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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010264
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】施肥機及びそれを備えた農業機械
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20230113BHJP
   A01C 7/06 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A01C15/00 M
A01C7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114277
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000231981
【氏名又は名称】日本甜菜製糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 靖信
【テーマコード(参考)】
2B052
2B054
【Fターム(参考)】
2B052BC05
2B052BC08
2B052BC14
2B052DA01
2B052EA02
2B052EC02
2B052ED08
2B054AA14
2B054AA20
2B054BA01
2B054BB01
2B054CA04
2B054CB02
2B054CB03
2B054CB07
2B054DD22
(57)【要約】
【課題】施肥と同時に土壌の酸度を矯正する矯正剤を適切な位置に散布でき、圃場の土壌酸度(pH)を矯正することができる。
【解決手段】
施肥機3の第2排出管43bは、その排出口44bが、一対の作溝ディスク21,21の後方側に位置しつつ、一対の作溝ディスク21,21の後端部より外側に配置されないように設けられている。さらに、第2排出管43bの排出口44bは、一対の覆土ディスク23,23の後端部より後方側に位置せず、かつ、一対の覆土ディスク23,23に挟まれるように設けられている。これにより、第2肥料35を種子の周囲及び根の伸長領域にかけて散布することができる。その結果、土壌中の酸度を矯正することができるため、種子の良好な発芽と作物の安定した初期育成を確保し、低pHの条件下による生育不良、発芽不良を防ぐことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を移動しながら、第1肥料及び第2肥料を施肥する施肥機であって、
前記第1肥料を収納する第1収納部、及び、前記第2肥料を収納する第2収納部と、
前記第1収納部から前記第1肥料を前記圃場に排出する第1排出管と、
前記第1排出管の後方に配置され、前記第2収納部から前記第2肥料を前記圃場に排出する第2排出管と、
前方に向けて狭くなるハの字状で、前記第1排出管の前方側に、前記第1排出管を挟んで両側に配置される一対の作溝具と、
後方に向けて狭くなるハの字状で、一対の前記作溝具の後方側に、前記第1排出管及び前記第2排出管を挟んで両側に配置される一対の覆土具と、を備えることを特徴とする施肥機。
【請求項2】
一対の前記覆土具は、上方に向けて狭くなるハの字状に配置されることを特徴とする請求項1に記載の施肥機。
【請求項3】
前記第2排出管は、前記第2肥料が、前記圃場に形成された施肥溝の両側に散布されるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の施肥機。
【請求項4】
前記第2排出管は、二又に分かれていることを特徴とする請求項3に記載の施肥機。
【請求項5】
前記第2排出管の排出口は、一対の前記作溝具の後端部の位置より、外側に位置しないように配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の施肥機。
【請求項6】
前記第2排出管の前記排出口は、一対の前記覆土具の後端部の位置より、後方側に位置しないように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の施肥機。
【請求項7】
前記施肥機は、一対の前記作溝具の後方側に位置し、かつ、その前端が前記第2排出管の前方側に配置された、施肥溝の土壌面を均す均平体を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の施肥機。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の施肥機と、該施肥機の後方に配置され、前記圃場に種子を播く播種機を備えることを特徴とする農業機械。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に肥料を施肥する施肥機、及び、それを備えた農業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肥料を施肥する施肥機や肥料や甜菜、豆類、とうもろこし等の作物の種子を播く播種機等の農業機械が知られている。このような農業機械として、例えば、特許文献1には、農業機械の進行方向から順に、肥料を播くための施肥溝を形成する一対の作溝ディスクを有する施肥作溝器と、肥料が播かれた施肥溝を覆土する一対の覆土ディスクを有する施肥覆土器とを有する施肥機と、施肥機の後方に配置され、作物の種子を播くための播種機とを備える農業機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-055238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、甜菜、豆類、とうもろこし等の作物の生育において、土壌の酸度(pH)が低い場合、生育の初期段階となる発芽直後から幼苗期で十分な生育とならず、作物の収量が安定しないことがある。例えば、甜菜では、低酸度(低pH)の条件下において、酸度矯正した土壌に比べて発芽率が低くなることや(てん菜研究会報42、36頁~40頁参照)、低pHの圃場において、生育停滞や要素欠乏等の酸性障害を引き起こし、特に初期生育段階で害を受けやすくなることが課題となっている。このため、作物の初期育成の安定や種子の発芽率の向上のために、圃場の土壌酸度(pH)を矯正することが重要となっており、施肥と同時に土壌酸度(pH)を矯正する矯正剤(土壌酸度矯正剤)を施用することが望まている。さらに、馬鈴薯が後作となる場合は、過度に土壌酸度矯正剤を施用することによって、土壌の酸度(pH)を高めると、そうか病の発生リスクが高まり、一度高めた酸度を元の酸度に戻すことが難しいことから土壌酸度矯正剤の圃場への全層施用を控えることがある。すなわち、土壌酸度矯正剤を作物の生育に必要な範囲へ局所的に施用することが求められる場合がある。しかし、上述の特許文献1に記載された農業機械では、肥料を収納した肥料タンクから繰り出された肥料のみが圃場に散布され、肥料の散布と同時に、土壌酸度矯正剤を散布することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、施肥と同時に土壌の酸度を矯正する矯正剤を適切な位置に散布でき、圃場の土壌酸度(pH)を矯正することができる施肥機及びそれを備えた農業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の施肥機は、圃場を移動しながら、第1肥料及び第2肥料を施肥する施肥機であって、前記第1肥料を収納する第1収納部、及び、前記第2肥料を収納する第2収納部と、前記第1収納部から前記第1肥料を前記圃場に排出する第1排出管と、前記第1排出管の後方に配置され、前記第2収納部から前記第2肥料を前記圃場に排出する第2排出管と、前方に向けて狭くなるハの字状で、前記第1排出管の前方側に、前記第1排出管を挟んで両側に配置される一対の作溝具と、後方に向けて狭くなるハの字状で、一対の前記作溝具の後方側に、前記第1排出管及び前記第2排出管を挟んで両側に配置される一対の覆土具と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、施肥と同時に土壌の酸度を矯正する矯正剤を適切な位置、すなわち、種子の良好な発芽と作物の初期育成を確保するために種子の周囲及び根の伸長領域にかけて矯正剤を散布でき、効果的に圃場の土壌酸度(pH)を矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る施肥機を適用した農業機械の概略側面図である。
図2図1に示す施肥機の部分拡大図である。
図3図2に示すA-A線に沿った断面図である。
図4図2に示す施肥機により形成される施肥溝を覆土した状態の概略断面図である。
図5図2に示す施肥機の変形例であり、(a)は部分拡大図であり、(b)図5(a)に示すB-B線に沿った断面図である。
図6図5に示す施肥機により形成される施肥溝を覆土した状態の概略断面図である。
図7】第2実施形態に係る施肥機であり、(a)は部分図であり、(b)図7(a)に示すC-C線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を添付した図を参照して説明する。
添付した図については、図中の符号の向きにあわせて、図の上下左右などの位置を定めることとする。
まず、第1実施形態に係る施肥機を適用した農業機械を説明する。なお、以下の説明において、便宜上、図1及び図2における右方向(右側)を前方向(前側)と定義するとともに左方向(左側)を後方向(後側)と定義する。さらに、図3における上方向(上側)を後方向(後側)と定義するとともに下方向(下側)を前方向(前側)と定義する。
【0010】
図1に示すように、農業機械1は、圃場7を移動しながら、すなわち、トラクタ(図示せず)に牽引されて走行し、圃場7に施肥及び播種を行うものであり、圃場7に施肥溝19(図4参照)を形成するとともに、形成された施肥溝19に肥料を施肥する施肥機3と、圃場7に甜菜、豆類、とうもろこし等の作物の種子36(図4参照)を播く播種機5とを備える。
【0011】
(施肥機)
図1及び図2に示すように、施肥機3は、圃場7に施肥溝19(図4参照)を形成する施肥作溝器11と、施肥溝19内を土で覆うための施肥覆土器13と、肥料を収納する肥料収納部15と、肥料収納部15内の肥料を圃場7(施肥溝19内)に導くための肥料排出部17と、を備える。
施肥作溝器11は、図3に示すように、農業機械1の前方に向けて狭くなるハの字状に設けられた円板状の一対の作溝ディスク21,21(一対の作溝具)を有する。一対の作溝ディスク21,21は、圃場7の土中に押込まれ、農業機械1の前進に伴って、接地回転しながら施肥溝19を形成する。ここで、一対の作溝ディスクの21,21からなる施肥作溝器11は、下端部が閉じられていない構成(一対の作溝ディスク21,21の下端部が開放した構成)となっているため、形成された施肥溝19の底面には小山63(図4参照)が形成される。
【0012】
施肥覆土器13は、図3に示すように、施肥作溝器11の後方に位置し、左右間隔が後方に向けて狭くなるようにハの字状に設けられ、かつ、上下間隔が上方に向けて狭くなるようにハの字状に設けられた円板状の一対の覆土ディスク23,23(一対の覆土具)を有する。一対の覆土ディスク23,23は、支持アーム25に取付けられ、支持アーム25によって、上下左右方向の位置、及び、角度を適宜変更することができる。一対の覆土ディスク23,23は、スプリング27(図2及び図3参照)によって、下方に付勢され、自重及びスプリング27の弾性力により、圃場7に食い込み、農業機械1の前進に伴う摩擦抵抗によって回転するようになっている。
【0013】
肥料収納部15は、仕切り板37(図1及び図2参照)によって、区画された、第1肥料31(図4参照)を収納する第1収納部29と、第2肥料35(図4参照)を収納する第2収納部33とを備える。第1収納部29及び第2収納部33の底部には、施肥溝19に向けて第1肥料31及び第2肥料35を繰り出すための繰り出し機構39,41が設けられている。
【0014】
ここで、第1収納部29に収納された第1肥料31は、肥料焼けを起こす可能性がある肥効速度が比較的早い肥料(例えば、水溶性成分を主体とする硫酸アンモニア、塩化アンモニア、過リン酸石灰、硫酸カリなどの化学肥料など)である。第2収納部33に収納された第2肥料35は、種子36と接触しても濃度障害が起こりにくい遅効性肥料(例えば、土壌酸度矯正剤、具体的には、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、苦土石灰、苦土生石灰、貝化石肥料、副産石灰肥料、転炉スラグ等の石灰質肥料、熔成リン肥等のリン酸質肥料、熔成ケイ酸カリ肥料等のカリ質肥料、鉱さいケイ酸質肥料等のケイ酸質肥料など)であり、主に土壌酸度(pH)を矯正することを目的に施用されるものであるが、その目的に限定されるものではない。
【0015】
肥料排出部17は、第1収納部29の下部に連結された第1排出管43aと、第2収納部33の下部に連結された第2排出管43bとを備える。第1排出管43a及び第2排出管43bは、樹脂製又は金属製の柔軟性のあるフレキシブル管であり、第1排出管43aは、施肥機3の前方側に位置し、第2排出管43bは、第1排出管43aの後方側に配置される。第1排出管43aの下方には、一対の作溝ディスク21,21の間に設けられた、第1肥料31を施肥溝19の両側に案内するための案内シュート45が設けられている。第2排出管43bは、その下流側(すなわち、排出側)が二又に分岐されている。また、第2排出管43bは、位置調整アーム47,47に保持されており、位置調整アーム47,47によって、前後左右方向に適宜設置位置を変更することができる。
【0016】
ここで、図3を参照して、第1排出管43aは、その排出口44aが、一対の作溝ディスク21,21の後端側に位置しつつ、一対の作溝ディスク21,21に挟まれるように配置されている。第2排出管43bは、その排出口44bが、一対の作溝ディスク21,21の後方側に位置しつつ、一対の作溝ディスク21,21の後端部より外側に配置されないように設けられている(図3の一点鎖線参照)。また、第2排出管43bの排出口44bは、一対の覆土ディスク23,23の後端部より後方側に位置せず、かつ、一対の覆土ディスク23,23に挟まれるように配置される。さらに、第2排出管43bは、その排出口44bの左右方向の両端部と、一対の作溝ディスク21,21の後端部の左右方向の端部とが、同一直線状に位置するように配置され、かつ、排出口44bの後端部と、一対の覆土ディスク23,23の後端部とが、同一直線状に位置するように配置されることが好ましい。
【0017】
(播種機)
図1に示すように、播種機5は、施肥機3の後方に配置され、フレーム49を介して、施肥機3と連結される。播種機5は、圃場7の播種位置及びその近傍を地均しする播種位置鎮圧輪51と、播種位置鎮圧輪51の後方に設けられ、圃場7に約10mm~約20mmの播種溝(図示せず)を形成する播種作溝器53と、甜菜、豆類、とうもろこし等の作物の種子36を播種溝に投下する播種部55と、播種部55の後方に設けられ、圃場7に形成された播種溝を土で覆う種子覆土器57と、種子覆土器57の後方に設けられ、播種位置付近を鎮圧する覆土鎮圧輪59とを備える。播種機5は、外周部に形成された、種子36を入り込む複数の凹部を備えた円盤状のロールの回転により、順次一定の間隔で圃場に播く従来の播種方式であり、凹部に入り込んだ種子36を圃場7の播種溝に投下する。播種溝に投下された種子36は、種子覆土器57によって土で覆われ、覆土鎮圧輪59により、播種溝近傍を鎮圧する。
【0018】
次に、第1実施形態に係る施肥機3による第1肥料31及び第2肥料35の施肥について説明する。
まず、農業機械1がトラクタに牽引され走行することで、施肥機3の施肥作溝器11が、農業機械1の進行方向に沿って、圃場7に施肥溝19を形成する。そして、繰り出し機構39によって、第1収納部29に収納された第1肥料31が繰り出される。その後、繰り出された第1肥料31は、第1排出管43aから排出され、案内シュート45を介して、施肥溝19の両側に、具体的には、小山63を挟むように散布される(図4参照)。
【0019】
そして、第1肥料31を施肥溝19に散布した後、一対の覆土ディスク23,23によって、圃場7の土壌を施肥溝19内に覆土する。土壌を施肥溝19内に覆土する際、繰り出し機構41によって、第2収納部33に収納された第2肥料35が繰り出され、第2排出管43bを介して、施肥溝19内に散布する。ここで、一対の覆土ディスク23,23は、左右間隔が後方に向けて狭くなるようにハの字状に設けられ、かつ、上下間隔が上方に向けて狭くなるようにハの字状に設けられているため、土壌を施肥溝19内に覆いかぶせる勢いが一対の覆土ディスク23,23の前方側より後方側の方が強い。このため、第2肥料35の散布位置が、底面から地表面に向かうにつれて、施肥溝19の内側に寄っていく。その結果、施肥溝19を完全に覆土した状態において、第2肥料35は、図4に示すように、種子36の播種位置付近から施肥溝19の底面に向けて末広がりになるように散布されている。
【0020】
第1実施形態に係る施肥機3によれば、次のような作用効果を得ることができる。
施肥機3の第2排出管43bの排出口44bを一対の作溝ディスク21,21の後方側に位置しつつ、一対の作溝ディスク21,21の後端部より外側に配置されないように設けるとともに、一対の覆土ディスク23,23の後端部より後方側に位置せず、かつ、一対の覆土ディスク23,23に挟まれるように設けられているので、施肥溝19に対して、第2肥料35を適切な位置、すなわち、種子36の周囲及び根の伸長領域にかけて散布することができる。これにより、土壌中の適正な領域への酸度(pH)の矯正ができるため、種子の良好な発芽と作物の安定した初期育成を確保し、低酸度(低pH)の条件下による発育不良、発芽不良を防ぐことができる。
【0021】
上記第1実施形態に係る施肥機3において、上述の例では、一対の作溝ディスク21,21によって、施肥溝19を形成した場合、施肥溝19の底面に凸状の小山63が形成されているが、小山63を均すために、均平体61を設けるようにしてもよい(図5参照)。この均平体61を一対の作溝ディスク21,21の後方側に位置させつつ、かつ、均平体61の前端が第2排出管43bより前方側に位置するように設けることで、図6に示すように、小山63を均し、平坦面とすることができる。なお、第2肥料35は、均平面から地表面の播種位置に向かって、断面視帯状なすように散布される(図6参照)。
【0022】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る施肥機3について、図7を参照して説明する。なお、本実施形態に係る施肥機3は、上記第1実施形態に係る施肥機3に対して、第2排出管43bの構成が異なり、また、振り分け具を備えている点で異なり、同様の部分には同じ参照符号を用いて、その説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0023】
図7に示すように、第2排出管65は、樹脂製又は金属製の柔軟性のある1本のフレキシブル管である。第1排出管43a及び第2排出管65の下方には、第1排出管43a及び第2排出管65から排出された第1肥料31及び第2肥料35を施肥溝19内に分散させるための振り分け具67が設けられている。振り分け具67は、略長方形の板状体であり、一対の作溝ディスク21,21の間に設けられ、前方に向かって、斜め下方に延びるように配置されている。振り分け具67の長手方向の両側部には、振り分け具67の長手方向の沿って、所定の間隔を置いて設けられた、第1肥料31及び第2肥料35を排出させるための排出孔69が設けられている。
【0024】
次に、第2実施形態に係る施肥機3による第1肥料31及び第2肥料35の施肥について説明する。
まず、施肥機3が圃場7を移動することで、施肥機3の施肥作溝器11によって、圃場7に施肥溝19を形成する。そして、繰り出し機構39によって、第1収納部29に収納された第1肥料31が繰り出され、繰り出された第1肥料31が第1排出管43aから排出され、振り分け具67の排出孔69から施肥溝19の両側に散布される。
【0025】
そして、一対の覆土ディスク23,23によって、圃場7の土壌を施肥溝19内に覆土しながら、繰り出し機構41によって、第2収納部33に収納された第2肥料35が繰り出される。そして、繰り出された第2肥料35は、第2排出管65から排出され、振り分け具67の排出孔69から施肥溝19内に散布される。
【0026】
第2実施形態に係る施肥機3によれば、次のような作用効果を得ることができる。
振り分け具67の排出孔69が、振り分け具67の長手方向の沿って、所定の間隔を置いて設けられているため、第2排出管65から排出される第2肥料35を施肥溝19の両側に所定の間隔で排出することができる。これにより、第2肥料35を適切な位置に散布することができ、土壌中の酸度(pH)を矯正することができるため、種子の良好な発芽と作物の安定した初期育成を確保し、低酸度(低pH)の条件下による生育不良、発芽不良を防ぐことができる。
【0027】
なお、第1及び第2実施形態に係る施肥機3において、施肥溝19を形成する施肥作溝器11(一対の作溝ディスク21,21)は、円板タイプであるが、平面視で前部が尖状で徐々に後部が左右に広がり、側面視で船形状とした施肥作溝器であってもよい。
【0028】
第2実施形態に係る施肥機3において、第1肥料31及び第2肥料35を施肥溝19の両側に散布するために、第1排出管43a及び第2排出管65の下方に振り分け具67を備えているが、例えば、第1排出管43a及び第2排出管65のそれぞれに、施肥溝19の両側に肥料を案内することができる案内部を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…農業機械、3…施肥機、5…播種機、7…圃場、21…一対の作溝ディスク(一対の作溝具)、23…一対の覆土ディスク(一対の覆土具)、29…第1収納部、31…第1肥料、33…第2収納部、35…第2肥料、43a…第1排出管、43b…第2排出管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7