(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102259
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】草刈り機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/86 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
A01D34/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180213
(22)【出願日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2022002205
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598099132
【氏名又は名称】松本システムエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】松本 良三
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083BA19
2B083CA02
2B083CA14
2B083CB14
2B083DA03
2B083DA04
2B083EA08
(57)【要約】
【課題】傾斜地において切断部により草を刈る効率を向上させることができる草刈り機を提供する。
【解決手段】本発明の草刈り機1、101は、建設用機械のアームに取り付けられる草刈り機本体6、106と、草を切断する切断部10、110と、草刈り機本体に取り付けられ、切断部を草刈り機本体に対して左右にスイングさせるスイング機構12、112と、切断部を草刈り機本体に対して横方向の面内で旋回させる旋回機構14、114とを備え、旋回機構は、スイング機構に取り付けられた支持部27、116と、この支持部に回動可能に取り付けられた回動支持部28、118を備え、旋回機構の旋回軸部は、支持部に設けられ、切断部は回動支持部により上方から支持される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設用機械のアームに取り付けられる草刈り機であって、
上記アームに取り付けられる草刈り機本体と、
草を切断する切断部と、
上記草刈り機本体に取り付けられ、上記切断部を上記草刈り機本体に対して左右にスイングさせるスイング機構と、
上記切断部を上記草刈り機本体に対して横方向の面内で旋回させる旋回機構と、を有し、
上記旋回機構は、上記スイング機構に取り付けられた支持部と、この支持部に回動可能に取り付けられた回動支持部を備え、上記旋回機構の旋回軸部は、上記支持部に設けられ、上記切断部は上記回動支持部により上方から支持される、草刈り機。
【請求項2】
上記切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、上記旋回機構の上記旋回軸部は、上記スイング機構の上記スイング軸部よりも下方側に位置する、請求項1に記載の草刈り機。
【請求項3】
上記切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、上記旋回機構の上記旋回軸部は、上記スイング機構の上記スイング軸部よりも前方側に位置する、請求項1に記載の草刈り機。
【請求項4】
上記スイング機構は、前後方向に2個設けられ、上記切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、上記旋回機構の上記旋回軸部は、上記2個のスイング機構の上記スイング軸部の間に位置する、請求項1に記載の草刈り機。
【請求項5】
上記切断部は、可動刃と固定刃からなる複数の刃と、この可動刃を駆動して往復動させる切断部駆動部を備えている、請求項1に記載の草刈り機。
【請求項6】
上記切断部の切断部駆動部は、可動刃を往復動させるカム機構を備えている、請求項4に記載の草刈り機。
【請求項7】
上記カム機構は、横方向に延びる軸のまわりを回転するカムを備えている、請求項6に記載の草刈り機。
【請求項8】
上記カム機構は、縦方向に延びる軸のまわりを回転するカムを備えている、請求項6に記載の草刈り機。
【請求項9】
さらに、上記草刈り機本体に取り付けられ、土を掘るバケットを備える、請求項1に記載の草刈り機。
【請求項10】
上記バケットは、上記スイング機構の上記スイング軸部に対して、上記旋回機構の上記旋回軸部と反対側に開口するように設けられる、請求項9に記載の草刈り機。
【請求項11】
上記切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、上面視で、上記切断部の後端は、上記バケットの開口部よりも前方側に位置している、請求項10に記載の草刈り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り機に係り、特に、建設用機械のアームに取り付けられる草刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、パワーショベルの駆動アームの先端にアタッチメントとして取り付けられた草刈りアダプタが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような草刈りアダプタにおいては、草が生えている地面にアタッチメントの両側のガイド片を当接させ、この状態でパワーショベルを走行させることにより草を刈っている。
しかしながら、特許文献1における草刈アダプタはパワーショベルの駆動アームに吊り下げられ、両側のガイド片はこれらのガイド片を接続するカバー体に固定されており、ハンマーナイフがガイド片の下端部よりも突出しない位置でほぼ同じ高さに多数配置され、草を刈り取るようになっている。このように両側のガイド片が地面に接した状態で、ほぼ同じ高さに吊り下げられたハンマーナイフが傾斜地や凹凸の変化がある地面等の地面に生えている草を効率的に刈ることは難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、傾斜地において切断部により草を刈る効率を向上させることができる草刈り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、建設用機械のアームに取り付けられる草刈り機であって、アームに取り付けられる草刈り機本体と、草を切断する切断部と、草刈り機本体に取り付けられ、切断部を上記草刈り機本体に対して左右にスイングさせるスイング機構と、切断部を草刈り機本体に対して横方向の面内で旋回させる旋回機構と、を有し、旋回機構は、スイング機構に取り付けられた支持部と、この支持部に回動可能に取り付けられた回動支持部を備え、旋回機構の旋回軸部は、支持部に設けられ、切断部は回動支持部により上方から支持される。
このように構成された本発明においては、旋回機構が、スイング機構に取り付けられた支持部と、この支持部に回動可能に取り付けられた回動支持部を備え、旋回機構の旋回軸部は、支持部に設けられ、切断部は回動支持部により上方から支持される。これにより、スイング機構により、切断部を草刈り機本体に対して左右にスイングさせ、切断部を地面、例えば傾斜地等の地面、に沿う方向、例えば地面と平行な方向に位置決めでき、その上で、旋回機構により、切断部を例えば傾斜地等の地面に沿う方向において旋回させ、切断部により草を刈る効率を向上させることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構の旋回軸部は、スイング機構のスイング軸部よりも下方側に位置する。
このように構成された本発明においては、切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構の旋回軸部が、スイング機構のスイング軸部よりも下方側に位置する。これにより、切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、スイング機構と旋回機構とが干渉しにくくしつつ、スイング機構により切断部を草刈り機本体に対して左右にスイングさせ、その上で、スイング軸部よりも下方側に位置する旋回機構の旋回軸部により、切断部を例えば傾斜地等の地面に沿う方向において旋回させ、切断部により草を刈る効率をより向上させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構の旋回軸部が、スイング機構のスイング軸部よりも前方側に位置する。
このように構成された本発明においては、切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構の旋回軸部は、スイング機構のスイング軸部よりも前方側に位置する。これにより、切断部により地面に生えた草を刈るときに、スイング機構と旋回機構とが干渉しにくくしつつ、スイング機構により切断部を草刈り機本体に対して左右にスイングさせ、その上で、スイング軸部よりも前方側に位置する旋回機構の旋回軸部により、切断部を例えば傾斜地等の地面に合わせた方向において旋回させ、切断部により草を刈る効率をより向上させることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、スイング機構は、前後方向に2個設けられ、切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構の旋回軸部は、2個のスイング機構のスイング軸部の間に位置する。
このように構成された本発明においては、スイング機構は、前後方向に2個設けられ、切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構の旋回軸部が、2個のスイング機構のスイング軸部の間に位置する。これにより、切断部により地面に生えた草を刈るときに、旋回機構を安定して旋回させることができるので、切断部により草を刈る効率をより向上させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、切断部は、可動刃と固定刃からなる複数の刃と、この可動刃を駆動して往復動させる切断部駆動部を備えている。
このように構成された本発明においては、切断部が、可動刃と固定刃からなる複数の刃と、この可動刃を駆動して往復動させる切断部駆動部を備えている。これにより、効率よく草を刈ることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、切断部の切断部駆動部は、可動刃を往復動させるカム機構を備えている。
このように構成された本発明においては、切断部の切断部駆動部は、可動刃を往復動させるカム機構を備えているので、このカム機構により、切断駆動部の力が可動刃に伝達され、スムーズ且つ効果的に可動刃を往復運動させることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、カム機構は、横方向に延びる軸のまわりを回転するカムを備えている。
このように構成された本発明においては、カム機構は、横方向に延びる軸のまわりを回転するカムを備えているので、横方向の寸法を小さくして、コンパクトな構造とすることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、カム機構は、縦方向に延びる軸のまわりを回転するカムを備えている。
このように構成された本発明においては、カム機構は、縦方向に延びる軸のまわりを回転するカムを備えているので、高さ方向の寸法を小さくして、コンパクトな構造とすることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、さらに、草刈り機本体に取り付けられ、土を掘るバケットを備える。
このように構成された本発明においては、さらに、草刈り機本体に取り付けられ、土を掘るバケットを備える。これにより、草刈り機のバケットにより、地面を掘る、石をどける、地面を整地する等をしながら草刈りをすることができ、切断部により草を刈る効率をより向上させることができる。また、傾斜地等において、バケットを地面にかけることにより、建設用機械の移動や姿勢の修正等を補助することができ、山林等の傾斜地において建設用機械を移動でき、草を刈る性能をより向上させることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、バケットは、スイング機構のスイング軸部に対して、旋回機構の旋回軸部と反対側に開口するように設けられる。
このように構成された本発明においては、バケットは、スイング機構のスイング軸部に対して、旋回機構の旋回軸部と反対側に開口するように設けられる。これにより、草刈り機において、バケットと旋回機構及び切断部とを使い分けることができ、平坦に整地されていない地面や石、岩、倒木等の障害物があるような地面においても、アームに取り付けられるアタッチメントを代えることなく、草刈り機のバケットにより、土地を整備しながら、切断部により草刈り作業を行うことができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、上面視で、切断部の後端は、バケットの開口部よりも前方側に位置している。
このように構成された本発明においては、切断部により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、上面視で、切断部の後端は、バケットの開口部よりも前方側に位置している。これにより、草刈り機を縦姿勢としてバケットにより地面を掘るときに、切断部が地面に干渉しにくくできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の草刈り機によれば、傾斜地において切断部により草を刈る効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態による草刈り機が自走式建設用機械のアームに取り付けられている様子を示す側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による草刈り機の斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による草刈り機による草刈りの範囲を概略的に示す図である。
【
図7】
図1の草刈り機の旋回機構及び切断部がスイング機構により右側にスイングされた様子を示す図である。
【
図8】
図1の草刈り機の旋回機構及び切断部がスイング機構により左側にスイングされた様子を示す図である。
【
図9】
図7の草刈り機の切断部が旋回機構により90度時計回りに旋回された様子を示す図である。
【
図10】
図8の草刈り機の切断部が旋回機構により90度時計回りに旋回された様子を示す図である。
【
図11】
図1の草刈り機のバケットにより地面を掘り始める状態を示す図である。
【
図12】
図1の草刈り機のバケットにより自走式建設用機械の移動を補助する様子を示す図である。
【
図13】本発明の第2実施形態による草刈り機の側面図である。
【
図14】本発明の第2実施形態による草刈り機の上面図である。
【
図15】本発明の第2実施形態による草刈り機の正面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態による草刈り機の背面図である。
【
図17】本発明の第2実施形態による草刈り機の旋回機構を示す断面図である。
【
図18】本発明の第2実施形態による草刈り機の切断刃駆動部を示す断面図である。
【
図19】本発明の第2実施形態による草刈り機の切断部を示す平面図である。
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態による草刈り機について説明する。先ず、
図1乃至
図5により、本発明の第1実施形態による草刈り機の基本構造について説明する。
図1は本発明の第1実施形態による草刈り機が自走式建設用機械のアームに取り付けられている様子を示す側面図であり、
図2は本発明の第1実施形態による草刈り機の斜視図であり、
図3は
図2の草刈り機の側面図であり、
図4は
図2の草刈り機の上面図であり、
図5は
図2の草刈り機の正面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による草刈り機1は、パワーショベル等の自走式建設用機械2のアーム4に取り付けられる。自走式建設用機械2は、自走式の車両である。自走式建設用機械2は、傾斜地等を走行可能な林業用機械であってもよい。草刈り機1は、アーム4にアタッチメントとして取り付けられ、バケット等のパワーショベル等の他のアタッチメントと交換可能である。
【0021】
図2に示すように、草刈り機1は、アーム4に取り付けられる草刈り機本体6を備えている。草刈り機本体6はリンク機構8(
図1参照)によりアーム4に取り付けられており、草刈り機本体6は、リンク機構8の動作によりアーム4に対する草刈り機本体6の前後方向の角度(上下方向の角度)を変更できる。草刈り機本体6はアーム4と同じ前後方向の平面内に位置している。リンク機構8は、アーム4に取り付けられ、油圧シリンダ(ブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダ等)により生じる油圧の力を草刈り機本体6に作用させ、草刈り機本体6の位置や姿勢を変更できる。従って、草刈り機1の草刈り機本体6は、
図1に示すような平坦な地面Gと平行な方向に延びる草刈り姿勢から、
図11に示すような地面Gに対して縦方向に延びる縦姿勢等まで自由に姿勢を変更できる。草刈り機1の草刈り姿勢は、草刈り機1のうち切断部10の複数の刃13が草を刈るために地面Gに接近させる姿勢である。草刈り機1の草刈り姿勢において後述するような切断部10がスイングされた姿勢や旋回された姿勢も取りうるようになっている。
以下、本発明の第1実施形態における説明において、説明の便宜上、
図1に示すように、自走式建設用機械2のアーム4の延びる方向を前側とし、アーム4の後方側を後側とし、
図2に示すように、アーム4の前側から見て右手側を右側とし、その左手側を左側とし、草刈り機本体6の上方側を上側とし、その反対側を下側としている。
【0022】
草刈り機1は、さらに、草を刈る切断部10と、草刈り機本体6に取り付けられるスイング機構12と、切断部10を草刈り機本体6に対して横方向の面内で旋回させる旋回機構14とを備えている。
【0023】
切断部10は、前後方向に直線状に延びる切断部本体11と、切断部本体の右側及び左側の外縁に設けられた複数の刃13とを備えている。切断部本体11は、直線状に延びるプレートを形成する。切断部本体11の上面には、旋回軸部22から延びる回動支持部28が接続され、切断部10は旋回軸部22から延びる回動支持部28により上方から支持される。切断部10は、切断部本体11と刃13とによりのこぎり状のトリマー部を形成している。複数の刃13は、切断部本体11から側方に延びている。よって、複数の刃13は、切断部本体11から側方に延びる同一平面上に配置されている。複数の刃13のうち可動刃(レシプロ刃)が固定刃に対して高速で往復することで草や枝等を切断できる。可動刃の往復速度は例えば400回/分である。切断部10の複数の刃13は、金属材料により形成されている。複数の刃13のうち可動刃は、油圧モータ又は電動モータ等の切断刃駆動部17により駆動される。切断刃駆動部17はカム機構18を駆動させ、このカム機構18を介して駆動力が可動刃に伝達される。カム機構18は横方向に延びる軸を中心に回転するカムを備えている。そのため、カム機構18は矢印J1で示すような回転動作を矢印J2で示すような前後方向動作に変換しつつ伝達するようになっている。
【0024】
切断部10の複数の刃13は、切断部10の前端から後端まで配置されている。切断部10の前端から後端までの長さL1は、500mm乃至2000mmの範囲内の長さであり、例えば1200mmの長さである。このように切断部10は、パワーショベル等のアームに取り付けられるような大型の切断部である。切断部10の複数の刃13は、右側の刃の先端から左側の刃の先端までの長さ(左右方向の幅)L2は、200mm乃至500mmの範囲内の長さであり、例えば300mmの長さである。切断部10は、上述するように大型の切断部であり、比較的広範囲の領域を同時に草刈りできるように構成されている。また、切断部10は、比較的大型の切断部が旋回可能となっており、草刈り機1は、アーム4により自走式建設用機械2から離れた位置の空中に支持された状態で草を刈るアーム支持タイプの草刈り機である。
【0025】
切断部10は、
図1及び
図3に示すような草刈り姿勢において旋回軸部22より前方側の第1部分10aと、旋回軸部22より後方側の第2部分10bとを備えている。草刈り機1の草刈り姿勢においては、切断部10が後述する旋回されていない状態では、第1部分10aが第2部分10bよりも前側に位置している。このとき、第1部分10aの長さL3は、第2部分10bの長さL4よりも長い。第1部分10aを比較的長く形成することにより、刃13により草を刈る領域を比較的大きくできる。また、第2部分10bを比較的短く形成し、バケット30の先端や中部まで到達しないような短い長さとすることにより、バケット30で地面Gを掘る時に切断部10が地面に当たることを防ぎ、バケット30の使い勝手を向上させることができる。また、第1部分10aで草を刈りにくい場所においては、第2部分10bを使用して草を刈ることができ、草刈り機1の使い勝手が向上される。このように、切断部10は、旋回軸部22に対して前後非対称な切断部を形成している。
【0026】
スイング機構12は、スイング軸部20のスイング軸X1を中心として切断部10を草刈り機本体6に対して左右、すなわち右側方向及び/又は左側方向にスイングさせる。スイング機構12は、スイング駆動部24を備えている。スイング駆動部24は、油圧モータの回転駆動によりスイング軸部20より先端側の旋回機構14及び切断部10を左右方向にスイングさせることができる。また、スイング機構12は、スイング軸部20を中心として切断部10を任意の角度まで傾けた後、その姿勢を維持することができる。
【0027】
旋回機構14は、旋回軸部22の旋回軸X2を中心に切断部10を360度旋回させる。旋回機構14は、旋回機構駆動部26を備えている。旋回機構駆動部26は、油圧モータの回転駆動により旋回軸部22より先端側の切断部10を旋回機構駆動部26に対して旋回させることができる。旋回機構14の旋回軸部22は、スイング機構12に取り付けられた支持部27に設けられる。また、この支持部27には上述した回動支持部28が回動可能に取り付けられている。旋回機構14は、切断部10の旋回方向(時計回りの方向、反時計回りの方向)を自由に設定できる。また、旋回機構14は、切断部10の旋回角度を自由に設定できる。また、旋回機構14は、切断部10を連続的に旋回させることが可能であり、また、切断部10を任意の位置で停止させ、その位置を維持することが可能である。旋回機構14は、旋回により切断部10の位置を自由に調整して草刈りをしやすい姿勢にできる機能を有すると共に、旋回機構14は、旋回により切断部10を旋回させながら切断部10を駆動して広範囲の草刈りを実現する機能を有している。
【0028】
図1及び
図3に示すように、切断部10により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構14の旋回軸部22は、スイング機構12のスイング軸部20よりも下方側に位置する。また、切断部10により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構14の旋回軸部22は、スイング機構12のスイング軸部20よりも前方側に位置する。例えば、上面視で、旋回軸部22は、スイング軸部20よりも前方側に位置している。
【0029】
草刈り機1は、さらに、草刈り機本体6に取り付けられ、土を掘るバケット30を備える。バケット30は、いわゆる建設機械用途に用いることができる金属製のバケットであり、土を掘る、土砂を運ぶ、地面を整地する等に使用できる。バケット30は、草刈り機本体6と一体として構成される。金属製の部材である。バケット30は、
図1及び
図3に示すような草刈り機1の草刈り姿勢において、後方側且つ上方側に開口するように位置する。このように、バケット30は、スイング機構12のスイング軸部20に対して、旋回機構14の旋回軸部22と反対側に開口するように設けられる。バケット30は、先端の爪部31がスイング軸部と反対側の後方に延びている。爪部31は、金属製であり、後方側において右側の端部から左側の端部まで形成されている。
【0030】
図1及び
図3に示すように、切断部10により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、バケット30は、切断部10より上方の高さ位置に位置する。また、バケット30は、例えば、上面視で、切断部10とずれた位置に配置される。
図3に示すように、草刈り姿勢において、上面視で、第2部分10bの後端10cは、バケット30の開口部30aよりも前方側に位置している。
【0031】
草刈り機1は、さらに、スイング機構12、旋回機構14、切断刃駆動部17等を制御する制御部32を備えている。制御部32は、油圧ポンプ(図示せず)や油圧回路(図示せず)を介して、スイング機構12、旋回機構14のそれぞれを制御する。制御部32は、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定の制御プログラムに基づいてスイング機構12のスイング動作、旋回機構14の旋回動作、切断部10の草刈り動作等を実行するように接続された機器を制御する。制御部50は、上述のような油圧ポンプ、切断刃駆動部17等と電気的及び/又は油圧的に接続されている。
【0032】
次に、
図1、
図2、
図6乃至
図12を参照して、本発明の第1実施形態による草刈り機1の動作について説明する。
図1を参照して、先ず、草刈り姿勢の草刈り動作を説明する。
図1に示すように、アーム4の先端に取り付けられた草刈り機1は、平坦な地面Gのわずかに上方において、複数の刃13が地面Gと平行な平面上に位置するように配置される。例えば、切断部10の下部の複数の刃13は、地面Gより上方に数センチの位置に位置している。この状態で、切断部10が駆動されることにより、切断部10が位置する部分の草を複数の刃13により刈ることができる。作業者は、
図6に示すように、自走式建設用機械2を中心としてアーム4を伸ばし、さらに切断部10の先端までの草刈可能範囲Dを草刈りすることができる。草刈可能範囲Dは自走式建設用機械2を中心とした円形の範囲となる。
【0033】
図2、
図7及び
図8に示すように、草刈り機1のスイング機構12により、切断部10を草刈り機本体6に対して左右、すなわち右側方向及び左側方向にスイングさせることができる。
【0034】
図7に示すように、切断部10は、草刈り機本体6に対して右側方向にスイングされた位置に位置決めできる。切断部10はスイング軸部20を中心とした円弧に沿って右側にスイング移動される。切断部10の複数の刃13は、水平に限られない姿勢から右側に90度スイングされた状態、例えば
図2に示すような水平状態から右側に90度の垂直状態、までの範囲内の角度の傾きに位置決めできる。例えば、
図7に示す切断部10の複数の刃13は、
図2に示す切断部10の複数の刃13に対し、右側に30度の傾きで位置している。従って、地面が傾斜している場合や、地面に凹凸がある場合にも、切断部10を傾けて複数の刃13を地面に沿う向きに調整しながら効率的に草刈りをすることができる。
【0035】
また、
図8に示すように、切断部10は、草刈り機本体6に対して左側方向にスイングされた位置に位置決めできる。切断部10はスイング軸部20を中心とした円弧に沿って左側にスイング移動される。切断部10の複数の刃13は、水平に限られない姿勢から左側に90度スイングされた状態、例えば
図2に示すような水平状態から左側に90度の垂直状態、までの範囲内の角度の傾きに位置決めできる。例えば、
図8に示す切断部10の複数の刃13は、
図2に示す切断部10の複数の刃13に対し、左側に30度の傾きで位置している。従って、地面が傾斜している場合や、地面に凹凸がある場合にも、切断部10を傾けて複数の刃13を地面に沿う向きに調整しながら効率的に草刈りをすることができる。また、例えば切断部10の複数の刃13が90度スイングされ垂直状態とされるような場合や任意の角度でスイングされ複数の刃が縦方向の面上にある縦状態とされるような場合には、立木の側面等を切断すること、縦方向の面に刈り揃えたりすること等ができる。
【0036】
さらに、
図9及び
図10に示すように、草刈り機1の旋回機構14により、旋回軸部22の旋回軸X2を中心に切断部10を360度旋回させることができる。
図9においては、
図7に示すような切断部10を右側にスイングした状態から旋回機構14により切断部10を時計回りに90度旋回させ、切断部10が停止されている。
図10においては、
図8に示すような切断部10を左側にスイングした状態から旋回機構14により切断部10を時計回りに90度旋回させ、切断部10が停止されている。もちろん、
図2に示すような草刈り姿勢においても旋回機構14により、旋回軸部22を中心に切断部10を360度旋回させることができる。旋回機構14により、切断部10を旋回させることにより、アーム4を細かく動かさなくとも、切断部10が旋回する円形の領域E1(
図6参照)内の草を効率的に草刈りできる。
図6においては、アーム4が特定の位置にあるとき切断部10により草を刈れる草刈り可能範囲を分かりやすく示すため、領域E1内において、
図4に示すような草刈り姿勢で前後に延びる切断部10(前後に延びる切断部10の位置をF0により示す)の他、草刈り姿勢で右側に90度旋回された切断部10(右側に90度旋回された切断部10の位置をF1により示す)、草刈り姿勢で左側に90度旋回された切断部10(左側に90度旋回された切断部10の位置をF2により示す)、も図示されている。同様に、領域E2、E3、E4、E5、E6においても、同様の位置の切断部10が例示されている。なお、領域E2、E3、E4、E5、E6に対応する位置の草刈り機1まで延びるアーム4については図示を省略している。このようにして、比較的広い領域の草を効率的に草刈りできる。例えば、
図6に示すように、草刈り機1の例示の位置(領域E1、E2、E3、E4、E5、E6の中心の位置)に対し、切断部10が旋回する円形の領域E1、E2、E3、E4、E5、E6内の草を効率的に草刈りできる。円形の領域E1等は、第1部分10aを半径とする円形の領域であり、例えば、直径1600mmの円形の領域である。なお、旋回機構14により、切断部10を旋回させながら切断刃駆動部17を駆動して草刈りを行ってもよいし、
図9や
図10に示すような、特定の姿勢で旋回を停止した状態で草刈りを行ってもよい。旋回機構14の旋回軸部22は、スイング機構12のスイング軸部20から切断部10までの間の支持部に設けられているので、スイングされた傾きの切断部10をさらに旋回させて草刈りでき、傾斜地等の草刈りを地面に沿った円形の領域において効率的に行うことができる。また、
図9や
図10に示すような旋回されて停止している切断部10を、旋回機構14により、さらなる任意の角度まで再旋回させてもよい。また、
図9や
図10に示すような旋回された切断部10を、スイング機構12により、任意の角度までスイング移動させてもよい。また、
図9や
図10に示すような旋回角度で切断部10を停止させる必要はなく、旋回機構14により、切断部10を連続して旋回させることが可能である。
【0037】
さらに、
図11に示すように、草刈り機1のバケット30により、土を掘る、土砂を運ぶ、地面を整地する等の作業をすることができる。草刈り機1のバケット30を地面Gに向けて使用しようとする場合には、草刈り機本体6の先端側、すなわち切断部10の先端側をアーム4に引き付けるように上方に持ち上げ、草刈り機1の草刈り機本体6を縦姿勢まで立てた状態とする。その上で、草刈り機1の下部のバケット30を地面Gに作用させる。例えば、
図11において、バケット30により地面を掘り始める状態の草刈り機1をH1(破線)により示し、バケット30により地面を掘り進めている途中の状態の草刈り機1をH2により示している。よって、草刈り作業中に石や岩等の障害物がある場合等に、これらを取り除いたり、草刈り後に地面を整地したりすることを、別のパワーショベル等を準備したり、草刈り機1を別のバケット等のアタッチメントに交換したりすることなく、本実施形態の草刈り機1により効率的に行うことができる。また、草刈り機1の草刈り姿勢において、上面視で、切断部10の後端10cは、バケット30の開口部よりも前方側に位置している。草刈り機1を縦姿勢としてバケット30により地面を掘るときに、切断部が地面Gに干渉しにくくできる。
【0038】
また、
図12に示すように、草刈り機1のバケット30により、自走式建設用機械2の移動や、自走式建設用機械2の姿勢を補助できる。例えば、バケット30の爪部31を地面に突き立てることにより、自走式建設用機械2を引き上げる力を自走式建設用機械2に作用させ、傾斜地において自走式建設用機械2の上り下り等の移動を補助できる。例えば、
図12において、バケット30の爪部31を地面Gに突き立てて自走式建設用機械2の上りの移動を補助する状態の草刈り機1をH3により示している。また、傾斜地において、バケット30の爪部31を地面に突き立てることにより、自走式建設用機械2が下りる力を抑え、自走式建設用機械2の下りの移動を補助できる。また、バケット30の爪部31を地面に突き立てることにより、傾斜地においても自走式建設用機械2の位置を修正する動作をよりしやすくする又は安定的に行うことができる。よって、自走式建設用機械2の自力での上り下り等の移動がやや難しい傾斜を有する傾斜地においても、バケット30を利用して自走式建設用機械2を移動できる。例えば、山林中の地面や傾斜のある地面等において草刈り機1により草刈り作業を行うことができる。また、平坦に整地されていない地面や石、岩、倒木などの障害物があるような地面においても、バケット30により、土地を整備しながら、草刈り機1により草刈り作業を行うことができる。
【0039】
次に、
図13乃至
図19により本発明の第2実施形態による草刈り機について説明する。
図13は本発明の第2実施形態による草刈り機の側面図であり、
図14は上面図であり、
図15は正面図であり、
図16は背面図である。さらに、
図17は本発明の第2実施形態による草刈り機の旋回機構を示す断面図であり、
図18は草刈り機の切断刃駆動部を示す断面図であり、
図19は草刈り機の切断部を示す平面図である。
【0040】
先ず、
図13に示すように、第2実施形態による草刈り機101は、草刈り機本体106を備え、この草刈り機本体106は、
図1に示す自動式建設機械2のアーム4にリンク機構8を介して取り付けられている。草刈り機本106は、第1実施形態と同様に、リンク機構8の動作により、アーム4に対する草刈り機本体106の前後方向の角度(上下方向の角度)を変更できるようになっている。
【0041】
草刈り機101は、さらに、草を刈る切断部110と、この切断部110をスイング(揺動運動)させるための草刈り機本体106に取り付けられたスイング機構112と、切断部110を草刈り機本体106に対して横方向の面内で旋回させる旋回機構114を備えている。
【0042】
スイング機構112は、
図13乃至
図16示すように、スイング軸部120のスイング軸X3を中心として切断部110を草刈り機本体106に対して右側方向及び左側方向に例えばそれぞれ45度までスイングさせることができるようになっている(
図15参照)。スイング機構112は、前後方向の端部に2つのスイング駆動部124を備え、これらのスイング駆動部124は、それぞれ油圧モータの回転駆動によりスイング軸部120よりも下方にある旋回機構114及び切断部110をスイングさせることができる。さらに、スイング機構112は、スイング軸部120を中心として切断部110を任意の角度まで傾けた後、その姿勢を維持することができるようになっている。
【0043】
旋回機構114は、
図17に示すように、旋回軸X4を中心に切断部110を360度旋回させることができるようになっている。この旋回機構114は、上述したスイング機構112に取り付けられた支持部116と、この支持部116に回動可能に取り付けられ切断部110を支持する回動支持部118を備えている。
【0044】
支持部116には、旋回軸X4から離間した位置に旋回機構駆動部である油圧モータ121が取り付けられており、ベアリング123により回転が支持されている。油圧モータ121の軸122の下端にはピニオンギア124が嵌め込まれ、このピニオンギア124に油圧モータ121の回転が伝達される。
なお、油圧モータ121には油圧ホースにより油を供給しているが、油圧モータ121が旋回軸X4から離間した位置に取り付けられているため、油圧ホースの旋回機構114の旋回による巻き付けが生じるが、これを防止するために、油圧ホースを収納するスイベル125が旋回軸X1に設けられている。
【0045】
一方、回動支持部118には、回転支持部本体119と、この回転支持部本体119と一体的に回転する内周側に歯が形成された内歯車126が設けられ、この内歯車126がピニオンギア124と噛み合うようになっている。さらに、内歯車126の外周側にはベアリング128が設けられ、これにより、内歯車126(即ち、回動支持部118)が、旋回軸X4を中心にして、回動できるようになっている。本実施形態においては、油圧モータ121の回転をピニオンギア124を介して内歯車126に伝えることにより、回動支持部118の回転速度を低速にしている。
【0046】
図14及び
図17に示すように、旋回機構114の支持部116の後方には、バケット130が取り付けられており、このバケット130の先端には爪部132が設けられている。さらに、支持部116の後方のバケット130の上部には、クランプアーム134が取り付けられ、このクランプアーム134は油圧シリンダ136により、開閉可能に動作するようになっている。バケット130は、土を掘る、土砂を運ぶ、地面を整地する等に使用できる。また、クランプアーム134は、草刈りの際に不要な大きな石や木材をクランプして、運び出す等ために使用される。
【0047】
さらに、バケット130の爪部132により、
図12に示した第1実施形態と同様に、自走式建設用機械2の移動や、自走式建設用機械2の姿勢を補助することができる。
【0048】
次に、
図18及び
図19により、切断部110について説明する。
図18に示すように、切断部110は、前後方向に延びる切断部本体であるフレーム138を備え、このフレーム138が、
図13に示すように、旋回機構114の回動可動部118の下端に連結されている。切断部110は、さらに、下カバー140と、フレーム138と下カバー140とにより挟まれた可動刃(レシプロ刃)142及び固定刃144とを備えている。可動刃142は固定刃114の上方に位置している。さらに、これらの可動刃142と固定刃144は、6本のボルト・ナット146により、フレーム138と下カバー144に可動刃142のみが前後方向に移動可能なように取り付けられている。
【0049】
フレーム138には、切断部駆動部である油圧モータ148が設けられている。この油圧モータ148の軸150の下端には、カム機構151が取り付けられている。カム機構151は、軸150の下端に取り付けられた円盤152と、この円盤152の下面に軸150から偏心した位置に取り付けられたカム154を備えている。油圧モータ148及び円盤152の回転軸X5と、カム154の回転軸X6とは、上面視でずれているので、油圧モータ148により円盤152が回転すると、カム154は縦方向に延びる回転軸X5のまわりを回転しながら前後方向に往復運動する。
【0050】
次に、
図19により、可動刃142と固定刃144について説明する。可動刃142には、前後方向に延びる3組の一対の溝156(156a、156b、156c、156d、156e、156d)が形成されている。また、溝156c、156dと溝156e、156dとの間に、幅方向に延びるカム用溝158が形成され、このカム用溝158にカム154が挿入される。
【0051】
さらに、ボルト・ナット146のボルトには、リング形状のカラー160が挿入されており、ボルトとカラー160には微小の隙間があり、カラー160はボルトの周りを回転して、可動刃142の移動をガイドできるようになっている。
【0052】
可動刃142のカム用溝158にカム154が挿入されているので、油圧モータ148が回転すると、円盤152が回転し、この円盤152の回転により、カム154が偏心した状態で回転する。このカム154の回転により、可動刃142は、カラー160にガイドされ、前後方向に往復運動する。
【0053】
次に、上述した第1実施形態の草刈り機1及び第2実施形態の草刈り機101による作用効果を説明する。
上述した草刈り機1、101においては、旋回機構14、114が、スイング機構12、112に取り付けられた支持部27、116と、この支持部27、116に回動可能に取り付けられた回動支持部28、118を備え、旋回機構14、114の旋回軸部22、121は、支持部27、116に設けられ、切断部10、110は回動支持部28、118により上方から支持される。これにより、スイング機構12、112により、切断部10、110を草刈り機本体6、106に対して左右にスイングさせ、切断部10、110を地面G、例えば傾斜地等の地面に沿う方向、例えば地面と平行な方向に位置決めでき、その上で、旋回機構14、114により、切断部10、110を例えば傾斜地等の地面に沿う方向において旋回させ、切断部10、110により草を刈る効率を向上させることができる。また、傾斜地や凹凸の変化がある地面等においても、切断部10、110を地面に沿う方向に位置決めでき、切断部10、110を旋回させて切断部10の位置を調整したりすることができ、切断部10、110により草を刈る効率を向上させることができる。
【0054】
また、草刈り機1、101においては、切断部10、110により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構14、114の旋回軸部22、121は、スイング機構12、112のスイング軸部20、120よりも下方側に位置する。これにより、切断部10、110により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、スイング機構12、112と旋回機構14、114とが干渉しにくくしつつ、スイング機構12、112により切断部10、110を草刈り機本体6に対して左右にスイングさせ、その上で、スイング軸部20、120よりも下方側に位置する旋回機構14、の旋回軸部22、122により、切断部10、110を例えば傾斜地等の地面に沿う方向において旋回させ、切断部10、110により草を刈る効率をより向上させることができる。
【0055】
また、草刈り機1、101においては、切断部10、110により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構14、114の旋回軸部22、122は、スイング機構12、112のスイング軸部20、120よりも前方側に位置する。これにより、切断部10、110により地面に生えた草を刈るときに、スイング機構12、112と旋回機構14、114とが干渉しにくくしつつ、スイング機構12、112により切断部10、110を草刈り機本体6、106に対して左右にスイングさせ、その上で、スイング軸部20、120よりも前方側に位置する旋回機構14、114の旋回軸部22、122により、切断部10、110を例えば傾斜地等の地面に合わせた方向において旋回させ、切断部10、110により草を刈る効率をより向上させることができる。
【0056】
また、草刈り機101においては、スイング機構112は、前後方向に2個設けられ、切断部110により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、旋回機構114の旋回軸部122が、2個のスイング機構112のスイング軸部120の間に位置する。これにより、切断部110により地面に生えた草を刈るときに、旋回機構114を安定して旋回させることができるので、切断部110により草を刈る効率をより向上させることができる。
【0057】
また、草刈り機1、101においては、切断部10、110が、可動刃と固定刃からなる複数の刃13、142、143と、この可動刃を駆動して往復動させる切断部駆動部17、148を備えている。これにより、効率よく草を刈ることができる。
【0058】
また、草刈り機1、101においては、切断部10、110の切断部駆動部17、148は、可動刃を往復動させるカム機構18、151を備えているので、このカム機構18、151により、切断駆動部17、148の力が可動刃に伝達され、スムーズ且つ効果的に可動刃を往復運動させることができる。
【0059】
また、草刈り機1においては、カム機構18は、横方向に延びる軸のまわりを回転するカムを備えているので、横方向の寸法を小さくして、コンパクトな構造とすることができる。
【0060】
また、草刈り機101においては、カム機構151は、縦方向に延びる軸のまわりを回転するカム154を備えているので、高さ方向の寸法を小さくして、コンパクトな構造とすることができる。
【0061】
また、草刈り機1、101は、さらに、草刈り機本体6、106に取り付けられ、土を掘るバケット30、130を備える。これにより、草刈り機1、101のバケット30、130により、地面を掘る、石をどける、地面を整地する等をしながら草刈りをすることができ、切断部10、110により草を刈る効率をより向上させることができる。
【0062】
また、草刈り機1、101においては、バケット30、130は、スイング機構12、112のスイング軸部20、120に対して、旋回機構14、114の旋回軸部22、122と反対側に開口するように設けられる。これにより、草刈り機1、101において、バケット30、130と旋回機構14、114及び切断部10、110とを使い分けることができ、平坦に整地されていない地面や石、岩、倒木等の障害物があるような地面においても、アーム4に取り付けられるアタッチメントを代えることなく、草刈り機のバケット30、130により、土地を整備しながら、切断部10、110により草刈り作業を行うことができる。
【0063】
また、草刈り機1、101においては、切断部10、110により地面に生えた草を刈る草刈り姿勢において、上面視で、切断部10、110の後端は、バケット30、130の開口部よりも前方側に位置している。これにより、草刈り機1、101を縦姿勢としてバケット30、130により地面を掘るときに、切断部10、110が地面に干渉しにくくできる。
【符号の説明】
【0064】
1、101 草刈り機
2 自走式建設用機械
4 アーム
6、106 草刈り機本体
8 リンク機構
10、110 切断部
10c 後端
12、112 スイング機構
13 刃
14、114 旋回機構
20、120 スイング軸部
22、122 旋回軸部
27、116 支持部
28、118 回動支持部
30、130 バケット
30a 開口部
31、132 爪部
121 油圧モータ
124 ピニオンギア
125 スイベル
126 内歯車
134 クランプアーム
136 油圧シリンダ
G 地面