(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102241
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/34 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
H02K3/34 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068589
(22)【出願日】2022-04-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2022002010
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】岩田 謙一
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB09
5H604BB14
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604PB03
(57)【要約】
【課題】インシュレータの装着工程の作業性を向上可能な電動機を提供する。
【解決手段】ある態様の電動機2は、複数の第1歯部22の間に形成された複数の第1スロット24と、複数の第2歯部23の間に形成された複数の第2スロット25を有する固定子鉄心16と、複数の第1歯部22を挟む一対の第1インシュレータ30と、複数の第2歯部23を挟む一対の第2インシュレータ40と、第1スロット24に施されるA相巻線8と、第2スロット25に施されるB相巻線9と、回転可能な回転子19と、を備える。第1インシュレータ30は、回転軸に直交する面で構成される第1基部と、第1基部から第1スロット24の壁面に沿って延出する複数の第1壁部とを有する。第2インシュレータ40は、回転軸に直交する面で構成される第2基部と、第2基部から第2スロット25の壁面に沿って延出する複数の第2壁部とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1歯部の間に形成された複数の第1スロットと、前記第1歯部の径方向外側に延設される複数の第2歯部の間に形成された複数の第2スロットを有する固定子鉄心と、
前記複数の第1歯部を軸方向両側から挟む一対の第1インシュレータと、
前記一対の第1インシュレータとは別に設けられ、前記複数の第2歯部を軸方向両側から挟む一対の第2インシュレータと、
前記複数の第1スロットに施されるA相巻線と、
前記複数の第2スロットに施されるB相巻線と、
前記固定子鉄心の側面に対向して回転可能に設けられた回転子と、を備え、
前記第1インシュレータは、
回転軸に直交する面で構成される第1基部と、
前記第1基部から前記第1スロットの壁面に沿って軸方向に延出する複数の第1壁部と、を有し、
前記第2インシュレータは、
回転軸に直交する面で構成される第2基部と、
前記第2基部から前記第2スロットの壁面に沿って軸方向に延出する複数の第2壁部と、を有する電動機。
【請求項2】
前記第2歯部は、
前記第1スロットから径方向外側に延びる第1連通路を有し、
前記第2インシュレータは、
前記第2基部から第1連通路に延出する突起部を有する、請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記突起部の前記第2基部からの軸方向延出距離は、
前記第2壁部の前記第2基部からの軸方向延出距離よりも大きい、請求項2に記載の電動機。
【請求項4】
前記第1インシュレータの外周部に、前記第2インシュレータの内周部と軸方向に重なる部分が設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
固定子鉄心の上下に一対のインシュレータを装着した固定子を有する電動機が知られている。(例えば、特許文献1参照)。以下、その固定子について、
図13および
図14を参照しながら説明する。
図13は、従来の固定子の構成を示す分解斜視図である。
図14は、従来の固定子におけるインシュレータ装着前後を示す断面図である。ここで
図14Aはインシュレータ装着前であり、
図14Bはインシュレータ装着後である。
【0003】
図13に示すように、従来の固定子100では、固定子鉄心102の上下から挟み込むように一対のインシュレータ(インシュレータ101a、インシュレータ101b)が装着される。インシュレータは、面で構成される基部に直交する方向に延出して各スロットの壁面を覆う、筒状の壁部を複数有する。また
図14に示すように、従来のインシュレータは、上側のインシュレータ101aの壁部と下側のインシュレータ101bの壁部とをスロット103の内側にて重ね合わせて固定子鉄心102に装着される。当該インシュレータを介してスロットに巻線を巻回することで巻線と固定子鉄心との電気絶縁を行う。このような固定子を備えた電動機は、部品点数が少ないため組立工数を減らせるという特徴を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構成では、インシュレータの壁部をスロットに挿入する際に、内周部位を起点として径方向に引張、圧縮応力が加わり、外周部位が周方向に湾曲するなど変形を生じることがある。この場合、装着時のインシュレータの外周部位の変形により、壁部とスロットの位置関係がずれてこれらを嵌合するために余分な手間がかかるため、作業工数削減のボトルネックになるおそれがある。これらから、このタイプのインシュレータは、装着工程の作業性を一層向上するという観点からは改善すべき余地がある。
【0006】
本開示の目的の1つは、インシュレータの装着工程の作業性を向上可能な電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の、電動機は、複数の第1歯部の間に形成された複数の第1スロットと、第1歯部の径方向外側に延設される複数の第2歯部の間に形成された複数の第2スロットを有する固定子鉄心と、複数の第1歯部を軸方向両側から挟む一対の第1インシュレータと、一対の第1インシュレータとは別に設けられ、複数の第2歯部を軸方向両側から挟む一対の第2インシュレータと、複数の第1スロットに施されるA相巻線と、複数の第2スロットに施されるB相巻線と、固定子鉄心の側面に対向して回転可能に設けられた回転子と、を備える。第1インシュレータは、回転軸に直交する面で構成される第1基部と、第1基部から第1スロットの壁面に沿って軸方向に延出する複数の第1壁部とを有する。第2インシュレータは、回転軸に直交する面で構成される第2基部と、第2基部から第2スロットの壁面に沿って軸方向に延出する複数の第2壁部とを有し、これによって所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、インシュレータの装着工程の作業性を向上可能な電動機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施例に係る電動機を搭載した天井扇を示す側面図
【
図3】本実施例に係る固定子の部分断面を示す平面図
【
図4】本実施例に係る固定子の構成を示す分解斜視図
【
図9】本実施例に係る固定子のA-A線に沿った横断面を示す断面図
【
図10】本実施例に係る固定子のE-E線に沿った縦断面を示す断面図
【
図14】従来の固定子におけるインシュレータ装着前後を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。実施例および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施例を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0012】
図面を参照して本開示の実施例に係る電動機2を説明する。
図1は、本実施例に係る電動機2を搭載した天井扇1を示す側面図である。
図2は、電動機2の回転軸に沿った縦断面を示す。電動機2の用途に限定はないが、一例として、電動機2は天井扇に好適に搭載できる。
【0013】
天井扇1は、支柱4と、シャフト6と、羽根3と、本体カバー5と、電動機2と、を備える。
【0014】
支柱4は、天井から下方に延びる中空円筒状の部材である。
【0015】
シャフト6は、上下に延びる中空軸で、支柱4の下端に固定される。
【0016】
羽根3は、略矩形の板形状であり、電動機2の外周に設けられる。
【0017】
本体カバー5は、略半球形のドーム形状であり、電動機2の下方を覆う。
【0018】
電動機2は、外転型の交流電動機である。電動機2は、運転用コンデンサ10と、上部カバー11と、回転子カバー12と、軸受ハウジング部13a、13bと、玉軸受14a、14bと、回転子19と、固定子20と、を備える。
【0019】
運転用コンデンサ10は、電動機2に交流電圧を供給する。運転用コンデンサ10は、シャフト6の側面に設けられる。
【0020】
上部カバー11は、回転子19と固定子20とを上側から覆うとともに、回転子19の外周側に固定される。
【0021】
回転子カバー12は、固定子20を下側から覆うとともに、回転子19の下側に固定される。
【0022】
軸受ハウジング部13aは、回転子カバー12に形成された凹部で、玉軸受14aの外輪を支持する。軸受ハウジング部13bは、上部カバー11に形成された凹部で、玉軸受14bの外輪を支持する。
【0023】
玉軸受14aの内輪および玉軸受14bの内輪はシャフト6に固定される。本実施形態に係る玉軸受14aおよび玉軸受14bにおいては内輪が固定輪であり、外輪が回転輪である。
【0024】
回転子19は、中空略円筒形状であり固定子20の外周側に配置される。回転子19は、給電時に羽根3と一体的に固定子20の周囲を回転する。回転子19は、回転子鉄心17を備える。
【0025】
回転子鉄心17は、固定子鉄心16の側面に対向して回転可能に設けられた金属製の部材である。回転子鉄心17は、エンドリング15を備える。
【0026】
エンドリング15は、回転子鉄心17を挟んで上下それぞれに設けられる環状の部材である。
【0027】
固定子20は、回転子19の内周に配置され、シャフト6により固定される。固定子20は、固定子鉄心16と、インシュレータ7と、A相巻線8と、B相巻線9とを備える。
【0028】
固定子鉄心16は、磁性鋼板をプレスしながら積層して略円筒状に形成される。固定子鉄心16は、中心孔21を備える。
【0029】
中心孔21は、固定子鉄心16にシャフト6を挿入するための円孔であり、固定子鉄心16の中心に設けられる。
【0030】
インシュレータ7は、固定子鉄心16の上面及び下面の一部を覆い、巻線の絶縁を確保する。インシュレータ7は、中空の略円盤形状である。インシュレータ7は、第1インシュレータ30と、第2インシュレータ40とを備える。第1インシュレータ30と、第2インシュレータ40の詳細は後述する。
【0031】
A相巻線8は、後述する複数の第1スロット24に施され、B相巻線9は、後述する複数の第2スロット25に施されることでインシュレータ7を介して固定子鉄心16に巻回される。A相巻線8とB相巻線9の一方に運転用コンデンサ10により進相された交流電圧が供給され、他方には進相前の交流電圧が供給される。この結果、A相巻線8およびB相巻線9は、固定子20の周囲に回転磁界を発生させ、誘導電動機の原理により回転子19に回転トルクを生じさせる。
【0032】
このような構成によって給電時には、シャフト6および固定子20が静止し、上部カバー11、回転子カバー12および回転子19が回転する。
【0033】
続いて
図3及び
図4を参照して、固定子20を説明する。
図3は、固定子20の部分断面を示す平面図である。この図では、左上4分の1に固定子鉄心16を示し、左下4分の1に第1インシュレータ30および第2インシュレータ40を装着した状態を示し、右半分にA相巻線8およびB相巻線9を施した状態を示している。
図4は、固定子20の構成を示す分解斜視図である。以下、固定子鉄心16の略円筒状における側面に平行な方向(電動機2における回転軸に平行な方向)を「軸方向」、軸方向に直交する方向を「径方向」、径方向において、中心孔21から遠ざかる方向を「径方向外側」、径方向外側とは反対側を「径方向内側」と称する。また、軸方向に平行な直線を含む面に沿った断面を縦断面、軸方向に直交する面に沿った断面を横断面と称する。
【0034】
図3に示すように、固定子鉄心16は、第1歯部22と、第2歯部23と、第1スロット24と、第2スロット25と、第1連通路26と、第2連通路29と、をさらに備える。
【0035】
第1歯部22は、固定子鉄心16の外周から径方向外側に向かって延出する棒状の部分である。第1歯部22は、固定子鉄心16の外周側に所定の間隔で複数(例えば14個)配列される。
【0036】
第2歯部23は、第1歯部22の外周部から二股に分かれ径方向外側に延出する棒状の部分である。第2歯部23は、第1歯部22の外周部において所定の間隔で複数(例えば28個)配列される。第2歯部23は、延在部55を備える。
【0037】
延在部55は、第2歯部23とともに第2スロット25の内壁を形成する。延在部55は、第2歯部23の延出先端から第1連通路26の逆側に延出して設けられる。
【0038】
第1スロット24は、A相巻線8を施すために設けられた開口であり、複数の第1歯部22の間に設けられる。第1スロット24は、第1歯部22の側面を内壁として複数形成される。第1スロット24は、第1スロット開口部56を備える。
【0039】
第1スロット開口部56は、第1スロット24から径方向外側への開口であり、第1スロット24の内壁に略矩形に設けられる。
【0040】
第2スロット25は、B相巻線9を施すために設けられた開口であり、複数の第2歯部23の間に設けられる。第2スロット25は、第2歯部23および延在部55の側面を内壁として複数形成される。第2スロット開口部57を備える。
【0041】
第2スロット開口部57は、第2スロット25から径方向外側への開口であり、第2スロット25の内壁に略矩形に設けられる。
【0042】
第1連通路26は、各第1スロット開口部56から径方向外側に延びて固定子鉄心16の略円筒状における側面に連通する通路空間であり、互いに隣接する2つの第2歯部23の間に形成される。第1連通路26は、第1開口部27を備える。
【0043】
第1開口部27は、第1連通路26において径方向外側の端部に形成される略矩形の開口である。言い換えると、第1開口部27は、固定子鉄心16の略円筒状における側面に略矩形に形成される。
【0044】
第2連通路29は、各第2スロット開口部57から径方向外側に延びて固定子鉄心16の略円筒状における側面に連通する通路空間であり、延在部55の間に形成される。第2連通路29は、第2開口部28を備える。
【0045】
第2開口部28は、第2連通路29において径方向外側の端部に形成される略矩形の開口である。言い換えると、第2連通路29は、固定子鉄心16の略円筒状における側面に略矩形に形成される。
【0046】
第1連通路26および第2連通路29は、巻線を施す際のワイヤの通路として利用できる。したがって
図3に示すように、A相巻線8は、第1連通路26を通して各第1スロット24に施され、第1インシュレータ30および後述する第1スロットセル51を介して各第1歯部22に巻回される。また、B相巻線9は、第2連通路29を通して各第2スロット25に施され、第2インシュレータ40および後述する第2スロットセル53を介して各第2歯部23に巻回される。
【0047】
図4に示すように、本実施形態に係るインシュレータ7は、径方向に2分割、上下方向に2分割の合計4つのピースを含む。すなわち、インシュレータ7は、複数の第1歯部22を軸方向両側から挟む一対の第1インシュレータ30と、複数の第2歯部23を軸方向両側から挟む一対の第2インシュレータ40とで構成される。
【0048】
第1インシュレータ30は、円環状に形成され、第2インシュレータ40の径方向内側において、主に第1歯部22を覆う。第1インシュレータ30は、第1基部31と、第1壁部32とを備える。
【0049】
第1基部31は、軸方向に直交する面で構成される円環状の部分である。第1基部31は、固定子鉄心16の軸方向の端面に接触して設けられ、各第1歯部22を覆うように形成される。
【0050】
第1壁部32は、第1基部31から軸方向に延出した筒状の部分である。第1壁部32は、第1スロット24の壁面に沿って設けられ、平面視で略O字状の環状に形成される。第1壁部32は、第1基部31からの高さが固定子鉄心16における軸方向の高さの半分以下となるように設けられる。第1壁部32は、第1インシュレータ開口部58を備える。
【0051】
第1インシュレータ開口部58は、第1壁部32の径方向外側に設けられる略矩形の開口である。第1インシュレータ開口部58は、第1インシュレータ30を装着した際に第1スロット開口部56に対応する位置に設けられ、第1スロット開口部56と同等の大きさを有する。
【0052】
第2インシュレータ40は、第1インシュレータ30よりも径が大きい円環状に形成され、第1インシュレータ30の径方向外側において、主に第2歯部23を覆う。第2インシュレータ40は、第2基部41と、第2壁部42とを備える。
【0053】
第2基部41は、軸方向に直交する面で構成される円環状の部分である。第2基部41は、固定子鉄心16の軸方向の端面に接触して設けられ、第2歯部23を覆うように形成される。
【0054】
第2壁部42は、第2基部41から軸方向に延出した筒状の部分である。第2壁部42は、第2スロット25の壁面に沿って設けられ、平面視で略O字状の環状に形成される。第2壁部42は、第1基部31からの高さが固定子鉄心16における軸方向の高さの半分以下となるように設けられる。第2壁部42は、第2インシュレータ開口部59を備える。
【0055】
第2インシュレータ開口部59は、第2壁部42の径方向外側に設けられる略矩形の開口である。第2インシュレータ開口部59は、第2インシュレータ40を装着した際に第2スロット開口部57に対応する位置に設けられ、第2スロット開口部57と同等の大きさを有する。
【0056】
このように、第1インシュレータ30と第2インシュレータ40とをそれぞれ独立して円環状に形成することで、固定子鉄心16に装着するときに、内周部位を起点として径方向に引張、圧縮応力が加わっても、外周部位が周方向に変形する影響を低減できる。このため、第2壁部42の第2スロット25への挿入が容易となり、インシュレータの装着作業性が向上する。
【0057】
また、
図4に示すように、固定子20は、第1スロットセル51と、第1スロットウェッジ52と、第2スロットセル53と、第2スロットウェッジ54とをさらに備える。
【0058】
第1スロットセル51は、第1インシュレータ30が装着された後に、第1壁部32の内周に装着される略筒状の部材である。第1スロットセル51の軸方向の高さは、固定子鉄心16における軸方向の高さ以下である。第1スロットセル51は、第1スロットセル開口部60を備える。
【0059】
第1スロットセル開口部60は、第1スロットセル51の径方向外側に設けられる略矩形の開口である。第1スロットセル開口部60は、第1スロットセル51を第1壁部32の内周に装着した際に第1インシュレータ開口部58に対応する位置に設けられ、第1インシュレータ開口部58と同等の大きさを有する。
【0060】
第1スロットウェッジ52は、A相巻線8が施された後に、第1スロット24の第1連通路26への出口を覆うように装着される略板状の部材である。第1スロットウェッジ52の軸方向の高さは、一対の第1インシュレータ30における一方の第1基部31と他方の第1基部31との間隔以上である。
【0061】
第1スロットセル51および第1スロットウェッジ52は、PETフィルムなどの絶縁シートからなり、その厚みは第1壁部32よりも薄い。本実施の形態においては、第1壁部32の厚みが0.3mm~0.5mm程度であることに対して、第1スロットセル51および第1スロットウェッジ52の厚みは0.10mm~0.25mm程度である。
【0062】
第2スロットセル53は、第2インシュレータ40が装着された後に、第2壁部42の内周に装着される略筒状の部材である。第2スロットセル53の軸方向の高さは、固定子鉄心16における軸方向の高さ以下である。第2スロットセル53は、第2スロットセル開口部61を備える。
【0063】
第2スロットセル開口部61は、第2スロットセル53の径方向外側に設けられる略矩形の開口である。第2スロットセル開口部61は、第2スロットセル53を第2壁部42の内周に装着した際に第2インシュレータ開口部59に対応する位置に設けられ、第2インシュレータ開口部59と同等の大きさを有する。
【0064】
第2スロットウェッジ54は、B相巻線9が施された後に、第2スロット25の第2連通路29への出口を覆うように装着される略板状の部材である。第2スロットウェッジ54の軸方向の高さは、一対の第2インシュレータ40における一方の第2基部41と他方の第2基部41との間隔以上である。
【0065】
第2スロットセル53および第2スロットウェッジ54は、PETフィルムなどの絶縁シートからなり、その厚みは第2壁部42よりも薄い。本実施の形態においては、第2壁部42の厚みが0.3mm~0.5mm程度であることに対して、第2スロットセル53および第2スロットウェッジ54の厚みは0.10mm~0.25mm程度である。
【0066】
続いて
図5及び
図11を参照して、第1インシュレータ30を説明する。
図5は第1インシュレータ30を示す斜視図である。ここで
図5Aは、第1インシュレータ30を固定子鉄心16側から見た図であり、
図5Bは、第1インシュレータ30をコイルエンド側から見た図である。
図11は、
図5の要部を拡大して示す斜視図である。
【0067】
第1インシュレータ30は、第1接合部33と、第1内周壁36と、第1係止部A34と、第1係止部B35と、第1押圧部37とをさらに備える。
【0068】
第1接合部33は、第1基部31の外周側において第1連通路26を避けて設けられる部分円弧状の部分である。
【0069】
第1内周壁36は、第1基部31の内周端から軸方向で固定子鉄心16から遠ざかる方向、即ち第1壁部32とは反対方向に延出する円筒状の部分である。
【0070】
第1係止部A34は、第1基部31と同一平面上にあり、径方向外側から径方向内側に延出して設けられる。第1係止部A34は、例えば第1壁部32の第1インシュレータ開口部58に対応する開口両端部において突起状に形成される。
【0071】
第1係止部B35は、第1基部31と同一平面上にあり、径方向内側から径方向外側に延出して設けられる。第1係止部B35は、例えば第1壁部32の第1インシュレータ開口部58とは反対側において突起状に形成される。
【0072】
第1係止部A34および第1係止部B35は、第1スロットセル51を第1壁部32の内周に装着した際に第1スロットセル51の軸方向両端部に当接することで第1スロットセル51の軸方向の移動を抑制する。
【0073】
第1押圧部37は、第1壁部32の第1インシュレータ開口部58に対応する開口両端部から径方向内側に突出して設けられる。第1押圧部37は、例えば第1係止部A34と同等の長さで突出する。
【0074】
続いて
図6及び
図12を参照して、第2インシュレータ40を説明する。
図6は、第2インシュレータ40を示す斜視図である。ここで
図6Aは、第2インシュレータ40を固定子鉄心16側から見た図であり、
図6Bは、第2インシュレータ40をコイルエンド側から見た図である。
図12は、
図6の要部を拡大して示す斜視図である。
【0075】
第2インシュレータ40は、第2接合部43と、第2内周壁46と、第2外周壁47と、突起部48と、第2係止部A44と、第2係止部B45と、第2押圧部50とをさらに備える。
【0076】
第2接合部43は、第2基部41の内周側に設けられる環状の部分である。
図6の例では、第2接合部43は、第2基部41と同一平面上にあり、帯状の各辺が14角形に組み合わされた形状を有する。
【0077】
第2内周壁46は、第2基部41の内周端から軸方向で固定子鉄心16から遠ざかる方向、即ち第2壁部42とは反対方向に延出する円筒状の部分である。
【0078】
第2外周壁47は、第2基部41の外周部から軸方向で固定子鉄心16から遠ざかる方向、即ち第2壁部42とは反対方向に延出する部分円筒状の部分である。第2外周壁47は、B相巻線9の径方向外側への出っ張りを規制する。
【0079】
突起部48は、各第1連通路26に対応して周方向に所定の間隔で複数(例えば14)設けられる。突起部48は、第1開口部27より径方向内側において、第2基部41から第1連通路26の壁面に沿って軸方向に延出する。突起部48は、第1連通路26に嵌まり込んで、第2インシュレータ40の固定子鉄心16に対する位置決め部材として機能する。突起部48を有することにより、固定子鉄心16と第2インシュレータ40の位置合わせが容易になり、組立作業性が向上する。
【0080】
突起部48の第2基部41からの延出距離h48は、第2壁部42の第2基部41からの延出距離h42よりも大きい。この場合、第2インシュレータ40を装着する際、第2基部41からの延出距離が大きい(高さが高い)突起部48が先に第1開口部27より内方に誘導されるため、固定子鉄心16と第2インシュレータ40の位置合わせがなされ、第2壁部42を容易に固定子鉄心16に被せることができる。この結果、組立作業性が向上する。
【0081】
第2係止部A44は、第2基部41と同一平面上にあり、径方向外側から径方向内側に延出して設けられる。第2係止部A44は、例えば第2壁部42の第2インシュレータ開口部59に対応する開口両端部において突起状に形成される。
【0082】
第2係止部B45は、第2基部41と同一平面上にあり、径方向内側から径方向外側に延出して設けられる。第2係止部B45は、例えば第2壁部42の第2インシュレータ開口部59とは反対側において突起状に形成される。
【0083】
第2係止部A44および第2係止部B45は、第2スロットセル53を第2壁部42の内周に装着した際に第2スロットセル53の軸方向両端部に当接することで第2スロットセル53の軸方向の移動を抑制する。
【0084】
第2押圧部50は、第2壁部42の第2インシュレータ開口部59に対応する開口両端部から径方向内側に突出して設けられる。第2押圧部50は、例えば第2係止部A44と同等の長さで突出する。
【0085】
次に、
図7を参照して固定子20の組立手順を説明する。
図7A、
図7B、
図7C、
図7Dは、固定子20の組立手順を示す図である。
(1)先ず、固定子鉄心16に、2つの第1インシュレータ30を上下から装着し、その後に第1スロットセル51を装着する(
図7A)。第1インシュレータ30は、第1壁部32を第1スロット24の内壁に沿って挿入させ、第1基部31と固定子鉄心16の軸方向端部とを接触させる。このとき、第1壁部32は、第1基部31からの高さが固定子鉄心16における軸方向の高さの半分以下であるため第1スロット24の一端から挿入された第1壁部32と他端から挿入された第1壁部32との衝突を防ぐことができる。第1スロットセル51は、第1壁部32の内周に装着され、軸方向両端を第1壁部32の第1係止部A34及び第1係止部B35に当接させることで第1壁部32の内周での軸方向の動きが抑制される。さらに、第1スロットセル51は、第1インシュレータ30の第1押圧部37を第1スロットセル開口部60に対応する開口両端部で挟持することで第1壁部32の内周での周方向の動きが抑制される。
(2)次に、巻線機によりA相巻線8を巻回し、その後に第1スロットウェッジ52を装着する(
図7B)。第1スロットウェッジ52は、第1スロットセル51とA相巻線8との間であって第1スロットセル開口部60に対向する位置に設けられる。
(3)次に、固定子鉄心16に、2つの第2インシュレータ40を上下から装着し、その後に第2スロットセル53を装着する(
図7C)。第2インシュレータ40は、第2壁部42を第2スロット25の内壁に沿って挿入させ、第2基部41と固定子鉄心16の軸方向端部とを接触させる。このとき、第2壁部42は、第2基部41からの高さが固定子鉄心16における軸方向の高さの半分以下であるため第2スロット25の一端から挿入された第2壁部42と他端から挿入された第2壁部42との衝突を防ぐことができる。第2スロットセル53は、第2壁部42の内周に装着され、軸方向両端を第2壁部42の第2係止部A44及び第2係止部B45に当接させることで第2壁部42の内周での軸方向の動きが抑制される。さらに、第2スロットセル53は、第2インシュレータ40の第2押圧部50を第2スロットセル開口部61に対応する開口両端部で挟持することで第2壁部42の内周での周方向の動きが抑制される。
(4)次に、巻線機によりB相巻線9を巻回し、その後に第2スロットウェッジ54を装着する(
図7D)。第2スロットウェッジ54は、第2スロットセル53とB相巻線9との間であって第2スロットセル開口部61に対向する位置に設けられる。その後、巻線のワイヤの先端処理などの付加工程を経て固定子20は完成する。
【0086】
次に、
図8を参照して固定子20の断面を説明する。
図8Aは、
図3のB-B線に沿った縦断面を示し、
図8Bは、
図3のC-C線に沿った縦断面を示し、
図8Cは、
図3のD-D線に沿った縦断面を示し、
図8Dは
図3のF-F線に沿った縦断面を示す。
【0087】
図8A、
図8Cに示すように、第1係止部B35および第1係止部A34は、径方向に延在して第1スロットセル51を保持する。第1スロットウェッジ52は、A相巻線8の外周側に介在して外周側へのはみ出しを制限する。第1内周壁36は、A相巻線8の内周側で軸方向に延在し、A相巻線8の内周側への巻き崩れを防止する。第2外周壁47は、B相巻線9の外周側で軸方向に延在し、B相巻線9の外周側への巻き崩れを防止する。第2内周壁46は、B相巻線9の内周側で軸方向に延在し、B相巻線9の内周側への巻き崩れを防止する。
【0088】
図8B、
図8Dに示すように、第2係止部B45および第2係止部A44は、径方向に延在して第2スロットセル53を保持する。また、第1接合部33と、第2接合部43とは、固定子鉄心16の端面上で軸方向に重なり合う。この例では、第1接合部33の上に第2接合部43が重なり合っている。
【0089】
図8Cに示すように、第1スロットセル51と第1スロットウェッジ52とは一部がオーバーラップしており、このことによって絶縁距離(沿面距離)を確保している。また、第2内周壁46は、A相巻線8とB相巻線9との間に延在し、これらの接触を防止する。
【0090】
次に、
図9と
図10を参照して固定子20の断面をさらに説明する。
図9は、
図2のA-A線に沿った横断面図である。
図10は、
図3のE-E線に沿った縦断面図である。
【0091】
図9に示すように、第1スロットウェッジ52は、A相巻線8と、第1スロットセル51の径方向外周端との間に挿入される。言い換えると、第1スロットウェッジ52は、第1スロットセル開口部60に対向する位置に設けられる。このことにより、A相巻線8と固定子鉄心16の沿面距離を確保できる。第1スロットセル51の端部と、第1スロットウェッジ52の端部は、互いにオーバーラップしている。また、第1スロットウェッジ52は、第1押圧部37によって径方向内側に押し付けられる。換言すると、第1押圧部37は、第1スロットウェッジ52をA相巻線8に押し当てて、第1スロットウェッジ52を保持する。
【0092】
第2スロットウェッジ54は、B相巻線9と、第2スロットセル53の径方向外周端との間に挿入される。言い換えると、第2スロットウェッジ54は、第2スロットセル開口部61に対向する位置に設けられる。このことにより、B相巻線9と固定子鉄心16の沿面距離を確保できる。第2スロットセル53の端部と、第2スロットウェッジ54の端部は、互いにオーバーラップしている。また、第2スロットウェッジ54は、第2押圧部50によって径方向内側に押し付けられる。換言すると、第2押圧部50は、第2スロットウェッジ54をB相巻線9に押し当てて、第2スロットウェッジ54を保持する。
【0093】
第1スロットセル51は、第1スロット24の周方向において、一方の第1押圧部37から第1壁部32に沿ってもう一方の第1押圧部37までの間に配置される。第1スロットセル51は、第1押圧部37によって第1スロット24の内周における周方向の移動を抑制される。このことにより、A相巻線8を施す際に第1スロットセル51がワイヤの通路を阻害しないため、巻線作業が円滑に行われる。
【0094】
第2スロットセル53は、第2スロット25の周方向において、一方の第2押圧部50から第2壁部42に沿ってもう一方の第2押圧部50までの間に配置される。第2スロットセル53は、第2押圧部50によって第2スロット25の内周における周方向の移動を抑制される。このことにより、B相巻線9を施す際に第2スロットセル53がワイヤの通路を阻害しないため、巻線作業が円滑に行われる。
【0095】
第1係止部A34、第1係止部B35、第2係止部A44、第2係止部B45、第1押圧部37および第2押圧部50(以下、「特定突起」と総称する)は、A相巻線8およびB相巻線9に干渉しない位置に設けられる。環状に巻回された巻線は、上下中心部で最も外側に張り出し、各角部には丸みを帯びたコーナR62が形成される。このため、特定突起を、巻線の上下中心部を避けて角部近傍に設けることにより、巻線との干渉を回避できる。
【0096】
従来技術では、
図13および
図14に示すように上下壁部の厚さ及びクリアランスの幅の分だけスロットが狭くなるため(
図14の寸法Y)、巻線のスロット占積率が低下していた。
【0097】
本実施例では、
図10に示すように、第1インシュレータ30の第1壁部32が上下ともに第1スロット24の内壁に沿って挿入されるため、固定子鉄心16と第1インシュレータ30の第1壁部32との間に無駄な隙間が殆ど形成されない。また、第1スロットセル51の厚みは第1壁部32の厚みよりも薄いため、第1壁部32及び第1スロットセル51の厚みの合計(寸法X)は
図14の寸法Yよりも小さくなる。第2スロット25においても同様の構成であり、第2インシュレータ40の第2壁部42が上下ともに第2スロット25の内壁に沿って挿入され、第2スロットセル53の厚みは第2壁部42の厚みよりも薄い。このような構成によって本開示の固定子は、従来よりもスロットが広くなり、巻線のスロット占積率を向上できる。また、本開示の固定子では、従来よりも巻線の周長が短縮するため巻線の電気抵抗を小さくでき、絶縁距離を確保しつつ電動機の電気的効率を向上させることが可能になる。さらに、従来よりも巻線の周長が短縮することで、電動機の薄型化も可能となる。
【0098】
以上、本開示を、実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0099】
[変形例]
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施例と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施例と重複する説明を適宜省略し、第1実施例と相違する構成について重点的に説明する。
【0100】
実施例の説明では、一対のインシュレータが互いに同形状である例を示したが、インシュレータは上下で異なる形状であってもよい。
【0101】
以上の構成要素の任意の組み合わせも、実施例及び変形例を抽象化した技術的思想の態様として有効である。たとえば、実施例に対して他の実施例の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形例に対して実施例及び他の変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
【0102】
以上、実施例及び変形例を説明した。実施例及び変形例を抽象化した技術的思想を理解するにあたり、その技術的思想は実施例及び変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。前述した実施例及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎず、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。実施例では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施例」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本開示にかかる電動機は、例えば、天井扇などの駆動用電動機に適用できる。
【符号の説明】
【0104】
1:天井扇
2:電動機
3:羽根
4:支柱
5:本体カバー
6:シャフト
7:インシュレータ
8:A相巻線
9:B相巻線
10:運転用コンデンサ
11:上部カバー
12:回転子カバー
13a、13b:軸受ハウジング部
14a、14b:玉軸受
15:エンドリング
16:固定子鉄心
17:回転子鉄心
19:回転子
20:固定子
21:中心孔
22:第1歯部
23:第2歯部
24:第1スロット
25:第2スロット
26:第1連通路
27:第1開口部
28:第2開口部
29:第2連通路
30:第1インシュレータ
31:第1基部
32:第1壁部
33:第1接合部
34:第1係止部A
35:第1係止部B
36:第1内周壁
37:第1押圧部
40:第2インシュレータ
41:第2基部
42:第2壁部
43:第2接合部
44:第2係止部A
45:第2係止部B
46:第2内周壁
47:第2外周壁
48:突起部
50:第2押圧部
51:第1スロットセル
52:第1スロットウェッジ
53:第2スロットセル
54:第2スロットウェッジ
55:延在部
56:第1スロット開口部
57:第2スロット開口部
58:第1インシュレータ開口部
59:第2インシュレータ開口部
60:第1スロットセル開口部
61:第2スロットセル開口部
62:コーナR
100:固定子
101a、101b:インシュレータ
102:固定子鉄心
103:スロット
【手続補正書】
【提出日】2022-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1歯部の間に形成された複数の第1スロットと、前記第1歯部の径方向外側に延設される複数の第2歯部の間に形成された複数の第2スロットを有する固定子鉄心と、
前記複数の第1歯部を軸方向両側から挟む一対の第1インシュレータと、
前記一対の第1インシュレータとは別に当該一対の第1インシュレータの径方向外側に設けられ、前記複数の第2歯部を軸方向両側から挟む一対の第2インシュレータと、
前記複数の第1スロットに施されるA相巻線と、
前記複数の第2スロットに施されるB相巻線と、
前記固定子鉄心の側面に対向して回転可能に設けられた回転子と、を備え、
前記第1インシュレータは、
回転軸に直交する面で構成される第1基部と、
前記第1基部から前記第1スロットの壁面に沿って軸方向に延出する複数の第1壁部と、を有し、
前記第2インシュレータは、
回転軸に直交する面で構成される第2基部と、
前記第2基部から前記第2スロットの壁面に沿って軸方向に延出する複数の第2壁部と、を有する電動機。
【請求項2】
前記第2歯部は、
前記第1スロットから径方向外側に延びる第1連通路を有し、
前記第2インシュレータは、
前記第2基部から第1連通路に延出する突起部を有する、請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記突起部の前記第2基部からの軸方向延出距離は、
前記第2壁部の前記第2基部からの軸方向延出距離よりも大きい、請求項2に記載の電動機。
【請求項4】
前記第1インシュレータの外周部に、前記第2インシュレータの内周部と軸方向に重なる部分が設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の電動機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の、電動機は、複数の第1歯部の間に形成された複数の第1スロットと、第1歯部の径方向外側に延設される複数の第2歯部の間に形成された複数の第2スロットを有する固定子鉄心と、複数の第1歯部を軸方向両側から挟む一対の第1インシュレータと、一対の第1インシュレータとは別に当該一対の第1インシュレータの径方向外側に設けられ、複数の第2歯部を軸方向両側から挟む一対の第2インシュレータと、複数の第1スロットに施されるA相巻線と、複数の第2スロットに施されるB相巻線と、固定子鉄心の側面に対向して回転可能に設けられた回転子と、を備える。第1インシュレータは、回転軸に直交する面で構成される第1基部と、第1基部から第1スロットの壁面に沿って軸方向に延出する複数の第1壁部とを有する。第2インシュレータは、回転軸に直交する面で構成される第2基部と、第2基部から第2スロットの壁面に沿って軸方向に延出する複数の第2壁部とを有し、これによって所期の目的を達成するものである。