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特開2023-102605作業機械の遠隔操作システム及び作業機械の遠隔操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102605
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】作業機械の遠隔操作システム及び作業機械の遠隔操作方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230718BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20230718BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
E02F9/20 N
G05D1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003194
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】逢澤 正憲
【テーマコード(参考)】
2D003
5H301
5K048
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA04
2D003BA06
2D003BA07
2D003DB04
5H301AA03
5H301BB02
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG09
5K048AA04
5K048AA05
5K048BA21
5K048BA48
5K048EB02
5K048EB15
5K048FB05
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】作業機械の遠隔操作システムにおいて作業機械の急激な動作を抑制すること。
【解決手段】作業機械の遠隔操作システムは、作業機械を遠隔操作する操作信号を生成する遠隔操作装置と、操作信号に基づいて操作指令を送信する操作指令送信部と、作業機械と遠隔操作装置との通信が確立したときの作業機械の動作速度を示す第1動作速度が、遠隔操作装置の操作量に予め対応付けられた所定の動作速度を示す第2動作速度よりも遅くなるように、作業機械を制御する動作制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械を遠隔操作する操作信号を生成する遠隔操作装置と、
前記操作信号に基づいて操作指令を送信する操作指令送信部と、
前記作業機械と前記遠隔操作装置との通信が確立したときの前記作業機械の動作速度を示す第1動作速度が、前記遠隔操作装置の操作量に予め対応付けられた所定の動作速度を示す第2動作速度よりも遅くなるように、前記作業機械を制御する動作制御部と、を備える、
作業機械の遠隔操作システム。
【請求項2】
前記動作制御部は、解除信号に基づいて、前記作業機械の動作速度を前記第1動作速度から前記第2動作速度に切り換える、
請求項1に記載の作業機械の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記動作制御部は、前記通信が確立した時点から所定期間が経過した後に、前記作業機械の動作速度を前記第1動作速度から前記第2動作速度に切り換える、
請求項1に記載の作業機械の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記動作制御部は、前記所定期間が経過する前においても、解除信号に基づいて、前記作業機械の動作速度を前記第1動作速度から前記第2動作速度に切り換える、
請求項3に記載の作業機械の遠隔操作システム。
【請求項5】
作業機械を遠隔操作する操作信号を生成することと、
前記操作信号に基づいて操作指令を送信することと、
前記作業機械と遠隔操作装置との通信が確立したときの前記作業機械の動作速度を示す第1動作速度が、前記遠隔操作装置の操作量に予め対応付けられた所定の動作速度を示す第2動作速度よりも遅くなるように、前記作業機械を制御することと、を含む、
作業機械の遠隔操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の遠隔操作システム及び作業機械の遠隔操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような作業機械の遠隔操作システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-136462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔操作に慣れていない操作者が作業機械を遠隔操作した場合、作業機械が予期せぬ動作をする可能性がある。例えば、操作者が遠隔操作装置を急激に操作してしまった場合、作業機械が急激に動作してしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、作業機械の遠隔操作システムにおいて作業機械の急激な動作を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、作業機械を遠隔操作する操作信号を生成する遠隔操作装置と、操作信号に基づいて操作指令を送信する操作指令送信部と、作業機械と遠隔操作装置との通信が確立したときの作業機械の動作速度を示す第1動作速度が、遠隔操作装置の操作量に予め対応付けられた所定の動作速度を示す第2動作速度よりも遅くなるように、作業機械を制御する動作制御部と、を備える、作業機械の遠隔操作システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業機械の遠隔操作システムにおいて作業機械の急激な動作が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る作業機械の遠隔操作システムを模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る作業機械を模式的に示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る遠隔操作システムを示すブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係る遠隔操作方法を示すフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係るインジケータの表示例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
図10図10は、第2実施形態に係る遠隔操作システムを示すブロック図である。
図11図11は、第3実施形態に係る遠隔操作システムの一部を示すブロック図である。
図12図12は、第3実施形態に係る変換テーブルを模式的に示す図である。
図13図13は、第3実施形態に係る旋回体の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
図14図14は、第3実施形態に係る作業機の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
図15図15は、第3実施形態に係る走行体の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
図16図16は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0011】
<遠隔操作システムの概要>
図1は、本実施形態に係る作業機械2の遠隔操作システム1を模式的に示す図である。
【0012】
遠隔操作システム1は、作業現場3で稼動する作業機械2を遠隔操作する。本実施形態において、作業機械2は、油圧ショベルであることとする。
【0013】
遠隔操作システム1は、操作指令送信機5(第1操作装置)と、中継コントローラ6と、情報端末8と、遠隔操作装置9(第2操作装置)とを備える。
【0014】
操作指令送信機5及び中継コントローラ6のそれぞれは、作業機械2が稼働する作業現場3に配置される。作業現場3に中継室7が設置される。操作指令送信機5及び中継コントローラ6は、中継室7に配置される。
【0015】
情報端末8及び遠隔操作装置9のそれぞれは、作業現場3の遠隔地に配置される。作業現場3の遠隔地に遠隔操作室4が設置される。情報端末8及び遠隔操作装置9のそれぞれは、遠隔操作室4に配置される。
【0016】
操作指令送信機5は、第1通信システム11を介して作業機械2に第1操作指令を送信する。第1操作指令は、作業機械2を操作する操作指令である。
【0017】
第1通信システム11は、第1通信方式(第1通信プロトコル)で作業機械2に第1操作指令を送信する。操作指令送信機5は、無線で作業機械2に第1操作指令を送信する。第1通信システム11は、例えば電波により第1操作指令を送信する。本実施形態において、第1通信方式は、ラジコン方式である。操作指令送信機5は、ラジコン送信機である。作業機械2は、操作指令送信機5によりラジコン操作される。本実施形態において、ラジコン操作は、例えば操作者が作業機械2を目視できる位置から実施される操作を含む。操作指令送信機5は、操作者が作業機械2を目視できる位置に配置される。
【0018】
第1通信システム11について開設される無線局は、例えば免許及び登録を要しない無線局である。第1通信システム11を使用する場合、無線従事者資格は不要である。第1通信システム11について開設される無線局は、電波の周波数帯が73MHz帯等のラジコン用微弱無線局でもよいし、電波の周波数帯が920MHz帯の920MHz帯テレメータ用・テレコントロール用特定小電力無線局でもよいし、電波の周波数帯が2.4GHz帯の2.4GHz帯小電力データ通信システムでもよい。
【0019】
中継コントローラ6は、中継室7に配置されるコンピュータシステムを含む。
【0020】
情報端末8は、遠隔操作室4に配置されるコンピュータシステムを含む。情報端末8として、パーソナルコンピュータが例示される。情報端末8は、遠隔コントローラ20と、表示装置21とを含む。
【0021】
遠隔操作装置9は、作業機械2を遠隔操作する操作信号を生成する。遠隔操作装置9において生成された操作信号は、遠隔コントローラ20に出力される。遠隔コントローラ20は、遠隔操作装置9からの操作信号に基づいて、第2操作指令を生成する。遠隔コントローラ20は、第2通信システム12を介して操作指令送信機5に第2操作指令を出力する。本実施形態において、遠隔コントローラ20は、第2通信システム12を介して操作指令送信機5に第2操作指令を送信する。第2操作指令は、操作指令送信機5を操作する操作指令である。
【0022】
第2通信システム12は、第1通信方式とは異なる第2通信方式(第2通信プロトコル)で操作指令送信機5に第2操作指令を送信する。第2通信システム12は、電気通信回線により第2操作指令を送信する。遠隔操作装置9として、ゲームパッドが例示される。遠隔操作装置9は、遠隔操作室4において操作者10に操作される。本実施形態において、遠隔操作は、例えば操作者が作業機械2を目視できない位置から実施される操作を含む。
【0023】
第2通信システム12は、公衆通信回線を含んでもよいし特定通信回線を含んでもよい。第2通信システム12として、インターネット(internet)が例示される。なお、第2通信システム12が、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network)、携帯電話通信網、又は衛星通信網を含んでもよい。本実施形態において、第2通信方式は、インターネット方式である。
【0024】
操作指令送信機5は、遠隔操作装置9からの第2操作指令に基づいて第1操作指令を送信する。作業機械2は、操作指令送信機5からの第1操作指令に基づいて動作する。
【0025】
<作業機械>
図2は、本実施形態に係る作業機械2を模式的に示す図である。
【0026】
作業機械2は、旋回体13と、走行体14と、作業機15と、撮像装置16と、車載表示装置17と、操作指令受信機18と、車載コントローラ19と、傾斜センサ31とを有する。
【0027】
旋回体13は、走行体14に支持された状態で旋回する。旋回体13は、旋回軸を中心に旋回する。走行体14は、履帯を含む。
【0028】
作業機15は、ブーム15Aと、アーム15Bと、バケット15Cとを含む。ブーム15A、アーム15B、及びバケット15Cのそれぞれは、回動軸を中心に動作する。
【0029】
本実施形態において、作業機械2の上下方向とは、旋回体13の旋回軸が延びる方向をいう。作業機械2の左右方向とは、作業機15の回動軸が延びる方向をいう。旋回軸は、旋回体13の上下方向に延伸する。作業機15の回動軸は、旋回体13の左右方向に延伸する。
【0030】
撮像装置16は、作業機械2に搭載される。撮像装置16は、例えば旋回体13に設けられた運転席に配置される。撮像装置16は、旋回体13の前方を撮像する第1カメラ16Aと、車載表示装置17を撮像する第2カメラ16Bとを含む。旋回体13の前方は、作業現場3を含む。第1カメラ16Aは、作業現場3を撮像する。
【0031】
なお、1つのカメラで作業現場3と車載表示装置17との両方が撮像されてもよい。
【0032】
車載表示装置17は、作業機械2の周囲の状況を表示する。作業機械2は、周辺監視システムを有する。車載表示装置17には、作業機械2の周辺の俯瞰画像と、例えば作業機械2の後方を示す単カメラ画像と、作業機械2からの距離を示す目安線とが表示される。なお、単カメラ画像は、作業機械2の前方、左方、及び右方の少なくとも一つを示す画像でもよい。また、車載表示装置17には、俯瞰画像が表示され単カメラ画像が表示されなくてもよいし、単カメラ画像が表示された俯瞰画像が表示されなくてもよい。また、車載表示装置17には、車両状態(水温、燃料、作業モード、Pモード,Eモード,微操作モード)が表示されてもよいし、車両状態と、俯瞰画像と、単カメラ画像との少なくとも2つが組み合わせられた状態で表示されてもよい。
【0033】
操作指令受信機18は、操作指令送信機5からの第1操作指令を受信する。操作指令受信機18は、ラジコン受信機である。
【0034】
車載コントローラ19は、コンピュータシステムを含む。車載コントローラ19は、第1操作指令に基づいて、作業機械2の動作を制御する。また、車載コントローラ19は、撮像装置16により撮像された画像を遠隔コントローラ20に送信する。車載コントローラ19は、第2通信システム12を介して作業機械2が稼働する作業現場3の画像を遠隔コントローラ20に送信する。車載コントローラ19は、第2通信システム12を介して車載表示装置17の画像を遠隔コントローラ20に送信する。本実施形態において、車載コントローラ19は、第1通信システム11を介さずに、撮像装置16により撮像された画像を遠隔コントローラ20に送信する。
【0035】
傾斜センサ31は、旋回体13の傾斜角を検出する。傾斜センサ31は、例えば旋回体13の傾斜角を検出可能な慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を含む。傾斜センサ31は、旋回体13に配置される。傾斜センサ31は、旋回体13の傾斜角として、旋回体13のピッチ角及びロール角を検出する。作業機15の回動軸に平行な軸をピッチ軸とした場合、ピッチ角とは、ピッチ軸を中心とする傾斜角をいう。旋回体13の旋回軸及び作業機15の回動軸のそれぞれに直交する軸をロール軸とした場合、ロール角とは、ロール軸を中心とする傾斜角をいう。
【0036】
<遠隔操作システム>
図3は、本実施形態に係る遠隔操作システム1を示すブロック図である。遠隔操作室4に、遠隔操作装置9と、遠隔コントローラ20と、表示装置21とが配置される。本実施形態において、遠隔コントローラ20及び表示装置21は、情報端末8に設けられる。遠隔操作装置9は、操作者10に操作されることにより、操作信号を生成する。遠隔コントローラ20は、遠隔操作装置9に接続される。
【0037】
遠隔コントローラ20は、操作指令送信部20Aと、画像受信部20Bとを含む。
【0038】
操作指令送信部20Aは、遠隔操作装置9から操作信号を受信する。操作指令送信部20Aは、遠隔操作装置9からの操作信号に基づいて、第2操作指令を生成する。操作指令送信部20Aは、生成した第2操作指令を、第2通信システム12を介して中継コントローラ6に送信する。
【0039】
画像受信部20Bは、撮像装置16により撮像された画像を、第2通信システム12を介して受信する。
【0040】
中継室7に、操作指令送信機5と、中継コントローラ6と、変換装置22とが配置される。
【0041】
中継コントローラ6は、操作指令受信部6Aを有する。
【0042】
操作指令受信部6Aは、第2通信システム12を介して遠隔コントローラ20から送信された第2操作指令を受信する。
【0043】
変換装置22は、第2操作指令を第1操作指令に変換する。変換装置22は、第2通信方式の第2操作指令を、第1通信方式の第1操作指令に変換する。変換装置22は、例えばマイクロコンピュータ及びローパスフィルタ回路を含む。
【0044】
作業機械2に、操作指令受信機18と、車載コントローラ19と、撮像装置16とが配置される。
【0045】
車載コントローラ19は、動作制御部19Aと、画像生成部19Bと、画像送信部19Cとを有する。
【0046】
動作制御部19Aは、操作指令受信機18に受信された第1操作指令に基づいて、作業機械2の動作を制御する。作業機械2は、第1操作指令に基づいて動作する。作業機械2の動作は、旋回体13の旋回動作、走行体14の走行動作、及び作業機15の作業動作を含む。
【0047】
画像生成部19Bは、撮像装置16により撮像された撮像データに基づいて、遠隔コントローラ20に送信する画像を生成する。遠隔コントローラ20に送信される画像は、例えば第1カメラ16Aにより撮像された作業現場3の画像及び第2カメラ16Bにより撮像された車載表示装置17の画像を含む。画像送信部19Cは、画像生成部19Bにおいて生成された画像を、第2通信システム12を介して遠隔コントローラ20に送信する。画像生成部19Bにおいて生成された画像が、第1通信システム11を介さずに、第2通信システム12を介して遠隔操作室4に送信されることにより、映像遅延による作業効率の低下が抑制される。
【0048】
<遠隔操作方法>
図4は、本実施形態に係る遠隔操作方法を示すフローチャートである。
【0049】
操作者10が遠隔操作装置9を操作すると、遠隔操作装置9は、操作信号を生成する。遠隔コントローラ20の操作指令送信部20Aは、遠隔操作装置9により生成された操作信号に基づいて、操作指令送信機5を操作するための第2操作指令を生成する。操作指令送信部20Aは、生成した第2操作指令を、第2通信システム12を介して中継コントローラ6に送信する(ステップSU1)。
【0050】
中継コントローラ6の操作指令受信部6Aは、第2通信システム12を介して送信された第2操作指令を受信する。操作指令受信部6Aは、第2操作指令を変換装置22に出力する。変換装置22は、第2操作指令を変換して第1操作指令を生成する(ステップSV1)。
【0051】
変換装置22は、第2操作指令に基づいて生成した第1操作指令を操作指令送信機5に出力する。操作指令送信機5は、第1操作指令を、第1通信システム11を介して作業機械2に送信する(ステップSV2)。
【0052】
作業機械2の操作指令受信機18は、第1通信システム11を介して送信された第1操作指令を受信する。操作指令受信機18は、受信した第1操指令を車載コントローラ19の動作制御部19Aに出力する。動作制御部19Aは、第1操作指令に基づいて作業機械2の動作を制御する。作業機械2は、第1動作指令に基づいて動作する(ステップSW1)。
【0053】
第1カメラ16Aは、作業現場3の撮像データを画像生成部19Bに出力する。第2カメラ16Bは、車載表示装置17の撮像データを画像生成部19Bに出力する。画像生成部19Bは、作業現場3の撮像データと車載表示装置17の撮像データとを合成して、所定の画像を生成する。画像送信部19Cは、画像生成部19Bにより生成された画像を、第2通信システム12を介して遠隔コントローラ20に送信する。遠隔コントローラ20の画像受信部20Bは、車載コントローラ19から送信された画像を受信する。画像受信部20Bは、車載コントローラ19から送信された画像を表示装置21に出力する。表示装置21は、車載コントローラ19から送信された画像を表示する。
【0054】
表示装置21には、作業現場3の画像及び車載表示装置17の画像が表示される。遠隔操作室4の操作者10は、表示装置21を介して作業現場3の状況を視認することができる。遠隔操作室4の操作者10は、表示装置21に表示される画像を見ながら、遠隔操作装置9を操作する。作業機械2は、遠隔操作装置9によって遠隔操作される。
【0055】
<表示装置>
図5は、本実施形態に係る表示装置21の表示例を示す図である。
【0056】
図5に示すように、表示装置21の第1表示領域21Aに、第1カメラ16Aで撮像された作業現場3の画像が表示される。第1カメラ16Aで撮像される作業現場3の画像は、旋回体13の前方の画像を含む。旋回体13の前方の画像は、作業機15の画像を含む。表示装置21の第2表示領域21Bに、第2カメラ16Bで撮像された車載表示装置17の画像が表示される。上述のように、車載表示装置17は、作業機械2の周辺の俯瞰画像と、作業機械2の後方を示す単カメラ画像とを表示する。表示装置21の第2表示領域21Bには、車載表示装置17に表示された作業機械2の周辺の俯瞰画像26と、作業機械2の後方を示す単カメラ画像27とが表示される。
【0057】
本実施形態において、表示装置21は、旋回体13の傾斜角を示すインジケータ28を表示する。インジケータ28は、傾斜センサ31の検出データに基づいて表示される。
【0058】
図6は、本実施形態に係るインジケータ28の表示例を示す図である。
【0059】
図6に示すように、インジケータ28は、ピッチ角及びロール角のそれぞれに係る第1閾値を示す第1フレーム28Aと、ピッチ角及びロール角のそれぞれに係る第2閾値を示す第2フレーム28Bと、傾斜センサ31の検出データを示すシンボル28Cとを有する。第2閾値は、第1閾値よりも大きい。シンボル28Cは、傾斜センサ31の検出データに基づいて、インジケータ28を移動する。ピッチ角及びロール角のそれぞれが0度である場合、シンボル28Cは、インジケータ28の原点28Dに配置される。第1フレーム28Aは、原点28Dを囲むように表示される。第2フレーム28Bは、第1フレーム28Aを囲むように表示される。図6(A)に示すように、ピッチ角及びロール角のそれぞれが第1閾値を下回る場合、すなわち、シンボル28Cが第1フレーム28Aの内側に配置される場合、第1フレーム28A及び第2フレーム28Bのそれぞれは、第1表示状態(例えば青色)で表示される。図6(B)に示すように、ピッチ角及びロール角の少なくとも一方が第1閾値を上回る場合、すなわち、シンボル28Cが第1フレーム28Aの外側に配置される場合、第1フレーム28Aは、第2表示状態(例えば黄色)で表示される。図6(C)に示すように、ピッチ角及びロール角の少なくとも一方が第2閾値を上回る場合、すなわち、シンボル28Cが第2フレーム28Bの外側に配置される場合、第2フレーム28Bは、第3表示状態(例えば赤色)で表示される。
【0060】
図7図8、及び図9のそれぞれは、本実施形態に係る表示装置21の表示例を示す図である。図7図8、及び図9のそれぞれに示すように、表示装置21は、作業機械2からの距離を示す目安線29を第1表示領域21Aに表示することができる。目安線29は、複数のラインにより構成される。複数のラインは、相互に平行である。図7に示す目安線29Aを構成する複数のラインは、作業機械2からの距離が長くなるほど幅が短くなる。図8に示す目安線29Bを構成する複数のラインは、作業機械2からの距離が長くなるほど幅が長くなる。図9に示す目安線29Cを構成する複数のラインは、作業機械2からの距離にかかわらず幅が一定である。図7に示す目安線29Aは、第1表示領域21Aの下部に表示される。図8に示す目安線29Bは、第1表示領域21Aの上部に表示される。図9に示す目安線29Cは、第1表示領域21Aの下部に表示される。操作者10は、遠隔操作装置9を操作して、目安線29を構成するラインの数、幅、及び位置を任意に変更することができる。
【0061】
なお、操作者は、図7に示した表示例と、図8に示した表示例と、図9に示した表示例とを任意に選択して表示装置21に表示させることができる。なお、図7図8、及び図9に示す表示例において、目安線29は表示されなくてもよい。
【0062】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、第1通信システム11を介して作業機械2を無線操作する操作指令送信機5が、第2通信システム12を介して遠隔操作装置9により操作される。作業機械2は、操作指令送信機5を介して遠隔操作装置9に遠隔操作される。操作指令送信機5で作業機械2を無線操作する無線操作システムが既に構築されている場合、又は、作業現場3においてラジコン操作により作業機械2が既に稼働している状況の場合、無線操作システムに第2通信システム及び遠隔操作装置9が付加されるだけで、遠隔操作システム1が構築される。そのため、作業機械2の遠隔操作システム1に掛かるコストが抑制される。遠隔操作システム1は、安価に構成される。
【0063】
第2操作指令を第1操作指令に変換する変換装置22が設けられる。そのため、第1通信システム11の通信方式と第2通信システム12の通信方式とが異なっても、操作者10は、遠隔操作装置9で作業機械2を遠隔操作することができる。例えば、第1通信システム11の通信方式がラジコン方式であり、第2通信システム12の通信方式がインターネット方式でも、変換装置22により第2操作指令が第1操作変換されることにより、操作者10は、遠隔操作装置9で作業機械2を遠隔操作することができる。
【0064】
<変形例>
本実施形態において、第1通信システム11は、ラジコン方式で通信することとした。第1通信システム11は、無線LAN(Local Area Network)方式で通信してもよいし、無線PAN(Personal Area Network)方式で通信してもよい。
【0065】
本実施形態において、操作指令送信部20Aと画像受信部20Bとは、別々のハードウェア(コンピュータシステム)により構成されてもよい。本実施形態において、変換装置22は、中継コントローラ6により構成されてもよい。本実施形態において、動作制御部19Aと画像生成部19Bと画像送信部19Cとは、別々のハードウェア(コンピュータシステム)により構成されてもよい。
【0066】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0067】
<遠隔操作システム>
図10は、本実施形態に係る遠隔操作システム1を示すブロック図である。
【0068】
本実施形態において、作業機械2は、作業現場3の画像及び車載表示装置17の画像を送信する画像送信機23を有する。上述の第1実施形態と同様、撮像装置16の撮像データは、画像生成部19Bに出力される。画像生成部19Bにおいて生成された画像は、画像送信部19Cを介して画像送信機23に伝送される。画像送信機23は、作業現場3に配置された画像受信機25に画像を送信する。画像受信機25は、中継室7に配置される。
【0069】
画像送信機23は、第3通信システム24を介して作業現場3の画像及び車載表示装置17の画像を画像受信機25に送信する。第3通信システム24は、第1通信方式及び第2通信方式とは異なる第3通信方式(第3通信プロトコル)で画像受信機25に画像を送信する。第3通信システム24は、無線により画像を送信する。画像送信機23及び画像受信機25として、ビデオトランスミッタが例示される。第3通信方式は、ビデオトランスミッタに規定される固有の通信方式でもよい。
【0070】
中継コントローラ6は、画像受信機25に受信された作業現場3の画像及び車載表示装置17の画像を遠隔コントローラ20に送信する画像送信部6Bを有する。画像送信部6Bは、第2通信システム12を介して作業現場3の画像及び車載表示装置17の画像を遠隔コントローラ20に送信する。
【0071】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、撮像装置16により撮像された画像は、作業機械2から第3通信システム24を介して中継コントローラ6に送信された後、中継コントローラ6から第2通信システム12を介して遠隔コントローラ20に送信される。これにより、作業現場3において、作業機械2が画像を伝送し難い位置で作業を実施していても、撮像装置16に撮像された画像は、遠隔コントローラ20に円滑に送信される。
【0072】
作業現場3において、第3通信システム24による画像の伝送速度は、第2通信システム12による画像の伝送速度よりも高い。第3通信システム24は、第2通信システム12よりも低遅延で画像を伝送できる。また、作業現場3において、第3通信システム24の通信安定性は、第2通信システム12の通信安定性よりも高い。作業現場3において、作業機械2は、第2通信システム12では通信し難い位置で作業を実施する可能性がある。作業現場3において、中継室7が第2通信システム12で通信し易い位置に存在する場合、撮像装置16により撮像された画像が作業機械2から中継室7に配置されている中継コントローラ6に第3通信システム24を介して送信されることにより、撮像装置16により撮像された画像は、中継コントローラ6から遠隔コントローラ20に第2通信システム12を介して円滑に送信される。
【0073】
<変形例>
本実施形態において、操作指令受信部6Aと画像送信部6Bとは、別々のハードウェア(コンピュータシステム)により構成されてもよい。
【0074】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0075】
<遠隔システム>
図11は、本実施形態に係る遠隔操作システム1の一部を示すブロック図である。
【0076】
遠隔コントローラ20は、操作指令送信部20Aと、画像受信部20Bと、判定部20Cと、記憶部20Dとを有する。
【0077】
上述の実施形態と同様、遠隔操作装置9は、作業機械2を遠隔操作する操作信号を生成する。操作指令送信部20Aは、遠隔操作装置9において生成された操作信号に基づいて、作業機械2を遠隔操作する第2操作指令を送信する。
【0078】
判定部20Cは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立したか否かを判定する。また、判定部20Cは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過したか否かを判定する。本実施形態において、例えば遠隔コントローラ20にタイマが設けられる。判定部20Cは、タイマに基づいて、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過したか否かを判定する。
【0079】
操作指令送信部20Aは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立したときの作業機械2の動作速度を示す第1動作速度(微操作速度)が、遠隔操作装置9の操作量に予め対応付けられた所定の動作速度を示す第2動作速度(通常速度)よりも遅くなるように、第2操作指令を送信する。
【0080】
第2動作速度は、遠隔操作装置9の操作量に予め対応付けられた動作速度であり、遠隔操作装置9の操作量に基づいて動作する作業機械2の通常速度である。第1動作速度は、第2動作速度よりも遅い微操作速度である。本実施形態において、遠隔操作装置9が所定の操作量で操作された場合、作業機械2が第1動作速度で動作する場合と第2動作速度で動作する場合とがある。
【0081】
車載コントローラ19の動作制御部19A(図3図10等参照)は、操作指令送信部20Aからの第2操作指令に基づいて作業機械2を制御する。上述の実施形態と同様、第2操作指令に基づいて操作指令送信機5が操作され、操作指令送信機5からの第1操作指令に基づいて動作制御部19Aが作業機械2を制御する。動作制御部19Aは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立したときの作業機械2の動作速度を示す第1動作速度が、遠隔操作装置9の操作量に予め対応付けられた所定の動作速度を示す第2動作速度よりも遅くなるように、作業機械2を制御する。
【0082】
本実施形態において、操作指令送信部20Aは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過していないと判定された場合、作業機械2が第1動作速度で動作し、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過したと判定された場合、作業機械2が第1動作速度よりも高い第2動作速度で動作するように、第2操作指令を操作指令送信機5(中継コントローラ6)に送信する。所定期間は、予め設定されている期間である。
【0083】
本実施形態において、記憶部20Dに変換テーブルが記憶されている。操作指令送信部20Aは、判定部20Cの判定データと記憶部20Dに記憶されている変換テーブルとに基づいて、第2操作指令を変換してから送信する。操作指令送信部20Aは、所定期間が経過していないと判定された場合、作業機械2が第1動作速度で動作するように第2操作指令を変換してから送信する。操作指令送信部20Aは、所定期間が経過したと判定された場合、作業機械2が第1動作速度よりも高い第2動作速度で動作するように第2操作指令を変換してから送信する。動作制御部19Aは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過する前においては、作業機械2が第1動作速度で動作するように、作業機械2を制御する。動作制御部19Aは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過した後に、作業機械2の動作速度を第1動作速度から第2動作速度に切り換える。
【0084】
図12は、本実施形態に係る変換テーブルを模式的に示す図である。
【0085】
変換テーブルは、操作指令送信機5から出力される第1操作指令に係る操作量を示す中継操作量と、遠隔操作装置9から出力される第2操作指令に係る操作量を示す遠隔操作量との関係を示す。変換テーブルは、遠隔操作量を中継操作量に変換するための変換テーブルである。変換テーブルは、所定期間が経過していないと判定された場合に使用される微操作テーブル30A(第1変換テーブル)と、所定期間が経過したと判定された場合に使用される通常テーブル30B(第2変換テーブル)とを含む。図12に示すように、所定期間が経過する前の場合と所定期間が経過した後の場合とで、中継操作量と遠隔操作量との比が異なる。すなわち、微操作テーブル30Aと通常テーブル30Bとで、遠隔操作量に対する中継操作量のゲインが異なる。所定期間が経過する前の場合(微操作テーブル30Aの場合)の遠隔操作量に対する中継操作量のゲインは、所定期間が経過した後の場合(通常テーブル30Bの場合)の遠隔操作量に対する中継操作量のゲインよりも小さい。遠隔操作装置9が所定の遠隔操作量で操作された場合、所定期間が経過する前において作業機械2に送信される中継操作量は、所定期間が経過した後において作業機械2に送信される中継操作量よりも小さい。
【0086】
操作指令送信部20Aは、所定期間が経過する前であると判定された場合、微操作テーブル30Aに基づいて第2操作指令を変換する。操作指令送信部20Aは、所定期間が経過した後であると判定された場合、通常テーブル30Bに基づいて第2操作指令を変換する。これにより、遠隔操作装置9が所定の遠隔操作量で操作された場合、所定期間が経過する前における作業機械2の第1動作速度は、所定期間が経過した後における作業機械2の第2動作速度よりも遅くなる。
【0087】
また、遠隔操作量について不感帯が設けられる。不感帯は、遠隔操作量がゼロの状態を含む遠隔操作量の所定範囲に設定される。遠隔操作量が不感帯内の場合、遠隔操作量がゼロとして扱われる。
【0088】
作業機械2の動作速度は、作業機械2の動作可能部の動作速度である。作業機械2の動作可能部として、旋回体13、作業機15、及び走行体14が例示される。遠隔操作装置9から出力される第2操作指令は、旋回体13を動作させる旋回指令、作業機15を動作させる作業指令、及び走行体14を動作させる走行指令を含む。走行指令は、走行体14を前進させる前進指令及び走行体14を後進させる後進指令を含む。
【0089】
<遠隔操作方法>
図13は、本実施形態に係る旋回体13の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
【0090】
判定部20Cは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立したか否かを判定する。通信が確立した後、遠隔操作装置9が操作されることにより、遠隔操作装置9から第2操作指令として旋回指令が出力される。操作指令送信部20Aは、旋回指令を取得する(ステップSA1)。
【0091】
判定部20Cは、通信に異常なしか否かを判定する(ステップSA2)。
【0092】
ステップSA2において、異常なしと判定した場合(ステップSA2:Yes)、判定部20Cは、操作制限なしか否かを判定する(ステップSA3)。
【0093】
本実施形態において、遠隔操作装置9には、作業機械2の操作を制限する図示しない操作制限操作部が設けられている。操作制限操作部が操作されている場合、作業機械2の操作が制限される。作業機械2の操作が制限された場合、遠隔操作装置9が操作されても、中立信号が出力される。これにより、作業機械2の操作が制限される。作業機械2の操作の制限は、作業機15の操作の制限、旋回体13の操作の制限、及び走行体14の操作の制限を含む。判定部20Cは、操作制限操作部が操作されていないか否かを判定する。
【0094】
ステップSA3において、操作制限なしと判定した場合(ステップSA3:Yes)、判定部20Cは、旋回制限なしか否かを判定する(ステップSA4)。
【0095】
本実施形態において、遠隔操作装置9には、旋回体13の旋回を制限する図示しない旋回制限操作部が設けられている。旋回制限操作部が操作されている場合、旋回体13の旋回が制限される。旋回体13の旋回が制限された場合、遠隔操作装置9が操作されても、中立信号が出力される。これにより、旋回体13の旋回が制限される。判定部20Cは、旋回制限操作部が操作されていないか否かを判定する。
【0096】
ステップSA4において、旋回制限なしと判定した場合(ステップSA4:Yes)、判定部20Cは、旋回指令に係る遠隔操作量が不感帯外か否かを判定する(ステップSA5)。
【0097】
ステップSA5において、遠隔操作量が不感帯外であると判定した場合(ステップSA5:Yes)、判定部20Cは、所定期間が経過する前か否かを判定する。すなわち、判定部20Cは、旋回体13の動作速度を遅くする微操作モードにするか否かを判定する(ステップSA6)。
【0098】
ステップSA6において、所定期間が経過していないと判定された場合、すなわち、微操作モードにすると判定された場合(ステップSA6:Yes)、操作指令送信部20Aは、微操作テーブル30Aに基づいて、第2操作指令を変換する。すなわち、操作指令送信部20Aは、小さいゲインで第2操作指令を変換する(ステップSA7)。
【0099】
操作指令送信部20Aは、変換後の第2操作指令を操作指令送信機5に送信する(ステップSA8)。
【0100】
ステップSA6において、所定期間が経過したと判定された場合、すなわち、旋回体13の動作速度を微操作モードよりも速い通常モードにすると判定された場合(ステップSA6:No)、操作指令送信部20Aは、通常テーブル30Bに基づいて、第2操作指令を変換する。すなわち、操作指令送信部20Aは、大きいゲインで第2操作指令を変換する(ステップSA9)。
【0101】
操作指令送信部20Aは、変換後の第2操作指令を操作指令送信機5に送信する(ステップSA8)。
【0102】
ステップSA2において、異常ありと判定された場合(ステップSA2:No)、ステップSA3において、操作制限ありと判定された場合(ステップSA3:No)、ステップSA4において、旋回制限ありと判定された場合(ステップSA4:No)、及びステップSA5において、不感帯内であると判定された場合(ステップSA5:No)、操作指令送信部20Aは、旋回体13を旋回させない停止指令を生成する(ステップSA10)。
【0103】
操作指令送信部20Aは、停止指令を操作指令送信機5に送信する(ステップSA8)。
【0104】
図14は、本実施形態に係る作業機15の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
【0105】
判定部20Cは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立したか否かを判定する。通信が確立した後、遠隔操作装置9が操作されることにより、遠隔操作装置9から第2操作指令として作業指令が出力される。操作指令送信部20Aは、作業指令を取得する(ステップSB1)。
【0106】
判定部20Cは、通信に異常なしか否かを判定する(ステップSB2)。
【0107】
ステップSB2において、異常なしと判定した場合(ステップSB2:Yes)、判定部20Cは、操作制限なしか否かを判定する(ステップSB3)。
【0108】
ステップSB3において、操作制限なしと判定した場合(ステップSB3:Yes)、判定部20Cは、作業指令に係る遠隔操作量が不感帯外か否かを判定する(ステップSB4)。
【0109】
ステップSB4において、遠隔操作量が不感帯外であると判定した場合(ステップSB4:Yes)、判定部20Cは、所定期間が経過する前か否かを判定する。すなわち、判定部20Cは、作業機15の動作速度を遅くする微操作モードにするか否かを判定する(ステップSB5)。
【0110】
ステップSB5において、所定期間が経過していないと判定された場合、すなわち、微操作モードにすると判定された場合(ステップSB5:Yes)、操作指令送信部20Aは、微操作テーブル30Aに基づいて、第2操作指令を変換する。すなわち、操作指令送信部20Aは、小さいゲインで第2操作指令を変換する(ステップSB6)。
【0111】
操作指令送信部20Aは、変換後の第2操作指令を操作指令送信機5に送信する(ステップSB7)。
【0112】
ステップSB5において、所定期間が経過したと判定された場合、すなわち、作業機15の動作速度を微操作モードよりも速い通常モードにすると判定された場合(ステップSB5:No)、操作指令送信部20Aは、通常テーブル30Bに基づいて、第2操作指令を変換する。すなわち、操作指令送信部20Aは、大きいゲインで第2操作指令を変換する(ステップSB8)。
【0113】
操作指令送信部20Aは、変換後の第2操作指令を操作指令送信機5に送信する(ステップSB7)。
【0114】
ステップSB2において、異常ありと判定された場合(ステップSB2:No)、ステップSB3において、操作制限ありと判定された場合(ステップSB3:No)、及びステップSB4において不感帯内であると判定された場合(ステップSB4:No)、操作指令送信部20Aは、作業機15を動作させない停止指令を生成する(ステップSB9)。
【0115】
操作指令送信部20Aは、停止指令を操作指令送信機5に送信する(ステップSB9)。
【0116】
図15は、本実施形態に係る走行体14の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
【0117】
判定部20Cは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立したシステム起動時か否かを判定する。システム起動の後、遠隔操作装置9が操作されることにより、遠隔操作装置9から第2操作指令として走行指令が出力される。操作指令送信部20Aは、走行指令を取得する(ステップSC1)。
【0118】
判定部20Cは、通信に異常なしか否かを判定する(ステップSC2)。
【0119】
ステップSC2において、異常なしと判定した場合(ステップSC2:Yes)、判定部20Cは、操作制限なしか否かを判定する(ステップSC3)。
【0120】
ステップSC3において、操作制限なしと判定された場合(ステップSC3:Yes)、操作指令送信部20Aは、走行指令が前進指令か否かを判定する(ステップSC4)。
【0121】
ステップSC4において、走行指令が前進指令であると判定した場合(ステップSC4:Yes)、操作指令送信部20Aは、第2操作指令として前進指令を生成する(ステップSC5)。
【0122】
操作指令送信部20Aは、前進指令を操作指令送信機5に送信する(ステップSC6)。
【0123】
ステップSC4において、走行指令が前進指令でないと判定した場合(ステップSC4:No)、操作指令送信部20Aは、走行指令が後進指令か否かを判定する(ステップSC7)。
【0124】
ステップSC7において、走行指令が後進指令であると判定した場合(ステップSC7:Yes)、操作指令送信部20Aは、第2操作指令として後進指令を生成する(ステップSC8)。
【0125】
操作指令送信部20Aは、後進指令を操作指令送信機5に送信する(ステップSC6)。
【0126】
ステップSC2において、異常ありと判定された場合(ステップSC2:No)、ステップSC3において、操作制限ありと判定された場合(ステップSC3:No)、及びステップSC7において、走行指令が後進指令でないと判定した場合(ステップSC7:No)、操作指令送信部20Aは、走行体14を走行させない停止指令を生成する(ステップSB9)。
【0127】
操作指令送信部20Aは、停止指令を操作指令送信機5に送信する(ステップSC6)。
【0128】
<効果>
以上説明したように、本実施形態においては、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立したときにおいて、操作者10により遠隔操作装置9が操作された場合、作業機械2の動作速度が通常の動作速度よりも遅くなるように制御される。すなわち、作業機械2の動作モードが微操作モードと通常モードとを含む場合、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点(システム起動時点)においては、作業機械2の動作モードが強制的に微操作モードに設定される。例えば操作者10が遠隔操作に慣れていない場合、遠隔操作装置9を急激に操作してしまう可能性がある。遠隔操作装置9が急激に操作された場合、作業現場3において作業機械2が急激に動作してしまう可能性がある。本実施形態においては、システム起動時においては、作業機械2の動作速度が強制的に制限されるので、遠隔操作装置9が急激に操作されても、作業現場3において作業機械2が急激に動作してしまうことが抑制される。
【0129】
本実施形態においては、例えば遠隔コントローラ20にタイマが設けられ、タイマに基づいて作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過したと判定部20Cにより判定された場合、作業機械2の動作モードが微操作モードから通常モードに変更される。動作制御部19Aは、通信が確立した時点から所定期間が経過した後に、作業機械2の動作速度を第1動作速度から第2動作速度に切り換える。これにより、作業機械2の作業効率の低下が抑制される。
【0130】
<変形例>
本実施形態においては、タイマに基づいて、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過する前においては、作業機械2の動作モードが微操作モードに設定され、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過時点において、作業機械2の動作モードが微操作モードから通常モードに変更されることとした。すなわち、動作制御部19Aは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過した後に、作業機械2の動作速度を第1動作速度から第2動作速度に切り換えることとした。遠隔操作装置9から出力される解除信号に基づいて、作業機械2の動作モードが微操作モードから通常モードに変更されてもよい。すなわち、動作制御部19Aは、遠隔操作装置9から出力される解除信号に基づいて、作業機械2の動作速度を第1動作速度から第2動作速度に切り換えてもよい。例えば、操作者10は、遠隔操作に慣れてきた後、遠隔操作装置9を操作して、作業機械2の動作モードを微操作モードから通常モードに変更することができる。これにより、作業機械2の作業効率の低下が抑制される。例えば、遠隔操作装置9に微操作モード解除操作部が設けられている場合、操作者10は、自らの意思に基づいて、微操作モード解除操作部を操作して、作業機械2の動作モードを微操作モードから通常モードに変更することができる。遠隔操作装置9に設けられている微操作モード解除操作部が操作されることにより、遠隔操作装置9において解除信号が生成される。動作制御部19Aは、遠隔操作装置9から出力される解除信号に基づいて、作業機械2の動作速度を第1動作速度から第2動作速度に切り換える。操作者10は、遠隔操作装置9に微操作モード解除操作部を操作することにより、作業機械2の動作モードを通常モードに設定することができる。
【0131】
なお、動作制御部19Aは、作業機械2と遠隔操作装置9との通信が確立した時点から所定期間が経過する前においても、遠隔操作装置9から出力される解除信号に基づいて、作業機械2の動作速度を第1動作速度から第2動作速度に切り換えてもよい。
【0132】
なお、本実施形態においては、中継操作量と遠隔操作量との比(ゲイン)に基づいて、作業機械2が微操作モード及び通常モードのいずれか一方の動作モードに設定されることとした。作業機械2に搭載されている動力源であるエンジンの回転数が変更されることにより、作業機械2が微操作モード及び通常モードのいずれか一方の動作モードに設定されてもよい。
【0133】
本実施形態において、図12を参照して説明した変換テーブルが遠隔コントローラ20の記憶部20Dに記憶されることとした。変換テーブルは、中継コントローラ6に記憶されてもよいし、車載コントローラ19に記憶されてもよい。
【0134】
本実施形態においては、第1実施形態及び第2実施形態と同様、第2操作指令に基づいて操作指令送信機5が操作され、操作指令送信機5からの第1操作指令に基づいて、動作制御部19Aが作業機械2を制御することとした。本実施形態において、操作指令送信機5が省略されてもよい。動作制御部19Aは、操作指令送信部20Aからの第2操作指令に基づいて作業機械2を制御してもよい。
【0135】
本実施形態において、操作指令送信部20Aと、画像受信部20Bと、判定部20Cと、記憶部20Dとは、別々のハードウェア(コンピュータシステム)により構成されてもよい。
【0136】
[コンピュータシステム]
図16は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の遠隔コントローラ20、中継コントローラ6、及び車載コントローラ19のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の遠隔コントローラ20、中継コントローラ6、及び車載コントローラ19のそれぞれの機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0137】
コンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、上述の実施形態に従って、作業機械2を遠隔操作する操作信号を生成することと、操作信号に基づいて操作指令を送信することと、作業機械と遠隔操作装置との通信が確立したときの作業機械の動作速度を示す第1動作速度が、遠隔操作装置の操作量に予め対応付けられた所定の動作速度を示す第2動作速度よりも遅くなるように、作業機械を制御することと、を実行することができる。
【0138】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、作業機械1がローディングショベルであることとした。作業機械1はバックホウでもよい。また、上述の実施形態においては、作業機械1が車体として旋回体13を備えることとしたが、作業機械1の車体は旋回体でなくてもよい。作業機械1は、作業機を有する作業機械であればよく、ブルドーザでもよいし、ホイールローダでもよい。また、作業機械1は、作業機を有していなくてもよい。作業機械1は、例えばダンプボディを有する運搬車両でもよい。
【符号の説明】
【0139】
1…遠隔操作システム、2…作業機械、3…作業現場、4…遠隔操作室、5…操作指令送信機(第1操作装置)、6…中継コントローラ、6A…操作指令受信部、7…中継室、8…情報端末、9…遠隔操作装置(第2操作装置)、10…操作者、11…第1通信システム、12…第2通信システム、13…旋回体、14…走行体、15…作業機、15A…ブーム、15B…アーム、15C…バケット、16…撮像装置、16A…第1カメラ、16B…第2カメラ、17…車載表示装置、18…操作指令受信機、19…車載コントローラ、19A…動作制御部、19B…画像生成部、19C…画像送信部、20…遠隔コントローラ、20A…操作指令送信部、20B…画像受信部、20C…判定部、20D…記憶部、21…表示装置、21A…第1表示領域、21B…第2表示領域、22…変換装置、23…画像送信機、24…第3通信システム、25…画像受信機、26…俯瞰画像、27…単カメラ画像、28…インジケータ、28A…第1フレーム、28B…第2フレーム、28C…シンボル、28D…原点、29…目安線、29A…目安線、29B…目安線、29C…目安線、30A…微操作テーブル(第1変換テーブル)、30B…通常テーブル(第2変換テーブル)、31…傾斜センサ、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース。
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