(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102233
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】入隅用化粧材
(51)【国際特許分類】
E04F 19/02 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
E04F19/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022012382
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】522038617
【氏名又は名称】株式会社HTY
(72)【発明者】
【氏名】畑間 健志
(57)【要約】
【課題】室内の2壁面が交差する入隅を手前から覆い隠し、前面の化粧面を凹曲面にすることにより、室内の雰囲気を和らげ、室内を上品に見せ、高級感を与えたりする、取り付けが簡単な入隅用化粧材にする。
【解決手段】正面視において相互に前広がりになる直角方向に傾斜した左右対称形状の左右の装着面2,2と、左右の装着面2,2の各前端部から前方に夫々短く起立した左右の細幅端面3,3と、左右の細幅端面3,3の各前端部間に亘る前面で構成される化粧面4とが長尺方向の両端間に至り形成されている。左右の装着面3,3の後端部どうしは横方向に間隔Sがある。化粧面4は、左右の細幅端面3,3の各前端部から左右間中央箇所に向かうに従って弧状に後退した曲面を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の2壁面が直交する入隅を、1本又は連結した複数本によって覆い隠す、プラスチック製、アルミニウム製、ウレタンゴム製、発泡ウレタン製、木製のいずれかよりなる長尺な化粧材であり、
該化粧材は、入隅を形成している2壁面に沿わせることができる左右の装着面と、該左右の装着面の各前端部から略前方に起立する左右の細幅端面と、該左右の細幅端面の各前端部間に亘る前面で構成される化粧面とが、前記型材のに長尺方向の両端間に至り形成されてなり、
前記左右の装着面の後端部どうしは横方向に間隔があり、
前記化粧面は、前記左右の細幅端面における各前端部から左右間中央箇所に向かうに従って弧状に後退した曲面を有する、入隅用化粧材。
【請求項2】
前記各装着面は、平面視において相互に前広がりになる直角方向に傾斜した左右対称形状を有する左右の装着用板部の外側面で構成され、
前記化粧面は、前記左右の細幅端面における各前端部間に亘る前板部の前面で構成されている、請求項1に記載の入隅用化粧材。
【請求項3】
前記左右の装着面と前記左右の細幅端面と前記化粧面とによって囲まれた内部が一体となった厚肉構造を有する、請求項1に記載の入隅用化粧材。
【請求項4】
前記左右の装着面に、前記入隅用化粧材を長尺方向に連結する際に生じ易い連結の横ズレを防止する連結片を横方向から没入させる凹溝が、前記型材の長尺方向の両端間に至り形成されている、請求項1乃至3のいずれかの項に記載の入隅用化粧材。
【請求項5】
前記化粧面の後方箇所に、前記入隅用化粧材を長尺方向に連結する際に生じ易い連結の横ズレを防止する連結軸を挿入する軸孔が、前記型材の長尺方向の両端間に至り形成されている、請求項1乃至3のいずれかの項に記載の入隅用化粧材。
【請求項6】
後端面の横幅方向における中央箇所に、前記入隅用化粧材を長尺方向に連結する際に生じ易い連結の横ズレを防止する連結片を没入させる細幅の凹溝が、前記型材の長尺方向の両端間に至り形成されており、
該連接片は、2本の前記入隅用化粧材の前記後端面の連接端部を跨いで密接する当接板部と、該当接板部の片面中央箇所から直角方向に起立して前記凹溝内に没入する起立部とからなる平面視T形状を有する短尺片である、請求項3に記載の入隅用化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、室内の入隅を覆い隠す入隅用化粧材に関し、前面になる化粧面は凹曲面である。
【背景技術】
【0002】
建物の2壁面が室内側にッ向けて直交する箇所になる入隅は、壁クロスや壁紙を貼り付ける作業で細心の注意を払う箇所になる。このため、熟練者が作業をしなければ、凹凸のある貼りになったり、生地の端が若干の斜めにカットされたり、接着剤やパテが滲み出て白色の染みが生じて目立つ、等不具合が生じ易い。また、入隅を中心にした箇所は、汚れの拭き取りが容易でない。
【0003】
見栄えが良く、取り付けが簡単な化粧型材があれば、上述した不具合は解消されるであろうが、このような型材は今のところ知られていない。
特許文献1に開示の外壁用化粧縁材は、右側面図に示すように、直角の角が後端部にあるために、入隅に合わせて取り付けると、化粧縁材が浮き上がった取り付けになり易い。また、この化粧縁材の前面になる面露に、凹凸が多くあるために、室内を煩雑に見せる。
【0004】
特許文献2に開示の住宅内部のコーナー緩衝材は、四方に角があるため、化粧材として使用するには不向きである。
【先行特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1555785号公報の右側面図
【特許文献2】特開平7-224474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、以上の不具合が生じない入隅用化粧材について鋭意検討の結果、開発された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に対応する第1の態様による入隅用化粧材は、次の各構成を備える。
(1)室内の2壁面が直交する入隅を、1本又は連結した複数本によって覆い隠す、プラスチック製、アルミニウム製、ウレタンゴム製、発泡ウレタン製、木製のいずれかよりなる長尺な型材である。
(2)該型材は、入隅を形成している2壁面に沿わせることができる左右の装着面と、該左右の装着面の各前端部から略前方に起立する左右の細幅端面と、該左右の細幅端面の各前端部間に亘る前面で構成される化粧面とが、前記型材の長尺方向の両端間に至り形成されている。
(3)前記左右の装着面の後端部どうしは横方向に間隔がある。
(4)前記化粧面は、前記左右の細幅端面における各前端部から左右間中央箇所に向かうに従って弧状に後退した曲面を有する。
【0008】
第1の態様の入隅用化粧材が備える構成は、後述する各態様の入隅用化粧材においても共通する。
左右の装着面は、入隅の両側にある2壁面に装着する面になる。
左右の装着面の後端部どうしを横方項に間隔を設けたのは、後端部が入隅の奥端まで届くことによる入隅用化粧材の取り付け不良を防ぐためにある。
化粧面を上述した円弧面にしたのは、室内の入隅辺りの雰囲気を和らげ、圧迫感を無くし、室内に高級感を与えるためである。
【0009】
請求項2に対応する第2の態様による入隅用化粧材は、前記第1の態様が備える構成に加えて、更に次の構成を備える。
(1)前記各装着面は、平面視において相互に前広がりになる直角方向に傾斜した左右対称形状を有する左右の装着用板部の外側面で構成されている。
(2)前記化粧面は、前記左右の細幅端面における各前端部間に亘る前板部の前面で構成されている。
【0010】
第2の態様の入隅用化粧材は、第1の態様の入隅用化粧材を更に具体化した構成となっており、内側を中空構造とすることで、成形材料の使用量を抑えた入隅用化粧材になる。
【0011】
請求項3に対応する第3の態様による入隅用化粧材は、前記第1態様が備える構成に加えて、更に次の構成を備える。
(1)前記左右の装着面と前記左右の細幅端面と前記化粧面とによって囲まれた内部が一体となった厚肉構造を有する。
【0012】
第3の態様の入隅用化粧材も、第1の態様の入隅用化粧材を更に具体化した構成となっており、内側のも成形材料が充填されて空間が内構造になっている。
このような構造にすると、曲げ圧力で撓み易いプラスチック、ウレタンゴム、発泡ウレタンを素材にした入隅用化粧材の強度を向上させる。また、切削加工が容易な木製の入隅用化粧材になる。
【0013】
請求項4に対応する第4の態様による入隅用化粧材は、前記いずれかの態様が備える構成に加えて、更に次の構成を備える。
(1)前記左右の装着面に、前記入隅用化粧材を上下に接続する際の横ズレを防止する連結片を横方向から没入させる凹溝が、前記型材の長尺方向の両端間に至り形成されている。
【0014】
請求項5に対応する第5の態様による入隅用化粧材は、前記第1乃至第3のいずれかの態様が備える構成に加えて、更に次の構成を備える。
()前記化粧面の後方箇所に、前記入隅用化粧材を縦長方向に連接する際に生じ易い横ズレを防止する連結軸の挿入孔が、前記型材の長尺方向の両端間に至り形成されている。
【0015】
請求項6に対応する第6の態様による入隅用化粧材は、前記第1乃至第5のいずれかの態様が備える構成に加えて、更に次の構成を備える。
(1)前記間隔を形成している後端面に、2本の前記入隅用化粧材を縦長方向に連接する際の横ズレを防止する連結片を没入させる細幅の凹溝が、前記型材の長尺方向の両端間に至り形成されている。
(2)該連接片は、2本の前記入隅用化粧材の前記後端面の連接端部を跨いで密接する当接板部と、該当接板部の片面中央箇所から直角方向に起立して前記凹溝内に没入する起立部とからなる平面視T形状を有する短尺片である。
【0016】
第4~第6の態様の入隅用化粧材は、いずれも入隅用化粧材を横ズレなく連結できるように構成されている。入隅用化粧材は室内の床から天井までの高さよりも短いことから連結が必要になる。
【発明の効果】
【0017】
本願発明に係る入隅用化粧材は、室内の交差する2壁面が交叉する入隅を直近する前方において覆い隠すことができる。しかも曲面を有する化粧面は、室内の雰囲気を和らげ、室内を上品に見せ、高級感を与える。
本願発明に係る入隅用化粧材は、取り付けが簡単で一般の居住者でも壁面に取り付けることができる。このため、壁クロスや壁紙の貼り代えの際の作業負担も大幅に抑えられる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、入隅用化粧材の各実施形態を図面に沿って詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本願発明における各実施形態共通の入隅用化粧材の使用例を示した室内の斜視図。
【
図2】(a)は本願発明に係る入隅用化粧材の正面図、(b)は同じく基本形態を示した平面拡大図、(c)は斜め背面側から見た上部拡大斜視図。
【
図3】(a)は実施形態1に係る入隅用化粧材の平面拡大図、(b)は同じく正面上方から見た斜視図。
【
図4】(a)は実施形態1に係る入隅用化粧材を壁面に取り付ける直前の状態を示した平面断面図、(b)は同じく装着後の平面断面図。
【
図5】(a)は実施形態2に係る入隅用化粧材の平面拡大図、(b)は同じく正面上方から見た斜視図。
【
図6】(a)は実施形態3に係る入隅用化粧材と連結片を示した平面拡大図、(b)は連結片を用いて入隅用化粧材を上下に接続する直前の状態を正面上方から見た斜視図、(c)は同じく斜め後方から見た斜視図。
【
図7】(a)は実施形態4に係る入隅用化粧材と連結軸を示した平面図、(b)は同じく連結軸が突入した状態を示した平面図、(c)は連結軸を用いて上下の入隅用化粧材を連結させる直前の状態を示した破断部を含む背面図、(d)は同じく連結後の状態を示した破断部を含む背面図。
【
図8】(a)は実施形態5に係る入隅用化粧材と連結片を示した平面拡大図、(b)は連結軸を用いて上下の入隅用化粧材を連結させる直前の状態を示した破断部を含む背面図、(d)は同じく連結後の状態を示した破断部を含む背面図。
【実施例0020】
〔概要〕
図1において本願発明に係る入隅用化粧材1を取り付けた室内壁面の入隅Xを中心にした室内の一部を示す。
入隅用化粧材1は、室内の2壁面が直交する隅になる入隅を隠すため、壁面の入隅X近傍面に跨った状態で取り付けられる。
図示する壁面は、壁下地材80の室内側に向けた面に壁表材81が設けられて構成されている。壁表材81は、壁クロス、壁紙、木板、合板、壁土、漆喰、鏡面、ガラス面のいずれかで構成される。
【0021】
入隅用化粧材1は、プラスチック製、アルミニウム製、ウレタン製、木製等の種類があり、木製以外のものは安価で量産可能な押出し成型された型材である。アルミニウム製の入隅用化粧材1は、防錆と美観向上のための塗装がされている。この塗装にはアルマイト加工も含まれる。化粧面は、縦向きのヘアーライン加工されたものも含まれる。
入隅用化粧材1は、上述した壁面の材料、室内の様子、施工依頼者の要望等に見合ったものが取り付けられる。
【0022】
図1は、連結した2本の入隅用化粧材1,1が取り付けられて、室内の入隅が隠れた状態の室内の一部が示されている。
入隅用化粧材1の取り付けは、室内の入隅Xを隠す向きで、下部側の入隅用化粧材1を床92側の幅木93の上面に置き、上部側の入隅用化粧材1を天井枠材91の下面と下部側の入隅用化粧材1との間に挟み、入隅用化粧材1の両側面を壁表材81,81に接着させる方法で行なわれる。
この装着では、両面粘着テープ、又は接着剤が用いられる。取り付けの詳細は後述する。
以上のようにして室内の入隅Xを隠す位置に入隅用化粧材1を取り付けると、室内の雰囲気が大きく変わり、室内を華麗に見せる。また、入隅Xに生じていた壁クロスや壁紙の端の剥がれ、隙間の発生、接着剤やパテ剤の露出等の見苦しい箇所を隠す。
【0023】
〔入隅用化粧材1の基本形態〕
図2(a)に示すように入隅用化粧材1の正面から見た基本形態は縦方向が長尺の長方形状である。好適とされる入隅用化粧材1の寸法は、高さHが約1500mm、横幅Wが約50mmである。これらの寸法は例示である。
1500mmの長さは、流通段階における展示、梱包、搬送、購入者の持ち帰りと、取付作業が考慮された寸法である。幅Wは50mm程度あれば、
図1に示すように入隅Xを確実に隠すことが出来る。
【0024】
図2(a)(b)(c)に示す基本形態の入隅用化粧材1は、正面視において相互に前広がりになる直角方向に向けた2面で構成される左右の装着面2,2と、左右の装着面2,2の前端部21b,21bから前方に夫々短く起立した左右の細幅端面3,3と、左右の細幅端面3,3の各前端部間に亘る前面で構成される化粧面4とを備える。
これらの各面は、入隅用化粧材1の長尺方向の両端間に至り形成されている。
基本形態の入隅用化粧材1は、左右の装着面2,2と左右の細幅端面3,3と化粧面4とによって囲まれた内側の構造を問わない。
【0025】
左右の装着面2,2は、
図1に示す入隅Xを形成している左右の壁表材51,51に装着する面になる。
左右の装着面2,2の後端部21a,21aどうしは横方向に間隔Sがある。この間隔Sは、後端部21a,21aが入隅Xの奥端まで届かないようにするためにある。入隅Xの奥端は、壁表材の浮き、パテ材や接着剤などによる凹凸が生じ易い箇所である。
【0026】
左右の細幅端面3,3は、化粧面4の左右の側端部に前方に向けた若干の厚みを設けるためにあ。この厚みは、例えば約2.5~7mmである。この程度の厚みがあると、入隅用化粧材1に立体感と高級感を与える。化粧面4の左右端が薄く尖っていると入隅用化粧材1の高級感が大きく減衰し、危険である。
【0027】
化粧面4は、左右の細幅端面3,3の各前端部から左右間中央箇所に向かうに従って弧状に後退した曲面になっている。中央箇所の後退量Dは、例えば7.2mmであり、曲面は例えば約85mmの半径がある。この程度の後退量がある緩やかな円弧面を持つ化粧面4になり、入隅用化粧材1のみならず室内に優雅さと高級感を与える。
【0028】
入隅用化粧材1は、プラスチック製、アルミニウム製、ウレタンゴム製、発泡ウレタン製、木製等の製品があり、木製以外の製品はもの量産可能な押出し成型された型材である。アルミニウム製の入隅用化粧材1は、防錆と美観向上のための塗装がされている。この塗装には、アルマイト加工によるものも含まれる。
【0029】
以下、この基本形態を持つ各実施形態の入隅用化粧材について説明する。
尚、以下の説明において、基本形態と共通する部分は同一符号を付すことで説明を省略し、差異点について説明する。
【0030】
〔実施形態1の入隅用化粧材1A〕
図3(a)(b)に示す実施形態1の入隅用化粧材1Aは、
図2に示す基本形態の入隅用化粧材1を更に具体化した形状を有する。
詳述すると、左右の装着面3,3が左右の装着用板部21,21の外側面で構成され、化粧面4が前板部41の前面で構成されている。
装着用板部21と前板部41は同程度の板厚があり、この板厚は2~4mm程度であれば足り、細幅端面3,3は装着用板部21と前板部41とを重ねた板厚がある。
入隅用化粧材1Aは、押出し成型で一体成形されている。
左右の装着用板部21,21と前板部41で囲まれた内側は大きな空間Uになっており、入隅用化粧材1Aの成形に必要な材料の使用量が大幅に抑えられている。
【0031】
〔入隅用化粧材1Aの取り付け方法〕
図4(a)に示すように、入隅用化粧材1Aの取り付け作業前に、入隅用化粧材1Aの左右の装着面2,2に両面粘着テープ70,70の各片面を貼り付ける作業を行なう。この貼り付けの作業を省くため、製造段階で接着面2,2に両面粘着テープ70,70を貼り付けた製品にすることも可能である。両面粘着テープ70に代えて、接着面2,2に接着剤を塗布してもよい。
【0032】
この後、入隅用化粧材1Aを
図4(a)に示す向きで前方に押し込む。
この押し込みがされても、左右の装着用板部21,21の各後端部2a,2aは横方向に間隔Sがあるため、
図4(b)に示すように後端部2a,2aは入隅Xに届かない位置で止まる。この位置で、接着面2,2が対向する壁表材51,51を押し付けて接着する。
入隅用化粧材1Aは、このようにして壁面に取り付けられて入隅Xを隠す。
【0033】
〔実施形態2の入隅用化粧材1B〕
図5(a)(b)に示す実施形態2の入隅用化粧材1Bも、
図2に示す基本形態の入隅用化粧材1を更に具体化した形状を備える。
詳述すると、入隅用化粧材1Bは、左右の装着面2,2と細幅端面3,3と化粧面4とによって囲まれた内部22が一体化した構造を有する。
左右の装着面2,2の後端部2a,2aの横方向に向けた間隔Sがある箇所は平坦な背面5になっている。
入隅用化粧材1Bは、押出し成形品の他、切削加工がし易いため、木製の製品も対象になる。入隅用化粧材1Bを高級な木製の製品にすると、板壁のある室内に落ち着きと高級感を与える。
【0034】
〔実施形態3の入隅用化粧材1C〕
図6(a)~(c)に示す実施形態3の入隅用化粧材1Bは、2枚の連結片50,50を用いて長さ方向に連結できる構成になっている。連結が必要な理由は、
図1に対応した説明の通りである。
この連結が行えるようにするため、入隅用化粧材1Cには、左右の装着面2,2における前後長さ方向の中央箇所に、入隅用化粧材1B,1Bを連結する際に生じ易い横ズレを防止する連結片50,50を横方向から没入させる凹溝2c,2cが形成されている。この凹溝2c,2cは、入隅用化粧材1Bの長尺方向の両端部間に至り形成されている。
【0035】
連結片50,50は、短尺な長方形状を有する平板で構成されている。
凹溝2c,2cは、連結片50,50の短尺方向の幅に合わせた横幅と、連結片50,50の板厚に合わせた深さがある。このため、連結片50を凹溝2c内に略密着した状態で没入させることができる。
【0036】
2本の入隅用化粧材1B,1Bを連結させる作業は、
図6(b)に示すように上段の入隅用化粧材1Bと下段の入隅用化粧材1Bの向きを揃えて対向端面どうしを重ね合わせる。
この後、下段の入隅用化粧材1Bの凹溝2c内に連結片50の長さ方向の下半分を没入させ、上段の入隅用化粧材1Bの凹溝2c内に連結片50の長さ方向の上半分を没入させる。
【0037】
続いて
図6(c)に示すように、左右の装着面2,2に両面粘着テープ70,70の片面を貼り付ける。両面粘着テープ70,70は、連結片50,50も一緒に覆うため、連結板50,50の脱落は生じない。
このようにすると、2本の入隅用化粧材1C,1Cは、横方向の位置ズレがない確実な連結がされる。
【0038】
この後、両面粘着テープ70,70の外側面の剥離テープを取り除き、
図4(a)(b)に示す方法と同じ方法で、入隅用化粧材1Cを壁面に取り付ける。
【0039】
〔実施形態4の入隅用化粧材1C〕
図7(a)~(d)に示す実施形態4に係る入隅用化粧材1Cは、連結軸51を用いて連結できるように構成されている。
この連結が行えるようにするため、入隅用化粧材1Cは、化粧面4の後方箇所になる前板部41の背面に、連結軸51を挿入する軸孔43が設けられている。具体的には、軸孔43は、前板部41の背面における横幅方向の中央箇所から後方の空間U内に向けて、軸孔43がある軸ホルダ部42を突出させた構成になっており、軸ホルダ部42は、入隅用化粧材1Cの長尺方向の両端間に至り形成されている。
連結軸51は、軸孔43に密着する太さの短尺丸ピンが用いられる。連結軸51の両端部の周縁は、軸孔43に突入し易いように角取りがあれている。
【0040】
入隅用化粧材1C,1Cの連結作業は、先ず、
図7(b)(c)に示すように、下段の入隅用化粧材1Cの軸孔43内に連結軸51の長さ半分を挿入し、残りの長さ半分を突出させる。この後、連結軸51が移動しないように連結軸直下の軸孔43内にパテ材52を充填する。パテ材52の代わりに接着剤を用いて連結軸51を図に示す位置で固定させてもよい。
【0041】
この後、
図7(d)に示すように上段の入隅用化粧材1Cを、下段の入隅用化粧材1Cと同じ向きにして、下段の入隅用化粧材1Cの端面を突き合わせる。このようにすると上方に突出している連結軸51の上半分が上段の入隅用化粧材1Cの軸孔43内に突入し、2本の入隅用化粧材1C、1Cは、横ズレなく確実に連結される。
【0042】
〔実施形態5の入隅用化粧材1D〕
図8(a)~(c)に示す実施形態5の入隅用化粧材1Dは、端面形状がT字形状の短尺な連結片52を用いて長尺方向に連結できるように構成されている。この入隅用化粧材1Dは、
図5に示す実施形態2の入隅用化粧材1Bをベースにし、更に加工が加えられた構成となっている。
詳述すると、入隅用化粧材1Dは、後端面5の横幅を2分する中央箇所に連結片62を没入させる細幅の凹溝5aが長尺方向の両端間に至り形成された構成を有する。
【0043】
連接片62は、入隅用化粧材1Dの後端面5の横幅内に収まる横幅がある短尺な当接板部62aと、前記凹溝5a内に密着して没入する大きさの起立板部52bとによって形成された平面視T字形状を有する、縦長の製品である。
【0044】
連結片52を用いた入隅用化粧材1D,1Dの長尺方向の連結は、
図8(b)に示すように2本の入隅用化粧材1D、1Dを向きを揃えることから始まる。
そしてこの後、
図8(c)に示すように、2本の入隅用化粧材1D、1Dの対向端面どうしを重ねる方向に力を加えて、連結片52の起立部52bの長さ方向の半分を一方の入隅用化粧材1Dの凹溝6a内に圧入し、同時に、起立部52bの長さ方向の残りの半分を他方の入隅用化粧材1Dの凹溝6a内に圧入し、この圧入作業を当接板部52aが入隅用化粧材1D,1Dの連結箇所を挟んだ後端面5,5に跨る状態で当接するまで続ける。
このようにすると、2本の入隅用化粧材1D。1Dは横ズレなく確実に連結される。
【0045】
上述した3通りの連結は、入隅用化粧材1を連結しなければ必要な長さが得られないために必要になる。この連結の際には、入隅用化粧材の必要な長さを予め測定した後、余分な長さはカットする。
【0046】
図示していないが、化粧面を鏡面に加工した製品にすることも可能である。化粧面が照明光が反射したり乱反射すると、室内が一層豪華に見え顧客を楽しませる。このため、高級飲食店やブティックの内装部材に最適な化粧材になる。鏡面は、アルニウムの化粧面は研磨し、他の場合は鏡面層を形成する。