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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102569
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】車両用アームレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20230718BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20230718BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
B60N2/75
A47C7/54 B
A47C7/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003129
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】小野 絵美子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】植田 守
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】植竹 厚太
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JA08
3B084JB03
3B087DC02
3B087DC04
(57)【要約】
【課題】従来の車両用アームレストは、車両前後方向に位置調整するための部品の脱落や紛失を起こす恐れがあった。
【解決手段】収納部Aの上側を開閉する開閉体2を備え、開閉体2が、内側のベース部5と外側のリッド部6と、ピン状のロック部材10とを備えており、ベース部5が、ロック部材10の固定用穴11と、保管用穴12を有し、リッド部6が、所定の進退位置において固定用穴11を貫通したロック部材10の先端部が係合する進退動作規制用の位置決め部13を備え、固定用穴11にロック部材10を装着してリッド部6の進退を規制し、固定用穴11から取り外したロック部材10を保管用穴12に装着してリッド部6の進退を許容する車両用アームレスト1とし、段階的な位置調整と無段階的な位置調整を可能にし、部品であるロック部材10の紛失を防ぐことができ、利便性の向上を実現する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のセンターコンソールボックスにおいて収納部の蓋を兼用する車両用アームレストであって、
前記収納部の上側を開閉する開閉体を備えると共に、
前記開閉体が、ボックス本体に回転可能に連結した内側のベース部と、前記ベース部に対して前後方向に進退可能に連結した外側のリッド部と、前記ベース部の内側から装着するピン状のロック部材とを備えており、
前記ベース部が、左右方向の一方側に、前記ロック部材を貫通状態に装着する固定用穴を有すると共に、左右方向の他方側に、前記ロック部材を貫通状態に装着する保管用穴を有し、
前記リッド部が、当該リッド部の所定の進退位置において前記固定用穴を貫通した前記ロック部材の先端部が係合して当該リッド部の進退動作を規制する位置決め部を備え、
前記固定用穴に前記ロック部材を装着した状態で前記リッド部の進退を規制する一方、前記固定用穴から前記ロック部材を取り外して前記保管用穴に前記ロック部材を装着した状態で前記リッド部の進退を許容することを特徴とする車両用アームレスト。
【請求項2】
前記ベース部と前記リッド部との間において、左右方向の両側に、前記固定用穴及び保管用穴を貫通した前記ロック部材の先端部が突入する左右の空間を夫々備え、
左右の前記空間のうちの一方の空間に、前記位置決め部が配置してあると共に、
他方の空間が、前後方向に連続していることを特徴とする請求項1に記載の車両用アームレスト。
【請求項3】
前記ロック部材が、本体部の軸線上に設けたねじ部と、前記ねじ部のねじ込みにより半径方向に膨出変形する先端部とを有するトリムクリップであって、
前記位置決め部が、前記トリムクリップの先端部を貫通させる穴であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用アームレスト。
【請求項4】
前記ベース部が、その内面における左右方向の両側に凹部を夫々有し、
一方の凹部の底部に固定用穴が配置してあり、
他方の凹部の底部に保管用穴が配置してあることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用アームレスト。
【請求項5】
前記一方の凹部の深さ寸法が、前記他方の凹部の深さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の車両用アームレスト。
【請求項6】
前記一方の凹部及び他方の凹部が、前後方向に延びる短溝状を成していることを特徴とする請求項4に記載の車両用アームレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のセンターコンソールボックスにおいて収納部の蓋を兼用する車両用アームレストの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における車両用アームレストとしては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載の車両用アームレストは、取付け台の上側に、車両前後方向に移動可能に組み付けてある。この車両用アームレストは、底部に固定したロックプレートと、頭部を上側にしてロックプレートの下側に配置したロックボルトと、取付け台の背面側でロックボルトを回転操作するハンドルを備えている。ロックボルトは、取付け台の内部にねじ部が貫通しており、ハンドルの回転操作により上下動する。ロックプレートは、車両前後方向に延びるスリットを有し、スリットには、ロックボルトの頭部が係脱する係止穴が所定間隔で形成してある。
【0003】
上記の車両用アームレストは、ハンドルの回転操作によりロックボルトを弛めると、ロックボルトが下降してロックプレートの係止穴から頭部が離脱し、取付け台に対して車両前後方向に移動可能になる。これにより、車両用アームレストは、車両前後方向に位置調整した後、ハンドルによりロックボルトを締めることで、その頭部を対応する係止穴に係止させてロック状態とし、調整した位置を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-159336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記したような従来の車両用アームレストは、調整した位置でロック状態にするので、位置調整を度々行うような状況には不向きである。そこで、上記の車両用アームレストは、ハンドルでロックボルトを弛めたままにしたり、ハンドル及びロックボルトを取り外したりすれば、常に車両前後方向の位置調整に対応可能である。しかしながら、上記の車両用アームレストは、ロックボルトを弛めたままにした場合、ハンドルが脱落する虞があり、また、ハンドルやロックボルトを取り外した場合、これらの部品を紛失する虞がある。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、段階的な位置調整と無段階的な位置調整を可能にすると共に、部品の紛失を防ぐことができ、利便性の向上を実現することができる車両用アームレストを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わる車両用アームレストは、車両のセンターコンソールボックスにおいて収納部の蓋を兼用する車両用アームレストであって、収納部の上側を開閉する開閉体を備えている。開閉体は、ボックス本体に回転可能に連結した内側のベース部と、ベース部に対して前後方向に進退可能に連結した外側のリッド部と、ベース部の内側から装着するピン状のロック部材とを備えている。そして、上記の車両用アームレストは、ベース部が、左右方向の一方側に、ロック部材を貫通状態に装着する固定用穴を有すると共に、左右方向の他方側に、ロック部材を貫通状態に装着する保管用穴を有し、リッド部が、当該リッド部の所定の進退位置において固定用穴を貫通したロック部材の先端部が係合して当該リッド部の進退動作を規制する位置決め部を備え、固定用穴にロック部材を装着した状態でリッド部の進退を規制すると共に、保管用穴にロック部材を装着した状態でリッド部の進退を許容することを特徴としている。
【0008】
上記の車両用アームレストは、リッド部の所定の進退位置において固定用穴を貫通したロック部材の先端部を位置決め部に係合させることにより、車両前後方向に位置調整したリッド部がロック状態となる。つまり、リッド部を段階的に位置調整することが可能である。また、上記の車両用アームレストは、同一のロック部材を保管用穴に貫通状態に装着することにより、リッド部が進退可能となって、無段階的に位置調整することが可能になると共に、ロック部材を紛失する虞も解消される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係わる車両用アームレストは、上記構成を採用したことにより、段階的な位置調整と無段階的な位置調整を可能にすると共に、部品の紛失を防ぐことができ、利便性の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係わる車両用アームレストの一実施形態を示す図であって、リッド部が前進位置にある状態を示す斜視図(A)、リッド部が後退位置にある状態を示す斜視図(B)、開閉体を開放した状態を示す斜視図(C)、ボックス本体を透視して動作伝達機構の一部を示す平面図(D)である。
図2】収納部及び開閉体の要部の横断面図(A)、及びトリムクリップの側面図(B)である。
図3図2(A)中のA-A線矢視に基づく断面図(A)、B-B線矢視に基づく断面図(B)、及びC-C線矢視に基づく断面図(C)である。
図4】動作伝達機構を説明するカットモデル状の斜視図(A)、及び図Aと断面位置が異なるカットモデル状の斜視図(B)である。
図5】動作伝達機構を説明する斜視図(A)、及び動作伝達機構を図Aとは異なる方向から見た状態の斜視図(B)である。
図6】動作伝達機構を分解状態で説明する斜視図(A)、及び動作伝達機構の一部を示す垂直断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈第1実施形態〉
以下、図面に基づいて本発明に係わる車両用アームレストの一実施形態を説明する。以下の説明において、上下や前後左右の方向及び位置は、車両の向きを基準にしている。また、本発明に係わる車両用アームレストは、車両のセンターコンソールボックスにおいて収納部の蓋を兼用するものであり、本来の肘掛けの部分だけではなく、収納部を開閉するための構成や、前後方向の位置調整をするための構成を備えている。
【0012】
すなわち、車両用アームレスト1は、図1に示すように、ボックス本体Bの収納部Aの上側を開閉する開閉体2と、開閉体2を開放操作するためのスイッチノブ3と、スイッチノブ3の操作に連動して開閉体2を開放するための動作伝達機構4とを備えている。スイッチノブ3は、ボックス本体Bにおいて開閉体2よりも前方側に配置してある。
【0013】
図示のボックス本体Bは、開閉体2の前方右側に、容器ホルダH1を有すると共に、前方左側にパーキングブレーキの操作レバーPを備えている。容器ホルダH1は、一般にドリンクホルダやカップホルダと呼ばれるもので、ペットボトルやカップ類を保持する。なお、図1は、ボックス本体Bの前方部分を省略している。
【0014】
上記の車両用アームレスト1は、図2及び図3に示すように、開閉体2が、ボックス本体Bに回転可能に連結した内側のベース部5と、ベース部5に対して前後方向に進退可能に連結した外側のリッド部6と、ベース部5の内側から装着するピン状のロック部材10とを備えている。
【0015】
また、上記の車両用アームレスト1は、ベース部5が、左右方向の一方側(図2A中で左側)に、ロック部材10を貫通状態に装着する固定用穴11を有すると共に、左右方向の他方側に、ロック部材10を貫通状態に装着する保管用穴12を有している。他方、リッド部6は、所定の進退位置において固定用穴11を貫通したロック部材10の先端部が係合して当該リッド部6の進退動作を規制する位置決め部13を備えている。そして、上記の車両用アームレスト1は、固定用穴11にロック部材10を装着した状態でリッド部6の進退を規制する一方、固定用穴11から同ロック部材10を取り外して保管用穴12に同ロック部材10を装着した状態でリッド部6の進退を許容する。
【0016】
開閉体2のベース部5は、収納部Aの上側開口を閉じる大きさを有し、ボックス本体Bに対して、図示しないヒンジを介して後方側の端部が連結してあり、ヒンジ軸に改装したねじりばね等の弾性体により、開放方向(上方向)に付勢してある。このとき、ベース5の付勢力は、開閉体2のロック状態を解除した際、少なくとも開閉体2の前端部が浮き上がる程度の力であれば良い。
【0017】
開閉体2のリッド部6は、とくに、図2(A)に示すように、ベース部5との間に設けた左右のガイド7,7や、ベース5側に配置したピニオン8に噛み合うラック9により、ベース8に対して前後方向に移動可能である。このリッド部6は、両ガイド7や、ピニオン8及びラック9の夫々の接触部分における適当な摩擦抵抗により、調整した位置を保つことができ、その摩擦抵抗を超える力により移動自在である。
【0018】
開閉体2は、図2(A)に示すベース部5とリッド部6との間において、左右方向の両側に、固定用穴11及び保管用穴12を貫通したロック部材10の先端部が突入する左右の空間14L,14Rを夫々備えている。また、開閉体2は、図3(C)に示すように、一方の空間14Lに、リッド部6を位置規制するための位置決め部13が配置してあると共に、図3(A)に示すように、他方の空間14Rが、ベース部5に対するリッド部6の進退範囲に相当する長さにわたって前後方向に連続している。
【0019】
ロック部材10は、図2(B)に示すように、本体部10Aの軸線上に設けたねじ部10Bと、ねじ部10Bのねじ込みにより半径方向に膨出変形する先端部10Cとを有するトリムクリップである。また、位置決め部13は、ロック部材10の先端部10Cを貫通させる穴であって、リッド部6の内壁6Aにおいて、前後方向の複数箇所に形成してある。この位置決め部13としての穴は、少なくともリッド部6の前進(最前端)位置と後退(最後端)位置に対応する2箇所、より望ましくは、前進位置と後退位置の中間を含む2カ所以上の複数箇所に配置してある。
【0020】
ロック部材10は、固定用穴11及び保管用穴12のいずれかに装着する。つまり、開閉体2は、図2(A)中に仮想線で示すように、ロック部材10を固定用穴11又は位置決め部13に貫通させて、ねじ部10Bの操作により先端部10Bを膨出変形させることで、装着完了となり、ベース部5に対するリッド部6の進退動作を規制する。
【0021】
また、ロック部材10は、固定用穴11及び位置決め部13から取り外すことで、リッド部6の進退動作を許容し、この際、図2(A)中に実線で示すように、保管用穴12に貫通させ、図2(B)中に仮想線で示す如く先端部10Cを膨出変形させて保管する。
【0022】
上記の開閉体2は、ベース部5が、その内面における左右方向の両側に凹部15L,15Rを夫々有し、図3(C)に示すように、一方の凹部15Lの底部に固定用穴11が配置してあり、他方の凹部15Rの底部に保管用穴12が配置してある。
【0023】
また、開閉体2は、一方の凹部15Lの深さ寸法DLを、他方の凹部15Rの深さ寸法DRよりも小さくしている。さらに、開閉体2は、両凹部15L,15Rが、前後方向に延びる短溝状を成している。
【0024】
動作伝達機構4は、図4及び図5に示すように、上下方向に案内され且つ上方向に付勢されたスイッチシャフト16と、前後方向に案内され且つ後方向に付勢された係止部材17と、スイッチシャフト16の下降移動を係止部材17の前方移動に変換するカム機構18とを備えている。
【0025】
スイッチノブ3は、スイッチシャフト16の上端部に固定してあると共に、ボックス本体Bの上面において、リッド部6を最前端に移動させた状態にした開閉体2の前端よりも前方側に配置、すなわち進退可能なリッド部6に対して定位置に配置してある。これにより、スイッチノブ13は、運転席の前後方向の調整位置に左右されることなく、操作することができる。
【0026】
スイッチシャフト16は、ボックス本体Bの内部構造体であるハウジング50に形成した竪のガイド部51より、上下方向に案内されると共に、中間部に、カム機構18を構成するカム面18Aを有している。このカム面18Aは、前方向に上がり勾配を有する下向きのカム面である。スイッチシャフト16は、下端部に介装した垂直スプリング19により上方向に付勢されている。
【0027】
係止部材17は、ハウジング50に形成した溝状のガイド部52により、前後方向に案内されると共に、上記カム面18Aとともにカム機構18を構成するカム面18Bを有している。このカム面18Bは、後方向に下り勾配を有する上向きのカム面である。係止部材17は、前方側に配置した水平スプリング20により後方向に付勢されている。
【0028】
上記のスイッチシャフト16及び係止部材17は、カム面18A,18B同士が接触すると共に、とくに、カム面8A,18Bの周囲部分では、夫々の往復移動を妨げないように、夫々の形状を設定して互いに組み合わせてある。これらの構造は、とくに限定されないが、一例として、スイッチシャフト16を前後方向に開放された中空体とし、その中空部分に係止部材17を貫通状態にすると共に、互いの交差部分にカム面18A,18Bを配置する。
【0029】
また、この実施形態の動作伝達機構4は、図3(B)及び図5に示すように、係止部材17の後方側の端部に、係止凸部17Aが設けてあり、ベース部5の前方側の端部に、係止凹部5Aが設けてある。係止凸部17Aは、収納部A内に突出し、開閉体2を閉じる際に係止部材17を押動する面として、後方向に下り勾配を成す上向きの傾斜面を有する。
【0030】
ここで、ボックス本体Bは、パーキングブレーキの操作レバーPの可動域と、開閉体2の閉位置においてリッド部6の進退動作に伴って開閉される第2の容器ホルダH2を備えており、図2(D)に示すように、係止部材17が、操作レバーPの可動域と第2の容器ホルダH2との間に配置してある。
【0031】
このため、係止部材17は、図5に示すように、平面視において、第2の容器ホルダH2を回避するクランク形状を成しており、クランク形状の角部分にリブ状の補強部17Fを有している。これにより、車両用アームレスト1は、ボックス本体Bの狭い空間内に動力伝達機構4を配置すると共に、開閉体2から離れた定位置にスイッチノブ3を配置して、開閉体2の開閉操作を確実にする。
【0032】
さらに、この実施形態の動作伝達機構4は、図6に示すように、スイッチシャフト16の上端部左右に、図6(A)に示す係止爪23が設けてあると共に、上端部前後に、スイッチノブ3を受ける突片24が設けてある。スイッチノブ3は、その左右両側に、図5(A)に示す係止孔25が設けてあり、突片24に載置した状態にして、係止孔25に係止爪23を弾性的に係止することで、スイッチシャフト16に固定される。
【0033】
そして、動作伝達機構は、図6(A)に示すように、スイッチシャフト16の上端部左右に、スイッチノブ3に当接する突起状の左右規制部21が設けてあり、図6(B)に示すように、スイッチシャフト16の前後における上下2カ所に、ハウジング50に対して、上下動自在に当接する突起状の前後規制部22が設けてある。これにより、動作伝達機構4は、スイッチノブ3及びスイッチシャフト16の前後左右方向のがたつきを防止し、円滑な動作を長期にわたって維持する。
【0034】
上記構成を備えた車両用アームレスト1は、図1(A)に示す前進位置と、図2(B)に示す後退位置との間で、開閉体2のリッド部6の位置調整を行うことができる。この際、リッド部6は、先述したように、保管用穴12にロック部材10を装着することで、無段階的な位置調整が可能である。また、リッド部6は、固定用穴11にロック部材10を装着することで、段階的な位置調整、及び調整位置での拘束が可能である。
【0035】
また、車両用アームレスト1は、スイッチノブ3を押すことにより動作伝達機構4が機能し、図1(C)に示すように、開閉体2を上方に回動させて収納部Aを開放する。具体的には、スイッチノブ3を押すと、垂直スプリング19に抗してスイッチシャフト16が下降し、そのカム面18Aが係止部材17のカム面18Bを押圧する。これにより、係止部材17が、水平スプリング20に抗して前方向に移動し、係止凸部17Aがベース部5の係止凹部5Aから離脱する。このとき、開閉体2は、図外の弾性体により上方向に付勢してあるので、係止凸部17Aの離脱によりロック状態が解除されて前方が浮き上がり、収納部Aを開放する。
【0036】
さらに、車両用アームレスト1は、開閉体2を下方に回動させると、ベース部5の係止凹部5Aの下端が係止凸部17Aの傾斜面を押圧し、水平スプリング20に抗して係止部材17を前方向に押動する。そして、係止凹部5Aの下端が係止凸部17Aの先端を超えるまで開閉体2を押すと、水平スプリング20により係止部材17が後方向に押し戻され、収納部Aに突出した係止凸部17Aが係止凹部5Aに係止してロック状態となる。
【0037】
上記の車両用アームレスト1は、収納部Aの上側を開閉する開閉体2として、内側のベース部5と、外側のリッド部6と、ロック部材10とを備え、ベース部5が、固定用穴11及び保管用穴12を有し、リッド部6が、固定用穴11を貫通したロック部材10の先端部が係合して当該リッド部6の進退動作を規制する位置決め部13を備えた構成である。これにより、車両用アームレスト1は、段階的な位置調整と無段階的な位置調整を可能にすると共に、部品すなわちロック部材10の紛失を防ぐことができ、利便性の向上を実現することができる。しかも、上記の車両用アームレスト1は、リッド部6を進退範囲内のどの位置に調整しても開閉体2を回動させて収納部Aを開閉することができる。
【0038】
また、上記の車両用アームレスト1は、ベース部5とリッド部6との間において、左右方向の両側に、固定用穴11又は保管用穴12を貫通したロック部材10の先端部が突入する左右の空間14L,14Rを夫々備え、固定用穴11側の空間14Lに、位置決め部13を配置し、保管用穴12側の空間14Rが、前後方向に連続している。これにより、
車両用アームレスト1は、保管用穴12にロック部材10を装着した際、ロック部材10とリッド部6とを干渉させることなく、リッド部6を進退移動させることができる。
【0039】
さらに、上記の車両用アームレスト1は、ロック部材10がトリムクリップであって、位置決め部13が、ロック部材10の先端部10Cを貫通させる穴である。これにより、上記の車両用アームレスト1は、簡単な操作でロック部材10を装着することができると共に、比較的簡単な構造でありながら、ベース部5に対して位置調整したリッド部6を確実に拘束することができる。
【0040】
さらに、上記の車両用アームレスト1は、ベース部5が、その内面に設けた凹部15L,15Rの底部に固定用穴11及び保管用穴12が配置してあるので、固定用穴11又は保管用穴12に装着したロック部材10が収納部A内に突出するのを防止することができる。つまり、収納部Aに収納した物品に対して、ロック部材10の頭部が干渉するのを防止することができる。
【0041】
さらに、上記の車両用アームレスト1は、固定用穴11を有する凹部15Lの深さ寸法Dが、保管用穴12を有する凹部15Rの深さ寸法DRよりも小さい。これにより、車両用アームレスト1は、保管用穴12に装着したロック部材10が突入する空間14Rを充分に確保し、上下方向に狭い空間にロック部材10の保管用スペースを確保することができる。また、両凹部15L,15Rの深さ寸法を異ならせることで、固定用と保管用の区別を容易にし得る。
【0042】
さらに、上記の車両用アームレスト1は、凹部15L,15Rを、前後方向に延びる短溝状にすることで、ロック部材10を指で摘んで着脱するに際し、ロック部材10の周囲に空間を確保して、着脱操作を容易に行うことができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、ボックス本体Bに対して、開閉体2のベース部5の後方側の端部を回動可能に連結した構成を例示したが、ボックス本体Bにベース部5の側部を回動可能に連結する構成を採用することもできる。この場合、開閉体2は、内側のベース部5に対して外側のリッド部6を前後方向に移動可能に組み合わせた構成とし、車両の左右方向に回動して収納部Aを開閉する。
【0044】
本発明に係わる車両用アームレストは、その構成が上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、ピン状のロック部材としては、ボルトを用いることができる。この場合には、固定用穴及び保管用穴にめねじを形成したり、位置決め部としてナット類を用いたりすることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
A 収納部
1 車両用アームレスト
2 開閉体
5 ベース部
6 リッド部
10 ロック部材(トリムクリップ)
10A 本体部
10B ねじ部
10C 先端部
11 固定用穴
12 保管用穴
13 位置決め部
14L,14R 空間(ロック部材が突入する空間)
15L,15R 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6