(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102264
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】寝姿勢データ処理装置、寝具製造装置、寝具選択装置、寝姿勢データ処理方法、コンピュータプログラム及び寝具データ処理装置
(51)【国際特許分類】
A47C 31/12 20060101AFI20230714BHJP
A47G 9/10 20060101ALI20230714BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A47C31/12
A47G9/10 Z
A61B5/107 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195091
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2022002456
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】597014741
【氏名又は名称】ネムール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕樹
【テーマコード(参考)】
3B102
4C038
【Fターム(参考)】
3B102AC00
4C038VA03
4C038VA04
4C038VB29
4C038VB36
4C038VC01
4C038VC05
(57)【要約】
【課題】ユーザが寝具を取得する前に寝具の情報をユーザに提供することができる寝姿勢
データ処理装置、寝具製造装置、寝具選択装置、寝姿勢データ処理方法、コンピュータプ
ログラム及び寝具データ処理装置を提供する。
【解決手段】寝姿勢データ処理装置は、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像デ
ータを取得する取得部と、前記取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、人体の
寝姿勢を示す寝姿勢データを生成する生成部と、前記寝姿勢データに対応する寝具の情報
を表示部に出力する出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する取得部と、
前記取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成する生成部と、
前記寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部に出力する出力部と
を備える寝姿勢データ処理装置。
【請求項2】
前記取得部にて取得された前記撮像データと、予め記憶され、人体の体表面形状全体を示す複数の異なる蓄積データそれぞれとの類似度を演算する類似度演算部と、
前記類似度演算部にて演算された類似度に応じて少なくとも一つの前記蓄積データを選択する選択部と
を備え、
前記生成部は、選択された前記蓄積データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成する
請求項1に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項3】
前記撮像データは、人体の立位又は座位における少なくとも一部の体表面形状に係るデータである
請求項1又は2に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項4】
前記蓄積データは、立位における人体の胸部背面の第1頂点及び臀部背面の第2頂点を結んだ基準線と、前記第1頂点及び第2頂点の間において正面に向けて突出するように湾曲した人体の背面の曲面の第1頂点との間の第1距離を含み、
前記寝姿勢データは、寝姿勢における前記第1頂点及び第2頂点の間において、正面に向けて突出するように湾曲した人体背面の曲面の第2頂点と前記基準線との間の第2距離を含み、
前記生成部は、前記第1距離に基づいて、前記第2距離を演算し、
前記出力部は、前記第2距離に対応する前記寝具の情報を前記表示部に出力する
請求項2に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項5】
前記寝具はマットレスを含み、
身長、体重及びBMIの少なくとも二つを取得する第2取得部と、
該第2取得部にて取得された身長、体重及びBMIの少なくとも二つに基づいて前記マットレスの硬さを演算する硬さ演算部と
を備え、
前記出力部は、前記硬さ演算部にて演算された硬さに基づいて、前記マットレスの情報を前記表示部に表示する
請求項1又は2に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項6】
前記寝具は枕を含み、
前記硬さ演算部にて演算された硬さに基づいて、前記枕の高さを演算する高さ演算部を備え、
前記出力部は、前記高さ演算部にて演算された高さに基づいて、前記枕の情報を前記表示部に表示する
請求項5に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項7】
人体に作用する圧力を取得する第3取得部を備え、
前記複数の蓄積データは前記圧力に紐づけられており、
前記類似度演算部は、前記第3取得部にて取得された前記圧力に基づいて、前記撮像データと前記複数の蓄積データそれぞれとの類似度を演算する
請求項2に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の前記寝姿勢データ処理装置によって生成された前記寝姿勢データに基づいて、寝具を製造する
寝具製造装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の前記寝姿勢データ処理装置によって生成された前記寝姿勢データに基づいて、複数の寝具から少なくとも一つの前記寝具を選択する
寝具選択装置。
【請求項10】
人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、
取得された前記撮像データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成し、
前記寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部に出力する
寝姿勢データ処理方法。
【請求項11】
人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、
取得された前記撮像データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成し、
前記寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部に出力する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、 マットレスの硬さと、枕の高さとを教師データに使用し、撮像データ及びアンケートの回答を入力した場合に、マットレスの硬さ及び枕の高さを出力する学習モデルに、前記撮像データ取得部にて取得した前記撮像データ及び前記アンケートの回答を入力して前記マットレスの硬さ及び前記枕の高さを取得する情報取得部と、
前記情報取得部にて取得された前記硬さ及び高さに対応する前記マットレス及び枕の情報を表示部に出力する出力部と
を備える寝具データ処理装置。
【請求項13】
前記類似度演算部は、人体の少なくとも一部における正面若しくは左右側面の輪郭線の一致割合、又は人体の少なくとも一部における正面若しくは左右側面の投影面積の一致割合に基づいて、前記類似度を演算する
請求項2に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項14】
前記第2距離は前記第1距離の3/4以下である
請求項4に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項15】
前記第2距離は前記第1距離の1/3~1/2である
請求項14に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項16】
前記硬さ演算部は、
予め定められ、身長及び体重に基づく複数の体型に対応し、身長に対する横幅の割合と、前記身長との積を演算して横幅を演算し、
演算された横幅及び身長に基づいて体表面積を演算し、
演算された体表面積と体重とに基づいて、人体に作用する圧力を演算し、
演算された圧力に基づいて、マットレスの硬さを演算する
請求項5に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項17】
前記高さ演算部は、前記硬さ演算部にて演算された硬さが柔らかくなるに従って、高くなり、前記硬さ演算部にて演算された硬さが硬くなるに従って、低くなるように演算する
請求項6に記載の寝姿勢データ処理装置。
【請求項18】
前記硬さ演算部は、前記マットレスの第1部位の硬さを演算する特定部位演算部を有し、
前記第1部位の硬さと、前記第1部位以外の前記マットレスの第2部位の硬さとの差分を示すテーブルが予め記憶され、
前記特定部位演算部にて演算された前記第1部位の硬さを前記テーブルに適用して、前記第2部位の硬さを求め、
前記出力部は、前記第1部位及び前記第2部位の硬さに基づいて、前記マットレスの情報を前記表示部に出力する
請求項5に記載の寝姿勢データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、人体の少なくとも一部の体表面形状に係るデータに基づいて、寝具の情報を表示部に出力する寝姿勢データ処理装置、寝具製造装置、寝具選択装置、寝姿勢データ処理方法、コンピュータプログラム及び寝具データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の体表面形状を測定して、測定データを取得し、該測定データに基づいて枕を製造する装置が提案されている。人体の体表面形状の測定時には、被測定者は横になり、被測定者の姿勢が寝姿勢となる。そのため、寝姿勢を反映した枕を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記製造装置においては、製造される枕の情報は製造前にユーザに提供されない。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが寝具を取得する前に寝具の情報をユーザに提供することができる寝姿勢データ処理装置、寝具製造装置、寝具選択装置、寝姿勢データ処理方法、コンピュータプログラム及び寝具データ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る寝姿勢データ処理装置は、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する取得部と、前記取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成する生成部と、前記寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部に出力する出力部とを備える。
【0007】
本開示の一実施形態においては、寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部に出力するので、寝具を取得する前に、ユーザは寝具の情報を得る。
【0008】
本開示の一実施形態に係る寝姿勢データ処理装置は、前記取得部にて取得された前記撮像データと、予め記憶され、人体の体表面形状全体を示す複数の異なる蓄積データそれぞれとの類似度を演算する類似度演算部と、前記類似度演算部にて演算された類似度に応じて少なくとも一つの前記蓄積データを選択する選択部とを備え、前記生成部は、選択された前記蓄積データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成する。
【0009】
本開示の一実施形態においては、撮像データと、人体の体表面形状全体を示す複数の異なる蓄積データとを比較し、類似度の高い少なくとも一つの蓄積データを選択し、選択された蓄積データに基づいて、寝姿勢を示すデータを生成する。
【0010】
本開示の一実施形態に係る寝姿勢データ処理装置は、前記撮像データは、人体の立位又は座位における少なくとも一部の体表面形状に係るデータである。
【0011】
本開示の一実施形態においては、撮像データの生成のために人体を寝かす手間が無くなる。
【0012】
本開示の一実施形態に係る寝姿勢データ処理装置は、前記蓄積データは、立位における人体の胸部背面の第1頂点及び臀部背面の第2頂点を結んだ基準線と、前記第1頂点及び第2頂点の間において正面に向けて突出するように湾曲した人体の背面の曲面の第1頂点との間の第1距離を含み、前記寝姿勢データは、寝姿勢における前記第1頂点及び第2頂点の間において、正面に向けて突出するように湾曲した人体背面の曲面の第2頂点と前記基準線との間の第2距離を含み、前記生成部は、前記第1距離に基づいて、前記第2距離を演算し、前記出力部は、前記第2距離に対応する前記寝具の情報を前記表示部に出力する。
【0013】
本開示の一実施形態においては、第1距離に基づいて適切な第2距離を演算する。第2距離に対応する寝具は人体をリラックスさせることができる。即ち、人体をリラックスさせることができる寝具の情報をユーザに提供することができる。
【0014】
本開示の一実施形態に係る寝姿勢データ処理装置は、前記寝具はマットレスを含み、身長、体重及びBMIの少なくとも二つを取得する第2取得部と、該第2取得部にて取得された身長、体重及びBMIの少なくとも二つに基づいて前記マットレスの硬さを演算する硬さ演算部とを備え、前記出力部は、前記硬さ演算部にて演算された硬さに基づいて、前記マットレスの情報を前記表示部に表示する。
【0015】
本開示の一実施形態においては、快適な硬さのマットレスの情報をユーザに提供する。
【0016】
本開示の一実施形態に係る寝姿勢データ処理装置は、前記寝具は枕を含み、前記硬さ演算部にて演算された硬さに基づいて、前記枕の高さを演算する高さ演算部を備え、前記出力部は、前記高さ演算部にて演算された高さに基づいて、前記枕の情報を前記表示部に表示する。
【0017】
本開示の一実施形態においては、マットレスの硬さに対応した高さを演算し、演算した高さを有する枕の情報をユーザに提供する。
【0018】
本開示の一実施形態に係る寝姿勢データ処理装置は、人体に作用する圧力を取得する第3取得部を備え、前記複数の蓄積データは前記圧力に紐づけられており、前記類似度演算部は、前記第3取得部にて取得された前記圧力に基づいて、前記撮像データと前記複数の蓄積データそれぞれとの類似度を演算する。
【0019】
本開示の一実施形態においては、人体に作用する圧力に基づいて、撮像データと複数の蓄積データそれぞれとの類似度を演算する。
【0020】
本開示の一実施形態に係る寝具製造装置は、前記寝姿勢データ処理装置によって生成された前記寝姿勢データに基づいて、寝具を製造する。
【0021】
本開示の一実施形態においては、寝姿勢データに基づいて、寝具を製造する。
【0022】
本開示の一実施形態に係る寝具選択装置は、前記寝姿勢データ処理装置によって生成された前記寝姿勢データに基づいて、複数の寝具から少なくとも一つの前記寝具を選択する。
【0023】
本開示の一実施形態においては、寝姿勢データに基づいて、複数の寝具から少なくとも一つの寝具を選択する。
【0024】
本開示の一実施形態に係る寝姿勢データ処理方法は、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、取得された前記撮像データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成し、前記寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部に出力する。
【0025】
本開示の一実施形態においては、寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部に出力するので、寝具を取得する前に、ユーザは寝具の情報を得る。
【0026】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、取得された前記撮像データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成し、前記寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部に出力する処理をコンピュータに実行させる。
【0027】
本開示の一実施形態においては、寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部に出力す
るので、寝具を取得する前に、ユーザは寝具の情報を得る。
【0028】
本開示の一実施形態に係る寝具データ処理装置は、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、マットレスの硬さと、枕の高さとを教師データに使用し、撮像データ及びアンケートの回答を入力した場合に、マットレスの硬さ及び枕の高さを出力する学習モデルに、前記撮像データ取得部にて取得した前記撮像データ及び前記アンケートの回答を入力して前記マットレスの硬さ及び前記枕の高さを取得する情報取得部と、前記情報取得部にて取得された前記硬さ及び高さに対応する前記マットレス及び枕の情報を表示部に出力する出力部とを備える。
【0029】
本開示の一実施形態においては、寝具を取得する前に、撮像データ及びアンケート結果に基づいて、ユーザはマットレス及び枕の情報を得る。
【0030】
本開示の一実施形態に係る寝具データ処理装置は、前記類似度演算部は、人体の少なくとも一部における正面若しくは左右側面の輪郭線の一致割合、又は人体の少なくとも一部における正面若しくは左右側面の投影面積の一致割合に基づいて、前記類似度を演算する。
【0031】
本開示の一実施形態においては、輪郭線又は投影面積の一致割合に基づいて、類似度を演算する。
【0032】
本開示の一実施形態に係る寝具データ処理装置は、前記第2距離は前記第1距離の3/4以下である。
【0033】
本開示の一実施形態においては、第2距離の演算を実現する。
【0034】
本開示の一実施形態に係る寝具データ処理装置は、前記第2距離は前記第1距離の1/3~1/2である。
【0035】
本開示の一実施形態においては、第2距離の演算を実現する。
【0036】
本開示の一実施形態に係る寝具データ処理装置は、前記硬さ演算部は、予め定められ、身長及び体重に基づく複数の体型に対応し、身長に対する横幅の割合と、前記身長との積を演算して横幅を演算し、演算された横幅及び身長に基づいて体表面積を演算し、演算された体表面積と体重とに基づいて、人体に作用する圧力を演算し、演算された圧力に基づいて、マットレスの硬さを演算する。
【0037】
本開示の一実施形態においては、マットレスの硬さの演算を実現する。
【0038】
本開示の一実施形態に係る寝具データ処理装置は、前記高さ演算部は、前記硬さ演算部にて演算された硬さが柔らかくなるに従って、高くなり、前記硬さ演算部にて演算された硬さが硬くなるに従って、低くなるように演算する。
【0039】
本開示の一実施形態においては、枕の高さの演算を実現する。
【0040】
本開示の一実施形態に係る寝具データ処理装置は、前記硬さ演算部は、前記マットレスの第1部位の硬さを演算する特定部位演算部を有し、前記第1部位の硬さと、前記第1部位以外の前記マットレスの第2部位の硬さとの差分を示すテーブルが予め記憶され、前記特定部位演算部にて演算された前記第1部位の硬さを前記テーブルに適用して、前記第2部位の硬さを求め、前記出力部は、前記第1部位及び前記第2部位の硬さに基づいて、前記マットレスの情報を前記表示部に出力する。
【0041】
本開示の一実施形態においては、マットレスの複数の部位それぞれの硬さを演算し、演算された硬さを反映したマットレスの情報をユーザに提供することができる。
【発明の効果】
【0042】
本開示の一実施形態に係る寝姿勢データ処理装置、寝具製造装置、寝具選択装置、寝姿勢データ処理方法、コンピュータプログラム及び寝具データ処理装置にあっては、寝具を取得する前に、ユーザは寝具の情報を得る。そのため、ユーザは、寝具が自分の好みのものであるか否か事前に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】実施の形態1に係る寝具選択装置のブロック図である。
【
図2】撮像部による撮像データの取得を説明する説明図である。
【
図3】撮像データと複数の蓄積データとの類似度の演算を説明する説明図である。
【
図4】寝姿勢における距離Yを説明する説明図である。
【
図6】体圧とマットレスの硬さとの関係を示すグラフである。
【
図7】マットレスの硬さと枕の高さとの関係を示すグラフである。
【
図8】CPUによる寝具選択処理を説明するフローチャートである。
【
図9】実施の形態2に係る寝具選択装置のブロック図である。
【
図11】CPUによる寝具選択処理を説明するフローチャートである。
【
図12】実施の形態3に係る寝具製造装置のブロック図である。
【
図13】実施の形態4に係るCPUによる寝具選択処理を説明するフローチャートである。
【
図14】実施の形態5に係る学習モデルの一例を示す模式図である。
【
図15】実施の形態6に係る寝具選択装置のブロック図である。
【
図16】実施の形態7に係るマットレスの部位を示す模式図である。
【
図17】各姿勢におけるマットレスの各部位の硬さを示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る寝具選択装置を示す図面に基づいて説明する。
図1は、寝具選択装置のブロック図である。寝具選択装置は、制御装置1、操作部2、撮像部3、検索部4及び表示部5を備える。制御装置1は、CPU1a、RAM1b、記憶部1c及びインタフェース部(I/F部)1dを備える。CPU1a、RAM1b、記憶部1c及びI/F部1dはバスを介して相互に接続されている。
【0045】
CPU1aは制御部の一例であり、CPU1aに代えてロジック回路、例えばFPGAを使用してもよい。操作部2は、キーボード、マウス又はスイッチ等を有する。表示部5は表示画面を有する。I/F部1dを介して、操作部2、撮像部3及び検索部4から情報が制御装置1に入力される。
【0046】
図2は、撮像部3による撮像データの取得を説明する説明図である。撮像部3は、例えば3Dスキャナ又はカメラ等を備える。なお撮像には、3Dスキャナを使用することが望ましい。カメラを使用する場合に比べて、撮像精度を向上させることができるからである。撮像部3によって、ユーザ(人体)の少なくとも一部が撮像される。例えば、上半身、胴体、下半身又は全身等が撮像される。撮像部3は、ユーザの立位における少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する。なお
図2において、ユーザの姿勢は立位であるが、座位でもよく、撮像部3は、座位における少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得してもよい。カメラによる撮像の場合、例えば前後左右それぞれの方向からユーザを撮像する。例えば、CPU1aはI/F部1dを介して撮像部3から撮像データを取得し、記憶部1cに記憶する。I/F部1dを介して撮像部3から撮像データを取得するCPU1aは取得部を構成する。
【0047】
ユーザは撮像を行う前又は後に、撮像した部位を示す部位情報を、操作部2を介して制御装置1に入力する。例えば、「全体」、「上半身」、「臀部」等が入力される。入力された部位情報は、撮像データに紐づけられ、撮像データと共に記憶部1cに記憶される。
【0048】
部位情報の入力方法は、後述の蓄積データを活用してもよい。例えば各蓄積データに基づいて部位ごとに距離を演算し、演算した距離と、全体を撮像した撮像データとに基づいて、部位を入力してもよい。例えば、頭頂部から首の付け根までの距離を「頭部」の長さと定義した場合、各蓄積データにおいて、「頭部」の距離が身長全体に占める割合を演算し、演算された各割合の平均値を演算する。全体を撮像した撮像データに対して、頭頂部からの距離について、前記割合の平均値を適用する。適用して得られた距離に対応する撮像データの部分を「頭部」の撮像データとして記憶する。「上半身」についても同様である。「臀部」については、例えば各蓄積データにおいて、頭頂部から臀部上端までの距離が身長全体に占める割合を演算し、演算された各割合の平均値(第1平均値)を演算する。また各蓄積データにおいて、足先から臀部下端までの距離が身長全体に占める割合を演算し、演算された各割合の平均値(第2平均値)を演算する。全体を撮像した撮像データに対して、頭頂部からの距離について、前記第1平均値を適用する。また全体を撮像した撮像データに対して、足先からの距離について、前記第2平均値を適用する。第1平均値を適用して得られた距離と、第2平均値を適用して得られた距離とを、身長全体から減算する。減算して得られた距離に対応する撮像データの部分を「腰部」の撮像データとして記憶する。また人種毎、国毎に取得している体型データ規格、例えばJISL0111、ISO3635、ISO7250などに沿って各部位を推定し、記憶してもよい。
【0049】
ユーザは撮像を行う前又は後に、生物学的な性別、身長、体重、BMI及び就寝開始時の姿勢(仰向き、横向き、うつ伏せ)等を、操作部2を介して制御装置1に入力する。入力された性別、身長、体重、BMI及び就寝開始時の姿勢は、撮像データに紐づけられ、撮像データと共に記憶部1cに記憶される。なお身長、体重及びBMIのいずれか二つを操作部2を介して制御装置1に入力し、CPU1aは、入力された身長、体重及びBMIのいずれか二つから残り一つを算出し、記憶部1cに記憶してもよい。
【0050】
記憶部1cには、立位における人体の体表面形状全体を示す複数の異なるデータ(蓄積データ)と、寝姿勢データの生成及び寝具の選択を実行するプログラム(プログラム製品)が記憶されている。各蓄積データに対して距離X(第1距離)、身長及び体重が紐づけられ、記憶部1cに記憶されている。記憶部1cには、種々の閾値が記憶されている。CPU1aはプログラムをRAM1bに読み出して寝姿勢データの生成処理及び寝具の選択処理を実行する。
【0051】
距離Xについて説明する。
図2に示すように、立位における人体の胸部背面の頂点A及び臀部背面の頂点Bを結んだ線をSとする。人体の背面において、頂点Aと頂点Bとの間の部分の表面は、正面に向けて突出するように円弧状に湾曲する。この円弧状に湾曲した曲面の頂点C1と線Sとの間の距離がXである。
【0052】
検索部4には、マット及び枕等の寝具を示す複数の寝具情報が記憶されている。寝具情報は、寝具の画像、寸法及び製造番号等を含む。検索部4は、制御装置1から製造番号を受信した場合、受信した製造番号に対応する寝具の画像、寸法等を制御装置1に送信する。制御装置1は、製造番号、寝具の画像、寸法等を表示部5に表示させる。
【0053】
寝姿勢データの生成処理について説明する。
図3は、撮像データと複数の蓄積データとの類似度の演算を説明する説明図である。
図3において、ハッチングにて示された部分は蓄積データの上半身部分を示し、撮像データに対応する部分を示す。
【0054】
例えば、
図3に示すように、CPU1aが撮像部3から人体の上半身を撮像した撮像データを取得した場合、CPU1aは撮像データに紐づけられた部位情報(本実施例では「上半身」)を参照する。なお上半身は一例であり、胴体、下半身、臀部又は全身等を撮像した撮像データを使用してもよい。複数の蓄積データそれぞれにおける上半身部分と、撮像データとを比較し、類似度を演算する。類似度としては、例えば上半身の正面若しくは左右側面の輪郭線の一致割合、又は上半身の正面若しくは左右側面の投影面積の一致割合が挙げられる。CPU1aは、類似度が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の一又は複数の蓄積データを抽出する。選択された蓄積データが複数ある場合、最も類似度の高い蓄積データを更に抽出する。例えば
図3に示すように、CPU1aは、選択された三つの蓄積データ101~103から、最も類似度の高い一つの蓄積データ101を抽出する。
【0055】
なお蓄積データに紐づけられた体重及び身長と、撮像データに紐づけられた体重及び/又は身長とを比較し、体重及び/又は身長の差が小さくなるに従って類似度が高くなるように、類似度を補正してもよい。また蓄積データの体重及び身長からBMIを算出し、撮像データの体重及び身長から算出されたBMIと、蓄積データの体重及び身長から算出されたBMIとの差が小さくなるに従って類似度が高くなるように、類似度を補正してもよい。
【0056】
図4は、寝姿勢における距離Yを説明する説明図である。寝姿勢(
図4においては仰向け)における人体の胸部背面の頂点A及び臀部背面の頂点Bの間の部分の表面は、正面に向けて突出するように円弧状に湾曲する。この円弧状に湾曲した曲面の頂点C2と線Sとの間の距離Y(第2距離)とする。距離Yが適切な距離になるようなマットレスを使用することによって、寝姿勢の人体をリラックスさせることができる。換言すれば、より深い睡眠を人体に与えることができる。寝姿勢の人体をリラックスさせることができる適切な距離Yは距離Xよりも小さい。例えば、適切な距離Yは、(3/4)*X以下であり、好ましくは(1/3)*X~(1/2)*Xである。即ち、Y=aXとし、係数aを3/4以下の適切な数値に設定することによって、XからYを求めることができる。制御装置1は、抽出された蓄積データに紐付いた距離Xから距離Yを算出する。
【0057】
就寝時にマットレスを使用する場合、適切な距離Yを保つ為には、マットレスの硬さが重要である。
図5は、マットレスの略示部分拡大側面図である。マットレス10は、例えば第1層11と、第1層11の下側に配置された第2層12と、第2層12の下側に配置された第3層13とを備える。第1層11は、人体が接触する部分である。第1層11の硬さは、人体の睡眠の深さにはほとんど影響しない。そのため、第1層11の硬さは、ユーザが官能的に満足できるものを選択すればよい。第3層は、第2層を平らに受けたまま上下することができる構造となっている。第3層13の硬さは、人体の睡眠の深さにはほとんど影響しない。そのため、第3層は、第2層を平らに受けたまま上下することができる構造を採用すれば足りる。
【0058】
第1層11及び第3層13の硬さに比べて、第2層12の硬さは人体の睡眠の深さに与える影響は大きい。以下に述べるマットレス10の硬さとは、主に第2層12の硬さをいう。なお距離Yが長くなるに従って、硬さがより柔らかくなるようなマットレス10を使用するとよい。距離Yが長くなるに従って、前述した人体背面の頂点A及び頂点Bに、マットレス10から、より大きな上向きの力が作用する。そのため、より柔らかいマットレス10を使用することによって、頂点A及び頂点Bに作用する圧力を低くし、人体の快適性を向上させることができる。
【0059】
なお第1層11、第2層12及び第3層13は、それぞれ、複数の層から構成されていてもよい。また上述の体型データ規格に基づいて、人体を各部位に区分けし、部位毎に素材を決定してもよい。同じ素材を複数の部位に使用する場合であっても、部位毎に硬さや表面形状を変更してもよい。即ち各部位に対応した各部品を組み合わせて作る特注品としてもよい。
【0060】
また線Sと後頭部との間の距離Dを適切な距離に保つことによって、寝姿勢の人体をリラックスさせることができる(
図4参照)。ここで距離Dは、マットレス10の上に人体が寝て、マットレス10が沈んで人体が落ち着いた状態にある場合における、線Sと後頭部との間の距離である。適切な距離Dは、6~8cm程度である。距離Dを適切な距離に保つためには、適切な高さの枕を使用する必要がある。
【0061】
図6は、体圧とマットレス10の硬さとの関係を示すグラフG1である。グラフG1において、右側に向かうに従ってマットレス10の硬さは、より硬くなる。グラフG1において、上側に向かうに従って体圧は大きくなる。
【0062】
グラフG1に示すように、体圧が大きくなるに従って、硬さがより柔らかくなるようなマットレス10を使用する必要がある。より柔らかいマットレス10を使用することによって、人体背面の体圧は分散され、人体の快適性を向上させることができる。体圧は、人体の体重を背面側の体表面積で除した値である。体表面積は、例えば、人体の背面を長方形に近似させて演算される。即ち、人体の身長と横幅との積が体表面積である。横幅は、身長、体重及びBMIの少なくとも二つに基づいて演算される。例えば、身長及び体重が設定されている場合、例えば、肥満型、普通型又は痩せ型の三つのタイプがわかる。肥満型、普通型及び痩せ型の各タイプに応じて、身長に対する横幅の割合を予め設定する。身長と前記割合の積を演算し、横幅が演算される。なお上述の体型データ規格を使用して、横幅を演算してもよい。
【0063】
BMIは身長及び体重に基づいて定まるので、BMI及び身長が予め設定されていれば、体重を求めることができる。BMI及び体重が予め設定されていれば、身長を求めることができる。即ち、身長及び体重が設定されている場合と同様にして、体圧を求めることができる。
【0064】
なお人体の一部に作用する体圧を求め、求めた体圧に基づいてマットレス10の硬さを求めてもよい。例えば腰部の体圧を求め、腰部の体圧に基づいてマットレス10の硬さを求めてもよい。寝姿勢における人体の体重に対する人体の各部の重さの割合(体重比)は測定によって、予め求められている。例えば腰部の体重比は体重の約44%である。人体の体重に腰部の体重比を乗算し、腰部の重さを算出する。また腰部の背面側面積を測定によって予め求める。算出された腰部の重さを測定された面積で除算し、腰部の体圧を算出することができる。算出された体圧に基づいてマットレス10の硬さを求める。腰部以外の部分の体圧を求める場合も同様である。
【0065】
なおマットレス10の形状に応じて、求めた体圧を補正してもよい。例えばマットレス10における体重が作用する部分の面積が小さくなるに従って、マットレス10をより柔らかくし、前記面積が大きくなるに従って、マットレス10をより硬くするように補正する。
【0066】
体重を面積で除算する場合、例えば正確に一人ずつ手作業で体の各部の面積を求めてもよいし、男女それぞれの面積の平均値を算出してもよい。また年代順に面積の平均値を出してもよいし、世代別に算出してもよい。人体の各部位における体重比を求める場合も、同様に手作業で求めてもよいし、男女それぞれの平均値、年代別又は世代別に求めてもよい。また体重を撮影画像各部位の表面積で割り各部位の体圧を出して、その体圧を支えるに適するマットレス10を決定してもよい。
【0067】
なお素材によって、体圧とマットレス10の硬さとの関係はグラフG1の逆の関係になることがある。例えば、ラテックス(ゴム系)材、即ち弾性力が大きい素材によってマットレス10が構成されている場合、体圧分散のために、グラフG1の関係が採用される。一方、例えばウレタン材、即ち弾性力が小さい素材によってマットレス10が構成されている場合、グラフG1の逆の関係が採用される。グラフG1の関係を採用した場合、頂点A及び頂点Bの間の部分がマットレス10に沈み、距離Yが適切な距離にならないからである。
【0068】
図7は、マットレス10の硬さと枕の高さとの関係を示すグラフG2である。グラフG2に示すように、マットレス10の硬さが硬くなるに従って、枕の高さが高くなる。マットレス10が硬い場合、胸部及び臀部はマットレス10に深く沈みにくい。即ち線Sの位置は上側に位置する。そのため、適切な距離Dを保つ為には、枕の高さは高くする必要がある。一方、マットレスが柔らかい場合、胸部及び臀部は全体的に深く沈みやすい。即ち、線Sの位置は下がる。そのため、適切な距離Dを保つ為には、枕の高さは低くする必要がある。なお枕の素材又は硬さを調整し、高さを調整することもできる。またマットレス10又は枕の中材の表面形状を調整し、柔らかさ・硬さを変更するのと同様な効果を生じさせてもよい。例えば中材の表面形状のうち人体に接する面の面積が小さくなるに従って、人体に作用する体圧が高くなり、ユーザは、より柔らかく感じる。即ち、同一素材から構成されるマットレス10の表面を加工し、人体が沈み込みやすい部分と、人体が沈み込み難い度部分とを形成し、柔らかさ・硬さを変更するのと同様な効果を生じさせてもよい。例えば、マットレス10の表面に形成した切り込みが多くなるに従って、人体が沈み込みやすくなり、切り込みが少なくなるに従って、人体が沈み込み難くなる。
【0069】
図8は、CPU1aによる寝具選択処理を説明するフローチャートである。CPU1aは、操作部2から開始指示が入力されたか否か判定する(S1)。開始指示が入力されていない場合(S1:NO)、CPU1aはステップS1に処理を戻す。開始指示が入力された場合(S1:YES)、CPU1aは撮像部3から撮像データを取得し(S2)、記憶部1cから蓄積データを一つ選択する(S3)。
【0070】
CPU1aは、撮像データが示す部位の体表面形状に対応する蓄積データの体表面形状を抽出し(S4)、抽出した蓄積データの体表面形状と撮像データの体表面形状との類似度を演算し、類似度が閾値以上であるか否か判定する(S5)。なお上述したように、体重、身長又はBMIに基づいて類似度を補正してもよい。類似度が閾値以上である場合(S5:YES)、CPU1aは選択した蓄積データを記憶部1cに記憶し(S6)、全ての蓄積データと撮像データとを比較したか否か判定する(S7)。ステップS5において、類似度が閾値以上でない場合(S5:NO)、即ち類似度が閾値未満である場合、CPU1aはステップS7に処理を進める。
【0071】
ステップS7において、全ての蓄積データと撮像データとを比較していない場合(S7:NO)、CPU1aはステップS3に処理を戻し、次の蓄積データを選択する(S3)。CPU1aは複数の蓄積データを順に選択する。ステップS7において、全ての蓄積データと撮像データとを比較した場合(S7:YES)、CPU1aは、類似度が閾値以上の蓄積データから最も類似度の高い蓄積データを選択する(S8)。
【0072】
CPU1aは、最も類似度の高い蓄積データに紐づけられた距離Xに基づいて、距離Yを演算する(S9)。距離Yは、例えば前述の式Y=aXによって演算される。CPU1aは、撮像データに紐づけられた身長、体重及びBMIの少なくとも二つを取得する(S10)。CPU1aは、身長、体重及びBMIの少なくとも二つに基づいて体圧を演算し、体圧をグラフG1に適用して、マットレス10の硬さを演算する(S11)。
【0073】
CPU1aは、マットレス10の硬さを検索部4に送信する(S12)。マットレス10の硬さを受信した検索部4は、マットレス10の硬さに対応する三つのマットレス10の製造番号、画像、寸法等を制御装置1に送信する。三つのマットレス10は、例えば受信したマットレス10の硬さに最も近い硬さのマットレス10、二番目に近い硬さのマットレス10及び三番目に近い硬さのマットレス10である。また検索部4は、三つのマットレス10それぞれに対応した三つの枕の製造番号、画像、寸法等を制御装置1に送信する。即ち検索部4は、寝姿勢データに基づいて、複数の寝具から少なくとも一つの寝具を選択する。
【0074】
CPU1aは、検索部4から、三つのマットレス10及び三つの枕に関する製造番号、画像、寸法等、即ち寝具情報を受信したか否か判定する(S13)。寝具情報を受信していない場合(S13:NO)、CPU1aはステップS13に処理を戻す。寝具情報を受信している場合(S13:YES)、CPU1aは、三つのマットレス10及び三つの枕に関する製造番号、画像、寸法等を表示部5に表示させる(S14)。CPU1aは、三つのマットレス10のいずれか一つと、三つの枕のいずれか一つとが選択されたか否か、即ち寝具が選択されたか否か判定する(S15)。ユーザは、三つのマットレス10のいずれか一つと、三つの枕のいずれか一つとを選択する。ユーザは、例えば、三つのマットレス10のサンプルの上に寝て、最も快適なマットレス10を選択する。
【0075】
制御装置1は、前述したように、マットレス10の硬さに基づいて、適切な枕の高さを演算する。制御装置は三つの枕、例えば演算した枕の高さに最も近い高さの第1枕、二番目に近い高さの第2枕及び三番目に近い高さの第3枕を決定し、第1枕、第2枕及び第3枕を表示部5に表示させる。ユーザは、第1枕、第2枕及び第3枕からいずれか一つを選択する。ユーザは、第1枕、第2枕及び第3枕のサンプルを試用して、最も快適な枕を選択する。
【0076】
なお制御装置1が自動的に枕を選択してもよい。例えば第1マットレスに対応した適切な高さの枕が第1枕であり、第2マットレスに対応した適切な高さの枕が第2枕であり、第3マットレスに対応した適切な高さの枕が第3枕である場合、第1マットレスが選択されれば、第1枕が自動的に選択され、第2マットレスが選択されれば、第2枕が自動的に選択され、第3マットレスが選択されれば、第3枕も自動的に選択される。即ちユーザが第1マットレス、第2マットレス又は第3マットレスのいずれかを選択すれば、第1枕、第2枕又は第3枕のいずれかが自動的に選択される。
【0077】
寝具が選択されていない場合(S15:NO)、CPU1aはステップS15に処理を戻す。寝具が選択された場合(S15:YES)、CPU1aは選択されたマットレス10の第1層11が選択されているか否か判定する(S16)。上述したように、第1層11の選択は、官能的に満足できるものをユーザが選択することによって実行される。第1層11が選択されていない場合(S16:NO)、CPU1aはステップS16に処理を戻す。第1層11が選択されている場合(S16:YES)、CPU1aは、マットレス10及び枕を決定し、決定されたマットレス10及び枕を表示部5に表示して(S17)、処理を終了する。なおCPU1aは、アンケート結果に基づいて、決定されたマットレス10及び枕の高さを調整するためのシーツカバー又は敷きパッド等を、マットレス10及び枕と共に表示部5に表示してもよい。
【0078】
例えば、寝具販売者は、決定されたマットレス10及び枕を倉庫からユーザに搬送させることができる。なおステップS16における第1層11の選択時に、枕の表層を併せて選択してもよい。
【0079】
実施の形態1においては、立位又は座位のユーザの撮像データに基づいて距離Xを演算し、距離Xに基づいて距離Yを演算して、寝具を選択している。例えば上記技術を、椅子を選択する装置に適用し、立位のユーザの撮像データに基づいて距離Xを演算し、座位のユーザの背中と椅子の背との間の距離Zを演算し、距離Zに基づいて椅子を選択してもよいし、寝姿勢のユーザの撮像データに基づいて距離Yを演算し、距離Yに基づいて距離Zを演算し、距離Zに基づいて椅子を選択してもよい。即ち、距離X、距離Y及び距離Zを互いに変換可能にし、寝具又は椅子の選択の際に利用してもよい。
【0080】
また距離Yに基づいて寝具が選択される場合に限定されず、寝姿勢における人体背面の任意の箇所と線Sとの間の距離に基づいて寝具が選択されてもよい。例えば、頸椎、胸椎、腰椎又は仙骨に対応する箇所と線Sとの間の距離に基づいて寝具が選択されてもよい。頸椎、胸椎、腰椎又は仙骨に対応する箇所と線Sとの間の距離は距離Xの約半分である。
【0081】
またユーザから予めアンケートを取り、アンケート結果に基づいて、表示部に表示する寝具を変更してもよい。アンケートの取り方は、アンケート用紙を使用し、ユーザが前記用紙に記入してもよいし、液晶画面又はタッチパネルを有する表示部にアンケート内容を表示し、ユーザがキーボード又はタッチパネルを操作して回答してもよい。例えば、アンケートにて筋肉量が多いとユーザが回答した場合、肩に対応する部分を他の部分よりも柔らかくしたマットレス10を表示部に表示してもよい。筋肉量が多いと回答したユーザにおいては、肩の筋肉量が他のユーザよりも多い傾向にある。肩に対応する部分を他の部分よりも柔らかくすることによって、肩に作用する圧力が分散され、ユーザの快適性が向上する。
【0082】
例えばアンケートにて猫背を治したいとユーザが回答した場合、肩及び腰それぞれに対応する部分を他の部分よりも硬くし、前記他の部分は、肩及び腰それぞれに対応する部分から離れるに従ってより柔らかくなるマットレス10を表示部に表示してもよい。肩及び腰それぞれに対応する部分を他の部分よりも硬くすることによって、寝姿勢において、背中が反り易くなる。即ち猫背の改善が期待できる。
【0083】
例えば、首や腰などの関節に対して例えば事故や経年劣化などによる損傷がある場合はユーザにアンケートで事前に回答しておいて貰ってもよい。例えば、タッチパネルに人体画像を表示させて、首に損傷があるユーザには人体画像の首又は首付近に表示されたボタンをタップして貰い、腰に損傷があるユーザには人体画像の腰又は腰付近に表示されたボタンをタップして貰う。アンケート結果に基づいて、寝姿勢データ処理装置は、首なら首、腰なら腰に負荷が作用し難い組み合わせの寝具の中から、ユーザの体表面形状に合う寝具を選択し、選択された寝具の情報を表示部に表示させてもよい。具体的には、寝姿勢データ処理装置は、首や腰などの負荷を作用させたくない関節以外の体の部位に体圧が作用する寝具を選択してもよく、又は負荷を作用させたくない部位以外の全ての部位にて体圧を分散して受け止められるように組み合わせた複数の寝具を選択してもよい。
【0084】
またユーザの好みに応じて表示部に表示する寝具を変更してもよい。例えば、通気性の度合、肌触り、素材に対するアレルギーの有無、枕の高さの度合、枕の硬さの度合等に関するアンケートの好みについて、ユーザが回答した場合、ユーザの好みに対応したマットレス10又は枕を表示部に表示してもよい。
【0085】
またユーザのBMIから体脂肪率を推定し、推定された体脂肪率に基づいて表示部に表示する寝具を変更してもよい。例えば、体脂肪率が基準値よりも高い場合、体脂肪率が基準値よりも低い場合に比べて、ユーザは寝返りしにくくなる傾向にある。そのため、体脂肪率が基準値よりも高い場合、より硬いマットレス10が表示部に表示される。マットレス10がより硬くなる、即ち弾性力がより大きくなると、ユーザは寝返りしやすくなり、ユーザの快適性の向上及び健康の増進が期待できる。なお体脂肪率が基準値よりも高い場合、肩及び腰の部分だけ、他の部分よりも柔らかくしてもよい。体脂肪率が基準値よりも高い場合、ユーザの体重は比較的重いと推測され、肩及び腰に作用する体圧が高くなりやすい。この場合、肩及び腰の部分だけ、他の部分よりも柔らかくすることによって、圧力が分散され、ユーザの快適性が向上する。
【0086】
またユーザの脂肪率が基準値よりも低く、且つ筋肉量が多い場合、ユーザの背中は反りやすく、寝姿勢において腰と肩に作用する体圧が高くなりやすい。この場合、肩及び腰の部分だけ、他の部分よりも柔らかくすることによって、圧力が分散され、ユーザの快適性が向上する。
【0087】
実施の形態1に係る寝具選択装置にあっては、寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部5に出力するので、寝具を取得する前に、ユーザは寝具の情報を得る。そのため、ユーザは、寝具が自分の好みのものであるか否か事前に確認することができる。
【0088】
また撮像データと、人体の体表面形状全体を示す複数の異なる蓄積データとを比較し、類似度の高い少なくとも一つの蓄積データを選択し、選択された蓄積データに基づいて、寝姿勢を示すデータを生成する。
【0089】
また撮像データは、人体の立位又は座位における少なくとも一部の体表面形状に係るデータであるので、撮像データの生成のために人体を寝かす手間が無くなる。
【0090】
また距離Xに基づいて適切な距離Yを演算する。距離Yに対応する寝具は人体をリラックスさせることができる。即ち、人体をリラックスさせることができる寝具の情報をユーザに提供することができる。
【0091】
また快適な硬さのマットレス10の情報をユーザに提供する。
【0092】
またマットレスの硬さに対応した高さを演算し、演算した高さを有する枕の情報をユーザに提供する。
【0093】
実施の形態1においては、人体の立位又は座位における少なくとも一部の体表面形状に係るデータを撮像データとしていたが、寝姿勢の人体における少なくとも一部の体表面形状を撮像してもよい。
【0094】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る寝具選択装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9は、寝具選択装置のブロック図である。実施の形態2に係る寝具選択装置は体圧測定部6を備える。
【0095】
図10は、体圧測定部6の略示側面図である。体圧測定部6はベッド型の装置であり、ユーザは体圧測定部6の上に寝ることができる。体圧測定部6は複数の圧力センサ(図示略)を有する。複数の圧力センサによって、寝姿勢のユーザの複数箇所に作用する圧力、即ち体圧が測定される。ユーザの体圧データは、体圧測定部6から制御装置1に入力され、撮像データに紐づけて記憶部1cに記憶される。また蓄積データに紐づけて人体の複数箇所(例えば脊椎における頸椎、胸椎、腰椎、仙骨の各箇所)に作用する体圧データが記憶部1cに記憶されている。
【0096】
CPU1aは、蓄積データの体圧データと撮像データの体圧データとの類似度を演算する。例えば、複数箇所それぞれについて、体圧データの一致度合を演算し、各一致度合の平均値を演算する。CPU1aは、前記平均値と、予め記憶部1cに記憶した閾値とを比較し、前記平均値が閾値以上である場合、寝具選択処理の対象候補として前記蓄積データを記憶する。
【0097】
また例えば、頸椎部分における体圧データの一致度合が第1閾値以上であり、且つ、胸椎部分における体圧データの一致度合が第2閾値以上であり、且つ、腰椎部分における体圧データの一致度合が第3閾値以上であり、且つ、仙骨部分における体圧データの一致度合が第4閾値以上である場合に、補正処理の対象候補として前記蓄積データを記憶してもよい。なお第1閾値~第4閾値は予め記憶部1cに記憶されている。
【0098】
図11は、CPU1aによる寝具選択処理を説明するフローチャートである。
図11のステップS41~S45、S47~S58は、
図8のステップS1~S17と同様なので、その詳細な説明を省略する。ここでは
図11のステップS46について説明する。
【0099】
ステップS45において、類似度が閾値以上である場合(S45:YES)、CPU1aは、選択した蓄積データの体圧データと撮像データの体圧データとの類似度を演算し、類似度が閾値以上であるか否か判定する(S46)。類似度が閾値以上である場合(S46:YES)、CPU1aは選択した蓄積データを記憶部1cに記憶する(S47)類似度が閾値以上でない場合(S46:NO)、CPU1aはステップS48に処理を進める。
【0100】
実施の形態2に係る寝具選択装置は、人体に作用する圧力に基づいて、撮像データと複数の蓄積データそれぞれとの類似度を演算する。
【0101】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る寝具製造装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12は、寝具製造装置のブロック図である。実施の形態3に係る寝具製造装置は、実施の形態1及び2と異なり、製造部7を備える。製造部7は、CPU、記憶部、RAM、枕又はマットレスの材料を格納する格納部、及び材料を加工する加工部(いずれも図示略)を有する。
【0102】
CPU1aは決定されたマットレス10及び枕の製造番号を製造部7に送信する。製造部7の記憶部1cは、各製造番号に対応した製造プログラムを予め記憶しており、受信した製造番号に対応する製造プログラムをRAM1bに読み出し、格納部から材料を取り出して、加工部にて加工し、製造番号が示す枕又はマットレス10を製造する。加工部としては、工作機械又は3Dプリンタが挙げられる。
【0103】
実施の形態3に係る寝具製造装置にあっては、寝姿勢データに基づいて、寝具を製造することができる。
【0104】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る寝具製造装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態4の構成の内、実施の形態1~3と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施の形態1では蓄積データを使用して距離Yを求めていたが、実施の形態4では蓄積データを使用することなく、距離Yを求める。
【0105】
ユーザを撮像する場合に、左又は右方向からユーザを撮像する。なお撮像には、3Dスキャナを使用することが望ましい。カメラを使用する場合に比べて、撮像精度を向上させることができるからである。制御装置1は、左又は右方向から撮像されたユーザの撮像データに基づいて、距離Xを演算する(
図2参照)。制御装置1は距離Xから距離Yを演算する。例えば、式Y=aXによって、距離Yが演算される。
【0106】
図13は、CPU1aによる寝具選択処理を説明するフローチャートである。CPU1aは、操作部2から開始指示が入力されたか否か判定する(S61)。開始指示が入力されていない場合(S61:NO)、CPU1aはステップS61に処理を戻す。開始指示が入力された場合(S61:YES)、CPU1aは撮像部3から撮像データを取得し(S62)、距離Xを演算する(S63)。CPU1aは距離Xに基づき、距離Yを演算する(S64)。ステップS65~S72は、ステップS10~S17と同様であるので、省略する。
【0107】
なお寝姿勢のユーザに対し、3Dスキャナを用いてユーザの体表面形状を測定し、距離Yを直接的に求めてもよい。
【0108】
(実施の形態5)
以下本発明を実施の形態5に係る寝具製造装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態5の構成の内、実施の形態1~4と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。制御装置1の記憶部1cは学習モデル100を記憶する。
図14は、学習モデル100の一例を示す模式図である。学習モデル100は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての利用が想定される学習モデルであり、多層のニューラルネットワーク(深層学習)を用いることができる。例えば畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)を用いることができる。尚、他の機械学習を用いてもよい。CPU1aが学習モデル100をRAM1bに読み込み、学習モデル100からの指令に従って、学習モデル100の入力層に入力された入力データ、即ち撮像データ及びアンケートの回答に対し演算を行い、マットレス10の硬さと枕の高さとを出力層から出力するように動作する。
【0109】
CNNの場合、中間層はコンボリューション層、プーリング層、及び全結合層を含む。ノード(ニューロン)の数は
図14の場合に限定されない。入力層、出力層及び中間層には、1又は複数のノードが存在し、各層のノードは、前後の層に存在するノードと一方向に所望の重みで結合されている。
【0110】
CPU1aは教師データを用いて、撮像データ及びアンケートの回答を入力した場合に、マットレス10の硬さ及び枕の高さを出力する学習モデル100を予め生成する。具体的には、CPU1aは、教師データを入力層に入力し、中間層での演算処理を経て、出力層からマットレス10の硬さ及び枕の高さを取得する。
【0111】
CPU1aは、出力層から出力されたマットレス10の硬さ及び枕の高さを、教師データにおいて撮像データ及びアンケートの回答に対しラベル付けされたマットレス10の硬さ及び枕の高さ、即ち正解値と比較し、出力層からの出力値が正解値に近づくように、中間層での演算処理に用いるパラメータを最適化する。該パラメータは、例えば上述の重み(結合係数)、活性化関数の係数等である。パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えばCPU1aは誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。CPU1aは、生成した学習モデル100を記憶部1cに格納し、学習モデル100に対する一連の処理を終了する。なおCPU1aは学習モデル100に対し、再学習を行ってもよい。
【0112】
CPU1aは、学習済みの学習モデル100に撮像データ及びアンケートの回答を入力し、マットレス10の硬さ及びその確率と、枕の高さ及びその確率とを取得する。CPU1aは、マットレス10の硬さ及びその確率と、枕の高さ及びその確率とを検索部4に送信する。検索部4は、受信したマットレス10の硬さ及びその確率と、枕の高さ及びその確率とに基づいて、例えば三つのマットレス10及び三つの枕の情報を制御装置1に送信する。例えば確率の最も高い硬さのマットレス10、二番目に確率の高い硬さのマットレス10及び三番目に確率の高い硬さのマットレス10、確率の最も高い高さの枕、二番目に確率の高い高さの枕及び三番目に確率の高い高さの枕の情報を送信する。CPU1aは、検索部4から三つのマットレス10及び三つの枕の情報を受信し、三つのマットレス10及び三つの枕に関する製造番号、画像、寸法等を表示部5に表示させる。深層学習は機械学習の一例であり、深層学習に代えて他の機械学習、例えば決定木学習、クラスタリング又はベイズ学習等を用いてもよい。
【0113】
(実施の形態6)
図15は、実施の形態6に係る寝具選択装置のブロック図である。寝具選択装置は制御装置20、端末機30及び検索部4を備える。制御装置20は上述した実施の形態における制御装置1に対応する。制御装置20は、制御部21、RAM22、記憶部23及び通信部24を備える。制御部21、RAM22、記憶部23及び通信部24はバスを介して相互に接続されている。
【0114】
制御部21は例えばCPUを有する。なおCPUに代えてロジック回路、例えばFPGAを使用してもよい。通信部24を介して、制御装置20と、端末機30及び検索部4との間で有線又は無線通信が行われる。
【0115】
端末機30は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末である。端末機30はユーザの所有物でもよい。端末機30は、制御部31と、操作部32と、撮像部33と、記憶部34と、表示部35と、通信部36とを備える。制御部31は例えばCPUを有する。なおCPUに代えてロジック回路、例えばFPGAを使用してもよい。操作部32、撮像部33及び表示部35は実施の形態1における操作部2、撮像部3及び表示部5に対応する。
【0116】
操作部32はキーボード、マウス又はタッチパネル等を有する。撮像部33は、例えば3Dスキャナ又はカメラ等を有する。記憶部34は、例えば表示部35にインタフェースを表示するためのプログラムを記憶する。前記プログラムは、プリインストールされていてもよいし、ネットワークを介してサーバからダウンロードされてもよい。表示部35は表示画面を有する。制御部31は前記プログラムを実行し、表示部35に操作を受け付けるインタフェースを表示させることができる。ユーザは、表示部35に表示されたインタフェース、即ちタッチパネル(操作部32)を操作し、撮像データ及び各種情報を入力することができる。通信部36を介して、端末機30と制御装置20との間で有線又は無線通信が行われる。
【0117】
撮像部33はユーザの撮像データを取得する。ユーザは撮像を行う前又は後に、生物学的な性別、身長、体重及びBMI、撮像した部位を示す部位情報等を、操作部32を介して入力する。入力された各情報は、撮像データに紐づけられ、撮像データと共に制御装置20に送信され、記憶部23に記憶される。制御部21は、記憶部23に記憶された撮像データ、各種情報、及び蓄積データ等に基づいて、寝姿勢データの生成処理及び寝具の選択処理等を実行する。制御部21は、検索部4から受信したマットレス10及び枕に関する製造番号、画像、寸法等の情報を端末機30に送信する。端末機30は表示部35に製造番号、画像、寸法等の情報を表示する。
【0118】
(実施の形態7)
以下本発明を実施の形態7に係る寝具選択装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態7の構成の内、実施の形態1~6と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。マットレス10の各部位の硬さを変更することができる場合、寝具選択処理において、マットレス10の特定の部位、例えば腰に対応する部位の硬さを演算し、腰に対応する部位以外の部位の硬さを、腰に対応する部位の硬さを基準にして求めてもよい。例えば、ユーザが腰を撮像する場合、撮像を行う前又は後に、ユーザは腰を示す部位情報を、操作部2、32を介して制御装置1、20に入力する。なおユーザが腰以外の部位又は腰を含む部位、例えば自身の全体を撮像し、全体を示す部位情報を、操作部2、32を介して制御装置1、20に入力し、制御装置1、20がマットレス10の硬さを演算した場合に、演算された硬さを、腰に対応する部位の硬さとしてもよい。この場合、腰に対応する部位以外の部位の硬さは、演算された硬さを基準にして求められる。
【0119】
図16は、マットレス10の部位を示す模式図である。
図16において、1は首に対応するマットレス10の部位(部位1)を示し、2は肩に対応するマットレス10の部位(部位2)を示し、3は腰に対応するマットレス10の部位(部位3)を示し、4は臀部に対応するマットレス10の部位(部位4)を示し、5は脚部に対応するマットレス10の部位(部位5)を示す。マットレス10は、部位1~部位5の硬さを変更可能なマットレスである。なお
図16に示された部位の数及び部位の分割方法は一例に過ぎず、部位の数は2~4個でもよいし、6個以上でもよく、また分割方法は、身長方向(
図16の縦方向)のみならず、肩幅方向(
図16の横方向)に部位が並ぶように分割してもよく、身長方向及び肩幅方向に、即ち格子状に分割してもよい。
【0120】
図17は、各姿勢におけるマットレスの各部位の硬さを示すテーブルである。制御装置1、20は
図17に示すテーブルを予め記憶している。
図17のテーブルにおいて、姿勢1~姿勢4は撮像時におけるユーザの姿勢である。例えば、立位での姿勢であり、姿勢1は背中の凹凸が少ない姿勢、姿勢2は猫背の姿勢、姿勢3は背中がS状になった姿勢、姿勢4は反り腰の姿勢である。なお姿勢1~4は、座位の姿勢でもよく、背中以外に注目した姿勢を表してもよい。
【0121】
図17のテーブルにおいて、最も左の列の1~5は、マットレス10の部位1~部位5を示す。姿勢1の列において、部位3に対応する欄に示された「X1」は、寝具選択処理において演算された硬さであって、部位3(腰に対応するマットレス10の部位)の硬さを示す。姿勢1の列において、部位1、4及び5に対応する欄に示された「-1」は、部位3の硬さ「X1」から1減算した硬さを示し、部位2に対応する欄に示された「±0」は、部位3の硬さ「X1」と同じ硬さを示す。
【0122】
姿勢2の列において、部位1及び5に対応する欄に示された「±0」は、部位3の硬さ「X2」と同じ硬さを示し、部位2に対応する欄に示された「+1」は、部位3の硬さ「X2」に1加算した硬さを示し、部位4に対応する欄に示された「-1」は、部位3の硬さ「X2」から1減算した硬さを示す。姿勢1及び2の列と同様に、姿勢3及び姿勢4の列についても、演算された「X3」、「X4」を基準にした部位1、2、4及び5の硬さが示される。姿勢3及び姿勢4の列の詳細な説明は省略する。
図17のテーブルの硬さは、例えば、所定の荷重が作用した場合の沈み込み量として表され、数値が大きくなるに従って、より柔らかくなることが示される。沈み込み量の単位は例えばcmであるが、他の単位、例えばmmでもよい。
図17の数値は一例に過ぎず、他の数値でもよい。マットレス10の硬さを示す量として、沈み込み量以外の物理量を使用してもよい。沈み込み量を使用する場合、テーブルの数値が大きくなるに従って、当該数値に対応するユーザの背面の部分がより背面側に突出し、テーブルの数値が小さくなるに従って、当該数値に対応するユーザの背面の部分がより正面側に突出する傾向にあることを示す。
【0123】
制御装置1、20は、部位3の硬さを演算し、ユーザの姿勢を示す情報を取得する。ユーザの姿勢を示す情報は、操作部2、32を介して制御装置1、20に入力されてもよいし、全身又は上半身の撮像データを取得している場合は、撮像データに基づいて、制御装置1、20が求めてよい。制御装置1、20は、部位3の硬さ及びユーザの姿勢を示す情報を
図17のテーブルに適用し、部位1、2、4、5の硬さを求め、マットレス10の情報を表示部5、35に表示する。表示されるマットレス10の情報は、例えば検索部4にて検索されたマットレス10の完成品の情報(製造番号、画像、寸法等)でもよいし、マットレス10の各部位1~5を構成する各部品の情報でもよい。
【0124】
姿勢1~4に代えて、又は、姿勢1~4に追加して、ユーザが損傷している部位を使用してもよい。例えば、損傷している部位として首及び肩を使用する場合、
図17のテーブルにおいて、首を損傷している場合における列、及び、肩を損傷している場合における列が予め作成され、制御装置1、20に記憶される。即ち、演算された部位3の硬さを基準にして、首及び肩を損傷している場合における部位1、2、4及び5の硬さを示す列が作成され、記憶される。制御装置1、20は、例えば、演算された部位3の硬さと、損傷箇所を示す情報とを取得し、
図17のテーブルに適用して部位1、2、4、5の硬さを求め、マットレス10の情報を表示部5、35に表示する。損傷箇所を示す情報は、例えば操作部2、32を介して制御装置1、20に入力される。部位1、2、4、5の硬さは、損傷している部位への負担が抑制される硬さである。
【0125】
また制御装置1、20は、ユーザの姿勢を示す情報及び損傷箇所を示す情報を取得した場合、前記テーブルに、ユーザの姿勢及び演算された硬さを適用した後、損傷箇所を示す情報に基づいて、部位1~5の硬さ補正してもよい。例えば、ユーザの姿勢を示す情報が姿勢2を示し、損傷箇所を示す情報が首を示す場合、姿勢2の列における部位1の硬さをより柔らかい値に補正し、首に近く、首よりも背面側に突出したユーザの体の部分に対応する部位、即ち部位2の硬さをより硬い値に補正し、損傷した首に作用する負荷を低減させ、代わりに肩でよりしっかりと体を支えるようにしてもよい。
【0126】
(実験結果)
出願人は以下の実験を行い、実施の形態1に係る寝具選択装置によって選択されたマットレスをユーザが使用した場合の効果を測定した。まず寝具選択装置によって、被験者の寝姿勢データに対応する寝具、ここではマットレスを選択した。なお被験者は、男性2名及び女性1名の計3名である。次に、寝具選択装置によって選択されたマットレス(以下マットレスA)、及び、寝具選択装置によって選択されていないマットレス(以下、マットレスBという)それぞれの上に、被験者に寝てもらって、被験者の睡眠に関するデータを取得・解析した。マットレスAは、例えばウレタンフォームを主たる材料とするマットレスである。マットレスBは、例えばポリエチレンを主たる材料とするマットレスである。
【0127】
データの取得・演算には、TDK株式会社製の「Silmee Bar type Lite解析システム」(以下、実験システムという)が使用され、データの取得及び演算が行われた。実験システムは、計測装置と、計測装置によって計測された心拍・体動等を演算する演算装置とを含む。被験者は計測装置を装着し、就寝する。就寝期間中に計測装置は心拍・体動等を測定する。測定結果は無線通信によって計測装置から演算装置に送信されるか、又は計測装置が有するメモリに記憶され、メモリから有線または無線通信によって演算装置に送信される。
【0128】
演算装置は、測定結果に基づき、マットレスA及びBそれぞれを使用した場合について、「中途覚醒回数」、「中途覚醒時間」、「睡眠時間」、「総就床時間」、「総睡眠時間」、「PS深睡眠時間」、「S睡眠時間」、「アクチ合計」、「HF総量」、「心拍/脈波間隔」、「LFの一晩分の平均」、「HFの一晩分の平均」、「体動頻度」、「PS深睡眠割合」、「S睡眠割合」、「リラックス度」、「睡眠効率」、「リズム性」、「睡眠周期」等(以下、項目とも称する)を演算した。
【0129】
これらの項目それぞれについて、3人の被験者から延べ25件のデータが得られた。マットレスAのデータが13件、マットレスBのデータが12件である。マットレスAの13件のうち1件のデータについては算出がうまくいかなかったため、後のt検定及び分散分析等の解析からは除外した。
【0130】
「中途覚醒回数」は、睡眠時間中に覚醒した回数である。「中途覚醒時間」は、睡眠時間中において、覚醒していた時間の総和である。「睡眠時間」は、入眠してから起床するまでの時間である。「総就床時間」は、入床から起床までの時間である。「総睡眠時間」は、睡眠時間から中途覚醒時間を減算した時間である。「PS深睡眠時間」は、PS睡眠の深い睡眠と判定された時間である。なおPS睡眠は一般的にノンレム睡眠といわれる状態に相当する睡眠である。PS睡眠には深さの度合がある。「S睡眠時間」はS睡眠と判定された時間である。なおS睡眠は一般的にノンレム睡眠といわれる状態に相当する睡眠である。S睡眠とPS睡眠とは、略90分周期で入れ替わる。
【0131】
「アクチ合計」は、体動量(アクチグラム)の計測範囲の合計である。「HF総量」は、HFの計測範囲の総量[msec]である。なおHFは副交感神経の活性度を表し、HFが優位にある場合、リラックスしている状態にあるといえる。「心拍/脈波間隔」は、心拍間隔又は脈波間隔の計測範囲の平均値[msec]である。「LFの一晩分の平均」は、LFの一晩分の平均[msec]である。なおLFは、緊張・活性を表す交感神経の活性度とリラックスを表す副交感神経の活性度が混ざっている状態である。
【0132】
「HFの一晩分の平均」は、HFの一晩分の平均[msec]である。「体動頻度」は、体動量/睡眠時間である。「PS深睡眠割合」は、PS深睡眠時間/睡眠時間である。「S睡眠割合」は、S睡眠時間/睡眠時間である。「リラックス度」は、自律神経指標のHFがLFより大きい時間である。「睡眠効率」は、総睡眠時間/睡眠時間である。「リズム性」は、睡眠の90分前後の周期に対するLF/HFの一致の度合である。「睡眠周期」は、リズム度を算出する場合に求めた90分前後の睡眠の周期である。
【0133】
そして、演算された「中途覚醒回数」、「中途覚醒時間」、「睡眠時間」、「総就床時間」、「総睡眠時間」、「PS深睡眠時間」、「S睡眠時間」、「アクチ合計」、「HF総量」、「心拍/脈波間隔」、「LFの一晩分の平均」、「HFの一晩分の平均」、「体動頻度」、「PS深睡眠割合」、「S睡眠割合」、「リラックス度」、「睡眠効率」、「リズム性」及び「睡眠周期」について、t検定を行った。
【0134】
その結果、「睡眠時間」、「総就床時間」、「総睡眠時間」、「PS深睡眠時間」、「HF総量」及び「PS深睡眠割合」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。具体的には、以下の通りである。
【0135】
「睡眠時間」について
マットレスAにおける「睡眠時間」の平均は389.917分であり、マットレスBにおける「睡眠時間」の平均は324.000分であった。「睡眠時間」について、母集団が正規分布に従い、分散が等しいと仮定してt検定(両側検定)を行った。帰無仮説は、「マットレスA及びBにおける睡眠時間の平均値に差が無い」である。有意水準は0.05である。t検定の結果、p値は0.0025であった(下記t検定の結果を示す表1参照)。したがって、「マットレスA及びBにおける睡眠時間の平均値に差が無い」との帰無仮説は棄却され、「睡眠時間」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0136】
【表1】
なお確認のため、「マットレスA及びBにおける睡眠時間の平均値に差が無い」を帰無仮説とする分散分析を行い、p値を演算した。なお分散分析においては、標本の正規性に囚われない結果を得ることができる。分散分析においてもp値は0.0025であった(下記分散分析の結果を示す表2参照)。したがって、分散分析においても、帰無仮説は棄却され、「睡眠時間」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0137】
【0138】
「総就床時間」について
マットレスAにおける「総就床時間」の平均は403.167分であり、マットレスBにおける「総就床時間」の平均は335.750分であった。「総就床時間」について、母集団が正規分布に従い、分散が等しいと仮定してt検定(両側検定)を行った。帰無仮説は、「マットレスA及びBにおける総就床時間の平均値に差が無い」である。有意水準は0.05である。t検定の結果、p値は0.0019であった(下記t検定の結果を示す表3参照)。したがって、「マットレスA及びBにおける総就床時間の平均値に差が無い」との帰無仮説は棄却され、「総就床時間」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0139】
【表3】
なお確認のため、「マットレスA及びBにおける総就床時間の平均値に差が無い」を帰無仮説とする分散分析を行い、p値を演算した。分散分析においてもp値は0.0019であった(下記分散分析の結果を示す表4参照)。したがって、分散分析においても、帰無仮説は棄却され、「総就床時間」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0140】
【0141】
「総睡眠時間」について
マットレスAにおける「総睡眠時間」の平均は352.250分であり、マットレスBにおける「総睡眠時間」の平均は289.583分であった。「総睡眠時間」について、母集団が正規分布に従い、分散が等しいと仮定してt検定(両側検定)を行った。帰無仮説は、「マットレスA及びBにおける総睡眠時間の平均値に差が無い」である。有意水準は0.05である。t検定の結果、p値は0.0009であった(下記t検定の結果を示す表5参照)。したがって、「マットレスA及びBにおける総睡眠時間の平均値に差が無い」との帰無仮説は棄却され、「総睡眠時間」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0142】
【表5】
なお確認のため、「マットレスA及びBにおける総睡眠時間の平均値に差が無い」を帰無仮説とする分散分析を行い、p値を演算した。分散分析においてもp値は0.0009であった(下記分散分析の結果を示す表6参照)。したがって、分散分析においても、帰無仮説は棄却され、「総睡眠時間」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0143】
【0144】
「PS深睡眠時間」について
マットレスAにおける「PS深睡眠時間」の平均は75.5000分であり、マットレスBにおける「PS深睡眠時間」の平均は41.9167分であった。「PS深睡眠時間」について、母集団が正規分布に従い、分散が等しいと仮定してt検定(両側検定)を行った。帰無仮説は、「マットレスA及びBにおけるPS深睡眠時間の平均値に差が無い」である。有意水準は0.05である。t検定の結果、p値は0.0001未満であった(下記t検定の結果を示す表7参照)。したがって、「マットレスA及びBにおけるPS深睡眠時間の平均値に差が無い」との帰無仮説は棄却され、「PS深睡眠時間」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0145】
【表7】
なお確認のため、「マットレスA及びBにおけるPS深睡眠時間の平均値に差が無い」を帰無仮説とする分散分析を行い、p値を演算した。分散分析においてもp値は0.0001未満であった(下記分散分析の結果を示す表8参照)。したがって、分散分析においても、帰無仮説は棄却され、「PS深睡眠時間」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0146】
【0147】
「HF総量」について
マットレスAにおける「HF総量」の平均は8097.27msecであり、マットレスBにおける「HF総量」の平均は6391.43msecであった。「HF総量」について、母集団が正規分布に従い、分散が等しいと仮定してt検定(両側検定)を行った。帰無仮説は、「マットレスA及びBにおけるHF総量の平均値に差が無い」である。有意水準は0.05である。t検定の結果、p値は0.008であった(下記t検定の結果を示す表9参照)。したがって、「マットレスA及びBにおけるHF総量の平均値に差が無い」との帰無仮説は棄却され、「HF総量」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0148】
【表9】
なお確認のため、「マットレスA及びBにおけるHF総量の平均値に差が無い」を帰無仮説とする分散分析を行い、p値を演算した。分散分析においてもp値は0.008であった(下記分散分析の結果を示す表10参照)。したがって、分散分析においても、帰無仮説は棄却され、「HF総量」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0149】
【0150】
「PS深睡眠割合」について
マットレスAにおける「PS深睡眠割合」の平均は0.192874であり、マットレスBにおける「PS深睡眠割合」の平均は0.128649であった。「PS深睡眠割合」について、母集団が正規分布に従い、分散が等しいと仮定してt検定(両側検定)を行った。帰無仮説は、「マットレスA及びBにおけるPS深睡眠割合の平均値に差が無い」である。有意水準は0.05である。t検定の結果、p値は0.0001未満であった(下記t検定の結果を示す表11参照)。したがって、「マットレスA及びBにおけるPS深睡眠割合の平均値に差が無い」との帰無仮説は棄却され、「PS深睡眠割合」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0151】
【表11】
なお確認のため、「マットレスA及びBにおけるPS深睡眠割合の平均値に差が無い」を帰無仮説とする分散分析を行い、p値を演算した。分散分析においてもp値は0.0001未満であった(下記分散分析の結果を示す表12参照)。したがって、分散分析においても、帰無仮説は棄却され、「PS深睡眠割合」について、マットレスAを使用した場合の平均値と、マットレスBを使用した場合の平均値との間に有意な差が認められた。
【0152】
【0153】
以上の解析結果から、睡眠時間、総睡眠時間、総就床時間、HF総量(副交感神経指標)、PS深睡眠(non-REM睡眠ステージ3および4に相当)時間およびPS深睡眠割合(全睡眠時間に対するPS深睡眠時間の割合)に5%水準で有意な差が見られた。即ち、Aのマットレスを使用した時には、Bのマットレスを使用した時に比べて、有意にPS深睡眠が多くなる(=熟睡できる)ことが明らかとなった。また、LF(交感神経指標)に差は見られず、HFのみに差が見られたことから、Aのマットレスを使用した際には、Bのマットレスを使用した時に比べて、副交感神経の活動がより促進され、熟睡しやすくなると考えられる。
【0154】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0155】
1 制御装置
1a CPU
1b RAM
1c 記憶部
1d I/F部
2 操作部
3 撮像部
4 検索部
5 表示部
6 体圧測定部
7 製造部