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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010267
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】積層コア及び積層コア製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20230113BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
H02K1/18 B
H02K15/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114282
(22)【出願日】2021-07-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】597053681
【氏名又は名称】株式会社コアテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 昌文
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601AA09
5H601CC11
5H601DD01
5H601DD11
5H601EE13
5H601EE17
5H601EE20
5H601GA02
5H601GA23
5H601GA33
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GC02
5H601GC12
5H601GC32
5H601KK08
5H601KK11
5H601KK17
5H601KK29
5H615AA01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP06
5H615SS05
5H615SS15
(57)【要約】
【課題】簡便に製造できる積層コア及びその積層コアの製造方法を提供する。
【解決手段】積層コア1は、積層された複数の鉄心用の鋼板2を有する。各鋼板2には積層方向に貫通した径が同一の個別孔6が設けられる。鋼板積層体3には、個別孔6により積層方向に沿って鋼板積層体3の一方の面7から他方の面8に至る該面に垂直な貫通孔9が形成される。貫通孔9内には、鋼板積層体3の少なくとも両側の鋼板2に対して両端部が溶融固化により固着し、鋼板積層体3を結合している樹脂部材4が設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の鉄心用の鋼板を有し、各鋼板には積層方向に貫通した径が同一の個別孔が設けられ、該個別孔により該積層方向に沿って鋼板積層体の一方の面から他方の面に至る該面に垂直な貫通孔が形成された該鋼板積層体と、
前記貫通孔内に配置され、前記鋼板積層体の少なくとも両側の前記鋼板に対して両端部が固化により固着し、該鋼板積層体を結合している樹脂部材とを備えることを特徴とする積層コア。
【請求項2】
前記樹脂部材の両端面は、それぞれ前記一方の面及び前記他方の面と同一面を構成し、又は該一方の面及び該他方の面に対して凹んでいることを特徴する請求項1に記載の積層コア。
【請求項3】
前記樹脂部材の両端部は、それぞれ前記一方の面及び前記他方の面上に拡がって前記個別孔の径よりも径が大きい第1、第2拡径部分を有することを特徴とする請求項1に記載の積層コア。
【請求項4】
前記鋼板積層体は、前記一方の面及び前記他方の面の外側にそれぞれ鋼板を1枚ずつ第1、第2付加鋼板として備え、
前記第1、第2付加鋼板は、それぞれ、前記個別孔に対応する位置に、前記積層方向に貫通し、前記個別孔の径よりも径が大きい部分を有する第1、第2大径孔を有し、
前記第1、第2拡径部分は、それぞれ前記第1、第2大径孔内に位置して該第1、第2大径孔に対し、固化により固着していることを特徴とする請求項3に記載の積層コア。
【請求項5】
前記鋼板積層体は、
前記第1、第2付加鋼板の外側に、それぞれ鋼板を1枚ずつ第1、第2封止鋼板として備え、
前記第1、第2封止鋼板は、それぞれ前記第1、第2拡径部分に対して固化により固着していることを特徴とする請求項4に記載の積層コア。
【請求項6】
積層方向に貫通した径が同一の個別孔を有する複数の鉄心用の鋼板を、該個別孔により該積層方向に沿って鋼板積層体の一方の面から他方の面に至る該面に垂直な貫通孔が形成されるように積層した該鋼板積層体を第1治具に固定する積層・固定工程と、
前記貫通孔に対し、両端部が前記一方の面及び前記他方の面から突出する長さを有する樹脂部材を、該両端部が該一方の面及び該他方の面から突出するように挿入する樹脂挿入工程と、
前記第1治具に固定された前記鋼板積層体を第2治具で積層方向に押圧しつつ、前記貫通孔に挿入された前記樹脂部材の両端部を、該第1治具及び該第2治具に設けられた溶着機で溶融固化することにより、該鋼板積層体の少なくとも両側の前記鋼板に対して両端部を溶着させる溶着工程とを備えることを特徴とする積層コア製造方法。
【請求項7】
積層方向に貫通した径が同一の個別孔を有する複数の鉄心用の鋼板を、該個別孔により該積層方向に沿って鋼板積層体の一方の面から他方の面に至る該面に垂直な貫通孔が形成されるように積層した該鋼板積層体を第1型に固定する積層・固定工程と、
第2型の射出口が、前記第1型に固定された前記鋼板積層体の前記貫通孔の一方の端部に位置するように該第2型又は前記第1型を移動させて該鋼板積層体を該第1型と該第2型との間で押圧する型移動・押圧工程と、
前記型移動・押圧工程の後、前記第2型の射出口から前記貫通孔内に溶融樹脂を射出する射出工程とを備えることを特徴とする積層コア製造方法。
【請求項8】
前記積層・固定工程は、前記鋼板積層体の固定前に、前記積層方向に貫通し、前記個別孔の径よりも径が大きい部分を該個別孔の位置に対応する位置に有する第1、第2大径孔をそれぞれ有する第1、第2付加鋼板を、該鋼板積層体の前記一方の面及び前記他方の面の外側に、該第1、第2大径孔が前記貫通孔に対して整列して追加されるように付加する鋼板付加工程を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の積層コア製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コア及び積層コア製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転子に使用される積層コアとして、複数枚のコアシートを積層し、コアシート積層面の中心に回転軸が挿入固定された回転軸用の貫通孔を備えた回転子用の積層鉄心が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の積層鉄心では、その回転軸用貫通孔と外周との間に、コアシートの位置決め用の貫通孔が複数設けられ、この貫通孔を取り囲んで配置された熱可塑性の樹脂材で、コアシートを固着して固定している。
【0003】
積層鉄心を形成する際には、各コアシートの間に熱可塑性樹脂を配置しながらコアシートが積層される。その後、積層されたコアシートを加熱して熱可塑性樹脂を溶融し、積層方向に加圧し、冷却することにより隣接するコアシート同士が固着される。その後、コアシートの孔に挿入されたリベットピンの両端をハンマー等でたたきかしめることによりコアシートがより強固に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-119260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の積層鉄心によれば、積層鉄心を形成する際に、各コアシートの間に熱可塑性樹脂を配置しながらコアシートを積層してゆく必要があるので、非常に手間と工数を要する。また、その後に、コアシートを加圧冷却してからリベットピンをかしめるので、さらに工数を要する。
【0006】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、簡便に製造できる積層コア及びその積層コアの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層コアは、
積層された複数の鉄心用の鋼板を有し、各鋼板には積層方向に貫通した径が同一の個別孔が設けられ、該個別孔により該積層方向に沿って鋼板積層体の一方の面から他方の面に至る該面に垂直な貫通孔が形成された該鋼板積層体と、
前記貫通孔内に配置され、前記鋼板積層体の少なくとも両側の前記鋼板に対して両端部が固化により固着し、該鋼板積層体を結合している樹脂部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、複数の鋼板を積層した鋼板積層体の貫通孔にピン状の樹脂部材を挿入し、その両端部を、溶着機で溶融固化(溶融してから固化させること)することにより、鋼板積層体の少なくとも両側の鋼板に固着させるだけで、簡便に積層コアを製造することができる。あるいは、鋼板積層体の貫通孔に溶融した熱可塑性樹脂又は液状の熱硬化性樹脂を充填して固化させるだけで、貫通孔内に各鋼板に固着した樹脂部材を形成し、この樹脂部材により鋼板積層体が結合された積層コアを簡便に製造することができる。
【0009】
また、鋼板積層体の結合を樹脂部材により行っているので、鋼板積層体の結合に絶縁コーティングを施したピン状の部材を使用する場合に比べて、各鋼板間の絶縁を確実に確保することができる。
【0010】
この場合、前記樹脂部材の両端面は、それぞれ前記一方の面及び前記他方の面と同一面を構成し、又は該一方の面及び該他方の面に対して凹んでいてもよい。これによれば、積層コアの両側の面に凸部がないので、他の部品との干渉を回避し、省スペースを図ることができる。
【0011】
あるいは、前記樹脂部材の両端部が、それぞれ前記一方の面及び前記他方の面上に拡がって前記個別孔の径よりも径が大きい第1、第2拡径部分を有してもよい。これによれば、樹脂部材による鋼板積層体の結合をより確実に行うことができる。
【0012】
この場合、前記鋼板積層体は、前記一方の面及び前記他方の面の外側にそれぞれ鋼板を1枚ずつ第1、第2付加鋼板として備え、
前記第1、第2付加鋼板は、それぞれ、前記個別孔に対応する位置に、前記積層方向に貫通し、前記個別孔の径よりも径が大きい部分を有する第1、第2大径孔を有し、
前記第1、第2拡径部分は、それぞれ前記第1、第2大径孔内に位置して該第1、第2大径孔に対し、固化により固着していてもよい。
【0013】
これによれば、鋼板積層体の両側に第1、第2付加鋼板を有し、その第1、第2大径孔内に樹脂部材の第1、第2拡径部分が位置するので、第1、第2拡径部分が他の部品と干渉するのを回避することができる。また、第1、第2拡径部分が第1、第2大径に固着しているので、第1、第2付加鋼板を鋼板積層体に対して良好に固定することができる。
【0014】
この場合、前記鋼板積層体は、
前記第1、第2付加鋼板の外側に、それぞれ鋼板を1枚ずつ第1、第2封止鋼板として備え、
前記第1、第2封止鋼板は、それぞれ前記第1、第2拡径部分に対して固化により固着していていもよい。
【0015】
これによれば、第1、第2封止鋼板が、それぞれ第1、第2拡径部分に対して固化により固着しているので、第1、第2封止鋼板を良好に第1、第2付加鋼板の外側に固定することができる。また、第1、第2封止鋼板により積層コアの両側の面が形成されるので、樹脂部材の両端部を完全に覆い隠すことができる。
【0016】
本発明の積層コア製造方法は、
積層方向に貫通した径が同一の個別孔を有する複数の鉄心用の鋼板を、該個別孔により該積層方向に沿って鋼板積層体の一方の面から他方の面に至る該面に垂直な貫通孔が形成されるように積層した該鋼板積層体を第1治具に固定する積層・固定工程と、
前記貫通孔に対し、両端部が前記一方の面及び前記他方の面から突出する長さを有する樹脂部材を、該両端部が該一方の面及び該他方の面から突出するように挿入する樹脂挿入工程と、
前記第1治具に固定された前記鋼板積層体を第2治具で積層方向に押圧しつつ、前記貫通孔に挿入された前記樹脂部材の両端部を、該第1治具及び該第2治具に設けられた溶着機で溶融固化することにより、該鋼板積層体の少なくとも両側の前記鋼板に対して両端部を溶着させる溶着工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、複数の鉄心用の鋼板を積層した鋼板積層体を第1治具及び第2治具で押圧しながら、貫通孔内に挿入された樹脂部材の両端部を溶着工程で鋼板に溶着させることにより、樹脂部材によって鋼板積層体を結合することができる。したがって、積層コアを簡便に製造することができる。
【0018】
本発明の別の積層コア製造方法は、
積層方向に貫通した径が同一の個別孔を有する複数の鉄心用の鋼板を、該個別孔により該積層方向に沿って前記鋼板積層体の一方の面から他方の面に至る該面に垂直な貫通孔が形成されるように積層した該鋼板積層体を第1型に固定する積層・固定工程と、
第2型の射出口が、前記第1型に固定された前記鋼板積層体の前記貫通孔の一方の端部に位置するように該第2型又は前記第1型を移動させて該鋼板積層体を該第1型と該第2型との間で押圧する型移動・押圧工程と、
前記型移動・押圧工程の後、前記第2型の射出口から前記貫通孔内に溶融樹脂を射出する射出工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の積層コア製造方法によれば、複数の鉄心用の鋼板を積層した鋼板積層体を、その貫通孔内に射出工程で射出された樹脂が硬化することにより、貫通孔内に、各鋼板に固着した樹脂部材を形成することができる。したがって、樹脂部材により固定された積層コアを簡便に製造することができる。
【0020】
これらの積層コア製造方法において、前記積層・固定工程は、前記鋼板積層体の固定前に、前記積層方向に貫通し、前記個別孔の径よりも径が大きい部分を該個別孔の位置に対応する位置に有する第1、第2大径孔をそれぞれ有する第1、第2付加鋼板を、該鋼板積層体の前記一方の面及び前記他方の面の外側に、該第1、第2大径孔が前記貫通孔に対して整列して追加されるように付加する鋼板付加工程を備えてもよい。
【0021】
これによれば、製造される積層コアにおいては、鋼板積層体の両側に追加された第1、第2付加鋼板の第1、第2大径孔内に、第1、第2拡径部分が位置するので、第1、第2拡径部分が他の部品と干渉するのを回避することができる。また、第1、第2拡径部分が第1、第2大径に対して固化により固着しているので、第1、第2付加鋼板を鋼板積層体に対して良好に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る積層コアの平面図である。
図2図1の積層コアの一部分の断面図である。
図3図1の鋼板積層体を第1方法により形成する際に使用される治具を示す断面図である。
図4図1の鋼板積層体を第1方法により形成する際に治具の上側ヒータチップ及び下側ヒータチップの先端が鋼板積層体の貫通孔に挿入された樹脂部材に当接したときの状態を示す断面図である。
図5図1の鋼板積層体を第1方法により形成する際に治具により鋼板積層体を加圧した状態で上側ヒータチップ及び下側ヒータチップによって樹脂部材の両端部を加熱及び冷却するときの状態を示す断面図である。
図6図1の鋼板積層体を第2方法により形成する際に鋼板積層体が、固定型に固定される様子を示す断面図である。
図7図1の鋼板積層体を第2方法により形成する際に鋼板積層体が、固定型に固定されたときの様子を示す断面図である。
図8図1の鋼板積層体を第2方法により形成する際に可動型の押圧基準面が、固定型の押圧基準面に密接した状態を示す断面図である。
図9】第2実施形態に係る積層コアの一部分の断面図である。
図10】第3実施形態に係る積層コアの一部分の断面図である。
図11】第4実施形態に係る積層コアの一部分の断面図である。
図12図12Aは、図10における第1、第2付加鋼板の第1、第2大径孔の別の例を示す断面図であり、図12Bは該第1、第2大径孔のさらに別の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る固定子に使用される積層コアの平面図であり、図2はその一部分の断面を示す。図1及び図2に示すように、この積層コア1は、積層された複数の鉄心用の鋼板2を有する鋼板積層体3と、鋼板積層体3を結合している樹脂部材4とを備える。
【0024】
電磁鋼板である鋼板2には、絶縁被膜がコーティングされており、隣接する鋼板2間は絶縁されている。また、さらに渦電流を低減する観点からは、各鋼板2は極力薄い方が好ましいので、鋼板2としては、例えば0.2mm以下の厚さのものが使用される。
【0025】
各鋼板2には、積層方向dに貫通した径が同一の個別孔6が設けられる。個別孔6により積層方向dに沿って鋼板積層体3の一方の面7から他方の面8に至る該面に垂直な貫通孔9が形成されている。樹脂部材4は、貫通孔9内に配置され、鋼板積層体3の少なくとも両側の鋼板2a、2bに対して両端部が溶融固化により固着している。
【0026】
樹脂部材4としては、溶融して固化することにより鋼板2の個別孔6に固着する熱可塑性樹脂、例えばナイロン6やナイロン6,6が用いられる。
【0027】
積層コア1により、筒状のヨーク部10と、ヨーク部10から内側のロータ側に突出し、コイルが巻回されて回転子を回転させるための回転磁界を発生するティース部11とが形成される。個別孔6は、ティース部11とヨーク部10との間の磁路を極力妨げないように、各鋼板2において、ヨーク部10を構成する部分の中心線とティース部11を構成する部分の中心線とがほぼ交差する位置に設けられる。
【0028】
溶融固化した樹脂部材4は、溶融した樹脂材料を貫通孔9に充填して固化させることにより形成され、あるいは、ピン状の樹脂部材を貫通孔9に挿入し、その両端部を溶融させて固化させることにより形成されたものである。
【0029】
図3図5は、図2の積層コア1を形成する第1方法を示す。この第1方法では、図3に示すように、熱溶着用の上側ヒータチップ19を備える上側治具20と、熱溶着用の下側ヒータチップ21を備える下側治具22とが用いられる。上側治具20は、昇降手段23により上下方向に移動させることができる。
【0030】
上側治具20は、上側治具本体24と、上側治具本体24に対して付勢手段25aにより下方に付勢されつつ上下方向に移動可能に案内され、鋼板積層体3の上面に当接する上側当接板26とを備える。付勢手段25aとしては、例えばコイルバネが使える。下側治具22は、下側治具本体27と、下側治具本体27に対して付勢手段25bにより上方に付勢されつつ上下方向に移動可能に案内され、鋼板積層体3の下面に当接する下側当接板28とを備える。
【0031】
上側当接板26及び下側当接板28には、それぞれ上側ヒータチップ19及び下側ヒータチップ21の先端部が挿入されて溶着対象にアクセスするための貫通孔26a、28aが設けられる。また、上側治具20は、上側当接板26及び下側治具22を貫いて、これらを下側当接板28に対して上下方向に案内させるための案内ロッド29を備える。下側治具22には、案内ロッド29を上下方向に案内する案内孔30が設けられる。
【0032】
また、下側治具22は、鋼板積層体3の内側面を案内して鋼板積層体3を下側治具22に対して径方向に位置決めする内径案内部31と、鋼板積層体3の周方向の位置決めを行うための位置決ピン32とを備える。位置決ピン32は、鋼板積層体3が形成している位置決め用の孔に通されて、鋼板積層体3を位置決めするものであってもよい。
【0033】
第1方法による積層コア1の形成は、積層・固定工程、樹脂挿入工程、及び溶着・結合工程を経て行われる。すなわち、積層・固定工程では、図2のように、一方の面7から他方の面8に至る貫通孔9が形成されるように積層した鋼板積層体3を、図3に示すように、下側治具22の下側当接板28に当接させて固定する。この固定に際しては、鋼板積層体3は、下側治具22の内径案内部31及び位置決ピン32により、下側治具22に対して位置決めされる。
【0034】
次の樹脂挿入工程では、鋼板積層体3の貫通孔9に対し、樹脂部材の材料4aを挿入し、両端部が一方の面7及び他方の面8から突出する長さの樹脂部材4となるように切断する。
【0035】
次の溶着・結合工程では、まず、昇降手段23により上側治具20を、上側当接板26が鋼板積層体3に当接するまで下降させる。これにより、図4に示すように、付勢手段25a、25bの付勢力に抗して、上側当接板26及び下側当接板28が、それぞれ上側治具本体24及び下側治具本体27に近接し、貫通孔9に挿入された樹脂部材4の両端部に、上側ヒータチップ19及び下側ヒータチップ21の先端が当接した状態となる。
【0036】
次に、さらに上側治具20を下降させ、図5に示すように、上側当接板26及び下側当接板28を、それぞれ上側治具本体24及び下側治具本体27に対して密着させ、上側当接板26及び下側当接板28により鋼板積層体3を加圧する。この加圧状態において、上側ヒータチップ19及び下側ヒータチップ21によって樹脂部材4の両端部を加熱及び冷却する。
【0037】
これにより、樹脂部材4の両端部が溶融固化し、鋼板積層体3の鋼板2の個別孔6に溶着し、鋼板積層体3の各鋼板2同士が固定され、積層コア1が形成される。この後、上側治具20を上昇させて積層コア1を取り出すことができる。
【0038】
図6図8は、鋼板積層体3を第2方法により形成するための積層・固定工程、可動型移動・押圧工程、及び射出工程を示す。積層・固定工程では、図6に示すように、積層方向に貫通した径が同一の個別孔6を有する複数の鉄心用の鋼板2を、個別孔6により積層方向に沿って鋼板積層体3の一方の面7から他方の面8に至る該面に垂直な貫通孔9が形成されるように積層した鋼板積層体3が、固定型12に固定される。
【0039】
このとき、鋼板積層体3には、各鋼板2の径方向配置の基準となる仮シャフト13が通されており、鋼板積層体3は、仮シャフト13とともに、固定型12の押圧基準面14aに設けられた凹部15に配置される。このとき、凹部15は鋼板積層体3とほぼ同じ径を有しているので、仮シャフト13とともに、図4に示すように、鋼板積層体3を固定型12に対して正確に位置決めする。
【0040】
また、凹部15の深さは、鋼板積層体3の高さよりやや浅く設定されているので、位置決めされた状態では、鋼板積層体3の他方の面8は、固定型12の押圧基準面14aよりやや上方に偏移した位置に位置する。すなわち、この偏移量vは、適切な型締め力を得るための締め代となる。
【0041】
鋼板積層体3の周方向の位置決めは、凹部15の底面に設けられた貫通孔9と同数の凹状穴16に対して貫通孔9が整列するように行われる。この凹状穴16は、貫通孔9に射出された溶融樹脂が固化する際に樹脂が収縮して鋼板積層体3の一方の面7とほぼ同一レベルとなるように考慮して設けられる。
【0042】
次の可動型移動・押圧工程では、可動型17に設けられた溶融樹脂の射出口18が、積層・固定工程で固定型12に固定された鋼板積層体3の貫通孔9の一方の端部に位置するように可動型17を移動させて、鋼板積層体3を固定型12との間で押圧する。この押圧力により、鋼板積層体3が上述の締め代分だけ圧縮され、図5に示すように、可動型17の押圧基準面14bが、固定型12の押圧基準面14aに密接した状態となる。
【0043】
次の射出工程では、可動型17の射出口から溶融した樹脂を、可動型17の射出口18から各貫通孔9内に射出する。射出された樹脂が冷却し、固化すると、各鋼板2の個別孔6に対して樹脂が固着する。これにより、鋼板積層体3の各鋼板2が樹脂を介して固定され、積層コア1が形成される。
【0044】
このとき、各貫通孔9内の樹脂は、冷却により収縮するので、固定型12の凹状穴16内の樹脂がひけて、また反対側の樹脂もひけて、樹脂の両側の表面は鋼板積層体3の一方の面7及び他方の面8とほぼ同一レベルとなるか又は多少凹んだ状態となる。この後、積層コア1を固定型12及び可動型17から取り出すことにより、積層コア1の第2方法による形成が完了する。
【0045】
本実施形態によれば、図3図5のように、複数の鋼板2を積層した鋼板積層体3の貫通孔9にピン状の樹脂部材4を挿入し、その両端部を溶融して固化させることにより鋼板2の個別孔6に溶着させるだけで、簡便に積層コア1を製造することができる。あるいは図6図8のように、複数の鋼板2を積層した鋼板積層体3の貫通孔9に溶融した熱可塑性樹脂を充填し、固化させるだけで、簡便に積層コア1を製造することができる。
【0046】
また、樹脂部材4の両端面は、それぞれ鋼板積層体3の一方の面7及び他方の面8と同一面上に位置するか、又は一方の面7及び他方の面8より凹んでおり、積層コア1の両面に凸部がないので、積層コア1以外の他の部品との干渉を回避し、省スペース化を図ることができる。
【0047】
また、鋼板積層体3の結合を樹脂部材4により行っているので、鋼板積層体3の結合に絶縁コーティングを施したピン状の部材を使用する場合に比べて、各鋼板2間の絶縁を確実に確保することができる。これにより、異なる積層鋼板2間における渦電流の発生を抑えることができる。
【0048】
図9は、第2実施形態に係る積層コア1bの一部分の断面図である。この積層コア1bは、図2の積層コア1とは、貫通孔9に配置された挿樹脂部材の端部が異なる。すなわち、図2の積層コア1では、樹脂部材4bの両端面が鋼板積層体3の一方の面7及び他方の面8と同一レベルにあるか又は凹んでいるのに対し、積層コア1bでは、樹脂部材4bの両端部が、それぞれ鋼板積層体3の一方の面7及び他方の面8上に拡がって個別孔6よりも径が大きい第1、第2拡径部分33、34を有する。
【0049】
この積層コア1bは、上述の図3図5の第1方法又は図6図8の第2方法を利用して形成することができる。すなわち、第1方法を利用する場合には、図3図5における上側ヒータチップ19及び下側ヒータチップ21の先端部が挿入される貫通孔の径及び該先端部の該貫通孔における位置を、第1、第2拡径部分33、34に対応した径及び位置に設定することにより、図3図5の場合と同様にして形成することができる。
【0050】
あるいは、第2方法を用いる場合には、図6図8における固定型12の凹状穴16の径及び深さ、及び可動型17の射出口18の径及び長さとして、第1、第2拡径部分33、34に対応した寸法を採用する以外は、図6図8の場合と同様にして形成することができる。
【0051】
本実施形態の積層コア1bによれば、樹脂部材4bが第1、第2拡径部分33、34を有するので、樹脂部材4bによる鋼板積層体3の結合をより確実に行うことができる。なお、第1、第2拡径部分33、34の形状は、図9のように扁平な筒状のものの他、丸頭ピンの頭部のような形状であってもよい。
【0052】
図10は、第3実施形態の積層コア1cの断面図である。この積層コア1cは、鋼板積層体3cが、上述の図9の積層コア1bの鋼板積層体3の一方の面7及び他方の面8の外側にそれぞれ鋼板を1枚ずつ第1、第2付加鋼板35、36として付加したものとなっている。第1、第2付加鋼板35、36は、それぞれ、積層方向に貫通し、個別孔6の径よりも径が大きい部分を有する第1、第2大径孔37、38を有する。すなわち、鋼板積層体3cの貫通孔9cの両端部は、第1、第2大径孔37、38となっている。
【0053】
鋼板積層体3cの貫通孔9cに配置された樹脂部材4cは、両端部が図9の第1、第2拡径部分33、34と同様の第1、第2拡径部分39、40となっている。ただし、この第1、第2拡径部分39、40は、第1、第2付加鋼板35、36の第1、第2大径孔37、38内に位置して第1、第2大径孔37、38に対し、溶融固化により固着している。
【0054】
本実施形態の積層コア1cは、上述の図3図5の第1方法又は図6図8の第2方法を利用して形成することができる。
【0055】
すなわち、第1方法又は第2方法における積層・固定工程において、鋼板積層体3cの固定前に、積層方向に貫通し、個別孔6の径よりも径が大きい部分を有する第1、第2大径孔37、38をそれぞれ有する第1、第2付加鋼板35、36を、鋼板積層体3の一方の面7及び他方の面8の外側に、第1、第2大径孔37、38が貫通孔9に整列して追加され、貫通孔9cを構成するように付加する鋼板付加工程を設ける。
【0056】
ただし、第1方法を利用する場合には、図3図5における上側ヒータチップ19及び下側ヒータチップ21の先端部が挿入される貫通孔の径及び該先端部の該貫通孔における位置が、それぞれ第1、第2大径孔37、38に対応した径及び位置に設定される。また、第2方法を利用する場合、固定型12の凹状穴16及び射出口18(図6図8参照)は、それぞれ第1、第2大径孔37、38に対応した大きさのものに設定される。
【0057】
これにより、第2実施形態の積層コア1bの場合と同様にして積層コア1cを形成することができる。
【0058】
本実施形態の積層コア1cによれば、鋼板積層体3の両側に第1、第2付加鋼板35、36を有し、その第1、第2大径孔37、38内に樹脂部材4cの第1、第2拡径部分39、40が位置するので、第1、第2拡径部分39、40が他の部品と干渉するのを回避することができる。また、第1、第2拡径部分39、40が第1、第2大径孔37、38に対して溶融固化により固着しているので、第1、第2付加鋼板35、36を鋼板積層体3に対して良好に固定することができる。
【0059】
図11は、第4実施形態の積層コア1dの断面図である。この積層コア1dは、上述の図10の積層コア1cにおいて、第1、第2付加鋼板35、36の外側に、それぞれ鋼板を1枚ずつ第1、第2封止鋼板41、42としてさらに備える。第1、第2拡径部分39、40は、それぞれ第1、第2封止鋼板41、42に対して、溶融固化により固着している。
【0060】
この積層コア1dの形成に際しては、第1方法を利用して第3実施形態の積層コア1cを形成する場合と同様に、第1方法に従って樹脂部材4dの両端部を上側ヒータチップ19及び下側ヒータチップ21でそれぞれ加熱した後、直ちに上側治具20を上昇させて鋼板積層体3cを下側治具22から取り外す。
【0061】
そして、鋼板積層体3cの第1、第2付加鋼板35、36の外側に第1、第2封止鋼板41、42を付加し、これを再度下側治具22に配置して上側治具20を下降させ、押圧する。この後、樹脂部材4dの両端部を冷却することにより、第1、第2封止鋼板41、42が樹脂部材4dの両端部に固着し、積層コア1dが形成される。
【0062】
本実施形態の積層コア1dによれば、第1、第2封止鋼板41、42が、それぞれ樹脂部材4dの第1、第2拡径部分39、40に対して溶融固化により固着しているので、第1、第2封止鋼板41、42を良好に第1、第2付加鋼板35、36の外側に固定することができる。また、第1、第2封止鋼板41、42により積層コア1dの両側の面が形成されるので、樹脂部材4dの両端部を完全に覆い隠すことができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、溶着機として、超音波溶着機や振動溶着機を用いてもよい。また、第1、第2付加鋼板35、36の第1、第2大径孔37、38は、円筒状の形状に限られない。
【0064】
例えば、図12Aのように、外側の部分の径が内側の部分よりも径が大きい形状や、図12Bのように、外側に向かって円錐状に径が拡大した形状を有していてもよい。この場合、樹脂部材4cの第1、第2拡径部分39、40も、これらの形状に対応した形状を有することになる。
【0065】
また、各鋼板2の厚さは、すべてが同じ厚さである必要はない。例えば、鋼板積層体3の両側の鋼板2a、2b(図1)や、鋼板積層体3cの第1、第2付加鋼板35、36(図10)が、同一の厚さを有する他の鋼板2より厚くてもよい。
【0066】
また、樹脂部材4、4b、4cとしては、溶融して固化することにより固着する熱可塑性樹脂に限らず、固化により固着するものであれば他の樹脂部材を用いてもよい。例えば、熱硬化性樹脂のように、液状の状態のものが加熱により固化して固着するものであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1、1b、1c、1d…積層コア、2、2a、2b…鋼板、3、3c…鋼板積層体、4、4b、4c、4d…樹脂部材、4a…材料、6…個別孔、7、8…面、9、9c…貫通孔、10…ヨーク部、11…ティース部、12…固定型、13…仮シャフト、14a、14b…押圧基準面、15…凹部、16…凹状穴、17…可動型、18…射出口、19…上側ヒータチップ、20…上側治具、21…下側ヒータチップ、22…下側治具、23…昇降手段、24…上側治具本体、25a、25b…付勢手段、26…上側当接板、27…下側治具本体、28…下側当接板、29…案内ロッド、30…案内孔、31…内径案内部、32…位置決ピン、33、34…第1、第2拡径部分、35、36…第1、第2付加鋼板、37、38…第1、第2大径孔、39、40…第1、第2拡径部分、41、42…第1、第2封止鋼板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に貫通した径が同一の個別孔を有する複数の鉄心用の鋼板を、該個別孔により該積層方向に沿って鋼板積層体の一方の面から他方の面に至る該面に垂直な貫通孔が形成されるように積層した該鋼板積層体を第1治具に固定する積層・固定工程と、
前記貫通孔に対し、両端部が前記一方の面及び前記他方の面から突出する長さを有する棒状の樹脂部材を、該両端部が該一方の面及び該他方の面から突出するように挿入する樹脂挿入工程と、
前記第1治具に固定された前記鋼板積層体を第2治具で積層方向に押圧しつつ、前記貫通孔に挿入された前記樹脂部材の両端部を、該第1治具及び該第2治具に設けられた溶着機で溶融させる溶融工程と、
前記積層方向への押圧を継続しつつ、溶融した前記樹脂部材の両端部を冷却して固化させることにより、該鋼板積層体の少なくとも両側の前記鋼板に対して該両端部を固着させる固着工程とを備えることを特徴とする積層コア製造方法。
【請求項2】
前記積層・固定工程は、前記鋼板積層体の固定前に、前記積層方向に貫通し、前記個別孔の径よりも径が大きい部分を該個別孔の位置に対応する位置に有する第1、第2大径孔をそれぞれ有する第1、第2付加鋼板を、該鋼板積層体の前記一方の面及び前記他方の面の外側に、該第1、第2大径孔が前記貫通孔に対して整列して追加されるように付加する鋼板付加工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の積層コア製造方法。
【請求項3】
前記溶融工程の後、前記固着工程の前に、
前記第2治具を移動させ、前記鋼板積層体を前記第1治具から取り外し、該鋼板積層体の両側に、前記樹脂部材の両端部を覆い隠すための封止鋼板を付加する封止鋼板付加工程と、
前記封止鋼板が付加された鋼板積層体を再度前記第1治具に固定し、前記第2治具で押圧する再固定工程とを備え、
前記固着工程では、前記樹脂部材の両端部の冷却及び固化により、前記両側の鋼板積層体が該樹脂部材の両端部にそれぞれ固着することを特徴とする請求項2に記載の積層コア製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明の積層コア製造方法は、
積層方向に貫通した径が同一の個別孔を有する複数の鉄心用の鋼板を、該個別孔により該積層方向に沿って鋼板積層体の一方の面から他方の面に至る該面に垂直な貫通孔が形成されるように積層した該鋼板積層体を第1治具に固定する積層・固定工程と、
前記貫通孔に対し、両端部が前記一方の面及び前記他方の面から突出する長さを有する棒状の樹脂部材を、該両端部が該一方の面及び該他方の面から突出するように挿入する樹脂挿入工程と、
前記第1治具に固定された前記鋼板積層体を第2治具で積層方向に押圧しつつ、前記貫通孔に挿入された前記樹脂部材の両端部を、該第1治具及び該第2治具に設けられた溶着機で溶融させる溶融工程と、
前記積層方向への押圧を継続しつつ、溶融した前記樹脂部材の両端部を冷却して固化させることにより、該鋼板積層体の少なくとも両側の前記鋼板に対して該両端部を固着させる固着工程とを備えることを特徴とする。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明において、前記積層・固定工程は、前記鋼板積層体の固定前に、前記積層方向に貫通し、前記個別孔の径よりも径が大きい部分を該個別孔の位置に対応する位置に有する第1、第2大径孔をそれぞれ有する第1、第2付加鋼板を、該鋼板積層体の前記一方の面及び前記他方の面の外側に、該第1、第2大径孔が前記貫通孔に対して整列して追加されるように付加する鋼板付加工程を備えてもよい。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
これによれば、製造される積層コアにおいては、鋼板積層体の両側に追加された第1、第2付加鋼板の第1、第2大径孔内に、第1、第2拡径部分が位置するので、第1、第2拡径部分が他の部品と干渉するのを回避することができる。また、第1、第2拡径部分が第1、第2大径に対して固化により固着しているので、第1、第2付加鋼板を鋼板積層体に対して良好に固定することができる。
この場合、前記溶融工程の後、前記固着工程の前に、
前記第2治具を移動させ、前記鋼板積層体を前記第1治具から取り外し、該鋼板積層体の両側に、前記樹脂部材の両端部を覆い隠すための封止鋼板を付加する封止鋼板付加工程と、
前記封止鋼板が付加された鋼板積層体を再度前記第1治具に固定し、前記第2治具で押圧する再固定工程とを備え、
前記固着工程では、前記樹脂部材の両端部の冷却及び固化により、前記両側の鋼板積層体が該樹脂部材の両端部にそれぞれ固着してもよい。
これによれば、第1、第2封止鋼板が、それぞれ第1、第2拡径部分に対して固化により固着しているので、第1、第2封止鋼板を良好に第1、第2付加鋼板の外側に固定することができる。また、第1、第2封止鋼板により積層コアの両側の面が形成されるので、樹脂部材の両端部を完全に覆い隠すことができる。