IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 内山工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ガスケット 図1
  • 特開-ガスケット 図2
  • 特開-ガスケット 図3
  • 特開-ガスケット 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102693
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ガスケット
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20230718BHJP
   F16J 15/12 20060101ALI20230718BHJP
   F02F 11/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
F16J15/10 B
F16J15/12 A
F02F11/00 A
F02F11/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003356
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】枝廣 和憲
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040BA01
3J040EA05
3J040EA15
3J040EA17
3J040EA40
3J040EA43
3J040FA01
3J040FA05
3J040HA02
3J040HA05
3J040HA09
3J040HA16
(57)【要約】
【課題】曲げ剛性を向上させることができる複数の分割構成材からなる環状のガスケットを提供する。
【解決手段】複数の分割構成材2A,2Bで構成される芯体2と、前記芯体に固着されるシール部3とを備え2部材の対向面40,50間をシールする環状のガスケット1であって、前記芯体は、複数の分割構成材の端部同士がその間に隙間が存在する状態で突き合わされ、その突き合わされて構成される突き合わせ部位21A,21Bが、弾性部材6によって接合されることで環状に形成されており、前記突き合わせ部位の縁部21a,21bは、前記分割構成材の平面視における長手方向に対して傾斜状に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割構成材で構成される芯体と、前記芯体に固着されるシール部とを備え2部材の対向面間をシールする環状のガスケットであって、
前記芯体は、複数の分割構成材の端部同士がその間に隙間が存在する状態で突き合わされ、その突き合わされて構成される突き合わせ部位が、弾性部材によって接合されることで環状に形成されており、
前記突き合わせ部位の縁部は、前記分割構成材の平面視における長手方向に対して傾斜状に構成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
請求項1において、
前記突き合わせ部位は、前記縁部も含め前記分割構成材の平面視における長手方向に対して直線的に傾斜する形状に形成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項3】
請求項2において、
前記突き合わせ部位を複数備え、
当該複数の前記突き合わせ部位の平面視における形状が、互いに異なる方向に傾斜することを特徴とするガスケット。
【請求項4】
請求項1において、
前記突き合わせ部位は、蛇行状とされた部位を含むことを特徴とするガスケット。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項において、
前記芯体には、前記2部材を締結するためのボルトが挿通されるボルト孔を複数有し、
いずれかの前記ボルト孔は、前記突き合わせ部位に設けられることを特徴とするガスケット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2部材間の対向面間をシールするために用いられる環状のガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関のヒートエクスチェンジャーカバーとヒートエクスチェンジャーの対向面間や、シリンダブロックとオイルパンとの対向面間などに介装され、2部材を締結することによって2部材の対向面間を密封する環状のガスケットが知られている。
【0003】
環状のガスケットとしては、下記特許文献1や下記特許文献2のように、2つの分割構成材の端部を互いに突き合わせて接合し、環状に形成した環状体の内周面に、弾性シール層を被着一体としたものが知られている。下記特許文献1,2では、2つの分割構成材を突き合わせて構成された接合部に弾性材を流し込んで硬化させて接合することによって、環状体が構成されている。
【0004】
ガスケットを製造する場合、一枚の金属板から環状形状に打ち抜いて一体の環状体を得るものでは、環状体の内側部分は抜きかすとして廃棄されることが多い。一方、下記特許文献1,2のように複数の分割構成材を組み合わせて環状体とするガスケットの場合、一枚の金属板から分割構成材を複数打ち抜いて製造することが可能なので、一枚の金属板から廃棄される材料が減り、生産歩留まりが向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,618,047号明細書
【特許文献2】特開2010-133477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記特許文献1や上記特許文献2では、分割構成材の長手方向及び長手方向に直交する幅方向に沿って接合部が構成されるため、長手方向の曲げに対しての剛性もしくは幅方向に対しての剛性が不足する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、曲げ剛性を向上させることができる複数の分割構成材からなる環状のガスケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のガスケットは、複数の分割構成材で構成される芯体と、前記芯体に固着されるシール部とを備え2部材の対向面間をシールする環状のガスケットであって、前記芯体は、複数の分割構成材の端部同士がその間に隙間が存在する状態で突き合わされ、その突き合わされて構成される突き合わせ部位が、弾性部材によって接合されることで環状に形成されており、前記突き合わせ部位の縁部は、前記分割構成材の平面視における長手方向に対して傾斜状に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガスケットは上述した構成とされるため、曲げ剛性を向上させることができる複数の分割構成材からなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るガスケットの模式的平面図、(b)は、(a)のA部の模式的拡大図、(c)は、(a)のB部の模式的拡大図である。
図2】(a)は、図1(b)のX-X’線矢視断面図、(b)は、(a)が2部材の対向面間をシールした状態における模式的縦断面図である。
図3】(a)は、図1(a)のA部の変形例を示す模式的拡大図、(b)は、図1(a)のC部の変形例を示す模式的拡大図である。
図4】(a)(b)は、それぞれ変形例におけるガスケットの模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、一部の図には、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
本実施形態に係るガスケット1は、複数の分割構成材で構成される芯体2と、芯体2に固着されるシール部3とを備え、2部材の対向面40,50間をシールする環状のガスケットである。芯体2の構成は、複数に分割して構成されるものであれば特に限定されないが、図1図2に示すガスケット1の芯体2は、第1分割構成材2Aと、第2分割構成材2Bとで構成されている。芯体2は、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの端部同士がその間に隙間が存在する状態で突き合わされ、その突き合わせて構成される第1突き合わせ部位21Aと第2突き合わせ部位21Bとが、弾性部材6によって接合されることで環状に形成される。さらにガスケット1は、芯体2に固着され弾性変形して2部材の対向面40,50間をシールするシール部3を備える。第1突き合わせ部位21Aの縁部21aと第2突き合わせ部位21Bの縁部21bは、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの平面視における長手方向に対して傾斜状に構成されている。
以下、図面を参照しながら詳述する。
【0012】
本実施形態において、ガスケット1によって対向面40,50間がシールされる2部材は、第1部材4及び第2部材5である。第1部材4は、第2部材5の上方から覆い被さるように配されるものである。第1部材4及び第2部材5としては、例えば内燃機関のヒートエクスチェンジャーカバー及びヒートエクスチェンジャーや、シリンダブロック及びオイルパン等が挙げられる。図1(a)に示すガスケット1の平面視における形状は、第1部材4の対向面40及び第2部材5の対向面50の形状に沿ったものとされる。
【0013】
ガスケット1は、上述したとおり、環状に形成される芯体2及び芯体2に固着されているシール部3を備え、芯体2は、2つの分割構成材2A,2B、具体的には、第1分割構成材2Aと第2分割構成材2Bとによって構成される。第1分割構成材2Aの平面視における長手方向の両端部と、第2分割構成材2Bの平面視における長手方向の両端部との間に隙間が存在する状態で互いに突き合わされる。本実施形態において、隙間が存在する状態で突き合わされた第1分割構成材2Aの長手方向の端部を突き合わせ部位21Aとし、第1突き合わせ部位21Aに対向する分割構成材20Bの長手方向の端部を第2突き合わせ部位21Bとする。第1突き合わせ部位21Aと第2突き合わせ部位21Bの間の隙間に弾性部材6が流れ込んで第1突き合わせ部位21Aと第2突き合わせ部位21Bとが加硫接合されることで、芯体2が環状に形成される。さらに、弾性部材6の加硫成型によって、芯体2の内周面24に環状のシール部3が固着一体に形成される。よって、第1分割構成材2Aの内周面24aと第2分割構成材2Bの内周面24bとで、環状の芯体2の内周面24を構成する。また同様に、第1分割構成材2Aの外周面25aと第2分割構成材2Bの外周面25bとで、環状の芯体2の外周面25を構成する。
【0014】
第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bは、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等の剛性を有する金属板が打ち抜かれることによって形成される。図1(a)のA部及び図1(b)に示す一方側の第1突き合わせ部位21Aは、縁部21aも含め平面視において分割構成材20Aの長手方向に対して平行でも直交でもないθ1の角度で直線的に傾斜する形状に形成されている。そして、隙間を介して一方側の第1突き合わせ部位21Aに対向する一方側の第2突き合わせ部位21Bは、縁部21bも含め、一方側の第1突き合わせ部位21Aと略平行となる傾斜角度で形成されている。
【0015】
図1(a)のB部及び図1(c)に示す他方側の第1突き合わせ部位21Aは、縁部21aも含め第1分割構成材2Aの平面視における長手方向に対して交差する角度、且つ、θ1とは異なる角度であるθ2の角度で直線的に傾斜する形状に形成されている。そして、他方側の第1突き合わせ部位21Aに対向する他方側の第2突き合わせ部位21Bは、隙間を介して他方側の第1突き合わせ部位21Aに対向するとともに、縁部21bも含め、他方側の突き合わせ部位21Aと略平行となる傾斜角度で形成されている。
【0016】
一方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bは、図1(a)(b)の紙面上において左側に上がり傾斜するように形成され、他方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bは、図1(a)(c)の紙面上において右側に上がり傾斜するように形成されている。このように、一方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bと他方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bとは、互いに異なる方向に傾斜するように形成されている。
【0017】
第1分割構成材2Aの上面200A及び下面201Aの幅方向の一方側には、厚み方向の内側へ切欠状に形成された切欠段部22A,22Aが形成されている。また、第2分割構成材2Bの上面200B及び下面201Bの幅方向の一方側にも、同様に、厚み方向の内側へ切欠状に形成された切欠段部22B,22Bが形成されている。本実施形態において、切欠段部22A,22Bは、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの内周面24側に設けられている。また、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bには、固着具であるボルトによって第1部材4及び第2部材5に組付けるためのボルト孔23が複数設けられている。
【0018】
本実施形態において、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bは、第1突き合わせ部位21Aと第2突き合わせ部位21Bとの間に約1mmの隙間を設け、弾性部材6によって接合される。また、図1(b)(c)に示す、ボルト孔23を備えない部分における第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの幅寸法は約5mmである。幅寸法が5mmの第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bにおいて、第1突き合わせ部位21Aと第2突き合わせ部位21Bとの間の隙間の寸法が1mmあれば、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの部材合わせの位置ずれ公差を吸収できる。さらに、高精度の位置合わせが必要ないため、接合の成立性を向上させることができる。第1突き合わせ部位21Aと第2突き合わせ部位21Bとの間の隙間の寸法は、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの幅寸法に応じて適宜設定されればよい。
【0019】
第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bによって環状に形成された芯体2には、内周面24に沿った弾性部材による環状のシール部3が固着される。シール部3は、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの切欠段部22A,22Bに至るように固着されることで、芯体2からの離脱が抑制されている。シール部3は、弾性変形して第1部材4及び第2部材5の対向面40,50間をシールする部材である。シール部3の厚み方向の両端部には、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの上面200A,200Bや下面201A,201Bよりも厚み方向の外側に突出する環状突部30,30が、シール部3の周方向に沿って環状に形成されている。環状突部30は、図2(a)に示すように、自然状態の縦断面形状が略半円状となっている。環状突部30の外周側には、厚み方向の内側に凹んだ溝部31が環状突部30に沿って環状に形成されている。また、環状突部30の内周側に位置する上面部32及び下面部33は、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの上面200A,200Bや下面201A,201Bよりも厚み方向の内側に位置するように形成されている。
【0020】
図2(b)に示すように、ガスケット1が第1部材4の対向面40及び第2部材5の対向面50間に介装されることで、環状突部30が溝部31や上面部32及び下面部33に逃げながら弾性変形する。第1部材4及び第2部材5の対向面40及び第2部材5の対向面50間に、環状突部30が圧縮状態で介在することで、第1部材4の対向面40及び第2部材5の対向面50間をシールする。
【0021】
第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21B間の隙間に流し込まれる弾性部材6及びシール部3は、同一の弾性部材から加硫成型される。ここで用いられる弾性部材としては、EPDM、NBR、H-NBR、ACM、AEM、FKM等のゴム材等が挙げられる。
【0022】
本実施形態のガスケット1において、第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bは、縁部21a,21bも含め第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの平面視における長手方向に対して傾斜状に構成されている。そのため、芯体2が第1突き合わせ部位21Aや第2突き合わせ部位21Bを起点に長手方向又は幅方向に曲がろうとしても、縁部21a,21bが曲げを抑制するようになっている。したがって、長手方向及び幅方向の曲げに対する芯体2の曲げ剛性が向上する。また、突き合わせ部位21A,21Bは、直線的に傾斜する形状に形成されているので、製造を容易に行える。また、第1分割構成材2Aの第1突き合わせ部位21A及び第2分割構成材2Bの第2突き合わせ部位21Bを突き合わせる際に、高精度の位置合わせが不要且つ公差も吸収することができる。
【0023】
また、本実施形態においては、図1(a)のA部及び図1(b)に示す一方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bと、図1(a)のB部及び図1(c)に示す他方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bとは、互いに異なる方向に傾斜している。そのため、一方の第1突き合わせ部位21Aや第2突き合わせ部位21Bを起点に曲がろうとしても、他方の突き合わせ部位21Aや第2突き合わせ部位21Bは、一方の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bと同じ方向に曲がり難い。つまり、一方の第1突き合わせ部位21Aを起点に曲がろうとしても、他方の第2突き合わせ部位21Bによって曲げを抑制する。したがって、複数の突き合わせ部位21A,21Bが同じ方向に傾斜するものと比べて、芯体2の曲げ剛性を向上させることができる。
【0024】
次に、第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bの変形例について、図3(a)(b)を参照しながら説明する。なお、共通する部分の構成や効果の説明は省略する。
図3(a)に示す一方側の第1突き合わせ部位21A’及び第2突き合わせ部位21B’は、図1(a)のA部及び図1(b)に示す一方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bの変形例である。図3(a)の第1突き合わせ部位21A’及び第2突き合わせ部位21B’は、平面視において蛇行状とされた部位(以下「蛇行部」という。)26a,26bを含むように形成されている。一方側の第1突き合わせ部位21A’の内周側の縁部210aは、第1分割構成材2Aの内周面24aに連なり、第1分割構成材2Aの平面視における長手方向に対して平行でも直交でもないθ3の角度で傾斜している。一方側の第1突き合わせ部位21A’の外周側の縁部211aは、第1分割構成材2Aの外周面25aに連なり、第1分割構成材2Aの平面視における長手方向に対して平行でも直交でもなく、且つ、内周側の縁部210aとは異なるθ4の角度で傾斜している。内周側の縁部210a及び外周側の縁部211aは、第1分割構成材2Aの長手方向に対して異なる位置に形成され、蛇行部26aによって接続されている。蛇行部26aは、第1分割構成材2Aの長手方向に延びて形成され、且つ、幅方向への突出及び窪みが連続して複数形成されている。一方側の第1突き合わせ部位21A’に対向する一方側の第2突き合わせ部位21B’は、一方側の第1突き合わせ部位21A’と突き合わせた際に一定間隔の隙間が形成されるように、内周側の縁部210b、蛇行部26b、外周側の縁部211bが形成されている。第1突き合わせ部位21A’及び第2突き合わせ部位21B’が弾性部材によって接合されることで、環状の芯体2が形成される。
【0025】
本変形例の第1突き合わせ部位21A’及び第2突き合わせ部位21B’は、図1(a)のA部及び図1(b)に示す一方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bの変形例である。第1突き合わせ部位21A’及び第2突き合わせ部位21B’が蛇行部26a,26bを含むように形成されることで、芯体2が第1突き合わせ部位21A’や第2突き合わせ部位21B’を起点に曲がりにくくなり、より一層の芯体2の曲げ剛性の向上を図ることができる。なお、図1(a)のB部及び図1(c)に示す他方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bも同様に、蛇行部26a,26bを含むように形成されてもよい。その場合、芯体2の内周面24に連なる内周側の縁部210a,210b及び外周面25に連なる外周側の縁部211a,211bは、いずれの第1突き合わせ部位21A’及び第2突き合わせ部位21B’の内周側の縁部210a,210b及び外周側の縁部211a,211bの角度とは異なる角度であることが望ましい。各縁部の角度がそれぞれ異なることで、各突き合わせ部位を起点に曲がりにくくなり、より一層の芯体2の曲げ剛性の向上を図ることができる。
【0026】
次に、図3(b)の変形例について説明する。
図3(b)に示すボルト孔23’は、図1(a)のC部に示すボルト孔23の変形例である。図3(b)のボルト孔23’は、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの端部同士の間に隙間が存在する状態で互いに突き合わせた第1突き合わせ部位21A’’及び第2突き合わせ部位21B’’が弾性部材によって接合されることで構成される。第1突き合わせ部位21A’’及び第2突き合わせ部位21B’’は、それぞれ半円状の凹部23’a,23’bを含むように構成されている。この凹部23’a,23’bの縁に沿って弾性部材が固着されることで、丸孔のボルト孔23’が構成される。第1突き合わせ部位21A’’において、第1分割構成材2Aの内周面24aに連なる内周側の縁部210a及び外周面25aに連なる外周側の縁部211aは、略同一の傾斜角度且つ略同一直線上に位置するように構成される。第2突き合わせ部位21B’’の内周側の縁部210b及び外周側の縁部211bも、略同一の傾斜角度且つ略同一直線上に位置するように構成され、第1突き合わせ部位21A’’の内周側の縁部210a及び外周側の縁部211aと一定間隔の隙間が形成される。なお、本変形例のガスケット1では、図1(a)のA部に相当する部分には突き合わせ部位は構成されておらず、その他の構成は第1実施形態と略同一の構成となっている。
【0027】
本変形例のガスケット1において、第1突き合わせ部位21A’’及び第2突き合わせ部位21B’’と弾性部材とによって形成されたボルト孔23’以外のボルト孔23は、第1実施形態と同様である。ボルト孔23’は、弾性部材によって柔軟性を有する。そのため、本変形例のガスケット1を第1部材4及び第2部材5に組み付ける場合、図3(b)に示すボルト孔23’が、他のボルト孔23の位置ずれを吸収し、組付け性を向上させることができる。なお、本変形例において、図1(a)のB部及び図1(c)に示す位置に、他方側の第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bを設けなくてもよい。その代わりに、図1(a)に示すいずれかのボルト孔23を、凹部23’aを有す第1突き合わせ部位21A’’及び凹部23’bを第2突き合わせ部位21B’’によって構成されたボルト孔23’としてもよい。その場合、内周側の縁部210a,210bは、図3(a)に示す第1突き合わせ部位21A’’及び第2突き合わせ部位21B’’の内周側の縁部210a,210bとは異なる角度、且つ、異なる方向に傾斜して形成されることが望ましい。また、外周側の縁部211a,211bは、図3(a)に示す第1突き合わせ部位21A’’及び第2突き合わせ部位21B’’の外周側の縁部211a,211bとは異なる角度、且つ、異なる方向に傾斜して形成されることが望ましい。
【0028】
また、シール部3の構成も図1,2に示す第1実施形態のものに限定されることはない。例えば、図4(a)に示すように、芯体2の外周面25に固着されるように環状に形成されてもよい。この場合、第1分割構成材2Aの上面200Aには、その外周面25a側に、厚み方向の内側へ切欠状に切欠段部22Aが設けられる。第2分割構成材2Bの上面200Bには、その外周面25b側に、厚み方向の内側へ切欠状に切欠段部22Bが設けられる。
【0029】
また、図4(b)に示すように、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの幅方向の略中心部を通るように、環状のシール部3が形成されてもよい。この場合も、第1分割構成材2Aの上面200A及び下面201Aよりも突出する環状突部30,30が形成される。また、第2分割構成材2Bの上面200B及び下面201Bよりも突出する環状突部30,30が形成される。
【0030】
ガスケット1の構成は、上述したものや図示したものに限定されることはない。例えば、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bは、金属板の打ち抜きによって形成されることに限定されない。また、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bは、金属材料ではなく剛性を有する樹脂材料で形成されてもよい。また、芯体2を構成する分割構成材の数も2つに限定されず、3つ以上の分割構成材で芯体2が構成されてもよい。また、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの長手方向の一方の端部は、互いに隙間を設けて第1突き合わせ部位21A及び第2突き合わせ部位21Bを構成し、第1分割構成材2A及び第2分割構成材2Bの長手方向の他方の端部は、互いに当接して突き合わせ部位を構成しないものであってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 ガスケット
2 芯体
2A 第1分割構成材
2B 第2分割構成材
21A,21A’,21A’’ 第1突き合わせ部位
21B,21B’,21B’’ 第2突き合わせ部位
21a,21b 縁部
210a,210b 内周側の縁部
211a,211b 外周側の縁部
26a,26b 蛇行部
23,23’ ボルト孔
3 シール部
4 第1部材
40 対向面
5 第2部材
50 対向面
6 弾性部材

図1
図2
図3
図4