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  • 特開-霜取りレンズ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102247
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】霜取りレンズ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230714BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230714BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20230714BHJP
【FI】
G02B7/02 E
G02B7/02 A
G03B30/00
G03B17/55
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111926
(22)【出願日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】111101066
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】521343563
【氏名又は名称】佳凌科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】蕭智勇
(72)【発明者】
【氏名】李書銘
(72)【発明者】
【氏名】▲蔡▼孟堅
(72)【発明者】
【氏名】林宏諺
(72)【発明者】
【氏名】李銓淙
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼▲チー▼瑞
(72)【発明者】
【氏名】鄭亦軒
【テーマコード(参考)】
2H044
2H104
【Fターム(参考)】
2H044AA05
2H044AE06
2H104CC00
(57)【要約】
【課題】撮影レンズについてレンズが結霜されるという問題を改善できる霜取りレンズ装置を提供する。
【解決手段】霜取りレンズ装置は、鏡筒、第一レンズ及び加熱部を含み、当該鏡筒は、物体側に向かう開孔を有し、当該第一レンズは、当該鏡筒における当該開孔に設置され、当該加熱部は、熱源を提供するためのものであり、当該鏡筒の内筒壁と当該第一レンズとの間において当該第一レンズの周縁に沿うように設置され、当該加熱部からの熱源により、当該第一レンズの温度を向上させ、当該第一レンズに形成された霜を除去することから、霜取りレンズ装置が撮影する映像の鮮明さを効果的に向上させ、ひいては、霜取りレンズ装置は、気候や温度差に関係せずに様々な環境に適用され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側に向かう開孔を有した鏡筒と、
当該鏡筒における当該開孔に設置される第一レンズと、
熱源を提供するためのものであって、当該鏡筒の内筒壁と当該第一レンズとの間において当該第一レンズの周縁に沿うように設置される加熱部と、を含む、ことを特徴とする霜取りレンズ装置。
【請求項2】
当該鏡筒に設置される断熱部を含み、
当該加熱部は、当該断熱部と当該第一レンズとの間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の霜取りレンズ装置。
【請求項3】
当該鏡筒に設置されると共に当該第一レンズを囲む熱伝導部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の霜取りレンズ装置。
【請求項4】
当該鏡筒は、環状を呈した第一当接面を内筒壁に有し、当該第一レンズは、当接部を像側面に有し、当該加熱部は、当該第一当接面と当該当接部との間に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の霜取りレンズ装置。
【請求項5】
当該鏡筒は、当該開孔を有した第一鏡筒及び当該第一当接面を有した第二鏡筒を含み、当該第二鏡筒の一方端が当該第一鏡筒に穿設され、当該第一レンズが当該第一鏡筒における当該開孔と当該第二鏡筒における当該第一当接面との間に設置される、ことを特徴とする請求項4に記載の霜取りレンズ装置。
【請求項6】
当該第一鏡筒は、雌ねじを内筒壁に有し、当該第二鏡筒における一方端の外壁に当該雌ねじと対応する雄ねじを有し、
当該第二鏡筒は、当該雄ねじを介して、当該第一鏡筒の当該雌ねじと螺合して当該第一鏡筒に穿設される、ことを特徴とする請求項5に記載の霜取りレンズ装置。
【請求項7】
当該第一鏡筒の内筒壁に設置されると共に当該第一レンズを囲む熱伝導部を含み、
当該熱伝導部は、当該加熱部位よりも当該第一透鏡の物体側面と近い位置に位置しており、
当該加熱部は、当該熱伝導部位よりも、当該第一透鏡の像側面と近い位置に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の霜取りレンズ装置。
【請求項8】
当該熱伝導部は、当該第一鏡筒と該第二鏡筒との間に設置されると共に当該第二鏡筒と接触する、ことを特徴とする請求項7に記載の霜取りレンズ装置。
【請求項9】
当該第二鏡筒は、当該第二鏡筒における内部と外部を連通する配線導出穴を有し、
当該配線導出穴における当該第二鏡筒の内部の開口位置は、当該第一当接面の外縁に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の霜取りレンズ装置。
【請求項10】
第二レンズを含み、
当該第二鏡筒は、環状を呈した第二レンズ当接面を内筒壁に有し、当該第二レンズ当接面及び当該第一当接面は、当該第二鏡筒の軸方向において当該第一鏡筒の当該開孔に近づく方向に順に設置され、当該第二レンズ像側面は、周縁が当該第二レンズ当接面に当接する、ことを特徴とする請求項5に記載の霜取りレンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霜取りレンズ装置に関し、特に、加熱可能レンズの霜取りレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の撮影レンズは、例えば、車用撮影モジュール、入退室管理システムや野外監視システムなどの分野に幅広く用いられる。しかしながら、寒い環境に使用される撮影レンズは、そのレンズ部分が極端な低温により結霜され易く、レンズの視角の一部がこの結霜により遮られ、レンズにより高い鮮明度を持つ画像を撮影できず、効果的に役割を達することもできない撮影レンズとなる。
【0003】
また、近年、車用技術が急速で発展しているのに伴い、車用撮影モジュールも、例えば、自動運転用監視装置、ドライブレコーダーや後退走行用撮影装置などの装置に幅広く適用される。この場合に、上記の撮影レンズは、レンズに結霜を形成するという問題が車用撮影モジュールのレンズに生じると、運転又は自動運転システムが環境や道路状況を誤って判断することになり、運転者による運転の安全に甚大なリスクを与えてしまう。故に、レンズの結霜現象が改善される撮影レンズを如何にして提供するかということは、早めに解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このことに鑑み、撮影レンズについてレンズが結霜されるという問題を改善できる霜取りレンズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明が提供する霜取りレンズ装置は、鏡筒、第一レンズ及び加熱部を含み、当該鏡筒は、物体側に向かう開孔を有し、当該第一レンズは、当該鏡筒における当該開孔に設置され、当該加熱部は、熱源を提供するためのものであり、当該鏡筒の内筒壁と当該第一レンズとの間において当該第一レンズの周縁に沿うように設置される。
【発明の効果】
【0006】
本発明による効果は、当該開孔に設置された当該第一レンズが低温により最も結霜され易いことから、本発明において当該第一レンズの周縁に当該加熱部を設ける形態により、当該加熱部からの熱源により当該第一レンズの温度を向上させ当該第一レンズに形成された霜を除去できるだけでなく、当該加熱部を設置する位置により、当該第一レンズ全体の温度を所定の温度差の範囲に維持できると共に、当該加熱部の設置により当該霜取りレンズ装置の視角に影響を与えることはない。故に、霜取りレンズ装置が撮影する映像の鮮明さを効果的に向上させ、ひいては、霜取りレンズ装置が、気候や温度差の変化によらず、様々な環境に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の好ましい一実施例による霜取りレンズ装置の模式図である。
図2】本発明の好ましい他の一実施例による霜取りレンズ装置の模式図である。
図3】本発明の好ましい他の一実施例による霜取りレンズ装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明をより明確に説明するために、好ましい実施例を挙げて図面を参照しながら以下のように説明する。図1に示されるように、本発明の好ましい実施例による霜取りレンズ装置1は、車載用撮影装置に適用されるものである。当該霜取りレンズ装置1は、鏡筒10、第一レンズ20及び加熱部30を含む。
【0009】
当該鏡筒10は、物体側に向かう開孔101を有する。当該第一レンズ20は、当該鏡筒10における当該開孔101に設置される。つまり、当該第一レンズ20は、当該鏡筒10における外側に最も近い位置に設置される。当該第一レンズ20は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、フィルターレンズ、球面レンズ、非球面レンズ、広角レンズ又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0010】
当該加熱部30は、熱源を提供するためのものであり、当該鏡筒10の内筒壁と当該第一レンズ20との間において当該第一レンズ20の周縁に沿うように設置される。また、当該加熱部30は、電気加熱シート(electro-thermalheater)であってもよい。当該電気加熱シートは、基材及び電気加熱手段を含む。当該基材は、柔軟性を持った絶縁フィルムであってもよい。当該電気加熱手段は、当該基材に設置される。前記基材は、例えばポリエステル(polyester)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム又はシリコーンゴム(siliconerubber)などの素材から選んだものであってもよい。当該電気加熱手段は、伝導配線を介して外部電源に接続され、自体の抵抗回路により生じる電気放熱効果を用いて熱エネルギーを生じさせる。好ましくは、当該電気加熱シートがサーミスタによる回路又は温度センサーによる回路などを含む。
【0011】
本実施例では、当該加熱部30は、フィルムの厚さが0.1~0.3mmにあり、最高の加熱温度が摂氏78度であり、また、制御されると所定の時間だけ予定の加熱温度に達するものが好ましい。そして、当該加熱部30からの熱源により、当該第一レンズ20の温度を向上させることから、当該第一レンズ20に形成された霜を効果的に除去でき、当該加熱部30を設置する位置により、当該第一レンズ20全体の温度を所定の温度差の範囲に維持できると共に、当該加熱部30を設置することにより当該霜取りレンズ装置1による視角に影響を与えることはない。
【0012】
当該鏡筒10は、環状を呈した当接面102を内筒壁に有する。当該第一レンズ20は、像側面201に当接部201aを有する。当該加熱部30は、当該当接面102と当該当接部201aとの間に設置される。なお、当該鏡筒10は、当該開孔101を有した第一鏡筒12及び当該当接面102を有した第二鏡筒14を含む。当該第一鏡筒12は、雌ねじ121を内筒壁に有し、当該第二鏡筒14は、当該雌ねじ121と対応する雄ねじ141を一方端の外壁に有する。当該第二鏡筒14は、一方端が、当該雄ねじ141を介して当該第一鏡筒12の当該雌ねじと螺合して、当該第一鏡筒12に穿設される。当該第一レンズ20は、当該第一鏡筒12における当該開孔101と当該第二鏡筒14における当該当接面102との間に設置される。故に、当該第二鏡筒14は、一方端が当該雄ねじ141を介して、当該第一鏡筒12の当該雌ねじ121と螺合して当該第一鏡筒12に穿設される。当該加熱部30は、当該第二鏡筒14の当該当接面102と当該第一レンズ20の当該当接部201aとの間に介在する。そして、当該第一レンズ20に対する当該加熱部30の加熱効率が向上する。当該第二鏡筒14は、当該第二鏡筒14における内部及び外部を連通して当該伝導配線31を貫通させるための配線導出穴142を有し、当該配線導出穴142における当該第二鏡筒14の内部の開口位置は、当該当接面102の外縁に位置すると共に、当該配線導出穴142における口径が当該第二鏡筒14の内部の開口から当該第二鏡筒14の外部方向へ段々と小さくなる。
【0013】
本実施例では、当該霜取りレンズ装置1は断熱部40を含む。当該断熱部40は、熱伝導率が比較的低い素材からなるものであってもよい。当該断熱部40は、当該鏡筒10に設置され、当該加熱部30は、当該断熱部40と当該第一レンズ20との間に設置される。当該加熱部30は、一方側に当該断熱部40が貼り付けられ、他方側に当該第一レンズ20が接触しており、当該断熱部40を設置することにより、当該加熱部30の生じた熱エネルギーが当該第一レンズ20へ背離する方向に放出してしまうのを防ぎ、ひいては、当該第一レンズ20に対する当該加熱部30の加熱効率を向上させ、また、当該断熱部40により、当該加熱部30の生じた熱エネルギーが当該第二鏡筒14の当該当接面102に伝達しないように阻み、当該第二鏡筒14に破壊や劣化が生じるのを防ぐことができる。
【0014】
本実施例では、当該霜取りレンズ装置1が熱伝導部50を含む。当該熱伝導部50は、熱伝動率が比較的高い素材からなるものであってもよい。当該熱伝導部50は、当該鏡筒10において当該第一レンズ20を囲むように設置され、当該加熱部30よりも、当該第一レンズ20の物体側面202と近い位置に設置される。当該加熱部30は、当該熱伝導部50よりも、当該第一レンズ20の像側面201と近い位置に設置されることから、当該加熱部30の生じる熱が当該熱伝導部50による伝導により、急速で当該第一レンズ20の物体側面202に伝導して、当該第一レンズ20全体を昇温させる目的を達成することができる。
【0015】
さらに説明することは、本実施例において、当該第二鏡筒14が金属製素材で製造されたものであり、当該熱伝導部50を当該第一鏡筒12における当該開孔と近い内壁と当該第二鏡筒14の端口との間に設置されると共に、当該熱伝導部50が当該第一鏡筒12及び当該第二鏡筒14と接触する。故に、当該加熱部30の生じる熱エネルギーを、当該第二鏡筒14を介して当該熱伝導部50に伝達してから、当該熱伝導部50を介して、熱エネルギーを介して当該第一レンズ20に伝達することができる。本実施例では、当該熱伝導部50を、当該第一レンズ20における外周の辺縁を囲むように設置したが、他の実施例に、図2に示されるように、当該熱伝導部50を当該第一レンズ20の外周縁を囲むと共に当該第一レンズ20の周縁と接触するように設置してもよい。それは、当該第一レンズ20に対する当該加熱部30の加熱効率がさらに向上する。
【0016】
本実施例では、当該霜取りレンズ装置1が第二レンズ60を含む。また、当該第二鏡筒14は、環状を呈したレンズ当接面104を内筒壁に有し、当該レンズ当接面104及び当該当接面102は、当該第二鏡筒14の軸方向において、当該第一鏡筒12の当該開孔101に近づく方向に、順に並んで設置され、当該第二レンズ60における像側面の周縁は、当該レンズ当接面104と当接する。本実施例では、当該加熱部30は、当該第二レンズ60と接触しない。
【0017】
本実施例では、当該加熱部30を当該第二鏡筒14の当該当接面102と当該第一レンズ20の当該当接部201aとの間に設置することを例に説明したが、実際に、当該加熱部30を当該第一レンズ20の周縁を囲む他の位置に設置してもよい。例示的に、図2に示されるように、当該加熱部30の一方側を当該第一レンズ20の側縁に貼り付けるが、他方側に当該断熱部40を貼り付けたり、図3に示されるように、当該加熱部30を当該第一鏡筒12の内壁において当該開孔101の周縁に位置するように設置したりしてもよい。当該断熱部40を当該第一鏡筒12の内壁と当該加熱部30との間に設置することは、同様に、当該第一レンズ20の温度を向上させせる目的を達成することができる。
【0018】
以上より、本発明において、当該第一レンズ20の周縁に当該加熱部30を設ける形態により、当該加熱部30からの熱源を用いて当該第一レンズ20の温度を向上させ、当該第一レンズ20に形成された霜を除去することができる。それだけではなく、当該加熱部30を設置する位置により、当該第一レンズ20全体の温度を、所定の温度差の範囲に維持できるとともに、当該加熱部30を設置することにより、当該霜取りレンズ装置1による視角に影響を与えることはない。そして、当該霜取りレンズ装置1が撮影する映像の鮮明さを効果的に向上させ、ひいては、当該霜取りレンズ装置1が、気候や温度差の変化によらず様々な環境に適用され得る。
【0019】
以上に説明したのは、本発明における好ましい実施可能な実施例に過ぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲に基づく均等変化は、いずれも、本発明の特許範囲に含まれる
【符号の説明】
【0020】
1 霜取りレンズ装置
10 鏡筒
101 開孔
102 当接面
104 レンズ当接面
12 第一鏡筒
121 雌ねじ
14 第二鏡筒
141 雄ねじ
142 配線導出穴
20 第一レンズ
201 像側面
201a 当接部
202 物体側面
30 加熱部
31 伝導配線
40 断熱部
50 熱伝導部
60 第二レンズ
図1
図2
図3