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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102494
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】杭体の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/00 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
E02D13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003006
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】上田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小川 大生
(72)【発明者】
【氏名】深沢 茂臣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050EE01
(57)【要約】
【課題】杭体の施工性を高めることが可能となる、杭体の施工方法を提供すること。
【解決手段】杭体30の施工方法は、杭体30が第1地盤10と、第1地盤10とは異なる硬度を有する第2地盤20とを横断するように、杭体30を施工するための方法であって、杭体30の曲がりを抑制する抑制体40を、第1地盤10及び第2地盤20に埋設する埋設工程と、埋設工程の後に、杭打装置を用いて、抑制体40によって杭体30の曲がりが抑制可能な位置に、杭体30を設置する設置工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭体が第1地盤と、前記第1地盤とは異なる硬度を有する第2地盤とを横断するように、前記杭体を施工するための施工方法であって、
前記杭体の曲がりを抑制する抑制体を、前記第1地盤又は/及び前記第2地盤に埋設する埋設工程と、
前記埋設工程の後に、杭打手段を用いて、前記抑制体によって前記杭体の曲がりが抑制可能な位置に、前記杭体を設置する設置工程と、
を含む杭体の施工方法。
【請求項2】
前記抑制体の平面の大きさを、前記杭体と前記第2地盤との重複面積、前記杭打手段のオーガ部の直径、又は/及び前記抑制体の数に基づいた大きさとした、
請求項1に記載の杭体の施工方法。
【請求項3】
前記抑制体の上下方向の長さを、前記第1地盤の上下方向の長さ及び前記第2地盤の上下方向の長さのうちいずれか一方の短い方の長さ以下とした、
請求項1又は2に記載の杭体の施工方法。
【請求項4】
前記埋設工程において、硬度が均一な前記抑制体を、前記第1地盤及び前記第2地盤にわたって埋設し、
前記設置工程において、前記杭体を前記抑制体内に設置する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の杭体の施工方法。
【請求項5】
前記埋設工程において、前記第1地盤又は前記第2地盤のいずれか一方の硬度と同等以上の硬度を有する前記抑制体を、前記第1地盤又は前記第2地盤のいずれか一方と間隔を隔てて前記第1地盤又は前記第2地盤のいずれか他方に埋設し、
前記設置工程において、前記杭体を前記抑制体と重複しない位置に設置する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の杭体の施工方法。
【請求項6】
前記抑制体を、鋼材、木材、又はセメント硬化体で構成した、
請求項1から5のいずれか一項に記載の杭体の施工方法。
【請求項7】
前記設置工程の後に、前記抑制体を撤去する撤去工程を含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の杭体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、杭体を地盤に施工するための技術の一つとして、杭打機を用いて杭孔を地盤に形成した後に、当該杭孔に杭体を挿入する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-240056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来の技術においては、上述したように、杭打機を用いて杭孔を地盤に形成するに過ぎないので、例えば、杭体を異なる硬度の2つの地盤を横断するように施工する場合に、当該2つの地盤のうち硬い方の地盤によって杭孔の孔曲がりが生じて、当該杭孔に挿入される杭体が曲がるおそれがあることから、杭体の施工性を高める観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、杭体の施工性を高めることが可能となる、杭体の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の杭体の施工方法は、杭体が第1地盤と、前記第1地盤とは異なる硬度を有する第2地盤とを横断するように、前記杭体を施工するための施工方法であって、前記杭体の曲がりを抑制する抑制体を、前記第1地盤又は/及び前記第2地盤に埋設する埋設工程と、前記埋設工程の後に、杭打手段を用いて、前記抑制体によって前記杭体の曲がりが抑制可能な位置に、前記杭体を設置する設置工程と、を含む。
【0007】
請求項2に記載の杭体の施工方法は、請求項1に記載の杭体の施工方法において、前記抑制体の平面の大きさを、前記杭体と前記第2地盤との重複面積、前記杭打手段のオーガ部の直径、又は/及び前記抑制体の数に基づいた大きさとした。
【0008】
請求項3に記載の杭体の施工方法は、請求項1又は2に記載の杭体の施工方法において、前記抑制体の上下方向の長さを、前記第1地盤の上下方向の長さ及び前記第2地盤の上下方向の長さのうちいずれか一方の短い方の長さ以下とした。
【0009】
請求項4に記載の杭体の施工方法は、請求項1から3のいずれか一項に記載の杭体の施工方法において、前記埋設工程において、硬度が均一な前記抑制体を、前記第1地盤及び前記第2地盤にわたって埋設し、前記設置工程において、前記杭体を前記抑制体内に設置する。
【0010】
請求項5に記載の杭体の施工方法は、請求項1から3のいずれか一項に記載の杭体の施工方法において、前記埋設工程において、前記第1地盤又は前記第2地盤のいずれか一方の硬度と同等以上の硬度を有する前記抑制体を、前記第1地盤又は前記第2地盤のいずれか一方と間隔を隔てて前記第1地盤又は前記第2地盤のいずれか他方に埋設し、前記設置工程において、前記杭体を前記抑制体と重複しない位置に設置する。
【0011】
請求項6に記載の杭体の施工方法は、請求項1から5のいずれか一項に記載の杭体の施工方法において、前記抑制体を、鋼材、木材、又はセメント硬化体で構成した。
【0012】
請求項7に記載の杭体の施工方法は、請求項1から6のいずれか一項に記載の杭体の施工方法において、前記設置工程の後に、前記抑制体を撤去する撤去工程を含む。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の杭体の施工方法によれば、抑制体を、第1地盤又は/及び第2地盤に埋設する埋設工程と、埋設工程の後に、杭打手段を用いて、抑制体によって杭体の曲がりが抑制可能な位置に、杭体を設置する設置工程と、を含むので、杭打手段を用いて杭体を設置する際に、抑制体によって杭孔を上下方向に略沿うように形成しやすくなるため、杭体の曲がりが生じることを抑制できる。よって、杭体の施工性を高めることが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の杭体の施工方法によれば、抑制体の平面の大きさを、杭体と第2地盤との重複面積、杭打手段のオーガ部の直径、又は/及び抑制体の数に基づいた大きさとしたので、抑制体の平面の大きさを適切に設定でき、杭体の曲がりを効果的に抑制できる。
【0015】
請求項3に記載の杭体の施工方法によれば、抑制体の上下方向の長さを、第1地盤の上下方向の長さ及び第2地盤の上下方向の長さのうちいずれか一方の短い方の長さ以下としたので、抑制体の上下方向の長さを適切に設定でき、杭体の曲がりを一層効果的に抑制できる。
【0016】
請求項4に記載の杭体の施工方法によれば、埋設工程において、硬度が均一な抑制体を、第1地盤及び第2地盤にわたって埋設し、設置工程において、杭体を抑制体内に設置するので、杭孔が形成される際に、抑制体の硬度が均一であることにより、杭打手段のオーガ部に作用する抑制体における水平方向の抵抗の大きさに差異が生じにくいことから、杭孔の孔曲がりが生じることを回避できる。よって、杭体の曲がりをさらに効果的に抑制することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の杭体の施工方法によれば、埋設工程において、第1地盤又は第2地盤のいずれか一方の硬度と同等以上の硬度を有する抑制体を、第1地盤又は第2地盤のいずれか一方と間隔を隔てて第1地盤又は第2地盤のいずれか他方に埋設し、設置工程において、杭体を抑制体と重複しない位置に設置するので、例えば、杭孔が形成される際に、比較的高い硬度を有する抑制体と第1地盤又は第2地盤とによって杭打手段のオーガ部が挟まれることにより、オーガ部の移動を上下方向に略沿うようにガイドできることから、杭孔の孔曲がりが生じることを回避できる。よって、杭体の曲がりをさらに効果的に抑制することが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の杭体の施工方法によれば、抑制体を、鋼材、木材、又はセメント硬化体で構成したので、抑制体を簡易且つ安価に構成でき、抑制体の製造性を高めることができる。
【0019】
請求項7に記載の杭体の施工方法によれば、設置工程の後に、抑制体を撤去する撤去工程を含むので、抑制体を第1地盤又は/及び第2地盤から撤去でき、抑制体によって第1地盤又は/及び第2地盤の周辺環境が阻害されることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態1に係る杭体及び抑制体を示す概要図であり、(a)は側面図(一部断面図で示す)、(b)は平面図である。
図2】実施の形態1に係る杭体の施工方法の埋設工程を示す図であり、(a)は側面図(一部断面図で示す)、(b)は平面図である。
図3】実施の形態1に係る杭体の施工方法の設置工程を示す図であり、(a)は側面図(一部断面図で示す)、(b)は平面図である。
図4】実施の形態2に係る杭体及び抑制体を示す概要図であり、(a)は側面図(一部断面図で示す)、(b)は平面図である。
図5】実施の形態2に係る杭体の施工方法の埋設工程を示す図であり、(a)は側面図(一部断面図で示す)、(b)は平面図である。
図6】実施の形態2に係る杭体の施工方法の設置工程を示す図であり、(a)は側面図(一部断面図で示す)、(b)は平面図である。
図7】実施の形態2に係る杭体の施工方法の撤去工程を示す図であり、(a)は側面図(一部断面図で示す)、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る杭体の施工方法の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、杭体が第1地盤と、第1地盤とは異なる硬度を有する第2地盤とを横断するように、杭体を施工するための施工方法に関する。
【0023】
ここで、「杭体」とは、地盤上に設けられた構造物が沈下することを防止するために、当該構造物の荷重を地盤中の所定の地層に伝達するための建設部材である。
【0024】
また、この杭体を用いて施工される「構造物」の具体的な構造や種類については任意であり、例えば、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、物流施設、及び公共施設等を含む概念であるが、実施の形態では、物流施設として説明する。
【0025】
また、「杭体が第1地盤及び第2地盤を横断する」とは、杭体が第1地盤及び第2地盤にわたって配置されることを意味する。
【0026】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0027】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る杭体の施工方法について説明する。この実施の形態1は、抑制体を、第1地盤及び第2地盤にわたって埋設する形態である。
【0028】
(構成-施工対象領域)
最初に、実施の形態1に係る後述の杭体30が施工される施工対象領域1の構成について説明する。
【0029】
以下の説明では、図1のX方向を施工対象領域1の左右方向(-X方向を施工対象領域1の左方向、+X方向を施工対象領域1の右方向)、図1のY方向を施工対象領域1の前後方向(+Y方向を施工対象領域1の前方向、-Y方向を施工対象領域1の後方向)、図1のZ方向を施工対象領域1の上下方向(+Z方向を施工対象領域1の上方向、-Z方向を施工対象領域1の下方向)と称する。
【0030】
施工対象領域1は、図示しない構造物(具体的には、物流施設)が設置される領域であり、第1地盤10及び第2地盤20を含んでいる。
【0031】
(構成-施工対象領域-第1地盤)
第1地盤10は、施工対象領域1を構成する地盤の一部である。この第1地盤10は、例えば施工対象領域1内の既設の地盤で構成されており、図1に示すように、施工対象領域1のうち第2地盤20以外の領域全体に設けられていると共に、後述の杭体30と一部重複するように設けられている。
【0032】
(構成-施工対象領域-第2地盤)
第2地盤20は、施工対象領域1を構成する地盤の他の一部であって、第1地盤10とは異なる硬度を有する地盤である。この第2地盤20は、例えば公知の地盤改良体で構成されており、具体的には、セメント系の固化材等を含む安定剤(以下、「安定剤」と称する)と施工対象領域1内の既設の地盤の土とからなる地盤改良体であって、第1地盤10の硬度よりも高い硬度の地盤改良体で構成されている。そして、図1(b)に示すように、この第2地盤20は、施工対象領域1において後述の杭体30と一部重複するように設けられている。
【0033】
また、第2地盤20の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0034】
すなわち、第2地盤20の平面形状については、図1(b)に示すように、略円形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、多角形状(一例として、三角形状、四角形状等)、又は楕円形状に設定してもよい。
【0035】
また、第2地盤20の径の大きさについては、図1(b)に示すように、第1地盤10の左右方向の長さ(又は前後方向の長さ)よりも小さく設定している。ただし、これに限らず、例えば、第1地盤10の左右方向の長さ(又は前後方向の長さ)以上の大きさに設定してもよい。
【0036】
また、第2地盤20の上下方向の長さについては、図1(a)に示すように、第1地盤10の上下方向の長さよりも短い長さに設定しており、例えば、20mから30m程度に設定してもよい。
【0037】
また、第2地盤20の形成方法については任意であるが、例えば、安定剤と施工対象領域1内の既設の地盤の土とを攪拌し、当該攪拌したものを固化することにより、形成してもよい。
【0038】
(構成-杭体)
次に、杭体30の構成について説明する。
【0039】
杭体30は、例えば長尺な公知の建設用の杭材(一例として、鋼管杭、PHC杭、又はPRC杭)を用いて構成されており、図1に示すように、施工対象領域1に形成された杭孔31の内部において、杭体30の長手方向が上下方向に略沿うように設けられている。
【0040】
なお、杭孔31は、杭体30を挿入するための孔であり、図1に示すように、第1地盤10と第2地盤20とを横断するように形成されており、具体的には、これら地盤の地表面から鉛直下方向に向けて形成されている。
【0041】
また、杭体30及び杭孔31の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0042】
すなわち、杭体30及び杭孔31の平面形状については、図1(b)に示すように、略円形状にそれぞれ設定している。ただし、これに限らず、例えば、多角形状(一例として、三角形状、四角形状等)、又は楕円形状にそれぞれ設定してもよい。
【0043】
また、杭体30及び杭孔31の径の大きさについては、図1(b)に示すように、第2地盤20の径よりも小さくそれぞれ設定している。例えば、杭体30の径の大きさと杭孔31の径の大きさとが略同一であり、且つ第2地盤20の径の半分程度にそれぞれ設定してもよい。ただし、これに限らず、例えば、第2地盤20の径以上の大きさにそれぞれ設定してもよい。
【0044】
また、杭体30及び杭孔31の上下方向の長さについては、図1(a)に示すように、第2地盤20の上下方向の長さよりも長くそれぞれ設定している。例えば、杭体30の上下方向の長さと杭孔31の上下方向の長さとが略同一であり、且つ25mから40m程度にそれぞれ設定してもよい。
【0045】
(構成-抑制体)
次に、抑制体40の構成について説明する。
【0046】
抑制体40は、杭体30の曲がりを抑制するためのものである。この抑制体40は、長尺状体にて形成されており、第1地盤10又は/及び第2地盤20に設けられている。具体的には、図1に示すように、1つの抑制体40は、当該抑制体40の長手方向が上下方向に略沿うように、第1地盤10及び第2地盤20にわたって埋設されていると共に、杭孔31全体と重複するように設けられている。
【0047】
また、抑制体40の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0048】
すなわち、抑制体40の平面形状については、図1(b)に示すように、略円形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、多角形状(一例として、三角形状、四角形状等)、又は楕円形状に設定してもよい。
【0049】
また、抑制体40の径の大きさ(平面の大きさ)については、杭体30と第2地盤20との重複面積、図示しない杭打装置のオーガ部の直径、又は/及び抑制体40の数に基づいた大きさに設定している。
【0050】
なお、杭打装置は、杭体30を施工対象領域1に設置するための杭打手段であり、例えば公知の杭打装置(一例として、オーガ部及びクレーン部を備える杭打機等)を用いて構成されている。
【0051】
具体的には、上記重複面積(又は上記オーガ部の直径)が大きくなるにつれて大きく設定し、又は/及び抑制体40の数が増えるにつれて小さく設定してもよい。
【0052】
例えば、抑制体40の径の大きさについては、杭体30と第2地盤20との重複面積、杭打装置のオーガ部の直径、及び抑制体40の数に基づいた大きさに設定してもよい。詳細には、図1(b)に示すように、上記重複面積=杭体30の平面方向の面積の1/8未満であり、杭打装置のオーガ部の直径が第2地盤20の径の半分程度であり、抑制体40の数=1つであることから、杭孔31の径よりも大きく、且つ第2地盤20の径よりも小さく設定してもよい。
【0053】
これにより、抑制体40の直径を適切に設定でき、杭体30の曲がりを効果的に抑制できる。
【0054】
また、抑制体40の上下方向の長さについては、第1地盤10の上下方向の長さ及び第2地盤20の上下方向の長さのうちいずれか一方の短い方の長さ以下に設定している。
【0055】
具体的には、図1(a)に示すように、第1地盤10の上下方向の長さよりも短い第2地盤20の上下方向の長さよりも短く設定している。より具体的には、杭打装置のオーガ部の上下方向の長さと、第2地盤20と杭打装置のオーガ部との重複面積とに基づいて設定しており、詳細には、上記オーガ部の上下方向の長さが大きくなるにつれて短く設定し、上記重複面積が大きくなるにつれて長く設定している。
【0056】
例えば、上記オーガ部の上下方向の長さ=杭孔31の上下方向の長さと略同一であり、上記重複面積=杭体30の平面方向の面積の1/8未満である場合には、5mから15m程度に設定してもよい。
【0057】
これにより、抑制体40の上下方向の長さを適切に設定でき、杭体30の曲がりを効果的に抑制できる。
【0058】
また、抑制体40の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では、鋼材、木材、又はセメント硬化体で構成されている。
【0059】
具体的には、長尺且つ硬度が均一なセメント硬化体で構成されており、例えば、モルタル又はコンクリートからなると共に、第1地盤10の硬度よりも高く、第2地盤20の硬度よりも低い硬度であるセメント硬化体で構成されてもよい。ただし、これに限らず、例えば、第1地盤10の硬度よりも低い硬度であるセメント硬化体であってもよく、あるいは、第2地盤20の硬度よりも高い硬度であるセメント硬化体であってもよい。
【0060】
このような構成により、抑制体40を簡易且つ安価に構成でき、抑制体40の製造性を高めることができる。
【0061】
(杭体の施工方法)
次に、実施の形態1に係る杭体30の施工方法について説明する。
【0062】
この杭体30の施工方法は、杭体30が第1地盤10と第2地盤20とを横断するように、当該杭体30を施工するための方法であり、図1から図3に示すように、埋設工程及び設置工程を含んでいる。
【0063】
なお、杭体30の施工方法の前提として、施工対象領域1に、第1地盤10及び第2地盤20が既に設けられているものとして説明する(なお、後述の実施の形態2に係る杭体130の施工方法についても略同様とする)。
【0064】
(杭体の施工方法-埋設工程)
まず、埋設工程について説明する。
【0065】
埋設工程は、抑制体40を、第1地盤10又は/及び第2地盤20に埋設する工程である。
【0066】
具体的には、まず、図示しない公知の掘削装置を用いて、掘削孔41(具体的には、平面形状が略円形状である掘削孔41)を第1地盤10及び第2地盤20にわたって形成する。例えば、掘削孔41と第2地盤20との重複面積が掘削孔41の平面方向の面積の1/4程度になるように、掘削孔41を形成してもよい。次に、図示しない公知の搬送手段(例えば、コンクリートミキサー車)を用いて、工場等で製造されたモルタル又はコンクリートを施工対象領域1まで搬送した後に、図示しない公知の注入装置を用いて、搬送手段によって搬送されたモルタル又はコンクリートを上記掘削孔41に注入する。続いて、上記注入したモルタル又はコンクリートを所定期間養生することで固化する(すなわち、抑制体40を現場で形成することにより、埋設する)。
【0067】
このような上記一連の作業により、図2に示すように、平面形状が略円形状である1つの抑制体40(具体的には、セメント硬化体)が、当該抑制体40の長手方向が上下方向に略沿うように、第1地盤10及び第2地盤20にわたって埋設される。
【0068】
なお、抑制体40の径の大きさ(平面の大きさ)については、上述したように、杭体30と第2地盤20との重複面積、杭打装置のオーガ部の直径、及び抑制体40の数に基づいた大きさに設定している。また、抑制体40の上下方向の長さについては、上述したように、第1地盤10の上下方向の長さよりも短い第2地盤20の上下方向の長さよりも短く設定している。
【0069】
(杭体の施工方法-設置工程)
次に、設置工程について説明する。
【0070】
設置工程は、埋設工程の後に、杭打装置を用いて、抑制体40によって杭体30の曲がりが抑制可能な位置に、杭体30を設置する工程である。
【0071】
具体的には、まず、杭打装置を施工対象領域1に据え付ける。次に、杭打装置のオーガ部によって、杭孔31を第1地盤10と第2地盤20とを横断するように形成する。より具体的には、図3に示すように、抑制体40内において、抑制体40の中心点と杭孔31の中心点とが一致するように、杭孔31を形成する。続いて、杭打装置のクレーン部によって、杭体30を杭孔31に挿入する。
【0072】
このような上記一連の作業により、図1に示すように、杭体30は、上記杭体30の曲がりが抑制可能な位置(具体的には、抑制体40内の位置)に設置される。そのため、杭孔31が形成される際に、抑制体40の硬度が均一であることにより、杭打装置のオーガ部に作用する抑制体40における水平方向(具体的には、左右方向、前後方向等)の抵抗の大きさに差異が生じにくいことから、杭孔31の孔曲がりが生じることを回避できる。よって、杭体30の曲がりを効果的に抑制することが可能となる。
【0073】
なお、実施の形態1では、設置工程の後に、抑制体40は、掘削孔41から取り出されることなく、埋め殺しされる。これにより、抑制体40を撤去する手間を省略でき、杭体30の施工方法の施工性を高めることができる。
【0074】
以上のような杭体30の施工方法により、杭打装置を用いて杭体30を設置する際に、抑制体40によって杭孔31を上下方向に略沿うように形成しやすくなるため、杭体30の曲がりが生じることを抑制できる。よって、杭体30の施工性を高めることが可能となる。
【0075】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、抑制体40を、第1地盤10又は/及び第2地盤20に埋設する埋設工程と、埋設工程の後に、杭打装置を用いて、抑制体40によって杭体30の曲がりが抑制可能な位置に、杭体30を設置する設置工程と、を含むので、杭打装置を用いて杭体30を設置する際に、抑制体40によって杭孔31を上下方向に略沿うように形成しやすくなるため、杭体30の曲がりが生じることを抑制できる。よって、杭体30の施工性を高めることが可能となる。
【0076】
また、抑制体40の平面の大きさを、杭体30と第2地盤20との重複面積、杭打装置のオーガ部の直径、又は/及び抑制体40の数に基づいた大きさとしたので、抑制体40の平面の大きさを適切に設定でき、杭体30の曲がりを効果的に抑制できる。
【0077】
また、抑制体40の上下方向の長さを、第1地盤10の上下方向の長さ及び第2地盤20の上下方向の長さのうちいずれか一方の短い方の長さ以下としたので、抑制体40の上下方向の長さを適切に設定でき、杭体30の曲がりを一層効果的に抑制できる。
【0078】
また、埋設工程において、硬度が均一な抑制体40を、第1地盤10及び第2地盤20にわたって埋設し、設置工程において、杭体30を抑制体40内に設置するので、杭孔31が形成される際に、抑制体40の硬度が均一であることにより、杭打装置のオーガ部に作用する抑制体40における水平方向の抵抗の大きさに差異が生じにくいことから、杭孔31の孔曲がりが生じることを回避できる。よって、杭体30の曲がりをさらに効果的に抑制することが可能となる。
【0079】
また、抑制体40を、鋼材、木材、又はセメント硬化体で構成したので、抑制体40を簡易且つ安価に構成でき、抑制体40の製造性を高めることができる。
【0080】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る杭体の施工方法について説明する。この実施の形態2は、抑制体を、第1地盤又は第2地盤のいずれか一方と間隔を隔てて第1地盤又は第2地盤のいずれか他方に埋設する形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0081】
(構成-施工対象領域)
最初に、実施の形態2に係る施工対象領域100の構成について説明する。
【0082】
実施の形態2に係る施工対象領域100は、実施の形態1に係る施工対象領域1と略同一に構成されている。
【0083】
(構成-杭体)
次に、杭体130の構成について説明する。
【0084】
実施の形態2に係る杭体130は、実施の形態1に係る杭体30と略同一に構成されている。また、杭体130が挿入される杭孔131は、実施の形態1に係る杭孔31と略同一に構成されている。
【0085】
(構成-抑制体)
次に、抑制体140の構成について説明する。
【0086】
この抑制体140は、例えば長尺な鋼材(一例として、第2地盤20の硬度よりも高い硬度を有する丸鋼材等)を用いて構成されており、第1地盤10又は第2地盤20のいずれか一方と間隔を隔てて第1地盤10又は第2地盤20のいずれか他方に埋設されている。具体的には、図4に示すように、複数の抑制体140(図4(b)では、3つの抑制体140)は、当該抑制体140の長手方向が上下方向に略沿うように相互に間隔G1(以下、「第1間隔G1」と称する)を隔てて埋設されていると共に、第2地盤20と間隔G2(以下、「第2間隔G2」と称する)を隔てて第1地盤10に埋設されている。
【0087】
なお、第1間隔G1及び第2間隔G2の長さについては、複数の抑制体140によって杭体130の曲がりを抑制可能な長さに設定しており、例えば、計算結果又は実験結果に基づいて設定してもよい(一例として、0.5mから2m程度に設定してもよい)。
【0088】
また、複数の抑制体140の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0089】
すなわち、複数の抑制体140の平面形状については、図4(b)に示すように、略円形状にそれぞれ設定している。ただし、これに限らず、例えば、多角形状(一例として、三角形状、四角形状等)、楕円形状、又は略H字状にそれぞれ設定してもよい。あるいは、相互に異なる形状にそれぞれ設定してもよい。
【0090】
また、複数の抑制体140の各々の径の大きさ(平面の大きさ)については、第1地盤10の上下方向の長さよりも短い第2地盤20の上下方向の長さよりも短くそれぞれ設定しており、具体的には、杭打装置のオーガ部の直径、又は/及び抑制体140の数に基づいた大きさにそれぞれ設定している。
【0091】
例えば、図4(b)に示すように、杭打装置のオーガ部の直径が第2地盤20の径の半分程度であり、抑制体140の数=3つであることから、杭孔131の径の半分程度に設定してもよい。
【0092】
これにより、抑制体140の直径を適切に設定でき、杭体130の曲がりを効果的に抑制できる。
【0093】
また、抑制体140の上下方向の長さについては、図4(a)に示すように、第1地盤10の上下方向の長さよりも短い第2地盤20の上下方向の長さよりも短く設定している。より具体的には、杭打装置のオーガ部の上下方向の長さと、第2地盤20と杭打装置のオーガ部との重複面積とに基づいて設定しており、例えば、5mから15m程度に設定してもよい。
【0094】
(杭体の施工方法)
次に、実施の形態2に係る杭体130の施工方法について説明する。
【0095】
この杭体130の施工方法は、図4から図7に示すように、埋設工程、設置工程、及び撤去工程を含んでいる。
【0096】
(杭体の施工方法-埋設工程)
まず、埋設工程について説明する。
【0097】
埋設工程においては、具体的には、まず、図示しない公知の掘削装置を用いて、複数の掘削孔141を第1地盤10に形成する。より具体的には、図5に示すように、3つの掘削孔141を相互に第1間隔G1を隔てて第1地盤10に形成すると共に、第2地盤20と第2間隔G2を隔てて第1地盤10に形成する。次に、図示しない公知の吊り装置を用いて、抑制体140(具体的には、丸鋼材)を複数の掘削孔141の各々に挿入する。
【0098】
このような上記一連の作業により、図5に示すように、平面形状が略円形状である1つの抑制体140が、当該抑制体140の長手方向が上下方向に略沿うように、第1地盤10に埋設される。
【0099】
なお、抑制体140の径の大きさ(平面の大きさ)については、上述したように、杭打装置のオーガ部の直径、及び抑制体140の数に基づいた大きさに設定している。また、抑制体140の上下方向の長さについては、上述したように、第1地盤10の上下方向の長さよりも短い第2地盤20の上下方向の長さよりも短く設定している。
【0100】
(杭体の施工方法-設置工程)
次に、設置工程について説明する。
【0101】
設置工程においては、具体的には、杭打装置を施工対象領域100に据え付ける。次に、杭打装置のオーガ部によって、杭孔131を第1地盤10と第2地盤20とを横断するように形成する。より具体的には、杭孔131を複数の抑制体140と重複しない位置に形成しており、詳細には、図6に示すように、杭孔131の一部が第2地盤20と重複しながら、杭孔131と複数の抑制体140との相互間に図4の間隔G3(以下、「第3間隔G3」と称する)が生じる位置に、杭孔131を形成する。続いて、杭打装置のクレーン部によって、杭体130を杭孔131に挿入する。
【0102】
このような上記一連の作業により、図4に示すように、杭体130は、上記杭体130の曲がりが抑制可能な位置(具体的には、複数の抑制体140と重複しない位置)に設置される。そのため、杭孔131が形成される際に、比較的高い硬度を有する抑制体140及び第2地盤20によって杭打装置のオーガ部が挟まれることにより、オーガ部の移動を上下方向に略沿うようにガイドできることから、杭孔131の孔曲がりが生じることを回避できる。よって、杭体130の曲がりを効果的に抑制することが可能となる。
【0103】
(杭体の施工方法-撤去工程)
続いて、撤去工程について説明する。
【0104】
撤去工程は、設置工程の後に、抑制体140を撤去する工程である。
【0105】
具体的には、まず、吊り装置を用いて、複数の掘削孔141の各々に挿入された抑制体140を吊り上げることで、当該抑制体140を各掘削孔141からそれぞれ取り出す。そして、図示しない公知の搬送手段(一例として、トラック等)を用いて、上記取り出した複数の抑制体140を所定の撤去位置(例えば、施工対象領域100から所定距離離れている建材保管地等)まで搬送する。
【0106】
この場合において、例えば、図7に示すように、各掘削孔141を、当該掘削孔141の形成時に発生した土142で埋め戻すことにより、杭体130を施工した後の施工対象領域100の作業性を確保してもよい。
【0107】
このような上記一連の作業により、複数の抑制体140を第1地盤10から撤去でき、抑制体140によって第1地盤10の周辺環境が阻害されることを回避できる。
【0108】
以上のような杭体130の施工方法により、杭打装置を用いて杭体130を設置する際に、抑制体140によって杭孔131を上下方向に略沿うように形成しやすくなるため、杭体130の曲がりが生じることを抑制できる。よって、実施の形態1に係る杭体30の施工方法と略同様に、杭体130の施工性を高めることが可能となる。
【0109】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、埋設工程において、第2地盤20の硬度と同等以上の硬度を有する抑制体140を、第2地盤20と間隔を隔てて第1地盤10に埋設し、設置工程において、杭体130を抑制体140と重複しない位置に設置するので、杭孔131が形成される際に、比較的高い硬度を有する抑制体140及び第2地盤20によって杭打装置のオーガ部が挟まれることにより、オーガ部の移動を上下方向に略沿うようにガイドできることから、杭孔131の孔曲がりが生じることを回避できる。よって、杭体130の曲がりをさらに効果的に抑制することが可能となる。
【0110】
また、設置工程の後に、抑制体140を撤去する撤去工程を含むので、抑制体140を第1地盤10から撤去でき、抑制体140によって第1地盤10の周辺環境が阻害されることを回避できる。
【0111】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0112】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0113】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0114】
(施工対象領域について)
実施の形態1、2では、第2地盤20の硬度が、第1地盤10の硬度よりも高いと説明したが、これに限らず、例えば、第1地盤10の硬度よりも低くてもよい。なお、実施の形態2において、第2地盤20の硬度が第1地盤10の硬度よりも低い場合には、第1地盤10の硬度と同等以上の硬度を有する抑制体140が、第1地盤10と間隔を隔てて第2地盤20に埋設されてもよい。
【0115】
また、実施の形態1、2では、第2地盤20が、地盤改良体で構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、施工対象領域1以外の他の領域の地盤の土で構成されてもよい。
【0116】
(抑制体について)
実施の形態1、2では、抑制体の平面の大きさが、杭体と第2地盤20との重複面積、杭打装置のオーガ部の直径、及び抑制体の数に基づいた大きさに設定されていると説明したが、これに限らない。例えば、杭体と第2地盤20との重複面積、杭打装置のオーガ部の直径、又は抑制体の数に基づいた大きさのいずれか1つのみに基づいて設定されてもよい。
【0117】
また、実施の形態1、2では、抑制体の上下方向の長さが、第2地盤20の上下方向の長さよりも短く設定されていると説明したが、これに限らない。例えば、第2地盤20の上下方向の長さと同一に設定されてもよく、又は第2地盤20の上下方向の長さよりも長く設定されてもよい。
【0118】
また、実施の形態1では、抑制体40の硬度が、第1地盤10の硬度よりも高く、第2地盤20の硬度よりも低い硬度であると説明したが、これに限らない。例えば、第1地盤10の硬度よりも低い硬度であってもよく、あるいは、第2地盤20の硬度よりも高い硬度であってもよい。
【0119】
また、実施の形態2では、抑制体140の設置数が3つであると説明したが、これに限らず、例えば、2つ未満であってもよく、あるいは、4つ以上であってもよい。
【0120】
また、実施の形態2では、複数の抑制体140は、相互に第1間隔G1を隔てて埋設されていると共に、第2地盤20と第2間隔G2を隔てて第1地盤10に埋設されていると説明したが、これに限らない。例えば、第1間隔G1を省略して、隣接する抑制体140同士が相互に接触するように設けられてもよい。あるいは、第2間隔G2を省略して、杭体130と複数の抑制体140とが相互に接触するように設けられてもよい。
【0121】
(施工方法について)
実施の形態1では、埋設工程において、抑制体40を現場で形成することにより、抑制体40を埋設すると説明したが、これに限らない。例えば、掘削孔41が形成された後に、吊り装置を用いて、工場で形成された抑制体40を掘削孔41に挿入することにより、抑制体40を埋設してもよい。
【0122】
また、実施の形態1では、設置工程の後に、抑制体40が、掘削孔41から取り出されることなく、埋め殺しされると説明したが、これに限らない。例えば、設置工程の後に、撤去工程(一例として、公知の斫り装置を用いて、抑制体40の一部を斫ると共に、当該斫られたものを掘削孔41から取り出す作業を繰り返すこと等)を行うことにより、抑制体40が撤去されてもよい。これにより、抑制体40を第1地盤10及び第2地盤20から撤去でき、抑制体40によって第1地盤10及び第2地盤20の周辺環境が阻害されることを回避できる。
【0123】
また、実施の形態2では、設置工程の後に撤去工程が行われると説明したが、これに限らない。例えば、設置工程の後に、複数の抑制体140が、各掘削孔141から取り出されることなく、埋め殺しされてもよい。
【0124】
(付記)
付記1の杭体の施工方法は、杭体が第1地盤と、前記第1地盤とは異なる硬度を有する第2地盤とを横断するように、前記杭体を施工するための施工方法であって、前記杭体の曲がりを抑制する抑制体を、前記第1地盤又は/及び前記第2地盤に埋設する埋設工程と、前記埋設工程の後に、杭打手段を用いて、前記抑制体によって前記杭体の曲がりが抑制可能な位置に、前記杭体を設置する設置工程と、を含む。
【0125】
付記2の杭体の施工方法は、付記1に記載の杭体の施工方法において、前記抑制体の平面の大きさを、前記杭体と前記第2地盤との重複面積、前記杭打手段のオーガ部の直径、又は/及び前記抑制体の数に基づいた大きさとした。
【0126】
付記3の杭体の施工方法は、付記1又は2に記載の杭体の施工方法において、前記抑制体の上下方向の長さを、前記第1地盤の上下方向の長さ及び前記第2地盤の上下方向の長さのうちいずれか一方の短い方の長さ以下とした。
【0127】
付記4の杭体の施工方法は、付記1から3のいずれか一項に記載の杭体の施工方法において、前記埋設工程において、硬度が均一な前記抑制体を、前記第1地盤及び前記第2地盤にわたって埋設し、前記設置工程において、前記杭体を前記抑制体内に設置する。
【0128】
付記5の杭体の施工方法は、付記1から3のいずれか一項に記載の杭体の施工方法において、前記埋設工程において、前記第1地盤又は前記第2地盤のいずれか一方の硬度と同等以上の硬度を有する前記抑制体を、前記第1地盤又は前記第2地盤のいずれか一方と間隔を隔てて前記第1地盤又は前記第2地盤のいずれか他方に埋設し、前記設置工程において、前記杭体を前記抑制体と重複しない位置に設置する。
【0129】
付記6の杭体の施工方法は、付記1から5のいずれか一項に記載の杭体の施工方法において、前記抑制体を、鋼材、木材、又はセメント硬化体で構成した。
【0130】
付記7の杭体の施工方法は、付記1から6のいずれか一項に記載の杭体の施工方法において、前記設置工程の後に、前記抑制体を撤去する撤去工程を含む。
【0131】
(付記の効果)
付記1に記載の杭体の施工方法によれば、抑制体を、第1地盤又は/及び第2地盤に埋設する埋設工程と、埋設工程の後に、杭打手段を用いて、抑制体によって杭体の曲がりが抑制可能な位置に、杭体を設置する設置工程と、を含むので、杭打手段を用いて杭体を設置する際に、抑制体によって杭孔を上下方向に略沿うように形成しやすくなるため、杭体の曲がりが生じることを抑制できる。よって、杭体の施工性を高めることが可能となる。
【0132】
付記2に記載の杭体の施工方法によれば、抑制体の平面の大きさを、杭体と第2地盤との重複面積、杭打手段のオーガ部の直径、又は/及び抑制体の数に基づいた大きさとしたので、抑制体の平面の大きさを適切に設定でき、杭体の曲がりを効果的に抑制できる。
【0133】
付記3に記載の杭体の施工方法によれば、抑制体の上下方向の長さを、第1地盤の上下方向の長さ及び第2地盤の上下方向の長さのうちいずれか一方の短い方の長さ以下としたので、抑制体の上下方向の長さを適切に設定でき、杭体の曲がりを一層効果的に抑制できる。
【0134】
付記4に記載の杭体の施工方法によれば、埋設工程において、硬度が均一な抑制体を、第1地盤及び第2地盤にわたって埋設し、設置工程において、杭体を抑制体内に設置するので、杭孔が形成される際に、抑制体の硬度が均一であることにより、杭打手段のオーガ部に作用する抑制体における水平方向の抵抗の大きさに差異が生じにくいことから、杭孔の孔曲がりが生じることを回避できる。よって、杭体の曲がりをさらに効果的に抑制することが可能となる。
【0135】
付記5に記載の杭体の施工方法によれば、埋設工程において、第1地盤又は第2地盤のいずれか一方の硬度と同等以上の硬度を有する抑制体を、第1地盤又は第2地盤のいずれか一方と間隔を隔てて第1地盤又は第2地盤のいずれか他方に埋設し、設置工程において、杭体を抑制体と重複しない位置に設置するので、例えば、杭孔が形成される際に、比較的高い硬度を有する抑制体と第1地盤又は第2地盤とによって杭打手段のオーガ部が挟まれることにより、オーガ部の移動を上下方向に略沿うようにガイドできることから、杭孔の孔曲がりが生じることを回避できる。よって、杭体の曲がりをさらに効果的に抑制することが可能となる。
【0136】
付記6に記載の杭体の施工方法によれば、抑制体を、鋼材、木材、又はセメント硬化体で構成したので、抑制体を簡易且つ安価に構成でき、抑制体の製造性を高めることができる。
【0137】
付記7に記載の杭体の施工方法によれば、設置工程の後に、抑制体を撤去する撤去工程を含むので、抑制体を第1地盤又は/及び第2地盤から撤去でき、抑制体によって第1地盤又は/及び第2地盤の周辺環境が阻害されることを回避できる。
【符号の説明】
【0138】
1 施工対象領域
10 第1地盤
20 第2地盤
30 杭体
31 杭孔
40 抑制体
41 掘削孔
100 施工対象領域
130 杭体
131 杭孔
140 抑制体
141 掘削孔
142 土
G1 第1間隔
G2 第2間隔
G3 第3間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7