(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102690
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230718BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230718BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003352
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】521208619
【氏名又は名称】Decillion Capital株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 英史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザ企業にとって好適なM&Aの相手先の候補の提示を実現化すること。
【解決手段】M&Aマッチング部53は、M&A相手探索アルゴリズムAMAに基づいて、M&Aの相手先の企業の候補を出力する。M&A相手候補提供部54は、候補の情報を提示する。ユーザ企業評価取得部56は、当該候補に対してユーザ企業が行ったポジティブ又はネガティブの2択の評価結果を取得する。再学習部58は、当該評価結果を少なくとも用いて、M&A相手探索アルゴリズムAMA等を更新するための学習を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ企業にとって、M&A(Mergers and Acquisitions)の相手先の企業の候補を提供する情報処理システムにおいて、
前記ユーザ企業に関する複数の項目を含む情報をユーザ企業情報として取得するユーザ企業情報取得手段と、
前記複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力すると、所定のアルゴリズムに基づいて、前記相手先の企業としてN(Nは1以上の整数値)の候補を出力する候補出力手段と、
前記Nの候補のうちM(MはN以下の整数値)の候補の夫々に関する情報を候補情報として前記ユーザ企業に提供すると共に、当該Mの候補の夫々に対して前記ユーザ企業がポジティブ又はネガティブの2択で評価する操作を行うための評価受付インターフェースを前記ユーザ企業に提供する候補提供手段と、
前記Mの候補の夫々に対して、前記評価受付インターフェースを介して前記ユーザ企業により評価された結果を、評価結果情報として取得する評価結果取得手段と、
前記Mの候補の夫々についての前記候補情報及び前記評価結果情報に基づいて、前記入力パラメータと前記アルゴリズムのうち少なくとも一方を更新するための学習を実行する学習手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記学習手段は、さらに、前記ユーザ企業情報に基づいて、前記学習を実行する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記Mの候補の夫々について、知的財産に関する文献を用いた解析を行い、その解析結果を知的財産解析結果として取得する解析結果取得手段、
をさらに備え、
前記学習手段は、さらに、前記Mの候補の夫々についての前記知的財産解析結果に基づいて、前記学習を実行する、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記ユーザ企業がM&Aの買い手側である場合において、前記ユーザ企業に資金援助をする団体の候補に係る情報を資金援助情報として取得する資金援助情報取得手段をさらに備え、
前記所定のアルゴリズムに対する入力パラメータには、前記資金援助情報の少なくとも一部が含まれている、
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記学習手段は、さらに、前記資金援助情報に基づいて、前記学習を実行する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記候補提供手段は、前記Mの候補のうちK(Kは、M以下の整数値)の候補の前記候補情報については、所定条件を満たさない場合には、内容の一部をマスクして前記ユーザ企業に提供する一方、当該所定条件を満たす場合には、当該マスクを外して前記ユーザ企業に提供する、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
ユーザ企業にとって、M&A(Mergers and Acquisitions)の相手先の企業の候補を提供する情報処理システムが実行する情報処理方法において、
前記ユーザ企業に関する複数の項目を含む情報をユーザ企業情報として取得するユーザ企業情報取得ステップと、
前記複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力すると、所定のアルゴリズムに基づいて、前記相手先の企業としてN(Nは1以上の整数値)の候補を出力する候補出力ステップと、
前記Nの候補のうちM(MはN以下の整数値)の候補の夫々に関する情報を候補情報として前記ユーザ企業に提供すると共に、当該Mの候補の夫々に対して前記ユーザ企業がポジティブ又はネガティブの2択で評価する操作を行うための評価受付インターフェースを前記ユーザ企業に提供する候補提供ステップと、
前記Mの候補の夫々に対して、前記評価受付インターフェースを介して前記ユーザ企業により評価された結果を、評価結果情報として取得する評価結果取得ステップと、
前記Mの候補の夫々についての前記候補情報及び前記評価結果情報に基づいて、前記入力パラメータと前記アルゴリズムのうち少なくとも一方を更新するための学習を実行する学習ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
ユーザ企業にとって、M&A(Mergers and Acquisitions)の相手先の企業の候補を提供する情報処理システムに含まれるコンピュータに、
前記ユーザ企業に関する複数の項目を含む情報をユーザ企業情報として取得するユーザ企業情報取得ステップと、
前記複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力すると、所定のアルゴリズムに基づいて、前記相手先の企業としてN(Nは1以上の整数値)の候補を出力する候補出力ステップと、
前記Nの候補のうちM(MはN以下の整数値)の候補の夫々に関する情報を候補情報として前記ユーザ企業に提供すると共に、当該Mの候補の夫々に対して前記ユーザ企業がポジティブ又はネガティブの2択で評価する操作を行うための評価受付インターフェースを前記ユーザ企業に提供する候補提供ステップと、
前記Mの候補の夫々に対して、前記評価受付インターフェースを介して前記ユーザ企業により評価された結果を、評価結果情報として取得する評価結果取得ステップと、
前記Mの候補の夫々についての前記候補情報及び前記評価結果情報に基づいて、前記入力パラメータと前記アルゴリズムのうち少なくとも一方を更新するための学習を実行する学習ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インターネットを介して、企業のM&A(Mergers and Acquisitions)を仲介する技術は提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来の技術のみでは、ユーザ企業に対して提示されるM&Aの相手先の候補は、必ずしも当該ユーザ企業にとって好適であるとは言えない状況である。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、ユーザ企業にとって好適なM&Aの相手先の候補の提示を実現化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
ユーザ企業にとって、M&A(Mergers and Acquisitions)の相手先の企業の候補を提供する情報処理システムにおいて、
前記ユーザ企業に関する複数の項目を含む情報をユーザ企業情報として取得するユーザ企業情報取得手段と、
前記複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力すると、所定のアルゴリズムに基づいて、前記相手先の企業としてN(Nは1以上の整数値)の候補を出力する候補出力手段と、
前記Nの候補のうちM(MはN以下の整数値)の候補の夫々に関する情報を候補情報として前記ユーザ企業に提供すると共に、当該Mの候補の夫々に対して前記ユーザ企業がポジティブ又はネガティブの2択で評価する操作を行うための評価受付インターフェースを前記ユーザ企業に提供する候補提供手段と、
前記Mの候補の夫々に対して、前記評価受付インターフェースを介して前記ユーザ企業により評価された結果を、評価結果情報として取得する評価結果取得手段と、
前記Mの候補の夫々についての前記候補情報及び前記評価結果情報に基づいて、前記入力パラメータと前記アルゴリズムのうち少なくとも一方を更新するための学習を実行する学習手段と、
を備える。
【0007】
また、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムの夫々は、上述の本発明の一態様の情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムの夫々である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザ企業にとって好適なM&Aの相手先の候補の提示を実現化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムにより実現可能となる本サービスの概要を示す図である。
【
図2】本発明の情報処理システムの一実施形態の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図2に示す情報処理システムのうちサービス提供者サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図2の情報処理システムを構成する
図3のサービス提供者サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図2のユーザ企業端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【
図6】
図2のユーザ企業端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【
図7】
図2のユーザ企業端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【
図8】
図2のユーザ企業端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理システムにより実現可能となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムにより実現可能となる本サービスの概要を示す図である。
【0013】
本サービスは、サービス提供者(図示せず)から、ユーザ企業に対して提供されるサービスである。具体的には、本サービスは、ユーザ企業にとって、M&A(Mergers and Acquisitions)の相手先の企業の候補を提供するサービスである。
ここで、ユーザ企業にとってのM&Aの相手先とは、ユーザ企業が買い手側の場合には売り手側の企業を指し、ユーザ企業が売り手側の場合には買い手側の企業を指す。即ち、本サービスは、ユーザ企業が買い手側の場合も売り手側の場合も対応可能なサービスである。ただし、以下説明の便宜上、ユーザ企業は買い手側であるものとする。
【0014】
ユーザ企業(実際には当該ユーザ企業に属する担当者)は、当該ユーザ企業により管理されるパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等の情報処理端末(以下、「ユーザ企業端末」と呼ぶ)を操作することで、本サービスを享受することができる。
ユーザ企業端末は、専用のアプリケーションソフトウェアをインストールすることができる。これにより、当該アプリケーションソフトウェアがインストールされたユーザ企業端末を用いて本サービスの利用が可能になる。
また、ユーザ企業端末のブラウザ機能により表示される、所定のウェブサイトにアクセスすることでも本サービスの利用が可能になる。
【0015】
本サービスの流れの概要は、
図1に示すステップS1乃至S6の通りである。
【0016】
即ち、ステップS1において、ユーザ企業は、本サービスの提供を受けるに際し、ステップS1において、M&Aの買い手側の企業名(本例ではユーザ企業の名称)及びキーワードを入力する。
ここで、キーワードとは、ユーザ企業側の売り手に対する条件等、ユーザ企業により任意に入力される文字列である。例えばユーザ企業は、IT企業等を売り手として希望する場合には、IT、コンピュータ、システム等をキーワードとして入力することができる。
【0017】
すると、ステップS2において、サービス提供者により管理されるサーバ(以下、「サービス提供者サーバ」と呼ぶ)は、ステップS1において入力されたユーザ企業に関する複数の項目を含む情報をユーザ企業情報D1として取得する。
ここで、ユーザ企業情報D1の複数の項目としては、特に限定されず、上述のステップS1で入力されたキーワードの他、資本金、従業員数、本社所在地等の企業基本情報を含む。さらに、ユーザ企業自身が入力した、自社の特徴を示す情報(以下、「企業特徴情報」と呼ぶ)も、複数の項目に含めることができる。例えばユーザ企業が焼肉店である場合に、「食べ放題」や「20代人気」等を企業特徴情報として入力して、複数の項目に含めることができる。
また、キーワード以外のユーザ企業情報D1の取得先は、特に限定されず、インターネット上に散在する各種情報でもよいが、ここでは説明の便宜上、サービス提供者により管理されている企業DBであるものとする。
即ち、企業DBは、ユーザ企業を含む多数の企業に関して、複数の項目を含む情報を予め保有しているものとする。ここで、複数の項目には、各企業の企業基本情報や企業特徴情報が含まれているものとする。
【0018】
ステップS3において、サービス提供者サーバは、ユーザ企業情報D1の複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力すると、M&A相手探索アルゴリズムAMAに基づいて、相手先の企業(本例では売り手)としてN(Nは1以上の整数値)の候補を出力する処理を実行する。
なお、このような処理を、以下、「マッチング処理」と呼ぶ。
【0019】
M&A相手探索アルゴリズムAMAは、特に限定されず、ルールベースのアルゴリズムでもよい。例えば、複数の項目の中に資本金が存在したとする。この場合、例えばユーザ企業が資本金1000万円だとする。そして、候補としてのA社が事業内容としてはユーザ企業にとって非常に魅力的で、他の項目についてはユーザ企業に一致する場合だったとしても、資本金が1億円だとする。この場合、ユーザ企業は、A社をM&Aの相手先とすることは不可能なので、候補から除外する(後述するマッチ度を下げる)といったルールが複数存在して、これらの複数のルールから構成されるものを、M&A相手探索アルゴリズムAMAとして採用してもよい。
この場合、ユーザ企業情報D1の複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力すると、各入力パラメータをルールに当てはめていくことで、ユーザ企業とNの候補の夫々との間のマッチ度を出力するものである。
【0020】
また例えば、ルールベースのM&A相手探索アルゴリズムAMAとして、AI等の機械学習により得られたモデルが採用されてもよい。
このモデルは、ユーザ企業情報D1の複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力すると、ユーザ企業とNの候補の夫々との間のマッチ度を出力するものである。
【0021】
ステップS4において、サービス提供者サーバは、Nの候補のうちM(MはN以下の整数値)の候補の夫々に関する情報を候補情報D2として、ユーザ企業端末を介してユーザ企業に提供する。
ここで、本サービスの特徴として、候補情報D2と共に、Mの候補の夫々に対してユーザ企業がポジティブ又はネガティブの2択で評価する操作を行うための評価受付インターフェースがユーザ企業に提供される点である。
本例の評価受付インターフェースは、ポジティブの評価を行う際に押下されるGoodボタンと、ネガティブの評価を行う際に押下されるBadボタンとを含むように構成されている。
【0022】
そこで、ステップS5において、ユーザ企業は、ユーザ企業端末に表示された評価受付インターフェースに対して操作をすることで、Mの候補の夫々に対して、ポジティブ評価(Goodボタン押下)又はネガティブ評価(Badボタン押下)を行う。
このようなステップS5の評価結果を示す情報を、以下、「評価結果情報」と呼ぶ。
図示はしないが、Mの候補のうち、ユーザ企業によりポジティブ評価(Goodボタン押下)された候補については、保存ボタン等が表示されて当該保存ボタン等が押下さると、その企業情報(企業基本情報等)の保存が可能になる。なお、保存ボタン等の押下なしに、Goodボタンの押下により、CSVのデータに自動的に落とし込まれるようにしてもよい。
このようにして、ユーザ企業にとって好適な企業(マッチ度が高いMの候補のうち、ユーザ企業自身によりポジティブ評価された企業)がリスト化されたロングリストが容易に生成可能になる。
【0023】
Mの候補の夫々についての候補情報D2及び評価結果情報、並びにユーザ企業情報D1は、再学習用データD3としてサービス提供者サーバにフィードバックされる。
ステップS6において、サービス提供者サーバは、再学習用データD3を用いて、入力パラメータとM&A相手探索アルゴリズムAMAのうち少なくとも一方を更新するための学習を実行する。
ここで、M&A相手探索アルゴリズムAMAがルールベースの者である場合には、ステップS6の学習により、(当てはめる入力パラメータが異なる)ルールが増減したり、ルールの内容やルールに当てはめる入力パラメータが更新されることになる。
また、M&A相手探索アルゴリズムAMAがAI等のモデルである場合には、モデル自体が更新されたり、入力パラメータが異なるモデルが生成されることを意味する。
【0024】
このようにして、M&A相手探索アルゴリズムAMAに基づいて出力された、マッチ度に応じたMの候補(M&Aの相手先の候補)がユーザ企業に提示され、Mの候補の夫々に対してポジティブ又はネガティブの評価がなされ、その評価結果がフィードバックされると、M&A相手探索アルゴリズムAMA等が再学習される。
これにより、M&A相手探索アルゴリズムAMAは、ユーザ企業とのマッチ度をより適切に出力できるものと更新していき、より精度の高いM&Aの相手先の候補、換言するとユーザ企業にとってより好適な候補を提示することができるようになる。
ここで、再学習を行うための評価結果としては、ポジティブ又はネガティブの二択評価ではなく、ユーザ企業により入力された文章等各種各様なものを採用することはできる。しかしながら、Mの候補の夫々に対して評価をしてもらうためには、特にMが多い場合に評価をしてもらうためには、簡単で時間のかからない操作で行う評価を採用する方が好適である。そういった点で、Good又はBadボタンをワンクリックするだけで済む本例の評価の手法は好適である。
換言すると、ポジティブ評価のためのGoodボタンは、ユーザ企業にとっては、評価のための操作というよりは、自身のロングリストを作るための操作である。即ち、ユーザ企業にとっては、ロングリストを作るために必須な作業をしているだけで、再学習のための評価操作をしているという意識はない。この点で、Good又はBadボタンをワンクリックするだけで済む本例の評価の手法は、再学習用データD3を収集するための手法として好適である。
【0025】
ここで、再学習用データD3は、
図1の例に特に限定されない。例えば、上述の例では、ステップS3のマッチング処理において、ユーザ企業とのマッチ度を出力するM&A相手探索アルゴリズムAMAが採用されたが、ユーザ企業の情報は含めずにキーワードとのマッチ度を出力するものが採用されてもよい。この場合、再学習用データD3には、ユーザ企業の情報は不要である。
ただし、ユーザ企業の情報を再学習用データD3に盛り込むことで、ユーザ企業ならでは、或いは、ユーザ企業が属する分野ならではのM&A相手探索アルゴリズムAMAを構築していくことが可能になる。
また、再学習用データD3は、さらにより精度の高いM&Aの相手先の候補を提示すべく、次のような情報を含めてもよい。
【0026】
例えば、サービス提供者は、サービス提供者サーバ又は他の装置を用いて、Mの候補の夫々について、知的財産に関する文献を用いた解析(例えば特許文献に基づく特許マップによる解析)を行うことができる。
例えば、特許マップの中には、コンポラマップのように、ユーザ企業と、Mの候補の夫々との各種特徴を比較するマップ等があり、M&Aの相手先としての良し悪しを判断できるものものある。
また例えば、特許マップの中には、サイテーションマップのように、各候補のキーワードに関する特許戦略を解析できるマップ等があり、M&Aの相手先としての良し悪しを判断できるものものある。
サービス提供者サーバは、このような解析結果を知的財産解析結果として取得して、再学習用データD3に含めて、入力パラメータとM&A相手探索アルゴリズムAMAのうち少なくとも一方を更新するための学習を実行することができる。
【0027】
また例えば、上述の例のようなM&Aの買い手側であるユーザ企業は、他社からの資金援助を受けたうえでM&Aを行いたいという要望を持つ場合もある。
このような場合において、サービス提供者サーバは、ユーザ企業に資金援助をする団体の候補に係る情報を資金援助情報として取得するようにしてもよい。
そして、M&A相手探索アルゴリズムAMAに対する入力パラメータには、資金援助情報の少なくとも一部が含まれるようにしてもよい。
この場合、サービス提供者サーバは、資金援助情報を再学習用データD3に含めて、入力パラメータとM&A相手探索アルゴリズムAMAのうち少なくとも一方を更新するための学習を実行することができる。
【0028】
なお、
図1の例では、ステップS3のマッチング処理では、ユーザ企業とのマッチ度に基づいてMの候補が出力されたが(後述の
図7参照)、後述の
図8に示すように、ユーザ企業により入力されたキーワードを自社のHP等に多く含む順にMの候補を出力するようにしてもよい。
【0029】
また、
図1の例では、M&Aの買い手側の企業はユーザ企業自身とされた。このため、ユーザ企業にとって好適なロングリストが作成可能なように、ポジティブ又はネガティブの二択評価が採用された。
しかしながら、M&Aの買い手側の企業は、ユーザ企業に特に限定されず、任意でよい。ただし、ユーザ企業が、他社を買い手側として場合には、ポジティブ又はネガティブの二択評価は行われない(GoodボタンやBadボタンは表示されない)。なぜなら、この二択評価の評価結果は、入力パラメータとM&A相手探索アルゴリズムAMAのうち少なくとも一方を更新するための学習に用いられる。このため、ユーザ企業が、例えば悪意を持って、本当は「Bad」なのに、「Good」ボタンの押下を連発すれば、ユーザ企業が実際に活用する時には「ユーザ企業が興味のない会社ばかり」がMの候補として表示されてしまうからである。
【0030】
次に、
図2を参照して、上述した本サービスの提供を実現化させる情報処理システム、即ち本発明の情報処理システムの一実施形態の構成について説明する。
図2は、本発明の情報処理システムの一実施形態の構成の一例を示す図である。
【0031】
図2に示す情報処理システムは、サービス提供者サーバ1と、ユーザ企業端末2と、企業サーバ3-1乃至3-n(nは任意の整数値)とを含むように構成されている。
サービス提供者サーバ1、ユーザ企業端末2、及び企業サーバ3-1乃至3-nは、インターネット等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されている。
【0032】
サービス提供者サーバ1は、サービス提供者により管理される情報処理装置である。サービス提供者サーバ1は、ユーザ企業端末2、及び企業サーバ3-1乃至3-nと適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0033】
ユーザ企業端末2は、ユーザ企業(実際には担当者)が操作する情報処理装置である。ユーザ企業端末2は、上述したように、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等で構成される。ユーザ企業端末2は、例えばユーザ企業による各種情報の入力操作を受け付けてサービス提供者サーバ1に送信したり、サービス提供者サーバ1から送信されてきた各種情報を受信して表示したりする。なお、
図2にはユーザ企業端末2が1台のみ描画されているが、これは説明を理解し易くするために簡略化させたものである。実際にはユーザ企業の数以上のユーザ企業端末2が存在し得る。
【0034】
企業サーバ3-K(Kは1乃至nのうち何れかの整数値)は、ユーザ企業にとってM&Aの相手方になり得る企業により管理される情報処理装置である。企業サーバ3-Kは、自社の企業HP-Kを管理している。
なお、以下、企業サーバ3-1乃至3-nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「企業サーバ3」と呼ぶ。また企業サーバ3と呼んでいる場合には、企業HP-1乃至HP-nをまとめて「企業HP」と呼ぶ。
【0035】
図3は、
図2に示す情報処理システムのうちサービス提供者サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
サービス提供者サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0037】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0038】
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0039】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(例えば
図2のユーザ企業端末2や企業サーバ3)との間で通信を行う。
【0040】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0041】
なお、図示はしないが、
図2のユーザ企業端末2及び企業サーバ3も、
図3に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。したがって、ユーザ企業端末2及び企業サーバ3のハードウェア構成についての説明は省略する。
【0042】
このような
図3のサービス提供者サーバ1を含む
図2の情報処理システムを構成する各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、
図4の機能的構成の処理を実行し、上述の本サービスを提供することができる。
図4は、
図2の情報処理システムを構成する
図3のサービス提供者サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0043】
図4に示すように、サービス提供者サーバ1のCPU11においては、ユーザ企業情報取得部51と、資金援助情報取得部52と、M&Aマッチング部53と、M&A相手候補提供部54と、知財評価部55と、ユーザ企業評価取得部56と、再学習データ取得部57と、再学習部58とが機能する。
【0044】
また、サービス提供者サーバ1の記憶部18の一領域には、企業DB-Cと、M&A相手探索アルゴリズムAMAが設けられている。
企業DB-Cは、
図1を用いて上述したように、ユーザ企業、及び企業サーバ3-1乃至3-nの夫々を管理する各企業に関する各種情報を格納している。
M&A相手探索アルゴリズムAMAは、
図1を用いて上述したように、所定の入力パラメータの情報が入力されると、ユーザ企業又はキーワードについての、企業サーバ3-1乃至3-nの夫々を管理する各企業とのマッチ度を出力する。
【0045】
ユーザ企業情報取得部51は、ユーザ企業に関する複数の項目を含む情報をユーザ企業情報D1として取得する。
ここで、複数の項目には、ユーザ企業によってユーザ企業端末2に入力されたキーワード(
図1のステップS1、
図7の入力領域DA4、又は
図8の入力領域DA6参照)が少なくとも含まれている。また、
図1で上述したように、企業DB-Cに格納されているユーザ企業の情報、例えば、企業基本情報や企業特徴情報も複数の項目に含まれ得る。
【0046】
資金援助情報取得部52は、ユーザ企業がM&Aの買い手側である場合において、当該ユーザ企業に資金援助をする団体の候補に係る情報を資金援助情報として取得する。
具体的には、資金援助情報は、ユーザ企業によってユーザ企業端末2に入力されてサービス提供者サーバ1に送信されてくる。そこで、資金援助情報取得部52は、通信部19を介して資金援助情報を取得する。
【0047】
M&Aマッチング部53は、ユーザ企業情報D1の複数の項目(資金援助情報が存在する場合には資金援助情報も含む)の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力する。M&Aマッチング部53は、当該入力パラメータの情報をM&A相手探索アルゴリズムAMAに入力し、ユーザ企業(或いはキーワード)に対する、企業サーバ3-1乃至3-nの夫々を管理する各企業のマッチ度を出力する。
換言すると、企業サーバ3-1乃至3-nの夫々を管理するnの企業が、マッチ度の順番でnの候補として出力される。
【0048】
M&A相手候補提供部54は、Nの候補のうちM(MはN以下の整数値であり、例えばマッチ度が上位M位まで)の候補の夫々に関する情報を候補情報D2として、通信部19を介してユーザ企業端末2に送信する。これにより、候補情報D2は、ユーザ企業に提供される。
このとき、M&A相手候補提供部54は、当該Mの候補の夫々に対してユーザ企業がポジティブ又はネガティブの2択で評価する操作を行うための評価受付インターフェースも、通信部19を介してユーザ企業端末2に送信する。これにより、評価受付インターフェースは候補情報D2と共に、ユーザ企業に提供される。
このようなマッチ度による候補情報D2及び評価受付インターフェースの具体例については、
図7を参照して後述する。
【0049】
なお、M&Aマッチング部53は、上述したように、マッチ度ではなく、ユーザ企業情報D1として入力されたキーワードを1以上の個数(以下、「マッチ数」と呼ぶ)だけ企業HPに含むMの企業を、Mの候補として出力することもできる。
この場合、候補情報D2のみユーザ企業に提供される。このようなマッチ数による候補情報D2の具体例については、
図8を参照して後述する。
【0050】
知財評価部55は、M&Aマッチング部53から出力されたMの候補の夫々について、知的財産に関する文献を用いた解析(例えば特許文献を用いた特許マップによる解析)を行い、その解析結果を知的財産解析結果として取得する。
なお、解析自体は、サービス提供者サーバ1自体で実行する必要は特になく、他の情報処理装置で実行してもよい。
【0051】
ユーザ企業評価取得部56は、マッチ度に基づく候補情報D2と共に提供された評価受付インターフェースによりユーザ企業の評価結果情報がユーザ企業端末2に入力されて送信されてきた場合、当該評価結果情報を通信部19を介して取得する。
【0052】
再学習データ取得部57は、評価結果情報と、マッチ度に基づく候補情報D2とを再学習用データD3として取得する。
さらに、再学習データ取得部57は、さらに必要に応じて、ユーザ企業情報D1、資金援助情報、及び、知的財産解析結果のうち少なくとも一部を再学習用データD3として取得する。
【0053】
再学習部58は、再学習用データD3を用いて、入力パラメータとM&A相手探索アルゴリズムAMAのうち少なくとも一方を更新するための学習を実行する。
【0054】
次に、
図5乃至
図8を参照して、本サービスが提供される際のユーザ企業端末2に表示される画面の具体例について説明する。
図5乃至
図8は、ユーザ企業端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【0055】
ユーザ企業は、ユーザ企業端末2を操作することで、
図5乃至
図8の各画面を選択的に切替えてユーザ企業端末2に表示させることができる。
【0056】
図5に示す画面は、ダッシュボードの画面であり、表示領域DA1と表示領域DA2とを含んでいる。
表示領域DA1には、ユーザ企業によって設定された分野等に基づく過去のM&Aの実績がグラフ形式で表示される。
表示領域DA2には、ユーザ企業によって設定された分野等に基づく過去のM&Aの相手先を見つける際に用いられたキーワードのランキングが表示される。
なお、表示領域DA1及びDA2等に表示される内容は、
図5の例に特に限定されず、ユーザ企業にとって有意な各種情報が各種表示形態で表示可能である。
【0057】
図6に示す画面は、過去のM&Aの実績のリストが表示される。
このリストにおいて、1つの所定行は、1つのM&Aの実績を示しており、DATE(M&Aがなされた日付)、買い手企業(買い手企業の情報)、売り手企業(売り手企業の情報)、及びVALUATION(M&Aの金額)が表示される。
ユーザ企業は、この
図6に示すリストの中で、所望の行をクリックすることで、当該業のM&Aの実績のさらなる詳細を閲覧することができる。
【0058】
図7に示す画面は、買い手企業とのマッチ度で売り手企業を検索するための画面であり、入力領域DA3及びDA4、並びに、表示領域DA50及びDA51を含んでいる。
即ち、
図1の例の検索を行う場合の画面例が
図7に示されている。
【0059】
図1のステップS1において、ユーザ企業が、買い手企業として自社の名称を入力する。このユーザ企業の名称が入力される領域が、入力領域DA3である。また、ユーザ企業が、売り手企業に求める条件等の任意のキーワードを入力する領域が、入力領域DA4である。
なお、
図1でも上述したように、ユーザ企業は、入力領域DA3に対して、ユーザ企業自身の名称を入力する必要は特になく、任意の企業名(他者の企業名)を入力することができる。ただし、評価受付インターフェース(後述のGoodボタンGBとBadボタンNB)は、買い手企業としてユーザ企業自身が入力領域DA3に入力された場合に表示され、買い手企業として他社が入力領域DA3に入力された場合には表示されない。上述したように、評価受付インターフェースによる評価結果はマッチ度を出力するM&A相手探索アルゴリズムAMA等の学習に用いられ、他社のためにいい加減な評価をするとユーザ企業にとって適切でないものになってしまうおそれが大きいからである。
【0060】
図1のステップS2において、サービス提供者サーバ1の
図4のユーザ企業情報取得部51は、入力領域DA4に入力されたキーワードを含む、入力領域DA3に入力された買い手企業(ここではユーザ企業)に関する複数の項目を含む情報をユーザ企業情報D1として取得する。
【0061】
ステップS3において、
図4のM&Aマッチング部53は、買い手企業とのマッチ度で売り手企業を検索するためのマッチング処理を実行する。即ち、M&Aマッチング部53は、ユーザ企業情報D1の複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力すると、M&A相手探索アルゴリズムAMAに基づいて、相手先の企業(本例では売り手企業)としてNの候補を出力する処理を実行する。
【0062】
ステップS4において、
図4のM&A相手候補提供部54は、Nの候補のうちMの候補の夫々に関する情報を候補情報D2として、ユーザ企業端末2を介してユーザ企業に提供する。
即ち、マッチ度が第L位(Lは1乃至Mのうち何れかの整数値であり、
図7の例ではL=20)の候補についての候補情報D2が、
図7の表示領域DA50に表示される。
また、マッチ度が第L+1位(
図7の例ではL+1=21)の候補についての候補情報D2が、
図7の表示領域DA51に表示される。
なお、
図7には図示はしないが、ユーザ企業は、ユーザ企業端末2に対してスクロール操作等をすることによって、マッチ度が他の順位の候補についての候補情報D2をユーザ企業端末2に表示させることができる。
【0063】
さらに、ステップS4において、
図4のM&A相手候補提供部54は、当該Mの候補の夫々に対して前記ユーザ企業がポジティブ又はネガティブの2択で評価する操作を行うための評価受付インターフェースを提供する。
図7の例では、評価受付インターフェースは、ポジティブ評価をする場合に押下されるGoodボタンGBと、ネガティブ評価をする場合に押下されるBadボタンNBとで構成されている。
ここで、表示領域DA51においては、GoodボタンGBと、ネガティブ評価をする場合に押下されるBadボタンNBとが表示されている。これは、表示領域DA51に表示されているマッチ度が第L+1位(
図7の例ではL+1=21)の候補については、未だ評価がなされていないことを意味している。
これに対して、表示領域DA51においては、GoodボタンGBと、ネガティブ評価をする場合に押下されるBadボタンNBとは表示されておらず、その代わりに、「見積り依頼BOXへ」と表記されたボタンMBが表示されている。これは、表示領域DA51に表示されているマッチ度が第L位(
図7の例ではL=20)の候補については、既に評価がなされており、当該候補についての次のステップ(ここでは見積り依頼)に進める状態であることを意味している。
【0064】
ここで、
図7の画面の右上に「チケット購入」というボタンがある。ユーザ企業は、例えば当該ボタンを押下して、1枚チケットを購入して使用することで、
図7の画面を用いてM&Aの相手先の検索をすることができる。
ただし、チケット1枚の検索結果として、例えばマッチ度が第1位乃至第20位の候補情報D2は開示されるが(第20位の表示領域DA50参照)、第21位以降の候補情報D2は会社名と業界(分野)のみが表示されそれ以外の情報はマスクされる(第21位の表示領域DA51参照)。
そこで、ユーザ企業は、さらに1枚チケットを購入して使用することで、当該マスクを除去して、第21位以降の候補情報D2を視認することができるようになる。
【0065】
なお、マスクの対象は、特に
図7の例に限定されず任意でよく、例えば、
図7の例とは逆に、マッチ度が上位の幾つかの候補情報D2にマスクをするようにしてもよい。
また、マスクを外す所定条件も、特に
図7の例のチケット購入に限定されず任意でよい。
以上まとめると、
図4のM&A相手候補提供部54は、Mの候補のうちK(Kは、M以下の整数値)の候補の候補情報D2については、所定条件を満たさない場合には、内容の一部をマスクスしてユーザ企業に提供する一方、当該所定条件を満たす場合には、当該マスクを外して前記ユーザ企業に提供することができる。
このようなマスクを利用することで、サービス提供者は、戦略的に本サービスを提供することができるようになる。
【0066】
図8に示す画面は、キーワード(マッチ数)で売り手企業を検索するための画面であり、入力領域DA6及び表示領域DA7を含んでいる。
【0067】
図8に示す画面において、ユーザ企業は、入力領域DA6に対して、売り手企業に求める条件等の任意のキーワードを入力する。
【0068】
サービス提供者サーバ1の
図4のユーザ企業情報取得部51は、入力領域DA6に入力されたキーワードを取得する。
図4のM&Aマッチング部53は、キーワード(マッチ数)で売り手企業を検索するためのマッチング処理を実行する。即ち、M&Aマッチング部53は、企業HP-C1乃至Cnの夫々にアクセスし、入力領域DA6に入力されたキーワードを幾つ含むのかを確認し、その「幾つ」をマッチ数として認識する。そして、M&Aマッチング部53は、マッチ数の順にNの候補を出力する処理を実行する。
【0069】
図4のM&A相手候補提供部54は、Nの候補のうちMの候補の夫々に関する情報を候補情報D2として、ユーザ企業端末2を介してユーザ企業に提供する。
即ち、Mの候補の夫々の候補情報D2が、
図8の表示領域DA7に表示される。
なお、
図8の例では、マッチ数が19位乃至21位の候補情報D2のみが表示されているが、ユーザ企業は、ユーザ企業端末2に対してスクロール操作等をすることによって、マッチ数が他の順位の候補についての候補情報D2をユーザ企業端末2に表示させることができる。
【0070】
なお、
図8の例においても、
図7の例と同様に、マスクやチケットが採用されている。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0072】
例えば、マッチングの相手は、上述の実施形態ではM&Aの相手先とされたが、特にこれに限定されず、資金提供者等でもよい。
【0073】
また例えば、上述の実施形態では、マッチング処理の結果としてユーザ企業に提示される対象は、M&Aの相手先の候補自体とされたが、所定属性や所定分野における当該候補の類似企業でもよい。
この場合の類似企業の選択手法は、特に限定されず、例えば、属性の近い企業の買収実績を参照する手法、企業規模を参照する手法、会社の事業内容等の記載を参照する手法等任意の手法を採用することができる。
【0074】
また、
図2に示すシステム構成、及び
図3に示すサービス提供者サーバ1のハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0075】
また、
図4に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述したマッチング処理等を全体として実行できる機能が
図2の情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図4の例に限定されない。
【0076】
また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図4に限定されず、任意でよい。
図4の例で、マッチング処理等は、
図2の情報処理システムを構成する
図3のサービス提供者サーバ1のCPU11の制御により行われる構成となっているが、これに限定されない。例えばサービス提供者サーバ1側に配置された機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、ユーザ企業端末2や図示せぬ他の情報処理装置が備える構成としてもよい。
【0077】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0078】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0079】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0080】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0081】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システムは、
ユーザ企業にとって、M&A(Mergers and Acquisitions)の相手先の企業の候補を提供する情報処理システムであって、
前記ユーザ企業に関する複数の項目を含む情報をユーザ企業情報(例えば
図1のユーザ企業情報D1)として取得するユーザ企業情報取得手段(例えば
図4のユーザ企業情報取得部51)と、
前記複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報を入力パラメータとして入力すると、所定のアルゴリズム(例えば
図1や
図4のM&A相手探索アルゴリズムAMA)に基づいて、前記相手先の企業としてN(Nは1以上の整数値)の候補を出力する候補出力手段(例えば
図4のM&Aマッチング部53)と、
前記Nの候補のうちM(MはN以下の整数値)の候補の夫々に関する情報を候補情報(例えば
図1の候補情報D2)として前記ユーザ企業に提供すると共に、当該Mの候補の夫々に対して前記ユーザ企業がポジティブ又はネガティブの2択で評価する操作を行うための評価受付インターフェース(例えば、
図7のGoodボタンGB及びBadボタンNB)を前記ユーザ企業に提供する候補提供手段(例えば
図4のM&A相手候補提供部54)と、
前記Mの候補の夫々に対して、前記評価受付インターフェースを介して前記ユーザ企業により評価された結果を、評価結果情報として取得する評価結果取得手段(例えば
図4のユーザ企業評価取得部56)と、
前記Mの候補の夫々についての前記候補情報及び前記評価結果情報(例えば
図1の再学習用データD3)に基づいて、前記入力パラメータと前記アルゴリズムのうち少なくとも一方を更新するための学習を実行する学習手段(例えば
図4の再学習部58)と、
を備える。
【0082】
即ち、ユーザ企業に関する複数の項目の少なくとも一部を含む複数の情報が入力パラメータとして入力されると、所定のアルゴリズム(例えば
図1や
図4のM&A相手探索アルゴリズムAMA)に基づいて、相手先の企業としてNの候補が出力される。
Nの候補のうちMの候補の夫々に関する情報を候補情報(例えば
図1の候補情報D2)として前記ユーザ企業に提供されると共に、当該Mの候補の夫々に対して前記ユーザ企業がポジティブ又はネガティブの2択で評価する操作を行うための評価受付インターフェース(例えば、
図7のGoodボタンGB及びBadボタンNB)が前記ユーザ企業に提供される。
前記Mの候補の夫々に対して、前記評価受付インターフェースを介して前記ユーザ企業により評価された結果が、評価結果情報として取得され、前記Mの候補の夫々についての前記候補情報及び前記評価結果情報(例えば
図1の再学習用データD3)に基づいて、前記入力パラメータと前記アルゴリズムのうち少なくとも一方を更新するための学習が実行される。
【0083】
このようにして、所定のアルゴリズムに基づいて出力された相手先の企業の候補に対して、ユーザ企業のポジティブ又はネガティブの2択評価がフィードバックされて、当該所定のアルゴリズム等が再学習される。
これにより、当該所定のアルゴリズムはユーザ企業にとって好適なものになっていく。その結果、より精度の高いM&Aの相手先の候補、換言するとユーザ企業にとってより好適な候補を提示することができるようになる。
【0084】
さらにより精度の高いM&Aの相手先の候補を提示すべく、情報処理システムは、次のような構成を取ることもできる。
【0085】
例えば、前記学習手段は、さらに、前記ユーザ企業情報に基づいて、前記学習を実行するようにしてもよい。
【0086】
また例えば、前記Mの候補の夫々について、知的財産に関する文献を用いた解析を行い、その解析結果を知的財産解析結果として取得する解析結果取得手段(例えば
図4の知財評価部55)をさらに備え、
前記学習手段は、さらに、前記Mの候補の夫々についての前記知的財産解析結果に基づいて、前記学習を実行するようにしてもよい。
【0087】
また例えば、
前記ユーザ企業がM&Aの買い手側である場合において、前記ユーザ企業に資金援助をする団体の候補に係る情報を資金援助情報として取得する資金援助情報取得手段(例えば
図4の資金援助情報取得部52)をさらに備え、
前記所定のアルゴリズムに対する入力パラメータには、前記資金援助情報の少なくとも一部が含まれており、
前記学習手段は、さらに、前記資金援助情報に基づいて、前記学習を実行するようにしてもよい。
【0088】
さらに本発明が適用される情報処理システムを用いたサービスを提供する者(例えば上述の本サービスのサービス提供者)が当該サービスを戦略的に提供することができるように、情報処理システムは、次のような構成を取ることもできる。
前記候補提供手段は、前記Mの候補のうちK(Kは、M以下の整数値)の候補の前記候補情報については、所定条件(例えばチケット購入して使用するという条件)を満たさない場合には、内容の一部をマスクスして前記ユーザ企業に提供する(例えば
図7の表示領域DA51参照)一方、当該所定条件を満たす場合には、当該マスクを外して前記ユーザ企業に提供する(例えば
図7の表示領域DA50参照)ようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1・・・サービス提供者サーバ、2・・・ユーザ企業端末、3・・・企業サーバ、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、51・・・ユーザ企業情報取得部、52・・・資金援助情報取得部、53・・・M&Aマッチング部、54・・・M&A相手候補提供部、55・・・知財評価部、56・・・ユーザ企業評価取得部、57・・・再学習データ取得部、58・・・再学習部