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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102468
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】繊維処理用害虫忌避組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 47/16 20060101AFI20230718BHJP
   A01N 37/18 20060101ALI20230718BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20230718BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20230718BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A01N47/16 A
A01N37/18 Z
A01N25/00 101
A01N25/02
A01P17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002965
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菊田 さやか
(72)【発明者】
【氏名】猪口 佳浩
(72)【発明者】
【氏名】引土 知幸
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC06
4H011BA01
4H011BB06
4H011BB09
4H011BC03
4H011DA13
4H011DC05
4H011DD07
4H011DE17
4H011DF06
4H011DG15
(57)【要約】
【課題】繊維製品に処理した際に、優れた害虫忌避効果を示す、水を含む繊維処理用害虫忌避組成物を提供すること。
【解決手段】(A)害虫忌避成分と、(B)グリコールモノエーテル化合物と、(C)水と、を含有する繊維処理用害虫忌避組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)害虫忌避成分と、
(B)グリコールモノエーテル化合物と、
(C)水と、を含有する繊維処理用害虫忌避組成物。
【請求項2】
前記(A)害虫忌避成分は、イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、フェノトリンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、請求項1に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。
【請求項3】
前記(B)グリコールモノエーテル化合物は、フェノキシエタノールを含む、請求項1又は2に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。
【請求項4】
前記繊維は、水酸基又はウレタン結合を有する繊維を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。
【請求項5】
前記繊維は、綿、ポリウレタン、及びレーヨンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。
【請求項6】
前記害虫は、蚊、ブユ、サシバエ、イエバエ、マダニ、ナンキンムシ、アブ、ヤマビル、ツツガムシ、ユスリカ、チョウバエ及び屋内塵性ダニからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。












【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維処理用害虫忌避組成物に関する。
【0002】
繊維製品に処理するための水を含む害虫忌避組成物が種々検討されている。例えば、特許文献1では害虫、特にダニ類に対して優れた忌避効果を有するとともに、高い安全性と、有効成分である害虫忌避成分の適度な残存性を有し、かつ水系の組成物として使用可能な、害虫、特にダニ類用の忌避組成物が開示されている。
【0003】
また、特許文献2ではヨモギ属(Artemisia)に属する植物、ドクダミ属(Houttuynia)に属する植物、ヒノキ属(Chamaecyparis)に属する植物及びササ属(Sasa)に属する植物からなる群から選択された一種以上の植物の抽出物と、低級アルコール及び水とを含有することを特徴とする繊維製品用害虫忌避剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-117457号公報
【特許文献2】特開2004-244322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの検討により、これらの水を含む害虫忌避組成物は、綿、ポリウレタン、レーヨン等の繊維を含む繊維製品に処理した際に、水を含まない害虫忌避組成物と比較して、害虫忌避効果が大きく低下するという問題があることが分かった。
【0006】
そこで、本発明は、繊維製品に処理した際に、優れた害虫忌避効果を示す、水を含む繊維処理用害虫忌避組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、水を含む害虫忌避組成物において、繊維製品に処理した際の害虫忌避効果を向上させるために、成分の添加について鋭意検討を行った。その結果、特定の化学構造を有する成分を添加することで、繊維製品に処理した際の害虫忌避効果が向上することを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の構成が前記目的を達成するために優れた効果を奏することを見出したものである。
(1)(A)害虫忌避成分と、
(B)グリコールモノエーテル化合物と、
(C)水と、を含有する繊維処理用害虫忌避組成物。
(2)前記(A)害虫忌避成分は、イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、フェノトリンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、(1)に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。
(3)前記(B)グリコールモノエーテル化合物は、フェノキシエタノールを含む、(1)又は(2)に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。
(4)前記繊維は、水酸基又はウレタン結合を有する繊維を含む、(1)~(3)のいずれか1に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。
(5)前記繊維は、綿、ポリウレタン、及びレーヨンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、(1)~(4)のいずれか1に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。
(6)前記害虫は、蚊、ブユ、サシバエ、イエバエ、マダニ、ナンキンムシ、アブ、ヤマビル、ツツガムシ、ユスリカ、チョウバエ及び屋内塵性ダニからなる群より選択される1種又は2種以上である(1)~(5)のいずれか1に記載の繊維処理用害虫忌避組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、繊維製品に処理した際に、優れた害虫忌避効果を示す、水を含む繊維処理用害虫忌避組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の繊維処理用害虫忌避組成物について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や実施例に限定されることを意図しない。なお、本明細書において、含有量の単位「w/v%」は、「g/100ml」と同義である。また、本明細書における範囲を示す表記「~」がある場合は、上限と下限を含有するものとする。
【0011】
[繊維処理用害虫忌避組成物]
本発明の繊維処理用害虫忌避組成物は、
(A)害虫忌避成分と、
(B)グリコールモノエーテル化合物と、
(C)水と、を含有する繊維処理用害虫忌避組成物であり、繊維製品、特に綿、ポリウレタン、レーヨン等の繊維を含む繊維製品に処理した際に、優れた害虫忌避効果を示す。
【0012】
綿、ポリウレタン、レーヨン等の繊維は、分子内に水酸基やウレタン結合等の高極性官能基を有するため、(C)水を含む繊維処理用害虫忌避組成物を処理した場合、前記高極性官能基に水和が起こり、低極性である(A)害虫忌避成分と繊維との相溶性がより低下することが推察される。そのため、(A)害虫忌避成分の繊維への付着性が低下し、害虫忌避効果が低下したと考えられる。
【0013】
そこで、高極性構造(1つの水酸基)と低極性構造(例えば、炭化水素構造とエーテル構造等)を併せ持つ(B)グリコールモノエーテル化合物を添加することにより、(B)グリコールモノエーテル化合物がバインダーとして作用し、(A)害虫忌避成分の繊維への付着性を高め、優れた害虫忌避効果を示したものと推察される。
【0014】
((A)害虫忌避成分)
本発明に用いられる(A)害虫忌避成分は、害虫に対して忌避効果を示す、合成又は天然の各種化合物であり、低極性である。例えば、イカリジン(「1-メチルプロピル 2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボキシレート」や「2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボン酸1-メチルプロピル」と称することもある。)、ディート(「N,N-ジエチル-m-トルアミド」と称することもある。)、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル(「ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル」や「IR3535」と称することもある。)、p-メンタン-3,8-ジオール(「PMD」と称することもある)、ブチル3,4-ジヒドロ-2,2-ジメチル-4-オキソ-2H-ピラン-6-カルボキシレート、n-ヘキシルトリエチレングリコールモノエーテル、メチル6-n-ペンチル-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、ジメチルフタレート、ユーカリプトール、メントール、酢酸メンチル、α-ピネン、ゲラニオール、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、ターピネオール、カンファー、リナロール、カルボン、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ナフタレンや、シトロネラ、ペパーミント、シダーウッド、ラベンダー、ティートゥリーオイル、桂皮、樟脳、レモングラス、クローバ、タチジャコウソウ、ジェラニウム、ベルガモント、月桂樹、松、アカモモ、ベニーロイアル、ユーカリ、インドセダンなどから抽出される精油やエキス、さらには、ピレトリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、エムペントリン、トランスフルスリン、メトフルトリン、プロフルトリンなどのピレスロイド系化合物等を(A)害虫忌避成分として用いることができる。これらの(A)害虫忌避成分は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
(A)害虫忌避成分は、これらの中でも汎用性及び効果の有効性等の観点から、イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、フェノトリンからなる群から選択される1種又は2種以上を含むことが好ましく、イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオールからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことがより好ましい。
【0016】
繊維処理用害虫忌避組成物の全量に対する(A)害虫忌避成分の含有量の下限は、本発明の効果を発揮する観点から、0.5w/v%以上が好ましく、0.8w/v%以上がより好ましく、繊維処理用害虫忌避組成物の全量に対する(A)害虫忌避成分の含有量の上限は、30w/v%以下が好ましく、15w/v%以下がより好ましい。
【0017】
((B)グリコールモノエーテル化合物)
本発明に用いられる(B)グリコールモノエーテル化合物は、2つの水酸基が隣り合う炭素原子に結合したグリコール化合物のモノエーテルであり、分子内に1つの水酸基と1つのエーテル構造を有する炭化水素化合物である。高極性構造(1つの水酸基)と低極性構造(例えば、炭化水素構造とエーテル構造等)を併せ持ち、バインダーとして作用し、(A)害虫忌避成分の繊維への付着性を高め、優れた害虫忌避効果を示す。
【0018】
(B)グリコールモノエーテル化合物としては、炭素数3~10のグリコールモノエーテル化合物が好ましく、例えば、フェノキシエタノール(エチレングリコールモノフェニルエーテル)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、フェノキシエタノールを含むことが好ましい。
【0019】
繊維処理用害虫忌避組成物の全量に対する(B)グリコールモノエーテル化合物の含有量の下限は、本発明の効果を発揮する観点から、好ましくは0.5w/v%以上であり、好ましくは0.7w/v%以上であり、好ましくは1.0w/v%以上であり、好ましくは1.5w/v%であり、好ましくは2.0w/v%以上である。繊維処理用害虫忌避組成物の全量に対する(B)グリコールモノエーテル化合物の含有量の上限は、好ましくは80w/v%以下であり、好ましくは60w/v%以下であり、好ましくは30w/v%以下であり、好ましくは20w/v%以下であり、好ましくは15w/v%以下である。
【0020】
((C)水)
本発明に用いられる(C)水は、特に限定されないが、イオン交換水や逆浸透膜水等の精製水や、通常の水道水や工業用水、海洋深層水等が挙げられる。繊維処理用害虫忌避組成物の全量に対する(C)水の含有量の下限は、好ましくは5w/v%以上であり、好ましくは10w/v%以上であり、好ましくは20w/v%以上であり、繊維処理用害虫忌避組成物の全量に対する(C)水の含有量の上限は、好ましくは80w/v%以下であり、好ましくは75w/v%以下であり、好ましくは70w/v%以下である。
【0021】
本発明の繊維処理用害虫忌避組成物は、前記各成分を配合し、その他の成分として、必要に応じて、有機溶剤、pH調整剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸等の安定化剤、タルクや珪酸等の無機粉体、殺菌剤(防黴剤)、消臭剤、芳香剤(香料)、色素、感触付与剤、UV吸収抑制剤等、増粘剤、ゲル化剤を配合することにより調製される。
【0022】
有機溶剤としては、特に限定されないが、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等のアルコール系溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル;トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、n-パラフィン、イソパラフィン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等のエステル系溶剤;プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。限定はされないが、これらのうち、アルコール系溶剤又はグリコール系溶剤が好ましく用いられる。
【0023】
pH調整剤としては、特に限定されないが、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエタノールアミン、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0024】
ノニオン系界面剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(POEアルキルエーテル)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(POEアルキルフェニルエーテル)、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル(POE高級脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(POEグリセリン脂肪酸エステル)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(POEPOPアルキルエーテル)、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0025】
増粘剤としては、カルボキシビニルポリマーや、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アクリル酸共重合体、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド共重合体等のアクリル酸系高分子化合物、アルギン酸及びその塩類等の多糖類等が挙げられる。
【0026】
ゲル化剤としては、トリエタノールアミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン等のアミン類、水酸化ナトリウム、アミノメチルプロパノール等が挙げられる。
【0027】
本発明における繊維は、特に限定されないが、綿、ポリウレタン、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等を含むものが挙げられ、本発明の効果をより奏するという観点から、水酸基又はウレタン結合を有する繊維を含むことがより好ましく、綿、ポリウレタン、及びレーヨンからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことがさらに好ましい。
【0028】
本発明における害虫は、特に限定されないが、蚊、ブユ、サシバエ、イエバエ、マダニ、ナンキンムシ、アブ、ヤマビル、ツツガムシ等の衛生害虫に加え、ユスリカ、チョウバエ等の不快害虫や屋内塵性ダニも含まれ、中でも蚊及び/又はユスリカが好ましい。
【0029】
本発明の繊維処理用害虫忌避組成物の繊維への処理方法は、特に限定されないが、繊維に塗布する処理方法や、後述するスプレー製品、エアゾール製品やジェル製品等として繊維に噴霧や滴下等をする処理方法等が挙げられる。
【0030】
本発明の繊維処理用害虫忌避組成物は、液状の形態として調整することができ、そのままスプレー容器に収容してスプレー製品として用いることができ、液化ガスや圧縮ガス等の噴射剤を加えてエアゾール容器に充填してエアゾール製品として用いることもできる。また、ジェル状の形態として調整することもでき、ジェル容器に収容してジェル製品として用いることもできる。これらの中で、スプレー容器又はジェル容器に収容して用いることが好ましい。なお、スプレー容器又はジェル容器としては、公知のものを使用可能である。
【0031】
スプレーとして使用する際の吐出量は、特に限定されないが、1プッシュあたり0.1~2.0mLであることが好ましく、0.2~1.5mLであることがより好ましい。
【実施例0032】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0033】
[製造例]
(A)害虫忌避成分であるディート0.8g(0.8w/v%)、(B)グリコールモノエーテル化合物であるフェノキシエタノール10g(10w/v%)、(C)イオン交換水50g(50w/v%)、並びに、無水エタノールを残分(バランス)混合し、全量100mLの実施例1の繊維処理用害虫忌避組成物を製造した。
【0034】
さらに表1に記載のように各成分を配合し、他は実施例1と同様にして、実施例2、比較例1~2の繊維処理用害虫忌避組成物を製造した。
【0035】
[蚊に対する忌避効力試験(定着阻止・ガラス箱変法)]
24×30cmに切断した繊維(綿100%)2枚それぞれに実施例1の繊維処理用害虫忌避組成物0.9mLを均一に滴下し、30分風乾した。全4枚の24×24cmガラス板のうち、2枚に供試薬剤処理布(処理区)を貼り付け、残り2枚に無処理布(無処理区)を張り付けた。4枚のガラス板を処理区と無処理区が交互になるように箱を作成した。白色紙の上に作成した箱を設置し、天面は網でふたをした。箱の中に供試虫(アカイエカ雌成虫20匹)を放ち、60分までに供試昆虫の分布を観察し、忌避率を以下の式1で算出した。実施例2、比較例1~2についても同様に試験を行い、試験結果を表1に示した。
【0036】
[式1]
忌避率(%)={[無処理区に係留した虫の合計-処理区に係留した虫の合計]/[無処理区に係留した虫の合計]}×100
【0037】
【表1】
【0038】
試験の結果、(A)害虫忌避成分と、(B)グリコールモノエーテル化合物と、(C)水と、を含有する繊維処理用害虫忌避組成物である実施例1~2は、(B)グリコールモノエーテル化合物を含有しない比較例1~2の繊維処理用害虫忌避組成物と比較して、繊維、特に綿を含む繊維に処理した際に、優れた害虫忌避効果を示すことが分かった。