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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102504
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20230718BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230718BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
E06B7/28 B
E06B7/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003028
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 祐介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐二
(57)【要約】
【課題】電力の伝送効率をより向上させることができるワイヤレス給電装置を提供すること。
【解決手段】開口部分の周囲に設けられた外枠に備えられる送電コイルと、前記開口部分が閉状態となる第1方向と、前記開口部分が開状態となる第2方向とに移動可能な内枠に備えられる受電コイルと、を有し、前記送電コイルから前記受電コイルへ無線による電力の伝送を行うワイヤレス給電装置であって、前記送電コイルおよび前記受電コイルは、それぞれ、軸方向に貫通した長尺状の筒状体と、前記筒状体の外周に巻回された導線と、を有し、前記第1方向および前記第2方向に沿って延伸するように設けられ、前記内枠が前記第1方向へ移動した場合に、前記送電コイルおよび前記受電コイルのうちの一方が他方の内部に挿入されるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部分の周囲に設けられた外枠に備えられる送電コイルと、
前記開口部分が閉状態となる第1方向と、前記開口部分が開状態となる第2方向とに移動可能な内枠に備えられる受電コイルと、を有し、
前記送電コイルから前記受電コイルへ無線による電力の伝送を行うワイヤレス給電装置であって、
前記送電コイルおよび前記受電コイルは、それぞれ、
軸方向に貫通した長尺状の筒状体と、前記筒状体の外周に巻回された導線と、を有し、
前記第1方向および前記第2方向に沿って延伸するように設けられ、
前記内枠が前記第1方向へ移動した場合に、前記送電コイルおよび前記受電コイルのうちの一方が他方の内部に挿入されるように構成されている、
ワイヤレス給電装置。
【請求項2】
前記送電コイルが前記受電コイルの内部に挿入されるように構成され、
前記送電コイルは、前記外枠の外部へ突出して設けられ、
前記受電コイルは、前記内枠の内部に設けられる、
請求項1に記載のワイヤレス給電装置。
【請求項3】
前記受電コイルが前記送電コイルの内部に挿入されるように構成され、
前記送電コイルは、前記外枠の内部に設けられ、
前記受電コイルは、前記内枠の外部へ突出して設けられる、
請求項1に記載のワイヤレス給電装置。
【請求項4】
前記内枠には、前記内枠の施錠操作と解錠操作が行われる鍵が設けられており、
前記施錠操作および前記解錠操作のそれぞれに連動して前記受電コイルを移動させる移動機構をさらに有し、
前記移動機構は、
前記施錠操作が行われた場合、
前記内枠の内部に収容された前記受電コイルを、前記内枠の外部へ突出させ、前記外枠の内部に設けられた前記送電コイルの内部に挿入させ、
前記解錠操作が行われた場合、
前記送電コイルの内部に挿入された前記受電コイルを、前記送電コイルから抜き取り、前記内枠の内部に収容させる、
請求項1に記載のワイヤレス給電装置。
【請求項5】
前記内枠には、前記電力を用いて発熱する発熱体が設けられており、
前記受電コイルは、
前記発熱体と電気的に接続されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤレス給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレス給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サッシの外枠に設けられた送電コイルと、外枠のレールに沿って左右にスライドするガラス窓に設けられた受電コイルと、を有するワイヤレス給電装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-163840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、送電コイルおよび受電コイルとして、ガラス窓の表面に平行な平面上において平面状に巻回されたタイプを用いている。よって、電力の伝送効率の面で改善の余地があった。
【0005】
本開示の一態様の目的は、電力の伝送効率をより向上させることができるワイヤレス給電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るワイヤレス給電装置は、開口部分の周囲に設けられた外枠に備えられる送電コイルと、前記開口部分が閉状態となる第1方向と、前記開口部分が開状態となる第2方向とに移動可能な内枠に備えられる受電コイルと、を有し、前記送電コイルから前記受電コイルへ無線による電力の伝送を行うワイヤレス給電装置であって、前記送電コイルおよび前記受電コイルは、それぞれ、軸方向に貫通した長尺状の筒状体と、前記筒状体の外周に巻回された導線と、を有し、前記第1方向および前記第2方向に沿って延伸するように設けられ、前記内枠が前記第1方向へ移動した場合に、前記送電コイルおよび前記受電コイルのうちの一方が他方の内部に挿入されるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電力の伝送効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態に係るサッシを模式的に示す正面図
図2】本開示の実施の形態に係るワイヤレス給電装置の非挿入状態を示す斜視図
図3】本開示の実施の形態に係るワイヤレス給電装置の半挿入状態を示す斜視図
図4】本開示の実施の形態に係るワイヤレス給電装置の全挿入状態を示す斜視図
図5】本開示の実施の形態に係るサッシにおけるワイヤレス給電装置の非挿入状態を示す斜視図
図6】本開示の実施の形態に係るサッシにおけるワイヤレス給電装置の半挿入状態を示す斜視図
図7】本開示の実施の形態に係るサッシにおけるワイヤレス給電装置の全挿入状態を示す斜視図
図8】本開示の変形例1に係るサッシにおけるワイヤレス給電装置の非挿入状態を示す斜視図
図9】本開示の変形例2に係るメカニカル式移動機構の収容状態を模式的に示す正面図
図10】本開示の変形例2に係るメカニカル式移動機構の突出状態を模式的に示す正面図
図11】本開示の変形例3に係る電動式移動機構の収容状態を模式的に示す図
図12】本開示の変形例3に係る電動式移動機構の突出状態を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態および変形例について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において共通する構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0010】
まず、本実施の形態のサッシ100について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態のサッシ100を模式的に示す正面図である。
【0011】
図1に示すように、サッシ100は、開口部分(図示略)の周囲に設けられた外枠1と、外枠1の内側に設けられた内障子2および外障子3(ともに開閉用部材の一例)と、を備える。
【0012】
内障子2および外障子3は、外枠1に設けられたレール(図示略)に沿って、水平方向にスライド移動する。図中の矢印A、Bは、スライド移動の方向を示している。
【0013】
矢印Aは、内障子2が閉まる方向(開口部分を閉状態にする方向)、および、外障子3が開く方向(開口部分を開状態にする方向)を示している。一方、矢印Bは、内障子2が開く方向(開口部分を開状態にする方向)、および、外障子3が閉まる方向(開口部分を開状態にする方向)を示している。
【0014】
内障子2および外障子3は、それぞれ、非透明部材で構成された内枠4を備える。内枠4には、内障子2または外障子3の開閉操作の際に把持される取っ手5、および、透明導電膜(図示略。発熱体の一例)が設けられた透明ガラスである透明電極ガラス6が設けられている。なお、ここでは基材が透明ガラスである場合を例に挙げたが、基材には透明ガラス以外の材料(例えば、透明樹脂等)が用いられてもよい。
【0015】
透明電極ガラス6の一端には、電極8(例えば、負極)が設けられており、透明電極ガラス6の他端には、電極9(例えば、正極)が設けられている。電極8は、内枠4に設けられた導線10と接続されており、電極9は、内枠4に設けられた導線11と接続されている。導線10、11それぞれの他端は、後述するワイヤレス給電装置200の大コイル13(図2図7参照)に接続されている。ワイヤレス給電装置200は、図中の点線の囲み部分に設けられている。
【0016】
なお、図1では図示を省略しているが、電極8、9、導線10、11、ワイヤレス給電装置200は、外障子3の内枠4にも同様に設けられている。また、図1では、説明の便宜上、電極8、9、導線10、11を明示的に図示しているが、実際には、それらは、外部から見えないように内枠4内に設けられている。
【0017】
また、ここでは導線10、11を用いる場合を例に挙げたが、導線10、11の代わりに電極(棒状または板状の導電部材)を用いてもよい。図示は省略するが、導線11の途中には、大コイル13からの電力を受ける受電回路が設けられてもよい。
【0018】
また、ここでは電極8、9が透明電極ガラス6の左右端に設けられる場合を例に挙げたが、電極8、9は、透明電極ガラス6の上下端に設けられてもよい。
【0019】
また、内障子2の内枠4には、内障子2と外障子3の施錠操作と解錠操作が行われる鍵7が設けられている。図示は省略しているが、外障子3の内枠4には、鍵7と係合する鍵受けが設けられている。鍵7としては、例えば、クレセント錠が挙げられるが、これに限定されない。
【0020】
次に、上述したサッシ100に設けられる本実施の形態のワイヤレス給電装置200について、図2図4を用いて説明する。図2は、ワイヤレス給電装置200の非挿入状態を示す斜視図である。図3は、ワイヤレス給電装置200の半挿入状態を示す斜視図である。図4は、ワイヤレス給電装置200の全挿入状態を示す斜視図である。
【0021】
ワイヤレス給電装置200は、電磁誘導方式を用いて、無線による電力の伝送を行う装置である。
【0022】
図2図4に示すように、ワイヤレス給電装置200は、小コイル12および大コイル13を有する。本実施の形態では、小コイル12が送電コイルとして用いられ、大コイル13が受電コイルとして用いられる場合を例に挙げて説明する。
【0023】
小コイル12は、軸方向に貫通した長尺状の筒状体14と、筒状体14の外周に巻回された導線15と、を有する。
【0024】
大コイル13は、軸方向に貫通した長尺状の筒状体16と、筒状体16の外周に巻回された導線15と、を有する。
【0025】
筒状体16の内径は、小コイル12において導線15が巻回された部分(以下、導線巻回部分という)の外径よりも大きい。これにより、小コイル12を、大コイル13(筒状体16)の内部へ挿入することが可能となる。
【0026】
図2は、小コイル12の導線巻回部分が大コイル13内に挿入されていない状態(非挿入状態。小コイル12が大コイル13に近接した近接状態と言ってもよい)を示している。図3は、小コイル12の導線巻回部分の約半分が大コイル13内に挿入されている状態(半挿入状態)を示している。図4は、小コイル12の導線巻回部分の全部が大コイル13内に挿入されている状態(全挿入状態)を示している。
【0027】
小コイル12に巻回された導線15は、送電回路(図示略)を介して電源(図示略)に接続されている。
【0028】
送電回路は、小コイル12が大コイル13に近接したとき(例えば、図2に示す非挿入状態のとき)、または、小コイル12が大コイル13内に挿入したとき(例えば、図3に示す半挿入状態、図4に示す全挿入状態のとき)、交流電力を、小コイル12を介して大コイル13へ送る。伝送される電力の大きさは、図2に示す非挿入状態のときが最も小さく、次に図3に示す半挿入状態のときが大きく、図4に示す全挿入状態のときが最も大きい。
【0029】
大コイル13へ送られた電力は、導線11(および、図示しない受電回路)、電極9を介して透明電極ガラス6へ供給される。これにより、透明導電膜が発熱し、透明電極ガラス6における曇りや水分の付着を防止することができる。
【0030】
次に、サッシ100における小コイル12および大コイル13の設置の態様、および、小コイル12と大コイル13との位置関係について、図5図7を用いて説明する。図5図6図7は、それぞれ、サッシ100におけるワイヤレス給電装置200の非挿入状態、半挿入状態、全挿入状態を示す斜視図である。なお、ここでは、小コイル12および大コイル13が、図1に示した点線の囲み部分に設けられる場合を例に挙げて説明する。
【0031】
図5に示すように、小コイル12は外枠1に設けられ、大コイル13は内障子2の内枠4に設けられている。
【0032】
具体的には、小コイル12の導線巻回部分以外の部分(筒状体14のうち導線15が巻回されていない部分)は、外枠1内に収容されて固定されている。また、小コイル12の導線巻回部分は、外枠1の外部へ突出している。大コイル13は、その全体が内障子2の内枠4内に収容されて固定されている。
【0033】
また、小コイル12および大コイル13は、互いに対向し、かつ、内障子2の開閉方向(矢印A、矢印Bそれぞれが示す方向)に沿って延伸するように設けられている。
【0034】
図5に示す内障子2は、少し開いた状態である。このとき、大コイル13と小コイル12とは離間している。
【0035】
図5に示した内障子2が閉まる方向(矢印Aの方向)へ少し移動すると、図6に示すように、内障子2は、図5に示す状態よりも閉まってはいるが、ほんの少し開いた状態となる。このとき、ワイヤレス給電装置200は、小コイル12の導線巻回部分の約半分が大コイル13内に挿入された状態(半挿入状態)となる。
【0036】
さらに、図6に示した内障子2が閉まる方向(矢印Aの方向)へ移動すると、図7に示すように、内障子2は、完全に閉まった状態となる。このとき、ワイヤレス給電装置200は、小コイル12の導線巻回部分の全部が大コイル13内に挿入された状態(全挿入状態)となる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態のワイヤレス給電装置200は、開口部分の周囲に設けられた外枠1に備えられる送電コイル(例えば、小コイル12)と、開口部分が閉状態となる第1方向(例えば、矢印Aの方向)と、開口部分が開状態となる第2方向(例えば、矢印Bの方向)とに移動可能な内枠4(例えば、内障子2の内枠4)に備えられる受電コイル(例えば、大コイル13)と、を有し、送電コイルから受電コイルへ無線による電力の伝送を行うワイヤレス給電装置であって、送電コイルおよび受電コイルは、それぞれ、軸方向に貫通した長尺状の筒状体14、16と、筒状体14、16の外周に巻回された導線15と、を有し、第1方向および第2方向に沿って延伸するように設けられ、内枠4(例えば、内障子2の内枠4)が第1方向へ移動した場合に、送電コイルおよび受電コイルのうちの一方(例えば、小コイル12)が他方(例えば、大コイル13)の内部に挿入されるように構成されたことを特徴とする。
【0038】
この特徴により、送電コイルと受電コイルとがそれらの軸方向(内枠4の開閉方向)において離間することなく近接した状態となるため、電力の伝送効率をより向上させることができる。
【0039】
また、送電コイルと受電コイルとが内枠4の開閉方向に延伸して設けられるため、内障子2(または、外障子3)を少し開けた状態でも、電力の伝送を行うことができ、利便性が向上する。
【0040】
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
【0041】
[変形例1]
実施の形態では、小コイル12を送電コイルとして用い、大コイル13を受電コイルとして用いる場合を例に挙げて説明したが、小コイル12を受電コイルとして用い、大コイル13を送電コイルとして用いてもよい。
【0042】
この具体例について、図8を用いて説明する。図8は、本変形例に係るサッシにおけるワイヤレス給電装置200の非挿入状態を示す斜視図である。
【0043】
図8に示すように、大コイル13は外枠1に設けられ、小コイル12は内障子2の内枠4に設けられている。
【0044】
具体的には、小コイル12の導線巻回部分以外の部分(導線15が巻回されていない筒状体14)は、内障子2の内枠4内に収容されて固定されている。また、小コイル12の導線巻回部分は、内枠4の外部へ突出している。大コイル13は、その全体が外枠1内に収容されて固定されている。
【0045】
また、小コイル12および大コイル13は、互いに対向し、かつ、内障子2の開閉方向(矢印A、矢印Bそれぞれが示す方向)に沿って延伸するように設けられている。
【0046】
図8に示す内障子2は、少し開いた状態である。このとき、大コイル13と小コイル12とは離間している。図示は省略するが、内障子2が閉まる方向(矢印Aの方向)に移動することで、小コイル12と大コイル13は、上述した半挿入状態(図3参照)または全挿入状態(図4参照)となる。
【0047】
本変形例の構成は、実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
[変形例2]
変形例1の構成を備えたワイヤレス給電装置200において、受電コイルとしての小コイル12を機械的に移動させるメカニカル式移動機構を設けてもよい。具体的には、メカニカル式移動機構は、鍵7の施錠操作および解錠操作のそれぞれに連動して、小コイル12を、内障子2の内枠4から突出させたり、内障子2の内枠4に収容させたりする。
【0049】
この具体例について、図9図10を用いて説明する。図9は、本変形例のメカニカル式移動機構30の収容状態(メカニカル式移動機構30の動作によって小コイル12が内枠4内に収容された状態)を模式的に示す正面図である。図10は、本変形例のメカニカル式移動機構30の突出状態(メカニカル式移動機構30の動作によって小コイル12が内枠4外へ突出した状態)を模式的に示す正面図である。
【0050】
図9図10に示すように、メカニカル式移動機構30は、ワイヤ17、巻きばね18、取付部材19、ガイドレール20を有する。これらの構成要素は、内枠4に設けられている。なお、図9図10では、説明の便宜上、これらの構成要素を明示的に図示しているが、実際には、それらは外部から見えないように内枠4内に設けられている。
【0051】
ワイヤ17は、内枠4に設けられた複数のプーリ(図中の円形で示す部分。符号略)を介して内枠4に設けられている。ワイヤ17の一端は、鍵7に接続されており、ワイヤ17の他端は、巻きばね18に接続されている。
【0052】
巻きばね18の一端は、内枠4に固定されており、巻きばね18の他端は、ワイヤ17に接続されている。
【0053】
小コイル12(具体的には、筒状体14のうち導線15が巻回されていない部分)は、取付部材19に固定されている。
【0054】
取付部材19は、ワイヤ17に固定されており、内枠4に設けられたガイドレール20に沿って、水平方向にスライド移動する。
【0055】
施錠状態の鍵7(図10参照)に対して解錠操作が行われると、図9に示すように、鍵7は解錠状態となる。このとき、ワイヤ17は鍵7の方に引っ張られ、巻きばね18は伸長した状態となる。これにより、取付部材19は、矢印Bの方向へ移動し、小コイル12は、内枠4の内部に収容された状態となる。
【0056】
そして、図9に示す解錠状態の鍵7に対して施錠操作が行われると、図10に示すように、鍵7は施錠状態となる。このとき、ワイヤ17は鍵7から繰り出され、巻きばね18は収縮した状態となる。これにより、取付部材19は、矢印Aの方向へ移動し、小コイル12は、内枠4の外部へ突出した状態となる。図示は省略するが、突出した小コイル12の導線巻回部分は、大コイル13内に挿入される。
【0057】
なお、小コイル12に接続される導線10、11は、上述した小コイル12の移動を阻害しないように、ある程度余裕を持った長さを有している。
【0058】
また、図9図10では図示を省略しているが、メカニカル式移動機構30は、図1に示した外障子3の内枠4にも同様に設けられている。
【0059】
本変形例によれば、鍵7に対する操作に応じて、小コイル12を、大コイル13内に挿入させたり、大コイル13内から抜き取ったりできるので、より利便性が向上する。
【0060】
[変形例3]
変形例2では、機械的に小コイル12を移動させるメカニカル式移動機構30を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、変形例1の構成を備えたワイヤレス給電装置200において、電動で小コイル12を移動させる電動式移動機構を設けてもよい。
【0061】
この具体例について、図11図12を用いて説明する。図11は、本変形例の電動式移動機構31の収容状態(電動式移動機構31の動作によって小コイル12が内枠4内に収容された状態)を模式的に示す図である。図12は、本変形例の電動式移動機構31の突出状態(電動式移動機構31の動作によって小コイル12が内枠4外へ突出した状態)を模式的に示す図である。
【0062】
図11図12に示すように、電動式移動機構31は、変形例2で説明した取付部材19のほか、マイクロスイッチ21、モータコントローラ22、バッテリ23、アクチュエータ24を有する。図示は省略するが、これらの構成要素は、例えば内障子2の内枠4に設けられている。
【0063】
モータコントローラ22は、マイクロスイッチ21、バッテリ23、およびアクチュエータ24のそれぞれと電気的に接続されている。
【0064】
モータコントローラ22は、アクチュエータ24にバッテリ23の電力を供給する。また、モータコントローラ22は、マイクロスイッチ21のオン/オフに応じて、取付部材19を所定位置に移動させるようにアクチュエータ24を制御する。
【0065】
アクチュエータ24は、図示しない電動モータを含み、その駆動により取付部材19を水平方向にスライド移動させる。具体的には、取付部材19は、矢印Aの方向または矢印Bの方向へ移動させられる。なお、変形例2で説明したとおり、取付部材19には、小コイル12が固定されている。
【0066】
マイクロスイッチ21は、鍵7(図1等参照)に設けられた突起部(図示略)に押下されることで、接点がオンとなるスイッチである。
【0067】
図11に示すマイクロスイッチ21は、接点がオフの状態である。このときに、鍵7の施錠操作が行われると、それに伴って鍵7の突起部によりマイクロスイッチ21の上部が押下される。これにより、図12に示すように、マイクロスイッチ21において接点がオンとなる。
【0068】
このようにマイクロスイッチ21がオンとなると、モータコントローラ22は、バッテリ23の電力をアクチュエータ24に供給するとともに、図11に示す位置にある取付部材19(具体的には、内障子2の内枠4内に収容された状態の取付部材19)を、図12に示す位置へ移動させるようにアクチュエータ24を制御する。これにより、内障子2の内枠4内に収容されていた小コイル12は、内枠4の外部へ突出した状態となる。突出した小コイル12の導線巻回部分は、大コイル13内に挿入される。
【0069】
図12に示すマイクロスイッチ21は、接点がオンの状態である。このときに、鍵7の解錠操作が行われると、それに伴って鍵7の突起部により押下されていたマイクロスイッチ21の上部が解放される。これにより、図11に示すように、マイクロスイッチ21において接点がオフとなる。
【0070】
このようにマイクロスイッチ21がオフとなると、モータコントローラ22は、バッテリ23の電力をアクチュエータ24に供給するとともに、図12に示す位置にある取付部材19(具体的には、内障子2の内枠4外へ突出し、大コイル13内に挿入された状態の取付部材19)を、図11に示す位置へ移動させるようにアクチュエータ24を制御する。これにより、大コイル13内に挿入されていた小コイル12は、大コイル13内から抜き取られ、内枠4内へ収容された状態となる。
【0071】
なお、本変形例では、マイクロスイッチを例に挙げて説明したが、これに限定されない。マイクロスイッチの代わりに、例えば、磁気式スイッチまたは光学式スイッチを用いてもよい。
【0072】
このように本変形例でも、変形例2で述べたように、鍵7に対する操作に応じて、小コイル12を、大コイル13内に挿入させたり、大コイル13内から抜き取ったりできるので、より利便性が向上する。
【0073】
[変形例4]
実施の形態では、内障子2および外障子3のスライド移動の方向が水平方向(左右方向)である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、小コイル12および大コイル13のいずれか一方は、垂直方向(上下方向)にスライド移動する開閉用部材(例えば、引き窓、引き戸)に設けられてもよい。
【0074】
また、小コイル12および大コイル13のいずれか一方が設けられる対象は、スライド移動する開閉用部材に限定されない。例えば、小コイル12および大コイル13のいずれか一方は、一辺を軸として回動(枢動)する開閉用部材(例えば、開き窓、開き扉)に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示のワイヤレス給電装置は、所定方向とその反対方向に移動することにより開口部分を開閉する開閉用部材(例えば、窓、扉、戸等)に対して電力を無線で供給する技術に有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 外枠
2 内障子
3 外障子
4 内枠
5 取っ手
6 透明電極ガラス
7 鍵
8、9 電極
10、11 導線
12 小コイル
13 大コイル
15 導線
16 筒状体
17 ワイヤ
18 ばね
19 取付部材
20 ガイドレール
21 マイクロスイッチ
22 モータコントローラ
23 バッテリ
24 アクチュエータ
30 メカニカル式移動機構
31 電動式移動機構
100 サッシ
200 ワイヤレス給電装置
図1
図2
図3
図4
図5
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図12