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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102530
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/182 20060101AFI20230718BHJP
   B65H 16/10 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
B65H23/182
B65H16/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003071
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】上田 尚樹
【テーマコード(参考)】
3F052
3F105
【Fターム(参考)】
3F052AA01
3F052AA03
3F052AA06
3F052AA08
3F052AB05
3F052BA07
3F052CA01
3F052DA01
3F052DA05
3F105AA01
3F105AA04
3F105AA08
3F105AA09
3F105AA10
3F105AB02
3F105BA04
3F105CA02
3F105CB10
(57)【要約】
【課題】記録媒体を適切に巻き戻すこと。
【解決手段】プリンタ10は、記録媒体5が巻き付けられた供給軸71を回転可能に支持する供給装置70と、プラテン16に設けられ、記録媒体5を副走査方向Xに移動させる媒体移動機構55と、印刷後の記録媒体5を巻き取る巻き取り軸91を回転可能に支持する巻き取り装置90と、を備え、供給装置70は、供給軸71から巻き解かれた記録媒体5が行き方向X1に移動するときの供給軸71の回転方向である第1方向S1および第1方向S1の逆方向である第2方向S2に供給軸71を回転可能に支持する支持部材72と、供給軸71を第2方向S2に回転させる駆動モータ75と、駆動モータ75と供給軸71との間に介在し、供給軸71が第1方向S1に回転するときに切断され、かつ、供給軸71が第2方向S2に回転するときに接続されるクラッチ78と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が載置されるプラテンと、
主走査方向に移動可能に構成され、前記プラテンに載置された前記記録媒体にインクを吐出して画像を印刷するインクヘッドと、
前記主走査方向に延びかつ前記記録媒体が巻き付けられた供給軸を回転可能に支持し、前記プラテンよりも前記主走査方向と直交する副走査方向の上流側に位置する供給装置と、
前記プラテンに設けられ、前記記録媒体を前記副走査方向に移動させる媒体移動機構と、
前記主走査方向に延びかつ印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸を回転可能に支持し、前記プラテンよりも前記副走査方向の下流側に位置する巻き取り装置と、を備え、
前記供給装置は、
前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体が前記副走査方向の上流側から下流側に移動するときの前記供給軸の回転方向である第1方向、および、前記第1方向の逆方向である第2方向に前記供給軸を回転可能に支持する支持部材と、
前記供給軸を前記第2方向に回転させる駆動モータと、
前記駆動モータと前記供給軸との間に介在し、前記供給軸が前記第1方向に回転するときに切断され、かつ、前記供給軸が前記第2方向に回転するときに接続されるクラッチと、を有する、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記クラッチは、ワンウェイクラッチである、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記駆動モータと前記クラッチとの間に介在し、前記駆動モータの駆動によって前記供給軸に加わる回転力を制限するスリップクラッチを備えている、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記供給軸と共に回転するように設けられ、前記供給軸が前記第1方向に回転するときに前記供給軸の回転に抵抗を加えるロータリーダンパーを備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記記録媒体を前記主走査方向に切断可能なカッターを備え、
前記媒体移動機構は、前記記録媒体を前記カッターによって切断するときには、印刷後の前記記録媒体を前記副走査方向の下流側から上流側に移動させて前記供給軸によって前記記録媒体を巻き取った後に、前記記録媒体を前記副走査方向の上流側から下流側に移動させるように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、供給軸にロール状に巻回された長尺な記録媒体が順次繰り出されて、繰り出された記録媒体に画像を印刷するプリンタが知られている。例えば特許文献1には、給紙機構から繰り出された記録媒体に画像が印刷されて、その後巻き取り軸を有する巻き取り機構によって印刷後の記録媒体がロール状に巻き取られるプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-190292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プリンタは、供給軸から繰り出された記録媒体を所定の方向(例えば副走査方向)に移動させる媒体移動機構を備えている。また、巻き取り機構には通常巻き取り軸を回転させる駆動モータが設けられており、駆動モータを駆動させることによって副走査方向に移動する記録媒体を巻き取り軸に巻き取っている。ここで、巻き取り軸に巻き取られた画像が形成された記録媒体に対してさらに画像を形成する場合や切断処理を行う場合等に記録媒体を印刷時とは逆方向に移動させること(即ち巻き戻すこと)が行われている。記録媒体の巻き戻し量が多くなると引き戻された記録媒体が地面に接してしまい、記録媒体が汚れてしまったり印刷された画像が擦れてしまって品質が低下したりする虞がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体を適切に巻き戻すことができるインクジェットプリンタを提供することである。
【0006】
本発明に係るインクジェットプリンタは、記録媒体が載置されるプラテンと、主走査方向に移動可能に構成され、前記プラテンに載置された前記記録媒体にインクを吐出して画像を印刷するインクヘッドと、前記主走査方向に延びかつ前記記録媒体が巻き付けられた供給軸を回転可能に支持し、前記プラテンよりも前記主走査方向と直交する副走査方向の上流側に位置する供給装置と、前記プラテンに設けられ、前記記録媒体を前記副走査方向に移動させる媒体移動機構と、前記主走査方向に延びかつ印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸を回転可能に支持し、前記プラテンよりも前記副走査方向の下流側に位置する巻き取り装置と、を備えている。前記供給装置は、前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体が前記副走査方向の上流側から下流側に移動するときの前記供給軸の回転方向である第1方向、および、前記第1方向の逆方向である第2方向に前記供給軸を回転可能に支持する支持部材と、前記供給軸を前記第2方向に回転させる駆動モータと、前記駆動モータと前記供給軸との間に介在し、前記供給軸が前記第1方向に回転するときに切断され、かつ、前記供給軸が前記第2方向に回転するときに接続されるクラッチと、を有する。
【0007】
本発明のインクジェットプリンタによると、供給装置は、供給軸を第2方向に回転させる駆動モータを備えている。このため、媒体移動機構によって印刷後の記録媒体を巻き取り軸から巻き解いて副走査方向の下流側から上流側に移動させるときに、接続されたクラッチを介して供給軸が第2方向に回転することで、印刷後の記録媒体が供給軸に巻き取られる。このように、印刷後の記録媒体を副走査方向の下流側から上流側に移動させても、供給軸によって巻き取ることができるため、記録媒体が地面等に接触することが抑制される。なお、供給装置のクラッチは、供給軸が第1方向に回転するときには切断されるため、供給軸が第1方向に回転するとき(例えば記録媒体に画像を印刷するとき)には、駆動モータの動力は供給軸に伝達されず、供給軸は第1方向に回転することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録媒体を適切に巻き戻すことができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るプリンタを示す正面図である。
図2】一実施形態に係るプリンタを示す断面図である。
図3A】一実施形態に係るインクヘッドユニットおよびカッターユニットの正面図である。
図3B】一実施形態に係るインクヘッドユニットおよびカッターユニットの正面図であり、第1カッターおよび第2カッターが記録媒体を切断可能な状態を示す。
図3C】一実施形態に係るインクヘッドユニットおよびカッターユニットの正面図であり、シートカッターがカッターパッドに押し当てられた状態を示す。
図4】一実施形態に係るプラテンの周辺の構造の一部を拡大した平面図である。
図5】一実施形態に係る供給装置の一部を示す斜視図である。
図6】一実施形態に係るプリンタの制御系のブロック図である。
図7】手動切断モードにおいて記録媒体を切断する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」と称する)について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10を示す正面図である。プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。記録媒体5は、例えば、長尺に形成され、ロール状に巻かれて用いられる。なお、記録媒体5は、ロール状に巻かれたものが所定の長さに切断されたシート状のものであってもよい。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。記録媒体5には、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類以外に、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエステル等の樹脂材料から形成されたものや、アルミや鉄等から形成された金属板、ガラス板、木材板および段ボール等から形成されたものが含まれる。
【0012】
以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、作業者がプリンタ10の正面を向いているときにプリンタ10の後部から作業者に向かう方向を前方、作業者からプリンタ10の後部に向かう方向を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。後述する第1キャリッジ28および第2キャリッジ38は、左方および右方に移動可能に設けられている。プリンタ10の後側を上流側と称し、プリンタ10の前側を下流側としたとき、記録媒体5は、上流側から下流側および下流側から上流側に向けて搬送される。本実施形態では、第1キャリッジ28および第2キャリッジ38の移動方向を主走査方向Yといい、記録媒体5の搬送方向を副走査方向Xという。ここでは、主走査方向Yは左右方向に対応し、副走査方向Xは前後方向に対応する。主走査方向Yと副走査方向Xとは直交している。また、記録媒体5の搬送方向(即ち副走査方向X)のうち上流側から下流側に向かう方向を行き方向X1とし、下流側から上流側に向かう方向を帰り方向X2とする。ただし、主走査方向Yおよび副走査方向Xは特に限定される訳ではなく、プリンタ10の形態等に応じて適宜に設定可能である。
【0013】
図1に示すように、プリンタ10は、主走査方向Yに延びるベース部材10aと、脚部11と、操作パネル12と、記録媒体5が載置されるプラテン16と、ベース部材10aに取り付けられたケーシング10bと、インクヘッドユニット20と、カッターユニット30と、キャリッジ移動機構40と、媒体移動機構55と、供給装置70と、巻き取り装置90と、制御装置100と、を備えている。脚部11は、ベース部材10aを支持するものであり、ベース部材10aの下面に設けられている。操作パネル12は、例えばケーシング10bの右側の前面に設けられている。ただし、操作パネル12の位置は特に限定されない。操作パネル12は、例えば、作業者が印刷や記録媒体の切断に関する操作を行うものである。図示は省略するが、操作パネル12には、例えば、解像度、インクの濃さなどの印刷に関する情報や、印刷中のプリンタ10のステータスや切断モードなどが表示される表示部、および、印刷や切断に関する情報を入力するための入力部などが備えられている。
【0014】
プラテン16は、記録媒体5へ印刷する際、記録媒体5を支持するものである。プラテン16には、記録媒体5が載置される。プラテン16は、記録媒体5が載置される載置面16A(図2参照)を有する。記録媒体5は、記録媒体5に印刷をする前にプラテン16の載置面16Aに載置される。記録媒体5への印刷画像の印刷および記録媒体5の切断は、プラテン16上で行われる。図1に示すように、プラテン16は主走査方向Yに延びている。図2に示すように、プラテン16は、ベース部材10aの本体ケース10cに支持されている。本体ケース10cは、上面が開口した箱型状に形成されている。プラテン16と本体ケース10cとによって内部空間17が区画されている。
【0015】
図2に示すように、プラテン16は、上下方向に貫通形成された複数の吸引孔16Hを備えている。吸引孔16Hは、内部空間17と連通している。吸引孔16Hは、後述するインクヘッド24より前方(即ち副走査方向Xの下流側)に位置する下流側吸引孔16HFと、インクヘッド24より後方(即ち副走査方向Xの上流側)に位置する上流側吸引孔16HRとを含む。図4に示すように、下流側吸引孔16HFおよび上流側吸引孔16HRは、それぞれ主走査方向Yに並ぶ。
【0016】
図2に示すように、プリンタ10は、ファン18を備えている。ファン18は、内部空間17に空気を吸引する。図2の矢印FLに示すように、ファン18は、吸引孔16Hを介して内部空間17に空気を吸引するように構成されている。これにより、プラテン16に載置された記録媒体5がプラテン16の載置面16Aに引き付けられて(吸着されて)記録媒体5の浮き上がりが抑制される。ファン18は、制御装置100(図1参照)によって制御される。
【0017】
図4に示すように、プリンタ10は、プラテン16に設けられたカッターパッド19を備えている。カッターパッド19は、主走査方向Yに延びる。カッターパッド19は、プラテン16に埋設されている。カッターパッド19は、副走査方向Xに関して上流側吸引孔16HRと下流側吸引孔16HFとの間に設けられている。カッターパッド19は、後述する第1カッター27、第2カッター37、およびシートカッター33が押し当てられる部材である。カッターパッド19は、第1カッター27等の損傷を抑制する部材である。カッターパッド19は、例えば、ゴムから形成されている。
【0018】
図1に示すように、プリンタ10は、主走査方向Yおよび上下方向に延びる中央壁14を備えている。中央壁14は、ベース部材10aに支持されている。中央壁14は、プラテン16の上方に配置されている。中央壁14とプラテン16との間には、記録媒体5が通過可能な間隙が形成されている。プリンタ10は、ガイドレール15を備えている。ガイドレール15は、主走査方向Yに延びる。ガイドレール15は、中央壁14に設けられている。ガイドレール15は、プラテン16の上方に配置されている。
【0019】
図3Aに示すように、インクヘッドユニット20は、第1キャリッジ28と、複数のインクヘッド24と、第1カッター27と、を備えている。第1キャリッジ28は、ガイドレール15に係合している。第1キャリッジ28は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。後述するように、第1キャリッジ28は、カッターユニット30の後述する第2キャリッジ38と共に主走査方向Yに移動する。第1キャリッジ28には、インクヘッド24および第1カッター27が搭載されている。インクヘッド24および第1カッター27は、第1キャリッジ28の移動に伴って、主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクヘッド24は、プラテン16に載置された記録媒体5にインクを吐出して画像を印刷する。ここでは、5つのインクヘッド24が第1キャリッジ28に搭載されている。ただし、インクヘッド24の個数は5個に限定されない。第1キャリッジ28は、インクヘッドキャリッジの一例である。
【0020】
図3Aに示すように、第1カッター27は、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xに切断可能に構成されている。本実施形態では、第1カッター27は、記録媒体5を副走査方向Xにのみ切断する。第1カッター27は、制御装置100によって制御される第1カッター移動機構26(図6参照)によって上下方向に移動可能(即ち記録媒体5に接近および記録媒体5から離反可能)に構成されている。第1カッター27は、例えば、記録媒体5の主走査方向の一方側(例えば右方)に配置された状態で、第1カッター移動機構26によって上下方向に移動可能に構成されている。図3Bに示すように、第1カッター27は、記録媒体5を副走査方向Xに切断するときにはプラテン16に配置されたカッターパッド19に押し当てられる。第1カッター27は、記録媒体5に当接される。第1カッター27は、例えば、ローラーカッター(ロータリーカッター)である。
【0021】
図3Aに示すように、カッターユニット30は、第2キャリッジ38と、シートカッター33と、第2カッター37と、を備えている。第2キャリッジ38は、ガイドレール15に係合している。第2キャリッジ38は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。第2キャリッジ38は、第1キャリッジ28に着脱可能に設けられている。後述するように、第2キャリッジ38は、インクヘッドユニット20の第1キャリッジ28と共に、あるいは単独で(即ち第1キャリッジ28から独立して)主走査方向Yに移動する。第2キャリッジ38には、シートカッター33および第2カッター37が搭載されている。シートカッター33および第2カッター37は、第2キャリッジ38の移動に伴って、主走査方向Yに移動可能に構成されている。第2キャリッジ38は、キャリッジの一例である。
【0022】
図3Aに示すように、シートカッター33は、プラテン16に載置された記録媒体5を主走査方向Yに切断可能に構成されている。シートカッター33は、カッターの一例である。本実施形態では、シートカッター33は、記録媒体5を主走査方向Yにのみ切断する。シートカッター33は、制御装置100によって制御されるシートカッター移動機構34(図6参照)によって上下方向に移動可能に構成されている。シートカッター移動機構34は、カッター移動機構の一例である。図3Cに示すように、シートカッター33は、記録媒体5を主走査方向Yに切断するときにはプラテン16に配置されたカッターパッド19に押し当てられる。図4に示すように、シートカッター33は、後述するグリットローラ57およびグリットローラ57(図1参照)よりも副走査方向Xの下流側(ここでは前方)に位置する。
【0023】
図3Aに示すように、第2カッター37は、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xに切断可能に構成されている。第2カッター37は、第2カッターの一例である。本実施形態では、第2カッター37は、記録媒体5を副走査方向Xにのみ切断する。第2カッター37は、第1カッター27と同様の構成である。第2カッター37は、制御装置100によって制御される第2カッター移動機構36(図6参照)によって上下方向に移動可能に構成されている。第2カッター37は、例えば、記録媒体5の主走査方向の他方側(例えば左方)に配置された状態で、第2カッター移動機構36によって上下方向に移動可能に構成されている。図3Bに示すように、第2カッター37は、記録媒体5を副走査方向Xに切断するときにはプラテン16に配置されたカッターパッド19に押し当てられる。第2カッター37は、記録媒体5に当接される。第2カッター37は、例えば、ローラーカッター(ロータリーカッター)である。
【0024】
キャリッジ移動機構40は、プラテン16に載置された記録媒体5に対してインクヘッドユニット20の第1キャリッジ28およびカッターユニット30の第2キャリッジ38を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。キャリッジ移動機構40は、第1キャリッジ28および第2キャリッジ38を主走査方向Yに移動させる。なお、キャリッジ移動機構40の構成は特に限定されない。図1に示すように、キャリッジ移動機構40は、第1プーリ41と、第2プーリ42と、無端状のベルト43と、キャリッジモータ44とを備えている。第1プーリ41は、ガイドレール15の左端側に設けられている。第2プーリ42は、ガイドレール15の右端側に設けられている。ベルト43は、第1プーリ41と第1プーリ41とに巻き掛けられている。ベルト43は、第2キャリッジ38(図3Aも参照)の背面上部に固定されている。第2プーリ42には、キャリッジモータ44が接続されている。ただし、キャリッジモータ44は、第1プーリ41に接続されていてもよい。ここでは、キャリッジモータ44が駆動して、第2プーリ42が回転することで、第1プーリ41と第2プーリ42との間においてベルト43が走行する。これにより、第2キャリッジ38は主走査方向Yに移動する。即ち、キャリッジモータ44は、第2キャリッジ38を主走査方向Yに移動させる。後述するように、第1キャリッジ28は、第2キャリッジ38の移動に伴って主走査方向Yに移動する。キャリッジモータ44は、第2キャリッジ38を介して第1キャリッジ28を間接的に主走査方向Yに移動させる。キャリッジモータ44は、制御装置100に制御される。制御装置100は、キャリッジモータ44への通電と通電の停止とを制御する。キャリッジモータ44は、駆動源の一例である。
【0025】
図3Aに示すように、第1キャリッジ28の左側部分には、磁石によって構成される第1連結部材29が設けられている。第2キャリッジ38の右側部分には、電磁石によって構成される第2連結部材39が固定されている。第2連結部材39への通電のONおよびOFFは制御装置100によって制御される。第1連結部材29は、第2連結部材39に対し、着脱自在に連結する。本実施形態では、第1連結部材29および第2連結部材39は、磁力を利用するものである。ただし、第1連結部材29よび第2連結部材39は磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。
【0026】
図3Aに示すように、インクヘッド24によって記録媒体5に所定の画像を印刷する際には、第2キャリッジ38と第1キャリッジ28とが連結される。その結果、インクヘッドユニット20は、カッターユニット30と共に主走査方向Yに移動可能となる。即ち、キャリッジモータ44(図1参照)が駆動することで、第1キャリッジ28および第2キャリッジ38が主走査方向Yに移動する。一方、シートカッター33によって記録媒体5を主走査方向Yに切断する際には、図4に示すように、インクヘッドユニット20をホームポジションHPに位置させた状態で、第2連結部材39への通電を停止して第2連結部材39と第1連結部材29との連結を解除する。その結果、インクヘッドユニット20がホームポジションHPに待機した状態で、カッターユニット30のみが主走査方向Yに移動可能となる。また、第1カッター27および第2カッター37によって記録媒体5を副走査方向Xに切断する際には、図3Bに示すように、インクヘッドユニット20を所定の位置(例えば第1カッター27が後述する第1サイドピンチローラ60Rよりも左方に位置するような位置)に位置させた状態で、第2連結部材39への通電を停止して第2連結部材39と第1連結部材29との連結を解除する。そして、カッターユニット30のみを主走査方向Yに移動させて、カッターユニット30を所定の位置(例えば第2カッター37が後述する第2サイドピンチローラ60Lよりも右方に位置するような位置)に位置させる。これにより、記録媒体5のうち第1サイドピンチローラ60Rよりも左方かつ第2サイドピンチローラ60Lより右方の部分を切断することができる。ここで、第1サイドピンチローラ60Rよりも左方かつ第2サイドピンチローラ60Lより右方の領域は通常印刷領域であり、画像が印刷される。このため、第1カッター27および第2カッター37は、記録媒体5に印刷された画像を切断することがある。
【0027】
媒体移動機構55は、プラテン16に載置された記録媒体5を第1キャリッジ28および第2キャリッジ38に対して副走査方向Xに相対的に移動させるものである。媒体移動機構55は、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向X(即ち行き方向X1および帰り方向X2)に移動させる。媒体移動機構55は、記録媒体5に画像が印刷されるときには記録媒体5を行き方向X1に移動させる。媒体移動機構55は、記録媒体5を第1カッター27および第2カッター37によって副走査方向Xに切断するときには、記録媒体5を行き方向X1または帰り方向X2に移動させる。第1カッター27および第2カッター37が記録媒体5に当接した状態で媒体移動機構55によって記録媒体5を副走査方向Xに移動させることにより、インクヘッド24によって画像が印刷された記録媒体5の主走査方向Yの一方側の端部(ここでは右端部)と他方側の端部(ここでは左端部)とが同時に切断されるように構成されている。図1に示すように、媒体移動機構55は、グリットローラ57と、フィードモータ58(図6参照)と、ピンチローラ60と、保持シャフト64と、ローディングレバー65と、を備えている。
【0028】
図1に示すように、グリットローラ57は、プラテン16に設けられている。グリットローラ57は、グリットローラ57の上部が外部に露出するようにプラテン16に埋設されている。グリットローラ57は、主走査方向Yに並列している。図4に示すように、グリットローラ57は、吸引孔16Hより後方(即ち副走査方向Xの上流側)に配置されている。グリットローラ57は、ピンチローラ60の下方に配置されている。グリットローラ57は、ピンチローラ60との間に記録媒体5を挟み込む。フィードモータ58(図6参照)は、グリットローラ57に接続されている。フィードモータ58は、制御装置100に制御される。即ち、グリットローラ57は、制御装置100に制御される。グリットローラ57とピンチローラ60との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ58が駆動してグリットローラ57が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0029】
図1に示すように、ピンチローラ60は、プラテン16より上方に配置されている。ピンチローラ60は、ガイドレール15より下方に配置されている。ピンチローラ60は、グリットローラ57と対向する位置に配置されている。ピンチローラ60は、プラテン16に載置された記録媒体5を上から押さえる。ピンチローラ60は、記録媒体5の右端部を押さえる第1サイドピンチローラ60Rと、記録媒体5の左端部を押さえる第2サイドピンチローラ60Lとを含む。ピンチローラ60は、保持シャフト64に沿って主走査方向Yに位置の変更が可能である。
【0030】
図1に示すように、保持シャフト64は、主走査方向Yに延びる。保持シャフト64は、ピンチローラ60を保持する。保持シャフト64が軸周りに回転することによって、ピンチローラ60をグリットローラ57に接近させたり、グリットローラ57から離反させたりすることができる。保持シャフト64は、ベース部材10aに回転可能に支持されている。
【0031】
図1に示すように、ローディングレバー65は、ベース部材10aに設けられている。ローディングレバー65は、プラテン16から突出するように設けられている。ローディングレバー65は、保持シャフト64に接続されている。ローディングレバー65は、ピンチローラ60を上下方向に移動させることができる。ローディングレバー65を押し上げることで、保持シャフト64が回転してピンチローラ60が上方に移動する(即ちグリットローラ57から離れる)。ローディングレバー65を押し下げることで、保持シャフト64が回転してピンチローラ60が下方に移動する(即ちグリットローラ57に接近する)。ローディングレバー65はユーザによって操作される。ローディングレバー65の操作によってピンチローラ60が上方または下方に移動したときには、図示しないセンサによってピンチローラ60の位置情報が制御装置100に送信される。
【0032】
図2に示すように、供給装置70は、プラテンよりも副走査方向Xの上流側(ここでは後方)に配置されている。供給装置70は、記録媒体5が巻き付けられた供給軸71を回転可能に支持する。供給装置70は、本体部70Aと、供給軸71を支持する支持部材72と、供給軸71を回転させる駆動モータ75(図5参照)と、駆動モータ75と供給軸71との間に介在するクラッチ78(図5参照)と、駆動モータ75とクラッチ78との間に介在するスリップクラッチ82(図5参照)と、を有している。なお、図1および図2では、駆動モータ75、クラッチ78およびスリップクラッチ82の図示を省略している。
【0033】
図1に示すように、本体部70Aは、脚部11に取り付けられている。本体部70Aは、左側の脚部11に設けられかつ後方に延びる左支持壁70Lと、右側の脚部11に設けられかつ後方に延びる右支持壁70Rと、主走査方向Yに延びかつ左支持壁70Lおよび右支持壁70Rに支持された一対のガイドパイプ70P、70Q(図2参照)とを有する。
【0034】
図2に示すように、供給軸71は、プラテン16より下方に配置されている。供給軸71は、プラテン16より後方に配置されている。図1に示すように、供給軸71は、主走査方向Yに延びる円管形状に形成されている。供給軸71は、支持部材72に着脱自在に設けられている。供給軸71に巻き付けられた記録媒体5は、供給軸71から巻き解かれる。供給軸71は、帰り方向X2に移動する記録媒体5を巻き取る。
【0035】
図2に示すように、支持部材72は、供給軸71を回転可能に支持する。支持部材72は、供給軸71から巻き解かれた記録媒体5が行き方向X1に移動するときの供給軸71の回転方向である第1方向S1(右方から左方を見たときの反時計回り方向)、および、第1方向S1の逆方向である第2方向S2(右方から左方を見たときの時計回り方向)に供給軸71を回転可能に支持する。支持部材72は、ガイドパイプ70P、70Qに沿って主走査方向Yに移動可能に設けられている。支持部材72は、ガイドパイプ70P、70Qに係合する右本体部72R(図5も参照)と、ガイドパイプ70P、70Qに係合しかつ右本体部72Rより左方に位置する左本体部72Lと、右本体部72Rに回転可能に設けられかつ供給軸71の右端部を支持する右側支持部73R(図5も参照)と、左本体部72Lに回転可能に設けられかつ供給軸71の左端部を支持する左側支持部73Lと、を有する。右本体部72Rおよび左本体部72Lは、同じ構成であるため、以下では右本体部72Rについて説明し、左本体部72Lの説明は省略する。また、右側支持部73Rおよび左側支持部73Lは、同じ構成であるため、以下では右側支持部73Rについて説明し、左側支持部73Lの説明は省略する。
【0036】
図5に示すように、右本体部72Rは、副走査方向Xおよび上下方向に延びる。右本体部72Rは、主走査方向Yから見たときに略三角形状に形成されている。右本体部72Rは、管状部72Xと、係合凹部72Yとを、有する。管状部72Xは、略三角形の下方の2頂点のうち後側の頂点に設けられている。管状部72Xは、主走査方向Yに延びる円管状に構成されている。管状部72Xには、ガイドパイプ70Q(図2参照)が挿通される。係合凹部72Yは、略三角形の下方の2頂点のうち前側の頂点に設けられている。係合凹部72Yは、主走査方向Yからみたときに前側が開いた略C字の形状を有している。係合凹部72Yは、後方に向かって凹んだ凹部である。係合凹部72Yには、ガイドパイプ70P(図2参照)が挿通される。
【0037】
図5に示すように、右側支持部73Rは、略円柱形状に形成されている。右側支持部73Rは、右本体部72Rの略三角形の上方の頂点付近に設けられている。右側支持部73Rは、右本体部72Rから左方に延びる。右側支持部73Rには、供給軸71が装着される。即ち、右側支持部73Rは、供給軸71に挿入される。
【0038】
図5に示すように、供給装置70は、駆動モータ75、クラッチ78、スリップクラッチ82およびこれらを支持する支持ケース74を備えている。支持ケース74は、支持部材72の右本体部72Rに設けられている。支持ケース74は、右側支持部73Rが取り付けられた面(ここでは左面)とは反対の面(ここでは右面)に設けられている。
【0039】
図5に示すように、駆動モータ75は、支持ケース74に支持されている。駆動モータ75は、クラッチ78より下方に配置されている。駆動モータ75は、スリップクラッチ82より左方に配置されている。駆動モータ75は、供給軸71を記録媒体5が供給軸71に巻き取られる第2方向S2(図2参照)に回転させる。駆動モータ75は、制御装置100によって制御される。
【0040】
図5に示すように、スリップクラッチ82は、駆動モータ75に連結されている。スリップクラッチ82は、第1ギア82Aを備えている。スリップクラッチ82は、駆動モータ75の駆動によって供給軸71に加わる回転力を制限する。即ち、スリップクラッチ82に所定の値以上のトルク反力(記録媒体5による負荷)が加わるときには、スリップクラッチ82内の滑り機構により、駆動モータ75の回転力が供給軸71に加わらなくなる。なお、スリップクラッチ82に所定の値未満のトルク反力が加わるときには、クラッチが接続されて駆動モータ75の回転力が供給軸71に加わる。
【0041】
図5に示すように、供給装置70は、クラッチ78の左端部に連結されかつ右側支持部73Rに連結された第1シャフト79Lと、クラッチ78の右端部に連結された第2シャフト79Rと、第2シャフト79Rに設けられスリップクラッチ82の第1ギア82Aと噛み合う第2ギア78Aと、を備えている。クラッチ78は、記録媒体5が供給軸71から巻き解かれる紙送り方向である第1方向S1(図2参照)に供給軸71が回転するときに切断され、かつ、記録媒体5が供給軸71に巻き取られる方向である第2方向S2(図2参照)に供給軸71が回転するときに接続される。即ち、供給軸71が第1方向S1に回転するときには第1シャフト79Lは供給軸71と共に回転するが、第2シャフト79Rは供給軸71と共に回転しない。一方、供給軸71が第2方向S2に回転するときには、クラッチ78によって第1シャフト79Lと第2シャフト79Rとが連結されるため、第1シャフト79Lおよび第2シャフト79Rは供給軸71と共に回転する。本実施形態のクラッチ78は、ワンウェイクラッチである。
【0042】
図5に示すように、供給装置70は、ロータリーダンパー85を備えている。ロータリーダンパー85は、供給軸71と共に回転するように設けられている。即ち、ロータリーダンパー85は、右側支持部73Rと共に回転する。ロータリーダンパー85は、右本体部72Rに設けられている。ロータリーダンパー85は、供給軸71が第1方向S1(図2参照)に回転するときに供給軸71の回転に抵抗を加える。
【0043】
図2に示すように、巻き取り装置90は、プラテンよりも副走査方向Xの下流側(ここでは前方)に配置されている。巻き取り装置90は、行き方向X1に移動する記録媒体5を巻き取る巻き取り軸91を回転可能に支持する。図1に示すように、巻き取り装置90は、本体部90Aと、巻き取り軸91を支持する支持部材92と、巻き取り軸91を回転させるモータ93と、記録媒体5に張力を加えるテンションバー94と、テンションバー94を支持する支持アーム95と、を有している。本体部90Aは、脚部11に取り付けられている。本体部90Aは、主走査方向Yに延びる底壁90Bと、底壁90Bの右端部に位置する右側壁90Rと、底壁90Bの左端部に位置する左側壁90Lとを有する。
【0044】
図2に示すように、巻き取り軸91は、プラテン16より下方に配置されている。巻き取り軸91は、プラテン16より前方に配置されている。図1に示すように、巻き取り軸91は、主走査方向Yに延びる円管形状に形成されている。巻き取り軸91は、支持部材92に着脱自在に設けられている。巻き取り軸91は、記録媒体5をロール状に巻き取る。巻き取り軸91は、印刷後の記録媒体5を巻き取る。支持部材92は、巻き取り軸91を回転可能に支持する。支持部材92は、巻き取り軸91の左端部および右端部をそれぞれ支持する。支持部材92は、本体部90Aの底壁90Bに設けられている。支持部材92は、右側壁90Rと左側壁90Lとの間に位置する。モータ93は、巻き取り軸91に連結されている。モータ93は、巻き取り軸91を図2の矢印Mの方向に回転させる。モータ93は、支持部材92に設けられている。
【0045】
図2に示すように、テンションバー94は、記録媒体5のうちプラテン16と巻き取り軸91との間に位置する部分に対して張力を与える部材である。詳しくは、テンションバー94は、自重を利用して記録媒体5を前斜め下方に押すことにより、記録媒体5に対して張力を与えるものである。テンションバー94は、主走査方向Yに延びる円管形状または円柱形状に形成されている。テンションバー94は、巻き取り軸91に対して平行に配置されている。テンションバー94はプラテン16より下方に配置されている。テンションバー94は、巻き取り軸91より前方に配置されている。図1に示すように、テンションバー94は、支持アーム95に支持されている。支持アーム95は、左側壁90Lおよび右側壁90Rにそれぞれ揺動可能に設けられている。
【0046】
図6に示すように、プリンタ10の全体の動作は、制御装置100によって制御されている。制御装置100の構成は特に限定されない。制御装置100は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROMと、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAMと、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。図1に示すように、制御装置100は、ケーシング10bの内部に設けられている。ただし、制御装置100はケーシング10bの内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置100は、ケーシング10bの外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置100は、有線または無線を介してプリンタ10と通信可能に接続されている。
【0047】
図6に示すように、制御装置100は、操作パネル12、ファン18、インクヘッド24、第1カッター移動機構26、シートカッター移動機構34、第2カッター移動機構36、キャリッジモータ44、第2連結部材39、フィードモータ58、駆動モータ75およびモータ93と通信可能に接続している。制御装置100は、ファン18、インクヘッド24、第1カッター移動機構26、シートカッター移動機構34、第2カッター移動機構36、キャリッジモータ44、第2連結部材39、フィードモータ58、駆動モータ75およびモータ93を制御する。
【0048】
図6に示すように、制御装置100は、印刷制御部102と、切断制御部104と、移動制御部106と、モード選択部108と、第1制御部110と、第2制御部112と、を備えている。制御装置100の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばプリンタ10の内部の基板に実装されたROMにLAN経由でPCから書き込まれたり、プリンタ10の内部の基板に実装されたFPGAに専用の書き込み治具を使用してPCから書き込まれたりする。このプログラムは、例えば、インターネットを通じてPCにダウンロードされる。また、制御装置100の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
【0049】
印刷制御部102は、インクヘッド24からインクを吐出させて記録媒体5に画像を印刷する部位である。印刷制御部102は、キャリッジ移動機構40のキャリッジモータ44、インクヘッド24を制御する。印刷制御部102は、媒体移動機構55によって記録媒体5が行き方向X1に移動するときにインクヘッド24から記録媒体5にインクを吐出させるように構成されている。
【0050】
切断制御部104は、第1カッター27および第2カッター37によって記録媒体5を副走査方向Xに切断する部位である。切断制御部104は、シートカッター33によって記録媒体5を主走査方向Yに切断する部位である。切断制御部104は、第1カッター移動機構26、シートカッター移動機構34、第2カッター移動機構36、キャリッジ移動機構40のキャリッジモータ44および第2連結部材39を制御する。切断制御部104は、記録媒体5を副走査方向Xに切断するときには、キャリッジモータ44および第2連結部材39を制御して、第1キャリッジ28および第2キャリッジ38を所定の位置に配置させた後に、第1カッター移動機構26および第2カッター移動機構36を制御して第1カッター27および第2カッター37を下方に移動させてそれぞれカッターパッド19に押し当てる。切断制御部104は、制御装置100に記憶された記録媒体5の幅情報に基づいて、第1キャリッジ28および第2キャリッジ38を所定の位置に配置する。また、切断制御部104は、記録媒体5を副走査方向Yに切断するときには、シートカッター移動機構34を制御してシートカッター33を下方に移動させてカッターパッド19に押し当てた後に、キャリッジモータ44を制御して、シートカッター33を搭載する第2キャリッジ38を主走査方向Yに移動させる。切断制御部104は、媒体移動機構55によって記録媒体5が行き方向X1および帰り方向X2に移動するときに記録媒体5を切断可能に構成されている。
【0051】
移動制御部106は、記録媒体5を副走査方向X(即ち行き方向X1および帰り方向X2)に移動させる部位である。移動制御部106は、媒体移動機構55のフィードモータ58を制御する。移動制御部106は、インクヘッド24によって記録媒体5に画像を印刷するときには、第1キャリッジ28が主走査方向Yに一往復した後に、フィードモータ58を制御して記録媒体5を行き方向X1に移動させる。移動制御部106は、第1カッター27および第2カッター37によって記録媒体5を副走査方向Xに切断するときには、フィードモータ58を制御して記録媒体5を行き方向X1または帰り方向X2に移動させる。移動制御部106は、シートカッター33によって記録媒体5を主走査方向Yに切断するときには、フィードモータ58を制御して記録媒体5を行き方向X1または帰り方向X2に移動させる。なお、移動制御部106は、シートカッター33によって記録媒体5を主走査方向Yに切断するときには、フィードモータ58を制御して記録媒体5を帰り方向X2に移動させて供給軸71によって記録媒体5を巻き取った後に、記録媒体5を行き方向X1に移動させてもよい。また、移動制御部106は、巻き取り軸91によって記録媒体5(例えば画像が印刷された記録媒体5)を巻き取る部位である。移動制御部106は、巻き取り装置90のモータ93を制御する。移動制御部106は、行き方向X1に移動する記録媒体5を巻き取り軸91によって巻き取る。さらに、移動制御部106は、供給軸71によって記録媒体5(例えば画像が印刷された記録媒体5)を巻き取る部位である。移動制御部106は、供給装置70の駆動モータ75を制御する。移動制御部106は、帰り方向X2に移動する記録媒体5を供給軸71によって巻き取る。
【0052】
モード選択部108は、記録媒体5をシートカッター33によって自動で切断する自動切断モードと、記録媒体5をシートカッター33によって手動で切断する手動切断モードと、を選択可能に構成された部位である。ユーザは、操作パネル12を操作して自動切断モードまたは手動切断モードを選択することができる。なお、自動切断モードが選択されたときには、上述の切断制御部104によって自動で記録媒体5が主走査方向Yに切断される。
【0053】
第1制御部110は、モード選択部108によって手動切断モードが選択されたときに、シートカッター33を下方に移動させてシートカッター33をカッターパッド19に押し当て、かつ、第2キャリッジ38をインクヘッド24から独立して主走査方向Yに移動可能となるように制御する。第1制御部110は、キャリッジモータ44への通電を停止することで、第2キャリッジ38をインクヘッド24から独立して主走査方向Yに移動可能となるように制御する。第1制御部110は、第2キャリッジ38と第1キャリッジ28との連結を解除することで、第2キャリッジ38をインクヘッド24から独立して主走査方向Yに移動可能となるように制御する。第1制御部110は、シートカッター移動機構34およびキャリッジ移動機構40のキャリッジモータ44を制御する。第1制御部110は、第2連結部材39への通電のONおよびOFFを制御する。
【0054】
第2制御部112は、モード選択部108によって手動切断モードが選択された状態で、ローディングレバー65によってピンチローラ60が下方に移動したときに、ファン18を駆動する。第2制御部112は、手動切断モードが選択された状態で、ローディングレバー65によってピンチローラ60が上方に移動したときに、ファン18を停止する。第2制御部112は、ファン18を制御する。
【0055】
次に、手動切断モードにおいて記録媒体5を切断する方法について説明する。図7は、手動切断モードにおいて記録媒体5を主走査方向Yに切断する手順を示すフローチャート。ここでは、画像が印刷された記録媒体5を供給軸71によって巻き取った後に、記録媒体5を行き方向X1に移動させながら、記録媒体5を主走査方向Yに切断する場合を例に説明する。
【0056】
まず、ステップS10において、ユーザは操作パネル12を操作して手動切断モードを選択する。これにより、モード選択部108は、手動切断モードを選択する。
【0057】
ステップS20において、第1制御部110は、シートカッター移動機構34を制御することによってシートカッター33を下方に移動させてシートカッター33をカッターパッド19に押し当てる。シートカッター33は、記録媒体5を切断可能な荷重でカッターパッド19に押し当てられている。なお、シートカッター33がカッターパッド19に押し当てられるときには、通常シートカッター33の下方には記録媒体5は位置しない。
【0058】
ステップS30において、第1制御部110は、キャリッジモータ44への通電を停止する。これにより、シートカッター33を搭載する第2キャリッジ38は、ユーザによって手動で主走査方向Yに移動可能な状態となる。なお、本実施形態では、第2キャリッジ38を手動で移動させるときには、第1制御部110は、第2連結部材39への通電を停止して第1キャリッジ28と第2キャリッジ38との連結を解除している。
【0059】
ステップS40において、ユーザは、ローディングレバー65を押し上げる。これにより、ピンチローラ60が上方に移動してピンチローラ60が記録媒体5から離反する。即ち、ピンチローラ60とグリットローラ57とによって記録媒体5挟持されていた状態が解除される。
【0060】
ステップS50において、ユーザは記録媒体5を手動で行き方向X1に引き出して、シートカッター33によって切断する位置を調整する。
【0061】
ステップS60において、ユーザは、ローディングレバー65を押し下げる。これにより、ピンチローラ60が下方に移動してピンチローラ60が記録媒体5を上方から押さえる。即ち、ピンチローラ60とグリットローラ57とによって記録媒体5挟持された状態になる。
【0062】
ステップS70において、第2制御部112は、手動切断モードが選択された状態で、ローディングレバー65によってピンチローラ60が下方に移動したため、ファン18を駆動する。これにより、プラテン16に載置された記録媒体5がプラテン16の載置面16Aに引き付けられて記録媒体5の浮き上がりが抑制される。
【0063】
ステップS80において、ユーザは、シートカッター33が搭載された第2キャリッジ38を手動で主走査方向Yに移動させることで、記録媒体5を主走査方向Yに切断する。ここで、シートカッター33は、ピンチローラ60およびグリットローラ57より前方に位置するため、記録媒体5が幅方向の全体に亘って切断されると、記録媒体5のうちピンチローラ60より前方に位置する部分(切断後の記録媒体5)がプラテン16から滑り落ちる虞がある。しかしながら、切断後の記録媒体5はファン18によってプラテン16の載置面16Aに引き付けられているため、記録媒体5が幅方向の全体に亘って切断されても、切断後の記録媒体5がプラテン16から滑り落ちることが抑制される。
【0064】
ステップS90において、ユーザは、ローディングレバー65を押し上げる。これにより、ピンチローラ60が上方に移動してピンチローラ60が記録媒体5から離反する。即ち、ピンチローラ60とグリットローラ57とによって記録媒体5挟持されていた状態が解除される。なお、第2制御部112は、手動切断モードが選択された状態で、ローディングレバー65によってピンチローラ60が上方に移動したときに、ファン18を停止するため、ユーザは、ローディングレバー65を押し上げる前に切断後の記録媒体5をプラテン16から取り外す。
【0065】
ステップS100において、ユーザは記録媒体5の切断が完了したかを判断する。記録媒体5の切断が完了していない場合にはステップS50に戻る。即ち、ユーザは記録媒体5を手動で行き方向X1に引き出して、シートカッター33によって切断する位置を調整する。一方、記録媒体5の切断が完了している場合には、ステップS110に進む。
【0066】
ステップS110において、ユーザは操作パネル12を操作して手動切断モードを終了させる。
【0067】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、供給装置70は、供給軸71を第2方向S2に回転させる駆動モータ75を備えている。このため、媒体移動機構55によって印刷後の記録媒体5を巻き取り軸91から巻き解いて帰り方向X2に移動させるときに、接続されたクラッチ78を介して供給軸71が第2方向S2に回転することで、印刷後の記録媒体5が供給軸71に巻き取られる。このように、印刷後の記録媒体5を帰り方向X2に移動させても、供給軸71によって巻き取ることができるため、記録媒体5が地面等に接触することが抑制される。なお、供給装置70のクラッチ78は、供給軸71が第1方向S1に回転するときには切断されるため、供給軸71が第1方向にS1回転するとき(例えば記録媒体5に画像を印刷するとき)には、駆動モータ75の動力は供給軸71に伝達されず、供給軸71は第1方向S1に回転することができる。
【0068】
本実施形態のプリンタ10では、クラッチ78は、ワンウェイクラッチである。かかる構成によると、駆動モータ75と供給軸71のとの接続および切断を容易に行うことができる。
【0069】
本実施形態のプリンタ10は、駆動モータ75とクラッチ78との間に介在し、駆動モータ75の駆動によって供給軸71に加わる回転力を制限するスリップクラッチ82を備えている。かかる構成によると、媒体移動機構55によって記録媒体5が帰り方向X2に移動して、供給軸71に記録媒体5が巻き取られるときに、記録媒体5に過剰な張力が加わることが抑制される。
【0070】
本実施形態のプリンタ10は、供給軸71と共に回転するように設けられ、供給軸71が第1方向S1に回転するときに供給軸71の回転に抵抗を加えるロータリーダンパー85を備えている。かかる構成によると、供給軸71が第1方向S1に回転するときに供給軸71に加わる回転力を安定させることができる。
【0071】
本実施形態のプリンタ10は、記録媒体5を主走査方向Yに切断可能なシートカッター33を備え、媒体移動機構55は、記録媒体5をシートカッター33によって切断するときには、印刷後の記録媒体5を帰り方向X2に移動させて供給軸71によって記録媒体5を巻き取った後に、記録媒体5を行き方向X1に移動させるように構成されている。かかる構成によると、長尺な記録媒体5に連続的に画像を印刷した後に、供給軸71によって記録媒体5をいったん巻き戻し、その後に記録媒体5をシートカッター33によって連続的に切断することができる。例えば、記録媒体5に画像を印刷した後にシートカッター33によって記録媒体5を切断することを複数回繰り返す場合には、記録媒体5を切断した後に記録媒体5をその都度巻き取り軸91に巻き取る必要があり、記録媒体5のうちインクヘッド24から巻き取り軸91までの部分は印刷されずに廃棄されてしまう。ところが、供給軸71によって記録媒体5を巻き取ることができるため、記録媒体5に画像を連続的に印刷した後に、記録媒体5を連続的に切断することができる。これにより、記録媒体5に無駄な部分が発生することが抑制される。
【0072】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0073】
上述した実施形態では、第1キャリッジ28は単独で主走査方向Yに移動することができなかったが、第1キャリッジ28を単独で移動可能とするように他の駆動源を設けてもよい。即ち、第1キャリッジ28と第2キャリッジ38とはそれぞれ独立して主走査方向Yに移動可能であってもよい。
【0074】
上述した実施形態では、第1カッター27および第2カッター37は、ローラーカッターであるが、記録媒体5を副走査方向Xに切断可能である限り、その構成は限定されない。即ち、第1カッター27および第2カッター37は、円形刃でなくてもよい。
【符号の説明】
【0075】
5 記録媒体
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
16 プラテン
24 インクヘッド
33 シートカッター
55 媒体移動機構
70 供給装置
71 供給軸
72 支持部材
75 駆動モータ
78 クラッチ
82 スリップクラッチ
85 ロータリーダンパー
90 巻き取り装置
91 巻き取り軸
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7