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特開2023-102459酸化物スパッタリングターゲット、その製造方法、及び薄膜形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102459
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】酸化物スパッタリングターゲット、その製造方法、及び薄膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20230718BHJP
   C04B 35/453 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
C23C14/34 A
C04B35/453
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002952
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】522015294
【氏名又は名称】ケイブイマテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】姜 信 赫
(72)【発明者】
【氏名】ムン ジョン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】玉 康 敏
(72)【発明者】
【氏名】朴 炯 律
(72)【発明者】
【氏名】チョ ジョ ハン
(72)【発明者】
【氏名】丁 海 弘
(72)【発明者】
【氏名】金 聖 昊
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BD01
4K029CA05
4K029DC05
4K029DC09
4K029DC24
4K029DC34
4K029DC39
(57)【要約】
【課題】酸化物半導体の活性層または活性層を保護する保護層を形成するための酸化物スパッタリングターゲットの製造方法を提供する。
【解決手段】DCスパッタリング中、DC放電安全性が向上されてターゲット表面のクラック及びノジュール発生が抑制される酸化物スパッタリングターゲットの製造方法に関する。このために、10~20重量部の酸化インジウムと、25~35重量部の酸化ガリウムと、50~60重量部の酸化亜鉛とを混合して混合物を得ることと、この混合物を成形して成形体を得ることと、この成形体を焼結して焼結体を得ることとを含む、酸化物スパッタリングターゲットの製造方法が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10~20重量部の酸化インジウムと、25~35重量部の酸化ガリウムと、50~60重量部の酸化亜鉛とを混合して混合物を得ることと、
前記混合物を成形して成形体を得ることと、
前記成形体を焼結して焼結体を得ることとを含む、
酸化物スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項2】
In、Ga、Zn、Oの組成を基盤にして、In=5~15原子比、Ga=25~35原子比、Zn=55~65原子比を有する、酸化物スパッタリングターゲット。
【請求項3】
XRD分析において、InGaZnOx相対比InOx相の割合が5%未満である、請求項2に記載の酸化物スパッタリングターゲット。
【請求項4】
相の大きさが100μm以下であるZnO相を含む、請求項2に記載の酸化物スパッタリングターゲット。
【請求項5】
バルク比抵抗が10E+06Ωcm以下である、請求項2に記載の酸化物スパッタリングターゲット。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の酸化物スパッタリングターゲットを使ってDCマグネトロンスパッタリングして薄膜を形成する、薄膜形成方法。
【請求項7】
前記薄膜は非晶質薄膜である、請求項6に記載の薄膜形成方法。
【請求項8】
前記薄膜は薄膜トランジスターの活性層または活性層の保護層である、請求項6に記載の薄膜形成方法。
【請求項9】
前記薄膜トランジスターは液晶ディスプレイ装置または有機発光ディスプレイ装置に具備される薄膜トランジスターである、請求項8に記載の薄膜形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物スパッタリングターゲット、より詳しくは酸化インジウムガリウム亜鉛スパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、DCスパッタリングが可能でDC放電安全性が向上されてターゲット表面のクラック及びノジュール発生が抑制された酸化物スパッタリングターゲット、その製造方法、及びそれを用いる薄膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、薄膜トランジスター(thin film transistor:TFT)はSRAMやROMにも応用されるが、主にアクティブマトリックス型平板ディスプレイ(active matrix flat panel display)の画素(pixel)スイチング素子で使用され、例えば、液晶ディスプレイ、有機電界発光ディスプレイ等のスイッチ素子、電流駆動素子等で使用されている。ここで、スイチング素子で使用される薄膜トランジスターは個別画素を独立的に制御するようにして各画素がそれぞれ他の電気信号を表現するようにする役割をする。
【0003】
このような薄膜トランジスターの活性層としては、インジウム、ガリウム、亜鉛などを含む酸化物薄膜が使用されているが、薄膜でインジウムの含量が高い場合は素子安全性が低下する問題点がある。インジウム含量を減らすか、またはガリウムと亜鉛の量を増やすことで、素子安全性を改善することができるが、適切な水準を得るようになれば、ターゲットの比抵抗がとても高くなりDCスパッタリングが不可能になることがある。
【0004】
一方、活性層の保護層に適用するためには保護層も半導体の特性を持たなければならない。そうではない場合、すなわち、保護層の移動度がとても高くて伝導性を備える場合は素子にショートが発生することがあり、一方で保護層の移動度がとても低くて不導体の特性を示す場合は素子の駆動が不可能になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、酸化物半導体の活性層または酸化物半導体の活性層を保護する保護層を形成するための酸化物スパッタリングターゲットであって、DCスパッタリングが可能であり素子安全性を改善することができる酸化物スパッタリングターゲット、その製造方法、及びそれを用いる薄膜形成方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、DCスパッタリングにおいて、DC放電安全性が向上されてターゲット表面のクラック及びノジュールの発生が抑制された酸化物スパッタリングターゲットの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明の一側面は、10~20重量部の酸化インジウムと、25~35重量部の酸化ガリウムと、50~60重量部の酸化亜鉛とを混合して混合物を得ることと、前記混合物を成形して成形体を得ることと、前記成形体を焼結して焼結体を得ることとを含む、酸化物スパッタリングターゲットの製造方法を提供する。一実施形態では、1300℃以上の高温で焼結することができる。
【0008】
また、本発明の他の側面は、In、Ga、Zn、Oの組成基盤にして、In=5~15原子比、Ga=25~35原子比、Zn=55~65原子比を有する酸化物スパッタリングターゲットを提供する。
【0009】
一実施形態では、前記酸化物スパッタリングターゲットは、XRD分析において、InGaZnOx相対比InOx相の割合が5%未満であることができる。これらの中でも、例えば形成された相の中でIn相が含まれないこともある。他の実施形態では、ZnO針状構造の成長が抑制されて大きさが100μm以下のZnO相を有することができる。
【0010】
また、さらに他の実施形態では、バルク比抵抗が10E+06Ωcm以下であってよい。これによって、DCスパッタが可能な程度の伝導性を有しているターゲットとしてより好ましく使用することができる。
【0011】
一方、本発明のさらに他の側面は、前記酸化物スパッタリングターゲットを使ってスパッタリング工程を通じて薄膜を形成することができ、形成された薄膜は酸化インジウムガリウム亜鉛成分の非晶質相を有することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の割合でそれぞれ含有されているIn、Ga、Zn、O組成を基盤とする物質で構成されることで、酸化物スパッタリングターゲット自体が伝導性を備えDCスパッタを可能とすることができる。
【0013】
また、適切なInとZnの含量と焼結方法で、焼結体のうちでInの結晶相の生成を抑制して、ZnOの結晶相の大きさを100μm以下にすることで、DCスパッタリングの長期間使用においてターゲット表面へのノジュールの発生を抑制し安定的な放電特性を有することができ、ターゲット表面へのノジュールの発生によるターゲット寿命低下を効果的に抑制することができる。また、この酸化物スパッタリングターゲットを使って形成された薄膜の場合は高い非晶質薄膜品質(パーティクル低減)を期待することができる。
【0014】
さらに、In相の発生が抑制されることでターゲット表面にIn相(ノジュール発生の主要因子)によるノジュール発生可能性を減らすことができ、ターゲットの品質側面ではIn相のアブノーマルグロース(abnormal growth)によるターゲット表面のブラックスポット(black spot)及びグローススポット(gloss spot)の発生を抑制する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態による薄膜トランジスターの構造を概略的に示す断面図である。
図2】実施例1のターゲットの微細構造を示す図面である。
図3】実施例1のターゲットの使用後の表面状態を示す図面である。
図4】比較例1のターゲットの微細構造を示す図面である。
図5】比較例1のターゲットの使用後の表面状態を示す図面である。
図6】比較例2のターゲットの微細構造を示す図面である。
図7】比較例2のターゲットの使用後の表面状態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のいくつかの実施形態を挙げて酸化物スパッタリングターゲット、その製造方法、及びそれを用いる薄膜形成方法について詳しく説明する。なお、本発明は以下で説明される具体例に限定されるものではない。
【0017】
さらに、本発明を説明する際において、関連される公知機能あるいは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曇らせることがあると判断される箇所では、その詳細な説明は省略している。
【0018】
一実施形態では、10~20重量部の酸化インジウムと、25~35重量部の酸化ガリウムと、50~60重量部の酸化亜鉛とを混合して混合物を得て、その混合物を成形して成形体を得て、その成形体を焼結して焼結体を得て、酸化物スパッタリングターゲットを製造することができる。
【0019】
一実施形態では、前記混合物にPVA、PEGなどの有機バインダーが混合されることがある。
【0020】
一実施形態では、前記のような組成比で酸化インジウム粉末、酸化ガリウム粉末、及び酸化亜鉛粉末を混合した後、乾式加圧成形(cold press)、スリップキャスティング(slip casting)、フィルタープレス(filter press)、静水圧成形(cold isostatic press)、ゲルキャスティング(gel casting)、強制沈降(centrifugal sedimentation)、自然沈降(gravimetric sedimentation)などの成形法を通じて成形した後、これに対する焼結を通じて製造されることができる。例えば、1300℃以上の高温で焼結することができる。
【0021】
一実施形態で、製造されたターゲットはIn、Ga、Zn、O組成を基盤にして、In=5~15原子比、Ga=25~35原子比、Zn=55~65原子比を有することができる。これらの中でも、例えば酸化物スパッタリングターゲットはIn:Ga:Zn=10:30:60原子比を有することができる。
【0022】
一実施形態で、前記酸化物スパッタリングターゲットは、XRD分析において、InGaZnOx相対比InOx相の割合が5%未満であってよい。ここで、x>0である。これらの中でも、例えばIn相の割合が5%未満であってよい。さらに、これらの中でも、例えば形成された相のうちでIn相が含まれなくてもよい。また、ZnO針状構造の成長が抑制されて、大きさが100μm以下のZnO相を有することができる(ここで、相の大きさはASTME112方法で測定されることができる。)。
【0023】
また、酸化物スパッタリングターゲットは、バルク比抵抗が10E+06Ωcm以下であってよい。これによって、DCスパッタが可能な程度の伝導性を有しているターゲットを提供することができる(ここで、バルク比抵抗は4ポイントプローブ(point probe)測定法または表面電位測定法で測定されることができる。)。
【0024】
酸化物スパッタリングターゲットの一実施形態は、図1に示す薄膜トランジスターの酸化物半導体の活性層または活性層の保護層を成膜させるための、例えば、DCマグネトロンスパッタリング装置に適用されるスパッタリングターゲットであってよい。詳しくは、スパッタリングプラズマ粒子をターゲットに速い速度で衝突させて、飛び出すターゲットの粒子をターゲットの向かい側にある基板の上に蒸着させる方法である。
【0025】
ターゲットは、例えば、金属材でなされたバッキングプレート(backing plate)と接合されて支持された状態でスパッタリング工程に使用されることができる。
【0026】
図1は、ボトムゲート構造の薄膜トランジスターを例示しているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、本発明のスパッタリングターゲットはトップゲート構造の薄膜トランジスターなど多様な構造の薄膜トランジスターの薄膜蒸着に使用されることができる。
【0027】
一実施形態で、前記薄膜トランジスターは液晶ディスプレイ装置または有機発光ディスプレイ装置に具備される薄膜トランジスターであることができる。
【0028】
このような薄膜トランジスター100は、ゲート電極110、ゲート絶縁膜120、活性層130、ソース電極140及びドレイン電極150を含んで形成される。
【0029】
ゲート電極110は基板10上に形成されるが、ディスプレイ装置に適用される場合、基板10上に第1方向、例えば、横方向に沿って配列されるゲートライン(図示せず)から分岐されて形成される。このようなゲート電極110には薄膜トランジスター100をオン/オフするための電圧が印加される。このために、ゲート電極110は金属、または金属酸化物のような伝導性物質で形成されることができる。例えば、ゲート電極110はPt、Ru、Au、Ag、Mo、Al、WまたはCuのような金属、またはIZO(Indium Zinc Oxide)またはITO(Indium Tin Oxide)のような金属または伝導性酸化物で形成されることができる。すなわち、ゲート電極110は基板10上に前記の伝導性物質を薄膜で蒸着した後、これをパターニングして形成されるが、ゲートライン(図示せず)と一つの工程を通じて同時に形成されることができる。
【0030】
ゲート絶縁膜120は通常的な半導体素子に使用される絶縁物質で形成されることができるが、特に、シリコン酸化物またはシリコン窒化物で形成されることができる。例えば、ゲート絶縁膜120はSiOまたはSiOより誘電率が高いHigh-K物質であるHfO、Al、Siまたはこれらの混合物でなされることができる。
【0031】
活性層130はゲート電極110に相応されるゲート絶縁膜120上に形成されてチャンネル領域(CH)を具備する。そして、本発明の一実施形態では、活性層130は上述した本発明の一実施形態による酸化物半導体スパッタリングターゲットを利用したスパッタリング工程を通じてゲート絶縁膜120上に蒸着され、パターニングされて形成される。
【0032】
ソース電極140及びドレイン電極150は、活性層130上に離隔配列される。このようなソース電極140及びドレイン電極150は金属など導電物質でなされることができる。ソース電極140は基板10上で、ゲートライン(図示せず)と直交する第2方向、例えば、縦方向に沿って配列されるデータライン(図示せず)と連結される。そして、ドレイン電極150は画素電極(図示せず)と連結される。
【0033】
一方、活性層130上には活性層保護層135が形成されることができる。活性層保護層135は活性層130を保護する機能を遂行する。
【0034】
また、図1に示していないが、薄膜トランジスターは、ソース電極及びドレイン電極の上部に形成されるパッシベーション層(図示せず)などを含むことができる。パッシベーション層としては、SiO、SiNxなどの物質及びその他の酸化物が使用されることができる。
【0035】
このような、本発明の一実施形態による薄膜トランジスター100は各種ディスプレイ装置のスイチング素子や電流駆動素子で使用される。例えば、図示されないが、薄膜トランジスター100がお互いに対向されるように向い合う上、下部基板と、その間に介在されている液晶層及び下部基板の背面に配置されて前方に光を照射するバックライトを具備する液晶ディスプレイ装置(LCD)に使用される場合、薄膜トランジスター100は多数個のゲートラインとデータラインが配列された下部基板のうちでこれらのラインが交差して定義される画素(pixel)領域に形成されることができる。
【0036】
また、本発明の一実施形態による薄膜トランジスター100は、液晶ディスプレイ装置の他にも有機発光ディスプレイ装置(OLED)にも使用されることができる。この場合、薄膜トランジスター100は多数個のゲートラインとデータラインが配列された下部基板のうちでこれらラインが交差して定義される画素(pixel)領域に形成される。この場合、下部基板には有機発光素子が形成される。このような下部基板と上部基板が合着されて有機発光ディスプレイ装置の有機発光パネルを成すようになる。
【実施例0037】
(実施例1)
酸化インジウム、酸化ガリウム及び酸化亜鉛を混合して混合物を得るが、酸化インジウムの含有率が酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の含有率合計対比15重量%、酸化ガリウムの含有率が酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の含有率合計対比30重量%、酸化亜鉛の含有率が酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の含有率合計対比55重量%になるように混合した。このように得られた混合物を成形して成形体を得た後、焼結して酸化物スパッタリングターゲットを製作した。
【0038】
ターゲットの密度はアルキメデス法、微細構造はSEM(走査型電子顕微鏡)分析、結晶構造はXRD(X線回折)分析を通じて分析した。
【0039】
XRD分析の結果から、InGaZnO、ZnGa、そして、ZnO相が形成されたことを分かった。また、SEM微細構造分析の結果から、ZnO相が形成されても針状構造への成長が抑制されたことを分かる(図2参照)。これによって、6.83g/cmの高い焼結密度を得ることができ、ターゲットの比抵抗も安定的なDCスパッタが可能な水準である10E+04Ωcmを得ることができた。これにより、長期間使用してもターゲット表面にクラックが発生されなかった(図3参照)。これと併せて、ターゲット表面にノジュールが発生しなくて高寿命のターゲットとハイクオリティーの薄膜を得ることができる。
【0040】
(比較例1)
酸化インジウム、酸化ガリウム及び酸化亜鉛を混合して混合物を得るが、酸化インジウムの含有率が酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の含有率合計対比8重量%、酸化ガリウムの含有率が酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の含有率合計対比33重量%、酸化亜鉛の含有率が酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の含有率合計対比59重量%になるように混合した。このように得られた混合物を成形して成形体を得た後、焼結して酸化物スパッタリングターゲットを製作した。
【0041】
ターゲットの密度はアルキメデス法、微細構造はSEM分析、結晶構造はXRD分析を通じて分析した。
【0042】
XRD分析の結果から、InGaZnO、ZnGa、そして、ZnO相が形成されたことを分かった。また、SEM微細構造分析の結果から、一部が針状のZnO相で形成されることが分かり(図4参照)、これにより焼結密度も6.38g/cmで相対的に低いことが分かった。これと併せて、比較例1のターゲットの場合、比抵抗が略10E+07Ωcm水準で高くて、DCスパッタが不可能であり、RFスパッタを使用する場合にも長期間使用時にターゲット表面にクラックが発生されたことが分かった(図5参照)。これは、ターゲットの低い密度と低い機械的強度、高い比抵抗に起因すると考えられる。
【0043】
(比較例2)
酸化インジウム、酸化ガリウム及び酸化亜鉛を混合して混合物を得るが、酸化インジウムの含有率が酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の含有率合計対比22重量%、酸化ガリウムの含有率が酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の含有率合計対比33重量%、酸化亜鉛の含有率が酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の含有率合計対比45重量%になるように混合した。このように得られた混合物を成形して成形体を得た後、焼結して酸化物スパッタリングターゲットを製作した。
【0044】
ターゲットの密度はアルキメデス法、微細構造はSEM分析、結晶構造はXRD分析を通じて分析した。
【0045】
XRD分析の結果から、InGaZnO、ZnGa、そして、In相が形成されたことを分かった(図6参照)。これによって6.91g/cmの相対的に高い焼結密度と10E+03Ωcm水準で低い比抵抗を実現することができた。これにより、安定的なDCスパッタを実現することができたが、ターゲット表面にノジュールが生成されることを確認することができた(図7参照)。このようなノジュールはIn相に起因するものであり、ターゲットの寿命を短くしパーティクル発生量も相対的に増加することで、薄膜品質に悪い影響を及ぼすことがある。
【0046】
以上のように、本発明は例示的ないくつかの実施形態によって説明されたが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野で通常の知識を有する者なら、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。
【0047】
さらに、本発明の範囲は前記の実施形態に限定されて決まるものではなく、添付する特許請求範囲によって決まるものであり、さらに特許請求範囲と均等なものなどによって決まらなければならない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7