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特開2023-102508扁平捲回電極体の製造方法、電池の製造方法及び電池モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102508
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】扁平捲回電極体の製造方法、電池の製造方法及び電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20230718BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20230718BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20230718BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20230718BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20230718BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M50/262 P
H01M50/209
H01M10/052
H01M10/0587
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003033
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北條 隆行
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
5H040
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB04
5H028BB07
5H028CC01
5H028CC02
5H028CC08
5H028CC12
5H029AJ02
5H029AJ14
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ03
5H029CJ07
5H029HJ12
5H040AA03
5H040AA36
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY10
5H040CC34
5H040JJ01
(57)【要約】
【課題】正極終端部の浮き上がりを抑制し、正極終端部付近で正極板と負極板との極板間距離が不均一になるのを抑制する扁平捲回電極体の製造方法等を提供する。
【解決手段】帯状の正極板10と帯状の負極板20とが一対の帯状のセパレータ30,40を介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体1の製造方法は、正極板10と負極板20とを一対のセパレータ30,40を介して円筒状に捲回して、円筒捲回電極体1Zを形成する捲回工程S11と、円筒捲回電極体1Zをプレスし潰して、扁平捲回電極体1を形成するプレス工程S12とを備える。プレス工程S12は、正極板10の巻き終わりの正極終端部10eが、扁平捲回電極体1の平坦部2内に位置するようにプレスを行う。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体の製造方法であって、
上記正極板と上記負極板とを上記一対のセパレータを介して円筒状に捲回して、円筒捲回電極体を形成する捲回工程と、
上記円筒捲回電極体をプレスし潰して、上記扁平捲回電極体を形成するプレス工程と、を備え、
上記プレス工程は、
上記正極板の巻き終わりの正極終端部が、上記扁平捲回電極体の平坦部内に位置するようにプレスを行う
扁平捲回電極体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の扁平捲回電極体の製造方法であって、
前記捲回工程は、
前記正極終端部の周方向位置と、前記一対のセパレータのうち、最後に巻き終わる第1セパレータの第1セパレータ終端部の周方向位置とが、予め定めた周方向位置関係となるように、前記円筒捲回電極体を形成し、
前記プレス工程は、
上記円筒捲回電極体を、上記第1セパレータ終端部の上記周方向位置が予め定めた周方向位置となる姿勢に配置して、前記プレスを行う
扁平捲回電極体の製造方法。
【請求項3】
帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体を備える電池の製造方法であって、
請求項1または請求項2に記載の扁平捲回電極体の製造方法により、上記扁平捲回電極体を製造する電極体製造工程と、
上記扁平捲回電極体を用いて、上記電池を組み立てる電池組立工程と、を備える
電池の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電池の製造方法であって、
前記電池は、
前記扁平捲回状電極体の前記平坦部にそれぞれ対向する一対の主側面部を有し、上記一対の主側面部で上記平坦部を挟圧した状態に、上記扁平捲回状電極体を収容する扁平電池ケースを備えており、
前記電池組立工程は、
前記扁平捲回状電極体を上記扁平電池ケース内に収容する収容工程を含む
電池の製造方法。
【請求項5】
帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体を備える複数の電池が、電池厚み方向に積層され、拘束部により積層方向の外側から拘束されて、各電池の上記扁平捲回電極体の平坦部がそれぞれ電極体厚み方向に圧縮された電池モジュールの製造方法であって、
請求項3または請求項4に記載の電池の製造方法により、上記電池を製造する電池製造工程と、
複数の上記電池を上記電池厚み方向に積層し、上記拘束部により上記積層方向の外側から拘束して、各電池の上記扁平捲回電極体の上記平坦部をそれぞれ上記電極体厚み方向に圧縮した上記電池モジュールを組み立てるモジュール組立工程と、を備える
電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々帯状をなす正極板、負極板及び一対のセパレータが扁平状に捲回された扁平捲回電極体の製造方法、この扁平捲回電極体を備える電池の製造方法、及び、この電池を備える電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池の電極体として、帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体が知られている。この扁平捲回電極体は、以下のようにして製造する。即ち、帯状の正極板、帯状のセパレータ、帯状の負極板、帯状のセパレータをこの順に重ねつつ、円筒状に捲回して、円筒捲回電極体を形成する。次にこの円筒捲回電極体をプレスし扁平状に潰して、扁平捲回電極体とすることが行われている。なお、捲回電極体は、正極板よりも負極板を長く、更にこれらよりもセパレータを長くしておき、正極板が巻き終わった後に、負極板が巻き終わり、その後にセパレータが巻き終わる形態とするのが通常である。なお、関連する従来技術として、例えば特許文献1が挙げられる(特許文献1の図1図2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-059395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、円筒捲回電極体をプレスする際、円筒捲回電極体を構成する各部材(正極板、負極板及び一対のセパレータ)の巻き終わり終端部の周方向位置、特に負極板及びセパレータによって内部に隠れた状態となる正極板の正極終端部の周方向位置については、考慮されていなかった。このため、プレス装置にセットする際の、円筒捲回電極体の周方向配置の仕方によって、出来上がった扁平捲回電極体において、正極終端部の周方向位置が変動していた。即ち、正極終端部が、扁平捲回電極体のうち平坦部(正極板、負極板及びセパレータが平板状に積み重なった部位)内に位置する扁平捲回電極体が製造される場合もあれば、扁平捲回電極体のうち平坦部の両側にそれぞれ位置するR部(正極板、負極板及びセパレータが半円筒状に屈曲しつつ積み重なった部位)内に位置する扁平捲回電極体が製造される場合もあった。
【0005】
しかるに、正極終端部は、正極板の長手方向の途中部分に比して曲がり難い。このため、正極終端部が扁平捲回電極体のR部内に位置している場合には、正極終端部が浮き上がって、正極終端部と、負極板のうち正極終端部の径方向内側に位置して対向する対向部位との距離が大きくなり易く、正極終端部付近で正極板と負極板との間の極板間距離が不均一になり易いことが判ってきた。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、正極終端部の浮き上がりを抑制し、正極終端部付近で正極板と負極板との極板間距離が不均一になるのを抑制する扁平捲回電極体の製造方法、この扁平捲回電極体を備える電池の製造方法、及び、この扁平捲回電極体を含む電池を複数積層し拘束した電池モジュールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体の製造方法であって、上記正極板と上記負極板とを上記一対のセパレータを介して円筒状に捲回して、円筒捲回電極体を形成する捲回工程と、上記円筒捲回電極体をプレスし潰して、上記扁平捲回電極体を形成するプレス工程と、を備え、上記プレス工程は、上記正極板の巻き終わりの正極終端部が、上記扁平捲回電極体の平坦部内に位置するようにプレスを行う扁平捲回電極体の製造方法である。
【0008】
上述の扁平捲回電極体の製造方法では、プレス後に正極板の正極終端部が扁平捲回電極体の平坦部内に位置するように円筒捲回電極体をプレスして、扁平捲回電極体を形成する。これにより、製造されるいずれの扁平捲回電極体においても、正極板の正極終端部を扁平捲回電極体の平坦部内に配置できるので、いずれの扁平捲回電極体においても、正極終端部の浮き上がりを抑制し、正極終端部付近で正極板と負極板との極板間距離が不均一になるのを抑制できる。
【0009】
更に上記の扁平捲回電極体の製造方法であって、前記捲回工程は、前記正極終端部の周方向位置と、前記一対のセパレータのうち、最後に巻き終わる第1セパレータの第1セパレータ終端部の周方向位置とが、予め定めた周方向位置関係となるように、前記円筒捲回電極体を形成し、前記プレス工程は、上記円筒捲回電極体を、上記第1セパレータ終端部の上記周方向位置が予め定めた周方向位置となる姿勢に配置して、前記プレスを行う扁平捲回電極体の製造方法とすると良い。
【0010】
捲回電極体においては、通常、正極板の全体がセパレータを介して負極板に対向するように、正極板よりも負極板を長くしている。また正極板と負極板との間を確実に絶縁するために、一対のセパレータは、負極板よりも更に長くしている。このため、円筒捲回電極体において、正極板の正極終端部は、円筒捲回電極体の内部に隠れてしまい、円筒捲回電極体の径方向外側からは視認できない場合が多い。従って、プレス工程において、円筒捲回電極体の外観から、正極終端部の周方向位置を特定するのは困難である場合が多い。
【0011】
これに対し上述の製造方法では、まず捲回工程において、正極板の正極終端部の周方向位置と、最後に巻き終わる第1セパレータの第1セパレータ終端部の周方向位置とが、予め定めた周方向位置関係となるように円筒捲回電極体を形成しておく。例えば、正極終端部から第1セパレータ終端部までの偏角を+180度とする、或いは+150~+210度の範囲内とするなどが挙げられる。
そしてプレス工程において、第1セパレータ終端部の周方向位置が予め定めた周方向位置となる姿勢に円筒捲回電極体を配置して、これをプレスし、正極終端部を扁平捲回電極体の平坦部内に配置する。第1セパレータ終端部は、円筒捲回電極体の最外周に位置しており、径方向外側から容易に視認できる。従って、第1セパレータ終端部の周方向位置を基準とすることで、容易かつ確実に正極終端部を扁平捲回電極体の平坦部内に配置できる。
【0012】
また他の態様は、帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体を備える電池の製造方法であって、前述した扁平捲回電極体の製造方法により、上記扁平捲回電極体を製造する電極体製造工程と、上記扁平捲回電極体を用いて、上記電池を組み立てる電池組立工程と、を備える電池の製造方法である。
【0013】
本発明者が調査した結果、正極板の正極終端部が扁平捲回電極体のR部内に配置された電池では、使用に伴い、負極板のうち正極終端部付近に、具体的には、負極板のうち、正極終端部の径方向内側に位置して対向する対向部位付近に、極板間を移動して電池反応を担う金属イオンが還元された金属(例えばリチウムイオン二次電池においてはLi)が析出し易いことが判ってきた。
その理由は、前述のように、正極終端部が扁平捲回電極体のR部内に位置している場合には、正極終端部が浮き上がって、正極終端部と、負極板の上述の対向部位との距離が大きくなり易い。すると、この部分では、抵抗が局所的に高くなり、負極電位が局所的に低下し、金属析出電位(例えばLi析出電位)よりも低くなる場合がある。これにより、負極板の対向部位付近においてLi析出などの金属析出が生じると考えられる。
【0014】
これに対し、上述の電池の製造方法では、前述した製造方法によって製造した扁平捲回電極体を用いて、電池を組み立てる。このため、製造されるいずれの電池においても、正極終端部の浮き上がりを抑制し、正極終端部付近で正極板と負極板との極板間距離が不均一になるのを抑制できている。従って、いずれの電池においても、負極板のうち正極終端部の径方向内側に位置して対向する対向部位付近で、Li析出などの金属析出が生じるのを抑制できる。
【0015】
なお、「電池」としては、前述の扁平捲回電極体を金属製の電池ケース内に収容した電池や、扁平捲回電極体をラミネートフィルムからなる電池ケース内に収容した電池などが挙げられる。また電池において、扁平捲回電極体の平坦部と電池ケースとは、直接または絶縁フィルムなどを介して密着していてもよいし、扁平捲回電極体の平坦部と電池ケースとの間に隙間があってもよい。
【0016】
更に上記の電池の製造方法であって、前記電池は、前記扁平捲回状電極体の前記平坦部にそれぞれ対向する一対の主側面部を有し、上記一対の主側面部で上記平坦部を挟圧した状態に、上記扁平捲回状電極体を収容する扁平電池ケースを備えており、前記電池組立工程は、前記扁平捲回状電極体を上記扁平電池ケース内に収容する収容工程を含む電池の製造方法とすると良い。
【0017】
上述の製造方法で製造される電池は、扁平捲回電極体の平坦部が扁平電池ケースの一対の主側面部で挟圧されている。このため、正極板の正極終端部は外側から押さえられており、正極終端部の浮き上がりがより効果的に抑制できているので、正極終端部の浮き上がりに起因した前述の金属析出をより一層抑制できる。
【0018】
また他の態様は、帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体を備える複数の電池が、電池厚み方向に積層され、拘束部により積層方向の外側から拘束されて、各電池の上記扁平捲回電極体の平坦部がそれぞれ電極体厚み方向に圧縮された電池モジュールの製造方法であって、前述した電池の製造方法により、上記電池を製造する電池製造工程と、複数の上記電池を上記電池厚み方向に積層し、上記拘束部により上記積層方向の外側から拘束して、各電池の上記扁平捲回電極体の上記平坦部をそれぞれ上記電極体厚み方向に圧縮した上記電池モジュールを組み立てるモジュール組立工程と、を備える電池モジュールの製造方法である。
【0019】
上述の電池モジュールの製造方法では、前述した製造方法によって製造した電池を用いて、電池モジュールを製造する。このため、この電池モジュールでは、これに含まれるすべての電池で、正極板の正極終端部の浮き上がりに起因した金属析出を抑制できている。しかも、この電池モジュールでは、各電池が拘束され、扁平捲回電極体の平坦部がそれぞれ電極体厚み方向に圧縮されている。このため、正極終端部は外側から押さえられており、正極終端部の浮き上がりがより効果的に抑制できているので、正極終端部の浮き上がりに起因した金属析出をより一層抑制できる。
【0020】
なお、「電池モジュール」としては、例えば、複数の電池を直接積層して拘束部で拘束した電池モジュールや、複数の電池をスペーサを介して交互に積層して拘束部で拘束した電池モジュールなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る扁平捲回電極体の電極体軸線方向に直交する簡略化した断面図である。
図2】実施形態に係る電池の斜視図である。
図3】実施形態に係る電池モジュールの側面図である。
図4】実施形態に係り、扁平捲回電極体の製造及び電池の製造を含む電池モジュールの製造のフローチャートである。
図5】実施形態に係り、捲回工程の説明図である。
図6】実施形態に係り、プレス工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に本実施形態に係る扁平捲回電極体1の断面図を、図2に扁平捲回電極体1を備える電池100の斜視図を、図3に電池100を複数積層して拘束した電池モジュール200の側面図をそれぞれ示す。この電池モジュール200は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などに搭載される電池モジュールである。
【0023】
まず扁平捲回電極体1について説明する(図1及び図2参照)。なお、以下では、扁平捲回電極体1の電極体軸線方向AH、電極体幅方向BH及び電極体厚み方向CHを、図1及び図2に示す方向と定めて説明する。この扁平捲回電極体1は、扁平な直方体状であり、帯状の正極板10と帯状の負極板20とを一対の帯状のセパレータ(第1セパレータ30及び第2セパレータ40)を介して扁平状に捲回した電極体である。扁平捲回電極体1は、第1セパレータ30、負極板20、第2セパレータ40及び正極板10が平板状に電極体厚み方向CHに積み重なった平坦部2と、この平坦部2の電極体幅方向BHの両側にそれぞれ位置し、第1セパレータ30、負極板20、第2セパレータ40及び正極板10が半円筒状に屈曲しつつ積み重なった一対のR部3とを有する。
【0024】
正極板10は、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔11を有する。この正極集電箔11の両主面上には、それぞれ、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子を含む正極活物質層12が帯状に形成されている。正極板10のうち幅方向の片方の端部は、厚み方向に正極活物質層12が存在せず、正極集電箔11が厚み方向に露出した正極露出部10d(図2参照)となっている。この正極露出部10dは、電池100において、正極端子120と電気的に接続される。
【0025】
扁平捲回電極体1において、正極板10の巻き終わりの正極終端部10eは、扁平捲回電極体1のうち、平坦部2の電極体幅方向BHのほぼ中央に位置している。このように正極終端部10eが平坦部2内に配置された扁平捲回電極体1では、正極終端部10eの浮き上がりが抑制され、正極終端部10e付近で正極板10と負極板20との極板間距離が不均一になるのを抑制できている。従って、後述する電池100において、負極板20のうち正極終端部10eの径方向内側に位置して対向する対向部位20a付近で、Li析出が生じるのを抑制できる。
【0026】
負極板20は、帯状の銅箔からなる負極集電箔21を有する。この負極集電箔21の両主面上には、それぞれ、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質粒子を含む負極活物質層22が帯状に形成されている。負極板20のうち、幅方向の片方の端部は、厚み方向に負極活物質層22が存在せず、負極集電箔21が厚み方向に露出した負極露出部20d(図2参照)となっている。この負極露出部20dは、電池100において、負極端子130と電気的に接続される。扁平捲回電極体1において、負極板20の巻き終わり部分は、正極板10よりも、予め定めた長さΔL1だけ長くされており、負極板20の負極終端部20eは、正極板10の正極終端部10eよりも後に巻き終わっている。
【0027】
第1セパレータ30及び第2セパレータ40は、それぞれ帯状で樹脂製の多孔質膜からなる。扁平捲回電極体1の最外周は、第1セパレータ30により形成されており、第1セパレータ30の巻き終わりの第1セパレータ終端部30eは、図示しない粘着テープにより第1セパレータ30に固定されている。
扁平捲回電極体1において、第1セパレータ30及び第2セパレータ40の巻き終わり部分は、それぞれ負極板20よりも、予め定めた長さΔL2だけ長く(正極板10よりも、予め定めた長さΔL3=ΔL1+ΔL2だけ長く)されており、第1セパレータ30の第1セパレータ終端部30e及び第2セパレータ40の第2セパレータ終端部40eは、それぞれ負極板20の負極終端部20eよりも後に巻き終わっている。なお、本実施形態では、第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3と第2セパレータ終端部40eの周方向位置T4とは、同じ位置としたが、第1セパレータ30を第2セパレータ40よりも長く巻くようにしても良い。
【0028】
これにより、正極終端部10eの周方向位置T1と、扁平捲回電極体1の最外周に位置する第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3とが、予め定められたの周方向位置関係となっている。具体的には、本実施形態では、後述するプレス前の円筒捲回電極体1Zにおいて、正極終端部10eの周方向位置T1から第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3までの偏角θが、θ=+180度程度となっている(図6参照)。
【0029】
次いで、上述の扁平捲回電極体1を備える電池100について説明する(図2参照)。なお、以下では、電池100の電池縦方向DH、電池横方向EH及び電池厚み方向FHを、図2示す方向と定めて説明する。この電池100は、扁平捲回電極体1と、これを内部に収容する扁平電池ケース(以下、単に「ケース」ともいう)110と、このケース110に支持された正極端子120及び負極端子130等から構成される。またケース110内には、電解液140が収容されており、その一部は扁平捲回電極体1内に含浸され、一部はケース110の底面部113上に溜まっている。また扁平捲回電極体1は、電池縦方向DHの一方側DH1に開口した袋状の絶縁フィルム150に覆われている。
【0030】
このうちケース110は、アルミニウムからなる扁平な直方体箱状である。即ち、ケース110は、平行な一対の主側面部(第1主側面部111及び第2主側面部112)と、これらの間を結ぶ、底面部113、上面部114及び一対の狭側面部(第1狭側面部115及び第2狭側面部116)とを有する。このうち第1主側面部111及び第2主側面部112は、ケース110内に収容された扁平捲回状電極体1の平坦部2にそれぞれ対向して、平坦部2を電極体厚み方向CHに挟圧している。これにより、正極板10の正極終端部10eは外側から押さえられているので、正極終端部10eの浮き上がりが効果的に抑制できている。
【0031】
ケース110は、電池縦方向DHの一方側DH1に開口117cを有する有底角筒状のケース本体部材117と、このケース本体部材117の開口117cを閉塞する形態で溶接された矩形板状のケース蓋部材118とから構成される。ケース本体部材117は、絶縁フィルム150で覆われた扁平捲回電極体1を収容している。
一方、ケース蓋部材118には、複数のアルミニウムの部材から構成される正極端子120が、ケース蓋部材118と絶縁された状態で固設されている。この正極端子120は、ケース110の内部で扁平捲回電極体1のうち正極板10の正極露出部10dに接続し導通する一方、ケース蓋部材118を貫通して電池外部まで延びている。またケース蓋部材118には、複数の銅の部材から構成される負極端子130が、ケース蓋部材118と絶縁された状態で固設されている。この負極端子130は、ケース110の内部で扁平捲回電極体1のうち負極板20の負極露出部20dに接続し導通する一方、ケース蓋部材118を貫通して電池外部まで延びている。
【0032】
次いで、複数の上記電池100を備える電池モジュール200について説明する(図3参照)。この電池モジュール200は、電池厚み方向FHに積層された複数の電池100を含む電池集合体210と、この電池集合体210を積層方向SHの外側SH1から拘束する拘束部220とを備える。このうち電池集合体210は、複数の電池100と、絶縁性樹脂からなる複数のスペーサ215とが、積層方向SHに交互に列置されている。また、電池集合体210を構成する各電池100は、図示しないバスバを介して電気的に接続されている。
【0033】
拘束部220は、金属からなる一対のエンドプレート221と、これらのエンドプレート221の間に架け渡されてエンドプレート221同士の間をそれぞれ連結する4本の拘束バンド222とを有する。エンドプレート221は、電池集合体210の積層方向SHの外側SH1にそれぞれ配置されており、電池集合体210を積層方向SHに挟持する。拘束バンド222は、帯状の金属板からなり、長手方向に伸ばされた状態で、両端部がそれぞれエンドプレート221に固定されている。これにより、電池集合体210を構成する各電池100は、それぞれ積層方向SH(電池厚み方向FH)に圧縮され、各電池100の扁平捲回電極体1の平坦部2は、それぞれ電極体厚み方向CHに圧縮されている。
【0034】
次いで扁平捲回電極体1の製造方法、この扁平捲回電極体1を用いた電池100の製造方法、及び電池100を用いた電池モジュール200の製造方法について説明する(図4図6参照)。
まず「電池製造工程」S1のうち「電極体製造工程」S10において、扁平捲回電極体1を製造する。即ち、各々ロール状に巻かれた正極板10、負極板20、第1セパレータ30及び第2セパレータ40を用意し、電極体製造工程S10のうち「捲回工程」S11において、第1セパレータ30、負極板20、第2セパレータ40及び正極板10を、この順に重ね、円筒状に捲回して、円筒捲回電極体1Zを形成する(図5参照)。
【0035】
この捲回工程S11で用いる捲回装置300は、第1セパレータ供給部311と、負極板供給部312と、第2セパレータ供給部313と、正極板供給部314と、負極板切断部321と、正極板切断部322と、セパレータ切断部323と、ロール部330と、巻取部340とを備える。
このうち各供給部(第1セパレータ供給部311、負極板供給部312、第2セパレータ供給部313及び正極板供給部314)は、ロール状に巻かれた各部材(第1セパレータ30、負極板20、第2セパレータ40及び正極板10)を、それぞれロール部330に向けて送り出すように構成されている。
【0036】
負極板切断部321は、負極板供給部312とロール部330との間に設けられ、負極板20を切断可能に構成されている。また正極板切断部322は、正極板供給部314とロール部330との間に設けられ、正極板10を切断可能に構成されている。またセパレータ切断部323は、ロール部330と巻取部340との間に設けられ、ロール部330で重ねられた第1セパレータ30及び第2セパレータ40を一挙に切断可能に構成されている。
ロール部330は、一対の押圧ロール331を有しており、これらのロール間隙において、第1セパレータ30、負極板20、第2セパレータ40及び正極板10をこの順で連続的に重ね合わせる。
巻取部340は、巻取ロール341を有しており、ロール部330で重ね合わさった第1セパレータ30、負極板20、第2セパレータ40及び正極板10を、円筒状に巻き取り可能に構成されている。
【0037】
この捲回装置300を用いた捲回工程S11では、第1セパレータ供給部311から送り出された第1セパレータ30、負極板供給部312から送り出された負極板20、第2セパレータ供給部313から送り出された第2セパレータ40、正極板供給部314から送り出された正極板10は、それぞれロール部330に向かう。そして、ロール部330の一対の押圧ロール331のロール間隙において、第1セパレータ30、負極板20、第2セパレータ40及び正極板10をこの順に重ね合わせる。その後、これらを巻取部340の巻取ロール341で円筒状に巻き取って、円筒捲回電極体1Zを形成する。その後、図示しない粘着テープにより、円筒捲回電極体1Zに第1セパレータ終端部30eを固定する。
【0038】
円筒捲回電極体1Zの巻き終わりにおいては、まず正極板切断部322により正極板10を切断する。次に負極板切断部321により、正極板10の正極終端部10eよりも負極板20が長さΔL1(図1参照)だけ長くなる位置で負極板20を切断する。次にセパレータ切断部323により、負極板20の負極終端部20eよりも第1セパレータ30及び第2セパレータ40がそれぞれ長さΔL2だけ長くなる位置(正極板10の正極終端部10eよりも第1セパレータ30及び第2セパレータ40がそれぞれ長さΔL3=ΔL1+ΔL2だけ長くなる位置)で(図1参照)、第1セパレータ30及び第2セパレータ40を同時に切断する。
【0039】
このように切断することで、円筒捲回電極体1Zにおいて、正極終端部10eの周方向位置T1と第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3とを、予め定めた周方向位置関係にすることができる。本実施形態では、図6に示すように、正極終端部10eの周方向位置T1から第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3までの偏角θを、θ=+180度としている。なお、第1セパレータ30と第2セパレータ40を、セパレータ切断部323で同時に切断することにより、第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3と第2セパレータ終端部40eの周方向位置T4とは、同じ位置となっている。
【0040】
次に電極体製造工程S10の「プレス工程」S12において、プレス装置400を用いて、上述の円筒捲回電極体1Zをプレスし潰して、扁平捲回電極体1を形成する(図6参照)。このプレス工程S12では、正極板10の正極終端部10eが、扁平捲回電極体1の平坦部2内に位置するようにプレスを行う。
まず円筒捲回電極体1Zを下型420上に載置する。その際、第1セパレータ30の第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3が、予め定めた周方向位置TA(本実施形態では真上の位置)となる姿勢で、円筒捲回電極体1Zを下型420上に配置する。
【0041】
ここで、円筒捲回電極体1Zにおいて、正極板10の正極終端部10eは、円筒捲回電極体1Zの内部に隠れてしまい、円筒捲回電極体1Zの径方向外側からは視認できない。従って、円筒捲回電極体1Zの外観から、正極終端部10eの周方向位置T1を特定することは困難である。
これに対し、前述の捲回工程S11では、正極終端部10eの周方向位置T1と、第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3とを、予め定めた周方向位置関係としている。第1セパレータ終端部30eは、円筒捲回電極体1Zの最外周にあるため、径方向外側から容易に視認できる。従って、プレス工程S12において、プレス装置400に対し、円筒捲回電極体1Zを、第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3が、予め定めた周方向位置TAとなる姿勢に配置することによって、正極終端部10eの周方向位置T1を、予め定めた周方向位置TBに配置できる。
【0042】
本実施形態では、捲回工程S11において、正極終端部10eの周方向位置T1から第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3までの偏角θを+180度としている。従って、第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3が周方向位置TA(真上の位置)となる姿勢で、円筒捲回電極体1Zを下型420上に配置することで、正極終端部10eの周方向位置T1は周方向位置TB(本実施形態では真下の位置)に配置することができる。
その後、プレス装置400の上型410と下型420との間で、円筒捲回電極体1Zを扁平状に押し潰して、扁平捲回電極体1を形成する。これにより、正極終端部10eは、扁平捲回電極体1のうち平坦部2の電極体幅方向BHのほぼ中央に配置される。かくして、正極終端部10eが平坦部2内に配置されて、正極終端部10eの浮き上がりが抑制された扁平捲回電極体1が製造される。
【0043】
次に電池製造工程S1のうち「電池組立工程」S20において、上述の扁平捲回電極体1を用いて、電池100を組み立てる。
まず電池組立工程S20のうち「端子接続工程」S21において、ケース蓋部材118に正極端子120及び負極端子130を固設し(図1参照)、更に正極端子120及び負極端子130を、扁平捲回電極体1のうち正極板10の正極露出部10d及び負極板20の負極露出部20dにそれぞれ溶接して、正極端子120及び負極端子130を扁平捲回電極体1に電気的に接続する。
【0044】
次に「収容工程」S22において、上述の扁平捲回電極体1を袋状の絶縁フィルム150で包んで、これらをケース本体部材117内に挿入すると共に、ケース本体部材117の開口117cをケース蓋部材118で塞ぐ。その後、ケース本体部材117とケース蓋部材118とを、ケース蓋部材118の全周にわたり溶接してケース110を形成する。ケース110内に収容された扁平捲回電極体1のうち平坦部2は、ケース110の第1主側面部111及び第2主側面部112によって電極体厚み方向BH挟圧される。このため、正極板10の正極終端部10eの浮き上がりがより効果的に抑制される。
次に「注液工程」S23において、電解液140をケース蓋部材118の注液孔(不図示)を通じてケース110内に注液し、注液孔を封止部材(不図示)で封止する。その後は、この電池100について、初充電やエージング、各種検査等を行う。かくして、電池100が製造される。
【0045】
次に「モジュール組立工程」S2において、複数の電池100を電池厚み方向FHに積層し、拘束部220で積層方向SHの外側SH1から拘束して、各電池100の扁平捲回電極体1の平坦部2をそれぞれ電極体厚み方向FHに圧縮した電池モジュール200を組み立てる。具体的には、電池厚み方向FHに電池100とスペーサ215とを交互に積層して、電池集合体210を形成し、更に電池集合体210の積層方向SHの外側SH1に、拘束部220のエンドプレート221をそれぞれ重ねる。その後、図示しない押圧治具を用いて、電池集合体210及びエンドプレート221を積層方向SHの外側SH1から押圧しつつ、拘束部220の拘束バンド222をそれぞれエンドプレート221に架け渡し固定して、電池集合体210を拘束する。次に電池100同士を、図示しないバスバを用いて電気的に接続する。かくして、電池モジュール200が完成する。
【0046】
以上で説明したように、扁平捲回電極体1の製造方法では、プレス後に正極板10の正極終端部10eが扁平捲回電極体1の平坦部2内に位置するように円筒捲回電極体1Zをプレスして、扁平捲回電極体1を形成する。これにより、製造されるいずれの扁平捲回電極体1においても、正極板10の正極終端部10eを扁平捲回電極体1の平坦部2内に配置できるので、いずれの扁平捲回電極体1においても、正極終端部10eの浮き上がりを抑制し、正極終端部10e付近で正極板10と負極板20との極板間距離が不均一になるのを抑制できる。
【0047】
更に本実施形態では、まず捲回工程S11において、正極板10の正極終端部10eの周方向位置T1と第1セパレータ30の第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3とが、予め定めた周方向位置関係となるように円筒捲回電極体1Zを形成しておく。そしてプレス工程S12において、円筒捲回電極体1Zを、第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3が予め定めた周方向位置TAとなる姿勢に配置して、これをプレスし、正極終端部10eを扁平捲回電極体1の平坦部2内に配置する。第1セパレータ終端部30eは、円筒捲回電極体1Zにおいて最外周に存在しており、径方向外側から容易に視認できる。従って、第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3を基準とすることで、容易かつ確実に正極終端部10eを扁平捲回電極体1の平坦部2内に配置できる。
【0048】
また電池100の製造方法では、電極体製造工程S10で製造した扁平捲回電極体1を用いて、電池100を組み立てている。このため、製造されるいずれの電池100においても、正極終端部10eの浮き上がりを抑制し、正極終端部10e付近で正極板10と負極板20との極板間距離が不均一になるのを抑制できている。従って、いずれの電池1においても、負極板20のうち正極終端部10eの径方向内側に位置して対向する部位付近で、Li析出が生じるのを抑制できる。
【0049】
また電池製造工程S1で製造される電池100は、扁平捲回電極体1の平坦部2がケース110の一対の主側面部111,112で挟圧されている。このため、正極板10の正極終端部10eは外側から押さえられており、正極終端部10eの浮き上がりがより効果的に抑制できているので、正極終端部10eの浮き上がりに起因したLi析出をより効果的に抑制できる。
【0050】
また電池モジュール200の製造方法では、電池製造工程S1で製造した電池100を用いて、電池モジュール200を製造している。このため、この電池モジュール200では、これに含まれるすべての電池100で、正極終端部10eの浮き上がりに起因したLi析出を抑制できている。しかも、この電池モジュール200では、各電池100が拘束され、扁平捲回電極体1の平坦部2がそれぞれ電極体厚み方向CHに圧縮されている。このため、正極終端部10eは外側から押さえられており、正極終端部10eの浮き上がりがより効果的に抑制できているので、正極終端部10eの浮き上がりに起因したLi析出をより一層抑制できる。
【0051】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1 扁平捲回電極体
1Z 円筒捲回電極体
2 平坦部
3 R部
10 正極板
10e 正極終端部
20 負極板
20e 負極終端部
30 第1セパレータ
30e 第1セパレータ終端部
40 第2セパレータ
40e 第2セパレータ終端部
100 電池
110 扁平電池ケース(ケース)
111 第1主側面部
112 第2主側面部
200 電池モジュール
210 電池集合体
220 拘束部
300 捲回装置
400 プレス装置
CH 電極体厚み方向
FH 電池厚み方向
SH 積層方向
SH1 (積層方向の)外側
T1 (正極終端部の)周方向位置
T3 (第1セパレータ終端部の)周方向位置
TA,TB (予め定めた)周方向位置
θ 偏角
S1 電池製造工程
S10 電極体製造工程
S11 捲回工程
S12 プレス工程
S20 電池組立工程
S21 端子接続工程
S22 収容工程
S23 注液工程
S2 モジュール組立工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
更に上記の電池の製造方法であって、前記電池は、前記扁平捲回電極体の前記平坦部にそれぞれ対向する一対の主側面部を有し、上記一対の主側面部で上記平坦部を挟圧した状態に、上記扁平捲回電極体を収容する扁平電池ケースを備えており、前記電池組立工程は、前記扁平捲回電極体を上記扁平電池ケース内に収容する収容工程を含む電池の製造方法とすると良い。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
これにより、正極終端部10eの周方向位置T1と、扁平捲回電極体1の最外周に位置する第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3とが、予め定められた周方向位置関係となっている。具体的には、本実施形態では、後述するプレス前の円筒捲回電極体1Zにおいて、正極終端部10eの周方向位置T1から第1セパレータ終端部30eの周方向位置T3までの偏角θが、θ=+180度程度となっている(図6参照)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
次いで、上述の扁平捲回電極体1を備える電池100について説明する(図2参照)。なお、以下では、電池100の電池縦方向DH、電池横方向EH及び電池厚み方向FHを、図2示す方向と定めて説明する。この電池100は、扁平捲回電極体1と、これを内部に収容する扁平電池ケース(以下、単に「ケース」ともいう)110と、このケース110に支持された正極端子120及び負極端子130等から構成される。またケース110内には、電解液140が収容されており、その一部は扁平捲回電極体1内に含浸され、一部はケース110の底面部113上に溜まっている。また扁平捲回電極体1は、電池縦方向DHの一方側DH1に開口した袋状の絶縁フィルム150に覆われている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
また電池100の製造方法では、電極体製造工程S10で製造した扁平捲回電極体1を用いて、電池100を組み立てている。このため、製造されるいずれの電池100においても、正極終端部10eの浮き上がりを抑制し、正極終端部10e付近で正極板10と負極板20との極板間距離が不均一になるのを抑制できている。従って、いずれの電池100においても、負極板20のうち正極終端部10eの径方向内側に位置して対向する部位付近で、Li析出が生じるのを抑制できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体の製造方法であって、
上記正極板と上記負極板とを上記一対のセパレータを介して円筒状に捲回して、円筒捲回電極体を形成する捲回工程と、
上記円筒捲回電極体をプレスし潰して、上記扁平捲回電極体を形成するプレス工程と、
を備え、
上記プレス工程は、
上記正極板の巻き終わりの正極終端部が、上記扁平捲回電極体の平坦部内に位置するようにプレスを行う
扁平捲回電極体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の扁平捲回電極体の製造方法であって、
前記捲回工程は、
前記正極終端部の周方向位置と、前記一対のセパレータのうち、最後に巻き終わる第1セパレータの第1セパレータ終端部の周方向位置とが、予め定めた周方向位置関係となるように、前記円筒捲回電極体を形成し、
前記プレス工程は、
上記円筒捲回電極体を、この電極体の上記第1セパレータ終端部の上記周方向位置が予め定めた周方向位置となる姿勢に配置して、前記プレスを行う
扁平捲回電極体の製造方法。
【請求項3】
帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体を備える電池の製造方法であって、
請求項1または請求項2に記載の扁平捲回電極体の製造方法により、上記扁平捲回電極体を製造する電極体製造工程と、
上記扁平捲回電極体を用いて、上記電池を組み立てる電池組立工程と、を備える
電池の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電池の製造方法であって、
前記電池は、
前記扁平捲回電極体の前記平坦部にそれぞれ対向する一対の主側面部を有し、上記一対の主側面部で上記平坦部を挟圧した状態に、上記扁平捲回電極体を収容する扁平電池ケースを備えており、
前記電池組立工程は、
前記扁平捲回電極体を上記扁平電池ケースに収容する収容工程を含む
電池の製造方法。
【請求項5】
帯状の正極板と帯状の負極板とが一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平捲回電極体を備える複数の電池が、電池厚み方向に積層され、拘束部により積層方向の外側から拘束されて、各電池の上記扁平捲回電極体の平坦部がそれぞれ電極体厚み方向に圧縮された電池モジュールの製造方法であって、
請求項3または請求項4に記載の電池の製造方法により、上記電池を製造する電池製造工程と、
複数の上記電池を上記電池厚み方向に積層し、上記拘束部により上記積層方向の外側から拘束して、各電池の上記扁平捲回電極体の上記平坦部をそれぞれ上記電極体厚み方向に圧縮した上記電池モジュールを組み立てるモジュール組立工程と、を備える
電池モジュールの製造方法。