(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102649
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】車両用ドアミラー
(51)【国際特許分類】
B60R 1/12 20060101AFI20230718BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20230718BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
B60R1/12 Z
B60R11/02 A
H01Q1/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003283
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】ミネベアアクセスソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 晨平
(72)【発明者】
【氏名】中武 亜紀子
【テーマコード(参考)】
3D020
5J047
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BB01
3D020BC13
3D020BD02
3D020BD05
5J047AA09
5J047AB06
5J047EE06
(57)【要約】
【課題】板状直方体形状のアンテナを,立置き姿勢でハウジング本体に容易に組み付け得ると共に,ガタのない安定した状態に保持し得るようにする。
【解決手段】アンテナ27の一方の板面27aを支承する支承壁28と,アンテナ27の他方の板面27b側でアンテナ27に係合する弾性係合爪29とがハウジング本体14の外面に立設される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー(12)が収容されるミラー収容凹部(13)を有するハウジング本体(14)の外面に板状直方体形状のアンテナ(27)が,その板面(27a,27b)を前記ハウジング本体(14)の外面に対して立てた姿勢で取り付けられ,前記ハウジング本体(14)の外面がカバー(15,16)で覆われてなる車両用ドアミラーであって,
前記アンテナ(27)の一方の板面(27a)を支承する支承壁(28)と,前記アンテナ(27)の他方の板面(27b)側で前記アンテナ(27)に係合する弾性係合爪(29)とが前記ハウジング本体(14)の外面に立設されることを特徴とする,車両用ドアミラー。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアミラーにおいて,
前記弾性係合爪(29)は,稜線(31)から前記ハウジング本体(14)と反対側に下る第1斜面(32)と,同稜線(31)から前記ハウジング本体(14)側に下る第2斜面(33)とを有する爪部(29a)が先端部に設けられることを特徴とする,車両用ドアミラー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用ドアミラーにおいて,
前記アンテナ(27)の長手方向一端部が係合する係合壁(37)が前記ハウジング本体(14)の外面に形成されることを特徴とする,車両用ドアミラー。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用ドアミラーにおいて,
前記アンテナ(27)の長手方向他端部が当接する当接壁(38)が前記ハウジング本体(14)の外面に形成されることを特徴とする,車両用ドアミラー。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の車両用ドアミラーにおいて,
前記ハウジング本体(14)の外面にサイドターンランプ(21)が取り付けられ,前記弾性係合爪(29)の成形用中子孔(36)が前記支承壁(28)及び前記弾性係合爪(29)間に開口するように前記ハウジング本体(14)に設けられることを特徴とする,車両用ドアミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,車両用ドアミラーに関し,特に,ミラーが収容されるミラー収容凹部を有するハウジング本体の外面に板状直方体形状のアンテナが取り付けられ,前記ハウジング本体の外面がカバーで覆われてなるものの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用ドアミラーは,特許文献1に開示されるように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは,板状直方体形状のアンテナは,ハウジング本体の外面に対してアンテナの一方の板面を対面させた姿勢(以下,平置きという。)で,ハウジング本体の外面に突設されて相対向する一対の弾性係合爪により保持されている。
【0005】
ところが,ハウジング本体の外面上に配設される各種部品のレイアウトの都合上,板状直方体形状のアンテナを,ハウジング本体の外面に対してアンテナの板面を立てた姿勢(以下,立置きという。)で保持することが要請されることがあり,このような場合に,前記平置きのアンテナの保持構造を採用しようとすれば,相対向する一対の弾性係合爪を互いに近接配置してアンテナの幅狭の側縁部に係合させることになるため,ハウジングに対する組み付け性や安定性が悪くなるおそれがある。また,そのように近接配置される一対の弾性係合爪の成形は容易でない。
【0006】
本発明は,かかる事情に鑑みてなされたものであり,板状直方体形状のアンテナを,立置きで,即ちハウジング本体の外面に対してアンテナの板面を立てた姿勢でハウジング本体に容易に組み付け得ると共に,安定した状態に保持することができ,しかもその保持部の成形が容易な車両用ドアミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために,本発明は,ミラーが収容されるミラー収容凹部を有するハウジング本体の外面に板状直方体形状のアンテナが,その板面を前記ハウジング本体の外面に対して立てた姿勢で取り付けられ,前記ハウジング本体の外面がカバーで覆われてなる車両用ドアミラーであって,前記アンテナの一方の板面を支承する支承壁と,前記アンテナの他方の板面側で前記アンテナに係合する弾性係合爪とが前記ハウジング本体の外面に立設されることを第1の特徴とする。
【0008】
また,本発明は,第1の特徴に加えて,前記弾性係合爪は,稜線から前記ハウジング本体と反対側に下る第1斜面と,同稜線から前記ハウジング本体側に下る第2斜面とを有する爪部が先端部に設けられることを第2の特徴とする。
【0009】
さらに,本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記アンテナの長手方向一端部が係合する係合壁が前記ハウジング本体の外面に形成されることを第3の特徴とする。
【0010】
さらにまた,本発明は,第3の特徴に加えて,前記アンテナの長手方向他端部が当接する当接壁が前記ハウジング本体の外面に形成されることを第4の特徴とする。
【0011】
さらにまた,本発明は,第1~第4の特徴の何れかに加えて,ハウジング本体の外面にサイドターンランプが取り付けられ,前記弾性係合爪の成形用中子孔が前記支承壁及び前記弾性係合爪間に開口するように前記ハウジング本体に設けられることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば,ハウジング本体の外面には,アンテナの一方の板面を支承する支承壁と,アンテナの他方の板面側でアンテナに係合する弾性係合爪とが形成されるので,アンテナを支承壁及び弾性係合爪間に滑り込ませることにより,立置きのアンテナを,弾性係合爪との係合位置,即ち取り付け位置に容易にセットすることができ,したがって,立置きのアンテナの組み付け性が良好である。しかも,支承壁の形状が単純であることは勿論,係合爪は,アンテナの片側の板面に対向するもののみで足りるので,それらの成形が容易である。
【0013】
本発明の第2の特徴によれば,弾性係合爪の爪部の第1斜面の誘導作用により,アンテナを支承壁及び弾性係合爪間に容易に滑り込ませることができ,アンテナの組み付け性の向上に寄与することができ,またその組み付け後は,弾性係合爪の爪部の第2斜面の押圧作用により,アンテナをハウジング本体側に付勢しながら支承壁の広い壁面に押圧して,アンテナを,ガタつきのない安定した保持状態に長期にわたり維持することができる。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば,係合壁によりアンテナの長手方向一端部を位置決めしながら,アンテナを支承壁及び弾性係合爪間に滑り込ませることで,アンテナを定位置に容易,確実に組み付けることができる。したがってアンテナの組み付け性及び保持性をより良好にすることができる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば,アンテナの長手方向一端部を係合壁に係合することに加えて,その他端部を当接壁に当接させることにより,アンテナの長手方向のガタつきを確実に防ぐことができ,アンテナのより安定した保持状態を得ることができる。
【0016】
本発明の第5の特徴によれば,互いに近接して形成される支承壁及び弾性係合爪間に開口するようにハウジング本体に設けられる弾性係合爪成形用中子孔は,アンテナの板厚と略等しい小幅に設定されることになるので,ハウジング本体の外面側に配設されるサイドターンランプの点灯時,前記中子孔からミラー収容凹部側への灯火もれを極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る車両用ドアミラーの斜視図である。
【
図4】前記ドアミラーのハウジング本体及びアンテナの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0019】
先ず
図1および
図2において,自動車のサイドドアに格納可能に支持されるドアミラー10のミラーハウジング11は,ミラー12が収容されるミラー収容凹部13を有する合成樹脂製のハウジング本体14と,このハウジング本体14の下部を覆う下部カバー15と,この下部カバー15とは別にハウジング本体14をミラー収容凹部13とは反対側の前面方向から覆う合成樹脂製の上部カバー16とで構成される。これらハウジング本体14,下部カバー15及び上部カバー16は,スナップフィット構造により分離可能に結合される。
【0020】
前記ハウジング本体14の開口部即ちミラー収容凹部13の開口端部には,車両の後方側を視認するためのミラー12と,このミラー12を保持する合成樹脂製のミラーホルダ17とが配置される。
【0021】
図3を併せて参照して,前記サイドドアに取り付けられるベース部材19には電動格納ユニット18が取り付けられると共に,この電動格納ユニット18の駆動部が前記下部カバー15の切欠き23を通して前記ハウジング本体14の外面に連結され,前記電動格納ユニット18の作動によって,前記サイドドアから側方に突出する起立位置と,前記サイドドア側に格納される格納位置との間で回動するようになっている。
【0022】
また前記ハウジング本体14の外面には,前記ミラーホルダ17を角度調節し得る電動ミラーアクチュエータ20が取り付けられる。その電動ミラーアクチュエータ20には,ハウジング本体14側に延びる球状支持部20a及び一対の球状駆動部20bが設けられる。そして、球状支持部20aはハウジング本体14の第1開口部26aを通して,また一対の球状駆動部20bはハウジング本体14の一対の第2開口部26bを通して、それぞれ前記ミラーホルダ17に連結される。
【0023】
前記ハウジング本体14の外面には,サイドターンランプ21が係合爪又はビス等の固着部材により取り付けられ,このサイドターンランプ21の発光部21aを臨ませるスリットを画成する切欠き23,24が下部カバー15及び上部カバー16の対向縁部に設けられる。
【0024】
図4~
図7を参照して,前記下部カバー15および前記上部カバー16で覆われる前記ハウジング本体14の外面には,キーレスエントリーシステム用の電波を送受信するためのアンテナ27が取り付けられる。
【0025】
このアンテナ27は,表裏2面の板面27a,27bを持つ板状直方体形状をなしていて,その長手方向を前記ハウジング本体14の外面に沿わせながら,板面27a,27bが前記ハウジング本体14の外面に対して略垂直に起立する姿勢でハウジング本体14に取り付けられるもので,その取り付けのために,前記ハウジング本体14の外面には,支承壁28と,この支承壁28にアンテナ27の板厚より僅かに大なる間隔を存して対向する一対の弾性係合爪29とが一体に立設される。
【0026】
前記支承壁28は,弾性係合爪29に対向する内側面でアンテナ27の一方の板面27aを摺動可能に支承するもので,この支承壁28の一部,図示例ではその中央部には,弾性係合爪29より高く突出する案内壁28aが連設される。
【0027】
また,ハウジング本体14には,支承壁28の高さ方向中間部の外側面に連結する段部30が形成され,これにより,支承壁28のアンテナ27に対する支持剛性が強化される。
【0028】
一方,各前記弾性係合爪29の先端には,支承壁28側に突出する爪部29aが設けられる。その爪部29aは稜線31から前記ハウジング本体14と反対側に下る第1斜面32と,同稜線31から前記ハウジング本体14側に下る第2斜面33とを有しており,その第2斜面33を,前記支承壁28に一方の板面27aを支承されるアンテナ27の他方の板面27b側でアンテナ27の角部27cを弾発的に押圧するように,弾性係合爪29は弾性を付与されると共に,弾性係合爪29の自由状態では,その爪部29aと支承壁28との間隔がアンテナ27の板厚より小さく設定される。したがって,弾性係合爪29は,その爪部29aにより,支承壁28に支承されるアンテナ27を支承壁28及び前記ハウジング本体14に向かって弾発的に付勢することになる。各弾性係合爪29の背面には補強リブ35が形成される。
【0029】
また,前記ハウジング本体14には,弾性係合爪29の成形のための中子孔36が前記支承壁28及び弾性係合爪29間に開口するように設けられる。
【0030】
さらに,ハウジング本体14の外面には,アンテナ27の長手方向一端部が係合するコ字状の凹部37aを有する係合壁37と,アンテナ27の長手方向他端部が当接する当接壁38とが一体に形成される。
【0031】
次に,この実施形態の作用について説明する。
【0032】
アンテナ27をハウジング本体14の外面に取り付けるに当たっては,アンテナ27を,案内壁28aに沿って支承壁28及び弾性係合爪29間に押し込む(その押し込み方向は
図4で白抜き矢印で示す)。この場合,先ず,アンテナ27の押し込み方向前端部27fが弾性係合爪29の爪部29aの第1斜面32を押圧して,弾性係合爪29を撓ませることで爪部29a及び支承壁28間の間隔を広げる。この状態のまま更にアンテナ27を押し込むと,アンテナ27の一方の板面27aを支承壁28の内側面に滑らせながら,支承壁28及び弾性係合爪29間にアンテナ27を滑り込ませることができる。
【0033】
そして,アンテナ27が,その長手方向一端部を係合壁37の凹部37aに係合させると共に,その長手方向他端部を当接壁38に当接させる位置に到達すると,アンテナ27の他方の板面27b側の角部27cに弾性係合爪29の爪部29aの第2斜面33が弾発的に接触することになり,これにより,弾性係合爪29は,その弾性力を以て,支承壁28及びハウジング本体14に向かって弾発的に付勢することになる。
【0034】
かくして,立置きのアンテナ27,即ち板面27a,27bをハウジング本体14b外面に対して起立させた姿勢のアンテナ27を,支承壁28及び弾性係合爪29間の所定の取り付け位置に容易にセットすることができ,アンテナ27の組み付け性が良好となる。
【0035】
また,弾性係合爪29の弾性付勢力により,アンテナ27をハウジング本体14側に付勢しながら支承壁28の広い壁面に押圧するので,アンテナ27を,ガタつきのない安定した保持状態に長期にわたり維持することができる。
【0036】
しかも,支承壁28の形状が単純であることは勿論,弾性係合爪29は,アンテナ27の片側の板面27bに対向するもののみで足りるので,それらの成形が容易である。
【0037】
さらに,前記係合壁37は,その凹部37aによりアンテナ27の長手方向一端部を位置決めするので,アンテナ27を定位置に容易,確実に組み付けることができる。
【0038】
さらにまた,アンテナ27の長手方向一端部を係合壁37に係合することに加えて,その長手方向他端部を当接壁38に当接させることにより,アンテナ27の長手方向のガタつきを確実に防ぐことができ,アンテナ27のより安定した保持状態を得ることができる。
【0039】
また,支承壁28及び弾性係合爪29間に開口するようにハウジング本体14に設けられる弾性係合爪成形用中子孔36は,アンテナ27の板厚と略等しい小幅に設定されることになるので,サイドターンランプ21の点灯時,前記中子孔36からミラー収容凹部13側への灯火もれを極力抑えることができる。
【0040】
以上,本発明の実施形態について説明したが,本発明は前記実施形態に限定されるものではなく,特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0041】
10・・・ドアミラー
12・・・ミラー
13・・・ミラー収容凹部
14・・・ハウジング本体
15・・・下部カバー
16・・・上部カバー
21・・・サイドターンランプ
27・・・アンテナ
28・・・支承壁
29・・・弾性係合爪
29a・・爪部
31・・・稜線
32・・・第1斜面
33・・・第2斜面
36・・・係合爪成形用中子孔
37・・・係合壁
38・・・当接壁