IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メディカルシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-医用画像処理装置 図1
  • 特開-医用画像処理装置 図2
  • 特開-医用画像処理装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102635
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】医用画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20230718BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20230718BHJP
   G16H 30/40 20180101ALI20230718BHJP
【FI】
A61B6/03 370E
A61B6/00 350S
G16H30/40
A61B6/03 360T
A61B6/00 360Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003250
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】岩村 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】オン グアン イ
(72)【発明者】
【氏名】水口 麻希
(72)【発明者】
【氏名】長尾 貴正
【テーマコード(参考)】
4C093
5L099
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA18
4C093FF34
4C093FF35
4C093FF50
4C093FG13
4C093FG16
4C093FH09
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】比較対象となる画像データの選択を支援すること。
【解決手段】医用画像処理装置は、指定部と、選択部と、第1生成部と、表示制御部と、第2生成部とを備える。前記指定部は、第1画像データを指定する。前記選択部は、複数の画像データを有する複数の画像データセットから、第2画像データを一又は複数選択する。前記第1生成部は、前記第1画像データと、一又は複数の前記第2画像データとの其々の差分画像を生成する。前記表示制御部は、前記第1生成部により生成された前記差分画像の一覧を示す一覧画像を表示させる。前記第2生成部は、前記一覧画像から選択された前記差分画像の基になった前記第2画像データを有する前記画像データセットの複数の前記画像データと、前記第1画像データとの其々の差分画像を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像データを指定する指定部と、
複数の画像データを有する複数の画像データセットから、第2画像データを一又は複数選択する選択部と、
前記第1画像データと、一又は複数の前記第2画像データとの其々の差分画像を生成する第1生成部と、
前記第1生成部により生成された前記差分画像の一覧を有する一覧画像を表示させる表示制御部と、
前記一覧画像から選択された前記差分画像の基になった前記第2画像データを有する前記画像データセットの複数の前記画像データと、前記第1画像データとの其々の差分画像を生成する第2生成部と、
を備える医用画像処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記差分画像と、当該差分画像の基なった前記第2画像データに関する情報とを対応付けて表示させる、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
複数の前記画像データセットから、前記第2画像データを選択する前記画像データセットを特定する特定部を更に備え、
前記選択部は、前記特定部により特定された前記画像データセットが有する複数の前記画像データから前記第2画像データを選択する。
請求項1又は請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記差分画像の基なった前記第2画像データが重要と推定されることを示す第1マークを当該差分画像に対応付けて表示する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記差分画像の基なった前記第2画像データに含まれる患者の部位を当該差分画像に対応付けて表示する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記差分画像の基なった前記第1画像データと前記第2画像データとの差分内容を当該差分画像に対応付けて表示する、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記差分画像の基なった前記第2画像データを有する前記画像データセットを選択すべき優先順位を当該差分画像に対応付けて表示する。
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記差分画像が生成されていない画像データであって、重要と推定される前記画像データを含む前記一覧画像を表示する、
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記差分画像が生成されていない画像データであって、重要と推定される前記画像データであることを示す第2マークを当該画像データに対応付けて表示する、
請求項8に記載の医用画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置に関する。
【0002】
従来、医用画像処理装置は、医師などの医療従事者が腫瘍や骨の経時的変化の確認を容易にするために、指定された画像データ間の差分を表示することがある。例えば、医療従事者は、経時的変化を診察するために、今回の検査による撮影した画像データと、前回の検査による撮影した画像データとを指定する。そして、医用画像処理装置は、両方の画像データ間の差分を表示させる。
【0003】
医療従事者は、比較対象が前回の検査の画像データに限らず、他の画像データと比較したい場合がある。この場合、医療従事者は、画像リストから比較対象の画像データを選択する。しかしながら、医療従事者は、選択すべき画像データを特定することが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-277558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、比較対象となる画像データの選択を支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像処理装置は、指定部と、選択部と、第1生成部と、表示制御部と、第2生成部とを備える。前記指定部は、第1画像データを指定する。前記選択部は、複数の画像データを有する複数の画像データセットから、第2画像データを一又は複数選択する。前記第1生成部は、前記第1画像データと、一又は複数の前記第2画像データとの其々の差分画像を生成する。前記表示制御部は、前記第1生成部により生成された前記差分画像の一覧を示す一覧画像を表示させる。前記第2生成部は、前記一覧画像から選択された前記差分画像の基になった前記第2画像データを有する前記画像データセットの複数の前記画像データと、前記第1画像データとの其々の差分画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係る医用画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、サンプル一覧画像の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る医用画像処理装置が実行する差分画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に関する医用画像処理装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
(本実施形態)
図1は、本実施形態に係る医用画像処理装置10の構成の一例を示すブロック図である。医用画像処理装置10は、2以上の画像データ間の差分の表示において、比較対象の画像データの選択を支援する装置である。例えば、医用画像処理装置10は、パーソナルコンピュータやタブレット端末等のコンピュータ機器によって実現される。
【0010】
例えば、医用画像処理装置10は、NW(ネットワーク)インタフェース110と、入力インタフェース120と、ディスプレイ130と、記憶回路140と、処理回路150とを有する。
【0011】
NWインタフェース110は、処理回路150に接続され、ネットワークを介して接続された各装置との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、NWインタフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0012】
入力インタフェース120は、処理回路150に接続され、操作者(医療従事者)から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路150に出力する。具体的には、入力インタフェース120は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路150に出力する。例えば、入力インタフェース120は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、入力インタフェース120は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース120の例に含まれる。
【0013】
ディスプレイ130は、処理回路150に接続され、処理回路150から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ130は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0014】
記憶回路140は、処理回路150に接続され、各種データを記憶する。また、記憶回路140は、処理回路150が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。例えば、記憶回路140は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0015】
処理回路150は、医用画像処理装置10全体の動作を制御する。処理回路150は、例えば、画像指定機能151、比較対象取得機能152、画像データ取得機能153、類似度算出機能154、比較対象特定機能155、部位検出機能156、サンプル画像生成機能157、優先度算出機能158、差分抽出機能159、表示制御機能160、操作制御機能161、及び差分画像生成機能162を有する。実施形態では、構成要素である画像指定機能151、比較対象取得機能152、画像データ取得機能153、類似度算出機能154、比較対象特定機能155、部位検出機能156、サンプル画像生成機能157、優先度算出機能158、差分抽出機能159、表示制御機能160、操作制御機能161、及び差分画像生成機能162にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路140へ記憶されている。処理回路150は、プログラムを記憶回路140から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することになる。
【0016】
なお、図1においては単一のプロセッサにて、画像指定機能151、比較対象取得機能152、画像データ取得機能153、類似度算出機能154、比較対象特定機能155、部位検出機能156、サンプル画像生成機能157、優先度算出機能158、差分抽出機能159、表示制御機能160、操作制御機能161、及び差分画像生成機能162を実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、図1においては、記憶回路140等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路150は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0017】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路140に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路140にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0018】
ところで、医療従事者は、医用画像診断装置により画像データを撮影した場合に、今回撮影した画像データと、過去に撮影した画像データとを比較することがある。しかしながら、医療従事者は、過去に撮影した画像データが複数ある場合、比較対象として選択すべき画像データの特定が困難なことがある。例えば、患者が複数の病気に罹患している場合、患者は、病気ごとに病気に応じた検査を受けることがある。このような場合、今回の検査内容と前回の検査内容とが一致しないことがある。そして、検査内容が異なっている場合、医療従事者は、画像データの差分が表示されても有意義な診断を行うことができない。そこで、医用画像処理装置10は、以下機能により、比較対象となる画像データの選択を支援する。
【0019】
画像指定機能151は、第1画像データを指定する。画像指定機能151は、指定部の一例である。ここで、第1画像データは、X線CT(Computed Tomography)装置や、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、X線診断装置、超音波診断装置、又はマンモグラフィ装置等の医用画像診断装置により撮影された医用画像データである。第1画像データには、患者が含まれている。
【0020】
更に詳しくは、画像指定機能151は、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)等に記憶されている医用画像診断装置により撮影された画像データのうち、医療従事者等により選択された画像データを第1画像データに指定する。また、第1画像データは、3次元のボリュームデータから選択された画像データであってもよい。
【0021】
比較対象取得機能152は、画像指定機能151により指定された第1画像データの比較対象として、複数の画像データを有する画像データセットを一又は複数取得する。例えば、画像データセットは、医用画像診断装置により撮影された3次元のボリュームデータなどの複数の画像データである。更に詳しくは、比較対象取得機能152は、PACSから一又は複数の画像データセットを取得する。すなわち、比較対象取得機能152は、過去に患者を撮影した画像データセットを取得する。
【0022】
画像データ取得機能153は、比較対象取得機能152により取得された画像データセットが有する画像データに関する情報を取得する。更に詳しくは、画像データ取得機能153は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)のタグや、読影レポートや、電子カルテ情報などから、画像データに関する情報を取得する。
【0023】
画像データに関する情報には、例えば、画像データの一致度、撮影条件、及びシリーズ記述などがある。一致度は、画像指定機能151により指定された第1画像データと、比較対象取得機能152により取得された画像データセットから選択された第2画像データとの一致の度合いである。撮影条件は、医用画像診断装置が撮影した画像データの撮影の条件である。例えば、撮影条件は、撮影範囲や、管電圧や、造影剤の有無などである。シリーズ記述は、医用画像診断装置を操作する技師等の医療従事者により記載された画像データセットの内容を説明する情報である。
【0024】
類似度算出機能154は、画像指定機能151により指定された第1画像データと、比較対象取得機能152が取得した画像データセットが有する画像データとの類似度を算出する。ここで、医療従事者は、頭部と腹部などのように全く異なる画像データを比較しても意味がない。言い換えると、医用画像処理装置10は、類似している画像データを比較すべきである。そこで、類似度算出機能154は、第1画像データを有する画像データセットと、比較対象取得機能152が取得した画像データセットとの類似度を算出する。例えば、類似度算出機能154は、第1画像データの画像データに関する情報と、比較対象取得機能152が取得した画像データセットの画像データに関する情報と、が一致している項目の数などより類似度を算出する。
【0025】
比較対象特定機能155は、複数の画像データを有する複数の画像データセットから、画像指定機能151により指定された第1画像データとの差分を示すサンプル画像の基になる第2画像データを一又は複数選択する。比較対象特定機能155は、選択部の一例である。サンプル画像とは、正式な差分画像の生成において、医療従事者が何れの画像データセットを選択すべきなのかを分かりやすくするために、サンプルとして生成される差分画像である。具体的には、サンプル画像とは、画像データセットが有する一部の画像データと、第1画像データとの差分を示す差分画像である。このように、医用画像処理装置10は、画像データセットが有する全ての画像データではなく、一部の画像データにすることにより、差分画像の生成にかかる処理時間を削減する。
【0026】
例えば、比較対象特定機能155は、比較対象取得機能152が取得した複数の画像データセットから、サンプル画像を生成する基になる第2画像データを選択する画像データセットを特定する。例えば、比較対象特定機能155は、画像指定機能151により指定された第1画像データと、比較対象取得機能152により取得された複数の画像データセットが有する画像データとの類似度に基づいて、画像データセットを特定する。比較対象特定機能155は、特定部の一例である。例えば、比較対象特定機能155は、類似度が閾値以上の画像データセットを特定する。または、比較対象特定機能155は、比較対象取得機能152が取得した複数の画像データセットのうち、同一の患者が同一の目的で受けた検査、つまり前回の検査の画像データセットを、第2画像データを選択する画像データセットとして特定する。
【0027】
また、比較対象特定機能155は、特定した画像データセットの含まれる複数の画像データから、サンプル画像の基になる第2画像データを選択する。すなわち、比較対象特定機能155は、差分画像の基になる第2画像データを選択する。例えば、比較対象特定機能155は、画像データセットに含まれる画像データのうち、設定された位置にある画像データを第2画像データとして選択する。具体的には、比較対象特定機能155は、画像データセットの先頭、中央、末尾などの設定された位置にある画像データを第2画像データとして選択する。
【0028】
または、比較対象特定機能155は、画像データセットに含まれる画像データのうち、重要と推定される重要推定画像データを第2画像データとして選択する。例えば、重要推定画像データは、検査結果が記載された読影レポートに含まれている画像データや、医療従事者の所見が記載された画像データや、マーキングや注釈などの情報が追加された画像データや、電子カルテ情報で参照されている画像データ等である。なお、重要推定画像データは、上述した画像データに限らず、他の画像データであってもよい。また、比較対象特定機能155は、類似度が閾値以上の画像データセットから重要推定画像データを検出してもよいし、比較対象取得機能152により取得された画像データセットから重要推定画像データを検出してもよい。
【0029】
部位検出機能156は、比較対象特定機能155により選択された第2画像データに含まれる患者の部位を特定する。例えば、部位検出機能156は、第2画像データに含まれる解剖学的特徴を検出する。そして、部位検出機能156は、検出した解剖学的特徴と、第2画像データの解剖学的特徴の座標とにより患者の部位を特定する。患者の部位は、第2画像データの説明に使用される。
【0030】
差分抽出機能159は、画像指定機能151により指定された第1画像データと、比較対象特定機能155により選択された第2画像データとを比較することにより差分内容を抽出する。例えば、差分抽出機能159は、第1画像データと第2画像データとの少なくとも何れか一方に含まれる腫瘍の数の差分や、腫瘍の大きさの差分や、患者の体重や、患者の年齢を差分内容として抽出する。なお、差分抽出機能159は、第1画像データと第2画像データとの差分として、腫瘍の数、腫瘍の大きさ、患者の体重、又は患者の年齢に限らず、他の内容について差分内容を抽出してもよい。
【0031】
サンプル画像生成機能157は、画像指定機能151により指定された第1画像データと、比較対象特定機能155により選択された一又は複数の第2画像データとの其々の差分画像を生成する。サンプル画像生成機能157は、第1生成部の一例である。このように、サンプル画像生成機能157は、画像データセットから選択された第2画像データと、第1画像データとの差分画像をサンプル画像として生成する。
【0032】
優先度算出機能158は、正式な差分画像の生成の基にすべき度合いを示す優先度をサンプル画像ごとに算出する。優先度算出機能158は、画像データ取得機能153により取得された画像データに関する情報、部位検出機能156により検出された部位、及び差分抽出機能159により抽出された差分内容に基づいて、優先度を算出する。例えば、優先度算出機能158は、第1画像データと第2画像データとの其々の画像データに関する情報の一致度、部位の一致度、差分内容の一致度を算出することにより優先度を算出する。
【0033】
表示制御機能160は、サンプル画像生成機能157により生成された2つの画像データの差分を示すサンプル画像の一覧を有するサンプル一覧画像G1をディスプレイ130に表示させる。表示制御機能160は、表示制御部の一例である。
【0034】
図2は、サンプル一覧画像G1の一例を示す図である。サンプル一覧画像G1は、サンプル画像生成機能157により生成されたサンプル画像の一覧である。更に詳しくは、サンプル一覧画像G1は、比較対象特定機能155が第2画像データを選択した選択条件及び第2画像データが撮影された日付ごとに、サンプル画像及びサンプル画像の基なった第2画像データに関する情報が示されている。
【0035】
選択条件とは、サンプル画像の生成において、サンプル画像の基になった第2画像データを選択した条件である。例えば、選択条件とは、前回の検査で撮影した画像データセットの指定された位置の画像データであることや、アノテーションや注釈などの情報が付加された画像データであることや、所見が作成された画像データであること等である。また、選択条件は、サンプル画像、つまり差分画像は生成していないが、重要な画像データであると推定されることであってもよい。
【0036】
サンプル一覧画像G1において、表示制御機能160は、サンプル画像と、サンプル画像の基なった第2画像データに関する情報とを対応付けて表示させる。例えば、表示制御機能160は、サンプル画像の基なった第2画像データに関する情報として、概要説明、部位、差分、優先順位等を表示させる。概要説明は、第1画像データと第2画像データとの一致度、撮影条件、及びシリーズ記述等のサンプル画像の基になった第2画像データの画像データに関する情報である。すなわち、表示制御機能160は、差分画像の基なった第2画像データの概要説明を差分画像に対応付けて表示する。
【0037】
部位は、部位検出機能156により検出されたサンプル画像の基になった第2画像データに含まれる患者の部位である。すなわち、表示制御機能160は、サンプル画像の基なった第2画像データに含まれる患者の部位をサンプル画像に対応付けて表示する。
【0038】
差分は、差分抽出機能159により抽出された第1画像データと第2画像データとの差分内容を示す情報である。すなわち、表示制御機能160は、サンプル画像の基なった第2画像データの差分内容をサンプル画像に対応付けて表示する。
【0039】
優先順位は、優先度算出機能158により算出された優先度の順位である。すなわち、表示制御機能160は、サンプル画像の基なった第2画像データを有する画像データセットを選択すべき優先順位をサンプル画像に対応付けて表示する。
【0040】
図2に示すサンプル一覧画像G1において、選択条件Aには、日付「2021,03,17」日付「2021,03,10」日付「2021,03,03」日付「2021,02,24」にサンプル画像が提示され、概要説明、部位、差分、及び優先順位が提示された状態を示している。また、選択条件Bには、日付「2021,03,17」日付「2021,03,10」にサンプル画像が提示され、概要説明、部位、差分、及び優先順位が提示された状態を示している。また、選択条件Cには、日付「2021,02,17」にサンプル画像が提示され、概要説明、部位、差分、及び優先順位が提示された状態を示している。また、図2に示すサンプル一覧画像G1において、「N/A」は該当するデータが無いことを示している。
【0041】
また、表示制御機能160は、サンプル画像の基になった第2画像データが重要推定画像データの場合に、該当するサンプル画像に対して第1重要推定マークG11を付加する。すなわち、表示制御機能160は、サンプル画像の基なった第2画像データが重要と推定されることを示す第1重要推定マークG11をサンプル画像に対応付けて表示する。第1重要推定マークG11は、第1マークの一例である。
【0042】
また、選択条件が、サンプル画像は生成していないが重要な画像データであると推定されることの場合に、表示制御機能160は、サンプル画像が生成されていない画像データであって、重要と推定される画像データを含むサンプル一覧画像G1を表示させる。また、表示制御機能160は、該当する画像データに対して第2重要推定マークG12を付加する。すなわち、表示制御機能160は、サンプル画像が生成されていない前記画像データであって、重要と推定される画像データであることを示す第2重要推定マークG12を画像データに対応付けて表示する。第2重要推定マークG12は、第2マークの一例である。
【0043】
図2に示すサンプル一覧画像G1において、第1重要推定マークG11は、選択条件Aの日付「2021,03,17」日付「2021,03,03」、及び選択条件Bの日付「2021,03,10」のサンプル画像に対応付けられている。また、第2重要推定マークG12は、選択条件Cの日付「2021,02,17」のサンプル画像に対応付けられている。
【0044】
操作制御機能161は、差分画像を生成する対象となる画像データセットを選択する操作を受け付ける。例えば、操作制御機能161は、サンプル一覧画像G1に含まれるサンプル画像を選択する操作を受け付ける。操作制御機能161は、選択されたサンプル画像の基になった第2画像データを有する画像データセットを、差分画像を生成する対象となる画像データセットとして受け付ける。
【0045】
差分画像生成機能162は、サンプル一覧画像G1から選択されたサンプル画像の基になった第2画像データを有する画像データセットの複数の画像データと、画像指定機能151より指定された第1画像データとの其々の差分画像を生成する。差分画像生成機能162は、第2生成部の一例である。すなわち、差分画像生成機能162は、操作制御機能161がサンプル一覧画像G1からサンプル画像を選択する操作を受け付けた場合に、差分画像を生成する。
【0046】
次に、医用画像処理装置10が実行する差分画像生成処理について説明する。図3は、本実施形態に係る医用画像処理装置10が実行する差分画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0047】
画像指定機能151は、比較対象の画像データである第1画像データを指定する(ステップS1)。
【0048】
比較対象取得機能152は、一又は複数の画像データを有する画像データセットを取得する(ステップS2)。
【0049】
比較対象特定機能155は、比較対象取得機能152が取得した画像データセットから第2画像データを一又は複数選択する(ステップS3)。
【0050】
部位検出機能156は、第2画像データに含まれる患者の部位を検出する(ステップS4)。
【0051】
サンプル画像生成機能157は、第1画像データと、一又は複数の第2画像データとの其々の差分を示すサンプル画像を生成する(ステップS5)。
【0052】
優先度算出機能158は、正式な差分画像の生成の基にすべき度合いを示す優先度を算出する(ステップS6)。
【0053】
差分抽出機能159は、第1画像データと、一又は複数の第2画像データとの其々の差分を抽出する(ステップS7)。
【0054】
表示制御機能160は、第2画像データを選択する選択条件及び第2画像データが生成された日付ごとにサンプル画像が示されたサンプル一覧画像G1を表示させる(ステップS8)。
【0055】
操作制御機能161は、サンプル一覧画像G1に含まれるサンプル画像を選択する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS9)。サンプル画像を選択する操作を受け付けていない場合に(ステップS9;No)、操作制御機能161は、待機する。
【0056】
サンプル画像を選択する操作を受け付けた場合に(ステップS9;Yes)、差分画像生成機能162は、サンプル画像に対応した画像データセットが有する複数の画像データと、第1画像データとの其々の差分画像を正式な差分画像として生成する(ステップS10)。
【0057】
以上により、医用画像処理装置10は、差分画像生成処理を終了する。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る医用画像処理装置10の画像指定機能151は、第1画像データを指定する。また、比較対象特定機能155は、複数の画像データを有する一又は複数の画像データセットから第2画像データを一又は複数選択する。サンプル画像生成機能157は、第1画像データと、一又は複数の第2画像データとの其々との差分を示すサンプル画像を生成する。表示制御機能160は、サンプル画像の一覧を有するサンプル一覧画像G1を表示させる。そして、差分画像生成機能162は、サンプル一覧画像G1の何れかのサンプル画像が選択された場合に、選択されたサンプル画像の基になった第2画像データを含む画像データセットの複数の画像データと、第1画像データとの其々の差分画像を生成する。このように、医療従事者は、サンプル画像の一覧が表示されるため、どのような差分画像が生成されるのかを把握しやすい。よって、医用画像処理装置10は、比較対象となる画像データの選択を支援することができる。
【0059】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、比較対象となる画像の選択を支援することができる。
【0060】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
10 医用画像処理装置
110 NW(ネットワーク)インタフェース
120 入力インタフェース
130 ディスプレイ
140 記憶回路
150 処理回路
151 画像指定機能
152 比較対象取得機能
153 画像データ取得機能
154 類似度算出機能
155 比較対象特定機能
156 部位検出機能
157 サンプル画像生成機能
158 優先度算出機能
159 差分抽出機能
160 表示制御機能
161 操作制御機能
162 差分画像生成機能
G1 サンプル一覧画像
G11 第1重要推定マーク
G12 第2重要推定マーク
図1
図2
図3