(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102618
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】作業機械、作業機械を制御するための方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20230718BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003218
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】興津 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】上前 健志
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】作業機械の周辺に物体が存在するか否かを適切に判定する。
【解決手段】作業機械は、車体と、走行輪と、ステアリングアクチュエータと、アーティキュレートアクチュエータと、操舵角センサと、アーティキュレート角センサと、物体センサと、コントローラとを備える。車体は、リアフレームとフロントフレームとを含む。フロントフレームは、リアフレームに対して左右に回動可能に接続される。ステアリングアクチュエータは、走行輪を左右に操舵する。アーティキュレートアクチュエータは、リアフレームとフロントフレームとの間のアーティキュレート角を変更する。物体センサは、作業機械の周辺の物体を検出し、物体の有無を示す信号を出力する。コントローラは、作業機械の周辺に検出範囲を設定する。コントローラは、操舵角とアーティキュレート角とに応じて、検出範囲を設定する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械であって、
リアフレームと、前記リアフレームに対して左右に回動可能に接続されるフロントフレームとを含む車体と、
前記車体に支持される走行輪と、
前記走行輪を左右に操舵するステアリングアクチュエータと、
前記リアフレームと前記フロントフレームとの間のアーティキュレート角を変更するアーティキュレートアクチュエータと、
前記走行輪の操舵角を検出する操舵角センサと、
前記アーティキュレート角を検出するアーティキュレート角センサと、
前記作業機械の周辺の物体を検出し、前記物体の有無を示す信号を出力する物体センサと、
前記作業機械の周辺に検出範囲を設定し、前記物体センサからの信号に基づいて、前記検出範囲内の前記物体の有無を判定するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記操舵角と前記アーティキュレート角とに応じて、前記検出範囲を設定する、
作業機械。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記車体の幅に基づいて、前記検出範囲の基準範囲を設定し、
前記アーティキュレート角に応じて、前記検出範囲を前記基準範囲から変更する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記コントローラは、前記作業機械が前記アーティキュレート角に応じて旋回する場合には、前記アーティキュレート角に応じた前記作業機械の旋回半径に応じて、前記検出範囲を湾曲させる、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記コントローラは、前記アーティキュレート角の方向と前記作業機械の旋回方向とが反対である場合には、前記アーティキュレート角に応じて前記検出範囲を前記基準範囲から左右方向に拡大する、
請求項2又は3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記コントローラは、前記検出範囲が前記フロントフレームの前方に設定される場合、左右方向において前記フロントフレームに対して前記リアフレームと同じ側に、前記検出範囲を前記基準範囲から拡大する、
請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記コントローラは、前記検出範囲が前記リアフレームの後方に設定される場合、左右方向において前記リアフレームに対して前記フロントフレームと同じ側に、前記検出範囲を前記基準範囲から拡大する、
請求項4に記載の作業機械。
【請求項7】
前記走行輪のリーニング角を変更するリーニングアクチュエータと、
前記リーニング角を検出するリーニング角センサと、
をさらに備え、
前記コントローラは、前記リーニング角に応じて、前記検出範囲を前記基準範囲から変更する、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項8】
前記コントローラは、左右方向において前記走行輪がリーニングしている方向と同じ側に、前記検出範囲を前記基準範囲から拡大する、
請求項7に記載の作業機械。
【請求項9】
前記コントローラは、前記作業機械の旋回方向と前記アーティキュレート角の方向とが逆向きであり、且つ、前記走行輪がリーニングしている方向と、前記作業機械の旋回方向とが一致している場合には、前記リーニング角に応じた前記検出範囲の拡大を行わない、
請求項8に記載の作業機械。
【請求項10】
作業機械を制御するための方法であって、前記作業機械は、リアフレームと、前記リアフレームに対して左右に回動可能に接続されるフロントフレームとを含む車体と、前記車体に支持される走行輪と、前記走行輪を左右に操舵するステアリングアクチュエータと、前記リアフレームと前記フロントフレームとの間のアーティキュレート角を変更するアーティキュレートアクチュエータと、を含み、前記方法は、
前記走行輪の操舵角を検出することと、
前記アーティキュレート角を検出することと、
前記作業機械の周辺の物体の有無を示す信号を受信することと、
前記操舵角と前記アーティキュレート角とに応じて、前記作業機械の周辺に検出範囲を設定することと、
前記物体センサからの信号に基づいて、前記検出範囲内の前記物体の有無を判定すること、
を備える方法。
【請求項11】
前記車体の幅に基づいて、前記検出範囲の基準範囲を設定することと、
前記アーティキュレート角に応じて、前記検出範囲を前記基準範囲から変更すること、
をさらに備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記作業機械が前記アーティキュレート角に応じて旋回する場合には、前記アーティキュレート角に応じた前記作業機械の旋回半径に応じて、前記検出範囲を湾曲させることをさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アーティキュレート角の方向と前記作業機械の旋回方向とが反対である場合には、前記アーティキュレート角に応じて前記検出範囲を前記基準範囲から左右方向に拡大すること、
をさらに備える、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記検出範囲が前記フロントフレームの前方に設定される場合、左右方向において前記フロントフレームに対して前記リアフレームと同じ側に、前記検出範囲を前記基準範囲から拡大することをさらに備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検出範囲が前記リアフレームの後方に設定される場合、左右方向において前記リアフレームに対して前記フロントフレームと同じ側に、前記検出範囲を前記基準範囲から拡大することをさらに備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記作業機械は、前記走行輪のリーニング角を変更するリーニングアクチュエータをさらに含み、
前記リーニング角を検出することと、
前記リーニング角に応じて、前記検出範囲を前記基準範囲から変更すること、
をさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項17】
左右方向において前記走行輪がリーニングしている方向と同じ側に、前記検出範囲を前記基準範囲から拡大することをさらに備える、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記作業機械の旋回方向と前記アーティキュレート角の方向とが逆向きであり、且つ、前記走行輪がリーニングしている方向と、前記作業機械の旋回方向とが一致している場合には、前記リーニング角に応じた前記検出範囲の拡大を行わないことをさらに備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
作業機械を制御するためのシステムであって、前記作業機械は、リアフレームと、前記リアフレームに対して左右に回動可能に接続されるフロントフレームとを含む車体と、前記車体に支持される走行輪と、前記走行輪を左右に操舵するステアリングアクチュエータと、前記リアフレームと前記フロントフレームとの間のアーティキュレート角を変更するアーティキュレートアクチュエータと、を含み、前記システムは、
前記走行輪の操舵角を検出する操舵角センサと、
前記アーティキュレート角を検出するアーティキュレート角センサと、
前記作業機械の周辺の物体を検出し、前記物体の有無を示す信号を出力する物体センサと、
前記作業機械の周辺に検出範囲を設定し、前記物体センサからの信号に基づいて、前記検出範囲内の前記物体の有無を判定するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記操舵角と前記アーティキュレート角とに応じて、前記検出範囲を設定する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械、作業機械を制御するための方法、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械において、レーダーなどのセンサによって、周辺の人、或いは障害物を検出する技術が用いられている。例えば、特許文献1には、物体検出システムを備えたフォークリフトが開示されている。物体検出システムは、ミリ波レーダーなどのレーダー装置を備えている。レーダー装置は、電波又は超音波を発信し、物体で反射された電波又は超音波を受信することで、物体の有無を検出する。
【0003】
上記の物体検出システムにおいて、レーダー装置の測定可能範囲に侵入した物体を全て検出して警報を出力する場合、警報が頻繁に発せられることになる。そのため、上記の物体検出システムでは、コントローラが、フォークリフトの周辺に検出範囲を設定し、検出範囲内において物体が検出された場合に、警報を発することとされている。また、フォークリフトの車速と操舵角とに応じて、検出範囲が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の物体検出システムでは、車速と操舵角とに応じて、検出範囲が変更されることで、フォークリフトの周辺に物体が存在するか否かを適切に判定できるとされている。しかし、例えばモータグレーダのように車体の姿勢の自由度が大きい作業機械においては、上述した技術を適用するだけでは十分ではない。本発明の目的は、作業機械の周辺に物体が存在するか否かを適切に判定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る作業機械は、車体と、走行輪と、ステアリングアクチュエータと、アーティキュレートアクチュエータと、操舵角センサと、アーティキュレート角センサと、物体センサと、コントローラとを備える。車体は、リアフレームとフロントフレームとを含む。フロントフレームは、リアフレームに対して左右に回動可能に接続される。走行輪は、車体に支持される。ステアリングアクチュエータは、走行輪を左右に操舵する。アーティキュレートアクチュエータは、リアフレームとフロントフレームとの間のアーティキュレート角を変更する。操舵角センサは、走行輪の操舵角を検出する。アーティキュレート角センサは、アーティキュレート角を検出する。物体センサは、作業機械の周辺の物体を検出し、物体の有無を示す信号を出力する。コントローラは、作業機械の周辺に検出範囲を設定する。コントローラは、物体センサからの信号に基づいて、検出範囲内の物体の有無を判定する。コントローラは、操舵角とアーティキュレート角とに応じて、検出範囲を設定する。
【0007】
本発明の第2の態様に係る方法は、作業機械を制御するための方法である。作業機械は、リアフレームと、車体と、走行輪と、ステアリングアクチュエータと、アーティキュレートアクチュエータと、を含む。車体は、リアフレームとフロントフレームとを含む。フロントフレームは、リアフレームに対して左右に回動可能に接続される。走行輪は、車体に支持される。ステアリングアクチュエータは、走行輪を左右に操舵する。アーティキュレートアクチュエータは、リアフレームとフロントフレームとの間のアーティキュレート角を変更する。当該方法は、操舵角を検出することと、アーティキュレート角を検出することと、作業機械の周辺の物体の有無を示す信号を受信することと、操舵角とアーティキュレート角とに応じて、作業機械の周辺に検出範囲を設定することと、物体センサからの信号に基づいて、検出範囲内の物体の有無を判定すること、を備える。
【0008】
本発明の第3の態様に係るシステムは、作業機械を制御するためのシステムである。作業機械は、リアフレームと、車体と、走行輪と、ステアリングアクチュエータと、アーティキュレートアクチュエータと、を含む。車体は、リアフレームとフロントフレームとを含む。フロントフレームは、リアフレームに対して左右に回動可能に接続される。走行輪は、車体に支持される。ステアリングアクチュエータは、走行輪を左右に操舵する。アーティキュレートアクチュエータは、リアフレームとフロントフレームとの間のアーティキュレート角を変更する。当該システムは、操舵角センサと、アーティキュレート角センサと、物体センサと、コントローラとを備える。操舵角センサは、走行輪の操舵角を検出する。アーティキュレート角センサは、アーティキュレート角を検出する。物体センサは、作業機械の周辺の物体を検出し、物体の有無を示す信号を出力する。コントローラは、作業機械の周辺に検出範囲を設定する。コントローラは、物体センサからの信号に基づいて、検出範囲内の物体の有無を判定する。コントローラは、操舵角とアーティキュレート角とに応じて、検出範囲を設定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、操舵角とアーティキュレート角とに応じて、作業機械の周辺の物体の検出範囲が設定される。それにより、作業機械の周辺に物体が存在するか否かを適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】作業機械の制御システムの構成を示す模式図である。
【
図7】検出範囲を設定するための処理を示すフローチャートである。
【
図8】検出範囲を設定するための処理を示すフローチャートである。
【
図9】変更1の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図10】変更2の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図11】変更3の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図12】変更3の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図13】変更4の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図14】変更5の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図15】変更5の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図16】変更6の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図17】変更7の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図18】変更7の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図19】変更8の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図20】変更8の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図21】変更9の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図22】変更9の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図23】変更9の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図24】変更9の処理に従う検出範囲を示す上面図である。
【
図25】変形例に係る検出範囲を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る作業機械1の斜視図である。
図2は、作業機械1の側面図である。
図1に示すように、作業機械1は、車体2と、走行輪3A,3B,4A-4Dと、作業機5とを備える。車体2は、フロントフレーム11と、リアフレーム12と、キャブ13と、動力室14とを含む。
【0012】
リアフレーム12は、フロントフレーム11に接続されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12に対して回動可能にリアフレーム12に連結されている。後述するように、フロントフレーム11は、リアフレーム12に対して、左右に回動可能である。
【0013】
なお、以下の説明において、前後左右の各方向は、リアフレーム12に対するフロントフレーム11のアーティキュレート角がゼロである状態、すなわち、フロントフレーム11とリアフレーム12とが真っすぐな状態で、車体2の前後左右の各方向が定義される。
【0014】
キャブ13と動力室14とは、リアフレーム12上に配置されている。キャブ13には、図示しない運転席が配置されている。動力室14は、キャブ13の後方に配置されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12から前方へ延びている。
【0015】
走行輪3A,3B,4A-4Dは、車体2に回転可能に支持されている。走行輪3A,3B,4A-4Dは、前輪3A,3Bと、後輪4A-4Dとを含む。前輪3A,3Bは、互いに左右方向に離れて配置されている。前輪3A,3Bは、フロントフレーム11に取り付けられている。後輪4A-4Dは、リアフレーム12に取り付けられている。
【0016】
作業機5は、車体2に対して可動的に接続されている。作業機5は、支持部材15とブレード16とを含む。支持部材15は、車体2に可動的に接続されている。支持部材15は、ブレード16を支持している。支持部材15は、ドローバ17とサークル18とを含む。ドローバ17は、フロントフレーム11の下方に配置される。
【0017】
ドローバ17は、フロントフレーム11の前部19に接続されている。ドローバ17は、フロントフレーム11の前部19から後方へ延びている。ドローバ17は、フロントフレーム11に対して、少なくとも車体2の上下方向と左右方向とに揺動可能に支持されている。例えば、前部19は、ボールジョイントを含む。ドローバ17は、ボールジョイントを介して、フロントフレーム11に対して回転可能に接続されている。
【0018】
サークル18は、ドローバ17の後部に接続されている。サークル18は、ドローバ17に対して回転可能に支持される。ブレード16は、サークル18に接続される。ブレード16は、サークル18を介して、ドローバ17に支持されている。
図2に示すように、ブレード16は、チルト軸21回りに回転可能にサークル18に支持されている。チルト軸21は、左右方向に延びている。
【0019】
図3は、作業機械1の前部の上面図である。
図3に示すように、作業機械1は、第1ステアリング軸43Aと第2ステアリング軸43Bとを備えている。第1ステアリング軸43Aと第2ステアリング軸43Bとは、フロントフレーム11に設けられる。第1ステアリング軸43Aと第2ステアリング軸43Bとは、上下方向に延びている。前輪3Aは、第1ステアリング軸43A回りに回転可能に支持される。前輪3Bは、第2ステアリング軸43B回りに回転可能に支持される。すなわち、前輪3A、3Bは、操舵可能な走行輪である。
【0020】
作業機械1は、前輪3A,3Bを操舵するための複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bを備えている。複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、前輪3A,3Bを操舵するために用いられる。例えば、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、油圧シリンダである。複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、前輪3A,3Bに、それぞれ接続されている。複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、油圧によって伸縮する。以下の説明では、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bを含む油圧シリンダの伸縮が、「ストローク動作」と記される。
【0021】
複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、左ステアリングシリンダ41Aと、右ステアリングシリンダ41Bと、を含む。左ステアリングシリンダ41Aと右ステアリングシリンダ41Bとは、左右方向に互いに離れて配置されている。
【0022】
左ステアリングシリンダ41Aは、フロントフレーム11と前輪3Aとに接続されている。右ステアリングシリンダ41Bは、フロントフレーム11と前輪3Bに接続されている。左ステアリングシリンダ41Aと右ステアリングシリンダ41Bとのストローク動作により、前輪3A,3Bが操舵される。
【0023】
作業機械1は、アーティキュレート軸44を含む。アーティキュレート軸44は、フロントフレーム11とリアフレーム12とに設けられる。アーティキュレート軸44は、上下方向に延びている。フロントフレーム11とリアフレーム12とは、アーティキュレート軸44回りに回動可能に互いに接続されている。
【0024】
なお、以下の説明において、フロントフレーム11とリアフレーム12とが、アーティキュレート軸44回りに互いに回動することで、車体2が屈曲した状態を「アーティキュレート状態」と呼ぶものとする。また、アーティキュレート状態ではない状態、すなわち、フロントフレーム11とリアフレーム12とが直線状に並んでいる状態を、「直線状態」と呼ぶものとする。
【0025】
作業機械1は、複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28を備えている。複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、リアフレーム12に対してフロントフレーム11を回動させるために用いられる。例えば、複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、油圧シリンダである。複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、フロントフレーム11とリアフレーム12とに接続されている。複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、油圧によって伸縮する。
【0026】
複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28とを含む。左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28とは、左右方向に互いに離れて配置されている。
【0027】
左アーティキュレートシリンダ27は、車体2の左側において、フロントフレーム11とリアフレーム12とに接続されている。右アーティキュレートシリンダ28とは、車体2の右側において、フロントフレーム11とリアフレーム12とに接続されている。左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28とのストローク動作により、フロントフレーム11はリアフレーム12に対して左右に回動する。
【0028】
図4は、作業機械1の前部の正面図である。
図4に示すように、作業機械1は、リーン機構6を備えている。リーン機構6は、前輪3A,3Bを左右に傾倒させる。リーン機構6は、アクスルビーム56と、リーニングロッド57と、リーニングアクチュエータ60とを含む。アクスルビーム56は、フロントフレーム11から左右に延びている。アクスルビーム56は、ピボット軸58回りに回転可能にフロントフレーム11に支持されている。
【0029】
アクスルビーム56は、ホイールブラケット59Aを介して、前輪3Aに接続されている。アクスルビーム56は、前輪3Aをリーニング軸54A回りに回転可能に支持する。アクスルビーム56は、ホイールブラケット59Bを介して、前輪3Bに接続されている。アクスルビーム56は、前輪3Bをリーニング軸54B回りに回転可能に支持する。リーニング軸54A,54Bは、前後方向に延びている。
【0030】
リーニングロッド57は、フロントフレーム11を通って左右に延びている。リーニングロッド57は、前輪3A,3Bを互いに連結している。リーニングロッド57は、ホイールブラケット59Aを介して、前輪3Aに接続されている。リーニングロッド57は、ホイールブラケット59Bを介して、前輪3Bに接続されている。
【0031】
リーニングアクチュエータ60は、前輪3A,3Bを傾倒(リーニング)するために用いられる。例えば、リーニングアクチュエータ60は、油圧シリンダである。リーニングアクチュエータ60は、フロントフレーム11と前輪3A,3Bとに接続されている。リーニングアクチュエータ60は、油圧によって伸縮する。すなわち、リーニングアクチュエータ60を伸縮させることによって、前輪3A,3Bがリーニング軸54A,54B回りに回転する。それにより、前輪3A,3Bが左右に傾倒する。
【0032】
図2に示すように、作業機械1は、作業機5の姿勢を変更するための複数のアクチュエータ22-26を備えている。例えば、複数のアクチュエータ22-25は、油圧シリンダである。アクチュエータ26は、回転アクチュエータである。本実施形態では、アクチュエータ26は油圧モータである。アクチュエータ26は、電動モータであってもよい。
【0033】
複数のアクチュエータ22-25は、作業機5に接続されている。複数のアクチュエータ22-25は、油圧によって伸縮する。複数のアクチュエータ22-25は、伸縮することで、車体2に対する作業機5の姿勢を変更する。
【0034】
詳細には、複数のアクチュエータ22-25は、左リフトシリンダ22と、右リフトシリンダ23と、ドローバシフトシリンダ24と、ブレードチルトシリンダ25と、を含む。
【0035】
左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、左右方向に互いに離れて配置されている。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、ドローバ17に接続されている。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、リフタブラケット29を介して、フロントフレーム11に接続されている。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とのストローク動作により、ドローバ17は、上下に揺動する。それにより、ブレード16が上下に移動する。
【0036】
ドローバシフトシリンダ24は、ドローバ17とフロントフレーム11とに接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、リフタブラケット29を介してフロントフレーム11に接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、フロントフレーム11からドローバ17に向かって、斜め下方に延びている。ドローバシフトシリンダ24のストローク動作により、ドローバ17は、左右に揺動する。
【0037】
ブレードチルトシリンダ25は、サークル18とブレード16とに接続されている。ブレードチルトシリンダ25のストローク動作により、ブレード16がチルト軸21回りに回転する。
【0038】
アクチュエータ26は、ドローバ17とサークル18とに接続されている。アクチュエータ26は、ドローバ17に対してサークル18を回転させる。それにより、ブレード16が、上下方向に延びる回転軸回りに回転する。
【0039】
図5は、作業機械1の制御システムの構成を示す模式図である。
図5に示すように、作業機械1は、駆動源31と、油圧ポンプ32と、動力伝達装置33とを含む。作業機械1は、ステアリングバルブ42Aと、アーティキュレートバルブ42Bと、リーニングバルブ42Cと、作業機バルブ34とを含む。駆動源31は、例えば内燃機関である。或いは、駆動源31は、電動モータ、或いは内燃機関と電動モータとのハイブリッドであってもよい。
【0040】
油圧ポンプ32は、駆動源31によって駆動されることで、作動油を吐出する。油圧ポンプ32は、ステアリングバルブ42Aと、アーティキュレートバルブ42Bと、リーニングバルブ42Cと、作業機バルブ34とに、作動油を供給する。これにより、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bと、複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28と、リーニングアクチュエータ60と、複数のアクチュエータ22-26とが、作動する。なお、
図5では、1つの油圧ポンプ32のみが図示されているが、複数の油圧ポンプが備えられてもよい。
【0041】
ステアリングバルブ42Aは、油圧回路を介して、油圧ポンプ32と複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bとに接続されている。ステアリングバルブ42Aは、油圧ポンプ32から複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bに供給される作動油の流量を、制御する。油圧ポンプ32の作動油がステアリングバルブ42Aに供給されることによって、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bはストローク動作を行う。
【0042】
アーティキュレートバルブ42Bは、油圧回路を介して、油圧ポンプ32と複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28とに接続されている。アーティキュレートバルブ42Bは、油圧ポンプ32から複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28に供給される作動油の流量を制御する。油圧ポンプ32の作動油がアーティキュレートバルブ42Bに供給されることによって、複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28はストローク動作を行う。
【0043】
リーニングバルブ42Cは、油圧回路を介して、油圧ポンプ32とリーニングアクチュエータ60とに接続されている。リーニングバルブ42Cは、油圧ポンプ32からリーニングアクチュエータ60に供給される作動油の流量を制御する。油圧ポンプ32の作動油がリーニングバルブ42Cに供給されることによって、リーニングアクチュエータ60はストローク動作を行う。
【0044】
作業機バルブ34は、油圧回路を介して、油圧ポンプ32と複数のアクチュエータ22-26とに接続されている。作業機バルブ34は、複数のアクチュエータ22-26それぞれに接続される複数の弁を、含む。作業機バルブ34は、油圧ポンプ32から複数のアクチュエータ22-26に供給される作動油の流量を、制御する。
【0045】
動力伝達装置33は、駆動源31からの駆動力を後輪4A-4Dに伝達する。動力伝達装置33は、トルクコンバータ、及び/又は、複数の変速ギアを含んでもよい。或いは、動力伝達装置33は、HST(Hydraulic Static Transmission)、或いは、HMT(Hydraulic Mechanical Transmission)などのトランスミッションであってもよい。
【0046】
作業機械1は、ステアリング操作部材45と、アーティキュレート操作部材46と、リーニング操作部材47と、作業機操作部材48と、シフト操作部材49と、アクセル操作部材50とを含む。
【0047】
ステアリング操作部材45は、前輪3A,3Bを操舵するためにオペレータによって操作可能である。ステアリング操作部材45は、ジョイスティックなどのレバーである。或いは、ステアリング操作部材45は、レバー以外の部材であってもよい。例えば、ステアリング操作部材45は、ステアリングホイールであってもよい。ステアリング操作部材45は、オペレータによるステアリング操作部材45への操作を示すステアリング操作信号を出力する。
【0048】
アーティキュレート操作部材46は、リアフレーム12に対してフロントフレーム11を回動させるためにオペレータによって操作可能である。アーティキュレート操作部材46は、ジョイスティックなどのレバーである。或いは、アーティキュレート操作部材46は、レバー以外の部材であってもよい。アーティキュレート操作部材46は、オペレータによるアーティキュレート操作部材46への操作を示すアーティキュレート操作信号を出力する。
【0049】
リーニング操作部材47は、前輪3A,3Bを傾倒させるためにオペレータによって操作可能である。リーニング操作部材47は、ジョイスティックなどのレバーである。或いは、リーニング操作部材47は、スイッチ、或いはタッチパネルなどの他の部材であってもよい。リーニング操作部材47は、オペレータによるリーニング操作部材47の操作を示すリーニング操作信号を出力する。
【0050】
作業機操作部材48は、作業機5の姿勢を変更するためにオペレータによって操作可能である。作業機操作部材48は、例えば複数の作業機レバーを含む。或いは、作業機操作部材48は、スイッチ、或いはタッチパネルなどの他の部材であってもよい。作業機操作部材48は、オペレータによる作業機操作部材48への操作を示す信号を出力する。
【0051】
シフト操作部材49は、作業機械1の前進と後進とを切り換えるためのオペレータによって操作可能である。シフト操作部材49は、例えばシフトレバーを含む。或いは、シフト操作部材49は、スイッチ、或いはタッチパネルなどの他の部材であってもよい。シフト操作部材49は、オペレータによるシフト操作部材49への操作を示す信号を出力する。
【0052】
アクセル操作部材50は、作業機械1を走行させるためにオペレータによって操作可能である。アクセル操作部材50は、例えばアクセルペダルを含む。或いは、アクセル操作部材50は、スイッチ、或いはタッチパネルなどの他の部材であってもよい。アクセル操作部材50は、オペレータによるアクセル操作部材50への操作を示す信号を出力する。
【0053】
図5に示すように、作業機械1は、コントローラ37を含む。コントローラ37は、記憶装置38とプロセッサ39とを含む。プロセッサ39は、例えばCPUであり、作業機械1を制御するためのプログラムを実行する。記憶装置38は、RAM及びROMなどのメモリと、SSD或いはHDDなどの補助記憶装置を含む。記憶装置38は、作業機械1を制御するためのプログラムとデータとを記憶している。
【0054】
コントローラ37は、シフト操作部材49の操作に応じて、動力伝達装置33を制御する。これにより、作業機械1の進行方向が、前進と後進とに切り換えられる。また、動力伝達装置33の速度段が切り換えられる。或いは、シフト操作部材49は、機械的に動力伝達装置33に接続されてもよい。シフト操作部材49の動作を機械的に動力伝達装置33に伝達することで、動力伝達装置33の前進と後進のギア、或いは変速ギアが切り替えられてもよい。
【0055】
コントローラ37は、アクセル操作部材50の操作に応じて、駆動源31及び動力伝達装置33を制御する。これにより、作業機械1が走行する。また、コントローラ37は、作業機操作部材48の操作に応じて、油圧ポンプ32と作業機バルブ34とを制御する。これにより、作業機5が動作する。
【0056】
コントローラ37は、ステアリング操作部材45からのステアリング操作信号により、ステアリング操作部材45の操作量を取得する。コントローラ37は、ステアリング操作信号に応じてステアリングバルブ42Aを制御することで、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bを伸縮させる。これにより、コントローラ37は、前輪3A,3Bの操舵角θsを変化させる。
【0057】
図3に示すように、操舵角θsは、第1ステアリング軸43A及び第2ステアリング軸43Bを中心としてフロントフレーム11に対して前輪3A,3Bが回動する角度である。詳細には、操舵角θsは、フロントフレーム11の第1中心線L1に対する前輪3A,3Bの回転角度である。第1中心線L1は、フロントフレーム11の前後方向に延びる。
【0058】
操舵角θsは、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bのストローク動作によって中立位置から左右に変化する。中立位置の操舵角θsは、ゼロ度である。前輪3A,3Bは、中立位置において、フロントフレーム11の第1中心線L1と平行に配置される。なお、
図3において、3A’及び3B’は、中立位置から右方へ操舵角θsだけ操舵された状態の前輪を示している。
【0059】
コントローラ37は、アーティキュレート操作部材46からのアーティキュレート操作信号により、アーティキュレート操作部材46の操作量を取得する。コントローラ37は、アーティキュレートバルブ42Bを制御する。例えば、コントローラ37は、アーティキュレート操作信号に応じてアーティキュレートバルブ42Bを制御することによって、左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28を伸縮させる。これにより、コントローラ37は、アーティキュレート角θaを変化させる。
【0060】
図3に示すように、アーティキュレート角θaは、アーティキュレート軸44を中心としてリアフレーム12に対してフロントフレーム11が回動する角度である。詳細には、アーティキュレート角θaは、フロントフレーム11の第1中心線L1とリアフレーム12の第2中心線L2がなす角度である。
【0061】
第2中心線L2は、リアフレーム12の前後方向に延びる。第2中心線L2は、作業機械1の上面視でアーティキュレート軸44を通過する。アーティキュレート角θaは、中立位置から左右に変化する。中立位置のアーティキュレート角θaは、ゼロである。左方へのアーティキュレート角θaは正の値であり、右方へのアーティキュレート角θaは負の値である。
【0062】
アーティキュレート角θaがゼロである場合、第2中心線L2の方向は、第1中心線L1の方向と一致する。すなわち、アーティキュレート角θaがゼロである場合、車体2は直線状態である。なお、
図3では、フロントフレーム11が、アーティキュレート軸44回りに、アーティキュレート角θaだけ回動した状態が示されている。
【0063】
コントローラ37は、リーニング操作部材47からのリーニング操作信号により、リーニング操作部材47の操作量を取得する。コントローラ37は、リーニングバルブ42Cを制御する。例えば、コントローラ37は、リーニング操作信号に応じてリーニングバルブ42Cを制御することによって、リーニングアクチュエータ60を伸縮させる。これにより、コントローラ37は、オペレータによるリーニング操作部材47の操作に応じて、リーニング角θlを変化させる。
【0064】
図4に示すように、リーニング角θlは、車体2を前方から見て、前輪3A、3Bの左右方向への傾倒角度である。例えば、リーニング角θlは、車体2を前方から見て、前輪3A,3Bがリーニング軸54A,54Bまわりに傾倒する傾倒角度である。
【0065】
以下の説明において、前輪3A,3Bが水平面に対して直立した状態(実線で示す3A、3B)を、前輪3A,3Bの中立位置と呼ぶものとする。前輪3A,3Bが中立位置で、リーニング角θlは、ゼロ度である。なお、
図4において、3A’,3B’は、中立位置から左方にリーニング角θlだけ傾倒した前輪を示している。
【0066】
作業機械1は、操舵角センサ51と、アーティキュレート角センサ52と、リーニング角センサ53と、を備えている。操舵角センサ51は、前輪3A,3Bの操舵角θsを検出するために用いられる。操舵角センサ51は、操舵角θsを示す信号を出力する。
【0067】
アーティキュレート角センサ52は、リアフレーム12に対するフロントフレーム11のアーティキュレート角を検出するために用いられる。アーティキュレート角センサ52は、アーティキュレート角θaを示す信号を出力する。リーニング角センサ53は、前輪3A,3Bのリーニング角θlを検出するために用いられる。リーニング角センサ53は、リーニング角θlを示す信号を出力する。
【0068】
操舵角センサ51、アーティキュレート角センサ52、リーニング角センサ53は、それぞれIMU(慣性計測装置)であってもよい。或いは、操舵角センサ51、アーティキュレート角センサ52、リーニング角センサ53は、それぞれカメラであってもよい。その場合、コントローラ37は、各センサ51-53が取得した画像を解析することで、操舵角θsとアーティキュレート角θaとリーニング角θlとを算出してもよい。
【0069】
或いは、操舵角センサ51、アーティキュレート角センサ52、リーニング角センサ53は、それぞれステアリングアクチュエータ41A,41Bのストローク量と、アーティキュレートシリンダ27,28のストローク量と、リーニングアクチュエータ60のストローク量とを検出するセンサであってもよい。その場合、コントローラ37は、テアリングアクチュエータ41A,41Bのストローク量と、アーティキュレートシリンダ27,28のストローク量と、リーニングアクチュエータ60のストローク量とから、それぞれ操舵角θsとアーティキュレート角θaとリーニング角θlとを算出してもよい。
【0070】
或いは、操舵角センサ51は、操舵角θsを直接的に検出してもよい。アーティキュレート角センサ52は、アーティキュレート角θaを直接的に検出してもよい。リーニング角センサ53は、リーニング角θlを直接的に検出してもよい。
【0071】
図5に示すように、作業機械1は、物体センサ61,62と、出力装置63とを備えている。物体センサ61,62は、作業機械1の周辺の物体を検出する。物体センサ61,62は、例えば、ミリ波レーダーなどのレーダー装置である。或いは、物体センサ61,62は、超音波センサ、カメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)装置などの他の種類のセンサであってもよい。物体センサは、作業機械1の周辺における物体の有無を示す信号を出力する。
【0072】
物体センサ61,62は、第1物体センサ61と第2物体センサ62とを含む。第1物体センサ61は、車体2の前方における物体を検出する。第1物体センサ61は、例えば、フロントフレーム11に取り付けられる。或いは、第1物体センサ61は、キャブ13などの他の場所に取り付けられてもよい。第2物体センサ62は、車体2の後方における物体を検出する。第2物体センサ62は、例えば、リアフレーム12に取り付けられる、或いは、第2物体センサ62は、キャブ13、或いは動力室14などの他の場所に取り付けられてもよい。
【0073】
出力装置63は、例えばディスプレイである。出力装置63は、コントローラ37からの指令信号に応じて画像を表示する。或いは、出力装置63は、スピーカーであってもよい。出力装置63は、コントローラ37からの指令信号に応じて音声を出力してもよい。
【0074】
コントローラ37は、作業機械1の周辺に検出範囲71,72を設定し、物体センサ61,62からの信号に基づいて、検出範囲71,72内の物体の有無を判定する。例えば、
図6に示すように、コントローラ37は、車体2の前方に第1検出範囲71を設定する。コントローラ37は、車体2の後方に第2検出範囲72を設定する。コントローラ37は、検出範囲71,72内に物体100を検出した場合には、出力装置63に警報を出力させる。
【0075】
コントローラ37は、第1検出範囲71の第1基準範囲73と、第2検出範囲72の第2基準範囲74とを記憶している。第1基準範囲73と第2基準範囲74とは、車体2の幅(以下、「車幅」と呼ぶ)L0に基づいて設定される。第1基準範囲73の幅と第2基準範囲74の幅とは、それぞれ作業機5を除く作業機械1の最大の車幅L0と同じである。
【0076】
コントローラ37は、操舵角θsと、アーティキュレート角θaと、リーニング角θlとに応じて、検出範囲71,72を設定する。コントローラ37は、操舵角θsと、アーティキュレート角θaと、リーニング角θlとに応じて、検出範囲71,72を基準範囲73,74から変更する。以下、コントローラ37による検出範囲71,72の設定方法について説明する。
図7及び
図8は、コントローラ37によって実行される検出範囲71,72を設定するための処理を示すフローチャートである。
【0077】
図7に示すように、ステップS1では、コントローラ37は、操舵角θsを取得する。コントローラ37は、操舵角センサ51からの信号により、操舵角θsを取得する。ステップS2では、コントローラ37は、アーティキュレート角θaを取得する。コントローラ37は、アーティキュレート角センサ52からの信号により、アーティキュレート角θaを取得する。ステップS3では、コントローラ37は、リーニング角θlを取得する。コントローラ37は、リーニング角センサ53からの信号により、リーニング角θlを取得する。
【0078】
ステップS4では、コントローラ37は、操舵角θsが0度であるかを判定する。ステップS5では、コントローラ37は、アーティキュレート角θaが0度であるかを判定する。ステップS6では、コントローラ37は、リーニング角θlが0度であるかを判定する。
【0079】
操舵角θsとアーティキュレート角θaとリーニング角θlとが0度である場合、ステップS7において、コントローラ37は、基準範囲73,74を検出範囲71,72として設定する。すなわち、コントローラ37は、作業機械1が、操舵されておらず、リーニングしておらず、直線状態で直進する場合には、基準範囲73,74を検出範囲71,72として設定する。詳細には、
図6に示すように、コントローラ37は、第1基準範囲73を第1検出範囲71として設定する。また、コントローラ37は、第2基準範囲74を第2検出範囲72として設定する。
【0080】
ステップS6において、リーニング角θlが0度ではない場合には、処理はステップS8に進む。ステップS8では、コントローラ37は、変更1の処理に従って、基準範囲73,74を変更することで、検出範囲71,72を設定する。
図9は、変更1の処理に従う検出範囲71,72を示す上面図である。
【0081】
図9に示すように、変更1の処理では、コントローラ37は、左右方向において前輪3A,3Bがリーニングしている方向(以下、「リーニング方向」と呼ぶ)と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。すなわち、コントローラ37は、作業機械1が、操舵されておらず、直線状態で、リーニングしながら直進する場合には、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。
【0082】
例えば、前輪3A,3Bが左方にリーニングしている場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を第1基準範囲73から左方に拡大する。コントローラ37は、第2検出範囲72を第2基準範囲74から左方に拡大する。また、コントローラ37は、検出範囲71,72を右方には拡大しない。この場合、検出範囲71,72の幅Lallは、以下の式(1)で表される。
Lall=L0+Ll (1)
Llは、リーニング時の検出範囲の増分である。リーニング時の増分Llは、リーニングによる前輪3A,3Bの左右方向外方への変位量を示す。リーニング時の増分Llは、以下の式(2)で表される。
Ll=D×cosθl (2)
図4に示すように、Dは前輪3A,3Bの外径である。なお、図示を省略するが、変更1の処理では、前輪3A,3Bが右方にリーニングしている場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を第1基準範囲73から右方に拡大し、第2検出範囲72を第2基準範囲74から右方に拡大する。
【0083】
ステップS5において、アーティキュレート角θaが0度ではない場合には、処理はステップS9に進む。ステップS9では、コントローラ37は、リーニング角θlが0度であるかを判定する。ステップS9において、リーニング角θlが0度である場合には、処理はステップS10に進む。
【0084】
ステップS10では、コントローラ37は、変更2の処理に従って、基準範囲73,74を変更することで、検出範囲71,72を設定する。
図10は、変更2の処理に従う検出範囲71,72を示す上面図である。
図10に示すように、変更2の処理では、コントローラ37は、アーティキュレート角θaに応じた作業機械1の旋回半径に応じて、検出範囲71,72を湾曲させる。すなわち、作業機械1が、操舵されておらず、リーニングしておらず、アーティキュレート状態で旋回する場合には、作業機械1の旋回の軌跡A1,A2に合わせて、検出範囲71,72を湾曲させる。
【0085】
例えば、作業機械1がアーティキュレート状態で左方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を左方に湾曲させる。コントローラ37は、アーティキュレート角θaと作業機械1の旋回半径との関係を示すデータを記憶しており、当該データを参照することで、アーティキュレート角θaから旋回半径を算出してもよい。検出範囲71,72の幅Lallは、基準範囲73,74の幅と同じであり、以下の式(3)で表される。
Lall=L0 (3)
なお、図示を省略するが、変更2の処理では、作業機械1がアーティキュレート状態で右方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を右方に湾曲させる。
【0086】
ステップS9において、リーニング角θlが0度ではない場合には、処理はステップS11に進む。ステップS11では、コントローラ37は、変更3の処理に従って、基準範囲73,74を変更することで、検出範囲71,72を設定する。
図11及び
図12は、変更3の処理に従う検出範囲71,72を示す上面図である。
【0087】
図11及び
図12に示すように、変更3の処理では、コントローラ37は、アーティキュレート角θaとリーニング角θlとに応じた作業機械1の旋回半径に応じて、検出範囲71,72を湾曲させると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。すなわち、コントローラ37は、作業機械1が操舵されておらず、リーニングしながら、アーティキュレート状態で旋回する場合には、変更2の処理と同様に、作業機械1の旋回の軌跡に合わせて、検出範囲71,72を湾曲させると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。例えば、コントローラ37は、アーティキュレート角θaとリーニング角θlと作業機械1の旋回半径との関係を示すデータを記憶しており、当該データを参照することで、アーティキュレート角θaとリーニング角θlとから作業機械1の旋回半径を算出してもよい。
【0088】
例えば、
図11に示すように、作業機械1が左方にリーニングしながら、アーティキュレート状態で左方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を左方に湾曲させると共に、検出範囲71,72を増分Llだけ左方に拡大する。
図12に示すように、作業機械1が右方にリーニングしながら、アーティキュレート状態で左方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を左方に湾曲させると共に、検出範囲71,72を増分Llだけ右方に拡大する。検出範囲71,72の幅Lallは、上述した(1)式で表される。
【0089】
なお、図示を省略するが、変更3の処理では、作業機械1がアーティキュレート状態によって右方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を右方に湾曲させると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。
【0090】
ステップS4において、操舵角θsが0度ではない場合には、処理は、
図8に示すステップS12に進む。ステップS12では、コントローラ37は、アーティキュレート角θaが0度であるかを判定する。ステップS13では、コントローラ37は、リーニング角θlが0度であるかを判定する。アーティキュレート角θaとリーニング角θlとがともに0度である場合には、処理はステップS14に進む。
【0091】
ステップS14では、コントローラ37は、変更4の処理に従って、基準範囲73,74を変更することで、検出範囲71,72を設定する。
図13は、変更4の処理に従う検出範囲71,72を示す上面図である。
図13に示すように、変更4の処理では、コントローラ37は、操舵角θsに応じた作業機械1の旋回半径に応じて、検出範囲71,72を湾曲させる。すなわち、作業機械1が、リーニングしておらず、直線状態で、操舵により旋回する場合には、作業機械1の旋回の軌跡に合わせて、検出範囲71,72を湾曲させる。
【0092】
例えば、
図13に示すように、作業機械1が操舵によって左方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を左方に湾曲させる。例えば、コントローラ37は、操舵角θsと作業機械1の旋回半径との関係を示すデータを記憶しており、当該データを参照することで、操舵角θsから旋回半径を算出してもよい。検出範囲71,72の幅Lallは、基準範囲73,74の幅と同じであり、上述した式(3)で表される。なお、図示を省略するが、変更4の処理では、作業機械1が操舵によって右方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を右方に湾曲させる。
【0093】
ステップS13において、リーニング角θlが0度ではない場合には、処理はステップS15に進む。ステップS15では、コントローラ37は、変更5の処理に従って、基準範囲73,74を変更することで、検出範囲71,72を設定する。
図14及び
図15は、変更5の処理に従う検出範囲71,72を示す上面図である。
【0094】
図14及び
図15に示すように、変更5の処理では、コントローラ37は、操舵角θsとリーニング角θlとに応じた作業機械1の旋回半径に応じて、検出範囲71,72を湾曲させると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。すなわち、コントローラ37は、作業機械1が直線状態で、リーニングしながら、操舵によって旋回する場合には、作業機械1の旋回の軌跡に合わせて、検出範囲71,72を湾曲させると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。コントローラ37は、操舵角θsとリーニング角θlと作業機械1の旋回半径との関係を示すデータを記憶しており、当該データを参照することで、操舵角θsとリーニング角θlとから、作業機械1の旋回半径を算出してもよい。
【0095】
例えば、
図14に示すように、作業機械1が左方にリーニングしながら、操舵によって左方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を左方に湾曲させると共に、検出範囲71,72を増分Llだけ左方に拡大する。
図15に示すように、作業機械1が右方にリーニングしながら、操舵によって左方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を左方に湾曲させると共に、検出範囲71,72を増分Llだけ右方に拡大する。検出範囲71,72の幅Lallは、上述した式(1)で表される。
【0096】
なお、図示を省略するが、変更5の処理では、作業機械1が操舵によって右方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を右方に湾曲させると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。
【0097】
ステップS12において、アーティキュレート角θaが0度ではない場合には、処理はステップS16に進む。ステップS16では、コントローラ37は、操舵角θsと、アーティキュレート角θaの正負を逆にした値が同じ(すなわち、θs=-θa)であるかを判定する。操舵角θsと、アーティキュレート角θaの正負を逆にした値が同じである場合には、処理はステップS17に進む。ステップS17では、コントローラ37はリーニング角θlが0度であるかを判定する。リーニング角θlが0度である場合には、処理は、ステップS18に進む。
【0098】
ステップS18では、コントローラ37は、変更6の処理に従って、基準範囲73,74を変更することで、検出範囲71,72を設定する。
図16は、変更6の処理に従う検出範囲71,72を示す上面図である。
【0099】
図16に示すように、操舵角θsと、アーティキュレート角θaの正負を逆にした値とが同じである場合には、作業機械1は、アーティキュレート状態で直進する。変更6の処理では、コントローラ37は、アーティキュレート角θaに応じて基準範囲73,74を左右方向に拡大する。コントローラ37は、左右方向においてリアフレーム12に対するフロントフレーム11の屈曲方向(以下、「アーティキュレート方向」と呼ぶ)と反対側に、第1検出範囲71を第1基準範囲73から拡大する。また、コントローラ37は、アーティキュレート方向と同じ側に、第2検出範囲72を第2基準範囲74から拡大する。
【0100】
例えば、
図16に示すように、フロントフレーム11がリアフレーム12に対して左方に屈曲した状態で、作業機械1が直進する場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を第1基準範囲73から右方に拡大し、第2検出範囲72を第2基準範囲74から左方に拡大する。この場合、検出範囲71,72の幅Lallは、以下の式(4)で表される。
Lall=L0+La (4)
Laは、アーティキュレート状態での検出範囲の増分である。
図4に示すように、アーティキュレート状態での増分Laは、アーティキュレート状態での前輪3A,3Bの左右方向外方への変位量を示す。アーティキュレート状態での増分Laは、以下の式(5)で表される。
La=Lf×sinθa (5)
図3に示すように、Lfは、アーティキュレート軸44とアクスルビーム56の中心P1との間の距離である。なお、図示を省略するが、変更6の処理では、フロントフレーム11がリアフレーム12に対して右方に屈曲している状態で直進する場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を第1基準範囲73から左方に拡大し、第2検出範囲72を第2基準範囲74から右方に拡大する。
【0101】
ステップS17おいて、リーニング角θlが0度ではない場合には、処理はステップS19に進む。ステップS19では、コントローラ37は、変更7の処理に従って、基準範囲73,74を変更することで、検出範囲71,72を設定する。
図17及び
図18は、変更7の処理に従う検出範囲71,72を示す上面図である。
【0102】
図17に示すように、変更7の処理では、コントローラ37は、アーティキュレート角θaに応じて基準範囲73,74を左右方向に拡大すると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。すなわち、コントローラ37は、作業機械1が、リーニングしながら、アーティキュレート状態で直進する場合には、アーティキュレート角θaに応じて検出範囲71,72を基準範囲73,74から左右方向に拡大すると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を基準範囲73,74から拡大する。
【0103】
例えば、
図17に示すように、作業機械1が左方にリーニングしながら、左方へのアーティキュレート状態で直進する場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を右方に増分Laだけ拡大すると共に、第1検出範囲71を増分Llだけ左方に拡大する。また、コントローラ37は、第2検出範囲72を左方に増分Laだけ拡大すると共に、第2検出範囲72を増分Llだけ左方に拡大する。この場合、検出範囲71,72の幅Lallは、以下の式(6)で表される。
Lall=L0+La+Ll (6)
ただし、
図18に示すように、リーニング方向がアーティキュレート方向と逆である場合には、コントローラ37は、リーニング時の増分Llによる検出範囲71,72の拡大を行わない。すなわち、コントローラ37は、リーニング方向がアーティキュレート方向と同じである場合に、上述した変更7の処理を行う。
【0104】
なお、図示を省略するが、変更7の処理では、フロントフレーム11が右方にリーニングしながら、右方へのアーティキュレート状態で直進する場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を左方に増分Laだけ拡大すると共に、第1検出範囲71を右方に増分Llだけ拡大する。また、コントローラ37は、第2検出範囲72を右方に増分Laだけ拡大すると共に、第2検出範囲72を右方に増分Llだけ拡大する。
【0105】
ステップS16において、操舵角θsと、アーティキュレート角θaの正負を逆にした値とが異なる場合(すなわち、θs≠θa)には、処理はステップ20に進む。
【0106】
ステップS20では、コントローラ37はリーニング角θlが0度であるかを判定する。リーニング角θlが0度である場合には、処理は、ステップS21に進む。ステップS21では、変更8の処理に従って、基準範囲73,74を変更することで、検出範囲71,72を設定する。
図19及び
図20は、変更8の処理に従う検出範囲71,72を示す上面図である。
【0107】
図19に示すように、変更8の処理では、作業機械1の旋回方向とアーティキュレート方向とが同じである場合には、コントローラ37は、アーティキュレート角θaと操舵角θsとに応じた作業機械1の旋回半径に応じて、検出範囲71,72を湾曲させる。すなわち、作業機械1が、リーニングしていない状態で、アーティキュレート角θaと操舵角θsとによって旋回する場合には、作業機械1の旋回の軌跡に合わせて、検出範囲71,72を湾曲させる。
【0108】
例えば、作業機械1がアーティキュレート角θaと操舵角θsとによって左方に旋回する場合(θs>-θa)には、コントローラ37は、検出範囲71,72を左方に湾曲させる。コントローラ37は、アーティキュレート角θaと操舵角θsと作業機械1の旋回半径との関係を示すデータを記憶しており、当該データを参照することで、アーティキュレート角θaと操舵角θsとから旋回半径を算出してもよい。検出範囲71,72の幅Lallは、基準範囲73,74の幅と同じであり、上述した式(3)で表される。
【0109】
なお、図示を省略するが、変更8の処理では、作業機械1の旋回方向とアーティキュレート方向が同じであり、作業機械1が、アーティキュレート角θaと操舵角θsとによって右方に旋回する場合(θs<-θa)には、コントローラ37は、検出範囲71,72を右方に湾曲させる。
【0110】
図20に示すように、変更8の処理では、操舵角θsと、アーティキュレート角θaの正負を逆にした値とが異なると共に、作業機械1の旋回方向とアーティキュレート方向とが逆である場合には、コントローラ37は、アーティキュレート角θaと操舵角θsとに応じた作業機械1の旋回半径に応じて、検出範囲71,72を湾曲させると共に、アーティキュレート角θaに応じて基準範囲73,74を左右方向に拡大する。
【0111】
例えば、
図20に示すように、アーティキュレート方向が左方であり、作業機械1の旋回方向が右方である場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を第1基準範囲73から右方に拡大すると共に、第1検出範囲71を右方へ湾曲させる。また、コントローラ37は、第2検出範囲72を第2基準範囲74から左方に拡大すると共に、第2検出範囲72を右方へ湾曲させる。この場合、検出範囲71,72の幅Lallは、上述した式(4)で表される。
【0112】
なお、図示を省略するが、変更8の処理では、操舵角θsと、アーティキュレート角θaの正負を逆にした値とが異なると共に、アーティキュレート方向が右方であり、作業機械1の旋回方向が左方である場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を第1基準範囲73から左方に拡大すると共に、第1検出範囲71を左方へ湾曲させる。また、コントローラ37は、第2検出範囲72を第2基準範囲74から右方に拡大すると共に、第2検出範囲72を左方へ湾曲させる。
【0113】
ステップS20おいて、リーニング角θlが0度ではない場合には、処理はステップS22に進む。ステップS22では、コントローラ37は、変更9の処理に従って、基準範囲73,74を変更することで、検出範囲71,72を設定する。
図21から
図24は、変更9の処理に従う検出範囲71,72を示す上面図である。
【0114】
図21及び
図22に示すように、変更9の処理では、アーティキュレート方向と作業機械1の旋回方向とが同じである場合には、コントローラ37は、アーティキュレート角θaと操舵角θsとリーニング角θlとに応じた作業機械1の旋回半径に応じて、検出範囲71,72を湾曲させると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。すなわち、コントローラ37は、リーニングしながら、アーティキュレート角θaと操舵角θsとによって旋回する場合には、作業機械1の旋回の軌跡に合わせて、検出範囲71,72を湾曲させると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。コントローラ37は、アーティキュレート角θaと操舵角θsとリーニング角θlと作業機械1の旋回半径との関係を示すデータを記憶しており、当該データを参照することで、アーティキュレート角θaと操舵角θsとリーニング角θlとから、作業機械1の旋回半径を算出してもよい。
【0115】
例えば、
図21に示すように、作業機械1が左方にリーニングしながら、アーティキュレート角θaと操舵角θsとによって左方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を左方に湾曲させると共に、検出範囲71,72を増分Llだけ左方に拡大する。
図22に示すように、作業機械1が右方にリーニングしながら、アーティキュレート角θaと操舵角θsとによって左方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を左方に湾曲させると共に、検出範囲71,72を増分Llだけ右方に拡大する。検出範囲71,72の幅Lallは、上述した(1)式で表される。
【0116】
なお、図示を省略するが、変更9の処理では、アーティキュレート方向と作業機械1の旋回方向とが同じであり、作業機械1が右方に旋回する場合には、コントローラ37は、検出範囲71,72を右方に湾曲させると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。
【0117】
図23に示すように、変更9の処理では、アーティキュレート方向と作業機械1の旋回方向とが反対であり、リーニング方向がアーティキュレート方向と同じである場合には、コントローラ37は、アーティキュレート角θaと操舵角θsとリーニング角θlとに応じた作業機械1の旋回半径に応じて、検出範囲71,72を湾曲させ、アーティキュレート角θaに応じて基準範囲73,74を左右方向に拡大すると共に、リーニング方向と同じ側に、検出範囲71,72を拡大する。
【0118】
例えば、
図23に示すように、アーティキュレート方向が左方であり、作業機械1の旋回方向が右方であり、リーニング方向が左方である場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を第1基準範囲73からアーティキュレート状態での増分Laだけ右方に拡大し、第1検出範囲71を第1基準範囲73からリーニング時の増分Llだけ左方に拡大すると共に、第1検出範囲71を右方へ湾曲させる。また、コントローラ37は、第2検出範囲72を第2基準範囲74から左方に増分Laだけ拡大し、第2検出範囲72を第2基準範囲74から増分Llだけ左方に拡大すると共に、第2検出範囲72を右方へ湾曲させる。この場合、検出範囲71,72の幅Lallは、上述した式(6)で表される。
【0119】
なお、図示を省略するが、アーティキュレート方向が右方であり、作業機械1の旋回方向が左方であり、リーニング方向が右方である場合には、コントローラ37は、第1検出範囲71を第1基準範囲73から増分Laだけ左方に拡大し、第1検出範囲71を第1基準範囲73から増分Llだけ右方に拡大すると共に、第1検出範囲71を左方へ湾曲させる。また、コントローラ37は、第2検出範囲72を第2基準範囲74から増分Laだけ右方に拡大し、第2検出範囲72を第2基準範囲74から増分Llだけ右方に増大すると共に、第2検出範囲72を左方へ湾曲させる。
【0120】
ただし、
図24に示すように、変更9の処理では、アーティキュレート方向と作業機械1の旋回方向とが反対であり、リーニング方向がアーティキュレート方向と反対である場合には、リーニング時の増分Llによる検出範囲71,72の拡大を行わない。この場合、検出範囲71,72の幅Lallは、上述した式(4)で表される。
【0121】
以上説明した本実施形態に係る作業機械1では、アーティキュレート角θaとリーニング角θlと操舵角θsとに応じて、作業機械1の周辺の物体の検出範囲71,72が設定される。それにより、作業機械1の周辺に物体が存在するか否かを適切に判定することができる。
【0122】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0123】
作業機械1の構成は、上記のものに限らず、変更されてもよい。例えば、作業機5の構成が変更されてもよい。作業機械1の制御システムの一部は、作業機械1の外部に配置されてもよい。例えば、作業機械1の各種の操作部材46-50と出力装置63とが作業機械1の外部に配置されてもよい。
【0124】
コントローラ37は、複数のコントローラによって構成されてもよい。上述した処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。複数のコントローラの一部は、作業機械1の外部に配置されてもよい。
【0125】
物体が検出範囲71,72内で検出された場合の処理は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、物体が検出範囲71,72内で検出された場合、コントローラ37は、作業機3、及び/又は、車体2を停止させる、或いは動作を制限するなどの処理を行ってもよい。
【0126】
検出範囲71,72を設定するための処理は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。コントローラ37は、車体2の前方と後方とのいずれかのみに検出範囲を設定してもよい。コントローラ37は、作業機械1が前進している場合に、車体2の前方に第1検出範囲71を設定してもよい。コントローラ37は、作業機械1が後進している場合に、車体2の後方に第2検出範囲72を設定してもよい。
【0127】
検出範囲71,72の変更の処理を判定するためのアーティキュレート角θaと操舵角θsとリーニング角θlとの閾値は、0度に限らず、他の値であってもよい。例えば、アーティキュレート角θaの閾値は、作業機械1が直線状態と見なせる程度の小さな値であってもよい。操舵角θsの閾値は、作業機械1が操舵されていないと見なせる程度の小さな値であってもよい。リーニング角θlの閾値は、作業機械1がリーニングしていないと見なせる程度の小さな値であってもよい。リーニング方向に応じた検出範囲71,72の変更は省略されてもよい。
【0128】
コントローラ37は、上記の検出範囲71,72の幅Lallに、検出の誤差を考慮した任意のマージン幅を追加してもよい。例えば、
図25に示すように、コントローラ37は、基準範囲73,74の左右にマージン幅Ltを追加することで、検出範囲71,72を設定してもよい。上述した変更1~変更9の処理によって決定される検出範囲71,72についても同様に、検出範囲71,72の左右にそれぞれマージン幅Ltが追加されてもよい。
【0129】
上記の実施形態では、車体2の前部の車幅と後部の車幅が同じであるが、車体2の前部の車幅と後部の車幅とは異なってもよい。その場合、コントローラ37は、前部の車幅を第1基準範囲73の幅として、第1検出範囲71の幅を算出してもよい。コントローラ37は、後部の車幅を第2基準範囲74の幅として、第2検出範囲72の幅を算出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明によれば、作業機械の周辺に物体が存在するか否かを適切に判定することができる。
【符号の説明】
【0131】
2:車体、 3A,3B:走行輪、 11:フロントフレーム、 12:リアフレーム、 27,28:アーティキュレートアクチュエータ、 37:コントローラ、 41A,41B:ステアリングアクチュエータ、 51:操舵角センサ、 52:アーティキュレート角センサ、 53:リーニング角センサ、 60:リーニングアクチュエータ、 61,62:物体センサ、 71,72:検出範囲、 73,74:基準範囲、 θa:アーティキュレート角、 θl:リーニング角、 θs:操舵角