶縁膜213で選択的に被覆された状態で、かつ第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132の内壁が露出した状態で熱酸化処理される。これにより、マスク絶縁膜213から選択的に露出しているベース酸化膜212の第1絶縁部176A、第2絶縁部172Aおよびブリッジ絶縁部179Aにおいて熱酸化が進行し、当該部分176A,172A,179Aが選択的に厚膜化する。厚膜化と同時に、第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132の内壁にも熱酸化によって酸化膜が形成され、ベース酸化膜212と一体化する。その結果、LOCOS膜からなる第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72および第1ブリッジ絶縁層79を含むフィールド絶縁層96が形成される。たとえば、ベース酸化膜212が2000Å以上4000Å以下の厚さとなるまで厚膜化される。一方、ベース酸化膜212のうちマスク絶縁膜213で被覆されている被覆部214の厚さは、当初の熱酸化処理(
図15A)の際の厚さ(たとえば、300Å以上600Å以下)に維持される。
【0223】
次に、
図15Eを参照して、マスク絶縁膜213と、ベース酸化膜212の被覆部214とが除去される(ステップS7)。たとえば、熱リン酸を用いてマスク絶縁膜213を全体的にエッチング除去し、その後、たとえばフッ酸を用いて、ベース酸化膜212の被覆部214をエッチング除去してもよい。これにより、マスク絶縁膜213が除去された部分に第1開口77および第1コンタクト開口82が形成される。この際、被覆部214の除去の際、第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72および第1ブリッジ絶縁層79もエッチング液に晒されるが、これらの層72,76,79は被覆部214に比べて遥かに厚いので、膜厚が若干減る程度で済む。以上の工程を経て、第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72および第1ブリッジ絶縁層79が一体的に連続する絶縁層165が形成される。
【0224】
図示は省略するが、この絶縁層165は、p型MIS領域62および出力領域14にも形成される。p型MIS領域62では、絶縁層165は、第2フィールド絶縁層106、第2トレンチ絶縁層102および第2ブリッジ絶縁層109のベース絶縁膜として形成されており、第2開口107および第2コンタクト開口112を有している。出力領域14では、絶縁層165は、下側ゲート絶縁層134のベース絶縁膜として形成される。
【0225】
次に、第1トレンチ71、第2トレンチ101およびゲートトレンチ132にポリシリコンが埋め込まれる(ステップS8)。これにより、入力領域13において、第1埋め込み層73および第2埋め込み層103が形成される。一方、ゲートトレンチ132においては、当該ポリシリコンの不要部分を除去することによって、下側ゲート電極層135が形成される。その後、出力領域14において絶縁層165が選択的に除去されることによって、下側ゲート絶縁層134の上端よりも上方に突出した凸部141を有する下側ゲート電極層135が形成される。
【0226】
次に、入力領域13において、第1キャップ絶縁層75、第2キャップ絶縁層105、第1コンタクト絶縁層83、第2コンタクト絶縁層113、第1ゲート絶縁層84および第2ゲート絶縁層114が形成される。また、出力領域14において、中間絶縁層138、上側ゲート絶縁層136および表面絶縁層142が形成される。これらの薄膜絶縁層の形成(ステップS9)は、共通の酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって同時に行われてもよい。また、これらの絶縁層の一部または全部は、異なる酸化処理法によって異なるタイミングで形成されてもよい。絶縁層の形成工程は、CVD法によって実施されてもよい。
【0227】
次は、素子の形成工程である(ステップS10)。素子の形成工程では、たとえば、まず、ポリシリコンの埋め込みによって、出力領域14において上側ゲート電極層137が形成される。次に、上側ゲート電極層137の露出面の上に、第3キャップ絶縁層144が形成される。第3キャップ絶縁層144は、自然酸化膜であってもよいし、酸化処理によって形成されてもよい。次に、入力領域13では、n型不純物およびp型不純物が、それぞれ、イオン注入マスクを介するイオン注入法により、半導体ウエハ161の第1主面162の表層部に選択的に導入される。これにより、入力領域13において、p型ウェル領域85、p+型コンタクト領域87、n+型ソース領域88、n+型ドレイン領域89、p型ウェル領域115、n型ウェル領域116、p+型コンタクト領域117、p+型ソース領域118およびp+型ドレイン領域119が形成される。また、出力領域14では、n型不純物およびp型不純物が、それぞれ、イオン注入マスクを介するイオン注入法により、半導体ウエハ161の第1主面162の表層部に選択的に導入される。これにより、出力領域14において、p型ボディ領域145、n+型ソース領域146およびp+型コンタクト領域147が形成される。
【0228】
なお、この素子の形成工程において、エッチング工程が少なくとも一回行われる。当該エッチング工程は、たとえば、上側ゲート電極層137用のポリシリコンのパターニング工程を含む。この際、フィールド絶縁層96もエッチング液等に晒されるので、若干削られる。その結果、第1トレンチ71内のトレンチ内部被覆部201の厚さT1に比べて、フィールド絶縁層96の厚さT2,T5,T8が小さくなる。
【0229】
次に、半導体ウエハ161の第1主面162の上に層間絶縁層95が形成される(ステップS11)。次に、第1ゲート電極90、第1コンタクト電極91、第1ソース電極92、第1ドレイン電極93、第2ゲート電極120、第2コンタクト電極121、第2ソース電極122、第2ドレイン電極123、ソースパッド電極150等が、層間絶縁層95に埋め込まれる(ステップS12)。その後、層間絶縁層95の表面が研削される。層間絶縁層95の表面は、CMP法によって研削されてもよい。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0230】
以上の第2形態に係る方法によっても、第1フィールド絶縁層76、第1トレンチ絶縁層72および第1ブリッジ絶縁層79を含むフィールド絶縁層96がLOCOS法によって形成される。そのため、第1形態のフローと同様に、従来に比べて、アクティブ領域の形成時の寸法制御性を向上させることができる。
【0231】
また、この第2形態のフローでは、マスク絶縁膜213のパターニング工程が、第1トレンチ71等のトレンチの形成前に行われる。そのため、トレンチ等の凹部に入り込んだ余分なマスク絶縁膜213をエッチング液等で流す必要がないため、異方性エッチングでマスク絶縁膜213をパターニングすることができる。その結果、アクティブ領域の形状の寸法精度を一層向上することができる。
【0232】
以上、本開示の実施形態に係る半導体装置1について説明したが、半導体装置1は他の形態で実施することもできる。
【0233】
たとえば、前述の実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構造が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
【0234】
また、半導体層51は、FZ(Floating Zone)法によって形成されたn型半導体基板を含む単層構造を有していてもよい。n型半導体基板は、シリコン製の半導体基板であってもよい。この場合、半導体層51の第2主面53に対するn型不純物の注入によってn+型の半導体基板55に相当するn+型不純物領域が形成される。そして、n型半導体基板において、n+型不純物領域以外のn型の領域が、n型のエピタキシャル層56に相当するn型不純物領域となる。
【0235】
また、前述の実施形態において、半導体装置1に採用されるパッケージタイプは、TO-220やTO-252等に代表されるTO系には限定されない。半導体装置1のパッケージタイプは、SOP(Small Outline Package)、QFN(Quad For Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)、SOJ(Small Outline J-leaded Package)や、これらに類する種々のパッケージタイプが採用され得る。以下、半導体装置1においてSOPが適用された形態例について説明する。
【0236】
図16は、
図1に示す半導体装置1において異なるパッケージタイプが適用された形態例を、樹脂パッケージ6を透過して示す斜視図である。
図17は、
図16に示す半導体装置1の内部構造を示す平面図である。
【0237】
以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0238】
図16および
図17を参照して、半導体装置1は、この例では、SOPがパッケージタイプとして適用された電子部品である。半導体装置1は、IPDチップ2、ダイパッド3、複数(この例では、8個)のリード端子4、複数の導線5および樹脂パッケージ6を含む。
【0239】
ダイパッド3は、第2チップ主面11側からIPDチップ2を支持している。ダイパッド3は、直方体形状に形成されている。IPDチップ2は、導電性接合材19を介してダイパッド3に接続されている。
【0240】
複数のリード端子4は、ダイパッド3の周囲に設けられている。複数のリード端子4のうちの4個のリード端子4は、ダイパッド3の一辺に沿って間隔を空けて配置されている。残りの4個のリード端子4は、ダイパッド3の一辺に対向する対向辺に沿って間隔を空けて配置されている。
【0241】
複数のリード端子4のうちの幾つかは、導線5を介してIPDチップ2の任意の領域に電気的に接続されていてもよい。複数のリード端子4のうちの1つまたは幾つかは、導線5を介してダイパッド3に電気的に接続されていてもよい。
【0242】
樹脂パッケージ6は、直方体形状に形成されている。樹脂パッケージ6は、IPDチップ2、ダイパッド3および複数のリード端子4を封止している。複数のリード端子4は、それぞれ、樹脂パッケージ6の内部から外部に引き出されている。
【0243】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0244】
以上、本開示の実施形態は、すべての点において例示であり限定的に解釈されるべきではなく、すべての点において変更が含まれることが意図される。
【0245】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0246】
[付記1-1]
トレンチ(71,101)によって区画された区画領域(61,62)を有する半導体層(51)と、
前記半導体層(51)の主面(52)において前記トレンチ(71,101)から前記区画領域(61,62)の内方部側に間隔を空けて形成され、前記区画領域(61,62)を被覆するフィールド絶縁層(76,106)と、
少なくとも前記トレンチ(71,101)内に形成されたトレンチ絶縁層(72,102)と、
前記半導体層(51)の主面(52)の前記フィールド絶縁層(76,106)と前記トレンチ絶縁層(72,102)との間において環状に形成された中間領域(78,108)と、
前記中間領域(78,108)に形成され、前記フィールド絶縁層(76,106)と前記トレンチ絶縁層(72,102)とを連結するブリッジ絶縁層(79,109)とを含み、
前記ブリッジ絶縁層(79,109)は、前記半導体層(51)の主面(52)に対して埋め込まれたブリッジ埋め込み部(209,309)を有している、半導体装置(1)。
【0247】
[付記1-2]
前記ブリッジ絶縁層(79,109)は、バーズビーク(67,70)を含む周縁部を有している、付記1-1に記載の半導体装置(1)。
【0248】
[付記1-3]
前記トレンチ絶縁層(72,102)は、前記トレンチ(71,101)の内壁を被覆するトレンチ内部被覆部(201,301)と、前記トレンチ内部被覆部(201,301)から前記半導体層(51)の主面(52)に引き出され、前記ブリッジ絶縁層(79,109)を介して前記フィールド絶縁層(76,106)に連結されたフィールド被覆部(202,302)とを含み、
前記フィールド被覆部(202,302)は、前記半導体層(51)の主面(52)に対して埋め込まれた第1埋め込み部(203,303)を有し、
前記フィールド絶縁層(76,106)は、前記半導体層(51)の主面(52)に対して埋め込まれた第2埋め込み部(206,306)を有し、
前記ブリッジ埋め込み部(209,309)、前記第1埋め込み部(203,303)および前記第2埋め込み部(206,306)は、前記半導体層(51)の主面(52)に沿う方向に一体的に連続する単一の埋め込み部によって形成されている、付記1-1または付記1-2に記載の半導体装置(1)。
【0249】
[付記1-4]
複数の前記ブリッジ絶縁層(79,109)が、前記中間領域(78,108)の環状方向に互いに間隔を空けて形成されており、
前記中間領域(78,108)に形成され、前記ブリッジ埋め込み部(209,309)、前記第1埋め込み部(203,303)および前記第2埋め込み部(206,306)に囲まれたメサ形状のコンタクト部(97,99)と、
前記コンタクト部(97,99)に接続されたコンタクト電極(91,121)とを含む、付記1-3に記載の半導体装置(1)。
【0250】
[付記1-5]
複数の前記コンタクト部(97,99)が、前記中間領域(78,108)の環状方向に互いに等しい間隔を空けて形成されている、付記1-4に記載の半導体装置(1)。
【0251】
[付記1-6]
前記ブリッジ絶縁層(79,109)は、前記トレンチ内部被覆部(201,301)の厚さ(T1)よりも小さな厚さ(T8,T19)を有している、付記1-3~付記1-5のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0252】
[付記1-7]
前記トレンチ内部被覆部(201,301)の厚さ(T1)が2000Å以上4000Å以下であり、
前記ブリッジ絶縁層(79,109)の厚さ(T8,T19)が1000Å以上3000Å以下である、付記1-6に記載の半導体装置(1)。
【0253】
[付記1-8]
前記半導体層(51)は、前記ブリッジ埋め込み部(209,309)の底部に接しており、前記半導体層(51)の主面(52)に対して段差を有する低段面(211,311)を有し、
前記半導体層(51)の主面(52)と前記半導体層(51)の低段面(211,311)との間の段差(S5,S11)は1000Å以上1500Å以下である、付記1-1~付記1-7のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0254】
[付記1-9]
前記半導体層(51)の主面(52)に形成され、前記フィールド絶縁層(76,106)および前記ブリッジ絶縁層(79,109)を被覆する層間絶縁層(95)を含み、
前記層間絶縁層(95)は、6000Å以上10000Å以下の厚さ(T11)を有している、付記1-1~付記1-8のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0255】
[付記1-10]
前記フィールド絶縁層(76,106)、前記トレンチ絶縁層(72,102)および前記ブリッジ絶縁層(79,109)は、連続的に延びる一つの絶縁層(96,98)によって形成されている、付記1-1~付記1-9のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0256】
[付記1-11]
前記フィールド絶縁層(76,106)には、開口(77,107)が形成されている、付記1-1~付記1-10のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0257】
[付記1-12]
前記区画領域(61,62)は、絶縁ゲート型のトランジスタを含むアクティブ領域であり、
前記フィールド絶縁層(76,106)の前記開口(77,107)内には、前記トランジスタのゲート絶縁層(84,114)が形成されている、付記1-11に記載の半導体装置(1)。
【0258】
[付記1-13]
前記トレンチ絶縁層(72,102)は、前記トレンチ(71,101)内において凹状の空間を区画するように、前記トレンチ(71,101)の内壁に沿って膜状に形成されている、付記1-1~付記1-12のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0259】
[付記1-14]
前記トレンチ(71,101)内において前記トレンチ絶縁層(72,102)によって区画された前記凹状の空間に埋め込まれた埋め込み層(73,103)をさらに含む、付記1-13に記載の半導体装置(1)。
【0260】
[付記1-15]
前記埋め込み層(73,103)は、ポリシリコンを含む、付記1-14に記載の半導体装置(1)。
【0261】
[付記1-16]
前記トレンチ(71,101)は、前記半導体層(51)の主面(52)の法線方向から見た平面視において環状に形成されている、付記1-1~付記1-15のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0262】
[付記1-17]
半導体層(51,161)に選択的にトレンチ(71,101)を形成することによって、前記トレンチ(71,101)によって区画された区画領域(61,62)を前記半導体層(51,161)に形成する工程と、
熱酸化によって、前記トレンチ(71,101)の内壁および前記半導体層(51,161)の主面(52,162)にベース酸化膜(212)を形成する工程と、
前記ベース酸化膜(212)とは異なる材料からなるマスク絶縁膜(213)によって、前記ベース酸化膜(212)の全体を被覆する工程と、
前記マスク絶縁膜(213)を選択的に除去することによって、前記マスク絶縁膜(213)から前記ベース酸化膜(212)の一部をフィールド絶縁部(76A)、トレンチ絶縁部(72A)およびブリッジ絶縁部(79A)として露出させる工程であって、前記フィールド絶縁部(76A)が前記トレンチ(71,101)から前記区画領域(61,62)の内方部側に間隔を空けた前記区画領域(61,62)の一部を被覆し、前記トレンチ絶縁部(72A)が少なくとも前記トレンチ(71,101)の内壁を被覆し、前記ブリッジ絶縁部(79A)が前記フィールド絶縁部(76A)と前記トレンチ絶縁部(72A)との間において環状に形成された前記半導体層(51,161)の中間領域(78,108)を選択的に被覆する第1除去工程と、
熱酸化によって、前記ベース酸化膜(212)における前記フィールド絶縁部(76A)、前記トレンチ絶縁部(72A)および前記ブリッジ絶縁部(79A)を選択的に厚膜化する工程と、
前記ベース酸化膜(212)の厚膜化後、前記マスク絶縁膜(213)を除去する第2除去工程とを含む、半導体装置(1)の製造方法。
【0263】
[付記1-18]
前記第1除去工程は、等方性エッチングによって前記マスク絶縁膜(213)を除去する工程を含む、付記1-17に記載の半導体装置(1)の製造方法。
【0264】
[付記1-19]
熱酸化によって、半導体層(51,161)の主面(52,162)にベース酸化膜(212)を形成する工程と、
前記ベース酸化膜(212)とは異なる材料からなるマスク絶縁膜(213)によって、前記ベース酸化膜(212)の全体を被覆する工程と、
前記マスク絶縁膜(213)を選択的に除去することによって、前記マスク絶縁膜(213)から前記ベース酸化膜(212)の一部を第1絶縁部(176A)、第2絶縁部(172A)およびブリッジ絶縁部(179A)として露出させる工程であって、前記第2絶縁部(172A)が前記第1絶縁部(176A)を取り囲み、前記ブリッジ絶縁部(179A)が前記第1絶縁部(176A)と前記第2絶縁部(172A)とを部分的に連結する第1除去工程と、
前記第2絶縁部(172A)の一部および当該第2絶縁部(172A)の一部に被覆されていた前記半導体層(51,161)の領域を選択的に除去することによって、前記半導体層(51,161)にトレンチ(71,101)を形成し、前記トレンチ(71,101)によって区画された区画領域(61,62)を前記半導体層(51,161)に形成する工程と、
熱酸化によって、前記ベース酸化膜(212)における前記第1絶縁部(176A)および前記ブリッジ絶縁部(179A)、ならびに前記トレンチ(71,101)の形成時に除去されなかった前記第2絶縁部(172A)の残りの部分を選択的に厚膜化するとともに、前記トレンチ(71,101)の内壁にトレンチ内部被覆部(201,301)を形成する工程と、
前記ベース酸化膜(212)の厚膜化および前記トレンチ内部被覆部(201,301)の形成後、前記マスク絶縁膜(213)を除去する第2除去工程とを含む、半導体装置(1)の製造方法。
【0265】
[付記1-20]
前記第2除去工程は、異方性エッチングによって前記マスク絶縁膜(213)を除去する工程を含む、付記1-19に記載の半導体装置(1)の製造方法。
【符号の説明】
【0266】
1 :半導体装置
2 :IPDチップ
3 :ダイパッド
4 :リード端子
4a :第1リード端子
4b :第2リード端子
4c :第3リード端子
5 :導線
5a :第1導線
5b :第2導線
6 :樹脂パッケージ
7 :フレーム部
8 :ブリッジ部
9 :接続部
10 :第1チップ主面
11 :第2チップ主面
12 :チップ側面
13 :入力領域
14 :出力領域
15 :素子分離構造
16 :コントロールIC
17 :CMIS領域
18 :MISFET
19 :導電性接合材
21 :主電源端子部
22 :入力端子部
23 :出力端子部
24 :グランド端子部
25 :端子部
26 :SENSE端子部
28 :入力回路部
29 :電圧制御回路部
30 :保護回路部
31 :ゲート駆動制御回路部
32 :アクティブクランプ回路部
33 :電流検出回路部
34 :バッテリ逆接続保護回路部
35 :異常検出回路部
36 :駆動電圧回路部
37 :第1定電圧回路部
38 :第2定電圧回路部
39 :基準電流回路部
40 :過電流保護回路部
41 :負荷オープン検出回路部
42 :過熱保護回路部
43 :低電圧誤動作抑制回路部
44 :発振回路部
45 :チャージポンプ回路部
46 :駆動信号出力回路部
47 :第1マルチプレクサ回路部
48 :第2マルチプレクサ回路部
51 :半導体層
52 :第1主面
53 :第2主面
54 :側面
55 :半導体基板
56 :エピタキシャル層
57 :裏面電極
61 :n型MIS領域
62 :p型MIS領域
63 :第1素子分離構造
64 :第2素子分離構造
65 :バーズビーク
66 :バーズビーク
67 :バーズビーク
68 :バーズビーク
69 :バーズビーク
70 :バーズビーク
71 :第1トレンチ
72 :第1トレンチ絶縁層
72A :トレンチ絶縁部
73 :第1埋め込み層
75 :第1キャップ絶縁層
76 :第1フィールド絶縁層
76A :フィールド絶縁部
77 :第1開口
78 :第1中間領域
79 :第1ブリッジ絶縁層
79A :ブリッジ絶縁部
80 :第1連結部分
81 :第2連結部分
82 :第1コンタクト開口
83 :第1コンタクト絶縁層
84 :第1ゲート絶縁層
85 :p型ウェル領域
87 :型コンタクト領域
88 :型ソース領域
89 :型ドレイン領域
90 :第1ゲート電極
91 :第1コンタクト電極
92 :第1ソース電極
93 :第1ドレイン電極
94 :p型チャネル領域
95 :層間絶縁層
96 :フィールド絶縁層
97 :第1コンタクト部
98 :フィールド絶縁層
99 :第2コンタクト部
101 :第2トレンチ
102 :第2トレンチ絶縁層
103 :第2埋め込み層
105 :第2キャップ絶縁層
106 :第2フィールド絶縁層
107 :第2開口
108 :第2中間領域
109 :第2ブリッジ絶縁層
110 :第1連結部分
111 :第2連結部分
112 :第2コンタクト開口
113 :第2コンタクト絶縁層
114 :第2ゲート絶縁層
115 :p型ウェル領域
116 :n型ウェル領域
117 :型コンタクト領域
118 :型ソース領域
119 :型ドレイン領域
120 :第2ゲート電極
121 :第2コンタクト電極
122 :第2ソース電極
123 :第2ドレイン電極
124 :n型チャネル領域
132 :ゲートトレンチ
133 :単位セル
134 :下側ゲート絶縁層
135 :下側ゲート電極層
136 :上側ゲート絶縁層
137 :上側ゲート電極層
138 :中間絶縁層
139 :スプリットゲート構造
140 :下側凹部
141 :凸部
142 :表面絶縁層
143 :上側凹部
144 :第3キャップ絶縁層
145 :p型ボディ領域
146 :型ソース領域
147 :型コンタクト領域
148 :p型チャネル領域
150 :ソースパッド電極
151 :半導体装置
152 :結晶欠陥
161 :半導体ウエハ
162 :第1主面
165 :絶縁層
172A :第2絶縁部
176A :第1絶縁部
179A :ブリッジ絶縁部
201 :トレンチ内部被覆部
202 :第1フィールド被覆部
203 :第1埋め込み部
204 :第1突出部
205 :第1低段面
206 :第1フィールド埋め込み部
207 :第1フィールド突出部
208 :第1フィールド低段面
209 :第1ブリッジ埋め込み部
210 :第1ブリッジ突出部
211 :第1ブリッジ低段面
212 :ベース酸化膜
213 :マスク絶縁膜
214 :被覆部
215 :第4エッチングマスク
216 :開口
301 :トレンチ内部被覆部
302 :第2フィールド被覆部
303 :第2埋め込み部
304 :第2突出部
305 :第2低段面
306 :第2フィールド埋め込み部
307 :第2フィールド突出部
308 :第2フィールド低段面
309 :第2ブリッジ埋め込み部
310 :第2ブリッジ突出部
311 :第2ブリッジ低段面
S1 :段差
S2 :段差
S3 :段差
S4 :段差
S5 :段差
S6 :段差
S7 :段差
S8 :段差
S9 :段差
S10 :段差
S11 :段差
S12 :段差
T1 :厚さ
T2 :厚さ
T3 :厚さ
T4 :厚さ
T5 :厚さ
T6 :厚さ
T7 :厚さ
T8 :厚さ
T9 :厚さ
T10 :厚さ
T11 :厚さ
T12 :厚さ
T13 :厚さ
T14 :厚さ
T15 :厚さ
T16 :厚さ
T17 :厚さ
T18 :厚さ
T19 :厚さ
T20 :厚さ
T21 :厚さ
W1 :幅
W2 :幅
X :第1方向
Y :第2方向