(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102229
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】高さ調整部材を備えたクッション材
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
A47G9/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022011308
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】519002324
【氏名又は名称】田中 優輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 優輝
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA02
3B102AB07
3B102AC02
(57)【要約】
【課題】枕本体と高さが水平方向に配置されているため、睡眠時において高さ調整部材が水平方向にずれてしまい、意図せず枕の高さが変わってしまう。
【解決手段】頭部を載置する上側部材2と、床面に載置する下側部材3と、上側部材2と下側部材3の間に嵌挿される高さ調整部材4を有しており、高さ調整部材4は、その上面及ぶ下面が曲線形状であることで、水平方向へ移動することを防止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を載置する上側部材と、
床面に載置する下側部材と、
上側部材と下側部材の間に嵌挿される高さ調整部材を有する枕であって、
前記高さ調整部材は、その上面及ぶ下面が曲線形状であることを特徴とするクッション材。
【請求項2】
請求項1記載のクッション材において、
前記曲線形状は、水平方向において、連続した波線形状であることを特徴とするクッション材。
【請求項3】
請求項2記載のクッション材において、
前記曲線形状は、奥行方向において、連続した波線形状であることを特徴とするクッション材。
【請求項4】
請求項1記載のクッション材において、
前記曲線形状は、水平方向において、連続した三角形形状であることを特徴とするクッション材。
【請求項5】
請求項1記載のクッション材において、
前記曲線形状は、水平方向において、連続した段違い形状であることを特徴とするクッション材。
【請求項6】
請求項1乃至5記載のクッション材において、
側面視すると、瓢箪形状であることを特徴とするクッション材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠時において、高さ調整ができる機能を備えた枕等のクッション材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枕は一日の三分の一の間使用するものであり、その使用感の改善を求めて様々な工夫がなされてきている。特に睡眠時における枕の高さについては人それぞれによって適性水準が異なるため、通常は自分に合った高さの枕をその都度選んで使用する。そして、また途中で高さを変えたい場合は枕を取り替えるしかないのが現状である。
【0003】
例えば、特許文献1には、高さ調整の一例として、高さ調整部材を枕本体の下部に高さ調整部材を嵌挿する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術は、枕本体と高さが水平方向に配置されているため、睡眠時において高さ調整部材が水平方向にずれてしまい、利用者が意図せずに枕の高さが変わってしまう。という問題があった。
【0006】
本発明の目的は、高さ調整部材が水平方向に妄動することを抑え、安定した睡眠を確保でき、更に、簡単に高さを調整することができる枕を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、頭部を載置する上側部材2と、床面に載置する下側部材3と、上側部材2と下側部材3の間に嵌挿される高さ調整部材4を有しており、高さ調整部材4は、その上面及ぶ下面が曲線形状であることで、水平方向へ移動することを防止することを特徴とする。
【0008】
本願発明のクッション材においては、高さ調整部材4の上面及び下面に波線形状を有することにより、上側部材2及び下側部材3の波線形状と合致することにより高さ調整部材4の妄動を抑えることができ、就寝時において、高さ調整部材4が水平方向へ移動することを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、睡眠時にも高さ調整部材が妄動することなく、安定した睡眠をつかさどる枕を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態による高さ調整部材が嵌挿された状態の枕の例を示す図である。
【
図2】本発明の第一実施形態による高さ調整部材が嵌挿された状態の枕を分解した例を示す図である。
【
図3】本発明の第一実施形態による高さ調整部材を使用しない状態の枕の例を示す図である。
【
図4】本発明の第一実施形態による高さ調整部材を使用しない状態の枕を分解した例を示す図である。
【
図5】本発明の第二実施形態による高さ調整部材が嵌挿された状態の枕の例を示す図である。
【
図6】本発明の第二実施形態による高さ調整部材が嵌挿された状態の枕の例を示す図である。
【
図7】本発明の第二実施形態による複数枚の高さ調整部材が嵌挿された状態の枕の例を示す図である。
【
図8】本発明の第三実施形態による高さ調整部材が嵌挿された状態の枕の例を示す図である。
【
図9】本発明の第三実施形態による高さ調整部材が嵌挿された状態の枕の例を示す図である。
【
図10】本発明の第三実施形態による高さ調整部材が嵌挿された状態の枕の例を示す図である。
【
図11】本発明の第四実施形態による高さ調整部材が嵌挿された状態の枕の例を示す図である。
【
図12】本発明の第四実施形態による高さ調整部材が嵌挿された状態の枕の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図面を参照しながら本発明に係る高さ調整が行える枕の実施形態について説明する。本発明は、以降の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0012】
(第一実施形態)
まず、本実施形態に係る高さ調整が行える枕の例について
図1及び
図2を参照しながら説明する。枕1は、弾性樹脂で形成される。弾性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、シリコーン、ポリオレフィンなどが挙げられるが弾性を示せばこれらに限定されない。好ましくはポリウレタンであり、ポリウレタンのエラストマーやフォームがより好ましく使用することができる。さらに、ポリウレタンフォームの中でも低反発弾性を有するポリウレタンフォームが特に好ましく使用できる。
【0013】
枕1は、図示しないが、カバーが着脱自在に設けられる。このカバーにはファスナー又はボタン等の開閉部材が設けられており、枕1を収納することが可能である。カバーは、竹繊維と布を混紡することで形成される。竹繊維は、人体に対する安全性も高く、吸湿性も高いため、カビやダニ等の発生を防止することができる。
【0014】
枕1の大きさは、30cm~40cmの奥行と50cm~70cmの幅である。この大きさは、就寝時において、利用者が寝返りを行ったとしても、頭部が枕1から落ちてしまわないようになっている。
【0015】
枕1の高さは、奥行方向において、中央が窪んだ形状をしている。更に、側面視すると、瓢箪形状を有している。このように瓢箪形状にすることで、利用者がどのような姿勢で寝ても、頭や首(頸椎)や肩等に負担をかけることなく、安定した睡眠を提供することができる。
【0016】
枕1の高さは、奥行方向において、一方端の高さは10cmである。他方端の高さは11cmであり、一方端と他方端は異なる高さである。利用者は、就寝時において、10cm又は11cmのいずれを選択することで、高さを調整することが可能である。
【0017】
次に、枕1について説明する。枕1は、上部に配置され頭部が当接される上側部材2と、下部に配置され床面に当接される下側部材3と、その上側部材2と下側部材3の間に収納される高さ調整部材4とで構成されている。
【0018】
上側部材2の下面は、奥行方向において曲線形状を有しており、それは連続した波線形状である。高さ調整部材4の上面は、上側部材2の下面の曲線形状に合致するように、連続した波線形状である。具体的には、上側部材2の下面における波線形状の凹部は、高さ調整部材4の上面におけるの凸部に合致するように形成される上側部材2の下面における波線形状の凸部は、高さ調整部材4の上面における凹部に合致するように形成される。このように、上側部材2の下面と高さ調整部材4の上面において、その凹凸が合致することで、上側部材2と高さ調整部材4の妄動を抑えることができ、安定した睡眠を提供することができる。
【0019】
上記と同様に、下側部材3の上面も、奥行方向において曲線形状を有しており、それは連続した波線形状である。そして、高さ調整部材4の下面は、下側部材3の上面の曲線形状に合致するように、連続した波線形状である。具体的には、下側部材3の上面における波線形状の凹部は、高さ調整部材4の下面におけるの凸部に合致するように形成される。下側部材3の上面における波線形状の凸部は、高さ調整部材4の下面における凹部に合致するように形成される。このように、下側部材3の上面と高さ調整部材4の下面において、その凹凸が合致することで、下側部材3と高さ調整部材4の妄動を抑えることができる。
【0020】
なお、上側部材2の下面に形成される波線形状と下側部材4の上面に形成される波線形状は同じ形状である。同じ形状にすることで、高さ調整部材4を上下反転して利用することができるため、高さ調整部材4の向きを気にすることなく、枕1を使用することができる。
【0021】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の枕1においては、高さ調整部材4の上面及び下面に波線形状を有することにより、上側部材2及び下側部材3の波線形状と合致することにより、高さ調整部材4の妄動を抑えることができ、就寝時において、高さ調整部材4が水平方向へ移動することを防止することができる。
【0022】
続いて、本実施形態の枕1において、高さ調整部材4を使用しない状態を説明する。高さ調整部材4を使用しないことで、枕1の高さは、奥行方向において、一方端の高さは7cmである。他方端の高さは9cmであり、一方端と他方端は異なる高さである。利用者は、就寝時において、7cm又は9cmのいずれを選択することで、高さを調整することが可能である。
【0023】
つまり、高さ調整部材4を嵌挿するかによって、枕1の高さは、7cm、9cm10cm、11cmと4段階の高さを調整することが可能である。
【0024】
利用者は、就寝時において、その日の体調等に応じて、最適な高さを選択でき、枕1による安定した睡眠を行うことができる。
【0025】
図3及び
図4は上述したように、上側部材2の下面と下側部材3の上面における波線形状が同じであることから、高さ調整部材4を使用しない状態であっても、お互いが嵌合することにより、上側部材2と下側部材3の妄動を防止することができる。
【0026】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について
図5乃至
図7を参照して説明する。第二実施形態の枕1の基本的な構成は前述した第一実施形態の枕1と同じである。従って、ここでは、第一実施形態の枕1と同じ構成については同一の参照符号を用いるとともにその説明は省略する。また、枕1の各部の材料、製造方法等も第一実施形態と同じである。したがって、ここでは、これらの説明についても省略する。第二実施形態の枕1が、第一実施形態の枕1と異なる点は、高さ調整部材4における構造である。
【0027】
図5を基に説明する。高さ調整部材4は、側面視すると、段違い形状である。具体的には、その一方端から他方端に向かって、第1の位置まで水平方向に延設されており、第1の位置から下方へ移動する。移動した先にある下端は、一方端から他方端に向かって、第2の位置まで水平方向に延設されており、第2の一から上方へ移動する。移動した先にある上端は、第1の位置と同じ高さに位置する。そして、このように、上方への移動と下方への移動を連続して繰り返して行われる。
【0028】
段違い形状にすることで、水平面で受ける面積が大きくなるため、上側部材2の下面と高さ調整部材4の上面との接触面積が大きくなる。同様に、下側部材3の上面と高さ調整部材4の下面との接触面積が大きくなる。つまり、接触面積が大きくなることで、上側部材2、下側部材3、高さ調整部材4の安定した接触を可能とすることができる。
【0029】
図6は、
図5と同様に高さ調整部材4が嵌挿されている状態であるが、枕1全体の形状が異なっている。具体的には、枕1の形状が瓢箪形状である。瓢箪形状にすることで、高さ調整部材4を上下反転して利用することができるため、高さ調整部材4の向きを気にすることなく、枕1を使用することができる。
【0030】
図7は、高さ調整部材4が複数枚配置された状態を示している。具体的には、高さ調整部材4の上方に、高さ調整部材4と同じ形状及び大きさである高さ調整部材5が配置されている。このように、高さ調整部材4と高さ調整部材5を配置することにより、1枚の高さ調整部材4を使用する状態と比較して、より高い位置での睡眠を提供することができる。
【0031】
なお、本図では、高さ調整部材4と高さ調整部材5を同じ形状及び大きさとしたが、異なる形状にしてもよいし、高さ調整部材5を高さ調整部材4よりも大きくしてもよい。このように大きさを変更することにより、高さ調整部材4と高さ調整部材5を同時に使用する状態、高さ調整部材5を1枚使用する状態、高さ調整部材4を1枚使用する状態と、細かく高さを調整することができる。
【0032】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態について
図8乃至
図10を参照して説明する。
第三実施形態の枕1の基本的な構成は前述した第一実施形態の枕1と同じである従って、ここでは、第一実施形態の枕1と同じ構成については同一の参照符号を用いるとともにその説明は省略する。また、枕1の各部の材料、製造方法等も第一実施形態と同じである。したがって、ここでは、これらの説明についても省略する。第二実施形態の枕1が、第一実施形態の枕1と異なる点は、高さ調整部材4における構造である。
【0033】
図8を基に説明する。高さ調整部材4は、側面視すると、連続した三角形形状である。具体的には、その一方端から水平方向に山部6と谷部7が連続して形成されている。第一実施形態と異なり、その頂点が鋭角である。
【0034】
三角形形状にすることで、上側部材2の下面と高さ調整部材4の上面における山部6との位置合わせが容易になる。同様に、下側部材3の上面と高さ調整部材4の下面における谷部7との位置合わせが容易になる。
【0035】
図9は、
図8と同様に高さ調整部材4が嵌挿されている状態であるが、高さ調整部材4における三角形状による谷部7から山部6における立ち上がりの角度がなだらかである。立ち上がりの角度をなだらかにすることで、山部6と谷部7における斜辺の長さが長くなり、水平に近い面で受ける面積が大きくなる。そのため、上側部材2の下面と高さ調整部材4の上面との接触面積が大きくなる。同様に、下側部材3の上面と高さ調整部材4の下面との接触面積が大きくなる。つまり、接触面積が大きくなることで、上側部材2、下側部材3、高さ調整部材4の安定した接触を可能とすることができる。
【0036】
図10は、
図9と同様に高さ調整部材4が嵌挿されている状態であるが、高さ調整部材4における三角形状による谷部7から山部6における立ち上がりの角度がなだらかである。立ち上がりの角度をなだらかにすることで、山部6と谷部7における斜辺の長さが長くなり、水平に近い面で受ける面積が大きくなる。そのため、上側部材2の下面と高さ調整部材4の上面との接触面積が大きくなる。同様に、下側部材3の上面と高さ調整部材4の下面との接触面積が大きくなる。つまり、接触面積が大きくなることで、上側部材2、下側部材3、高さ調整部材4の安定した接触を可能とすることができる。
【0037】
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態について
図11乃至
図12を参照して説明する。
第四実施形態の枕1の基本的な構成は前述した第一実施形態の枕1と同じである従って、ここでは、第一実施形態の枕1と同じ構成については同一の参照符号を用いるとともにその説明は省略する。また、枕1の各部の材料、製造方法等も第一実施形態と同じである。したがって、ここでは、これらの説明についても省略する。第二実施形態の枕1が、第一実施形態の枕1と異なる点は、高さ調整部材4における構造である。
【0038】
図11を基に説明する。高さ調整部材4は、側面視すると、連続した波線形状である。第一実施形態と同じ波線形状であるが、波における山部6と山部6との間隔が広い。
【0039】
山部6と山部6との間隔を広げることにより、水平に近い面で受ける面積が大きくなる。そのため、上側部材2の下面と高さ調整部材4の上面との接触面積が大きくなる。同様に、下側部材3の上面と高さ調整部材4の下面との接触面積が大きくなる。つまり、接触面積が大きくなることで、上側部材2、下側部材3、高さ調整部材4の安定した接触を可能とすることができる。
【0040】
図12は、
図11と同様に高さ調整部材4が嵌挿されている状態であるが、枕1全体の形状が異なっている。具体的には、枕1の形状が瓢箪形状である。瓢箪形状にすることで、上面でも下面でもいずれでも枕として使用することができる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0042】
<第1の変形例>
図示しないが、高さ調整部材4の上下面における角部に、マジックテープ(登録商標)等の接着部材を設けることで、上側部材2及び下側部材3に設けられた接着部材との接合により、上側部材2と下側部材3と高さ調整部材4との安定した接着を図ってもよい。
【0043】
なお、以上述べた実施形態は、枕1を例として説明したが、枕に限らず、座布団等のクッション材で利用してもよい。
【0044】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0045】
その他、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 枕
2 上側部材
3 下側部材
4 高さ調整部材
5 高さ調整部材
6 山部
7 谷部