(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102336
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナ
(51)【国際特許分類】
A01F 25/14 20060101AFI20230718BHJP
B65D 88/22 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A01F25/14
B65D88/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002741
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000217251
【氏名又は名称】田中産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 松雄
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
【テーマコード(参考)】
2B100
3E170
【Fターム(参考)】
2B100AA01
2B100HA19
3E170AA29
3E170AB21
3E170AB30
3E170DA11
3E170QA07
3E170SA08
3E170VA16
3E170WG03
(57)【要約】
【課題】上部開口を保持可能なフレキシブルコンテナを合理的且つ低コストで提供する。
【解決手段】収穫物を保管するフレキシブルコンテナであって、このフレキシブルコンテナの上部開口は上縁を外側に折り返して周方向に縫合した袋状部を縫製する一方、この袋状部の任意の位置は前記周方向に縫合しない開放部とし、この開放部は両側に目印となる一対の縫い模様を設けて、この一対の縫い模様の間を下縁が開口するポケット状に縫製し、このポケット状の前記開放部に吊架用フックを差し込み可能とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫物を保管するフレキシブルコンテナであって、このフレキシブルコンテナの上部開口は上縁を外側に折り返して周方向に縫合した袋状部を縫製する一方、この袋状部の任意の位置は前記周方向に縫合しない開放部とし、この開放部は両側に目印となる一対の縫い模様を設けて、この一対の縫い模様の間を下縁が開口するポケット状に縫製し、このポケット状の前記開放部に吊架用フックを差し込み可能としたことを特徴とするフレキシブルコンテナ。
【請求項2】
縫い模様は、幾何学的模様である請求項1記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項3】
縫取り糸は色糸である請求項1または2記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項4】
色糸は赤糸である請求項3記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項5】
袋状部に紐を挿通し、これによって上部開口全体を巾着状に絞縮可能とした請求項1から4のうち何れか一項記載のフレキシブルコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作物収穫機等で収穫した人参等の収穫物を保管・運搬するフレキシブルコンテナであって、収穫物を投入する上部開口を開口状態に保持する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作物収穫機によって人参などの野菜を機械的に収穫する際、作物収穫機に大型のフレキシブルコンテナを取り付けて、これに収穫物を投入する(特許文献1、2)。フレキシブルコンテナの上部開口付近には、その周壁に帯状バンドの両端を縫着した引っ掛け部が適宜間隔で設けられており、これに作物収穫機側の吊り下げ用フックを引っ掛けることによって、上部開口を収穫物が投入可能な開口状態に保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-17075号公報
【特許文献2】特開2021-45062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のフレキシブルコンテナは、上述のように、上部開口を開口保持するために、コンテナ本体とは別布である帯状バンドを縫着して引っ掛け部としていたので、その製作に際しては、帯状バンドの材料費が余分にかかり、また、これを縫着するのにも手間がかかった。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、上部開口を保持可能なフレキシブルコンテナを合理的且つ低コストで製作することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために本発明では、収穫物を保管するフレキシブルコンテナであって、このフレキシブルコンテナの上部開口は上縁を外側に折り返して周方向に縫合した袋状部を縫製する一方、この袋状部の任意の位置は前記周方向に縫合しない開放部とし、この開放部は両側に目印となる一対の縫い模様を設けて、この一対の縫い模様の間を下縁が開口するポケット状に縫製し、このポケット状の前記開放部に吊架用フックを差し込み可能とするという手段を用いた。
【0007】
上記手段によれば、ポケット状の開放部に吊架用フックを下方から差し込み上部開口を吊り上げることによって、収穫物の投入時に上部開口を開口状態に保持することができる。また、ポケット状部は上部開口を折り返した布地で構成されるため、専用の部材を別途用意する必要がなく、左右に縫い模様を縫製するだけで完成する。
【0008】
この縫い模様は、開放部(の両側)を補強する他、このフレキシブルコンテナを作物収穫機等に取り付ける際に、使用者にポケット状の開放部の位置を視認させる目印の機能も兼ね備える。
【0009】
縫い模様としては、花模様などの複雑な模様でもよいが、開放部を示す目印であればよいため、縫製の手間がかからない簡易な模様とすることが好ましい。具体的には、方形・三角形・菱形・多角形・円形・楕円形などや、これらの一部図形(円弧や楕円弧)の他、これらを組み合わせた幾何学的模様を例示することができる。また、ジグザグ模様や稲妻模様の他、アルファベット(欧文字)などの文字も含み、Zなどの一筆書きできる文字であれば、より簡単に縫い模様を形成することができる。なお、1本の線や、1本の曲線であっても、目印となる場合は、本発明の縫い模様に含まれる。また、袋状部の縦幅(折り返し幅)の全幅に亘って縫い模様を設ける必要もなく、例えば袋状部の縦幅の半分の上下幅で縫い模様を設けてもよい。
【0010】
さらに、縫い模様に使用する縫取り糸を色糸とすれば、より視認しやすくなり、特に、赤色の糸を使用することによって、ポケット状の開放部の位置を一層目立たせることができる。
【0011】
また、袋状部は周方向に中空であるため、この袋状部に紐を挿通し、この紐によって上部開口全体を巾着状に絞縮可能とすれば、収穫物の収容後、上部開口を簡単に閉塞することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、収穫物を投入する上部開口は上縁を外側に折り返して周方向に縫合した袋状部を構成する一方、この袋状部の任意の位置は未縫合の開放部とし、この開放部には両側端に目印となる一対の縫い模様を設け、この一対の縫い模様の間を下縁が開口するポケット状部とし、このポケット状部に吊り下げ用のフックを差し込み可能としたので、作物収穫機等に吊り下げたときに上部開口を簡単に保持した状態で簡単に取り付けられ、また、製作コストや手間も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフレキシブルコンテナの全体斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。
図1は本発明の一実施形態として、特に人参の収穫・運搬に好適なフレキシブルコンテナ(開口状態)の斜視図であって、1は四周面を有する四角筒状の胴部、2は胴部1の上側に連成した上蓋、3は上記胴部1の下側に周設されて胴部下底を閉止可能とした底蓋であり、四枚の菊割り片3aを、その下端縁に挿通された紐又はロープ3bなどで絞縮することによって底面を形成するようにしたものである。また、4は上記胴部1の外面2箇所に対設された逆U字形の吊りベルトであって、人参の収穫・運搬や排出時に本フレキシブルコンテナを吊り上げる際に使用する。
【0015】
このような基本的な構成を備えたフレキシブルコンテナにおいて、本発明の特徴点は上蓋2の上部開口の構造にある。即ち、上蓋2の上部開口は、上縁を外側に折り返し、この折り返しによって下縁となった部分を裏布に対して周方向に縫合5することで、中空の袋状部6を縫製する一方、この袋状部6の四箇所は前記縫合5を施さず、
図2に示すように、周方向に未縫合部分7を含む開放部8としている。
【0016】
さらに、この開放部8は、
図2に示すように、両側に「三角形状」の縫い模様9を一対設けることで、この一対の縫い模様9の間を未縫合部分7が開口するポケット状に縫製している。
【0017】
そして、
図3に示すように、ポケット状に縫製された開放部8に対しては、下方から未縫合部分7を介して吊架用フックFを差し込むことができ、これによって、収穫物の投入時に、上蓋2を開口状態に保持することができる。その際、開放部8が袋状部6のどの位置にあるかは、縫い模様9を目印として、容易に視認することができる。
【0018】
縫い模様9は、この実施形態では「三角形状」であるため、その鋭角部分によって、開放部8を強く指し示す効果がある。また、三角形状は一筆書きできるため、その縫製も比較的簡単である。さらに、縫い模様9を赤色の縫取り糸で形成することで、より一層、開放部8の位置を目立たせることができる。
【0019】
このように、本実施形態のフレキシブルコンテナは、上部開口を折り返して、縫い模様9を施すことで、ポケット状の開放部8を縫製することができる。その際、縫い模様9を施す部分の補強布を含め、別布を用意する必要が一切ない。それにもかかわらず、吊架用フックの差し込み口(開放部8)を目立つ状態で構成でき、非常に使用勝手がよいフレキシブルコンテナとすることができる。
【0020】
また、袋状部6は周方向に中空であるため、これに紐10を挿通すれば、この紐10によって上蓋2の上部開口全体を巾着状に絞縮でき、収穫後に上蓋2を閉止することができるようになって、非常に合理的である。
【0021】
なお、上記実施形態は本発明のあくまでも一例であって、全体の形状を円筒状にしたり、底蓋3を本出願人が保有する特許第6767787号に係る特許発明で採用の底蓋に変更したりすることができる。また、開放部8の数や位置も変更でき、縫い模様9も他の模様に変更できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0022】
1 胴部
2 上蓋
3 底蓋
4 吊りベルト
5 上縁折り返し部の縫合部分
6 袋状部
7 上縁折り返し部の未縫合部分
8 開放部
9 縫い模様
10 紐
F 吊架用フック