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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102379
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】吊具装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/28 20060101AFI20230718BHJP
   B66C 1/10 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
B66C1/28 C
B66C1/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002825
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政数
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA08
3F004AB14
3F004AG10
3F004EA24
3F004KA01
(57)【要約】
【課題】作業者の目線よりも高い位置に吊り対象物があっても玉掛け作業を容易にできる吊具装置を提供する。
【解決手段】吊下げ部2と、係止部3と、規制部4とを備えて吊り対象物を吊リ下げる吊具装置1であって、 係止部3は、吊り対象物の側面の穴若しくは凹部に挿入される方向に、制限された角度範囲で吊下げ部3に回転可能に設けられ、吊り対象物を対向して一対で係止し、規制部4は、吊下げ部3に固定されて吊り対象物の水平方向の吊下げ部3との相対位置を規制する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊下げ部と、係止部と、規制部とを備えて吊り対象物を吊リ下げる吊具装置であって、
前記係止部は、前記吊り対象物の側面の穴若しくは凹部に挿入される方向に、制限された角度範囲で前記吊下げ部に回転可能に設けられ、前記吊り対象物を対向して一対で係止し、
前記規制部は、前記吊下げ部に固定されて前記吊り対象物の水平方向の前記吊下げ部との相対位置を規制する吊具装置。
【請求項2】
前記各係止部は、リンク機構で接続されて連動し、前記吊り対象物を挟む方向に付勢されて開閉可能である請求項1に記載の吊具装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り対象物を吊る吊具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動ホイストや電動バランサを用いて吊り対象物を昇降する際に、吊り対象物を係止する吊具装置が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-23196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、吊り対象物の対向する2つの側面の係止される部分で係止する吊り具が開示されている。吊り対象物が作業者の目線よりも高く複数段積みされている場合、両側面の係止される部分は地上に居る作業者から同時に目視が困難な場合があって、玉掛け作業に多大な労力が必要となる。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑みてなられたものであり、作業者の目線よりも高い位置に吊り対象物があって、吊り対象物の係止される部分を同時に視認が困難な場合であっても玉掛け作業を容易にできる吊具装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、
吊下げ部と、係止部と、規制部とを備えて吊り対象物を吊リ下げる吊具装置であって、
係止部は、吊り対象物の側面の穴若しくは凹部に挿入される方向に、制限された角度範囲で吊下げ部に回転可能に設けられ、吊り対象物を対向して一対で係止し、
規制部は、吊下げ部に固定されて吊り対象物の水平方向の吊下げ部との相対位置を規制する。
【0007】
また、各係止部は、リンク機構で接続されて連動し、吊り対象物を挟む方向に付勢されて開閉可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吊具装置によれば、 作業者の目線よりも高い位置にある吊り対象物の玉掛け作業を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る吊具装置と吊り対象物と電動バランサの外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る吊具装置の外観斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る吊具装置の外観斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る吊具装置と吊り対象物の正面図である。
図5】本発明の実施形態に係る吊具装置と吊り対象物の正面図である。
図6】本発明の実施形態に係る吊具装置と吊り対象物の正面図である。
図7】本発明の実施形態に係る吊具装置と吊り対象物の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る吊具装置を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る吊具装置と吊り対象物と電動バランサの外観斜視図であって、吊具装置で吊り対象物を吊った状態の斜視図である。吊り対象物は例えば箱型の容器11である。容器11は、非使用時は容器置き場に段積みされて保管され、必要に応じて最上段から取り出して使用される。容器11には、矩形の凹部12が側面に設けられている。凹部12は、図に現れない対向した側面に対となって2箇所ある。したがって作業者は凹部12を利用して容器11を移動させることができる。凹部12は必ずしも窪みではなく、貫通した穴の場合もあるが、鉛直上向きに係止できる部分を有するものであれば良い。
【0012】
電動バランサ21は、内蔵した荷重センサにより吊り対象物の重量を検出し、電動モータによって吊下げた吊り対象物の重量をキャンセルさせるようにアシストし、吊り対象物である容器11の昇降を容易にするものである。そして電動バランサ21は、吊り対象物に外力が加わるとこれを荷重センサで検出して、予め登録してある吊り対象物の重量に合致するように制御するので、作業者は軽微な力を印加することで容器11の昇降を容易に実施できる。また電動バランサ21は、x方向及びy方向のレールを走るレールブロック等に吊るされて、x方向及びy方向に自在に水平移動できる。
【0013】
リモコン22は、電動バランサ21の動作を無線により指令するものである。リモコン22は電池を内蔵し、電動バランサ21へ、昇降(上下)動作指令、現在位置での保持指令、吊り対象物の重量をキャンセルさせるアシスト動作指令を、各釦によって行うものである。
【0014】
図2は本発明の実施形態に係る吊具装置を上方から見た外観斜視図である。吊下げ部2は、電動バランサ21の吊り荷用フックに吊り下げられるように上端部に引掛け用のアイボルトとこれを固定するベース板2cを含んでいる。そしてベース板は2本のフレーム2aと固定接続され、2本のフレーム2aとベース板2cとフレーム2bとで枠の構造を構成している。
【0015】
係止部3は、容器11を係止して吊るためにUの字形状となっている。係止部3の先端部は、容器11の凹部12の面に当接して、容器11を吊ることができる。そして係止部3は支持板3aに固定され、支持板3aは回動部材3bに固定されている。回動部材3bは軸9を中心として制限された角度範囲で回転自在である。この係止部3及び支持板3aはy方向で対向してその両単に略同一形状にて配置されている。支持板3aにはハンドル6が固定されている。図2では係止部3はy方向に開いた状態である。係止部3が開いた状態の時、2つの係止部3の先端部のy方向の距離は、容器11のy方向の距離より大きい。ハンドル6は作業者が掴んで動かすことにより、係止部3の開閉と、電動バランサ21に吊られた吊具装置1を移動させるためのものである。
【0016】
対向する2つの係止部3は、回動部材3b及びリンクアーム8を介してリンク機構で連結され、例えばハンドル6を操作することで、各係止部3の開閉を同時に行うことができる。
【0017】
図3は本発明の実施形態に係る吊具装置を下方から見た外観斜視図であって、図3(a)は係止部3が閉じた状態、図3(b)は係止部3が開いた状態、をそれぞれ示している。
【0018】
図3(a)、図3(b)において右側に配置された支持板3aと、フレーム2bとの間にはスプリング5が配置されている。フレーム2bは固定部であり、スプリング5は引張バネであることから、常に係止部3は軸9を中心としたx軸回りで閉じた方向に付勢されている。したがって係止部3を開くためには、ハンドル6によって操作する必要がある。
【0019】
規制部4が、フレーム2aの下面に4箇所取り付けられている。規制部4は略L字型の板であって、吊下げ部2と容器11との水平方向(ここではy方向)の相対位置を規定する役割を成す。規制部4の先端部は、若干の角度を有して折れ曲がっていて、吊具装置1を容器11に誘い込む役割を成している。
【0020】
図4から図7は本発明の実施形態に係る吊具装置と容器11の正面図であって、一連の作業における吊具装置と容器11との状態を示している。以下に吊具装置1を用いて作業者が行う作業の詳細を説明する。
【0021】
作業者は、任意の位置で電動バランサ21をアシスト状態にし、吊具装置1のハンドル6を握って吊具装置1を容器11の鉛直上付近に移動させる。この時作業者は、吊具装置1の重量のみで重量を登録し、電動バランサ21は吊具装置1の重量をキャンセルするように作業者の昇降行為をアシストする。図4では吊具装置1は、容器11に対して若干マイナスy方向に位置している。そこで作業者は、図4の状態からおおよそ吊具装置1が容器11の真上に来るようにプラスy方向へハンドル6を握って操作して吊具装置1を誘導する。そして作業者は、吊具装置1がほぼ容器11の真上に位置したら、規制部4を容器11の側面に当てつつ係止部3を開き、吊具装置1を降下させる。
【0022】
図5は、規制部4のy方向に伸びる部分(規制部4がフレーム2aに固定されている部分)が容器11の上縁に当接した時の吊具装置と容器11の状態を示す。すると吊具装置1はこれより下降することはできないので、作業者は2つの係止部3が凹部12に入るように吊具装置1の図面奥行き方向(x方向)の位置を調整して、ハンドル6から手を離す。
【0023】
図6は、2つの係止部3が凹部12に挿入された時の吊具装置1と容器11の状態を示す。図5において作業者がハンドル6から手を離すと、係止部3はスプリング5によって容器11を挟み込む方向に付勢されているので、係止部3は凹部12に挿入されて次いで挟み込まれる。この状態では係止部3が容器11を挟み込んでいるが、未だ容器11は持ち上がっていない状態である。そこで作業者は、リモコン22の上昇釦を継続的に押し続ける。すると電動バランサ21は吊具装置1を上昇させ、容器11が下の容器11から浮いた状態となる。
【0024】
図7は、電動バランサ21が吊具装置1及び容器11を吊り上げた状態を示す。作業者は、係止した容器11が下の容器11から浮いた状態でリモコン22の上昇釦を押すのをやめて、アシスト指令の釦を押す。すると、電動バランサ21は吊具装置1と容器11との合算重量を登録して、この合算重量を基に吊具装置1及び容器11をバランスさせるアシストを実行する。この時点から、作業者は、吊具装置1のハンドル6を握って僅かな操作力で容器11を自在に昇降することができる。容器11の昇降の操作は、ハンドル6に限らず、ハンドル7や吊下げ部2、容器11などの任意の位置に外力を加えることで、行うことができる。
【0025】
次いで、吊具装置1から容器11を開放する時について説明する。もし規制部4が設けられていない場合には、作業者が吊下げ部2を開放した際に、ハンドル6側の係止部3は即座に容器11の凹部12から離脱するが、反対側の係止部3を支点として係止が残ったまま容器11が回転する場合が生じる。規制部4は、吊具装置1を容器11へ誘導するばかりでなく、容器11の離脱時においても円滑な動作を提供する。したがって例えば容器11に液体などが入れられて姿勢を保つ必要がある場合などにおいて、この規制部4は極めて有用である。
【0026】
また、上記の実施形態では、一例として容器を吊る吊具装置について説明したが、これに限らず側面に係止可能な穴や凹部を有する対象物を吊す吊具装置であってもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上説明したように、本発明の吊具装置は、箱型容器等の対象物の昇降に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 :吊具装置
2 :吊下げ部
2a :フレーム
2b :フレーム
2c :ベース板
3 :係止部
3a :支持板
3b :回動部材
4 :規制部
5 :スプリング
6 :ハンドル
7 :ハンドル
8 :リンクアーム
9 :軸
11 :容器(吊り対象物)
12 :凹部
21 :電動バランサ
22 :リモコン



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7