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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102539
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/14 20060101AFI20230718BHJP
   E06B 3/32 20060101ALI20230718BHJP
   E06B 9/52 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
E06B7/14
E06B3/32 A
E06B9/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003087
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏典
(72)【発明者】
【氏名】高木 翔平
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014CA04
2E014CB01
2E014CC05
2E014CD04
2E036RA03
2E036RB03
2E036RC03
2E036TA03
(57)【要約】
【課題】外装部材を備えた建具の排水性を向上させること。
【解決手段】ドアパネル2の室外に臨む部分に格子付き網戸30を備えた建具であって、格子付き網戸30は、網戸枠体31を介してドアパネル2に取り付けられたものであり、網戸枠体31の下縁を構成する下方枠材34Bには、ドアパネル2との間に長手に沿った樋部36が設けられ、樋部36の内底面には長手に沿って延在し、外部への排出口41dに連続する導水溝34fが設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体の室外に臨む部分に外装部材を備えた建具であって、
前記外装部材は、外装枠体を介して前記枠体に取り付けられたものであり、
前記外装枠体の下縁を構成する下方枠材には、前記枠体との間に長手に沿った樋部が設けられ、
前記樋部の内底面には長手に沿って延在し、外部への排出口に連続する導水溝が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記下方枠材の端部にはキャップ部材が設けられ、前記キャップ部材に前記排出口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記下方枠材と前記キャップ部材との間には仕切り壁部が設けられ、
前記仕切り壁部には、前記下方枠材と前記キャップ部材との間を連通する連通孔が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記連通孔は、前記樋部の導水溝よりも大きな幅を有していることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記キャップ部材には、室内側となる部分に前記排出口が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項6】
前記枠体には、前記下方枠材に向けて低くなるガイド壁部が設けられ、
前記樋部は、前記ガイド壁部の下端縁よりも下方となる部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体の室外に臨む部分に網戸、格子等の外装部材を備えた建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ドアパネルに通風用の窓を有した建具には、通風用の窓を覆うように設けられた網戸や格子等の外装部材を備えるものがある。外装部材は、上方枠材、下方枠材及び左右の側方枠材によって構成される外装枠体に例えばネットや横桟を設けることによって構成されたもので、外装枠体を介して、面材となる通風用窓の枠体に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-305571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外装部材が設けられた建具では、面材に掛けられた雨水等の水が外装部材と面材との間に浸入する場合がある。外装枠体の下方枠材は、長手に沿ってほぼ水平に延在するものである。このため、外装部材と面材との間に浸入した水は、外部に排出することが難しく、下方枠材が堰となってそのまま滞留する懸念がある。特に、粒状となった水については、外部に排出することが一層困難となる。なお、上述の問題は、必ずしも面材に外装部材を備えたものに限らず、躯体に取り付けられた枠体に外装部材を備えたものにも同様に生じ得る。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、外装部材を備えた建具の排水性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、枠体の室外に臨む部分に外装部材を備えた建具であって、前記外装部材は、外装枠体を介して前記枠体に取り付けられたものであり、前記外装枠体の下縁を構成する下方枠材には、前記枠体との間に長手に沿った樋部が設けられ、前記樋部の内底面には長手に沿って延在し、外部への排出口に連続する導水溝が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外装部材と枠体との間に浸入した水が樋部に集積され、樋部を介して外部に排出される。しかも、樋部の内底面に導水溝が設けてあるため、樋部に集積された水が粒状となって滞留する事態を防止することができ、外装部材を設けた建具の排水性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態である建具を室内側から見た姿図である。
図2図1に示した建具の縦断面図である。
図3図1に示した建具の横断面図である。
図4図1に示した建具の要部を示す拡大縦断面図である。
図5図1に示した建具に設けられる外装部材の枠材を一部拡大して示す斜視図である。
図6図1に示した建具に設けられる外装部材の外装枠体を示すもので、(a)は要部分解斜視図、(b)は要部斜視図である。
図7図1に示した建具に設けられる外装部材の外装枠体に適用するキャップ部材を示すもので、(a)は室外となる面側から見た図、(b)は枠材に挿入される端面から見た図、(c)は室内となる面側から見た図、(d)は(a)における7D-7D線断面図である。
図8図1に示した建具に設けられる外装部材の枠材とキャップ部材とを示すもので、(a)は枠材の断面図、(b)はキャップ部材の側面図、(c)は枠材にキャップ部材を装着した状態の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1図4は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、勝手口ドアとして用いられるもので、開口枠1及びドアパネル2を備えている。開口枠1は、上枠1A、下枠1B及び左右の縦枠1Cを四周枠組みして構成したもので、ヒンジ3を介してドアパネル2を開閉可能に支持している。開口枠1を構成する上枠1A、下枠1B、及び左右の縦枠1Cは、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。上枠1A、下枠1B及び左右の縦枠1Cにおいて室内に露出する部分には、それぞれ樹脂製の枠用カバー部材1Aa,1Ba,1Caが装着してある。ドアパネル2は、ドア枠体(枠体)10及び2つの障子20A,20Bを備えて構成したものである。以下、ドアパネル2の構成について詳述し、併せて本願の特徴部分について説明する。なお、以下においては便宜上、ドアパネル2を開口枠1に支持させた状態でそれぞれの構成要素の姿勢を特定することとする。
【0011】
ドア枠体10は、上ドア枠11、下ドア枠12及び左右の縦ドア枠13,14を四周枠組みすることによって構成したものである。これらの上ドア枠11、下ドア枠12及び縦ドア枠13,14は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した金属成形要素と、樹脂によって成形した樹脂成形要素とを備えた複合型のもので、金属成形要素が室外側となる状態で開口枠1に支持してある。金属成形要素及び樹脂成形要素は、いずれも押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。
【0012】
上ドア枠11の金属成形要素11Aは、上ドア枠基部11Aa及び上ドア支持壁部11Abを一体に成形したものである。上ドア枠基部11Aaは、縦長の略長方形断面を有した中空状を成すものである。この上ドア枠基部11Aaには、室内に臨む見付け面のほぼ全面を覆うように樹脂成形要素11Bが取り付けてある。また、上ドア枠基部11Aa及び樹脂成形要素11Bの内周側となる見込み面には、樹脂によって成形した上枠見込み部材11Cが室内側に突出するように設けてある。上ドア支持壁部11Abは、上ドア枠基部11Aaの室外に臨む見付け面において内周側となる部分から室外に向けてほぼ水平に延在した後、内周側に向けてほぼ直角に屈曲した薄板状を成すものである。
【0013】
下ドア枠12の金属成形要素12Aは、下ドア枠基部12Aa、下ドア境界壁部12Ab、下ドア内周壁部12Ac、下ドア支持壁部(ガイド壁部)12Adとを一体に成形したものである。下ドア枠基部12Aaは、上ドア枠基部11Aaと同様、縦長の略長方形断面を有した中空状を成すものである。下ドア枠基部12Aaの見込み方向に沿った寸法及び見付け方向に沿った寸法は、上ドア枠基部11Aaとほぼ同じである。この下ドア枠基部12Aaには、室内に臨む見付け面のほぼ全面を覆うように樹脂成形要素12Bが取り付けてある。下ドア境界壁部12Abは、下ドア枠基部12Aaの内周側となる見込み面においてほぼ中央となる部分から内周に向けて突出した薄板状を成すものである。下ドア内周壁部12Acは、下ドア枠基部12Aaの内周側において室内側の隅部から内周に向けて突出した後、室内に向けて屈曲し、さらに内周に向けて屈曲したものである。下ドア内周壁部12Acの外周側となる表面には、樹脂によって成形した下枠カバー部材12Cが装着してある。下ドア支持壁部12Adは、下ドア枠基部12Aaの内周側において室外側の隅部から室外に向けて漸次下方となるように延在した薄板状を成すものである。下ドア支持壁部12Adの室外への突出寸法は、上ドア支持壁部11Abの室外への突出寸法とほぼ同じである。
【0014】
吊り元側となる縦ドア枠13の金属成形要素13Aは、互いに別体に成形した吊り元外周側部分13AA及び吊り元内周側部分13ABを有したものである。吊り元外周側部分13AAは、横長の略長方形断面を有した中空状を成している。この吊り元外周側部分13AAには、室内に臨む見付け面のほぼ全面を覆うように樹脂成形要素13Cが取り付けてある。吊り元内周側部分13ABは、縦ドア枠基部13ABa、縦ドア内方見付け壁部13ABb、縦ドア外方見付け壁部13ABc、縦ドア境界壁部13ABdを一体に成形したものである。縦ドア枠基部13ABaは、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在する平板状を成すものである。縦ドア内方見付け壁部13ABbは、縦ドア枠基部13ABaの室内側縁部から内周に向けて延在した薄板状を成すものである。縦ドア外方見付け壁部13ABcは、縦ドア枠基部13ABaの室外側縁部から内周に向けて延在した平板状を成すものである。縦ドア境界壁部13ABdは、縦ドア枠基部13ABaの内周側となる見込み面において縦ドア内方見付け壁部13ABb及び縦ドア外方見付け壁部13ABcからほぼ等距離となる部分において内周に向けて突出した薄板状を成すものである。縦ドア境界壁部13ABdの室内に臨む見付け面から縦ドア枠基部13ABaの内周側となる見込み面にわたる部分には、樹脂によって成形した縦枠内周カバー部材13Dが装着してある。また、縦ドア内方見付け壁部13ABbの室内に臨む見付け面から縦ドア枠基部13ABaの外周側となる見込み面にわたる部分には、樹脂によって成形した縦枠外周カバー部材13Eが装着してある。
【0015】
戸先側となる縦ドア枠14の金属成形要素14Aは、互いに別体に成形した戸先外周側部分14AA及び戸先内周側部分14ABを有したものである。戸先外周側部分14AAは、横長の略長方形断面を有した中空状を成すもので、吊り元外周側部分13AAとはカバーヒレ部14AAbを有している点で異なっている。すなわち、戸先外周側部分14AAには、外周側において室外側の隅部から室外に向けて突出した後、外周側に向けて屈曲するようにカバーヒレ部14AAbが一体に設けてある。この戸先外周側部分14AAには、室内に臨む見付け面のほぼ全面を覆うように樹脂成形要素14Cが取り付けてある。戸先内周側部分14ABは、吊り元内周側部分13ABと同様、縦ドア枠基部14ABa、縦ドア内方見付け壁部14ABb、縦ドア外方見付け壁部14ABc、縦ドア境界壁部14ABdを一体に成形したものである。縦枠内周カバー部材14D及び縦枠外周カバー部材14Eを備える点についても、吊り元側の縦ドア枠13,14と同様である。図中の符号15は、戸先側となる縦ドア枠14に設けたドアハンドルである。
【0016】
2つの障子20A,20Bは、ドア枠体10の内部において境界壁部12Ab,13ABd,14ABdよりも室内側となる部分及び境界壁部12Ab,13ABd,14ABdよりも室外側となる部分にそれぞれ上下に移動可能に配設したものである。室内側の障子(以下、区別する場合に内障子20Aという)は、長方形状を成す複層ガラス21Aの四周に上框22A、下框23A及び左右の縦框24Aを装着することによって構成したものである。室外側の障子(以下、区別する場合に外障子20Bという)は、長方形状を成す複層ガラス21Bの四周に上框22B、下框23B及び左右の縦框24Bを装着することによって構成したものである。本実施の形態では、内障子20Aの上框22Aと外障子20Bの下框23Bとが互いに見込み方向に並設する状態で内障子20Aを下方に配置するとともに、外障子20Bを上方に配置した場合にドア枠体10の開口を閉塞することができるように、それぞれの障子20A,20Bの寸法が設定してある。内障子20Aの上框22A、下框23A、左右の縦框24A及び外障子20Bの上框22B、左右の縦框24Bは、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した金属成形要素と、樹脂によって成形した樹脂成形要素とを備えた複合型のもので、金属成形要素が室外側となる状態で互いの間に複層ガラス21A,21Bを保持している。外障子20Bの下框23Bは、アルミニウム合金等の金属によって一体に成形してある。これら障子20A,20Bを構成する框は、金属成形要素及び樹脂成形要素に限らず、いずれも押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。図中の符号25は、内障子20Aの上框22Aと外障子20Bの下框23Bとの間に設けたクレセント錠である。
【0017】
さらに、ドアパネル2には、室外に臨む表面に格子付き網戸(外装部材)30が設けてある。格子付き網戸30は、網戸枠体(外装枠体)31の内部にネット32及び横桟33を設けることによって構成したものである。網戸枠体31は、上方枠材34A、下方枠材34B及び左右の側方枠材34Cを四周枠組みすることによって構成したもので、ドア枠体10の開口を覆うことのできる寸法に構成してある。横桟33は、側方枠材34Cの相互間に互いにほぼ平行となる状態で複数設けてある。上方枠材34A、下方枠材34B、左右の側方枠材34C、横桟33は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。
【0018】
本実施の形態では、上方枠材34A、下方枠材34B及び左右の側方枠材34Cとして、互いに同一の断面形状を有するものを適用している。すなわち、上方枠材34A、下方枠材34B及び左右の側方枠材34C(以下、総称する場合には単に枠材34という)は、それぞれ底壁部34a、外周見付け壁部34b、表面壁部34c、内周見込み壁部34d、内周見付け壁部34eを一体に成形したものである。底壁部34aは、見込み方向に沿って延在する平板状を成すものである。図5に示すように、底壁部34aの内周側となる表面には、複数(図示の例では2つ)の導水溝34fが形成してある。導水溝34fは、それぞれが互いに同一で、一定の幅(実施の形態では2mm以下の狭幅)を有するもので、枠材34の長手に沿って直線状に延在し、枠材34の両端面に開口している。外周見付け壁部34bは、底壁部34aの内周側となる表面において室内側に位置する部分から見付け方向に沿って内周側に突出した薄板状を成すものである。表面壁部34cは、底壁部34aの室外側となる縁部から内周に向けて漸次外方となるように傾斜した後、内周に向けて見付け方向に延在したものである。表面壁部34cの内周への突出寸法は、外周見付け壁部34bよりも大きく設定してある。図示の例では、外周見付け壁部34bに対して2倍以上の突出寸法を有するように表面壁部34cが形成してある。内周見込み壁部34dは、表面壁部34cの内周側縁部から室内側に向けて見込み方向に延在したものである。内周見込み壁部34dの室内側となる縁部には、ネット32の押さえゴム32aを装着するための装着凹部34gが室内に向けて開口するように設けてある。内周見付け壁部34eは、内周見込み壁部34dの延在縁部から内周に向けて見付け方向に延在したものである。
【0019】
図6に示すように、枠材34は、それぞれの小口端面が長手方向に対してほぼ直交する方向に延在しており、互いの間が樹脂製のキャップ部材40によって互いに連結してある。キャップ部材40は、四隅で互いに同一形状となるものであり、図7図8に示すように、キャップ本体41、2つの挿入部42及び2つの係止舌片部43が一体に成形してある。
【0020】
キャップ本体41は、外形が正方形状の表面板部41aと、表面板部41aの四辺に設けた4つの側面板部41b,41cとを有したものである。表面板部41aは、一辺の長さが枠材34の表面壁部34cとほぼ同じとなるように形成してある。側面板部41b,41cは、表面板部41aの四辺から室内に向けて延在した平板状を成すもので、キャップ本体41において室内側となる部分に排出口41dを構成している。このうち、キャップ本体41において網戸枠体31の内周側となる隅部を介して互いに隣接する2つの側面板部(以下、区別する場合に被覆側面板部(仕切り壁部)41bという)は、枠材34の小口端面を覆うことのできる形状及び寸法に形成してある。2つの被覆側面板部41bには、それぞれ湾曲凹部44及び連通孔45が設けてある。湾曲凹部44は、キャップ部材40が枠材34の端部に装着された場合に枠材34の装着凹部34gを互いに連続させるためのもので、両端が被覆側面板部41bに開口し、かつ互いの間が湾曲状に延在している。連通孔45は、被覆側面板部41bにおいて外周側となる部分にのみ形成した貫通孔であり、外周側から内周側に向けて互いに等間隔となる複数位置に形成してある。もっとも外周側となる部分に形成した連通孔45は、後述する挿入部42を枠材34に挿入した場合に、枠材34に設けた2つの導水溝34fの延長上となる部分を含むように横長状に形成してある。図8(b)に示すように、もっとも外周側に設けた連通孔45の外周側となる開口縁は、導水溝34fの内底面よりも外周側となるように形成してある。他の2つの側面板部41cは、後述する挿入部42を枠材34に挿入した場合に、内底面の位置が枠材34の底壁部34aに対して同一平面上、もしくは外周側となるように形成してある。
【0021】
挿入部42は、被覆側面板部41bに設けた突出部であり、枠材34の小口端面に挿入することが可能である。図示の例では、枠材34に設けた表面壁部34cの室内側となる表面に沿って延在するガイド壁42aと、枠材34に設けた外周見付け壁部34bの室外側となる表面に沿って延在する当接壁42bとを有して挿入部42が構成してある。この挿入部42は、表面壁部34c及び外周見付け壁部34bの間に圧入することにより、キャップ本体41を枠材34の小口端面に配置することが可能である。
【0022】
係止舌片部43は、被覆側面板部41bにおいて当接壁42b部よりも外周側となる部分に設けた突出部である。図示の例では、枠材34に設けた外周見付け壁部34bの室外側となる表面に沿って延在するように係止舌片部43が設けてある。係止舌片部43の突出寸法は、挿入部42よりも短く設定してある。係止舌片部43には、延在縁部において室内側となる部分に、かえしとして機能する係止突起43aが設けてある。
【0023】
上記の構成を有するキャップ部材40は、図6に示すように、枠材34の外周見付け壁部34bにおいて係止舌片部43の係止突起43aに対応する部分に係止用の切欠35を係止し、この状態からそれぞれの挿入部42及び係止舌片部43を枠材34の小口端面から挿入することで2つの枠材34を相互に連結した状態に維持する。すなわち、上述したように挿入部42が表面壁部34c及び外周見付け壁部34bの間に圧入されるとともに、係止舌片部43の係止突起43aが係止用の切欠35に係止されることにより、枠材34に対するキャップ部材40の抜け方向の移動が制限されることになり、2つの枠材34が互いにほぼ直交する状態で相互に連結されることになる。枠材34を四周設けた後には、室内側から開口をネット32で覆い、この状態から装着凹部34g及び湾曲凹部44に対してネット32の縁部及び一連の押さえゴム32aを圧入することで格子付き網戸30が構成されることになる。
【0024】
上記のように構成した格子付き網戸30は、例えば上方枠材34Aの外周見付け壁部34bを上ドア枠11の上ドア支持壁部11Abにおいて内周側に屈曲した部分に重ね合わせ、上ドア支持壁部11Abを介して外周見付け壁部34bにネジを螺合することによってドア枠体10に取り付けてある。また、図には明示していないが、側方枠材34Cの外周見付け壁部34bと縦ドア枠13,14の縦ドア外方見付け壁部13ABcとの間にも相互間の移動を制限する係止部が設けてある。
【0025】
一方、下方枠材34Bと下ドア枠12との間においては、下ドア支持壁部12Adの延在縁部に対して下方枠材34Bの外周見付け壁部34bが室内に臨む見付け面の上縁部を介して当接した状態にある。これにより、下ドア枠12の下ドア支持壁部12Adよりも室外側、かつ下方となる位置に、底壁部34a、外周見付け壁部34b、表面壁部34cによって下方枠材34Bの長手に沿った樋部36が構成されることになる。この樋部36は、両端部にキャップ部材40の被覆側面板部41bが配置されることになるものの、連通孔45を通じてキャップ本体41の内部に連通し、さらにキャップ本体41において室内側となる部分に設けた排出口41dを介して外部に連通したものである。さらに樋部36の内底面となる底壁部34aの上面には、長手に沿った全長にわたる部分に狭幅の導水溝34fが複数設けてある。
【0026】
上記のように構成した勝手口ドアでは、ドアパネル2が閉じられた状態においても、内障子20A及び外障子20Bを上下に移動させれば、ドア枠体10の開口を開放することでドアパネル2を通じた通風を行うことができ、室内の換気を行うことができる等の利便性がある。しかも、ドア枠体10の室外に臨む部分に格子付き網戸30が設けてあるため、虫等の異物が室内に進入するおそれはなく、また防犯性に配慮している点においても有利である。
【0027】
しかも、上述したように、網戸枠体31の下方枠材34Bには、ドア枠体10の下ドア枠12との間に長手に沿った樋部36が設けられた状態となっている。従って、格子付き網戸30を越えてドアパネル2との間に浸入した雨水等の水は、下ドア枠12の下ドア支持壁部12Adに案内されて下方枠材34Bの樋部36に集積された後、連通孔45を通じて両端部のキャップ部材40に案内され、それぞれ排出口41dを介して外部に排出されることになる。これにより、網戸枠体31とドア枠体10との間に水が滞留する事態を招来するおそれがない。特に、下方枠体の底壁部34aには、上面に導水溝34fが設けてあるため、樋部36に集積された水が粒状となって滞留する事態を防止することができ、格子付き網戸30を設けた勝手口ドアの排水性を向上させることが可能となる。因に、キャップ部材40については、上方枠材34Aと左右の側方枠材34Cとの間においても共通に使用している。しかしながら、キャップ部材40の排出口41dは、ドアパネル2に対向する部分、つまり室内側に向いて開口したものである。加えて、上方枠材34Aとの間を仕切る被覆側面板部41bには、連通孔45が外周側となる部分、つまり上方側となる部分にのみ設けてある。従って、上方のキャップ部材40に設けた排出口41d及び連通孔45から網戸枠体31の内部に水が浸入するおそれはない。加えて、キャップ部材40と枠材34との間には被覆側面板部41bが介在するため、キャップ部材40の排出口41dを介して格子付き網戸30とドアパネル2との間に虫等の異物が進入する事態を招来する懸念もない。
【0028】
なお、上述した実施の形態では、枠体として、勝手口ドアのドアパネル2を構成するドア枠体10を例示しているが、本発明はこれに限定されず、躯体に取り付けられた枠体においても同様に適用することが可能である。また、枠体は必ずしも開閉可能となる障子を備えている必要はなく、例えばFIX窓のように単に透光性を有したパネルを有していれば十分である。さらに、外装部材として格子付き網戸30を例示しているが、外装枠体を備えるものであれば、必ずしも格子付き網戸に限定されず、例えば外装枠体に井桁やラチスを設けた外装部材であっても良い。またさらに、外装部材として四周で共通の断面形状を有した枠材を備えるものを例示しているが、必ずしも四周の枠材が共通の断面形状を有している必要はない。
【0029】
また、上述した実施の形態では、外装部材の四周にキャップ部材40を設けるようにしているが、少なくとも下方枠材34Bの端部にのみキャップ部材40があれば良い。なお、外装部材の四周にキャップ部材40を設ける場合に上述した実施の形態では、互いに同一の形状となるものを適用しているが、本発明はこれに限定されない。さらに、キャップ部材40に仕切り壁部となる被覆側面板部41bを設けるようにしているが、必ずしも仕切り壁部を有している必要はない。また、キャップ部材40にのみ排出口41dを設けるようにしているが、下方枠材の途中に導水溝に連通するように排出口を設けることも可能である。この場合、必ずしも外装部材がキャップ部材を有している必要もない。
【0030】
以上のように、本発明に係る建具は、枠体の室外に臨む部分に外装部材を備えた建具であって、前記外装部材は、外装枠体を介して前記枠体に取り付けられたものであり、前記外装枠体の下縁を構成する下方枠材には、前記枠体との間に長手に沿った樋部が設けられ、前記樋部の内底面には長手に沿って延在し、外部への排出口に連続する導水溝が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、外装部材と枠体との間に浸入した水が樋部に集積され、樋部を介して外部に排出される。しかも、樋部の内底面に導水溝が設けてあるため、樋部に集積された水が粒状となって滞留する事態を防止することができ、外装部材を設けた建具の排水性を向上させることが可能となる。
【0031】
また本発明は、上述した建具において、前記下方枠材の端部にはキャップ部材が設けられ、前記キャップ部材に前記排出口が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、樋部に集積された水を途中で排出することなく端部のキャップ部材に設けた排出口を介して外部に排出することができる。
【0032】
また本発明は、上述した建具において、前記下方枠材と前記キャップ部材との間には仕切り壁部が設けられ、前記仕切り壁部には、前記下方枠材と前記キャップ部材との間を連通する連通孔が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、キャップ部材から下方枠材の樋部へ至る間に仕切り壁部が介在するため、外部から虫等の異物が進入する事態を防止することができる。
【0033】
また本発明は、上述した建具において、前記連通孔は、前記樋部の導水溝よりも大きな幅を有していることを特徴としている。
この発明によれば、樋部からの排水性を確保することができる。
【0034】
また本発明は、上述した建具において、前記キャップ部材には、室内側となる部分に前記排出口が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、外装枠体において上方枠材の端部にキャップ部材を設ける場合に部品を共用化したとしても、上方のキャップ部材の排水口から外部の水が浸入する事態を防止することができる。
【0035】
また本発明は、上述した建具において、前記枠体には、前記下方枠材に向けて低くなるガイド壁部が設けられ、前記樋部は、前記ガイド壁部の下端縁よりも下方となる部分に設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、外装部材と枠体との間に浸入した水がガイド壁部を通じて樋部に排出されることになる。
【符号の説明】
【0036】
2 ドアパネル、12Ad 下ドア支持壁部、30 格子付き網戸、31 網戸枠体、34B 下方枠材、34a 底壁部、34f 導水溝、36 樋部、40 キャップ部材、41b 被覆側面板部、41d 排出口、45 連通孔
図1
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図8