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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102603
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/02 20060101AFI20230718BHJP
   G10K 11/16 20060101ALN20230718BHJP
【FI】
H04R9/02 102B
G10K11/16 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003190
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅垣 力
【テーマコード(参考)】
5D012
5D061
【Fターム(参考)】
5D012BB05
5D061GG10
(57)【要約】
【課題】振動を抑制しつつ、厚さを薄くできるスピーカ装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係るスピーカ装置は、磁気回路と、第1ボイスコイルと、第2ボイスコイルとを備える。磁気回路は、第1磁気ギャップ、および第2磁気ギャップが径方向に配置される。第1ボイスコイルは、第1磁気ギャップに配置される。第2ボイスコイルは、第2磁気ギャップに配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁気ギャップ、および第2磁気ギャップが径方向に配置される磁気回路と、
前記第1磁気ギャップに配置される第1ボイスコイルと、
前記第2磁気ギャップに配置される第2ボイスコイルと
を備える、スピーカ装置。
【請求項2】
前記磁気回路は、
前記第1磁気ギャップが形成される第1磁気回路と、
前記第2磁気ギャップか形成される第2磁気回路とを含み、
前記第1磁気回路、および前記第2磁気回路は、共通のヨークを含む、
前記ヨークは、前記第1磁気ギャップ、および前記第2磁気ギャップを形成する筒部を備える、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記第1ボイスコイルを支持する第1ダンパと、
前記第2ボイスコイルを支持する第2ダンパと、
前記第1ダンパの外周端、および前記第2ダンパの外周端が取り付けられるフレームと
を備える、請求項1または2に記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記磁気回路は、
前記第1磁気ギャップが形成される第1磁気回路と、
前記第2磁気ギャップか形成される第2磁気回路とを含み、
前記第1磁気回路、および前記第2磁気回路は、共通のマグネットを含み、
前記マグネットは、筒状であり、前記第1磁気ギャップ、および前記第2磁気ギャップを形成する、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項5】
前記第1ボイスコイルは、放音に用いられるボイスコイルであり、
前記第2ボイスコイルは、振動低減に用いられるボイスコイルであり、
前記第2磁気ギャップは、前記径方向において前記第1磁気ギャップよりも内側に設けられ、かつ放音方向とは反対側の背面側に開口する、請求項4に記載のスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放音する場合に発生する振動を抑制する機構を有するスピーカ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-152884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、振動を抑制するための機構がスピーカ装置に設けられる場合、スピーカ装置の放音方向に対する厚さが厚くなるがおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって振動を抑制しつつ、放音方向に対する厚さを薄くできるスピーカ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係るスピーカ装置は、磁気回路と、第1ボイスコイルと、第2ボイスコイルとを備える。磁気回路は、第1磁気ギャップ、および第2磁気ギャップが径方向に配置される。第1ボイスコイルは、第1磁気ギャップに配置される。第2ボイスコイルは、第2磁気ギャップに配置される。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、振動を抑制しつつ、放音方向に対する厚さを薄くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るスピーカ装置の概略を示す断面図である。
図2図2は、スピーカ装置において、第1ボイスコイルの振動と、第2ボイスコイルの振動とによる力の発生の方向の一例を示す図である。
図3図3は、比較例に係るスピーカ装置の概略を示す断面図である。
図4図4は、第2実施形態に係るスピーカ装置の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、スピーカ装置を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るスピーカ装置1は、図1を参照し説明される。図1は、第1実施形態に係るスピーカ装置1の概略を示す断面図である。
【0011】
以下では、スピーカ装置1から放音される放音側が前方として説明される。また、放音側とは反対方向の背面側が後方として説明される。
【0012】
スピーカ装置1は、スピーカボックス2と、スピーカユニット3とを備える。スピーカボックス2は、スピーカユニット3を支持する。スピーカボックス2には、スピーカユニット3の一部が収容される。スピーカボックス2は、前方側が開口される。スピーカボックス2は、スピーカユニット3の側方、および後方を覆うように設けられる。スピーカボックス2は、スピーカユニット3の背面側における圧力変動が、スピーカ装置1の周囲に設けられた他の部材に伝達することを抑制する。
【0013】
スピーカユニット3は、磁気回路10と、フレーム11と、第1ボビン12と、第1ボイスコイル13と、第2ボビン14と、第2ボイスコイル15と、振動板16と、第1ダンパ17と、第2ダンパ18とを備える。
【0014】
磁気回路10は、第1磁気回路20と、第2磁気回路30とを含む。第1磁気回路20は、マグネット21と、プレート22と、ヨーク23とを備える。
【0015】
マグネット21は、円柱状に形成される。プレート22は、円柱状に形成される。プレート22は、マグネット21の前方に設けられる。プレート22の後端面は、マグネット21の前端面に接合される。
【0016】
ヨーク23は、底板部23aと、ポール部23b(円筒部)と、フランジ部23cとを備える。底板部23aは、円形に形成される。底板部23aは、前方に向けて突出する突出部23dを備える。突出部23dは、円柱状に形成される。突出部23dは、底板部23aの径方向において底板部32aの中央に設けられる。突出部32dは、マグネット21の後方に設けられる。突出部32dの前端面は、マグネット21の後端面に接合される。
【0017】
マグネット21は、ヨーク23の突出部23dと、プレート22とに挟まれて、ヨーク23の突出部23d、およびプレート22に固定される。第1磁気回路20では、マグネット21、プレート22、およびヨーク23は、同軸上に設けられる。
【0018】
ポール部23bは、底板部32aから前方に突出するように形成される。ポール部23bは、筒状に形成される。ポール部23bの内径は、マグネット21、プレート22、および突出部32dの各外径よりも大きい。
【0019】
フランジ部23cは、ポール部23bの後端側から、ヨーク23の径方向において外側に突出する。フランジ部23cは、ポール部23bの周囲に、円環状に形成される。
【0020】
第1磁気回路20では、第1磁気回路20の径方向において、プレート22、マグネット21、およびヨーク23の突出部32cと、ヨーク23のポール部23bとの間に第1磁気ギャップ24が形成される。第1磁気ギャップ24は、円環状に形成される。第1磁気ギャップ24は、前端が開口するように形成される。
【0021】
第1磁気回路20は、マグネット21がポール部23bよりも内側に設けられる内磁型の磁気回路である。
【0022】
第2磁気回路30は、磁気回路10の径方向において、第1磁気回路20よりも外側に設けられる。第2磁気回路30は、マグネット31と、プレート32と、ヨーク23とを備える。第1磁気回路20、および第2磁気回路30は、共通のヨーク23を含む。
【0023】
マグネット31は、円環状に形成される。マグネット31は、磁気回路10の径方向において、ヨーク23のポール部23bよりも外側に設けられる。マグネット31は、ヨーク23のフランジ部23cの前方に設けられる。マグネット31の後端面は、ヨーク23のフランジ部23cの前端面に接合される。
【0024】
プレート32は、円環状に形成される。プレート32は、マグネット31の前方に設けられる。プレート32の後端面は、マグネット31の前端面に接合される。
【0025】
第2磁気回路30では、磁気回路10の径方向において、ヨーク23のポール部23bと、マグネット31、およびプレート32との間に第2磁気ギャップ34が形成される。第2磁気ギャップ34は、磁気回路10の径方向において、第1磁気ギャップ24よりも外側に形成される。第2磁気ギャップ34は、円環状に形成される。第2磁気ギャップ34は、前端が開口するように形成される。磁気回路10では、第1磁気ギャップ24、および第2磁気ギャップ34が、磁気回路10の径方向に配置される。具体的には、第1磁気ギャップ24、および第2磁気ギャップ34が、磁気回路10の径方向に沿って内側から外側に並んで配置される。
【0026】
第2磁気回路30は、マグネット31がポール部23bよりも外側に設けられる外磁型の磁気回路である。
【0027】
フレーム11は、本体部50と、取付部51とを備える。本体部50は、椀状に形成される。本体部50は、前方から後方となるにつれて、内径が小さくなるように形成される。本体部50の後端には、孔50aが形成される。孔50aの周囲には、第2磁気回路30のプレート32が固定される。具体的には、本体部50の後端に、プレート32の前端が取り付けられ、固定される。フレーム11は、磁気回路10を支持する。
【0028】
取付部51は、本体部50の外周面から、本体部50の径方向外側に突出するように形成される。取付部51は、スピーカボックス2に取り付けられる。すなわち、スピーカユニット3は、取付部51を介してスピーカボックス2に取り付けられる。
【0029】
第1ボビン12は、円筒状に形成される。第1ボビン12の一部は、第1磁気回路20に形成される第1磁気ギャップ24に挿入される。
【0030】
第1ボイスコイル13は、第1磁気ギャップ24に配置される。第1ボイスコイル13は、第1ボビン12の外周面に巻き回される。すなわち、第1ボイスコイル13は、筒状に形成される。第1ボイスコイル13には、接続端子などを介して外部から音声入力信号が供給される。第1ボイスコイル13は、放音に用いられるボイスコイルである。
【0031】
第2ボビン14は、円筒状に形成される。第2ボビン14の一部は、第2磁気回路30に形成される第2磁気ギャップ34に挿入される。
【0032】
第2ボイスコイル15は、第2磁気ギャップ34に配置される。第2ボイスコイル15は、第2ボビン14の外周面に巻き回される。すなわち、第2ボイスコイル15は、筒状に形成される。第2ボイスコイル15には、音声入力信号に対応する入力信号が供給される。入力信号は、音声入力信号によって発生する不要な振動をキャンセルする振動を発生させる信号である。入力信号は、音声入力信号によって発生する不要な振動を低減する振動を発生させる信号を含む。第2ボイスコイル15は、振動低減に用いられるボイスコイルである。
【0033】
振動板16は、フレーム11の前端側に設けられる。振動板16は、コーン状に形成される。振動板16は、前方から後方にかけて窪むように形成される。すなわち、振動板16は、前方から後方にかけて縮径するように形成される。振動板16は、エッジ16aを介してフレーム11の本体部50に取り付けられる。エッジ16aは、円環状に形成される。エッジ16aは、振動板16の外周端とフレーム11の本体部50との間に設けられる。
【0034】
振動板16の後端には、孔16bが形成される。孔16bは、振動板16の径方向の中央に形成される。孔16bには、第1ボビン12が挿入される。振動板16は、第1ボビン12に取り付けられる。振動板16の内周端は、第1ボビン12に取り付けられる。振動板16の外周端は、エッジ16aを介してフレーム11に取り付けられる。
【0035】
第1ダンパ17は、振動板16よりも後方に設けられる。第1ダンパ17は、磁気回路10よりも前方に設けられる。第1ダンパ17は、第1ボイスコイル13を支持する。第1ダンパ17は、第1ボビン12を介して、第1ボイスコイル13を支持する。第1ダンパ17は、円環状に形成される。第1ダンパ17は、第1ボビン12と、フレーム11の本体部50との間に設けられる。第1ダンパ17の内周端は、第1ボビン12の外周面に取り付けられる。第1ダンパ17の外周端は、フレーム11の本体部50の内周面に取り付けられる。
【0036】
第1ダンパ17の少なくとも一部は、第1ダンパ17の径方向に沿って凹凸が繰り返される蛇腹形状に形成される。蛇腹形状は、第1ダンパ17の周方向に全周にわたり形成される。すなわち、第1ダンパ17には、同心円状の波形が径方向に連続するように形成される。
【0037】
第2ダンパ18は、第1ダンパ17よりも後方に設けられる。第2ダンパ18は、磁気回路10よりも前方に設けられる。第2ダンパ18は、第2ボイスコイル15を支持する。第2ダンパ18は、第2ボビン14を介して第2ボイスコイル15を支持する。第2ダンパ18は、円環状に形成される。第2ダンパ18は、第2ボビン14と、フレーム11の本体部50との間に設けられる。第2ダンパ18の内周端は、第2ボビン14の外周面に取り付けられる。第2ダンパ18の外周端は、フレーム11の本体部50の内周面に取り付けられる。
【0038】
スピーカ装置1では、第1ボイスコイル13に入力音声信号が供給された場合、入力音声信号に対し、第1磁気回路20内における磁束との相互作用によって、第1ボイスコイル13は、放音方向に振動する。第1ボイスコイル13の放音方向への振動によって第1ボビン12が振動する。そして、第1ボビン12の振動が振動板16に伝達されることによって、スピーカ装置1は、振動板16から前方に放音する。
【0039】
第1ボイスコイル13の放音方向への振動は、第1ダンパ17、振動板16、およびフレーム11を介してスピーカ装置1の周囲に部材に伝達される。スピーカ装置1は、第1ボイスコイル13の放音方向への振動が、スピーカ装置1の周囲の部材に伝達されることを抑制すために、第2ボイスコイル15、および第2磁気回路30などを有する。
【0040】
スピーカ装置1は、第1ボイスコイル13の放音方向への振動に応じた振動を第2ボイスコイル15に生じさせる。スピーカ装置1は、例えば、図2に示すように、第1ボイスコイル13が前方側に移動するように振動が発生する場合、第2ボイスコイル15が後方側に移動する振動が発生させるように、入力信号を第2ボイスコイル15に供給する。図2は、スピーカ装置1において、第1ボイスコイル13の振動と、第2ボイスコイル15の振動とによる力の発生の方向の一例を示す図である。
【0041】
すなわち、スピーカ装置1は、第1ボイスコイル13の放音方向への振動によるフレーム11の不要な振動をキャンセルするように、第2ボイスコイル15を振動させる。スピーカ装置1は、第1ボイスコイル13の放音方向への振動とは反対方向の振動が生じるように、第2ボイスコイル15に入力信号を供給する。これにより、フレーム11の不要な振動が低減され、スピーカ装置1の周囲の部材への振動の伝達が抑制される。
【0042】
なお、スピーカ装置1では、第1ボイスコイル13、および第1ボビン12などの振動系は、第1ダンパ17によって、第1ボビン12の径方向に対してセンタリングされる。また、スピーカ装置1は、第1ダンパ17によって、第1ボイスコイル13、および第1ボビン12に発生する径方向の振動を減衰させる。
【0043】
また、スピーカ装置1では、第2ボイスコイル15、および第2ボビン14などの振動系は、第2ダンパ18によって、第2ボビン14の径方向に対してセンタリングされる。また、スピーカ装置1は、第2ダンパ18によって、第2ボイスコイル15、および第2ボビン14に発生する径方向の振動を減衰させる。
【0044】
なお、スピーカ装置1では、マグネット31の着磁、マグネット31の幅、第1磁気ギャップ24の幅、および第2磁気ギャップ34の幅などが設定される。これにより、スピーカ装置1は、共通のマグネット31を用いて、第1ボイスコイル13、および第2ボイスコイル15を振動させることができる。
【0045】
実施形態の第2ダンパ18を用いない比較例に係るスピーカ装置200では、例えば、第1磁気回路201と、第2磁気回路202とが前後方向に並べて設けられる。図3は、比較例に係るスピーカ装置200の概略を示す断面図である。
【0046】
しかし、比較例に係るスピーカ装置200は、第1磁気回路20、および第2磁気回路30が前後方向に並べて設けられるため、前後方向、すなわち放音方向に対する厚さが厚くなる。
【0047】
これに対し、スピーカ装置1は、磁気回路10と、第1ボイスコイル13と、第2ボイスコイル15とを備える。磁気回路10は、第1磁気ギャップ24、および第2磁気ギャップ34が径方向に配置される。第1ボイスコイル13は、第1磁気ギャップ24に配置される。第2ボイスコイル15は、第2磁気ギャップ34に配置される。
【0048】
これにより、スピーカ装置1は、厚さを薄くすることができる。例えば、スピーカ装置1は、放音方向における振動を抑制する機構を有する場合であっても、放音方向に対する厚さを薄くすることができる。すなわち、スピーカ装置1は、振動を抑制しつつ、放音方向に対する厚さを薄くすることができる。スピーカ装置1は、例えば、厚さが薄い部材、および厚さが薄い装置などへの設置が容易となる。
【0049】
磁気回路10は、第1磁気回路20と、第2磁気回路30とを含む。第1磁気回路20、および第2磁気回路30は、共通のヨーク23を含む。ヨーク23は、第1磁気ギャップ24、および第2磁気ギャップ34を形成するポール部23b(筒部)を備える。
【0050】
これにより、スピーカ装置1は、第1磁気回路20、および第2磁気回路30を含む磁気回路10の径方向における長さを抑制することができる。また、第1磁気回路20、および第2磁気回路30において、ヨーク23が共通の部品として用いられることで、スピーカ装置1は、磁気回路10の部品点数を削減しつつ、振動を抑制し、かつ、放音方向に対する厚さを薄くすることができる。
【0051】
スピーカ装置1は、第1ダンパ17と、第2ダンパ18と、フレーム11とを備える。第1ダンパ17は、第1ボイスコイル13を支持する。第2ダンパ18は、第2ボイスコイル15を支持する。フレーム11には、第1ダンパ17の外周端、および第2ダンパ18の外周端が取り付けられる。
【0052】
これにより、スピーカ装置1は、第1ボイスコイル13における振動を、第1ダンパ17を介してフレーム11に伝達する。また、スピーカ装置1は、第2ボイスコイル15における振動を、第2ダンパ18を介してフレーム11に伝達する。例えば、第1ボイスコイル13による不要な振動を、第2ボイスコイル15によって発生する振動によって低減する場合、スピーカ装置1は、第1ボイスコイル13による振動が伝達されるフレーム11に、第2ボイスコイル15による振動を伝達する。スピーカ装置1は、各振動を同じフレーム11に伝達することによって、不要な振動を低減することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るスピーカ装置100は、図4を参照し説明される。図4は、第2実施形態に係るスピーカ装置100の概略を示す断面図である。第2実施形態に係るスピーカ装置100は、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明される。第1実施形態と同様に構成は、第1実施形態と同じ符号が付され、詳しい説明は省略される。
【0054】
磁気回路101は、第1磁気回路110と、第2磁気回路120とを含む。第1磁気回路110は、第1部材111と、マグネット112と、第2部材113とを備える。
【0055】
第1部材111は、金属の部材である。第1部材111は、第1磁気回路110の径方向において、磁気回路101の中央に設けられる。第1部材111は、板部111aと、突出部111bとを備える。板部111aは、円形に形成される。突出部111bは、第1磁気回路110の径方向の中央から後方に向けて突出する。突出部111bは、円柱状である。第1部材111の板部111aは、第1磁気回路110においてプレートとして機能する。
【0056】
マグネット112は、円筒状である。マグネット112は、第1部材111の板部111aの後方に設けられる。マグネット112の前端面は、第1部材111の板部111aの後端面に接合される。マグネット112は、第1磁気回路110の径方向において、第1部材111の突出部111bよりも外側に設けられる。
【0057】
第2部材113は、金属の部材である。第2部材113は、第1磁気回路20の径方向において、第1部材111の突出部111bよりも外側に設けられる。第2部材113は、板部113aと、突出部113bとを備える。板部113aは、円環状に形成される。板部113aは、マグネット112の後方に設けられる。板部113aの前端面は、マグネット112の後端面に接合される。具体的には、板部113aでは、第1磁気回路110の径方向において内側の前端面が、マグネット112の後端面に接合される。
【0058】
突出部113bは、板部113aから前方に向けて突出する。突出部113bは、円筒状に形成される。突出部113bは、第1磁気回路110の径方向において、マグネット112、および第1部材111の板部111aよりも外側に設けられる。第2部材113の突出部113bは、第1磁気回路110においてポール部として機能する。突出部113bの前端面は、フレーム11の後端面に接合される。第1磁気回路110は、フレーム11に支持される。
【0059】
第1磁気回路110では、第1磁気回路110の径方向において、第1部材111の板部111a、およびマグネット112と、第2部材113の突出部113bとの間に第1磁気ギャップ114が形成される。第1磁気ギャップ114は、円環状に形成される。第1磁気ギャップ114は、前端が開口するように形成される。第1磁気回路110は、内磁型の磁気回路である。
【0060】
第1磁気回路110では、第1部材111、マグネット112、および第2部材113が同軸上に設けられる。
【0061】
第2磁気回路120は、第1部材111と、マグネット112と、第2部材113とを備える。すなわち、磁気回路101において、第1磁気回路110と、第2磁気回路120とは、共通の部材が用いられる。
【0062】
第2部材113の板部113aは、第2磁気回路120においてプレートとして機能する。第1部材111の突出部111bは、第2磁気回路120においてポール部として機能する。第2磁気回路120では、第1部材111の突出部111bと、マグネット112、および第2部材113の板部113aとの間に第2磁気ギャップ121が形成される。第2磁気ギャップ121は、円環状に形成される。第2磁気ギャップ121、後端が開口するように形成される。第2磁気回路120は、外磁型の磁気回路である。
【0063】
磁気回路101では、第1磁気ギャップ114が、磁気回路101の径方向において、第2磁気ギャップ121よりも外側に形成される。
【0064】
第2ボビン130は、後方側から第2磁気ギャップ121に挿入される。第2ボビン130の後端には、キャップ131が設けられる。キャップ131は、第2ボビン130の後端を閉塞する。第2ボビン130の外周面には、第2ボイスコイル132が巻き回される。
【0065】
第2ダンパ133は、磁気回路101よりも後方に設けられる。第2ダンパ133は、第2ボビン130と、支持部材134との間に設けられる。
【0066】
支持部材134は、第2部材113の板部113aの後方に設けられる。支持部材134は、第2部材113の板部113aに取り付けられる。支持部材134は、円環状に形成される。
【0067】
第2ダンパ133の内周端は、第2ボビン130の外周面に取り付けられる。第2ダンパ133の外周端は、支持部材134の内周面に取り付けられる。
【0068】
スピーカ装置100では、第2ダンパ133による振動が、第2部材113を介してフレーム11に伝達される。そして、フレーム11の不要な振動が低減され、スピーカ装置100の周囲に部材への振動の伝達が抑制される。
【0069】
磁気回路101は、第1磁気回路110と、第2磁気回路120とを含む。第1磁気回路110、および第2磁気回路120は、共通のマグネット112を含む。マグネット112は、筒状であり、第1磁気ギャップ114、および第2磁気ギャップ121を形成する。
【0070】
これにより、スピーカ装置100は、第1磁気回路110、および第2磁気回路120を含む磁気回路101の径方向における長さを抑制することができる。また、第1磁気回路110、および第2磁気回路120において、マグネット112を共通の部品として用いることで、スピーカ装置1は、磁気回路10の部品点数を削減しつつ、振動を抑制し、かつ、放音方向に対する厚さを薄くすることができる。
【0071】
第1ボイスコイル13は、放音に用いられるボイスコイルである。第2ボイスコイル15は、振動低減に用いられるボイスコイルである。第2磁気ギャップ34は、磁気回路10の径方向において第1磁気ギャップ24よりも内側に設けられ、かつ放音方向とは反対側の背面側に開口する。
【0072】
これにより、スピーカ装置100は、磁気回路10の径方向における長さを抑制することができる。放音方向における振動を抑制するために、第2磁気回路120が設けられた場合、スピーカ装置100は、第1磁気回路20よりも内側に第2磁気回路120を設けることによって、磁気回路10の径方向における長さが長くなることを抑制することができる。
【0073】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1、100 スピーカ装置
2 スピーカボックス
3 スピーカユニット
10、101 磁気回路
11 フレーム
12 第1ボビン
13 第1ボイスコイル
14 第2ボビン
15、132 第2ボイスコイル
16 振動板
17 第1ダンパ
18、133 第2ダンパ
20、110 第1磁気回路
21 マグネット
22 プレート
23 ヨーク
24 第1磁気ギャップ
30、120 第2磁気回路
31 マグネット
34 第2磁気ギャップ
111 第1部材
112 マグネット
113 第2部材
図1
図2
図3
図4