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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102260
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】飲料サーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182757
(22)【出願日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2022002472
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】509082444
【氏名又は名称】株式会社堀江・設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】堀江 学
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB03
3E082CC01
3E082DD01
3E082FF03
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】小型化できる飲料サーバーを提供すること。
【解決手段】モータ13から伝達される駆動力により、ギヤボックス14の側板143(貫通孔144)に支持される回転軸43が一方向(図3の時計回り)に回転する。この回転軸43の回転により、支持台4及びグラスGを傾斜させることができる。即ち、支持台4(背面板41)をアクチュエータ等で押し上げるのではなく、支持台4の背面板41を介すことなく、モータ13の駆動力を回転軸43に直接付与する構成である。これにより、アクチュエータ等の変位スペースを確保する必要がなくなるので、ビールサーバー1を小型化できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を供給する供給手段と、その供給手段から供給される気体によって内部が加圧される収容部と、その収容部に収容された飲料容器に一端が挿入される注出管と、その注出管の他端の下方側で飲用容器を支持する支持台と、その支持台を回転可能に支持する回転軸と、その回転軸を回転させる駆動力を前記回転軸に直接付与する駆動手段と、を備えることを特徴とする飲料サーバー。
【請求項2】
前記支持台の後方側に位置する前壁を有した筐体を備え、
前記支持台は、その後方側に向けて延び、前記前壁に形成された挿入孔に挿入されるアームを備え、
前記筐体の内部に位置する前記アームに前記回転軸が固定されることを特徴とする請求項1記載の飲料サーバー。
【請求項3】
前記アームは、左右に所定間隔を隔てて一対に設けられ、
一対の前記アームに前記回転軸が架け渡されることを特徴とする請求項2記載の飲料サーバー。
【請求項4】
左右に所定間隔を隔てて設けられる一対の前記アームと、それら一対のアームの間で前記回転軸に固定される第1ギヤと、を備え、
前記駆動手段は、前記第1ギヤに噛み合わされる第2ギヤと、その第2ギヤが固定される出力軸と、を備えるモータであることを特徴とする請求項2記載の飲料サーバー。
【請求項5】
前記筐体は、前記前壁の後面に固定され、前記第1ギヤ及び前記駆動手段が内部に収納されるギヤボックスを備え、
前記ギヤボックスの左右の側壁に形成された貫通孔に前記回転軸が支持されることを特徴とする請求項4記載の飲料サーバー。
【請求項6】
初期状態から前記支持台が傾斜した状態と、その傾斜状態から前記支持台が前記初期状態に戻った状態と、をアームとの接触によって検出するリミットスイッチを備え、
前記リミットスイッチは、前記筐体の内部に位置する前記アームを挟んで上下一対に設けられることを特徴とする請求項2記載の飲料サーバー。
【請求項7】
前記アームは、前記回転軸よりも後方に突出する突出部を備え、
前記リミットスイッチは、前記突出部を挟んで上下一対に設けられることを特徴とする請求項6記載の飲料サーバー。
【請求項8】
前記筐体は、前記収容部と前記前壁との間の空間を仕切る仕切壁と、その仕切壁から前方側に突出し、前記リミットスイッチが固定される固定部と、を備えることを特徴とする請求項6記載の飲料サーバー。
【請求項9】
前記回転軸に固定される第1ギヤを備え、
前記駆動手段は、前記第1ギヤに噛み合わされる第2ギヤと、その第2ギヤが固定され出力軸と、を備えるモータであり、
前記第1ギヤは、前記第2ギヤの回転速度を減速させて前記回転軸に伝達する減速ギヤであることを特徴とする請求項1記載の飲料サーバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料サーバーに関し、特に、小型化できる飲料サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飲料缶などの飲料容器(第1飲料容器C1)から汲み上げたビールを、飲用容器(ジョッキC21やグラスC21)に注出する飲料サーバーが記載されている。この種の飲料容器から飲料を汲み上げる飲料サーバーは、一般消費者向けである。
【0003】
一方、特許文献2には、ビール樽2から汲み上げたビールを飲用容器(カップ12)に注出する飲料サーバー(ディスペンサ)が記載されている。この種のビール樽から飲料を汲み上げる飲料サーバーは、飲食店などに設置される据置型のものである。据置型の飲料サーバーにおいては、特許文献2に記載されるように、飲料を抽出する際に飲用容器を傾ける技術が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021―181340号公報(例えば、段落0043,0081,0083、図15
【特許文献2】特開2000―344297号公報(例えば、段落0003,0015、図1,4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような一般消費者向けの飲料サーバーに対し、特許文献2のような飲用容器の傾動機構を適用する技術が求められている。据置型の飲料サーバーに用いられる傾動機構は、傾動可能に設けられた飲用容器の支持台(カップ受け台6)をアクチュエータ(受台駆動部)によって背後から押し上げるものが一般的である。このような構成であると、アクチュエータを変位させるスペースが必要であり、飲料サーバーが大型化する。よって、このような据置型の飲料サーバーの傾動機構は、小型化が求められる一般消費者向けの飲料サーバーには適していないという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、小型化できる飲料サーバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の飲料サーバーは、気体を供給する供給手段と、その供給手段から供給される気体によって内部が加圧される収容部と、その収容部に収容された飲料容器に一端が挿入される供給管と、その供給管の他端の下方側で飲用容器を支持する支持台と、その支持台を回転可能に支持する回転軸と、その回転軸を回転させる駆動力を前記回転軸に直接付与する駆動手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の飲料サーバーによれば、支持台の回転軸に直接付与される駆動手段の駆動力により、支持台を回転させることができる。よって、支持台の背面をアクチュエータで押し込んで支持台を回転させる従来技術とは異なり、アクチュエータを変位させるためのスペースを不要にできる。よって、飲料サーバーを小型化できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の飲料サーバーによれば、請求項1記載の飲料サーバーの奏する効果に加え、次の効果を奏する。支持台の後方側に位置する前壁を有した筐体を備え、支持台は、その後方側に向けて延び、前壁に形成された挿入孔に挿入されるアームを備える。筐体の内部に位置するアームに支持台の回転軸が固定されるので、支持台の回転軸が筐体の外部に露出することを抑制できる。よって、ユーザが支持台の回転軸に触れることを抑制できると共に、飲料サーバーの外観を向上できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の飲料サーバーによれば、請求項2記載の飲料サーバーの奏する効果に加え、次の効果を奏する。アームは、左右に所定間隔を隔てて一対に設けられ、一対のアームに支持台の回転軸が架け渡されるので、例えば左右のアームの各々に別個の回転軸を設ける場合に比べ、アームの撓みを抑制できる。よって、アームを介した支持台の回転を安定させることができるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の飲料サーバーによれば、請求項2記載の飲料サーバーの奏する効果に加え、次の効果を奏する。アームに固定される第1ギヤを備え、駆動手段は、第1ギヤに噛み合わされる第2ギヤと、その第2ギヤが固定される出力軸と、を備えるモータである。よって、モータの出力軸の回転は、第1ギヤ及び第2ギヤを介して支持台の回転軸に伝達される。第1ギヤは、左右一対のアームの間で支持台の回転軸に固定されるので、駆動手段(モータ)も一対のアームの間に配置できる。一対のアームの間のスペースを利用して駆動手段を配置することにより、飲料サーバーを小型化できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の飲料サーバーによれば、請求項4記載の飲料サーバーの奏する効果に加え、次の効果を奏する。筐体は、前壁の後面に固定され、第1ギヤ及び駆動手段が内部に収納されるギヤボックスを備える。ギヤボックスの左右の側壁に形成された貫通孔に支持台の回転軸が支持されるので、ギヤやモータを収納する壁としての機能と、支持台の回転軸を支持するための機能とをギヤボックスに持たせることができる。よって、例えば支持台の回転軸を支持するための部位を筐体内に別途設ける場合に比べ、飲料サーバーの内部構造を簡素化できるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の飲料サーバーによれば、請求項2記載の飲料サーバーの奏する効果に加え、次の効果を奏する。初期状態から支持台が傾斜した状態と、その傾斜状態から支持台が初期状態に戻った状態と、をアームとの接触によって検出するリミットスイッチを備える。リミットスイッチは、筐体の内部に位置するアームを挟んで上下一対に設けられるので、リミットスイッチも筐体の内部に配置できる。よって、ユーザがリミットスイッチに触れることを抑制できると共に、飲料サーバーの外観を向上できるという効果がある。
【0014】
請求項7記載の飲料サーバーによれば、請求項6記載の飲料サーバーの奏する効果に加え、次の効果を奏する。アームは、支持台の回転軸よりも後方に突出する突出部を備え、リミットスイッチは、アームの突出部を挟んで上下一対に設けられる。これにより、前壁と支持台の回転軸との間にリミットスイッチを設ける場合に比べ、支持台の回転軸を支持台の重心に近付けることができる。よって、支持台の回転に必要となるトルクを低減できるという効果がある。
【0015】
請求項8記載の飲料サーバーによれば、請求項6記載の飲料サーバーの奏する効果に加え、次の効果を奏する。筐体は、収容部と前壁との間の空間を仕切る仕切壁と、その仕切壁から前方側に突出し、リミットスイッチが固定される固定部と、を備える。これにより、前壁と仕切壁とによって取り囲まれた空間内にリミットスイッチを配置できるので、ユーザが収容部で飲料容器を出し入れする際に、リミットスイッチに触れることを抑制できるという効果がある。
【0016】
請求項9記載の飲料サーバーによれば、請求項1記載の飲料サーバーの奏する効果に加え、次の効果を奏する。支持台の回転軸に固定される第1ギヤを備え、駆動手段は、第1ギヤに噛み合わされる第2ギヤと、その第2ギヤが固定され出力軸と、を備えるモータである。第1ギヤは、第2ギヤの回転速度を減速させて支持台の回転軸に伝達する減速ギヤであるので、支持台の回転に必要となるモータのトルクを低減できる。よって、駆動手段の駆動力を支持台の回転軸に直接付与する(支持台の回転に必要となるトルクが比較的大きくなる)場合であっても、比較的小さい駆動力で支持台を回転させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のビールサーバーの正面斜視図である。
図2】ビールサーバーの断面図である。
図3図2のIII部分を拡大したビールサーバーの部分拡大断面図である。
図4図2のIV-IV線におけるビールサーバーの部分拡大断面図である。
図5】飲料容器をセットする様子を示すビールサーバーの断面図である。
図6】支持台を傾斜させた状態を示すビールサーバーの断面図である。
図7】第2実施形態のビールサーバーの斜視図である。
図8】ビールサーバーの部分拡大断面図である。
図9】(a)は、図8のIXa部分を拡大したビールサーバーの部分拡大断面図であり、(b)は、図9(a)のIXb-IXb線におけるビールサーバーの部分拡大断面図である。
図10】(a)は、第3実施形態のビールサーバーの部分拡大断面図であり、(b)は、注出管の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、第1実施形態のビールサーバー1の概略構成について説明する。図1は、第1実施形態のビールサーバー1の正面斜視図である。なお、図1の矢印U-D,L-R,F-Bは、ビールサーバー1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している(図2以降においても同様である)。
【0019】
図1に示すように、ビールサーバー1は、筐体2に設けられたノズル3から発泡性の飲料(本実施形態では、ビール)を注出し、支持台4に支持されるグラスG(コップやジョッキ)に注ぐための装置である。飲料を注出する際には、支持台4と共にグラスGが傾けられることによって飲料の過剰な泡立ちが抑制される(図6参照)。この支持台4(グラスG)を傾ける構成の詳細は後述する。
【0020】
筐体2は、長円形のベース板20を備え、ベース板20から上方に延びる一対の側壁21がベース板20の左右(矢印L-R方向)の両端部に固定される。一対の側壁21の上端には長円形の上板22が固定され、上板22は、一対の側壁21の上端同士を左右に繋いでいる。
【0021】
ベース板20、一対の側壁21、及び上板22によって取り囲まれる筐体2の内部空間の後方側(矢印B側)は半円筒形の後壁23によって閉塞され、該内部空間の前方側(矢印F側)は前壁24によって閉塞される。上板22は、前壁24よりも前方側に突出しており、その突出部分の下面からノズル3が下方に延びている。
【0022】
ノズル3の下方には支持台4が設けられ、支持台4は、グラスGの底部を支持する底板40と、その底板40の後端から上方に延びてグラスGを後方側から支持する背面板41と、を備える。背面板41はノズル3の先端よりも後方側で前壁24と対面しており、底板40及び背面板41にグラスGが支持された状態においては、ノズル3の先端がグラスGの内周側に向けられる。
【0023】
一対の側壁21は、前壁24(支持台4の背面板41)よりも前方側に突出することによって支持台4及びグラスGの左右両側を覆っている。これにより、ビールサーバー1の外観を向上できる。また、一対の側壁21の前端面は、上板22の下部から前方側に向けて下降傾斜する湾曲面になっており、これによってもビールサーバー1の外観を向上できる。
【0024】
次いで、図2を参照して、グラスGへ飲料を注出するための構成について説明する。図2は、ビールサーバー1の断面図である。なお、図2では、ビールサーバー1の左右方向中央で切断した断面を図示しているが、後述するギヤボックス14の内部構造(図3及び図4参照)については、理解を容易にするために右方側(矢印R側)の側板143(図4参照)と減速ギヤ44との間で切断した断面を図示している。
【0025】
図2に示すように、筐体2の内部には、飲料容器Cを収容する収容部5が設けられる。飲料容器Cは、グラスGに注出するための飲料が入れられている缶(本実施形態では、ビール缶)である。
【0026】
収容部5は、上板22の下面に固定される受け部50を備える。受け部50は、略円盤状に形成されており、受け部50の外縁には、下方に突出する筒状の被固定部50aが一体的に形成される。被固定部50aの内周面には、周方向の複数箇所に凸部50bが形成され、この凸部50bに収容部5の筒部51が固定される。
【0027】
筒部51には、凸部50bに引っ掛けられる筒状の上側筒部51aが一体的に形成される。上側筒部51aの外周面には、凸部50bと対応する位置に凹部が形成され、この凹部と凸部50bとの嵌合によって受け部50に筒部51が固定される。上側筒部51aの弾性的な変形により、凸部50bと上側筒部51aの凹部との嵌め外しが可能になっており、これによって受け部50に対する筒部51の着脱が行われる(図5参照)。なお、この受け部50に対する筒部51の着脱は、他の公知の方法が採用可能である。他の公知の方法としては、例えば特開2003-146394号公報に開示される雄ねじ16及びめねじ18のねじ込みによる着脱が例示される。
【0028】
上側筒部51aの内径は筒部51の内径と同一である一方、上側筒部51aの外径は筒部51の外径よりも小さい。即ち、筒部51は、上側筒部51aよりも外周側に張り出しており、その張り出し部分の上面には、Oリング52が嵌め込まれる環状の溝が形成されている。
【0029】
受け部50に上側筒部51aが嵌め込まれた状態においては、被固定部50aと筒部51との間にOリング52が挟まれる。これにより、受け部50(被固定部50a)と筒部51との間の気密が維持される。
【0030】
筒部51の下部には、その筒部51よりも内径が大きい筒状の下側筒部51bが一体的に形成される。下側筒部51bの外径は筒部51の外径と同一である。下側筒部51bの内周面には周方向の複数箇所に凸部51cが形成され、この凸部51cに収容部5の底部53が固定される。
【0031】
底部53は、筒部51の上側筒部51aと同様の上側筒部53aを備える。筒部51の下側筒部51bに対する底部53の上側筒部53aの嵌め込み構造や、筒部51と底部53との間のOリング52による気密構造は、上述した受け部50に対する筒部51の嵌め込み部分と同様であるのでその説明を省略する。
【0032】
このように、収容部5の内部には、受け部50、筒部51、及び底部53によって取り囲まれた密閉空間が形成され、その密閉空間の気密がOリング52によって維持される。収容部5の内部に収容された飲料容器Cから飲料を汲み上げる際には、ポンプ7からの空気が収容部5に供給される。
【0033】
ポンプ7は、筐体2の収容ケース25の内部に設けられている。収容ケース25は、上板22と同様の長円形に形成される箱であり(図1参照)、この収容ケース25の内部空間の上下を覆う板を天板25a及び底板25b、前後を覆う板を前面板25c及び後面板25d、左右を覆う板を側面板25e(図1参照)として説明する。ポンプ7には、収容部5の内部に空気を供給するための供給管70が接続され、この供給管70は、底板25b、上板22、及び受け部50を貫通して収容部5の内部に繋がっている。
【0034】
収容部5の受け部50には、上下に貫通する貫通孔50cが形成され、この貫通孔50cには、飲料容器Cから汲み上げた飲料をグラスGに注出するための注出管8が挿入される。筐体2の上板22には、筒状のノズル3と、受け部50の貫通孔50cとを繋ぐ(前後方向に延びる)管路が形成され、この管路に挿入される注出管8によって収容部5の内部とノズル3とが接続される。
【0035】
注出管8のうち、飲料容器C(収容部5の底部)から上方に延びて受け部50の貫通孔50cに挿入される部位を基端部80、その基端部80の上端から上板22の管路を通して前方側に延びる部位を中間部81、その中間部81の前端から下方に屈曲してノズル3に挿入される部位を先端部82と定義する。
【0036】
上板22及び収容ケース25の底板25bには、注出管8の中間部81の上面に向けて貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に開閉アーム9の先端が挿入される。開閉アーム9は、先端が左方(図2の紙面垂直方向における手前側)に屈曲するL字状に形成され、開閉アーム9の基端側は、左右方向に延びる回転軸90回りに回転可能に軸支される。この回転軸90に駆動部91のモータ(図示せず)からの駆動力が付与されることにより、注出管8の中間部81を押し込む押し込み位置と、注出管8から離隔する退避位置とに開閉アーム9が回転可能に構成される。
【0037】
注出管8は、柔軟性のある筒状の樹脂(例えば、シリコンチューブ)を用いて形成されており、開閉アーム9による押し込みによって注出管8の内部の流路が閉塞される。一方、開閉アーム9を退避位置にして注出管8から離隔させることにより、注出管8の弾性的な復元力によって内部の流路が開放される。
【0038】
開閉アーム9を退避位置にして注出管8を開状態とし、ポンプ7から供給される空気によって収容部5の内部を加圧することにより、筐体2の外部の圧力(大気圧)と、収容部5の内部の圧力との圧力差によって飲料容器Cの飲料が注出管8を通して汲み上げられる。これにより、ノズル3から注出される飲料がグラスGに注がれる。
【0039】
開閉アーム9よりも前方側における上板22及び収容ケース25の底板25bには、注出管8の中間部81の上面に向けて貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に超音波振動子10が配置される。超音波振動子10は注出管8の中間部81に接触しており、飲料容器Cの飲料を所定量グラスGに注出した後、超音波振動子10が振動するように構成されている。これにより、振動する注出管8を通過した飲料が泡となり、その泡がノズル3からグラスGに注出される。
【0040】
このような飲料や泡の注出は、収容ケース25の前面(矢印F側の面)に設けられたスイッチ11を押すことによって開始される。スイッチ11は、収容ケース25の前面板25cに貫通する貫通孔に挿入されており、スイッチ11が押された場合には、収容ケース25の内部に設けられた制御装置12の制御プログラムによって飲料の注出が全自動で実行される。
【0041】
なお、図示は省略するが、スイッチ11の近傍(収容ケース25の前面板25c)にはタッチパネル式の液晶表示装置が設けられており、この液晶表示装置での操作により、飲料容器Cの容量(例えば、350ml又は500ml)の選択や、グラスGの容量(何ml入れることができる容器か)の選択が可能になっている。ここで選択された飲料容器CやグラスGの容量に応じて、上記の制御プログラムによる飲料の注出制御(例えば、飲料の注出量の調整や、超音波振動子10の振動開始のタイミングの調整など)が行われる。
【0042】
また、上記の液晶表示装置上では、ビールサーバー1の電源(充電池や乾電池など)の残量表示や、飲料容器C内の飲料の残量表示などが行われる。更に、上記の制御プログラムによる飲料の自動注出の際には支持台4(グラスG)が傾斜するが(図6参照)、この傾斜動作に異常が生じた場合には、その異常を報知するアラームが上記の液晶表示装置に表示される。
【0043】
次いで、図3及び図4を参照して、支持台4を傾斜させる機構の詳細について説明する。図3は、図2のIII部分を拡大したビールサーバー1の部分拡大断面図であり、図4は、図2のIV-IV線におけるビールサーバー1の部分拡大断面図である。なお、図3では、アーム42のうち、ギヤボックス14に隠れている部位を破線で図示している。
【0044】
図3及び図4に示すように、ビールサーバー1の前壁24は、上下に延びて支持台4の背面板41と対面する対面部24aと、その対面部24aの上端から後方側(図3の矢印B側)に屈曲する屈曲部24bと、その屈曲部24bの後端から上方に延びて上板22(図2参照)に連結される連結部24cと、を備える。
【0045】
前壁24には、前後に貫通する挿入孔24d(図4参照)が形成され、この挿入孔24dに支持台4のアーム42が挿入される。なお、挿入孔24dは、前壁24の対面部24aの上端部分から連結部24cの下端部にかけて連続する長孔である(図1参照)。挿入孔24dは、左右方向に所定間隔を隔てて一対に設けられ(図4参照)、この左右一対の挿入孔24dの各々に支持台4のアーム42が挿入される。即ち、アーム42も背面板41の上端側の後面に左右一対に設けられる。
【0046】
一対のアーム42には左右方向に延びる棒状の回転軸43が固定されており、この回転軸43に駆動力を付与するためのモータ13がギヤボックス14に支持される。ギヤボックス14は、モータ13を支持する下板140を備え、下板140は、対面部24aから後方側に延びている。下板140の後端からは後板141が上方に延びており、後板141の上端からは上板142(図3参照)が前方に延びて前壁24の屈曲部24bと連結部24cとの連結部分に接続される。
【0047】
前壁24(対面部24a及び屈曲部24b)、下板140、後板141、及び上板142によって囲まれる空間の左右両側が一対の側板143によって閉塞される。即ち、ギヤボックス14は、前壁24の後面を覆う箱状に形成される。ギヤボックス14の側板143には貫通孔144が形成され、貫通孔144は、前後方向に延びる長孔である(図3参照)。
【0048】
貫通孔144には支持台4の回転軸43が挿入され、回転軸43のうち、ギヤボックス14の内部(側板143の内側)に位置する部位に減速ギヤ44が固定される。減速ギヤ44は、モータ13のギヤ130に噛み合わされている。ギヤ130は、モータ13の出力軸に固定されており、図示しない電源(充電池)からの電力がモータ13に供給されると、モータ13の駆動力がギヤ130及び減速ギヤ44を介して回転軸43に伝達される。
【0049】
このモータ13から伝達される駆動力により、ギヤボックス14の側板143(貫通孔144)に支持される回転軸43が一方向(図3の時計回り)に回転する。これにより、回転軸43が固定されるアーム42の前端側が上方に傾き(図6参照)、支持台4及びグラスGが前方側に持ち上げられるようにして回転する。この回転によってグラスGを傾けた状態で飲料を注出することにより、グラスGに注出される飲料の過剰な泡立ちを抑制できる。
【0050】
このように、本実施形態では、支持台4の背面板41をアクチュエータ等で押し上げるのではなく、支持台4の背面板41を介すことなく、モータ13の駆動力を回転軸43に直接付与する構成である。これにより、かかるアクチュエータ等の変位スペースを確保する必要がなくなるので、ビールサーバー1を小型化できる。
【0051】
また、筐体2の前壁24に挿入孔24dが形成され、その挿入孔24dに挿入されたアーム42に支持台4の回転軸43を固定しているので、回転軸43を前壁24の背面側、即ち筐体2の内部に配置できる。これにより、ユーザが回転軸43に触れることを抑制できると共に、ビールサーバー1の外観を向上できる。
【0052】
回転軸43は、ギヤボックス14の側板143(貫通孔144)に回転可能に支持されるので、回転軸43を軸支するための機能と、モータ13を収納する壁としての機能とを側板143に持たせることができる。
【0053】
側板143は、前壁24の対面部24a及び屈曲部24bの接続部分と、屈曲部24b及び連結部24cの接続部分との各々に接合(連結)されている。それらの接続部分は、互いに直交する対面部24a、屈曲部24b、及び連結部24cが一体的に形成されることで剛性が高められている。よって、この剛性が高い部位に側板143を固定することにより、側板143によって支持台4の回転軸43を安定的に支持できる。
【0054】
また、一対のアーム42の対向間に架け渡された回転軸43に減速ギヤ44が固定されるので、その減速ギヤ44に駆動力を付与するためのモータ13を一対のアーム42の内側に配置できる。つまり、一対のアーム42の対向間のスペースを利用してモータ13を配置できるので、例えばアーム42よりも側方側に突出させた回転軸43に減速ギヤ44を設ける(モータ13をアーム42よりも左右方向外側に設ける)構成に比べ、ビールサーバー1を小型化できる。
【0055】
また、回転軸43によって左右一対のアーム42が連結されているので、例えば左右のアーム42の各々に別個の回転軸を設ける(回転軸43が分離されている)構成に比べ、アーム42の撓みを抑制できるので、支持台4を安定的に回転させることができる。
【0056】
ここで、本実施形態のように支持台4の回転軸43に駆動力を直接付与する構成であると、例えば支持台4の背面板41をアクチュエータ等で押し上げる(回転軸43から離れた位置に動力を付与する)場合に比べ、支持台4の回転に必要なトルクが大きくなる。一方、ビールサーバー1は、飲食店などに設置される据置型のものとは異なり、一般消費者が持ち運び可能なサイズであり、モータ13に電力を供給する電力源は、充電池や乾電池などの比較的小さい電力である。この小さい電力で支持台4を回転させるトルクを得る必要があるが、本実施形態では、支持台4の減速ギヤ44は、モータ13のギヤ130よりも外径が大きく、且つ歯数の多いギヤである。この減速ギヤ44とモータ13のギヤ130との減速比により、比較的小さい電力でも支持台4(回転軸43)を回転させるトルクを得ることができる。
【0057】
筐体2の側壁21は、その左右方向外側の外面を構成する外板21aと、その外板21aに左右方向内側で対面する内板21bと、それら外板21a及び内板21bの前端同士を左右に繋ぐ前面板21c(図4参照)と、を備える中空構造になっている(図4参照)。筐体2の前壁24は、左右一対の内板21bの後端同士を左右に繋いでいる。
【0058】
ギヤボックス14の後方側には、側壁21の左右一対の外板21a同士を左右に繋ぐ仕切壁26が設けられる。仕切壁26の前面からは、リミットスイッチ15a,15bを固定するための固定板27(固定部)が前方側に突出している。固定板27は、支持台4のアーム42の左右方向外側に配置され、この固定板27の左右方向内側にリミットスイッチ15a,15bが固定される。
【0059】
一対のアーム42のうちの一方(図4の矢印L側)のアーム42は、回転軸43よりも後方側に突出する突出部42aが形成され、この突出部42aの回転がリミットスイッチ15a,15bによって検出される。
【0060】
リミットスイッチ15aは、アーム42の突出部42aの上方に設けられ(図3参照)、リミットスイッチ15bは、アーム42の突出部42aの下方に設けられる。支持台4が回転する前の初期状態では、アーム42の突出部42aがリミットスイッチ15aに接触する。一方、支持台4が所定角度(本実施形態では、45°)に傾いた傾斜状態では、アーム42の突出部42aがリミットスイッチ15bに接触する(図6参照)。
【0061】
これらの初期状態および傾斜状態がリミットスイッチ15a,15bで検出された場合には、モータ13の正逆回転が停止するように構成されている。
【0062】
このように、前壁24に挿入されるアーム42(突出部42a)の変位をリミットスイッチ15a,15bで検出することにより、リミットスイッチ15a,15bを前壁24よりも後方側、即ち筐体2の内部に配置できる。これにより、ビールサーバー1のユーザがリミットスイッチ15a,15bに触れることを抑制できると共に、ビールサーバー1の外観が向上する。
【0063】
ここで、リミットスイッチ15a,15bを支持する仕切壁26は、筐体2の前壁24と収容部5との間を区画している。即ち、筐体2の内部には、平面視において側壁21、前壁24、及び仕切壁26によって取り囲まれた空間Sが形成される。この空間Sにギヤボックス14、及び支持台4のアーム42、回転軸43、並びに減速ギヤ44からなる駆動系や、リミットスイッチ15a,15bの各部材が設けられるので、ビールサーバー1のユーザが収容部5で飲料容器Cを出し入れする際に、それらの各部材に触れることを抑制できる。
【0064】
また、リミットスイッチ15a,15bによってアーム42の変位を検出する場合、例えばアーム42のうち、回転軸43よりも前方側に位置する部位にリミットスイッチ15a,15bを接触させることも可能である。しかしながら、そのような構成であると、前壁24と回転軸43との間にリミットスイッチ15a,15bを配置するためのスペースを確保する必要があり、その分、回転軸43を背面板41とアーム42との接続位置P1(図3参照)から離れた位置に設けなければならない。かかる接続位置P1から回転軸43までの距離が長くなると、回転軸43が支持台4の重心から離れることになるため、支持台4の回転に必要なトルクが大きくなる。
【0065】
これに対して本実施形態では、回転軸43よりも後方側に突出する突出部42aを設け、その突出部42aの変位をリミットスイッチ15a,15bで検出する構成である。これにより、前壁24と回転軸43との間にリミットスイッチ15a,15bを配置する場合に比べ、回転軸43を背面板41とアーム42との接続位置P1に近付けて配置できる。これにより、回転軸43を支持台4の重心に近付けることができるので、支持台4の回転に必要なトルクを小さくできる。なお、回転軸43から背面板41とアーム42との接続位置P1までの距離と、回転軸43から突出部42aとリミットスイッチ15aとの接触位置P2までの距離は略同一である。
【0066】
次いで、図5及び図6を参照して、ビールサーバー1の使用方法および動作について説明する。図5は、飲料容器Cをセットする様子を示すビールサーバー1の断面図であり、図6は、飲料Bの注出時に支持台4を傾斜させた状態を示すビールサーバー1の断面図である。
【0067】
図5及び図6に示すように、飲料容器Cをビールサーバー1にセットする際には、筐体2の側壁21の外板21aから後壁23(図6参照)を取り外すと共に、収容部5の受け部50から外した筒部51及び底部53の内部に飲料容器Cを挿入する。
【0068】
次いで、受け部50から垂下する注出管8の基端部80を飲料容器Cの口に差し込みつつ、筒部51を受け部50に嵌め込んで、筐体2の後壁23(図6参照)を側壁21に装着する。これにより、飲料容器Cのセットが完了する。飲料容器Cをセットした後、スイッチ11を押すことにより、制御装置12の制御プログラムに沿った飲料Bの注出が開始される。この制御プログラムは、ビールサーバー1の電源が投入されると所定時間毎に定期的に実行される。
【0069】
制御装置12の制御プログラムでは先ず、開閉アーム9が注出管8の中間部81を押し込む押し込み位置に達しているか否かを確認し(S1)、開閉アーム9が押し込み位置に達していない場合には(S1:No)、駆動部91のモータの正転によって注出管8を押し込む方向に開閉アーム9を回転させて(S2)、S1の処理に戻る。このS1及びS2の処理により、注出管8の流路を閉塞するまで開閉アーム9が回転するので、例えば後述する飲料Bの注出後にノズル3から液だれすることを抑制できる。なお、開閉アーム9が押し込み位置に達しているか否かの確認は、例えば押し込み位置で開閉アーム9に接触するリミットスイッチを設ける構成が例示される。
【0070】
一方、開閉アーム9が押し込み位置に達している場合(S1:Yes)、図示しない始動可能ランプを点灯させる(S3)。この始動可能ランプは、ビールサーバー1のユーザに飲料Bの注出が可能であることを知らせるためのLEDライトである。
【0071】
S3の処理で始動可能ランプを点灯させた後、スイッチ11が押されたか否かを確認し(S4)、スイッチ11が押されていない場合には(S4:No)、S1の処理に戻る。一方、スイッチ11が押されている場合には(S4:Yes)、支持台4の角度が0°か否か、即ち支持台4のアーム42の突出部42aがリミットスイッチ15aに接触しているか否かを確認する(S5)。
【0072】
支持台4の角度が0°ではない場合(S5:No)、支持台4が傾斜している状態であるので、モータ13を逆回転させ(S6)、支持台4を初期位置に向けて回転させてS5の処理に戻る。このS5及びS6の処理により、飲料Bの注出前に支持台4が初期位置(グラスGが正立する角度)に戻るようになっている。
【0073】
支持台4が初期状態へ復帰する変位は、ゴム状弾性体のストッパ16によって規制される。ストッパ16は、筐体2のベース板20の上面と前壁24(対面部24a)の前面との隅部分に設けられ、支持台4が初期状態に戻ってアーム42(突出部42a)がリミットスイッチ15aに接触する時に、支持台4の背面板41とストッパ16とが接触する。これにより、リミットスイッチ15aに加わる負荷を低減できる。
【0074】
なお、支持台4が傾斜状態まで回転し、アーム42(突出部42a)がリミットスイッチ15bに接触する時に、上記のストッパ16に相当する部材と支持台4(例えば、背面板41)とを接触させても良い。これにより、リミットスイッチ15bに加わる負荷を低減できる。
【0075】
S5の処理において、支持台4の角度が0°である場合(S5:Yes)、モータ13を正転させ(S7)、支持台4を傾斜状態に向けて回転させる。S7の処理の後、支持台4の傾斜角度が45°であるか否か、即ち支持台4のアーム42の突出部42aがリミットスイッチ15bに接触したか否かを確認する(S8)。
【0076】
支持台4の角度が45°ではない場合には(S8:No)、S7の処理に戻ってモータ13を正転させる。このS7及びS8の処理により、アーム42の突出部42aがリミットスイッチ15bに接触してモータ13が停止する(グラスGが45°に傾く)まで支持台4が回転する(図6参照)。
【0077】
この支持台4の45°の傾斜状態においては、ノズル3の先端(注出管8の先端部82)がグラスGの内周面に向けられる(図6参照)。また、この支持台4の傾斜状態では、背面板41の上端が前壁24(連結部24c)に接触しないようになっている。これは、前壁24の屈曲部24bが対面部24aから後方側に屈曲している分、連結部24cが対面部24aよりも後方側に退いた位置に形成されているためである。
【0078】
支持台4の角度が45°になった場合には(S8:Yes)、飲料Bの注出が可能な状態であるので、駆動部91のモータを一定時間逆回転させ(S9)、注出管8を押し込む押し込み位置から退避位置に向けて開閉アーム9を回転させる。この駆動部91のモータを逆回転させる時間は、注出管8の内部の流路が開放する程度に注出管8から開閉アーム9が離隔する時間である。
【0079】
S9の処理で駆動部91のモータを一定時間逆回転させた後、ポンプ7を起動し(S10)、供給管70から供給される空気によって収容部5の内部を加圧させる。このS10の処理により、収容部5の内部と外部との圧力差によって飲料容器Cから汲み上げられた飲料Bがノズル3(注出管8の先端部82)を通してグラスGに注出される(図6参照)。このように、グラスGを傾けた状態で飲料Bを注出することにより、飲料Bの過剰な泡立ちを抑制できる。
【0080】
S10の処理の後、ポンプ7の起動時間が第1時間T1を経過しているか否か、即ちグラスGに注出された飲料Bが所定量に達したか否かを確認する(S11)。ポンプ7の起動時間が第1時間T1を超えている場合(S11:Yes)、グラスGに所定量の飲料Bが注出されたと判断できるので、モータ13を逆回転させて(S12)、支持台4を初期位置側に回転させる。
【0081】
S12の処理の後、ポンプ7の起動時間が第2時間T2を経過しているか否かを確認する(S13)。この第2時間T2は、第1時間T1よりも長い時間に設定されており、第2時間T2が経過している場合は、所定量の飲料Bの注出が終了している状態である。
【0082】
よって、第2時間T2が経過している場合(S13:Yes)、超音波振動子10を振動させて(S14)、グラスGに泡を注出する。これにより、適度な泡立ちの飲料BがグラスGに注出される。
【0083】
S14の処理で超音波振動子10を振動させた後、支持台4の角度が0°か否か、即ち支持台4のアーム42の突出部42aがリミットスイッチ15aに接触しているか否かを確認する(S15)。
【0084】
S12の処理によって支持台4が0°に戻った状態である場合には(S15:Yes)、飲料B及び泡の注出が全て終了している状態であるので、ポンプ7を停止させて(S16)、一連の処理を終了する。
【0085】
一方、飲料Bが注出途中である状態、即ち、ポンプ7の起動時間が第1時間T1及び第2時間T2を超えておらず(S11及びS12:No)、S12の処理で支持台4が初期位置に戻っていない状態では(S15:No)、S11に戻り、S13以下の処理を繰り返す。これにより、S12の処理で支持台4が初期位置に戻り、S14の処理で超音波振動子10によって泡が注出されるまでは、ポンプ7の起動が継続される。
【0086】
次いで、図7図9を参照して、第2実施形態のビールサーバー201について説明する。第1実施形態では、注出管8の中間部81に超音波振動子10が接触する場合を説明したが、第2実施形態では、注出管208の第1コネクタ283に超音波振動子10を接触させる場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図7は、第2実施形態のビールサーバー201の斜視図であり、図8は、ビールサーバー201の部分拡大断面図である。なお、図8では、ビールサーバー201の左右方向(矢印L-R方向)中央で切断した断面を図示している。
【0087】
図7及び図8に示すように、ビールサーバー201の注出管208は、超音波振動子10からの振動が付与される第1コネクタ283を備える。第1コネクタ283は、円筒状の本体部283aを備え、本体部283aの上下方向(軸方向)(矢印U-D方向)両側は、板部283b,283cによって閉塞される(板部283cについては、図8参照)。本体部283aの上端側を閉塞するものが板部283bであり、下端側を閉塞するものが板部283cである。
【0088】
第1コネクタ283は、固定部材217によって収容ケース25の天板25aに固定される。固定部材217は、左右方向(矢印L-R方向)に延びる略長円形の板であり、固定部材217の長手方向両端側には、ねじ218を挿入するための貫通孔217aが形成される。収容ケース25の天板25a(筐体2の上面を構成する板)には、一対の貫通孔217aと対応する位置に一対のめねじ穴225fが形成される。
【0089】
固定部材217の貫通孔217aに挿入したねじ218を天板25aのめねじ穴225fにねじ込むことにより、固定部材217によって第1コネクタ283が収容ケース25の天板25aに固定される(図8参照)。一方、天板25aから固定部材217を取り外すことにより、天板25aから第1コネクタ283を取り外すことができる(図7参照)。
【0090】
固定部材217の長手方向中央には、固定部材217の幅方向(前後方向)両側に張り出す一対の張出部217bが形成される。一対の張出部217bの各々の先端側の縁は、互いに離れる方向に凸の円弧状に形成される。即ち、一対の張出部217bは、第1コネクタ283の本体部283aと略一致した形状になっている。よって、固定部材217によって第1コネクタ283を天板25aに固定した際には、一対の張出部217bによって第1コネクタ283の板部283bの全体を押さえることができる。
【0091】
第1コネクタ283は、本体部283aの外周面から突出する一対の継手部283d,283e(図7参照)を備える。本体部283aの前端側(矢印F側)に接続されるものが継手部283dであり、後端側に接続されるものが継手部283eである。継手部283d,283eは、本体部283aの軸方向(上下方向)と直交する方向に突出する筒状に形成される。本体部283aの外径は、これらの各継手部283d,283eの外径よりも大きく形成され、各継手部283d,283eは、本体部283aの内周側の空間に繋がっている。
【0092】
継手部283dは、注出管208の先端部82の後端部分に挿入され、継手部283eは、注出管208の中間部81の先端に挿入されている。つまり、第1実施形態(図6参照)では、注出管8の基端部80、中間部81、及び先端部82が一体に形成される(注出管8が1本のチューブである)場合を説明したが、本実施形態では、これらの各部80~82が分断されており、第1コネクタ283が中間部81及び先端部82の分断部分の継手として構成されている。
【0093】
注出管208の基端部80及び中間部81の分断部分には、第2コネクタ284が設けられる。第2コネクタ284は、注出管208の基端部80の上端部分に挿入される継手部284aと、中間部81の後端部分に挿入される継手部284b(図8参照)とを備えるL字状の継手である。
【0094】
収容ケース25(筐体2)には、注出管208の基端部80や先端部82を挿入するための管路228,229が形成される(管路229については、図8参照)。管路228は、超音波振動子10よりも後方側において、収容ケース25の天板25a及び底板25bを上下に貫くようにして形成される。管路228の下端部は、筐体2の上板22を貫く貫通孔22aを通して収容部5(受け部50)の貫通孔50cに繋がっている。
【0095】
また、管路229は、超音波振動子10よりも前方側において、収容ケース25の天板25a及び底板25bを上下に貫くようにして形成される。管路229の下端部は、筐体2の上板22を貫く貫通孔22bを通してノズル3に繋がっている。
【0096】
これらの管路228,229に対し、注出管208の基端部80(第2コネクタ284の継手部284a)や、先端部82を抜き差しできるように構成されている。よって、固定部材217を天板25aから取り外すことにより(図7参照)、注出管208の基端部80、中間部81、先端部82、及び第1,2コネクタ283,284の各管を筐体2に対して着脱できる。よって、それらの各管を取り外して洗浄したり、交換したりすることができるので、注出管208のメンテナンスを容易にできる。
【0097】
なお、本実施形態では、収容ケース25(筐体2)の天板25aから注出管208が常に露出するように構成されているが、例えば、天板25aの上面を開閉可能に覆う蓋を天板25a(筐体2)に取り付ける構成でも良い。このような構成であれば、蓋で注出管208を覆うことにより、ユーザが注出管208に不用意に触れることを抑制できると共に、ビールサーバー201の外観を向上できる。一方、蓋を開放させることにより、注出管208のメンテナンスを行うことができる。
【0098】
第2コネクタ284の継手部284aのうち、注出管208の基端部80の嵌め込み部分よりも上方側の部位には、凹溝284c(図7参照)が形成される。凹溝284cは、継手部284aの周方向に連続する溝状に形成され、この凹溝284cにはOリング285(図8参照)が嵌め込まれる。このOリング285が管路228の内周面に密着することにより、管路228を通した空気の漏れが防止されるので、収容部5内の気密が維持される。
【0099】
天板25aの上面には、固定状態の注出管208を収納するための凹部225g(図7参照)が形成される。この前後方向に延びる凹部225gのうち、主に注出管208の第2コネクタ284を収納する部位を第1凹部225g1、中間部81を収納する部位を第2凹部225g2、第1コネクタ283(本体部283a)を収納する部位を第3凹部225g3、先端部82を収納する部位を第4凹部225g4と記載して説明する。
【0100】
第1凹部225g1は、管路228の開口を含む領域に形成され、第1凹部225g1の前端からは、第2凹部225g2が前方側に延びている。第2凹部225g2の幅寸法(矢印L-R方向の寸法)は、注出管208の中間部81の外径よりも僅かに大きく(例えば、中間部81の外径の2倍以下)に形成されている。一方、第1凹部225g1の幅寸法は、第2凹部225g2(注出管208の中間部81)の幅寸法よりも大きい。これにより、第1凹部225g1の側壁と第2コネクタ284との間の隙間に指が入り易くなるので、収容ケース25(筐体2)に対する第2コネクタ284の着脱を容易にできる。
【0101】
第2凹部225g2は、前後に延びる長穴であり、第2凹部225g2の前端部分が第3凹部225g3に繋がっている。第3凹部225g3は、超音波振動子10を挿入するための挿入穴225h(図8参照)を含む領域に形成され、第3凹部225g3の側壁は、超音波振動子10から離れる方向に(第2凹部225g2よりも左右に広がるように)湾曲している。第3凹部225g3の前端からは、第4凹部225g4が前方側に延びており、第4凹部225g4の幅寸法は、第2凹部225g2の幅寸法と略同一である。
【0102】
これらの第1~第4凹部225g1~225g4(凹部225g)に注出管208の各管が収納されるので、注出管208の各管が天板25aの上面に露出することを抑制できる。よって、ユーザが注出管208の各管に不用意に触れることを抑制できると共に、ビールサーバー201の外観を向上できる。
【0103】
第3凹部225g3を挟んだ左右の両側には、第3凹部225g3よりも浅い第5凹部225g5が形成される。これら一対の第5凹部225g5は、第3凹部225g3の側壁の上縁から左右の両側に延びている。第5凹部225g5にめねじ穴225fが形成されるので、天板25aに固定部材217を取り付けた際には、第5凹部225g5に固定部材217やねじ218を収納できる。これによっても、ビールサーバー201の外観を向上できる。
【0104】
第3凹部225g3には、超音波振動子10を挿入するための挿入穴225hが形成される(図8参照)。超音波振動子10は、略円柱状に形成されており、この超音波振動子10の上端部分が円形の挿入穴225hに挿入される。これにより、超音波振動子10を収容ケース25(筐体2)の内側に配置できる。よって、ユーザが超音波振動子10に不用意に触れることを抑制できると共に、ビールサーバー201の外観を向上できる。
【0105】
次いで、図9を参照して、ビールサーバー201の構成について更に説明する。図9(a)は、図8のIXa部分を拡大したビールサーバー201の部分拡大断面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb-IXb線におけるビールサーバー201の部分拡大断面図である。
【0106】
図9に示すように、超音波振動子10は、挿入穴225hに挿入される小径部10aと、その小径部10aよりも大径に(外形が大きく)形成される大径部10bと、から構成される。大径部10bの外径(外形)は、挿入穴225hの内径よりも大きく形成されており、この大径部10bと天板25aとの引っ掛かりにより、挿入穴225h側に向けた大径部10bの変位が規制される。
【0107】
天板25aの下面(内面)からは、超音波振動子10を支持するための突部225iが下方(筐体2の内側)に突出しており、突部225iは、挿入穴225h(超音波振動子10)を挟んで前後一対に形成される。これらの突部225iの先端には、超音波振動子10を支持するための円板状の支持板219(支持部)がねじ止めされている。支持板219には、超音波振動子10を取り囲む外周壁219aが形成されており、この外周壁219aにより、超音波振動子10の振動方向(上下方向)と直交する方向への超音波振動子10の変位が規制される。
【0108】
また、天板25aの下面からは、筒状の規制壁225jが下方に突出しており、この規制壁225jは、一対の突部225iの内側で超音波振動子10(大径部10b)を取り囲んでいる。この規制壁225jによっても、超音波振動子10の振動方向と直交する方向への超音波振動子10の変位が規制される。
【0109】
突部225iに取り付けられた支持板219に超音波振動子10を支持した状態においては、第1コネクタ283(注出管208の各管)が取り付けられる取付面(図7に示す第1~第4凹部225g1~225g4の底面)と超音波振動子10の上面とが略面一になるように構成されている。
【0110】
超音波振動子10と対面する第1コネクタ283の板部283cからは、円柱状の突起283fが下方に突出しており、この突起283fが超音波振動子10に接触する。よって、超音波振動子10の振動は、突起283fを介して板部283cに伝達される。突起283fに集中して伝達された超音波振動子10の振動により、板状の板部283cが振動し易くなる。これにより、第1コネクタ283(板部283c)を流れる飲料に超音波振動子10の振動が伝わり易くなるので、飲料の泡を効率良く生成できる。
【0111】
第1コネクタ283の本体部283a、板部283b,283c、継手部283d,283e、及び突起283fは、樹脂材料(例えば、ポリカーボネート)を用いて一体に形成されている。この第1コネクタ283の材質は、注出管208の各部80~82の材質よりも硬質である(硬度が高い)。これにより、第1コネクタ283を流れる飲料に対し、超音波振動子10の振動が伝達され易くなるので、飲料の泡を効率良く生成できる。
【0112】
また、円板状の板部283cの中央に1つの突起283fが形成されるので、突起283fを介した超音波振動子10の振動を円板状の板部283cの中央の一点に伝達できる。これにより、板部283cの振動の腹となる部分に超音波振動子10の振動を効率良く伝達できるので、板部283cの全体が振動し易くなる。
【0113】
第1コネクタ283は、固定部材217によって超音波振動子10側に押し付けられている。より具体的には、図9では、板部283cが平たく形成されている状態を図示しているが、実際には、固定部材217が突起283fを超音波振動子10に押し付ける力により、板部283cが上方に湾曲した(弾性変形した)状態となっている。
【0114】
よって、超音波振動子10や第1コネクタ283の上下の振動により、超音波振動子10及び突起283fが離れる方向に変位しても、板部283cの弾性回復力によって超音波振動子10と突起283fとの接触状態が維持され易くなる。これにより、超音波振動子10の振動を板部283cに確実に伝達できる。
【0115】
また、第1コネクタ283の板部283cの厚みは、板部283bの厚みよりも薄く形成されている。これにより、板部283cの全体が撓むように変形し易くなるので、超音波振動子10の振動によって板部283cが振動し易くなる。
【0116】
ここで、従来技術(例えば、特開2020-109009号公報)のように、注出管(第1管部材21)に対し、鉛直方向上側から振動体(超音波振動子41)を接触させる構成の場合、注出管を流れる飲料に効率良く泡を生成することができない。これは、注出管を流れる飲料の量によっては、注出管の内部が飲料で満たされない(注出管の内部が満水にならない)場合があるためである。このような場合、飲料は、重力によって注出管の内部の底面に沿って流れるため、注出管の上面に振動体を接触させる構成では、注出管を流れる飲料に振動を効率良く伝えることができない。
【0117】
これに対して本実施形態の突起283fは、第1コネクタ283の下面側(鉛直方向下側)に形成されるので、飲料によって第1コネクタ283が満たされない(第1コネクタ283の内部が満水にならない)場合であっても、板部283cに沿って流れる飲料に対し、突起283fからの振動を効率良く伝達できる。即ち、第1コネクタ283を流れる飲料が少量になった場合であっても、超音波振動子10の振動を飲料に確実に伝達できるので、飲料の泡を効率良く生成できる。
【0118】
次いで、図10を参照して、第3実施形態の飲料サーバー301について説明する。第2実施形態では、第1コネクタ283の本体部283aが円筒状に形成される場合について説明したが、第3実施形態では、第1コネクタ383の本体部383aが角筒状に形成される場合について説明する。なお、上述した第2実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0119】
図10(a)は、第3実施形態のビールサーバー301の部分拡大断面図であり、図10(b)は、注出管308の斜視図である。なお、図10(a)では、図8に対応する位置で切断したビールサーバー301の断面を図示している。
【0120】
図10に示すように、第3実施形態の飲料サーバー301の収納ケース25(筐体2)は、側面板25e(図1参照)を天板25aよりも上方に延長した延長部325e1を備えている。また、図示は省略するが、収納ケース25の前面板25c及び後面板25d(図1参照)にも同様の延長部が形成されており、この各延長部によって取り囲まれる空間が蓋328によって上方から覆われる。
【0121】
蓋328は、下板328aと、その下板328aの上方に配置される上板328bと、それらの各板328a,328bを全周にわたって上下に繋ぐ側板328cと、を備えている。
【0122】
蓋328は、図示しないヒンジによって側面板25eの延長部325e1に回転可能(天板25aの上部を開閉可能に)に軸支され、蓋328によって天板25aが覆われた状態は、図示しないロック装置によって固定(及びその固定を解除)可能に構成される。なお、これらのヒンジやロック装置などを用いた蓋構造は、公知の構成が採用可能であるので詳細な説明を省略するが、公知の構成としては、例えば、特開平09-154615号公報に記載されるヒンジ機構3や、実開平06-081279公報のロック具7が例示される。
【0123】
下板328aには、超音波振動子10を挿入するための貫通孔328a1が形成され、下板328aの上下の両面には、貫通孔328a1を取り囲む筒状の筒部328a2が形成される。下板328aの下方に延びる筒部328a2の下端には、その内周側に屈曲する屈曲部328a3が形成される。この屈曲部328a3の内周側に超音波振動子10の小径部10aが挿入される(大径部10bが屈曲部328a3の上面に引っ掛けられる)。
【0124】
下板328aから上方に延びる筒部328a2の外周側には、下板328aの上面から柱部328a4が立ち上がっている。柱部328a4は、筒部328a2を挟んで前後一対に形成され、これら一対の柱部328a4の上端に固定部材217がねじ止めされている。固定部材217と超音波振動子10との間には、筒部328a2に挿入されたコイルばねSが弾性変形した状態で挟み込まれているので、このコイルばねSの弾性回復力により、超音波振動子10が第1コネクタ383に押し込まれる。これにより、超音波振動子10の振動を注出管308の第1コネクタ383に効率良く伝達できる。
【0125】
なお、蓋328の下板328a及び上板328bは、分解可能に構成されており、その分解状態で固定部材217を下板328aから取り外すことにより、コイルばねSや超音波振動子10の交換などのメンテナンスを行うことができる。
【0126】
第1コネクタ383は、前後方向(矢印F-B方向)に延びる角筒状の本体部383aと、その本体部383aの後端側(中間部81側)に形成される位置決め部383gと、を備える。
【0127】
本体部383aの前端には継手部283dが一体に形成され、本体部383aの後端には位置決め部383gと共に継手部283eが一体に形成される。位置決め部383gには前後方向に延びる貫通孔383hが形成され、この貫通孔383hを介して継手部283eが本体部383aの内部に繋がっている。
【0128】
天板25aの上面には凹部325kが形成され、この凹部325kに直方体状の位置決め部383gが嵌め込まれる。これにより、水平方向における第1コネクタ383の変位が凹部325kと位置決め部383gとの引っ掛かりによって規制される。なお、この位置決め部383gの他にも、注出管308の中間部81及び先端部82(継手部283d,283e)の左右方向での変位を規制する壁が天板25aに形成されているが、図10(a)では、それらの壁の図示を省略している。
【0129】
本体部383aの上面からは、突起283fが上方に突出しており、この突起283fが超音波振動子10に接触する。よって、超音波振動子10の振動は、突起283fを介して本体部383aの上面に伝達される。突起283fに集中して伝達された超音波振動子10の振動により、本体部383aの上面を構成する板状の部位(第1板部)が振動し易くなる。これにより、第1コネクタ383(本体部383aの内部)を流れる飲料に超音波振動子10の振動が伝わり易くなるので、飲料の泡を効率良く生成できる。
【0130】
筐体2に超音波振動子10を固定するための固定部材217及びコイルばねSにより、突起283fが超音波振動子10側に押し付けられるので、超音波振動子10や第1コネクタ383の振動時に、超音波振動子10と突起283fとの接触状態が維持され易くなる。これにより、超音波振動子10の振動が突起283fを介して本体部383aの上面(第1板部)に伝達され易くなるので、飲料の泡を効率良く生成できる。
【0131】
本体部383aの上面(第1板部)は、上面視において前後方向に延びる長方形状に形成される一方、突起283fも同様に、前後方向に延びる長方形状に形成される(図10(b)参照)。そして、本体部383aの上面の中央に1つの突起283fが形成されるので、突起283fを介した超音波振動子10の振動を本体部383aの上面の中央の一点に伝達できる。これにより、本体部383aの上面の振動の腹となる部分に超音波振動子10の振動を効率良く伝達できるので、本体部383aの上面の全体が振動し易くなる。
【0132】
なお、図示は省略するが、蓋328を開放させて天板25aの上面を露出させた場合には、注出管308の基端部80(図8参照)、中間部81、先端部82、第1コネクタ383、及び第2コネクタ284(図8参照)の各管を筐体2に対して着脱できる。よって、それらの各管を取り外して洗浄したり、交換したりすることができるので、注出管308のメンテナンスを容易にできる。
【0133】
以上、上記実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0134】
上記各実施形態では、飲料容器Cがビール缶であり、飲料Bがビールである場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、飲料容器Cは、ビールサーバー1に専用に作られた容器であっても良いし、他の公知の容器(ボトル)であっても良い。また、飲料Bは、発泡酒(発泡性酒類)などの他の発泡性飲料でも良いし、発泡性を有さない飲料であっても良い。
【0135】
上記各実施形態では、前壁24にギヤボックス14が固定される場合や、前壁24(背面板41)よりも前方側に突出する側壁21が設けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ギヤボックスは、側壁21や仕切壁26に固定しても良いし、側壁21を省略する構成でも良い。
【0136】
上記各実施形態では、前壁24が対面部24a、屈曲部24b、及び連結部24cを備える場合、即ち、屈曲部24b及び連結部24cの段差によって背面板41の変位を受け入れる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、前壁24の屈曲部24b及び連結部24cを省略して対面部24aのみから構成する(対面部24aを上方に延長して上板22に連結する)でも良い。この構成の場合には、アーム42を延長して背面板41と前壁24との対向間隔を広げ、背面板41の回転に前壁24(対面部24a)が干渉しないようにすれば良い。
【0137】
上記各実施形態では、前壁24の後方側の空間Sにアーム42を挿入し、その挿入部分に回転軸43を固定する場合、即ち回転軸43が筐体2の内部に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転軸43は、筐体2の外部に露出する構成でも良い。
【0138】
上記各実施形態では、一対のアーム42の内側に位置する回転軸43に減速ギヤ44が固定され、その減速ギヤ44にモータ13からの駆動力が付与される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転軸43をアーム42よりも左右方向外側(側壁21側)に突出させ、その突出部分に固定した減速ギヤ44にモータ13からの駆動力を付与する構成でも良い。
【0139】
上記各実施形態では、ギヤボックス14の側板143(貫通孔144)に回転軸43が支持される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転軸43を回転可能に支持(軸支)するための支持部を別途(ギヤボックス14とは別個に)設ける構成でも良い。このような支持部の一例としては、前壁24(対面部24a)又は仕切壁26のいずれか一方または両方から前後に延びる壁を設け、その壁に回転軸43を挿入するための孔を形成する構成が例示される。
【0140】
上記各実施形態では、回転軸43よりも後方側に突出する突出部42aをアーム42に設け、その突出部42aがリミットスイッチ15a,15bに接触する(スイッチをONする)ことにより、支持台4の初期状態および傾斜状態を検出する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転軸43よりも前方側に位置するアーム42にリミットスイッチ15a,15bを接触させる構成でも良い。即ち、支持台4と共に回転する部位にリミットスイッチ15a,15bを接触させる構成であれば支持台4の回転を検出できるので、リミットスイッチ15a,15bを接触させる支持台4の部位(即ちリミットスイッチ15a,15bの配置)は上記の形態に限定されるものではない。
【0141】
また、リミットスイッチ15a,15bではなく、モータ13をサーボモータのような回転量(位置)を検出できるものから構成しても良い。即ち、支持台4の回転角度を検出するための手段は他の公知の手段であっても良く、上記の形態に限定されるものではない。
【0142】
上記各実施形態では、左右一対のアーム42のうち、一方のアーム42(突出部42a)の変位をリミットスイッチ15a,15bで検出する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、左右一対のアーム42の各々に突出部42aを設け、それら一対の突出部42aの各々の変位をリミットスイッチ15a,15bで検出する構成でも良い。
【0143】
上記各実施形態では、仕切壁26から前方側に突出する固定板27にリミットスイッチ15a,15bを固定する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、側壁21(外板21a)にリミットスイッチ15a,15bを固定しても良い。
【0144】
上記各実施形態では、左右一対のアーム42が回転軸43で連結される(回転軸43が一対のアーム42に架け渡される)場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、一対のアーム42の各々に別個の回転軸を設ける(例えば、回転軸43が分断されている)構成でも良い。この構成の場合には、左右一対のアーム42の回転軸の少なくとも一方にモータ13からの駆動力を付与すれば良い。
【0145】
上記各実施形態では、左右一対のアーム42に固定される回転軸43回りに支持台4が回転する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、アーム42を省略して背面板41の側面から回転軸を突出させ、その回転軸を軸支する貫通孔を側壁21の内板21bに設ける構成でも良い。この構成の場合には、該回転軸を外板21aと内板21bとの間の空間に突出させると共に、その突出部分にモータ13(外板21aと内板21bとの間の空間に配置したもの)からの駆動力を付与すれば良い。外板21aと内板21bとの間の空間が狭い場合には、モータ13を配置できる程度に広げれば良い。
【0146】
上記各実施形態では、回転軸43に固定された減速ギヤ44とモータ13のギヤ130との噛み合わせによって回転軸43に駆動力が直接伝達される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ベルト及びプーリを用いてモータ13の駆動力を回転軸43に直接伝達する構成でも良いし、モータ13の出力軸をアーム42(突出部42a)に直接固定する構成でも良い。即ち、支持台4を押し上げるアクチュエータのような変位部材を使用することなく、支持台4の回転軸43にモータ13の駆動力を直接付与できる構成であれば、上記の形態に限定されるものではない。
【0147】
上記各実施形態では、モータ13のギヤ130の歯数が減速ギヤ44の歯数よりも少ない場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ギヤ130の歯数が減速ギヤ44の歯数と同一またはそれよりも少ない構成でも良い。
【0148】
上記各実施形態では、ギヤボックス14の背面側に設けられる仕切壁26が収容部5側の空間とギヤボックス14側の空間Sとを区画する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、仕切壁26を省略しても良い。
【0149】
上記各実施形態では、収容部5に空気を供給する供給手段の一例としてポンプ7を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、収容部5を加圧手段は、コンプレッサ等の他の公知の構成を採用できる。
【0150】
上記各実施形態では、スイッチ11が押された時に飲料の自動注出が実行される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、スイッチ11を省略すると共に、スイッチ11に相当する操作ボタンをタッチパネル式の液晶表示装置(収容ケース25の前面板25cに設けられるもの)に設け、その操作ボタンが押された時に飲料の自動注出を実行する構成でも良い。
【0151】
上記第各実施形態では、振動体の一例として超音波振動子10を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、振動体として圧電素子を用いても良い。即ち、注出管2,208,308(第1コネクタ283,383)を通過する飲料に泡を生成させることができるものであれば、他の公知の振動体を用いることができる。
【0152】
上記第2,3実施形態では、注出管208,308の基端部80、中間部81、先端部82、第1コネクタ283,383、及び第2コネクタ284の各管が収容ケース25(筐体2)の天板25a(取付部)に着脱可能である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、注出管208,308の各管の一部または全部を筐体2の内部に配置し、該注出管208,308の一部または全部がユーザによって実質的に着脱不能になっている構成でも良いし、注出管208,308の一部が筐体2の前面に取り付けられる(筐体2の前面に露出している)。
【0153】
上記第2,3実施形態では、第1コネクタ283,383が注出管208,308の中間部81及び先端部82の間に設けられる場合、即ち、第1コネクタ283,383内での飲料の流れの方向(硬質管の板部283cの板面)が水平方向に沿っている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1コネクタ283,383に相当する構成を注出管208,383の基端部80に設ける構成、即ち、第1コネクタ283,383内での飲料の流れの方向が鉛直方向に沿っている構成でも良い。また、例えば、第1コネクタ283,383内での飲料の流れの方向が水平方向に対して傾斜していても良い。
【0154】
上記第2,3実施形態では、注出管208,308が第2コネクタ284を備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2コネクタ284を省略し、注出管208,308の基端部80及び中間部81を一体に形成しても良い。
【0155】
上記第2,3実施形態では、板部283cの中央や本体部383aの上面の中央に1つの突起283fが形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、板部283cや本体部383aの上面に複数の突起283fを形成しても良いし、板部283cの中央から偏心した位置に突起283fを形成しても良い。
【0156】
上記第2,3実施形態では、突起283fの外形(断面形状)が円形や矩形である場合を説明したが、必ずしもこれに限れるものではない。突起283fの外形は、楕円形や他の多角形状であっても良い。
【0157】
上記第2,3実施形態では説明を省略したが、第2実施形態のビールサーバー201は、第1実施形態のビールサーバー1の開閉アーム9に係る構成が省略されている。但し、第2実施形態のビールサーバー201に開閉アーム9を設けることは当然可能である。
【0158】
上記第2実施形態では説明を省略したが、円板状の板部283cの中央の一点に超音波振動子10の振動を伝達する場合には、板部283cの外面の面積(第1板部を板厚方向で視た時の面積)に占める突起283fの面積の割合が5%以上40%以下である(突起283fの直径を板部283cの直径の5%以上40%以下にする)ことが好ましく、板部283cの外面の面積に占める突起283fの面積の割合が10%以上35%以下であることがより好ましい。このような大きさの突起283fを形成することにより、超音波振動子10の振動を板部283cの一部の領域に適切に伝達できる。
【0159】
また、第3実施形態においても同様に、本体部383aの上面の面積に占める突起283fの面積の割合が5%以上40%以下であることが好ましく、本体部383aの上面の面積に占める突起283fの面積の割合が10%以上35%以下であることがより好ましい。これにより、超音波振動子10の振動を本体部383aの上面の一部の領域に適切に伝達できる。
【0160】
上記第2実施形態では、突起283fが第1コネクタ283の下面に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、突起283fを第1コネクタ283の側面や上面に形成し、その突起283fに超音波振動子10を接触させても良い。第3実施形態においても同様である。
【0161】
上記第2実施形態では、第1コネクタ283が筒状の本体部283aと、その本体部283aの上下の両面を閉塞する平板状の板部283b,283cと、本体部283aの外周面から突出する一対の継手部283d,283eとを備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、本体部283aが第3実施形態の本体部383aように角筒状に形成されていても良いし、板部283b,283c(本体部383aの上下の面を構成する部位)が平板状ではなく、例えば、板部283b,283c一部の厚みが他の部位の厚みよりも厚く形成されていても良い。また、継手部283d,283eの一方または両方を省略し、本体部283a,383aに形成した貫通孔に注出管208の中間部81や先端部82を単に挿入する構成でも良い。また、他の公知の継手によって本体部283a,383aと中間部81及び先端部82とを接続しても良い。
【0162】
即ち、突起283fが形成される硬質管の一例として第1コネクタ283,383の構成を例示したが、軟質管(中間部81や先端部82)よりも硬質な硬質管に突起283fを形成する構成であれば、硬質管の形態は上記の第1コネクタ283,383に限定されるものではない。
【0163】
上記第2実施形態では、板部283bの板厚よりも板部283cの板厚が薄い場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、板部283cの板厚は、板部283bの板厚と同一に(又はそれよりも厚く)形成されていても良い。
【0164】
上記第2実施形態では、収容ケース25(筐体2)の天板25aに注出管208(第1コネクタ283)を固定する手段の一例として、固定部材217をねじ止めする方法を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、固定部材217の左右方向の一端側を天板25aに軸支する一方、他端側をラッチなどによって天板25aに固定可能に構成し、注出管208を天板25aに固定する状態と、その固定状態を解除する状態とに固定部材217を開閉可能に設けても良い。
【0165】
また、固定部材217のように注出管208を上方から押さえ付けて固定するのではなく、例えば、C形の切り割り部分からの注出管208の挿入が可能なクリップ等を天板25aの上面(凹部225gの底面)に設けても良い。即ち、注出管208を天板25aに固定する手段は、他の公知の手段を適用できる。
【0166】
上記第2実施形態では、天板25aに形成した第1~第5凹部225g1~225g5(凹部225g)に注出管208の各管や固定部材217が収納され、挿入穴225hの内部に超音波振動子10が収納される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1~第5凹部225g1~225g5(凹部225g)や挿入穴225hを省略し、固定部材217、注出管208の各管、及び超音波振動子10の一部または全部が天板25aの上面に露出していても良い。
【0167】
上記第2実施形態では、天板25aを貫通する挿入穴225hに超音波振動子10が挿入される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、天板25aに形成した凹部(貫通孔ではない挿入穴)に超音波振動子10を収納しても良い。
【符号の説明】
【0168】
1,201 ビールサーバー(飲料サーバー)
2 筐体
24 前壁
26 仕切壁
27 固定板(固定部)
4 支持台
42 アーム
42a 突出部
43 回転軸
44 減速ギヤ(第1ギヤ)
5 収容部
7 ポンプ(供給手段)
8,208 注出管
13 モータ(駆動手段)
130 ギヤ(第2ギヤ)
14 ギヤボックス
143 側板(側壁)
144 貫通孔
15a,15b リミットスイッチ
C 飲料容器
G グラス(飲用容器)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10