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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102602
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/02 20060101AFI20230718BHJP
   G10K 11/16 20060101ALN20230718BHJP
【FI】
H04R9/02 102C
G10K11/16 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003189
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅垣 力
【テーマコード(参考)】
5D012
5D061
【Fターム(参考)】
5D012BB02
5D012DA03
5D061GG10
(57)【要約】
【課題】振動を抑制しつつ、放音方向に対する厚さを薄くできるスピーカ装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係るスピーカ装置は、第1磁気回路と、第2磁気回路と、第1ボイスコイルと、第2ボイスコイルと、第1ダンパと、第2ダンパとを備える。第1磁気回路は、第1磁気ギャップが形成され、放音側に設けられる。第2磁気回路は、第2磁気ギャップが形成され、第1磁気回路よりも、放音側とは反対方向の背面側に設けられる。第1ボイスコイルは、第1磁気ギャップに配置される。第2ボイスコイルは、第2磁気ギャップに配置される。第1ダンパは、第2ボイスコイルを支持する。第2ダンパは、第1ダンパよりも、第1ダンパの径方向において内側に設けられ、第2ボイスコイルを支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁気ギャップが形成され、放音側に設けられる第1磁気回路と、
第2磁気ギャップが形成され、前記第1磁気回路よりも、放音側とは反対方向の背面側に設けられる第2磁気回路と、
前記第1磁気ギャップに配置される第1ボイスコイルと、
前記第2磁気ギャップに配置される第2ボイスコイルと、
前記第2ボイスコイルを支持する第1ダンパと、
前記第1ダンパよりも、前記第1ダンパの径方向において内側に設けられ、前記第2ボイスコイルを支持する第2ダンパと
を備える、スピーカ装置。
【請求項2】
前記第2ダンパを、前記第2ダンパの径方向において内側から支持する背面側支持部材
を備える、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記第1ボイスコイルを支持する第3ダンパと、
前記第1ボイスコイルよりも、前記第3ダンパの径方向において内側に設けられ、前記第1ボイスコイルを支持する第4ダンパと
を備える、請求項1または2に記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記第4ダンパを、前記第4ダンパの径方向において内側から支持する放音側支持部材
を備える、請求項3に記載のスピーカ装置。
【請求項5】
前記第2ダンパを、前記第2ダンパの径方向において内側から支持する背面側支持部材を備え、
前記背面側支持部材、および前記放音側支持部材は、一体的に設けられる、請求項4に記載のスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放音する場合に発生する振動を抑制する機構を有するスピーカ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-152884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、振動を抑制するための機構がスピーカ装置に設けられる場合、スピーカ装置の放音方向に対する厚さが厚くなるがおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって振動を抑制しつつ、放音方向に対する厚さを薄くできるスピーカ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係るスピーカ装置は、第1磁気回路と、第2磁気回路と、第1ボイスコイルと、第2ボイスコイルと、第1ダンパと、第2ダンパとを備える。第1磁気回路は、第1磁気ギャップが形成され、放音側に設けられる。第2磁気回路は、第2磁気ギャップが形成され、第1磁気回路よりも、放音側とは反対方向の背面側に設けられる。第1ボイスコイルは、第1磁気ギャップに配置される。第2ボイスコイルは、第2磁気ギャップに配置される。第1ダンパは、第2ボイスコイルを支持する。第2ダンパは、第1ダンパよりも、第1ダンパの径方向において内側に設けられ、第2ボイスコイルを支持する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、振動を抑制しつつ、放音方向に対する厚さを薄くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るスピーカ装置の概略を示す断面図である。
図2図2は、スピーカ装置において、第1ボイスコイルの振動と、第2ボイスコイルの振動とによる力の発生の方向の一例を示す図である。
図3図3は、比較例に係るスピーカ装置の概略を示す断面図である。
図4図4は、第2実施形態に係るスピーカ装置の概略を示す断面図である。
図5図5は、変形例に係るスピーカ装置の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、スピーカ装置を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るスピーカ装置1は、図1を参照し説明される。図1は、第1実施形態に係るスピーカ装置1の概略を示す断面図である。
【0011】
以下では、スピーカ装置1から放音される放音側が前方として説明される。また、放音側とは反対方向の背面側が後方として説明される。
【0012】
スピーカ装置1は、スピーカボックス2と、スピーカユニット3とを備える。スピーカボックス2は、スピーカユニット3を支持する。スピーカボックス2には、スピーカユニット3の一部が収容される。スピーカボックス2は、前方側が開口される。スピーカボックス2は、スピーカユニット3の側方、および後方を覆うように設けられる。スピーカボックス2は、スピーカユニット3の背面側における圧力変動が、スピーカ装置1の周囲に設けられた他の部材に伝達することを抑制する。
【0013】
スピーカユニット3は、第1磁気回路10と、第2磁気回路11と、第1フレーム12と、第2フレーム13と、第1ボビン14と、第1ボイスコイル15と、第2ボビン16と、第2ボイスコイル17とを備える。スピーカユニット3は、振動板18と、第1ダンパ19と、第2ダンパ20と、第3ダンパ21とを備える。
【0014】
第1磁気回路10は、マグネット30と、プレート31と、ヨーク32とを備える。
【0015】
マグネット30は、円柱状に形成される。プレート31は、円柱状に形成される。プレート31は、マグネット30の前方に設けられる。プレート31の後端面は、マグネット30の前端面に接合される。
【0016】
ヨーク32は、底板部32aと、ポール部32bとを備える。底板部32aは、円形に形成される。底板部32aは、前方に向けて突出する突出部32cを備える。突出部32cは、円柱状に形成される。突出部32cは、底板部32aの径方向において底板部32aの中央に設けられる。突出部32cは、マグネット30の後方に設けられる。突出部32cの前端面は、マグネット30の後端面に接合される。
【0017】
マグネット30は、ヨーク32の突出部32cと、プレート31とに挟まれて、ヨーク32の突出部32c、およびプレート31に固定される。第1磁気回路10では、マグネット30、プレート31、およびヨーク32は、同軸上に設けられる。
【0018】
ポール部32bは、底板部32aから前方に突出するように形成される。ポール部32bは、筒状に形成される。ポール部32bの内径は、マグネット30、プレート31、および突出部32cの各外径よりも大きい。ポール部32bの前端は、第1フレーム12に固定される。
【0019】
第1磁気回路10では、第1磁気回路10の径方向において、プレート31、マグネット30、およびヨーク32の突出部32cと、ヨーク32のポール部32bとの間に第1磁気ギャップ33が形成される。第1磁気ギャップ33は、円環状に形成される。第1磁気ギャップ33は、前端が開口するように形成される。
【0020】
第2磁気回路11は、第1磁気回路10よりも後方に設けられる。第2磁気回路11は、マグネット40と、プレート41と、ヨーク42とを備える。
【0021】
マグネット40は、円柱状に形成される。プレート41は、円柱状に形成される。プレート41は、マグネット40の後方に設けられる。プレート41の前端面は、マグネット40の後端面に接合される。
【0022】
ヨーク42は、底板部42aと、ポール部42bとを備える。底板部42aは、円形に形成される。底板部42aは、第1磁気回路10のヨーク32の底板部32aに固定される。具体的には、底板部42aの前端面が、第1磁気回路10の底板部32aの後端面に接合される。すなわち、第1磁気回路10と第2磁気回路11とは、接合されて、固定される。
【0023】
底板部42aは、後方に向けて突出する突出部42cを備える。突出部42cは、円柱状に形成される。突出部42cは、底板部42aの径方向において底板部42aの中央に設けられる。突出部42cは、マグネット40の前方に設けられる。突出部42cの後端面は、マグネット40の前端面に接合される。
【0024】
マグネット40は、ヨーク42の突出部42cと、プレート41とに挟まれて、ヨーク42の突出部42c、およびプレート41に固定される。第2磁気回路11では、マグネット40、プレート41、およびヨーク42は、同軸上に設けられる。第2磁気回路11のマグネット40、プレート41、およびヨーク42は、第1磁気回路10のマグネット30などと同軸上に設けられる。
【0025】
ポール部42bは、底板部42aから後方に突出するように形成される。ポール部42bは、筒状に形成される。ポール部42bの内径は、マグネット40、プレート41、および突出部42cの各外径よりも大きい。
【0026】
第2磁気回路11では、第2磁気回路11の径方向において、プレート41、マグネット40、およびヨーク42の突出部42cと、ヨーク42のポール部42bとの間に第2磁気ギャップ43が形成される。第2磁気ギャップ43は、円環状に形成される。第2磁気ギャップ43は、後端が開口するように形成される。
【0027】
第1フレーム12は、本体部50と、取付部51とを備える。本体部50は、椀状に形成される。本体部50は、前方から後方となるにつれて、内径が小さくなるように形成される。本体部50の後端には、孔50aが形成される。孔50aの周囲には、第1磁気回路10のヨーク32が固定される。具体的には、本体部50の後端に、ヨーク32のポール部32bの前端が取り付けられ、固定される。第1フレーム12は、第1磁気回路10を支持する。
【0028】
取付部51は、本体部50の外周面から、本体部50の径方向外側に突出するように形成される。取付部51は、スピーカボックス2に取り付けられる。すなわち、スピーカユニット3は、取付部51を介してスピーカボックス2に取り付けられる。
【0029】
第2フレーム13は、椀状に形成される。第2フレーム13の前端には、孔13aが形成される。孔13aには、第2磁気回路11の一部が挿入される。具体的には、孔13aには、第2磁気回路11のポール部42bが挿入される。第2フレーム13は、第2磁気回路11のポール部42bに取り付けられる。
【0030】
第1ボビン14は、円筒状に形成される。第1ボビン14の一部は、第1磁気回路10に形成される第1磁気ギャップ33に挿入される。
【0031】
第1ボイスコイル15は、第1磁気ギャップ33に配置される。第1ボイスコイル15は、第1ボビン14の外周面に巻き回される。すなわち、第1ボイスコイル15は、筒状に形成される。第1ボイスコイル15には、接続端子などを介して外部から音声入力信号が供給される。
【0032】
第2ボビン16は、円筒状に形成される。第2ボビン16の一部は、第2磁気回路11に形成される第2磁気ギャップ43に挿入される。
【0033】
第2ボイスコイル17は、第2磁気ギャップ43に配置される。第2ボイスコイル17は、第2ボビン16の外周面に巻き回される。すなわち、第2ボイスコイル17は、筒状に形成される。第2ボイスコイル17には、音声入力信号に対応する入力信号が供給される。入力信号は、音声入力信号によって発生する不要な振動をキャンセルする振動を発生させる信号である。入力信号は、音声入力信号によって発生する不要な振動を低減する振動を発生させる信号を含む。
【0034】
振動板18は、第1フレーム12の前端側に設けられる。振動板18は、コーン状に形成される。振動板18は、前方から後方にかけて窪むように形成される。すなわち、振動板18は、前方から後方にかけて縮径するように形成される。振動板18は、エッジ18aを介して第1フレーム12の本体部50に取り付けられる。エッジ18aは、円環状に形成される。エッジ18aは、振動板18の外周端と第1フレーム12の本体部50との間に設けられる。
【0035】
振動板18の後端には、孔18bが形成される。孔18bは、振動板18の径方向の中央に形成される。孔18bには、第1ボビン14が挿入される。振動板18は、第1ボビン14に取り付けられる。振動板18の内周端は、第1ボビン14に取り付けられる。振動板18の外周端は、エッジ18aを介して第1フレーム12に取り付けられる。
【0036】
第1ダンパ19は、第2ボイスコイル17を支持する。第1ダンパ19は、第2ボビン16を介して、第2ボイスコイル17を支持する。第1ダンパ19は、円環状に形成される。第1ダンパ19は、第2ボビン16と、第2フレーム13との間に設けられる。第1ダンパ19の内周端は、第2ボビン16の外周面に取り付けられる。第1ダンパ19の外周端は、第2フレーム13に取り付けられる。第1ダンパ19は、第2ボビン16を、第2ボビン16の径方向において外側から支持する。
【0037】
第1ダンパ19の少なくとも一部は、第1ダンパ19の径方向に沿って凹凸が繰り返される蛇腹形状に形成される。蛇腹形状は、第1ダンパ19の周方向に全周にわたり形成される。すなわち、第1ダンパ19には、同心円状の波形が径方向に連続するように形成される。
【0038】
第2ダンパ20は、第2ボイスコイル17を支持する。第2ダンパ20は、第2ボビン16を介して、第2ボイスコイル17を支持する。第2ダンパ20は、第1ダンパ19よりも、第1ダンパ19の径方向において、内側に設けられる。第2ダンパ20は、円環状に形成される。第2ダンパ20は、第2ボビン16と、支持部材60(背面側支持部材)との間に設けられる。支持部材60は、例えば、樹脂部材である。支持部材60は、円柱状である。支持部材60は、第2磁気回路11のプレート41の径方向において中央側に設けられる。支持部材60は、第2磁気回路11のプレート41と同軸上に設けられる。支持部材60は、第2磁気回路11のプレート41に取り付けられる。
【0039】
第2ダンパ20の内周端は、支持部材60の外周面に取り付けられる。第2ダンパ20の外周端は、第2ボビン16の内周面に取り付けられる。第2ダンパ20は、第2ボビン16を、第2ボビン16の径方向において内側から支持する。
【0040】
第2ダンパ20の少なくとも一部は、第2ダンパ20の径方向に沿って凹凸が繰り返される蛇腹形状に形成される。蛇腹形状は、第2ダンパ20の周方向に全周にわたり形成される。すなわち、第2ダンパ20には、同心円状の波形が径方向に連続するように形成される。
【0041】
第3ダンパ21は、振動板18よりも後方に設けられる。第3ダンパ21は、第1磁気回路10よりも前方に設けられる。第3ダンパ21は、第1ボイスコイル15を支持する。第3ダンパ21は、第1ボビン14を介して、第1ボイスコイル15を支持する。第3ダンパ21は、円環状に形成される。第3ダンパ21は、第1ボビン14と、第1フレーム12の本体部50との間に設けられる。第3ダンパ21の内周端は、第1ボビン14の外周面に取り付けられる。第3ダンパ21の外周端は、第1フレーム12の本体部50の内周面に取り付けられる。
【0042】
第3ダンパ21の少なくとも一部は、第3ダンパ21の径方向に沿って凹凸が繰り返される蛇腹形状に形成される。蛇腹形状は、第3ダンパ21の周方向に全周にわたり形成される。すなわち、第3ダンパ21には、同心円状の波形が径方向に連続するように形成される。
【0043】
スピーカ装置1では、第1ボイスコイル15に入力音声信号が供給された場合、入力音声信号に対し、第1磁気回路10内における磁束との相互作用によって、第1ボイスコイル15は、放音方向に振動する。第1ボイスコイル15の放音方向への振動によって第1ボビン14が振動する。そして、第1ボビン14の振動が振動板18に伝達されることによって、スピーカ装置1は、振動板18から前方に放音する。
【0044】
なお、スピーカ装置1では、第1ボイスコイル15、および第1ボビン14などの振動系は、第3ダンパ21によって、第1ボビン14の径方向に対してセンタリングされる。また、スピーカ装置1は、第3ダンパ21によって、第1ボイスコイル15、および第1ボビン14に発生する径方向の振動を減衰させる。
【0045】
第1ボイスコイル15の放音方向への振動は、第3ダンパ21、振動板18、および第1フレーム12を介してスピーカ装置1の周囲に部材に伝達される。スピーカ装置1は、第1ボイスコイル15の放音方向への振動が、スピーカ装置1の周囲の部材に伝達されることを抑制するために、第2ボイスコイル17、および第2磁気回路11などを有する。
【0046】
スピーカ装置1は、第1ボイスコイル15の放音方向への振動に応じた振動を第2ボイスコイル17に生じさせる。スピーカ装置1は、例えば、図2に示すように、第1ボイスコイル15が前方側に移動するように振動が発生する場合、第2ボイスコイル17が後方側に移動する振動が発生させるように、入力信号を第2ボイスコイル17に供給する。図2は、スピーカ装置1において、第1ボイスコイル15の振動と、第2ボイスコイル17の振動とによる力の発生の方向の一例を示す図である。
【0047】
すなわち、スピーカ装置1は、第1ボイスコイル15の放音方向への振動による第1磁気回路10などの不要な振動をキャンセルするように、第2ボイスコイル17を振動させる。スピーカ装置1は、第1ボイスコイル15の放音方向への振動とは反対方向の振動が生じるように、第2ボイスコイル17に入力信号を供給する。これにより、第2磁気回路11を介して、第1磁気回路10に、第1ボイスコイル15の放音方向への振動とは反対方向の振動が伝達される。そのため、スピーカ装置1の周囲の部材への振動の伝達が抑制される。
【0048】
スピーカ装置1では、第2ボイスコイル17が巻き回される第2ボビン16は、第1ダンパ19によって第2ボビン16の径方向において外側から支持される。また、第2ボビン16は、第2ダンパ20によって第2ボビン16の径方向において内側から支持される。スピーカ装置1では、第2ボイスコイル17、および第2ボビン16などの振動系は、第1ダンパ19、および第2ダンパ20によってセンタリングされる。また、スピーカ装置1は、第1ダンパ19、および第2ダンパ20によって、第2ボイスコイル17、および第2ボビン16に発生する径方向の振動を減衰させる。
【0049】
実施形態の第2ダンパ20を用いない比較例に係るスピーカ装置200では、例えば、第2ボイスコイル17などをセンタリングするために、図3に示すように、ダンパ200a、200bが前後方向に並べて設けられる。図3は、比較例に係るスピーカ装置200の概略を示す断面図である。
【0050】
しかし、比較例に係るスピーカ装置200は、ダンパ200a、200bが前後方向に並べて設けられるため、前後方向、すなわち放音方向に対する厚さが厚くなる。
【0051】
これに対し、実施形態に係るスピーカ装置1は、第1磁気回路10と、第2磁気回路11と、第1ボイスコイル15と、第2ボイスコイル17と、第1ダンパ19と、第2ダンパ20とを備える。第1磁気回路10は、第1磁気ギャップ33が形成され、放音側に設けられる。第2磁気回路11は、第2磁気ギャップ43が形成され、第1磁気回路10よりも、放音側とは反対方向の背面側に設けられる。第1ボイスコイル15は、第1磁気ギャップ33に配置される。第2ボイスコイル17は、第2磁気ギャップ43に配置される。第1ダンパ19は、第2ボイスコイル17を支持する。第2ダンパ20は、第1ダンパ19よりも、第1ダンパ19の径方向において内側に設けられ、第2ボイスコイル17を支持する。
【0052】
これにより、スピーカ装置1は、第2ボイスコイル17などを第1ダンパ19、および第2ダンパ20によってセンタリングしつつ、放音方向に対するスピーカユニット3の厚さを薄くすることができる。スピーカ装置1は、例えば、厚さが薄い部材、および厚さが薄い装置などへの設置が容易となる。
【0053】
また、スピーカ装置1は、第1ダンパ19よりも内側に第2ダンパ20を設けることによって、キャップ201(図3参照)を用いずに第2ボビン16の内側を塞ぐことができる。
【0054】
スピーカ装置1は、支持部材60(背面側支持部材)を備える。支持部材60は、第2ダンパ20を、第2ダンパ20の径方向において内側から支持する。
【0055】
これにより、スピーカ装置1は、第2ダンパ20の径方向において内側から第2ダンパ20を支持することで、第2ダンパ20の位置を精度よく決めることができる。そのため、スピーカ装置1は、第2ボビン16、および第2ボイスコイル17のセンタリングを正確に行うことができる。また、スピーカ装置1は、第2ボイスコイル17、および第2ボビン16に発生する径方向の振動を第2ボビン16の内側で減衰させることができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るスピーカ装置100は、図4を参照し説明される。図4は、第2実施形態に係るスピーカ装置100の概略を示す断面図である。第2実施形態に係るスピーカ装置100は、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明される。第1実施形態と同様に構成は、第1実施形態と同じ符号が付され、詳しい説明は省略される。
【0057】
振動板101は、第3ダンパ21よりも後方に設けられる。振動板101は、後方から前方にかけて窪むように形成される。
【0058】
スピーカユニット110は、さらに第4ダンパ111を備える。第4ダンパ111は、第1ボイスコイル15を支持する。第4ダンパ111は、第1ボビン14を介して、第1ボイスコイル15を支持する。第4ダンパ111は、第3ダンパ21よりも内側に設けられる。第4ダンパ111は、円環状に形成される。第4ダンパ111は、第1ボビン14と、支持部材112(放音側支持部材)との間に設けられる。支持部材112は、例えば、樹脂部材である。支持部材112は、円柱状である。支持部材112は、第1磁気回路10のプレート31の径方向において中央側に設けられる。支持部材112は、第1磁気回路10のプレート31と同軸上に設けられる。支持部材112は、第1磁気回路10のプレート31に取り付けられる。支持部材112は、支持部材60と同軸上に設けられる。
【0059】
第4ダンパ111の内周端は、支持部材112の外周面に取り付けられる。第4ダンパ111は、径方向に沿って凹凸が繰り返される蛇腹形状に形成される。蛇腹形状は、第4ダンパ111の周方向に全周にわたり形成される。すなわち、第4ダンパ111には、同心円状の波形が径方向に連続するように形成される。
【0060】
スピーカ装置100では、第1ボイスコイル15、および第1ボビン14などの振動系は、第3ダンパ21、および第4ダンパ111によって第1ボビン14の径方向においてセンタリングされる。また、スピーカ装置100は、第1ボイスコイル15、および第1ボビン14に発生する径方向の振動を、第3ダンパ21、および第4ダンパ111によって、減衰させる。
【0061】
スピーカ装置100では、第1ボイスコイル15の放音方向への振動が、第4ダンパ111、支持部材112を介して第1磁気回路10に伝達される。また、スピーカ装置1では、第2ボイスコイル17の放音方向への振動が、第2ダンパ20、および支持部材60を介して第2磁気回路11に伝達される。
【0062】
そのため、スピーカ装置100は、放音をする場合に発生する不要な振動を、第2磁気回路11に伝達される振動によって低減することができる。
【0063】
スピーカ装置100は、第3ダンパ21と、第4ダンパ111とを備える。第3ダンパ21は、第1ボイスコイル15を支持する。第4ダンパ111は、第1ボイスコイル15よりも、第3ダンパ21の径方向において内側に設けられ、第1ボイスコイル15を支持する。
【0064】
これにより、スピーカ装置100は、第1ボイスコイル15などを第3ダンパ21、および第4ダンパ111によってセンタリングしつつ、放音方向に対するスピーカ装置100の厚さを薄くすることができる。
【0065】
スピーカ装置100は、支持部材112(放音側支持部材)を備える。支持部材112は、第4ダンパ111を、第4ダンパ111の径方向において内側から支持する。
【0066】
これにより、スピーカ装置100は、第4ダンパ111の径方向における内側から第4ダンパ111を支持することで、第4ダンパ111の位置を精度よく決めることができる。そのため、スピーカ装置100は、第1ボビン14、および第1ボイスコイル15のセンタリングを正確に行うことができる。また、スピーカ装置100は、第1ボイスコイル15、および第1ボビン14に発生する径方向の振動を第1ボビン14の内側で減衰させることができる。
【0067】
第2実施形態における変形例に係るスピーカ装置100は、各支持部材60、112を一体的に設けてもよい。例えば、変形例に係るスピーカ装置100は、図5に示すように、1つの支持部材120として設けてもよい。図5は、変形例に係るスピーカ装置100の概略を示す断面図である。変形例に係るスピーカ装置100は、1つの支持部材120が、第1磁気回路10、および第2磁気回路11を貫通するように設けられる。支持部材120は、第1磁気回路10、および第2磁気回路11に取り付けられる。なお、変形例に係るスピーカ装置100において、2つの支持部材60、112は、端部が接合されてもよい。
【0068】
これにより、変形例に係るスピーカ装置100では、放音方向における第1ボビン14、および第1ボイスコイル15の振動と、放音方向における第2ボビン16、および第2ボイスコイル17の振動とが、一体的に設けられた支持部材120に伝達される。そのため、変形例に係るスピーカ装置100は、放音方向における第1ボビン14、および第1ボイスコイル15の不要な振動を、支持部材120を介して伝達される第2ボビン16、および第2ボイスコイル17の振動によって低減することができる。
【0069】
また、変形例に係るスピーカ装置1、100では、第2ダンパ20は、円形であってもよい。例えば、第2ダンパ20は、第2ダンパ20の中心側、すなわち径方向の中央付近を平板状に形成される。そして、第2ダンパ20の平板状の中央付近が、支持部材60、112に取り付けられる。なお、変形例に係るスピーカ装置100において、第4ダンパ111は同様に円形であってもよい。
【0070】
また、変形例に係るスピーカ装置1、100では、第2ダンパ20の内周端は、第2磁気回路11のプレート41の外周面に取り付けられてもよい。すなわち、第2ダンパ20は、第2磁気回路11のプレート41と、第2ボイスコイル17との間に設けられてもよい。
【0071】
また、変形例に係るスピーカ装置1、100では、第1磁気回路のマグネットの着磁方向と、第2磁気回路のマグネットの着磁方向とを反対方向としてもよい。これにより、変形例にスピーカ装置1、100は、放音方向における第1ボイスコイル15の振動と、反対方向の振動を第2ボイスコイル17に発生させて、放音方向における振動を低減することができる。
【0072】
上記実施形態、および変形例に係るスピーカ装置1、100では、内磁型のスピーカ装置について、説明したが、外磁型のスピーカ装置であってもよい。
【0073】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1、100 スピーカ装置
2 スピーカボックス
3 スピーカユニット
10 第1磁気回路
11 第2磁気回路
12 第1フレーム
13 第2フレーム
14 第1ボビン
15 第1ボイスコイル
16 第2ボビン
17 第2ボイスコイル
18 振動板
19 第1ダンパ
20 第2ダンパ
21 第3ダンパ
33 第1磁気ギャップ
43 第2磁気ギャップ
60 支持部材(背面側支持部材)
111 第4ダンパ
112 支持部材(放音側支持部材)
120 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5