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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102479
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】手芸用編み具
(51)【国際特許分類】
   D04C 7/00 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
D04C7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002988
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000105039
【氏名又は名称】クロバー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】新田 久美子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康弘
【テーマコード(参考)】
4L046
【Fターム(参考)】
4L046AA01
4L046AB20
4L046AD13
4L046BA00
4L046BB00
(57)【要約】
【課題】使い勝手を改善するのに適した手芸用編み具を提供する。
【解決手段】手芸用編み具A1は、第1方向一方側・他方側z1,z2に配置され対向するプレート1,2と、プレート1,2をつなぐ連結部3と、プレート1に設けられたかぎ針部4と、を備える。プレート1は、第1方向zに直交する第2方向xに長状に延びており、第2方向一方側・他方側x1,x2に位置する端部11,12を有する。プレート2は、第2方向xに長状に延びており、第2方向一方側・他方側x1,x2に位置する端部21,22を有する。連結部3は、プレート1,2の第2方向x中央につながる。プレート1,2は、第2方向x中央から第2方向一方側・他方側x1,x2に向かうほど近づくように湾曲し、端部11,21と端部12,22がそれぞれ当接する。かぎ針部4は、端部11においてプレート2とは反対側の外面1b側に設けられ、第2方向一方側x1に延びる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の一方側および他方側に配置され、互いに対向する第1プレートおよび第2プレートと、
前記第1プレートおよび前記第2プレートをつなぐ連結部と、
前記第1プレートに設けられたかぎ針部と、を備え、
前記第1プレートは、前記第1方向に直交する第2方向に長状に延びており、前記第2方向の一方側に位置する第1端部と、前記第2方向の他方側に位置する第2端部と、を有し、
前記第2プレートは、前記第2方向に長状に延びており、前記第2方向の一方側に位置する第3端部と、前記第2方向の他方側に位置する第4端部と、を有し、
前記連結部は、前記第1プレートおよび前記第2プレートそれぞれの前記第2方向における中央につながり、
前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記第2方向における中央から前記第2方向の一方側および前記第2方向の他方側に向かうにつれて互いに近づくように湾曲し、且つ前記第1端部および前記第3端部、ならびに前記第2端部および前記第4端部がそれぞれ当接しており、
前記かぎ針部は、前記第1端部において前記第2プレートとは反対側である外面側に設けられ、且つ前記第2方向の一方側に延びる、手芸用編み具。
【請求項2】
前記第1端部は、前記第1方向の他方側に突き出る第1突出部と、前記第1突出部から前記第2方向の一方側に延びる第1傾斜部と、を有し、
前記第3端部は、前記第1方向の一方側に突き出て前記第1突出部に当接する第3突出部と、前記第3突出部から前記第2方向の一方側に延びる第3傾斜部と、を有し、
前記第1傾斜部および前記第3傾斜部は、前記第2方向の一方側に向かうにつれて互いに離れる、請求項1に記載の手芸用編み具。
【請求項3】
前記第1突出部から前記かぎ針部の軸線までの第1方向の長さである第1距離は、前記第1プレートの厚さより大である、請求項2に記載の手芸用編み具。
【請求項4】
前記第1端部および前記第3端部は、前記第1方向に弾性的に当接し、
前記第2端部および前記第4端部は、前記第1方向に弾性的に当接する、請求項1ないし3のいずれかに記載の手芸用編み具。
【請求項5】
前記かぎ針部は、前記第2方向に延びる軸部と、前記軸部の先端に設けられた屈曲状のフック部と、を有し、
前記フック部は、前記第1方向および前記第2方向の双方に直交する第3方向を向くように屈曲する、請求項1ないし4のいずれかに記載の手芸用編み具。
【請求項6】
前記連結部には、前記第1方向と交差する方向に貫通する貫通孔が形成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載の手芸用編み具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、たとえばタティングレース編みなどの編み作業に用いられる手芸用編み具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手芸の分野においては、結び目(ピコット)が複数連なったタティングレース(tatting lace)編みと呼ばれる編み技法が知られている。タティングレース編みは、シャトルと呼ばれる形状が舟形で、且つ小型の糸巻きに巻き付けた糸を繰り出すことにより行われる。たとえば、特許文献1においては、様々な形式の手芸用編み具が開示されている。
【0003】
同文献の図6図7に開示されている手芸用編み具は、2枚のブレードが中央の巻芯を介して連結されており、ブレードの両端の開口部から糸を巻芯に巻き付けるように構成されている。また、ブレードの一端は、先端が尖った尖鋭部とされている。タティングレース編みの技法によっては、たとえば一連に並ぶピコットの途中にループ状のピコットを設け、当該ループ状のピコットに糸を通してモチーフ同士をつなぐ場合がある。上記ブレード一端の尖鋭部は、このようにループ状のピコットに糸を通す際、当該糸を引き出すのに用いられる。しかしながら、上記の尖鋭部を用いた場合でも、スムーズに糸を引き出すことが困難な場合があった。また、糸を引き出すときに、誤って糸を割ってしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-9993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、このような事情のもとで考え出されたものである。その主たる課題は、使い勝手を改善するのに適した手芸用編み具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本開示では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本開示によって提供される手芸用編み具は、第1方向の一方側および他方側に配置され、互いに対向する第1プレートおよび第2プレートと、前記第1プレートおよび前記第2プレートをつなぐ連結部と、前記第1プレートに設けられたかぎ針部と、を備え、前記第1プレートは、前記第1方向に直交する第2方向に長状に延びており、前記第2方向の一方側に位置する第1端部と、前記第2方向の他方側に位置する第2端部と、を有し、前記第2プレートは、前記第2方向に長状に延びており、前記第2方向の一方側に位置する第3端部と、前記第2方向の他方側に位置する第4端部と、を有し、前記連結部は、前記第1プレートおよび前記第2プレートそれぞれの前記第2方向における中央につながり、前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記第2方向における中央から前記第2方向の一方側および前記第2方向の他方側に向かうにつれて互いに近づくように湾曲し、且つ前記第1端部および前記第3端部、ならびに前記第2端部および前記第4端部がそれぞれ当接しており、前記かぎ針部は、前記第1端部において前記第2プレートとは反対側である外面側に設けられ、且つ前記第2方向の一方側に延びる。
【0008】
好ましい実施の形態においては、前記第1端部は、前記第1方向の他方側に突き出る第1突出部と、前記第1突出部から前記第2方向の一方側に延びる第1傾斜部と、を有し、前記第3端部は、前記第1方向の一方側に突き出て前記第1突出部に当接する第3突出部と、前記第3突出部から前記第2方向の一方側に延びる第3傾斜部と、を有し、前記第1傾斜部および前記第3傾斜部は、前記第2方向の一方側に向かうにつれて互いに離れる。
【0009】
好ましい実施の形態においては、前記第1突出部から前記かぎ針部の軸線までの第1方向の長さである第1距離は、前記第1プレートの厚さより大である。
【0010】
好ましい実施の形態においては、前記第1端部および前記第3端部は、前記第1方向に弾性的に当接し、前記第2端部および前記第4端部は、前記第1方向に弾性的に当接する。
【0011】
好ましい実施の形態においては、前記かぎ針部は、前記第2方向に延びる軸部と、前記軸部の先端に設けられた屈曲状のフック部と、を有し、前記フック部は、前記第1方向および前記第2方向の双方に直交する第3方向を向くように屈曲する。
【0012】
好ましい実施の形態においては、前記連結部には、前記第1方向と交差する方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0013】
本開示による手芸用編み具のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る手芸用編み具を示す斜視図である。
図2図1に示す手芸用編み具の平面図である。
図3図1に示す手芸用編み具の正面図である。
図4図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図2のV-V線に沿う断面図である。
図6図1に示す手芸用編み具の使用状態の一例を示す図である。
図7図1に示す手芸用編み具の使用状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、手芸用編み具の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1図5は、一実施形態に係る手芸用編み具を示している。図示された手芸用編み具A1は、第1プレート1、第2プレート2、連結部3およびかぎ針部4を備えている。
【0017】
図1は、手芸用編み具A1を示す斜視図である。図2は、手芸用編み具A1の平面図である。図3は、手芸用編み具A1の正面図である。図4は、図2のIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図2のV-V線に沿う断面図である。
【0018】
第1プレート1および第2プレート2は、各々が概略板状をなしており、第1方向zにおいて互いに対向している。第1プレート1は、第1方向zの一方側(第1方向一方側z1)に配置され、第2プレート2は第1方向zの他方側(第1方向他方側z2)に配置されている。第1プレート1および第2プレート2の各々は、第1方向zに直交する第2方向xに長状に延びる。
【0019】
第1プレート1は、第1内面1aおよび第1外面1bを有する。第1内面1aは、第2プレート2側(第1方向他方側z2)を向く面である。第1外面1bは、第1内面1aとは反対側(第1方向一方側z1)を向く面である。第1プレート1は、第1端部11および第2端部12を有する。第1端部11は第2方向一方側x1に位置し、第2端部12は、第2方向他方側x2に位置する。
【0020】
第2プレート2は、第2内面2aおよび第2外面2bを有する。第2内面2aは、第1プレート1側(第1方向一方側z1)を向く面である。第2外面2bは、第2内面2aとは反対側(第1方向一方側z1)を向く面である。第2プレート2は、第3端部21および第4端部22を有する。第3端部21は第2方向一方側x1に位置し、第4端部22は、第2方向他方側x2に位置する。
【0021】
図1図3図4に示すように、第1プレート1および第2プレート2は、第2方向xにおける中央から第2方向一方側x1および第2方向他方側x2それぞれに向かうにつれて、互いに近づくように湾曲している。そして、第1端部11および第3端部21が当接し、また第2端部12および第4端部22が当接している。
【0022】
図1図2に示すように、第1プレート1および第2プレート2の各々は、第2方向xにおける中央から第2方向一方側x1および第2方向他方側x2それぞれに向かうにつれて、第3方向y(第1方向zおよび第2方向xの双方に直交する方向)の寸法が小さくされている。
【0023】
より具体的には、図4に示すように、第1プレート1の第1端部11は、第1突出部111および第1傾斜部112を有する。第1突出部111は、第1端部11において第1方向一方側z1に突き出る部位である。第1傾斜部112は、第1突出部111から第2方向一方側x1に延びる。
【0024】
第1プレート1の第2端部12は、第2突出部121および第2傾斜部122を有する。第2突出部121は、第2端部12において第1方向一方側z1に突き出る部位である。第2傾斜部122は、第2突出部121から第2方向他方側x2に延びる。
【0025】
第2プレート2の第3端部21は、第3突出部211および第3傾斜部212を有する。第3突出部211は、第3端部21において第1方向他方側z2に突き出る部位であり、第1突出部111に当接する。第3傾斜部212は、第3突出部211から第2方向一方側x1に延びる。上記の第1傾斜部112および第3傾斜部212は、第2方向一方側x1に向かうにつれて互いに離れる。
【0026】
第2プレート2の第4端部22は、第4突出部221および第4傾斜部222を有する。第4突出部221は、第4端部22において第1方向他方側z2に突出する部位であり、第2突出部121に当接する。第4傾斜部222は、第4突出部221から第2方向他方側x2に延びる。上記の第2傾斜部122および第4傾斜部222は、第2方向他方側x2に向かうにつれて互いに離れる。
【0027】
図1図2図4に示すように、第1プレート1および第2プレート2において、第1外面1bおよび第2外面2bの第2方向xにおける中央には、すべり止め部15およびすべり止め部25が設けられている。本実施形態では、すべり止め部15,25は、第1外面1bおよび第2外面2bから凹む複数の溝により構成されている。当該複数の溝は、各々が第3方向yに延出し、且つ第2方向xに並んでいる。すべり止め部15,25は、他にも粗面から構成されていてもよい。編み作業の際、すべり止め部15,25に指を触れた状態で手芸用編み具A1を持つことによって、手芸用編み具A1が指からすべり落ちることを防止できる。
【0028】
連結部3は、第1プレート1および第2プレート2をつないでおり、第1プレート1および第2プレート2それぞれの第2方向xにおける中央につながる。本実施形態では、連結部3は、第1部31および第2部32を含む、第1部31は、第1内面1a(第1プレート1)の第2方向xにおける中央から突出する部分である。第2部32は、第2内面2a(第2プレート2)の第2方向xにおける中央から突出する部分である。
【0029】
図4に示すように、第1部31は、突起311および凹部312を有する。第2部32は、突起321および凹部322を有する。突起311は略円筒状であり、凹部322に嵌入している。突起321は略円筒状であり、凹部312に嵌入している。突起311と凹部322の嵌合部、および突起321と凹部312の嵌合部は、圧入または接着などの適宜手段により一体とされている。これにより、第1部31および第2部32が一体的に連結される。
【0030】
第1部31および第2部32が上記のように嵌合する状態において、連結部3には貫通孔33が形成される。図示した例では、貫通孔33は、連結部3において第2方向xの中央、且つ第1方向zの中央に位置し、第3方向yに貫通している。なお、貫通孔33が形成される方向は、第3方向yに限定されず、第1方向zと交差する方向であればよい。また、貫通孔33は、第2方向xの中央あるいは第1方向zの中央から偏倚する位置に形成されていてもよい。
【0031】
第1プレート1および第1部31は、たとえば合成樹脂材料により一体形成されたものである。第2プレート2および第2部32も同様に、合成樹脂材料により一体形成されている。詳細な図示説明は省略するが、第1プレート1および第2プレート2の各々の第2方向xに沿う湾曲形状の曲率は、第1部31と第2部32とが連結されていない自然状態においては、図1図3図4に示した第1部31および第2部32が連結された状態よりも大きい。これにより、図1図3図4に示した連結部3により第1プレート1および第2プレート2がつながった状態では、第1プレート1の第1端部11および第2プレート2の第3端部21は第1方向zに弾性的に当接し、第1プレート1の第2端部12および第2プレート2の第4端部22は第1方向zに弾性的に当接する。
【0032】
かぎ針部4は、第1プレート1に設けられている。かぎ針部4は、第1プレート1の第1端部11において、第2プレート2とは反対側である第1外面1b側に設けられており、第2方向一方側x1に延びる。
【0033】
かぎ針部4は、軸線Oxに沿って第2方向xに延びる軸部41と、屈曲状のフック部42とを有する。軸部41の基端側(第2方向他方側x2)は、第1プレート1の第1端部11において第1外面1b側に突き出たかぎ針支持部13に埋没している。フック部42は、軸部41の先端に設けられており、軸線Ox回りにおける所定方向に屈曲している。本実施形態では、図1図2に表れているように、フック部42は、第3方向yを向くように屈曲している。
【0034】
図4に示すように、かぎ針部4は、第1端部11(第1突出部111)および第3端部21(第3突出部211)の当接部位から第1方向一方側z1に偏倚した位置に配置される。本実施形態では、第1突出部111および第3突出部211の当接部位からかぎ針部4の軸線Oxまでの第1方向zの長さである第1距離d1は、第1プレート1の厚さt1より大である。
【0035】
次に、手芸用編み具A1の使用方法および作用効果について、図6図7を参照して説明する。
【0036】
まず、編み作業を始める前に、貫通孔33に糸を通して当該糸を連結部3に結び付ける。次に、連結部3に糸を巻き付ける。図6に示すように、第1端部11と第3端部21の間、および第2端部12と第4端部22の間を交互に糸Tが通るように、連結部3の回りに糸Tを巻いていく。ここで、第1端部11と第3端部21の間、および第2端部12と第4端部22の間を糸Tが通る際、第1プレート1および第2プレート2の弾性復元力に抗して、糸Tが、第1端部11と第3端部21の間、および第2端部12と第4端部22の間をそれぞれ僅かに第1方向zに離間させながら通過する。
【0037】
編み作業を行う際には、手芸用編み具A1を回転させて連結部3に巻かれた糸Tを必要な長さだけ繰り出しつつ、手芸用編み具A1を用いてモチーフを作製する。図7は、一連に並ぶピコットの途中にループ状のピコットPrが設けられたモチーフMにおいて、当該ループ状のピコットPrに糸Tを通してモチーフ同士をつなぐ場合を示す。この場合、手芸用編み具A1のかぎ針部4(軸部41)をピコットPrに通し、先端のフック部42により糸Tを引っ掛けて引き出す。
【0038】
手芸用編み具A1は、第1プレート1、第2プレート2および連結部3を備えている。第1プレート1および第2プレート2は、第1方向zにおいて互いに対向しており、連結部3を介してつながっている。第1プレート1および第2プレート2は、第2方向xにおける中央から第2方向一方側x1および第2方向他方側x2それぞれに向かうにつれて、互いに近づくように湾曲している。第1端部11および第3端部21が当接し、第2端部12および第4端部22が当接している。
【0039】
このような構成によれば、編み作業に先立ち、第1端部11と第3端部21の間、および第2端部12と第4端部22の間を交互に糸Tが通るように、連結部3の回りに糸Tを巻くことができる。第1端部11および第3端部21、ならびに第2端部12および第4端部22はそれぞれ当接しているため、連結部3に巻き付けた糸Tが、第1端部11と第3端部21の間、および第2端部12と第4端部22の間を通って不用意に解けることは防止される。
【0040】
手芸用編み具A1は、かぎ針部4をさらに具備する。かぎ針部4は、第1端部11(第1プレート1)に設けられており、第2方向一方側x1に延びる。このような構成によれば、図7に示したように、ループ状のピコットPrから糸Tを引き出す際、かぎ針部4を用いて糸Tを的確に引き出すことができる。かぎ針部4は先端が屈曲するフック部42を有するので、糸Tを引き出すための作業において誤って糸Tを割るといった不都合を回避することができる。また、ピコットPrから糸Tを引き出すために別途のかぎ針を準備して当該かぎ針に持ち替えて作業する必要が無く、作業性に優れている。
【0041】
かぎ針部4は、第1プレート1の第1端部11において、第2プレート2とは反対側である第1外面1b側に設けられている。これにより、かぎ針部4は、第1端部11(第1突出部111)および第3端部21(第3突出部211)の当接部位から第1方向一方側z1に偏倚した位置に配置される。このような構成によれば、連結部3に糸Tを巻き付ける際、糸Tが誤ってかぎ針部4に引っ掛かるといった不都合を抑制することができる。また、本実施形態では、第1突出部111および第3突出部211の当接部位からかぎ針部4の軸線Oxまでの第1方向zの長さである第1距離d1は、第1プレート1の厚さt1より大である。これにより、かぎ針部4は、第1突出部111および第3突出部211の当接部位から第1方向zに適度に離間している。したがって、連結部3に糸Tを巻き付ける際、かぎ針部4への糸Tの引っ掛かりをより抑制することができる。
【0042】
第1プレート1の第1端部11は、第1方向他方側z2に突き出る第1突出部111と、第1突出部111から第2方向一方側x1に延びる第1傾斜部112とを有する。第2プレート2の第3端部21は、第1方向一方側z1に突き出て第1突出部111に当接する第3突出部211と、第3突出部211から第2方向一方側x1に延びる第3傾斜部212とを有する。第1傾斜部112および第3傾斜部212は、第2方向一方側x1に向かうにつれて互いに離れる。第1プレート1の第2端部12は、第1方向他方側z2に突き出る第2突出部121と、第2突出部121から第2方向他方側x2に延びる第2傾斜部122とを有する。第2プレート2の第4端部22は、第1方向一方側z1に突き出て第2突出部121に当接する第4突出部221と、第4突出部221から第2方向他方側x2に延びる第4傾斜部222とを有する。第2傾斜部122および第4傾斜部222は、第2方向他方側x2に向かうにつれて互いに離れる。このような構成によれば、連結部3に糸Tを巻き付ける際、糸Tは、第1傾斜部112と第3傾斜部212の間、および第2傾斜部122と第4傾斜部222の間を通る際に適切にガイドされつつ、第1突出部111と第3突出部211の当接部位、および第2突出部121と第4突出部221の当接部位に到達する。したがって、連結部3に糸Tを巻き付ける作業をスムーズに行うことができ、手芸用編み具A1の使い勝手が良好である。
【0043】
第1プレート1および第2プレート2において、第1端部11および第3端部21は第1方向zに弾性的に当接し、また第2端部12および第4端部22は第1方向zに弾性的に当接する。このような構成によれば、連結部3に糸Tを巻き付ける際、第1プレート1および第2プレート2の弾性復元力に抗して、第1端部11と第3端部21の間、および第2端部12と第4端部22の間をそれぞれ僅かに第1方向zに離間させながら、糸Tが通過する。これにより、第1端部11と第3端部21の間、および第2端部12と第4端部22の間を糸Tが通過した直後に第1端部11と第3端部21、および第2端部12と第4端部22の衝突音が発生する。また、適度な節度感をもって糸Tを巻き付けることができるので、使い勝手が良い。さらに、連結部3に糸Tを巻き付けた後においても、第1端部11および第3端部21、ならびに第2端部12および第4端部22がそれぞれ当接する状態は、適切に維持される。
【0044】
フック部42は、かぎ針部4の軸線Ox回りにおいて、第3方向y(第1方向zおよび第2方向xの双方に直交する方向)を向くように屈曲している。このような構成によれば、手芸用編み具A1を用いて編み作業を行う際、フック部42に糸Tが不用意に引っ掛かることを防止することができる。また、ループ状のピコットPrにかぎ針部4(軸部41)を通して糸Tを引き出す作業も適切に行うことができる。
【0045】
本開示の手芸用編み具は、上記した実施形態に限定されるものではない。手芸用編み具の各部の具体的な構成は、特許請求の範囲に記載の内容から逸脱しない範囲内で種々、変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
A1:手芸用編み具、1:第1プレート、1a:第1内面、1b:第1外面、11:第1端部、111:第1突出部、112:第1傾斜部、12:第2端部、121:第2突出部、122:第2傾斜部、13:かぎ針支持部、15,25:すべり止め部、2:第2プレート、2a:第2内面、2b:第2外面、21:第3端部、211:第3突出部、212:第3傾斜部、22:第4端部、221:第4突出部、222:第4傾斜部、3:連結部、31:第1部、32:第2部、311,321:突起、312,322:凹部、33:貫通孔、4:かぎ針部、41:軸部、42:フック部、d1:第1距離、M:モチーフ、Ox:軸線、Pr:(ループ状の)ピコット、T:糸、t1:(第1プレートの)厚さ、x:第2方向、x1:第2方向一方側、x2:第2方向他方側、y:第3方向、y1:第3方向一方側、y2:第3方向他方側、z:第1方向、z1:第1方向一方側、z2:第1方向他方側
図1
図2
図3
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図7