(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102511
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230718BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003038
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷島 範安
(72)【発明者】
【氏名】酒井 貴大
(72)【発明者】
【氏名】室谷 和哉
(72)【発明者】
【氏名】山田 崇弘
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC08
5H301FF11
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】点検対象物情報取得部の昇降を要する自律移動体における電力消費量を節減できるようにする。
【解決手段】本発明の一態様の情報処理装置1は、自律移動型ロボットの移動時のカメラの高さ、及び、高さの調整タイミングを異ならせた複数の移動パターンのうち、カメラを昇降させる昇降機構の電力消費量がより少ない移動パターンにおける高さを、自律移動型ロボットの移動時のカメラの高さに設定する移動時カメラ高さ情報設定部102を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の点検対象物情報取得ポイント間を移動する自律移動体に設けられ、前記点検対象物の情報を取得する点検対象物情報取得部の、移動時における高さを設定する情報処理装置であって、
前記自律移動体の移動時の前記点検対象物情報取得部の高さ、及び、前記高さの調整タイミングを異ならせた複数の移動パターンのうち、前記点検対象物情報取得部を昇降させる昇降機構の電力消費量がより少ない移動パターンにおける前記高さを、前記自律移動体の移動時の前記点検対象物情報取得部の高さに設定する移動時高さ情報設定部を備える
情報処理装置。
【請求項2】
複数の前記移動パターンは、所定の高さに前記点検対象物情報取得部の高さを固定後に、次の点検対象物情報取得ポイントに前記自律移動体が移動する第1移動パターン、及び、前記点検対象物情報取得部の高さを所定の高さに固定せずに次の前記点検対象物情報取得ポイントまで前記自律移動体を移動させ、次の前記点検対象物情報取得ポイントに到達後に、前記点検対象物情報取得部の高さを移動先の前記点検対象物情報取得ポイントにおける前記点検対象物情報取得部の高さに調整する第2移動パターンを少なくとも含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移動時高さ情報設定部は、複数の前記点検対象物情報取得ポイント間の距離、複数の前記点検対象物情報取得ポイントにおける前記点検対象物情報取得部の目標高さ、前記点検対象物情報取得部の所定の高さへの固定時における前記昇降機構の電力消費量、及び、前記昇降機構の昇降時の電力消費量の各情報に基づいて、複数の前記移動パターンにおける前記昇降機構の各電力消費量を算出する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1移動パターンにおける次の前記点検対象物情報取得ポイントまでの間での前記点検対象物情報取得部の高さは、前記昇降機構による前記点検対象物情報取得部の昇降範囲の最下点、又は、電力を消費せずに前記点検対象物情報取得部を固定可能な高さである
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記自律移動体が移動する走行路の形状の情報に基づいて、複数の前記点検対象物情報取得ポイント間のそれぞれにおける前記点検対象物情報取得部の高さの上限値を第2高さとして設定する第2移動時高さ情報設定部と、
前記移動時高さ情報設定部により設定された第1高さと、前記第2移動時高さ情報設定部により設定された第2高さのうち、高さがより低い方の高さを、前記自律移動体の移動時の前記点検対象物情報取得部の高さに設定する移動時高さ決定部と、をさらに備える
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2高さは、前記自律移動体の転倒を誘発しない高さである
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記走行路の形状の情報には、前記走行路に含まれる段差の情報、前記走行路の勾配の情報、前記走行路の曲率の情報のうち、少なくとも1つ以上が含まれる
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の点検対象物情報取得ポイント間を移動する自律移動体に設けられ、前記点検対象物の情報を取得する点検対象物情報取得部の、移動時における高さを設定する情報処理装置による情報処理方法であって、
前記自律移動体の移動時の前記点検対象物情報取得部の高さ、及び、前記高さの調整タイミングを異ならせた複数の移動パターンのうち、前記点検対象物情報取得部を昇降させる昇降機構の電力消費量がより少ない移動パターンにおける前記高さを、前記自律移動体の移動時の前記点検対象物情報取得部の高さに設定する手順を含む
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の人口減少及び超高齢化に伴い、経済活動の担い手である労働人口の減少が社会問題になっており、インフラ設備の点検の現場においても、検査者の不足が顕著化してきている。また、インフラ設備の点検においては、点検対象のメータなどを検査員が目視で確認することによって点検作業が行われており、検査員の熟練度によって検査結果に相違が出てしまうという問題がある。さらに、インフラ設備の点検における検査範囲は広いところでは数キロメートル以上になることもあり、検査員に体力的負担を要してしまうこともある。
【0003】
上記の各種課題を解決することを目的として、代替労働力としての自律走行(移動)型のロボットを採用する動きが活発化している。例えば、特許文献1には、装置本体の位置情報を推定する手段を第1位置推定部と第2位置推定部との間で切り替え、取得した装置本体の位置情報に基づいて走行部を制御することによって、装置本体を所定のルートに沿って進行させる自走式検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される技術を実施するためには、自律移動型ロボットにセンサを搭載し、センサで点検対象の撮影を行いながら点検が行われる場所内(以下、「点検場内」と称する)を自律的に走行する必要がある。自律的に走行するためには、自律移動型ロボットに搭載された電池から供給される電力によって、駆動用のモータの動作、巡視点検用のカメラの制御、自律移動に必要な演算処理等が実施される必要がある。したがって、自律移動型ロボットを広域なインフラ設備内で自律的に走行させるためには、各機能の電力消費量が考慮される必要がある。
【0006】
また、センサ(以下、「点検対象物情報取得部」とも称する)を昇降させながら自律移動を行う必要がある場合には、昇降に伴う電力消費量が大きくなる可能性がある。この場合、電池の容量を増やすという解決策も考えられるが、サイズ、運動性能、重量、コスト、設置スペースの観点から、単純にロボットに搭載可能な電池の容量を多くすることは難しい場合が多い。したがって、点検対象物情報取得部の昇降を要する場合における自律移動体の電力消費量を節減する技術の考案が求められていた。
【0007】
しかしながら、特許文献1には、点検対象物情報取得部の昇降を要する場合における自律移動体の電力消費量を節減する技術については記載されていない。
【0008】
本発明は、上記の状況を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、点検対象物情報取得部の昇降を要する自律移動体の電力消費量を節減できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、複数の点検対象物情報取得ポイント間を移動する自律移動体に設けられ、点検対象物の情報を取得する点検対象物情報取得部の、移動時における高さを設定する情報処理装置である。本発明の一態様に係る情報処理装置は、自律移動体の移動時の点検対象物情報取得部の高さ、及び、高さの調整タイミングを異ならせた複数の移動パターンのうち、点検対象物情報取得部を昇降させる昇降機構の電力消費量がより少ない移動パターンにおける高さを、自律移動体の移動時の点検対象物情報取得部の高さに設定する移動時高さ情報設定部を備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係る情報処理方法は、複数の点検対象物情報取得ポイント間を移動する自律移動体に設けられ、点検対象物の情報を取得する点検対象物情報取得部の、移動時における高さを設定する情報処理装置による情報処理方法である。本発明の一態様に係る情報処理方法は、自律移動体の移動時の点検対象物情報取得部の高さ、及び、高さの調整タイミングを異ならせた複数の移動パターンのうち、点検対象物情報取得部を昇降させる昇降機構の電力消費量がより少ない移動パターンにおける高さを、自律移動体の移動時の点検対象物情報取得部の高さに設定する手順を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の少なくとも一態様によれば、点検対象物情報取得部の昇降を要する自律移動体の電力消費量を節減できるようになる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置を構成するハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る自律移動型ロボットの概要例を示す側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る自律移動型ロボットの制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る点検場内情報に格納された点検場内情報の例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る点検対象物の示す値を自動検出可能とするカメラの向き及び高さの範囲の例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るカメラ高さの設定例を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る移動時カメラ高さ情報設定部による移動時カメラ高さ設定例を示す図である。
【
図9】本発明の本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置による情報処理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る走行路の路面条件及び移動時のカメラ高さが自律移動型ロボットの走行に及ぼす影響の例を示す図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る走行路の路面条件と、カメラ高さを低くする必要性の低さとの対応を示す表である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る自律移動型ロボットの制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る走行路の形状の情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値等は例示である。また、本明細書及び図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0014】
<第1の実施形態>
[点検自動化システムの構成]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る点検自動化システムを構成する情報処理装置1の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示す概略図である。
【0015】
本実施形態に係る点検自動化システムは、
図1に示す情報処理装置1と、
図3に示す自律移動型ロボット2とを備える。自律移動型ロボット2(自律移動体の一例)は、車体部200(
図3参照)に取り付けられたカメラ207によって撮影された撮影画像の情報(点検対象物情報の一例)、及び、点検場内情報DB100に格納された情報を用いて自律走行を行いながら、点検場内の巡視及び点検対象物の点検を行う。
【0016】
情報処理装置1は、
図3に示す自律移動型ロボット2に設けられたカメラ207(点検対象物情報取得部の一例)の高さ(以下、「カメラ高さ」とも称する)を設定する装置である。本実施形態では、情報処理装置1が、自律移動型ロボット2とは別に設けられる例を挙げるが、本発明はこれに限定されず、情報処理装置1の一部又は全部が自律移動型ロボット2の内部に設けられてもよい。
【0017】
図1に示すように、情報処理装置1は、点検場内情報DB(Database)100と、カメラ高さ情報設定部101と、移動時カメラ高さ情報設定部102と、を含む。
【0018】
点検場内情報DB100は、不図示の点検場内に設置されている複数の点検対象物の各位置や、自律移動型ロボット2が走行する走行経路の情報、各点検対象物を撮影するための場所(撮影ポイント:点検対象物情報取得ポイントの一例)、撮影ポイント間の距離の情報、点検場内における施設の情報などが格納されたデータベースである。
【0019】
なお、本実施形態では、自律移動型ロボット2の走行計画、例えば、どのような道順で走行するか、どの点検対象物を撮影するか等の計画は、ユーザによって事前に計画され設定されることを想定しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、自律移動型ロボット2が、点検場内情報DB100に記載の情報に基づいて自律的に判断して移動することも可能である
【0020】
カメラ高さ情報設定部101は、点検場内情報DB100に記載の内容に基づいて、自律移動型ロボット2のカメラ207(
図3参照)の各撮影ポイントにおける目標高さを設定する。カメラ高さ情報設定部101による目標高さの設定は、点検対象物及び点検場内の地形の情報が変わらない場合には、一度実施されれば十分である。カメラ高さ情報設定部101によって設定されたカメラ高さ(目標高さ)の情報は、例えば点検場内情報DB100内に記録されてもよく、別の記録媒体等に保存されてもよい。
【0021】
また、カメラ高さ情報設定部101における高さ情報の設定は、情報処理装置1が自律移動型ロボット2の内部に設けられる場合には、自律移動型ロボット2の内部において自動で行われてもよく、ユーザによる手動操作によって設定されてもよい。すなわち、入力方法は問わない。また、カメラ高さ情報設定部101における高さ情報の設定は、任意の値(高さ)の設定機能を持つ不図示の設定アプリケーション等を用いて行われてもよい。このような設定アプリケーションが使用される場合においても、高さの設定方法は、自動・手動の如何を問わない。
【0022】
移動時カメラ高さ情報設定部102(移動時高さ情報設定部の一例)は、外部から入力される電力消費量パラメータの情報と、点検場内情報DB100から取得した撮影ポイントにおけるカメラ高さ(目標高さ)の情報と、撮影ポイント間の距離の情報と、に基づいて、撮影ポイント間の移動時におけるカメラ高さ(以下、「移動時カメラ高さ」とも称する)を算出する。移動時カメラ高さ情報設定部102による移動時カメラ高さの設定方法については、後述の
図9を参照して詳述する。
【0023】
電力消費量パラメータは、カメラ昇降機構208(
図3参照)がカメラ207の高さを変更する場合に必要となる電力消費量を示す。電力消費量パラメータは、例えば数値、又は、数値以外の指標等で示すことができる。
【0024】
電力消費量パラメータを示す数値として、例えば、昇降動作を伴わずにカメラ昇降機構208の昇降範囲の最下点でカメラ207を保持しながら移動する場合は「0」、最下点から最高点までカメラ207を上昇させる場合は「100」、カメラ207を一定の高さに保持したまま移動する場合は「20」等を設定することができる。
【0025】
また、電力消費量パラメータを示す指標として、予め定めた閾値以上の上下動を伴って移動する場合は「大」、閾値以下での上下動を伴う場合は「中」、一定高さを維持して移動する場合は「小」等を設定することができる。
【0026】
なお、上述した電力消費量パラメータの設定例においては、カメラ昇降機構208がサーボモータ制御によって昇降することを想定しているため、一定のカメラ高さを維持しての移動時においても、多少の電力を消費することを前提としている。したがって、一定のカメラ高さを維持しての移動時における電力消費量に、「20」等の「0」より大きい値が設定されている。しかし、例えば、不図示の高さ固定機構等を用いてカメラ207の高さを所定の高さに物理的にロック可能な場合においては、一定のカメラ高さを維持しての移動時における電力消費パラメータは「0」となる。
【0027】
[計算機のハードウェア構成例]
次に、
図1に示した情報処理装置1の制御系の機能を実現するためのハードウェア構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、情報処理装置1を構成するハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0028】
図2に示す計算機50は、情報処理装置1で使用されるコンピュータとして用いられるハードウェアである。計算機50は、バスB1にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)501、ROM502(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)503、不揮発性ストレージ504及びネットワークインターフェース505を備える。
【0029】
CPU501は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM502から読み出し、RAM503に展開して実行する。RAM503には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
図1に示した情報処理装置1のカメラ高さ情報設定部101、移動時カメラ高さ情報設定部102の各機能は、これらの機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをCPU501がROM502から読み出してRAM503に展開して実行することにより実現される。
【0030】
なお、計算機50は、CPU501の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により実現されてもよい。また、例えば、ある機能部はCPU501、ROM502及びRAM503の組み合わせ、他のある機能部はCPU501、ROM502、RAM503とFPGAとの組み合わせ等のように、計算機50を構成する各部がそれぞれ異なる組み合わせによって実現されてもよい。
【0031】
不揮発性ストレージ504には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この不揮発性ストレージ504には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機50を機能させるためのプログラム等が記録される。つまり、不揮発性ストレージ504は、計算機50によって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
図1に示した情報処理装置1の点検場内情報DB100の機能は、不揮発性ストレージ504によって実現される。
【0032】
ネットワークインターフェース505は、無線通信又は不図示のLAN(Local Area Network)等のネットワーク等を介して、自律移動型ロボット2又は不図示の外部装置との間で各種のデータを送受信する。
【0033】
なお、
図2に示す計算機50には、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示装置、キーボード、マウス等によって構成される操作入力部、あるいは、表示装置と操作入力部とが一体に形成されたタッチパネル等が設けられてもよい。
【0034】
[自律移動型ロボットの構成]
次に、
図3及び
図4を参照して、自律移動型ロボット2の構成について説明する。
図3は、自律移動型ロボット2の概要例を示す側面図であり、
図4は、自律移動型ロボット2の制御系の構成例を示すブロック図である。
図3において、自律移動型ロボット2の正面方向をX方向(X軸)、X方向に直交する自律移動型ロボット2の走行方向をY方向(Y軸)、X方向及びY方向に直交する高さ方向をZ方向(Z軸)とする。
【0035】
〔自律移動型ロボットの概要〕
図3に示すように、自律移動型ロボット2は、車輪等で構成される移動機構205を有する車体部200の上面部に、カメラ昇降機構208が設けられており、カメラ昇降機構208の先端(上端)部に、カメラ207が取り付けられている。
図3には、点検対象物情報取得部としてのカメラ207が一つ取り付けられている例を示すが、本発明はこれに限定されない。例えば、点検対象物情報取得部として、カメラ以外のセンサが取り付けられてもよく、複数個のセンサが取り付けられてもよい。
【0036】
図3の左端に示す図は、カメラ昇降機構208を上方向又は下方向に動かしながら移動する例を示す図であり、この場合の自律移動型ロボット2の電力消費パラメータは「大」となる。
図3の中央に示す図は、カメラ高さを一定の高さに固定した状態で自律移動型ロボット2が移動する例を示す図であり、この場合の自律移動型ロボット2の電力消費パラメータは、「中」となる。
図3の右端に示す図は、カメラ昇降機構208を最下点に固定した状態で移動する例を示す図であり、この場合の自律移動型ロボット2の電力消費パラメータは「0」となる。
【0037】
なお、電力消費パラメータの指標又は値は、カメラ昇降機構208を駆動する不図示のサーボモータの特性や、カメラ昇降機構208の構造などによって、様々な指標又は値を取り得る。
【0038】
〔自律移動型ロボットの制御系の構成〕
図4に示すように、自律移動型ロボット2は、制御部201と、通信部202と、記憶部203と、二次電池204と、移動機構205と、移動機構駆動モータ206と、カメラ207と、カメラ昇降機構208と、カメラ昇降機構駆動モータ209と、カメラ制御部210と、自律走行機能部211と、自動点検部212と、を備える。
【0039】
制御部201は、不図示のCPU、ROM、RAM等で構成される。制御部201のCPUが、ソフトウェアのプログラムコードをROMから読み出し、RAM503に展開して実行することにより、自律移動型ロボット2の各機能部の機能が実現される。
【0040】
なお、自律移動型ロボット2は、CPUの代わりにMPU等の処理装置を備えてもよく、FPGAやASIC等により実現されてもよい。また、例えば、ある機能部はCPU、ROM及びRAMの組み合わせ、他のある機能部はCPU、ROM、RAMとFPGAとの組み合わせ等のように、自律移動型ロボット2を構成する各部がそれぞれ異なる組み合わせによって実現されてもよい。
【0041】
通信部202は、無線通信又は不図示のLAN等のネットワーク等を介して、情報処理装置1又は不図示の外部装置との間で各種のデータを送受信する。
【0042】
記憶部203は、例えば、HDD、SSD、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等で構成され、点検場内情報DB100が格納される。また、記憶部203には、OS、各種のパラメータの他に、自律移動型ロボット2を機能させるためのプログラム等が記録される。つまり、記憶部203は、制御部201のCPUによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0043】
二次電池204は、例えばリチウムイオン電池等で構成され、自律移動型ロボット2を構成する各部に電力を供給する。
【0044】
移動機構205は、例えばキャタピラ型の車輪等で構成され、車輪が回転することにより自律移動型ロボット2を移動させる。移動機構駆動モータ206は、移動機構205を駆動するサーボモータである。なお、移動機構205は車輪に限定されず、走行路を移動可能な形態であれば、どのような形態であってもよい。
【0045】
カメラ207は、不図示のレンズ及びCCD(Charge Coupled Device)センサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等を含み、撮影対象である点検対象物を撮影して撮影画像を得る。
【0046】
カメラ昇降機構208は、カメラ207をZ軸(
図3参照)の方向に昇降(上下移動)させる機構である。カメラ昇降機構駆動モータ209は、カメラ昇降機構208を駆動するサーボモータである。
【0047】
カメラ制御部210は、カメラ207の向きや撮影動作などを制御する。例えば、カメラ制御部210は、撮影ポイントから点検対象物の方向に光軸が向くようにカメラ207のパン、チルト、ロールの各方向の向きを調整する制御を行う。カメラ207の向き制御は、例えば、各撮影ポイントの位置座標及び点検対象物の位置座標がわかっていれば、それぞれの位置の相対関係から算出することが可能である。もしくは、点検場内情報DB100内に、各撮影ポイントにおけるカメラ207の向きの情報が予め設定されていてもよい。
【0048】
さらに、撮影ポイントから撮影対象までの距離が遠い場合には、カメラ207の撮影倍率も制御することが可能である。カメラ制御部210によってこのような制御が行われることにより、撮影ポイントからの距離が遠い位置にある点検対象物の撮影画像も、カメラ207によって撮影することが可能となる。
【0049】
自律走行機能部211は、点検場内情報DB100に記載された各種情報、及び、予め計画された走行計画に基づいて与えられた走行経路を走行するための、自己位置推定機能、障害物検知機能、車両制御機能などの機能部である。
【0050】
自己位置推定機能は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)が取得した位置情報を用いて、自己の位置を推定する。もしくは、自己位置推定機能は、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)の技術を用いて自己位置を推定してもよい。SLAMは、周囲の環境情報を取得可能な装置であるLiDAR(Light Detection And Ranging)と地図情報とを組み合わせて自己位置を推定する技術である。なお、SLAMを用いて自己位置を推定する場合には、点検場内の地図を予め取得しておく必要がある。
【0051】
障害物検知機能は、前述したLiDARや、カメラ207又は不図示の超音波センサ等を用いて、周辺の障害物を認識する機能である。なお、障害物検知機能は単独で用いてもよいが、例えばLiDAR及びカメラのように、複数の装置の組み合わせによって実現されてもよい。
【0052】
車両制御機能は、自己位置推定機能による自己位置の推定結果と、障害物検知機能による障害物の検知結果と、点検場内情報DB100に格納されている情報と、に基づいて、自律移動型ロボット2の車体部200(
図3参照)を自律的に動かすための指令値を作成する。指令値には、例えば、移動機構駆動モータ206(
図4参照)の回転数や、不図示のハンドルの角度等がある。
【0053】
自動点検部212は、点検対象物の撮影画像より点検対象物が示す数値の読み取り、該数値に基づいて異常の検出等を行う。例えば、点検対象物がアナログメータである場合、アナログメータの値が変換されたデジタル値の大きさの情報に基づいて、アナログメータが取り付けられた装置に異常が発生しているか否かを自動で判定する。また、自動点検部212は、カメラ制御部210と連携を行い、点検対象物が適切に撮影されていなかった場合に、そのことをカメラ制御部210にフィードバックすることも行う。自動点検部212によってこのような処理が行われることにより、カメラ207による点検対象物の再撮影等が実現可能となる。なお、自動点検部212の機能は、不図示のサーバやクラウド上に設けられてもよい。
【0054】
[点検場内情報DBに格納された点検場内情報]
次に、
図5を参照して、点検場内情報DB100(
図1、
図2参照)に格納された点検場内情報について説明する。
図5は、点検場内情報DB100に格納された点検場内情報(地図)の例を示す図である。なお、実際の点検場内情報は3次元点群によって構成されるが、
図5に示す図では、点検場内情報を模式的に2次元で示している。また、
図5には、点検場内の一部を切り出した図を示すが、実際の点検場内情報は、点検場内を構成する情報を網羅的に含むものである。
【0055】
図5の中央には十字の舗装路10があり、舗装路10内の一点鎖線の直線は、自律移動型ロボット2が走行すべき模範の走行ルート11を示す。舗装路10内は、自律移動型ロボット2だけでなく、歩行者又は自転車等も走行する。走行ルート11に重畳して示される白抜きの丸印は、撮影ポイントPsを示す。なお、撮影ポイントPsは走行ルート11内に設けられることが望ましいが、走行ルート11の外に設けられてもよい。
【0056】
舗装路10の周囲に示された黒丸印は、SLAM等を用いて構築される地図中における各3次元点群12を示す。3次元点群12によって示される円形又は四角形は、例えば、プラント又は事務所等の点検場内に存在する物体を示す。3次元点群12に含まれる小さな白丸印は、点検対象物Oiを示す。
【0057】
本実施形態に係る自律移動型ロボット2のカメラ昇降機構208(
図3参照)は、撮影ポイントPsに向かう途中や撮影ポイントPsなどにおいて、移動時カメラ高さ情報設定部102(
図1参照)によって設定されたカメラ高さに、カメラ207の高さを調整する。そして、自律移動型ロボット2は、撮影ポイントPsにおいて点検対象物Oiを撮影する。
【0058】
[カメラ向き及び高さの設定例]
次に、
図6を参照して、カメラ207(
図3参照)の向き及び高さの設定例について説明する。
図6は、点検対象物Oiの示す値を自動検出可能とするカメラ207の向き及び高さの範囲の例を示す図である。
【0059】
図6には、点検対象物Oiとしてのアナログメータ及びカメラ207の側面を示している。アナログメータOiの上に示す吹き出し内には、アナログメータOiの正面図が示されている。
【0060】
カメラ207による撮影画像は、自動点検部212によって解析されることにより、点検対象物Oiの読み取り値に変換される。したがって、カメラ207による撮影画像は、点検対象物Oiの示す値を適切に写したものであることが望ましい。太陽光の映り込み等の外乱要素も考慮すると、カメラ207の位置及び向きは、点検対象物Oiと正対する位置及び向きであることが好ましい。ただし、自動点検部212が採用する数値化アルゴリズムによっては、点検対象物Oiと正対していない状態で撮影された撮影画像からも、正確に値を読み取ることができる。
【0061】
図6において、点検対象物Oiと完全に正対する位置にカメラ207が配置された場合におけるカメラ207の光軸Px0は破線で示す。また、点検対象物Oiの示す値の自動検出を可能とする範囲の上限を規定する光軸Px1は一点鎖線で示し、下限を規定する光軸Px2は二点鎖線で示す。つまり、光軸Px1及び光軸Px2によって規定される範囲が、自動検出許容範囲Toとなる。
【0062】
そして、自律移動型ロボット2のカメラ制御部210(
図4参照)によって、自動検出許容範囲To内にカメラ207の光軸が入るように、カメラ207の高さ、位置及び向きが調整されることによって、点検対象物Oiの値の自動点検部212による自動検出が可能になる。
【0063】
なお、
図6に示した例では、点検対象物Oiがアナログメータである例を挙げたが、点検対象物Oiが他のメータ又はセンサ等である場合においても、
図6に示すものと同様の自動検出許容範囲Toを適用することが可能である。
【0064】
[カメラ高さの設定例]
次に、
図7を参照して、カメラ高さ情報設定部101(
図1参照)によるカメラ高さの設定例について説明する。
図7は、カメラ高さの設定例を示す図である。
図7に示す例では、自律移動型ロボット2の周囲に、3つの点検対象物Oi1~点検対象物Oi3が存在している。
図7において、自律移動型ロボット2は背面を向いており、点検対象物Oi1~点検対象物Oi3は側面を向いている。
【0065】
また、
図7では、点検対象物Oi1の自動検出許容範囲To1、点検対象物Oi2の自動検出許容範囲To2、及び、点検対象物Oi3の自動検出許容範囲To3を、それぞれ2本の線(一点鎖線及び二点鎖線)により表される範囲によって示している。
【0066】
本実施形態では、カメラ高さ情報設定部101は、自動検出許容範囲To1~自動検出許容範囲To3のすべてが重なる(すべてに共通して存在する)領域内にカメラ207が位置することを可能とする高さに、カメラ高さを設定する。
【0067】
なお、点検対象物Oiの設置位置によっては、周囲に存在するすべての点検対象物Oiに共通する自動検出許容範囲Toの領域が存在しない場合もあり得る。この場合、その撮影ポイントPsにおけるカメラ高さを複数種類設定したり、すべての点検対象物Oiに共通する自動検出許容範囲Toの領域が存在する位置に、撮影ポイントPs自体を移動させたりする等の対策をとることが可能である。
【0068】
また、
図7に示したカメラ高さの設定は、カメラ高さ情報設定部101によって自動で行われることを想定しているが、ユーザによってマニュアルで設定されてもよい。マニュアルで設定される場合にも、
図7に示した例と同様の理論でカメラ高さを設定することができる。
【0069】
[移動時カメラ高さの設定例]
次に、
図8を参照して、移動時カメラ高さ情報設定部102(
図1参照)による移動時カメラ高さの設定例について説明する。
図8は、移動時カメラ高さ情報設定部102による移動時カメラ高さ設定例を示す図である。
【0070】
図8には、撮影ポイントPs1から撮影ポイントPs4までを結ぶ走行路が示されている。撮影ポイントPs1と撮影ポイントPs2との間を結ぶリンクL1の長さは“10.0m”であり、撮影ポイントPs2と撮影ポイントPs3との間を結ぶリンクL2の長さは“2.0m”であり、撮影ポイントPs3と撮影ポイントPs4との間を結ぶリンクL3の長さは“3.0m”である。
【0071】
また、撮影ポイントPs1におけるカメラ高さHc1、及び、撮影ポイントPs2におけるカメラ高さHc2はそれぞれ“1.0m”である。撮影ポイントPs3におけるカメラ高さHc3は“1.3m”であり、撮影ポイントPs4におけるカメラ高さHc4は“0.5m”である。なお、以下の説明において、リンクL1~L4をそれぞれ区別する必要がない場合には、これらをリンクLと総称し、撮影ポイントPs1~Ps4をそれぞれ区別する必要がない場合には、これらを撮影ポイントPsと総称する。また、カメラ高さHc1~Hc4をそれぞれ区別する必要がない場合には、これらをカメラ高さHcと総称する。
【0072】
移動時カメラ高さ情報設定部102は、自律移動型ロボット2の移動距離、すなわち、各リンクLの長さと、リンクLの始点及び終点間におけるカメラ高さHcの差分の情報とに基づいて、カメラ207(
図2参照)の移動時の高さを決定する。具体的には、移動時のカメラ高さ、及び、カメラ高さの調整タイミングを異ならせた複数のパターンのうち、カメラ昇降機構208の電力消費量がより少ないパターンにおけるカメラ高さを、自律移動型ロボット2の移動時のカメラ高さに設定する。
【0073】
まず、リンクL1における移動時カメラ高さの設定について考える。リンクL1の移動時において、以下の式(1)に示す関係式が成り立つとする。
【0074】
(高さ(1.0m)固定に伴う電力消費量×移動距離(10.0m))>(1.0m下降制御+1.0m上昇制御)…式(1)
【0075】
上記式(1)の左辺は、カメラ高さを、次の撮影ポイントPs2におけるカメラ高さHc2である“1.0m”に固定した上で、次の撮影ポイントPs2まで移動するパターン(第1移動パターン)における、カメラ昇降機構208の電力消費量を示す。右辺は、カメラ高さを所定の高さに固定せずに(初期値の1.0mから最下点の0.0mまで下して)次の撮影ポイントPs2まで移動した後に、カメラ高さを“1.0m”まで上昇させるパターン(第2移動パターン)における、カメラ昇降機構208の電力消費量を示す。
【0076】
上記式(1)によれば、右辺に示す第2移動パターンにおけるカメラ昇降機構208の電力消費量は、左辺に示す第1移動パターンにおける電力消費量よりも小さくなる。つまり、移動時カメラ高さ情報設定部102は、リンクL1においては、第2移動パターンを選択することにより、カメラ昇降機構208の電力消費量をより低く抑えることができる。これにより、カメラ昇降機構208は、第2移動パターンに基づいて、まず自律移動型ロボット2の移動時におけるカメラ高さを“0.0m”に設定し、撮影ポイントPs2への到着後に、カメラ高さを“1.0m”まで上昇させる制御を行う。
【0077】
次に、リンクL2における移動時カメラ高さの設定について考える。リンクL2の移動時においては、以下の式(2)に示す関係式が成り立つ。
【0078】
(高さ(1.0m)固定に伴う電力消費量×移動距離(2.0m)+0.3m上昇制御時の電力消費量)<(1.0m下降制御時の電力消費量+1.3m上昇制御時の電力消費量)…式(2)
【0079】
上記式(2)の左辺は、第1移動パターンにおけるカメラ昇降機構208の電力消費量を示す。第1移動パターンは、カメラ高さを、その時点でのカメラ高さHc2である“1.0m”に固定した上で、次の撮影ポイントPs3まで移動し、撮影ポイントPs3に到着後に残りの“0.3m”分を上昇させることにより、カメラ高さを、撮影ポイントPs2におけるカメラ高さHc3の“1.3m”に設定する移動パターンである。
【0080】
右辺は、第2移動パターンにおけるカメラ昇降機構208の電力消費量を示す。第2移動パターンは、カメラ高さを所定の高さに固定せずに(その時点のカメラ高さである1.0mから最下点の0.0mまで下降させて)次の撮影ポイントPs3まで移動した後に、カメラ高さを“1.3m”まで上昇させる移動パターンである。
【0081】
上記式(2)によれば、左辺に示す第1移動パターンにおけるカメラ昇降機構208の電力消費量は、右辺に示す第2移動パターンにおける電力消費量よりも小さくなる。
【0082】
つまり、移動時カメラ高さ情報設定部102は、リンクL2においては、第1移動パターンを選択することにより、カメラ昇降機構208の電力消費量をより低く抑えることができる。これにより、カメラ昇降機構208は、自律移動型ロボット2の移動時におけるカメラ高さは“1.0m”のまま維持し、撮影ポイントPs3への到着後に、カメラ高さを“0.3m”上昇させて、撮影ポイントPs3におけるカメラ高さHc3である“1.3m”とする制御を行う。
【0083】
最後に、リンクL3における移動時カメラ高さの設定について考える。リンクL3の移動時においては、以下の式(3)に示す関係式が成り立つ。
【0084】
(高さ(1.3m)固定に伴う電力消費量×移動距離(3.0m)+0.8m下降制御時の電力消費量)<(1.3m下降制御時の電力消費量+0.5m上昇制御時の電力消費量)…式(3)
【0085】
上記式(3)の左辺は、第1移動パターンにおけるカメラ昇降機構208の電力消費量を示す。第1移動パターンは、カメラ高さを、その時点でのカメラ高さHc2である“1.3m”に固定した上で、次の撮影ポイントPs4まで移動し、撮影ポイントPs4に到着後に“0.8m”分を下降させることにより、カメラ高さを、撮影ポイントPs4におけるカメラ高さHc4の“0.5m”に設定する移動パターンである。
【0086】
右辺は、第2移動パターンにおけるカメラ昇降機構208の電力消費量を示す。第2移動パターンは、カメラ高さを所定の高さに固定せずに(その時点のカメラ高さである1.0mから最下点の0.0mまで下降させて)次の撮影ポイントPs3まで移動した後に、カメラ高さを“1.3m”まで上昇させる移動パターンである。
【0087】
上記式(3)によれば、左辺に示す第1移動パターンにおけるカメラ昇降機構208の電力消費量は、右辺に示す第2移動パターンにおける電力消費量よりも小さくなる。
【0088】
つまり、移動時カメラ高さ情報設定部102は、リンクL3においても、第1移動パターンを選択することにより、カメラ昇降機構208の電力消費量をより低く抑えることができる。これにより、カメラ昇降機構208は、自律移動型ロボット2の移動時におけるカメラ高さは“1.3m”のまま維持する。そして、カメラ昇降機構208は、撮影ポイントPs4への到着後に、カメラ高さを“0.8m”下降させて、撮影ポイントPs4におけるカメラ高さHc4である“0.5m”とする制御を行う。
【0089】
すなわち、移動時カメラ高さ情報設定部102は、その時点におけるカメラ高さを維持したままリンクL(撮影ポイント間)を移動する第1移動パターンと、一度カメラ207を最下点まで降下させてからリンクLを移動し、次の撮影ポイントPsへの到着後に必要なカメラ高さまで上昇させる第2移動パターンとの、両方の移動パターンにおけるカメラ昇降機構208の電力消費量を算出する。そして、移動時カメラ高さ情報設定部102は、電力消費量がより低い方の移動パターンに基づいて、移動時カメラ高さを決定する。したがって、本実施形態によれば、カメラ207の昇降を要する場合における自律移動型ロボット2の電力消費量を、節減することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、移動時カメラ高さ情報設定部102が電力消費量を算出する移動パターンが、第1移動パターン及び第2パターンの2つである場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動時カメラ高さ情報設定部102は、これらの移動パターンに加えて、あるいは、これらの移動パターンの代わりに、現在の高さではなく“1.0m”等の所定の高さにカメラ高さを固定後に移動するパターンや、カメラ高さを距離に応じて段階的に変更する移動パターンなど、他の移動パターンにおける電力消費量を算出してもよい。
【0091】
[情報処理装置による情報処理方法]
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る情報処理装置1による情報処理方法について説明する。
図9は、情報処理装置1による情報処理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0092】
まず、移動時カメラ高さ情報設定部102(
図1参照)は、カメラ高さ情報設定部101より各撮影ポイントPsにおけるカメラ高さHcの情報を取得する(ステップS11)。次いで、移動時カメラ高さ情報設定部102は、カメラ高さ情報設定部101より撮影ポイントPs間の距離の情報を取得する(ステップS12)。なお、各撮影ポイントPsにおけるカメラ高さHcの情報又は撮影ポイントPs間の距離の情報は、カメラ高さ情報設定部101による設定後に点検場内情報DB100に記憶されてもよく、その場合には、移動時カメラ高さ情報設定部102は、これらの情報を点検場内情報DB100から取得することができる。
【0093】
次いで、移動時カメラ高さ情報設定部102は、電力消費量パラメータを取得する(ステップS13)。電力消費量パラメータは、上述したように、カメラ207の昇降による電力消費量や、カメラ高さの維持時に要する電力消費量などを示すパラメータである。電力消費量パラメータは、ユーザ等の操作を介して移動時カメラ高さ情報設定部102に設定されてもよく、移動時カメラ高さ情報設定部102に予め設定されてもよい。
【0094】
次いで、移動時カメラ高さ情報設定部102は、撮影ポイントPs間の電力消費量を計算する(ステップS14)。つまり、上述した第1移動パターン及び第2移動パターンの両方におけるカメラ昇降機構208の電力消費量を計算する。
【0095】
次いで、移動時カメラ高さ情報設定部102は、ステップS14の計算結果に基づいて、移動時カメラ高さ情報を決定する(ステップS15)。すなわち、ステップS14で計算した第1移動パターン及び第2移動パターンのうち、電力消費量がより低い方の移動パターンに基づいて、移動時カメラ高さ情報を決定する。ステップS15の処理後、情報処理装置1による情報処理方法は終了する。
【0096】
上述した実施形態では、情報処理装置1の移動時カメラ高さ情報設定部102は、自律移動型ロボット2の移動時のカメラ207の高さ、及び、高さの調整タイミングを異ならせた複数の移動パターンのうち、カメラ昇降機構208の電力消費量がより少ない移動パターンにおける高さを、自律移動型ロボット2の移動時のカメラ207の高さに設定する。したがって、本実施形態によれば、電力消費量がより少ない移動パターンに基づいて自律移動型ロボット2が動作するため、カメラ207等の点検物情報取得部の昇降を要する自律移動型ロボット2における電力消費量を節減することができる。そして、自律移動型ロボット2の電力消費量を節減できることにより、自律移動型ロボット2の移動距離(運転時間)を延ばすことができる。
【0097】
また、上述した実施形態では、移動時カメラ高さ情報設定部102が算出する複数の移動パターンは、第1移動パターン及び第2移動パターンを少なくとも含む。第1移動パターンは、所定の高さにカメラ207の高さを固定後に、次の撮影ポイントPsに自律移動型ロボット2が移動する移動パターンである。第2移動パターンは、カメラ207の高さを固定せずに次の撮影ポイントPsまで自律移動型ロボット2を移動させ、次の撮影ポイントPsに到達後に、カメラ高さを移動先の撮影ポイントPsにおけるカメラ高さHcに調整する移動パターンである。
【0098】
そして、本実施形態では、複数の移動パターンのそれぞれにおける電力消費量が算出される。そのため、本実施形態では、電力消費量をより少なくすることが可能な移動パターンを精度よく決定することが可能になり、自律移動型ロボット2の電力消費量をより確実に節減することができる。
【0099】
さらに、上述した実施形態では、移動時カメラ高さ情報設定部102は、複数の撮影ポイントPs間の距離、複数の撮影ポイントPsにおけるカメラ207の高さ、カメラ207の所定の高さへの固定時におけるカメラ昇降機構208の電力消費量、及び、カメラ昇降機構208の昇降時の電力消費量の各情報を含む電力消費量パラメータに基づいて、複数の移動パターンのそれぞれにおけるカメラ昇降機構208の電力消費量を算出する。
【0100】
つまり、本実施形態では、移動時カメラ高さ情報設定部102は、自律移動型ロボット2の電力を消費する各要素の情報を用いて、複数の移動パターンにおける電力消費量を算出するため、算出される電力消費量の精度が高くなる。それゆえ、本実施形態によれば、算出された電力消費量がより少ない方の移動パターンに基づいて、移動時のカメラ高さが設定されることにより、カメラ昇降機構208(自律移動型ロボット2)の電力消費量をより確実に節減することができる。
【0101】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0102】
図10に示すように、情報処理装置1Aは、点検場内情報DB100と、カメラ高さ情報設定部101と、移動時カメラ高さ情報設定部102と、運動性能基準カメラ高さ情報設定部102Aと、移動時カメラ高さ情報決定部102Bと、撮影ポイント間情報取得部103と、を備える。
【0103】
点検場内情報DB100及びカメラ高さ情報設定部101は、
図1に示した第1の実施形態に係る情報処理装置1におけるそれらと同一であるため、ここでは説明は省略する。
【0104】
撮影ポイント間情報取得部103は、点検場内情報DB100より、各撮影ポイントPs間における走行路の形状の情報を取得する。撮影ポイント間情報取得部103は、走行路の形状の情報として、例えば、走行路における段差の情報や、走行路の勾配の情報、走行路の曲率などの情報を取得する。なお、撮影ポイント間情報取得部103は、走行路の形状の情報として、これらのうちのいずれか一つの情報を取得してもよく、これらの情報以外の情報を取得してもよい。
【0105】
なお、撮影ポイント間情報取得部103は、各撮影ポイントPs間における走行路形状の情報を点検場内情報DB100から取得してもよいが、走行路形状推定部213(
図13参照)が有する外界認識センサによる外界の認識結果に基づいて、各撮影ポイントPs間における路面形状を取得してもよい。
【0106】
移動時カメラ高さ情報設定部102は、第1の実施形態に係る移動時カメラ高さ情報設定部102と同様の処理を行う。すなわち、移動時カメラ高さ情報設定部102は、第1移動パターン及び第2移動パターンのうちの、電力消費量がより低い移動パターンに基づいて、移動時のカメラ高さの情報を決定する。
【0107】
運動性能基準カメラ高さ情報設定部102A(第2移動時高さ情報設定部の一例)は、運動パラメータの情報に基づいて、撮影ポイントPs間の移動時におけるカメラ高さの上限値(第2高さの一例)を設定する。運動パラメータは、走行路の路面条件や、自律移動型ロボット2の運動性能等を示すパラメータである。自律移動型ロボット2の運動性能には、自律移動型ロボット2の移動速度の情報や、自律移動型ロボット2の転倒を誘発する重心の高さの情報などがある。
【0108】
勾配が急な坂道、又は、高低差が大きい段差の通行(昇降)時や、曲率が大きいカーブを曲がる際にカメラ高さが高く設定されていると、自律移動型ロボット2の重心の位置が上がってしまうため、自律移動型ロボット2が転倒(横転、転覆)してしまう可能性がある。したがって、本実施形態では、このような事態の発生を防ぐことを目的として、運動性能基準カメラ高さ情報設定部102Aが、撮影ポイントPs間の移動時におけるカメラ高さの上限値を設定する。
【0109】
ここで、
図11を参照して、走行路の路面条件及び移動時のカメラ高さが自律移動型ロボット2の走行に及ぼす影響について説明する。
図11は、走行路の路面条件及び移動時のカメラ高さが自律移動型ロボット2の走行に及ぼす影響の例を示す図である。
【0110】
図11Aの左側は、高低差の大きい段差の通行時(自律移動型ロボット2の前方に段差60がある場合)における自律移動型ロボット2の状態の例を示す。
図11Aの右側は、左右の車輪で高低差の大きい段差をまたいで通行する(自律移動型ロボット2の左側が段差61に乗り上げている)場合における自律移動型ロボット2の状態の例を示す。
【0111】
図11Aの左側に示す状態においては、カメラ高さが高く設定されていると、自律移動型ロボット2は後ろ側に転倒してしまう可能性があり、
図11Aの右側に示す状態においては、カメラ高さが高く設定されていると、自律移動型ロボット2は低い段がある右側の方向に横転してしまう可能性がある。
【0112】
図11Bには、勾配が急な坂道62を昇る場合(自律移動型ロボット2の前方に上り坂がある場合)における自律移動型ロボット2の状態の例を示す。
図11Bに示す状態においては、カメラ高さが高く設定されていると、自律移動型ロボット2は後ろ側に転倒してしまう可能性がある。
【0113】
図11Cには、曲率が大きいカーブ63を右方向に曲がる際における自律移動型ロボット2の状態の例を示す。
図11Cに示す状態においては、カメラ高さが高く設定されていると、自律移動型ロボット2は、カーブの外側、すなわち左側に横転してしまう可能性がある。
【0114】
つまり、
図11A~
図11Cに示す各状態において、自律移動型ロボット2の転倒又は横転を防ぐためには、自律移動型ロボット2の移動時のカメラ高さは、平坦な走行路の通行時と比較して、より低い高さに設定される必要がある。
【0115】
図12は、走行路の路面条件と、カメラ高さを低くする必要性の低さとの対応を示す表である。表における丸印は、カメラ高さを下げる必要はないことを示し、三角印は、カメラ高さを下げる必要があることを示し、バツ印は、カメラ高さを横転や転倒などの可能性がなくなる高さまで十分に下げる必要があることを示す。
【0116】
例えば、走行路の段差が「小」である場合には、カメラ高さが高くても自律移動型ロボット2の転倒の可能性は低いため、カメラ高さを下げる必要はないが(図中の丸印)、段差が「大」の場合には、自律移動型ロボット2が転倒する可能性が高くなるため、カメラ高さをある程度まで低くする必要がある(図中のバツ印)。
【0117】
また、走行路の勾配が「小」の場合には、カメラ高さが高くても自律移動型ロボット2の転倒の可能性は低いため、カメラ高さを下げる必要はないが(図中の丸印)、勾配が「大」の場合には、自律移動型ロボット2が後ろ側に転倒する可能性が高くなるため、カメラ高さをある程度まで低くする必要がある(図中のバツ印)。
【0118】
さらに、走行路の曲率が「小」の場合には、カメラ高さが高くても自律移動型ロボット2の転倒の可能性は低いため、カメラ高さを下げる必要はないが(図中の丸印)、曲率が大きい場合には、自律移動型ロボット2の速度によっては、自律移動型ロボット2が横転する可能性が高くなるため、可能性が低くなる高さまでカメラ高さを低くする必要がある(図中の三角印)。
【0119】
図10に戻って説明を続ける。移動時カメラ高さ情報決定部102B(移動時高さ情報決定部の一例)は、移動時カメラ高さ情報設定部102によって決定されたカメラ高さ(以下、「電力消費量優先高さ」(第1高さの一例)とも称する)と、運動性能基準カメラ高さ情報設定部102Aによって決定されたカメラ高さ(以下、「運動性能優先高さ」(第2高さ)とも称する)とを比較することにより、移動時カメラ高さを決定する。
【0120】
具体的には、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、電力消費量優先高さ及び運動性能優先高さのうち、より低い方の高さを移動時カメラ高さに決定する。例えば、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、電力消費量優先高さよりも運動性能優先高さの方が低い場合には、運動性能優先高さを、移動時のカメラ高さに決定する。これにより、移動時カメラ高さ情報決定部102Bによって決定される移動時カメラ高さは、運動性能基準カメラ高さ情報設定部102Aによって決定されたカメラ高さの上限値(運動性能優先高さ)を超えない高さとなる。
【0121】
また、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、電力消費量優先高さの方が運動性能優先高さよりも低い場合には、電力消費量優先高さを、移動時のカメラ高さに決定する。
【0122】
なお、運動性能基準カメラ高さ情報設定部102Aでは、電力消費量を考慮したカメラ高さの計算は行われないため、運動性能基準カメラ高さ情報設定部102Aによって決定された運動性能優先高さを採用した場合、電力消費量の最小化を図れない場合がある。
【0123】
この場合、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、移動時カメラ高さ情報設定部102による計算手法と同様の手法を用いて、複数の移動パターンにおける電力消費量を算出し、より電力消費量が低くなる方のカメラ高さを移動時カメラ高さに決定してもよい。例えば、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、電力消費量優先高さに設定して移動する移動パターンよりも、第2移動パターン、すなわち、次の撮影ポイントPsへの到着後に必要なカメラ高さまで上昇させる移動パターンの電力消費量の方が少なくなる場合には、第2移動パターンを採用する。この場合、移動時カメラ高さは“0.0m”に設定される。
【0124】
[自律移動型ロボットの制御系の構成]
次に、
図13を参照して、第2の実施形態に係る自律移動型ロボットの制御系の構成について説明する。
図13は、第2の実施形態に係る自律移動型ロボット2Aの制御系の構成例を示すブロック図である。
【0125】
図13に示す自律移動型ロボット2Aが、
図1に示した自律移動型ロボット2と異なる点は、走行路形状推定部213を有する点である。その他の構成については、
図1に示した自律移動型ロボット2と同一であるため、これらの説明は省略する。
【0126】
走行路形状推定部213は、自律移動型ロボット2Aに設けられたセンサによる検知結果、又は、点検場内情報DB100に格納された情報を用いて、走行路の形状(路面条件)を推定する。センサには、例えば、LiDAR等を用いることができる。走行路形状推定部213は、LiDARによって取得された点群の情報に基づいて、平面方程式等を用いて路面の位置を推定し、路面から高さのある物体を抽出することによって、路面の段差を推定することができる。
【0127】
また、走行路形状推定部213は、例えば、RANSAC(RANdom SAmple Consensus)などのアルゴリズムを用いることによって、走行路の勾配を推定することもできる。
【0128】
もしくは、走行路形状推定部213は、点検場内情報DB100に格納された情報を用いた推定を行う場合には、例えば、各撮影ポイントPsの高さの情報を抽出し、高さに差分がある個所を、段差がある場所であると判定することができる。また、点検場内情報DB100内に詳細なデジタライズ情報がある場合には、走行路形状推定部213は、デジタライズされた仮想空間内で自律移動型ロボット2Aを走行させて、仮想空間上における走行路の形状情報を取得することもできる。
【0129】
図14は、走行路の形状の情報の例を示す図である。
図14には、撮影ポイントPs11を始点として撮影ポイントPs14を終点とする走行路を示す。
図14に示すように、撮影ポイントPs11と撮影ポイントPs12との間を結ぶリンクL11の長さは“10.0m”であり、撮影ポイントPs12は、撮影ポイントPs11よりも“0.1m”高い位置にある。すなわち、撮影ポイントPs12の位置には段差がある。そして、“0.1m”の高さは、撮影ポイントPs14まで続く。
【0130】
また、撮影ポイントPs12と撮影ポイントPs13との間を結ぶリンクL12の長さは“2.0m”であり、撮影ポイントPs13と撮影ポイントPs14との間を結ぶリンクL13の長さは“3.0m”である。
【0131】
また、撮影ポイントPs11におけるカメラ高さHc11、及び、撮影ポイントPs12におけるカメラ高さHc12はそれぞれ“1.0m”であり、撮影ポイントPs13におけるカメラ高さHc13は“1.3m”であり、撮影ポイントPs14におけるカメラ高さHc14は“0.5m”である。
【0132】
運動性能基準カメラ高さ情報設定部102A(
図10参照)によって設定されたリンクL12の移動時におけるカメラ高さ(運動性能優先高さ)が“0.5m”であった場合、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、リンクL12の移動時カメラ高さを“0.5m”以下に設定する必要がある。
【0133】
そして、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、リンクL12の移動時における電力消費量が最小となるようなカメラ高さを再計算する。下記式(1)の左辺は、第1移動パターンにおける電力消費量を示し、右辺は第2移動パターンにおける電力消費量を示す。
【0134】
(0.5m下降制御時の電力消費量+高さ固定に伴う電力消費量×移動距離(2.0m)+0.8m上昇制御時の電力消費量)<(1.0m下降制御時の電力消費量+1.3m上昇制御時の電力消費量)…式(4)
【0135】
上記式(4)の左辺に示す第1移動パターンは、カメラ高さを、その時点におけるカメラ高さである“1.0m”から“0.5m”下げて、運動性能優先高さである“0.5m”に固定した上で、次の撮影ポイントPs13まで移動する移動パターンである。右辺に示す第2移動パターンは、カメラ高さをその時点のカメラ高さである“1.0m”から最下点の“0.0m”まで下げて次の撮影ポイントPs13まで移動した後に、カメラ高さを“1.3m”まで上昇させる移動パターンである。
【0136】
上記式(4)が成り立つ場合、すなわち、左辺に示す第1移動パターンにおける電力消費量の方が、右辺に示す第2移動パターンにおける電力消費量よりも低い場合、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、リンクL12の移動時カメラ高さを“0.5m”に設定する。
【0137】
一方、上記式(4)が成立しない場合、すなわち、右辺に示す第2移動パターンにおける電力消費量の方が小さくなる場合には、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、移動時カメラ高さを“0.0m”に設定し、次の撮影ポイントPs13への到着後にカメラ高さを“1.3m”まで上昇させる。
【0138】
上述した第2の実施形態では、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、電力消費量優先高さ及び運動性能優先高さのうち、より低い方の高さを、移動時カメラ高さに設定する。運動性能優先高さは、走行路の形状の情報や自律移動型ロボット2の運動性能などに基づいて定められたカメラ高さの上限値である。したがって、移動時カメラ高さ情報決定部102Bによって決定される移動時カメラ高さは、走行路の形状の情報や自律移動型ロボット2の運動性能などに基づいて定められたカメラ高さの上限値以下の高さに必ず設定される。したがって、本実施形態によれば、自律移動型ロボット2の運動性能を損なうことなく、電力消費量のより低い移動パターンに基づいて、自律移動型ロボット2を動作させることが可能となる。
【0139】
また、上述した第2の実施形態では、移動時カメラ高さ情報決定部102Bが設定するカメラ高さの上限値は、自律移動型ロボット2の転倒を誘発しない高さである。それゆえ、本実施形態によれば、自律移動型ロボット2の転倒を防ぎつつ、電力消費量を節減可能な移動パターンに基づいて自律移動型ロボット2を動作させることができる。
【0140】
さらに、上述した第2の実施形態では、移動時カメラ高さ情報決定部102Bは、運動性能優先高さを選択した場合には、電力消費量の最小化を目的として再度移動パターンを算出する。したがって、本実施形態によれば、自律移動型ロボット2の転倒の防止と、電力消費量の節減とを両立させることができる。
【0141】
さらに、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0142】
例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために装置(情報処理装置、自律移動型ロボット)及びシステム(点検自動化システム)の構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0143】
また、
図1、
図2、
図4、
図10、
図13に実線又は矢印で示した制御線又は情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0144】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0145】
また、上述した本開示の各実施形態にかかる情報処理装置の各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0146】
1,1A…情報処理装置、2,2A…自律移動型ロボット、100…点検場内情報DB、101…カメラ高さ情報設定部、102…移動時カメラ高さ情報設定部、102A…運動性能基準カメラ高さ情報設定部、102B…移動時カメラ高さ情報決定部、103…撮影ポイント間情報取得部、207…カメラ、208…カメラ昇降機構、210…カメラ制御部、211…自律走行機能部、212…自動点検部、213…走行路形状推定部