(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102298
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】加湿装置及び環境試験装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20230714BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20230714BHJP
F24F 6/02 20060101ALI20230714BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20230714BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20230714BHJP
G01N 17/00 20060101ALI20230714BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20230714BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20230714BHJP
F24F 140/50 20180101ALN20230714BHJP
F24F 140/60 20180101ALN20230714BHJP
【FI】
F24F6/00 E
F24F5/00 Z
F24F6/02 B
F24F11/46
F24F11/70
G01N17/00
F24F110:10
F24F110:20
F24F140:50
F24F140:60
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075789
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2019155992の分割
【原出願日】2019-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】村上 元気
(72)【発明者】
【氏名】梶口 宜弘
(57)【要約】
【課題】ヒータの要求出力の大きさの異なる領域間での湿度制御の乱れが発生することを抑制する。
【解決手段】加湿装置35は、加湿容器37内の水を加熱するための第一加湿ヒータ39と、第一加湿ヒータ39の出力容量以上の出力容量を有する第二加湿ヒータ41と、加湿制御部43と、を備える。加湿制御部43は、要求出力が第一領域に属する大きさのときと、前記第一領域よりも要求出力が高い第二領域に属する大きさのときと、に亘って第一加湿ヒータ39を連続的に作動させるとともに、要求出力が前記第一領域に属する大きさの場合には、第二加湿ヒータ41を停止する一方で第一加湿ヒータ39を要求出力の大きさに応じて制御し、要求出力が前記第二領域に属する大きさの場合には、第一加湿ヒータ39を作動させた状態で第二加湿ヒータ41を要求出力の大きさに応じて制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験室内を加湿するための水が入れられる加湿容器と、
前記加湿容器に入れられた水を加熱するための第一加湿ヒータと、
前記第一加湿ヒータの出力容量以上の出力容量を有し、前記加湿容器に入れられた水を加熱するための第二加湿ヒータと、
前記第一加湿ヒータ及び前記第二加湿ヒータを制御する加湿制御部と、を備え、
前記加湿制御部は、設定湿度と検出湿度との差分に基づいて大きさが決まり且つ時々刻々と変化する要求出力が第一領域に属する大きさのときと、前記第一領域よりも要求出力が高い第二領域に属する大きさのときと、に亘って前記第一加湿ヒータを連続的に作動させるとともに、前記要求出力が前記第一領域に属する大きさの場合には、前記第二加湿ヒータを停止する一方で前記第一加湿ヒータを前記要求出力の大きさに応じて制御し、前記要求出力が前記第二領域に属する大きさの場合には、前記第一加湿ヒータを作動させた状態で前記第二加湿ヒータを前記要求出力の大きさに応じて制御する加湿装置。
【請求項2】
前記第一加湿ヒータの出力容量は、前記第二加湿ヒータの出力容量に比べて小さく、
前記加湿制御部は、前記要求出力が下がるときにおいて、前記要求出力が前記第二領域に属する状態から前記第一領域に属する状態に移行するときに、前記第一加湿ヒータを停止することなく作動を継続する一方で、前記第二加湿ヒータを停止する請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記加湿制御部は、前記要求出力が前記第二領域に属する大きさの場合に、前記第一加湿ヒータの出力が一定値となるように、または前記要求出力に応じてリニアに変化するように、前記第一加湿ヒータを制御する請求項1または2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記加湿制御部は、前記要求出力が前記第二領域に属する大きさの場合には、前記要求出力に基づくトータルのヒータ出力値から前記第一加湿ヒータの出力値を差し引いた出力値になるように前記第二加湿ヒータを制御する請求項3に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記第一領域と前記第二領域とを切り替えるときの前記要求出力の値は、2つのヒータの合計出力容量に対する前記第一加湿ヒータの前記出力容量の比、または前記第二加湿ヒータの前記出力容量に対する前記第一加湿ヒータの前記出力容量の比に基づいて定められる請求項1から4の何れか1項に記載の加湿装置。
【請求項6】
前記加湿制御部は、前記要求出力が前記第一領域に属する大きさのときに、前記第一加湿ヒータの出力容量に対する前記第二加湿ヒータの出力容量の比に応じた係数の変化率、または前記第一加湿ヒータの出力容量に対する両加湿ヒータのトータル出力容量の比に応じた係数の変化率で、前記第一加湿ヒータの出力が変わるように、前記第一加湿ヒータを制御する請求項1から5の何れか1項に記載の加湿装置。
【請求項7】
試験室と、
前記試験室内を加湿するために用いられる、請求項1から6の何れか1項に記載の加湿装置と、を備えている環境試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿装置及び環境試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、環境試験装置に設けられた試験室内の湿度を制御する加湿装置が知られている。特許文献1に開示された加湿装置は、加湿用の水が入れられた加湿容器と、この加湿容器内に配置された小ヒータ及び大ヒータと、水位選択部と、加湿ヒータ選択部と、を備えている。加湿容器は断面V字形状となっていて、水位によって水の表面積が変化する構成である。加湿ヒータ選択部は、小ヒータの使用、大ヒータの使用、両ヒータの使用を選択可能となっている。水位選択部は、加湿容器内の水位として、低水位及び高水位を選択可能となっている。そして、加湿条件に応じてヒータ及び水位を選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された加湿装置では、温度及び湿度の条件に応じて、ヒータを選択できるだけでなく、水位も選択できる。したがって、低温低湿度条件において不要な水の蒸発を抑制しつつ、高温高湿度条件において十分な量の加湿蒸気を効率的に得ることができる。しかしながら、この加湿装置では、大ヒータが使用される一方で小ヒータが使用されない運転から、小ヒータが使用される一方で大ヒータが使用されない運転に切り換えることがあるため、そのような切り換えを行うことにより、湿度制御に乱れが生ずる場合がある。また、加湿容器の水位を変更するための機構も必要であり、装置構成が複雑化する。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒータの要求出力の大きさの異なる領域間での湿度制御の乱れが発生することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る加湿装置は、試験室内を加湿するための水が入れられる加湿容器と、前記加湿容器に入れられた水を加熱するための第一加湿ヒータと、前記第一加湿ヒータの出力容量以上の出力容量を有し、前記加湿容器に入れられた水を加熱するための第二加湿ヒータと、前記第一加湿ヒータ及び前記第二加湿ヒータを制御する加湿制御部と、を備える。前記加湿制御部は、要求出力が第一領域に属する大きさのときと、前記第一領域よりも要求出力が高い第二領域に属する大きさのときと、に亘って前記第一加湿ヒータを連続的に作動させるとともに、要求出力が前記第一領域に属する大きさの場合には、前記第二加湿ヒータを停止する一方で前記第一加湿ヒータを前記要求出力の大きさに応じて制御し、要求出力が前記第二領域に属する大きさの場合には、前記第一加湿ヒータを作動させた状態で前記第二加湿ヒータを前記要求出力の大きさに応じて制御する。
【0007】
本発明では、要求出力が第一領域に収まる大きさの場合には、第二加湿ヒータが停止される一方で、第一加湿ヒータが要求出力の大きさに応じて制御される。このため、要求出力が第一領域に属する大きさの場合においては、両加湿ヒータが作動する場合に比べてヒータ出力を小さくしつつヒータ制御を行うことができる。このため、より低湿の場合が相当する第一領域での加湿制御に好適となる。一方、要求出力が第二領域に属する大きさの場合においては、第一加湿ヒータが作動しつつ第二加湿ヒータが要求出力の大きさに応じて制御される。このため、より高湿の場合が相当する第二領域にある場合においても加湿制御を適切に行うことができる。特に、第二加湿ヒータが、第一加湿ヒータの出力容量よりも大きな出力容量を有する場合には、より効率的な加湿制御が可能となる。しかも、要求出力が第一領域に属する大きさの場合と第二領域に属する大きさの場合との間で、第一加湿ヒータが連続的に作動するため、第一加湿ヒータによる加湿制御から第二加湿ヒータによる加湿制御に切り換えたり、第二加湿ヒータによる加湿制御から第一加湿ヒータによる加湿制御に切り換えたりする場合のように湿度の乱れが生ずることを抑制することができる。また、要求出力が第一領域に属する大きさの場合において、第一加湿ヒータを要求出力の大きさに応じて制御するため、加湿容器の水位を調整する必要もない。このため、水位調整機構を設ける必要もない。
【0008】
前記第一加湿ヒータの出力容量は、前記第二加湿ヒータの出力容量に比べて小さくてもよい。この場合、前記加湿制御部は、要求出力が下がるときにおいて、前記要求出力が前記第二領域に属する状態から前記第一領域に属する状態に移行するときに、前記第一加湿ヒータを停止することなく作動を継続する一方で、前記第二加湿ヒータを停止してもよい。
【0009】
この態様では、要求出力が下がる場合において、要求出力が第二領域に属する状態から第一領域に属する状態に移行するときでも湿度の乱れが生じ難い。すなわち、要求出力が第二領域に属する状態から第一領域に属する状態に移行するときに、第二加湿ヒータによる加熱から第一加湿ヒータによる加熱に切り換える制御が行われると、第一加湿ヒータが暖まるまでのタイムラグにより、湿度制御に乱れが生じてしまう。これに対し、要求出力が第二領域に属する状態のときにも第一加湿ヒータが作動している構成では、要求出力が第一領域に属する状態に移行するときには既に第一加湿ヒータが暖まっているため、湿度制御の乱れは生じない。そして、要求出力が第一領域に属する状態にあるときには、小さい出力容量の第一加湿ヒータによって湿度制御が行われるため、湿度の乱れの無い状態で湿度の微調整を行うことができる。
【0010】
前記加湿制御部は、要求出力が前記第二領域に属する大きさの場合に、前記第一加湿ヒータの出力が一定値となるように、または前記要求出力に応じてリニアに変化するように、前記第一加湿ヒータを制御してもよい。
【0011】
この態様では、要求出力が第二領域に属する状態のときの第一加湿ヒータの制御がシンプルになる。
【0012】
前記加湿制御部は、要求出力が前記第二領域に属する大きさの場合には、前記要求出力に基づくトータルのヒータ出力値から前記第一加湿ヒータの出力値を差し引いた出力値になるように前記第二加湿ヒータを制御してもよい。
【0013】
この態様では、要求出力が第二領域に属する状態にあるときには、第一加湿ヒータの出力は一定値または要求出力に応じてリニアに変化する値であり、この第一加湿ヒータの出力を基準として第二加湿ヒータの出力が決まる。このため、第二加湿ヒータの出力を容易に算出することができる。このため、第二加湿ヒータの制御もシンプルにすることができる。
【0014】
前記第一領域と前記第二領域とを切り替えるときの要求出力の値は、2つのヒータの合計出力容量に対する前記第一加湿ヒータの前記出力容量の比、または前記第二加湿ヒータの前記出力容量に対する前記第一加湿ヒータの前記出力容量の比に基づいて定められてもよい。
【0015】
この態様では、第一領域と第二領域との境界となるときの要求出力の値が、2つのヒータの合計出力容量に対する第一加湿ヒータの出力容量の比、あるいは第二加湿ヒータの出力容量に対する第一加湿ヒータの出力容量の比に基づいて決まる。つまり、第二加湿ヒータを作動させるときのタイミングが、これらの比に基づく値に設定される。このため、第二加湿ヒータを作動させるときのタイミングが、第一加湿ヒータが分担する負荷割合に応じた要求出力の値のときになる。したがって、要求出力に対して両加湿ヒータのトータル出力値をリニアに変化させる場合に好適なものとなる。
【0016】
前記加湿制御部は、要求出力が前記第一領域に属する大きさのときに、前記第一加湿ヒータの出力容量に対する前記第二加湿ヒータの出力容量の比に応じた係数の変化率、または前記第一加湿ヒータの出力容量に対する両加湿ヒータのトータル出力容量の比に応じた係数の変化率で、前記第一加湿ヒータの出力が変わるように、前記第一加湿ヒータを制御してもよい。
【0017】
この態様では、第一領域と第二領域との境界となるときの要求出力が第一加湿ヒータの出力容量と第二加湿ヒータの出力容量とに基づいて定まり、さらに、2つのヒータのトータル出力容量又は第二加湿ヒータの出力容量に基づく係数で定まる変化率で第一領域での第一加湿ヒータの制御が行われる。したがって、第一領域から第二領域に亘って、ヒータ出力を線形的に変化させる場合に好適なものとなる。
【0018】
本発明に係る環境試験装置は、試験室と、前記試験室内を加湿するために用いられる前記加湿装置と、備えている。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、ヒータの要求出力の大きさの異なる領域間での湿度制御の乱れが発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る環境試験装置の構成を概略的に示す図である。
【
図2】第一制御例の場合のMV値とヒータ出力との関係を示す図である。
【
図3】第一制御例によるヒータ出力の時間的変化を説明する図である。
【
図4】第二制御例の場合のMV値とヒータ出力との関係を示す図である。
【
図5】第三制御例の場合のMV値とヒータ出力との関係を示す図である。
【
図6】第四制御例の場合のMV値とヒータ出力との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る環境試験装置10は、内部に空間が形成された中空状の試験槽12と、試験槽12に設けられた後述の試験室18を空調するための空調機器を制御するコントローラ14と、を主として備えている。環境試験装置10は、例えば恒温恒湿槽として構成されていているが、加湿制御が要求される装置であれば、その他のタイプの環境試験装置として構成されていてもよい。
【0023】
試験槽12は、断熱性を有する壁部材によって、中空状の直方体状に構成されている。試験槽12は、前面が開放された槽本体12aと、槽本体12aの前面開口を開閉可能な扉体12bとを備えている。
【0024】
試験槽12は、供試体を配置するための空間を形成する試験室18を備えており、試験室18の前面は扉体12bによって開閉可能となっている。試験室18の背面側には、空調機器が配置された空調室20が設けられている。試験室18内の空間と空調室20内の空間とは、仕切り板22で区画されている。仕切り板22の上端と槽本体12aの天井を構成する壁部材との間には間隙が形成され、また、仕切り板22の下端と槽本体12aの底部を構成する壁部材との間にも間隙が形成されている。これらの間隙を通して、試験室18内の空間と空調室20内の空間とが連通している。
【0025】
空調室20内には、冷却器24と、加熱器26と、送風機28とが配置されている。冷却器24、加熱器26及び送風機28は、試験室18を空調するための前記空調機器である。
【0026】
冷却器24は、試験室18に供給される空気を冷却するためのものであり、例えば、蒸気圧縮式冷凍機の蒸発器によって構成されている。
【0027】
加熱器26は、試験室18に供給される空気を加熱するためのものであり、例えばワイヤヒータにより構成されている。
【0028】
送風機28は、冷却器24及び加熱器26によって空調された空気を吸い込み、試験室18内の空間に吹き出すように構成されている。
【0029】
環境試験装置10は、試験室18内の温度を検出する温度センサ31と、試験室18内の湿度を検出する湿度センサ33とを備えている。温度センサ31は、検出温度を示す信号を出力し、湿度センサ33は、検出湿度を示す信号を出力する。これら信号は、コントローラ14に送られる。
【0030】
環境試験装置10は、試験室18内を加湿するための加湿装置35を備えている。加湿装置35は、加湿容器37と、第一加湿ヒータ39と、第二加湿ヒータ41と、加湿制御部43と、を備えている。
【0031】
加湿容器37は、空調室20内の底部に配置されており、上方に開放された皿状に形成されている。したがって、加湿容器37は、空調室20内に開放されており、また、空調室20内の空間を通して試験室18内の空間にも開放されているといえる。加湿容器37には、試験室18内を加湿するための水が入れられる。
【0032】
なお、加湿容器37は、空調室20内に配置されるのではなく、試験室18内に配置されていてもよく、あるいは、加湿容器37は、図略の配管を通して試験室18内に連通する構成であれば、空調室20及び試験室18の外側に配置されていてもよい。
【0033】
第一加湿ヒータ39及び第二加湿ヒータ41は、何れも加湿容器37内の水を加熱するように構成されている。加湿容器37内の水が第一加湿ヒータ39及び第二加湿ヒータ41によって加熱されて蒸発することにより、空調室20内の空気が加湿される。この加湿された空気は、冷却器24及び加熱器26によって温度が調整された後、送風機28によって試験室18内に供給される。
【0034】
第一加湿ヒータ39は、第二加湿ヒータ41の出力容量に比べて小さな出力容量を有している。第一加湿ヒータ39の出力容量は、例えば、第二加湿ヒータ41の出力容量の5分の1以下であってもよい。
【0035】
加湿制御部43は、要求出力の大きさに応じて、第一加湿ヒータ39及び第二加湿ヒータ41をそれぞれ制御するように構成されている。ここで、要求出力とは、第一加湿ヒータ39及び第二加湿ヒータ41が、それぞれの出力容量に対してどの程度の割合で出力すべきかを示す要求量を表す。このため、湿度センサ33による検出湿度が後述する設定湿度に対してどの程度低いかに応じて、要求出力は大きくなる。
【0036】
コントローラ14は、受付部45と、冷却器24及び加熱器26を制御する温度制御部47と、を備えている。受付部45及び温度制御部47は、コントローラ14が所定のプログラムに従って動作することにより発揮されるコントローラ14の機能である。受付部45は、使用者が操作する図略の操作部を通して入力された設定温度(試験温度)及び設定湿度(試験湿度)を受け付けて、図略の記憶部に記憶する。温度制御部47は、温度センサ31による検出温度と設定温度とを比較し、この比較結果に基づいて、試験室18内の温度が設定温度に近づくように、冷却器24及び加熱器26を制御する。
【0037】
加湿制御部43は、コントローラ14が発揮する一つの機能である。加湿制御部43は、設定湿度と湿度センサ33による検出湿度とを比較し、この比較結果に基づいて要求出力の大きさを決定し、この要求出力の大きさに基づいて、試験室18内の湿度が試験湿度に近づくように、両加湿ヒータ39,41を制御する。
【0038】
加湿制御部43による第一加湿ヒータ39及び第二加湿ヒータ41の制御では、要求出力が第一領域に属する大きさなのか、第一領域よりも要求出力の大きい(つまり設定湿度と検出湿度との開きが大きい)第二領域に属する大きさなのかが判断され、どちらの領域に属するかによって各加湿ヒータ39,41の制御が変わる。つまり、試験中に時々刻々と変化する要求出力が、第一領域に属する大きさなのか、第二領域に属する大きさなのかによって、第一加湿ヒータ39と第二加湿ヒータ41の出力制御を変えるようにしている。
【0039】
加湿制御部43は、要求出力が第一領域に属する大きさである場合と、第二領域に属する大きさである場合とに亘って第一加湿ヒータ39を連続的に作動させる。つまり、要求出力が第一領域に属する大きさから第二領域に属する大きさに変化したときでも、第一加湿ヒータ39は停止されず、また、要求出力が第二領域に属する大きさから第一領域に属する大きさに変化したときでも、第一加湿ヒータ39は停止されない。
【0040】
加湿制御部43は、要求出力が第一領域に属する大きさの場合には、第二加湿ヒータ41を停止する一方で第一加湿ヒータ39を要求出力の大きさに応じて制御する。また、加湿制御部43は、要求出力が第二領域に属する大きさの場合には、第二加湿ヒータ41を要求出力の大きさに応じて制御する。つまり、要求出力が第二領域に属する状態から第一領域に属する状態に移行するときに、第一加湿ヒータ39を停止することなく作動を継続する一方で、第二加湿ヒータ41については停止する。
【0041】
以下、第一加湿ヒータ39の出力値と第二加湿ヒータ41の出力値を、具体的にどのような値に制御するかについて、説明する。ここでは、4つの制御例について説明する。第一制御例及び第二制御例は、要求出力の大きさが最大(100%)になったときに、両加湿ヒータ39,41の出力値がそれぞれ、加湿ヒータの出力容量と等しい値になるように両加湿ヒータ39,41を制御する例である。これに対し、第三制御例及び第四制御例は、要求出力の大きさが最大(100%)になったときに、両加湿ヒータ39,41のトータル出力値が第二加湿ヒータ41の出力容量に等しい出力値になるように、両加湿ヒータ39,41を制御する例である。第一制御例と第二制御例との相違点は、第一領域と第二領域との境界において、第一加湿ヒータ39の出力値を第一加湿ヒータ39の出力容量に等しい出力値にするか(第一制御例)、出力容量よりも低い出力値にするか(第二制御例)という点である。第三制御例と第四制御例との相違点も同様である。
【0042】
<第一制御例>
第一制御例では、要求出力の大きさが最大であるときに、両加湿ヒータ39,41がそれぞれ、両加湿ヒータ39,41の出力容量で出力されるように、加湿制御部43が両加湿ヒータ39,41を制御する。そして、両加湿ヒータ39,41のトータル出力値が、要求出力に対して線形的に変わるように両加湿ヒータ39,41が制御される。
【0043】
例えば、
図2は、第一加湿ヒータ39の出力容量を10Wとし、第二加湿ヒータ41の出力容量を100Wとした場合の第一制御例を示すものである。横軸は、加湿装置35に対する要求出力の大きさを、要求出力の最大値に対する%で示した値(MV値)である。縦軸は、各加湿ヒータ39,41の出力値及びトータルの出力値を示している。なお、要求出力の大きさは、設定湿度と、湿度センサ33による検出湿度との差分に基づいて決まる。
【0044】
図2に示す例では、MV値が1(100%)であるときに、第一加湿ヒータ39の出力値が10Wとなり、第二加湿ヒータ41の出力値が100Wとなる。つまり、トータルで110Wになる。一方、MV値がゼロのときには、両加湿ヒータ39,41の出力値がゼロになる。そして、両加湿ヒータ39,41のトータル出力値は、MV値が変化するに従ってそれぞれ線形的に変化する。
【0045】
加湿制御部43による両加湿ヒータ39,41の制御には、
図2に示すように、MV値の大きさにより、第一領域での制御と、第一領域よりもMV値の大きい領域である第二領域での制御と、がある。第一領域は、MV値が所定の値MVc以下の領域であり、第二領域は、MV値が所定の値MVcよりも大きな領域である。第一領域では、第一加湿ヒータ39のみが作動する。一方、第二領域では、第一加湿ヒータ39及び第二加湿ヒータ41の双方が作動する。
【0046】
第一制御例では、第一領域と第二領域との境界である値MVcのときの第一加湿ヒータ39の出力値が第一加湿ヒータ39の出力容量になるように、第一加湿ヒータ39が制御される。そして、第二領域において、第一加湿ヒータ39の出力値は、第一加湿ヒータ39の出力容量で一定の値となる。この第二領域においては、第二加湿ヒータ41の出力値は、要求出力に基づく両加湿ヒータ39,41のトータル出力値から第一加湿ヒータ39の出力値を差し引いた出力値となる。
【0047】
ここで、MV値に対して、第一加湿ヒータ39と第二加湿ヒータ41の出力値がそれぞれどのような値になるかについて、具体的に説明する。
【0048】
第一加湿ヒータ39の出力容量をHsとし、第二加湿ヒータ41の出力容量をHlとし、両加湿ヒータ39,41のトータル出力容量をHとし、加湿装置35の要求出力の割合に相当するMV値をMVとし、第一加湿ヒータ39の出力割合(出力容量に対する出力値の割合)をMV(y)とし、第二加湿ヒータ41の出力割合(出力容量に対する出力値の割合)をMV(x)とする。この場合、加湿装置35の出力値H・MVは、以下のとおり表すことができる。
【0049】
H・MV=Hl・MV(x)+Hs・MV(y) (1)
トータル出力容量Hは、第一加湿ヒータ39の出力容量Hsと第二加湿ヒータ41の出力容量Hlの和であるため、式(1)は
(Hl+Hs)・MV=Hl・MV(x)+Hs・MV(y) (2)
と表すことができる。
【0050】
要求出力の大きさが第一領域に属する大きさのとき、すなわち、MV値が値MVc以下のとき、第二加湿ヒータ41が停止されるため、MV(x)=0となる。したがって、式(2)から
【0051】
【0052】
が得られる。一方、MV値が値MVcのときには、第一加湿ヒータ39が100%出力となるため、MV(y)=1である。したがって、式(3)は以下の通りとなる。
【0053】
【0054】
つまり、MV値がHs/(Hl+Hs)のときに、第一領域と第二領域との境界となる。そして、要求出力が第一領域に属する大きさから第二領域に属する大きさになって第二加湿ヒータ41の作動を開始するときの要求出力の値MVcは、2つの加湿ヒータ39,41のトータル出力容量Hに対する第一加湿ヒータ39の出力容量Hsの比に基づいて定められる。
【0055】
一方、要求出力の大きさが第二領域に属する大きさのとき、すなわち、MV値が値MVcより大きいときには、第一加湿ヒータ39は出力容量Hsに等しい出力値で出力されるため、MV(y)は1となる。つまり、第二領域においては、第一加湿ヒータ39の出力が一定値に制御される。式(2)のMV(y)に1を代入することにより、MV(x)は式(5)で表される。
【0056】
【0057】
つまり、第二領域での第二加湿ヒータ41の出力値は、要求出力に基づく両加湿ヒータ39,41のトータル出力値から第一加湿ヒータ39の出力値を差し引いた出力値になる。
【0058】
以上より、第二加湿ヒータ41の出力割合MV(x)、及び第一加湿ヒータ39の出力割合MV(y)は、以下のとおり表される。
【0059】
【0060】
式(7)に示されているように、第一領域における第一加湿ヒータ39の出力値は、第一加湿ヒータ39の出力容量Hsに対する、両加湿ヒータ39,41のトータル出力容量Hの比に応じた係数の変化率で変わる。
【0061】
ここで、第一制御例の場合における、加湿装置35の作動中の両加湿ヒータ39,41の出力の時間的変化の一例について説明する。例えば、加湿装置35の駆動開始時の要求出力が第二領域に属する大きさであったとすると、
図3に示すように、開始時には、第一加湿ヒータ39及び第二加湿ヒータ41の両方が作動する。第一加湿ヒータ39は、式(7)の通り、MV値が値MVcよりも大きな領域では、100%出力である。一方、時間の経過とともに要求出力の大きさが次第に小さくなるため、第二加湿ヒータ41の出力は、式(6)の通り、MV値が値MVcになるまで、MV値が小さくなるに従って次第に小さくなる。そして、MV値が値MVcになると第二加湿ヒータ41の出力がゼロとなるが、このときも第一加湿ヒータ39の出力は継続する。そして、MV値がMVc以下の領域においては、第一加湿ヒータ39の出力は、要求出力の大きさに応じた値に制御される。
【0062】
<第二制御例>
第一制御例では、MV値が値MVcのときに、第一加湿ヒータ39の出力が100%出力に設定される。これに対し、第二制御例は、MV値が値MVcのときに、第一加湿ヒータ39の出力が100%未満の値に設定される。MV値が値MVcのときの第一加湿ヒータ39の出力割合をA[%]とすると、式(7)は
【0063】
【0064】
と書き替えられる。この場合、MV値が値MVcから100%になるまで、
図4に示すように、第一加湿ヒータ39の出力割合は、A%から100%までリニアに増加する。つまり、第二制御例では、加湿制御部43は、要求出力が第二領域に属する大きさの場合に、第一加湿ヒータ39の出力が要求出力に応じてリニアに変化するように、第一加湿ヒータ39を制御する。
【0065】
一方、第二加湿ヒータ41の出力割合は、第二領域において0%から100%までリニアに変化する。
【0066】
第一加湿ヒータ39については、第二領域においてA%から100%までリニアに変化する。具体的には、MV(x)、MV(y)は、
【0067】
【0068】
となる。第二制御例では、式(9)、式(10)に従った出力割合で第二加湿ヒータ41及び第一加湿ヒータ39が制御される。
【0069】
<第三制御例>
第一制御例では、要求出力が最大のときに、両加湿ヒータ39,41の出力値がそれぞれ出力容量と等しい出力値になる。これに対し、第三制御例では、
図5に示すように、要求出力の大きさが最大のとき(MV値が100%のとき)に、両加湿ヒータ39,41のトータル出力値が、第二加湿ヒータ41の出力容量Hlに等しい値(100W)になる。つまり、第三制御例では、加湿装置35の出力が、第一加湿ヒータ39と第二加湿ヒータ41の出力容量の比率で、各加湿ヒータ39,41に振り分けられる。このため、両加湿ヒータ39,41の出力値は、式(1)と異なり、式(11)の通り表すことができる。
【0070】
Hl・MV=Hl・MV(x)+Hs・MV(y) (11)
このとき、各加湿ヒータの出力割合は、以下の式(12)、式(13)によって表される。
【0071】
【0072】
第三制御例においても、MV値が値MVc以下のとき、第二加湿ヒータ41が停止されるため、MV(x)=0となる。したがって、式(11)から
【0073】
【0074】
が得られる。つまり、加湿制御部43は、要求出力が第一領域に属する大きさのときに、第一加湿ヒータ39の出力容量Hsに対する第二加湿ヒータ41の出力容量Hlの比に応じた係数の変化率で、第一加湿ヒータ39の出力が変わるように、第一加湿ヒータ39を制御する。
【0075】
一方、MV値が値MVcのときには、第一加湿ヒータ39が最大出力となってMV=1となるため、
【0076】
【0077】
となる。すなわち、第三制御例でも、要求出力が第一領域に属する大きさから第二領域に属する大きさになって第二加湿ヒータ41の作動を開始するときの要求出力の値MVcは、2つの加湿ヒータ39,41のトータル出力容量Hに対する第一加湿ヒータ39の出力容量Hsの比に基づいて定められる。
【0078】
第三制御例では、MV値が値MVc以上のときには、第一加湿ヒータ39の出力が最大出力(MV=1)で一定値となるため、式(11)に式(13)を適用することにより、
【0079】
【0080】
が得られる。
【0081】
以上より、第三制御例では、第二加湿ヒータ41の出力割合MV(x)及び第一加湿ヒータ39の出力割合MV(y)は、以下のとおり表される。
【0082】
【0083】
<第四制御例>
第三制御例では、MV値が値MVcのときに、第一加湿ヒータ39の出力が最大出力になる。これに対し、第四制御例は、MV値が値MVcのときに、第一加湿ヒータ39が最大出力ではなく、最大出力未満に設定される。MV値が値MVcのときの第一加湿ヒータ39の出力割合をA[%]とすると、以下のとおり表すことができる。
【0084】
【0085】
すなわち、第四制御例では、要求出力が第一領域に属する大きさから第二領域に属する大きさになって第二加湿ヒータ41の作動を開始するときの要求出力の値MVcは、第二加湿ヒータ41の出力容量Hlに対する第一加湿ヒータ39の出力容量Hsの比に基づいて定められる。
【0086】
第四制御例でもMV(x)は、MV値に対してリニアに変化する。第四制御例では、
図6に示すように、MV値が値MVcのときとMV値が100%のときとの間で、第一加湿ヒータ39の出力がリニアに変化する。
【0087】
以上より、第四制御例では、第二加湿ヒータ41の出力割合MV(x)及び第一加湿ヒータ39の出力割合MV(y)は、以下のとおり表される。
【0088】
【0089】
以上説明したように、本実施形態では、要求出力が第一領域に収まる大きさの場合には、第二加湿ヒータ41が停止される一方で、第一加湿ヒータ39が要求出力の大きさに応じて制御される。このため、要求出力が第一領域に属する大きさの場合においては、両加湿ヒータ39,41が作動する場合に比べてヒータ出力を小さくしつつヒータ制御を行うことができる。このため、より低湿の場合が相当する第一領域での加湿制御に好適となる。一方、要求出力が第二領域に属する大きさの場合においては、第一加湿ヒータ39が作動しつつ第二加湿ヒータ41が要求出力の大きさに応じて制御される。このため、より高湿の場合が相当する第二領域にある場合においても加湿制御を適切に行うことができる。特に、第二加湿ヒータ41が、第一加湿ヒータ39の出力容量よりも大きな出力容量を有するため、より効率的な加湿度制御が可能となる。しかも、要求出力が第一領域に属する大きさの場合と第二領域に属する大きさの場合との間で、第一加湿ヒータ39が連続的に作動するため、第一加湿ヒータ39による加湿制御から第二加湿ヒータ41による加湿制御に切り換えたり、第二加湿ヒータ41による加湿制御から第一加湿ヒータ39による加湿制御に切り換えたりする場合のように湿度の乱れが生ずることを抑制することができる。また、要求出力が第一領域に属する大きさの場合において、第一加湿ヒータ39を要求出力の大きさに応じて制御するため、加湿容器37の水位を調整する必要もない。このため、水位調整機構を設ける必要もない。
【0090】
また、本実施形態では、要求出力が下がる場合において、要求出力が第二領域に属する状態から第一領域に属する状態に移行するときでも湿度の乱れが生じ難い。すなわち、要求出力が第二領域に属する状態から第一領域に属する状態に移行するときに、第二加湿ヒータ41による加熱から第一加湿ヒータ39による加熱に切り換える制御が行われると、第一加湿ヒータ39が暖まるまでのタイムラグにより、湿度制御に乱れが生じてしまう。これに対し、本実施形態のように、要求出力が第二領域に属する状態のときにも第一加湿ヒータ39が作動している構成では、要求出力が第一領域に属する状態に移行するときには既に第一加湿ヒータ39が暖まっているため、湿度制御の乱れは生じない。そして、要求出力が第一領域に属する状態にあるときには、小さい出力容量の第一加湿ヒータ39によって湿度制御が行われるため、湿度の乱れの無い状態で湿度の微調整を行うことができる。
【0091】
また本実施形態では、MV値が値MVc以上であるとき、すなわち要求出力が第二領域に属する大きさのときに、第一加湿ヒータ39の出力が一定値になるか、または要求出力に応じてリニアに変化する。したがって、要求出力が第二領域に属する状態のときの第一加湿ヒータ39の制御がシンプルになる。
【0092】
また本実施形態では、要求出力が第二領域に属する大きさのときに、第二加湿ヒータ41の出力は、要求出力に基づくトータルのヒータ出力値から第一加湿ヒータ39の出力値を差し引いた出力値になる。このため、第二加湿ヒータ41の出力を容易に算出することができ、第二加湿ヒータ41の制御もシンプルにすることができる。
【0093】
また本実施形態では、値MVcが、2つの加湿ヒータ39,41のトータル出力容量Hに対する第一加湿ヒータ39の出力容量Hsの比、あるいは第二加湿ヒータ41の出力容量Hlに対する第一加湿ヒータ39の出力容量Hsの比に基づいて決まる。つまり、第二加湿ヒータ41を作動させるときのタイミングが、これらの比に基づく値に設定される。このため、第二加湿ヒータ41を作動させるときのタイミングが、第一加湿ヒータ39が分担する負荷割合に応じた要求出力の値のときになる。したがって、要求出力に対して両加湿ヒータ39,41のトータル出力値をリニアに変化させる場合に好適なものとなる。
【0094】
また本実施形態では、第一領域において、第一加湿ヒータ39の出力が、第一加湿ヒータ39の出力容量Hsに対する第二加湿ヒータ41の出力容量Hlの比に応じた係数の変化率、または第一加湿ヒータ39の出力容量Hsに対する両加湿ヒータ39,41のトータル出力容量Hの比に応じた係数の変化率で変わる。したがって、第一領域から第二領域に亘り、ヒータ出力を線形的に変化させる場合に好適なものとなる。
【0095】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。前記実施形態では、要求出力の大きさに応じて2つの領域に分割して、第一加湿ヒータ39及び第二加湿ヒータ41の制御を切り分けるようにしたが、これに限られない。例えば、要求出力の大きさに応じて3つの領域に分割してもよい。この場合、第二領域よりも要求出力の大きな(湿度の高い)第三領域が存在することになり、第二領域は、要求出力の最大値よりも少し低い値になるまでの範囲となる。第三領域では、例えば、第一加湿ヒータ39が停止される等、第二領域とは異なる制御となる。
【0096】
前記実施形態では、第二加湿ヒータ41が、第一加湿ヒータ39の出力容量よりも大きな出力容量を有するが、これに限られない。例えば、第二加湿ヒータ41の出力容量は、第一加湿ヒータ39の出力容量と同じであってもよい。
【0097】
前記実施形態では、第一領域と第二領域との境界が、トータル出力容量Hに対する第一加湿ヒータ39の出力容量Hsの比、または第二加湿ヒータ41の出力容量Hlに対する第一加湿ヒータ39の出力容量Hsの比に基づいて定められるが、これに限られるものではない。第一領域と第二領域との境界は任意の値であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 :環境試験装置
18 :試験室
35 :加湿装置
37 :加湿容器
39 :第一加湿ヒータ
41 :第二加湿ヒータ
43 :加湿制御部