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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010270
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】箱詰めシステム及び箱詰め方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/10 20060101AFI20230113BHJP
   G01G 11/00 20060101ALI20230113BHJP
   B65G 47/90 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
B65B5/10
G01G11/00 M
B65G47/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114285
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝井 英治
(72)【発明者】
【氏名】菊池 壽晃
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誉将
(72)【発明者】
【氏名】小澤 麻実
【テーマコード(参考)】
3E003
3F072
【Fターム(参考)】
3E003AA01
3E003BA03
3E003BB01
3E003BC01
3E003BD04
3E003CA10
3E003CB02
3E003DA01
3E003DA05
3E003DA07
3F072AA06
3F072AA12
3F072GA06
3F072GD01
3F072GG03
3F072KA01
3F072KD01
(57)【要約】
【課題】製品の箱詰めに要する時間を短縮できるとともに、所定入数の製品を自動的に確実に受箱に詰め込むことができる箱詰めシステム及び箱詰め方法を提供する。
【解決手段】製品Pを搬送する供給ラインと、前段コンベア5と計量コンベア6と後段コンベア7を有する箱詰めライン3と、供給ラインで搬送される製品Pを箱詰めライン3上の詰め込み対象の受箱Bに詰め込む箱詰め手段4と、計量コンベア6への荷重に応じた計量値を出力する計量部9と、箱詰め手段4による受箱B1への製品Pの投入動作の直前の第1タイミングにおける計量部9の計量値と、箱詰め手段4による受箱B1への製品Pの投入動作の直後の第2タイミングにおける計量部9の計量値とに基づいて、受箱B1に製品Pが1個投入されたか否かを判断する投入判断部21と、受箱B1に製品Pが1個投入されたと投入判断部21が判断した回数をカウントするカウント部22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品(P)を搬送する供給ライン(2)と、前段搬送部(5)と計量搬送部(6)と後段搬送部(7)を有する箱詰めライン(3)と、前記供給ラインで搬送される製品を前記箱詰めライン上の受箱(B)に詰め込む箱詰め手段(4)と、を備え、詰め込み対象の受箱(B1)を含む1個以上の受箱を前記前段搬送部から前記計量搬送部を経て前記後段搬送部に搬送しながら、前記計量搬送部で搬送されている前記詰め込み対象の受箱に所定入数の製品を詰め込む箱詰めシステム(1)であって、
前記計量搬送部への荷重に応じた計量値を出力する計量部(9)と、
前記箱詰め手段による前記詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直前の第1タイミングにおける前記計量部の計量値と、前記箱詰め手段による前記詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直後の第2タイミングにおける前記計量部の計量値とに基づいて、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたか否かを判断する投入判断部(21)と、
前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと前記投入判断部が判断した回数をカウントするカウント部(22)と、を備え、
前記箱詰め手段は、前記カウント部によりカウントされた回数が前記所定入数に達するまで、前記詰め込み対象の受箱に製品を投入することを特徴とする箱詰めシステム。
【請求項2】
前記投入判断部は、
前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値から、前記第1タイミングにおける前記計量部の計量値を減算した計量値差分を算出する計量値差分算出部(21a)と、
前記計量値差分算出部により算出された計量値差分があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと判断する判断部(21b)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の箱詰めシステム。
【請求項3】
前記投入判断部は、
前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値から、前記第1タイミングにおける前記計量部の計量値を減算した計量値差分を算出する計量値差分算出部(21a)と、
空の受箱(B0)が前記前段搬送部から前記計量搬送部に乗り継ぐことによる前記計量搬送部への荷重の時間波形と、前記所定入数の製品が詰め込まれた受箱(B2)が前記計量搬送部から前記後段搬送部に乗り継ぐことによる前記計量搬送部への荷重の時間波形との和である乗継荷重波形を算出する乗継荷重波形算出部(21c)と、
前記乗継荷重波形の前記第2タイミングにおける値から、前記乗継荷重波形の前記第1タイミングにおける値を減算した乗継変化量を算出する乗継変化量算出部(21d)と、
前記計量値差分算出部により算出された計量値差分から、前記乗継変化量算出部により算出された乗継変化量を減算した荷重補正値を算出する荷重補正部(21e)と、
前記荷重補正部により算出された荷重補正値があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと判断する判断部(21b)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の箱詰めシステム。
【請求項4】
前記計量部は、前記第1タイミングに前記計量部の計量値を0に設定するリセット機能を有しており、
前記計量値差分算出部は、前記リセット機能により前記第1タイミングに前記計量部の計量値が0に設定された場合に、前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値を前記計量値差分として算出することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の箱詰めシステム。
【請求項5】
製品(P)を搬送する供給ライン(2)と、前段搬送部(5)と計量搬送部(6)と後段搬送部(7)を有する箱詰めライン(3)と、前記供給ラインで搬送される製品を前記箱詰めライン上の受箱(B)に詰め込む箱詰め手段(4)と、を用いて、詰め込み対象の受箱(B1)を含む1個以上の受箱を前記前段搬送部から前記計量搬送部を経て前記後段搬送部に搬送しながら、前記計量搬送部で搬送されている前記詰め込み対象の受箱に所定入数の製品を詰め込む箱詰め方法であって、
前記計量搬送部への荷重に応じた計量値を計量部(9)から出力する計量ステップ(S3)と、
前記箱詰め手段による前記詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直前の第1タイミングにおける前記計量部の計量値と、前記箱詰め手段による前記詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直後の第2タイミングにおける前記計量部の計量値とに基づいて、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたか否かを判断する投入判断ステップ(S7)と、
前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと前記投入判断ステップが判断した回数をカウントするカウントステップ(S8)と、を含み、
前記箱詰め手段は、前記カウントステップによりカウントされた回数が前記所定入数に達するまで、前記詰め込み対象の受箱に製品を投入することを特徴とする箱詰め方法。
【請求項6】
前記投入判断ステップは、
前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値から、前記第1タイミングにおける前記計量部の計量値を減算した計量値差分を算出する計量値差分算出ステップ(S21)と、
前記計量値差分算出ステップにより算出された計量値差分があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと判断する判断ステップ(S23)と、を含むことを特徴とする請求項5に記載の箱詰め方法。
【請求項7】
前記投入判断ステップは、
前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値から、前記第1タイミングにおける前記計量部の計量値を減算した計量値差分を算出する計量値差分算出ステップ(S21)と、
空の受箱(B0)が前記前段搬送部から前記計量搬送部に乗り継ぐことによる前記計量搬送部への荷重の時間波形と、前記所定入数の製品が詰め込まれた受箱(B2)が前記計量搬送部から前記後段搬送部に乗り継ぐことによる前記計量搬送部への荷重の時間波形との和である乗継荷重波形を算出する乗継荷重波形算出ステップ(S24)と、
前記乗継荷重波形の前記第2タイミングにおける値から、前記乗継荷重波形の前記第1タイミングにおける値を減算した乗継変化量を算出する乗継変化量算出ステップ(S25)と、
前記計量値差分算出ステップにより算出された計量値差分から、前記乗継変化量算出ステップにより算出された乗継変化量を減算した荷重補正値を算出する荷重補正ステップ(S26)と、
前記荷重補正ステップにより算出された荷重補正値があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと判断する判断ステップ(S27)と、を含むことを特徴とする請求項5に記載の箱詰め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給ラインで搬送される製品を箱詰め手段で取り出し、箱詰めラインで搬送される受箱に詰め込む箱詰めシステム及び箱詰め方法に関し、特に、所定の入数の製品を箱詰めする箱詰めシステム及び箱詰め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、箱詰検査装置に関する発明が開示されている。この箱詰検査装置は、架台に支持された重量検出器と、重量検出器からの信号を処理して表示手段に必要な表示を行なわせる演算処理手段を備えており、複数個の製品が詰められた中箱を所定個数だけ箱体に詰め込む作業を行なうに際し、総重量と中箱の平均重量等から中箱内に詰められた製品の欠品を検査するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-220429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された箱詰検査装置によれば、架台に支持された重量検出器に空の箱体を載せ、次に製品が詰められた中箱を所定の個数だけ箱体に詰めて計量を行なう。この箱詰検査装置は、箱体を重量検出器に搬入するコンベアや、箱体内に中箱を詰め込む箱詰め手段を備えておらず、人手によって箱体を重量検出器に載せ、人手によって箱体内に中箱を詰め込むことを予定しているため、箱体の載せ替えや中箱の詰め込みに時間がかかり、さらに箱体の載せ替え期間には計量ができないため、所定の入数の製品を正確に箱詰めする能力には限度があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、製品の箱詰めに要する時間を短縮できるとともに、所定入数の製品を自動的に確実に受箱に詰め込むことができる箱詰めシステム及び箱詰め方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る箱詰めシステムは、製品を搬送する供給ラインと、前段搬送部と計量搬送部と後段搬送部を有する箱詰めラインと、前記供給ラインで搬送される製品を前記箱詰めライン上の受箱に詰め込む箱詰め手段と、を備え、詰め込み対象の受箱を含む1個以上の受箱を前記前段搬送部から前記計量搬送部を経て前記後段搬送部に搬送しながら、前記計量搬送部で搬送されている前記詰め込み対象の受箱に所定入数の製品を詰め込む箱詰めシステムであって、前記計量搬送部への荷重に応じた計量値を出力する計量部と、前記箱詰め手段による前記詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直前の第1タイミングにおける前記計量部の計量値と、前記箱詰め手段による前記詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直後の第2タイミングにおける前記計量部の計量値とに基づいて、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたか否かを判断する投入判断部と、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと前記投入判断部が判断した回数をカウントするカウント部と、を備え、前記箱詰め手段は、前記カウント部によりカウントされた回数が前記所定入数に達するまで、前記詰め込み対象の受箱に製品を投入する構成である。
【0007】
この構成により、本発明に係る箱詰めシステムは、箱詰め手段による詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直前の第1タイミングにおける計量部の計量値と、箱詰め手段による詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直後の第2タイミングにおける計量部の計量値とに基づいて、詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたか否かを判断するようになっている。このため、仮に箱詰めミスが起きても製品を追加投入することができるため、受箱内に詰め込む製品の数を確実に所定入数に合わせることができる。これにより、本発明に係る箱詰めシステムは、詰め込み対象の受箱を含む1個以上の受箱の搬送を止めることなく、製品の箱詰めに要する時間を短縮できるとともに、所定入数の製品を自動的に確実に受箱に詰め込むことができる。
【0008】
また、本発明に係る箱詰めシステムにおいては、前記投入判断部は、前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値から、前記第1タイミングにおける前記計量部の計量値を減算した計量値差分を算出する計量値差分算出部と、前記計量値差分算出部により算出された計量値差分があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと判断する判断部と、を含む構成であってもよい。
【0009】
この構成により、本発明に係る箱詰めシステムは、第2タイミングにおける計量部の計量値から、第1タイミングにおける計量部の計量値を減算した計量値差分に基づいて、詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたか否かを判断することができる。
【0010】
また、本発明に係る箱詰めシステムにおいては、前記投入判断部は、前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値から、前記第1タイミングにおける前記計量部の計量値を減算した計量値差分を算出する計量値差分算出部と、空の受箱が前記前段搬送部から前記計量搬送部に乗り継ぐことによる前記計量搬送部への荷重の時間波形と、前記所定入数の製品が詰め込まれた受箱が前記計量搬送部から前記後段搬送部に乗り継ぐことによる前記計量搬送部への荷重の時間波形との和である乗継荷重波形を算出する乗継荷重波形算出部と、前記乗継荷重波形の前記第2タイミングにおける値から、前記乗継荷重波形の前記第1タイミングにおける値を減算した乗継変化量を算出する乗継変化量算出部と、前記計量値差分算出部により算出された計量値差分から、前記乗継変化量算出部により算出された乗継変化量を減算した荷重補正値を算出する荷重補正部と、前記荷重補正部により算出された荷重補正値があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと判断する判断部と、を含む構成であってもよい。
【0011】
この構成により、本発明に係る箱詰めシステムは、詰め込み対象の受箱以外の受箱の乗継に起因する計量搬送部への荷重変化の影響を排除して、詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたか否かをより正確に判断することができる。
【0012】
また、本発明に係る箱詰めシステムにおいては、前記計量部は、前記第1タイミングに前記計量部の計量値を0に設定するリセット機能を有しており、前記計量値差分算出部は、前記リセット機能により前記第1タイミングに前記計量部の計量値が0に設定された場合に、前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値を前記計量値差分として算出する構成であってもよい。
【0013】
また、本発明に係る箱詰め方法は、製品を搬送する供給ラインと、前段搬送部と計量搬送部と後段搬送部を有する箱詰めラインと、前記供給ラインで搬送される製品を前記箱詰めライン上の受箱に詰め込む箱詰め手段と、を用いて、詰め込み対象の受箱を含む1個以上の受箱を前記前段搬送部から前記計量搬送部を経て前記後段搬送部に搬送しながら、前記計量搬送部で搬送されている前記詰め込み対象の受箱に所定入数の製品を詰め込む箱詰め方法であって、前記計量搬送部への荷重に応じた計量値を計量部から出力する計量ステップと、前記箱詰め手段による前記詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直前の第1タイミングにおける前記計量部の計量値と、前記箱詰め手段による前記詰め込み対象の受箱への製品の投入動作の直後の第2タイミングにおける前記計量部の計量値とに基づいて、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたか否かを判断する投入判断ステップと、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと前記投入判断ステップが判断した回数をカウントするカウントステップと、を含み、前記箱詰め手段は、前記カウントステップによりカウントされた回数が前記所定入数に達するまで、前記詰め込み対象の受箱に製品を投入する構成である。
【0014】
また、本発明に係る箱詰め方法においては、前記投入判断ステップは、前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値から、前記第1タイミングにおける前記計量部の計量値を減算した計量値差分を算出する計量値差分算出ステップと、前記計量値差分算出ステップにより算出された計量値差分があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと判断する判断ステップと、を含む構成であってもよい。
【0015】
また、本発明に係る箱詰め方法においては、前記投入判断ステップは、前記第2タイミングにおける前記計量部の計量値から、前記第1タイミングにおける前記計量部の計量値を減算した計量値差分を算出する計量値差分算出ステップと、空の受箱が前記前段搬送部から前記計量搬送部に乗り継ぐことによる前記計量搬送部への荷重の時間波形と、前記所定入数の製品が詰め込まれた受箱が前記計量搬送部から前記後段搬送部に乗り継ぐことによる前記計量搬送部への荷重の時間波形との和である乗継荷重波形を算出する乗継荷重波形算出ステップと、前記乗継荷重波形の前記第2タイミングにおける値から、前記乗継荷重波形の前記第1タイミングにおける値を減算した乗継変化量を算出する乗継変化量算出ステップと、前記計量値差分算出ステップにより算出された計量値差分から、前記乗継変化量算出ステップにより算出された乗継変化量を減算した荷重補正値を算出する荷重補正ステップと、前記荷重補正ステップにより算出された荷重補正値があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、前記詰め込み対象の受箱に製品が1個投入されたと判断する判断ステップと、を含む構成であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、製品の箱詰めに要する時間を短縮できるとともに、所定入数の製品を自動的に確実に受箱に詰め込むことができる箱詰めシステム及び箱詰め方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る箱詰めシステムの構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る箱詰めシステムの平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る箱詰めシステムにおける箱詰め手順を模式的に示す図である。
図4図1に示した投入判断部の構成を示すブロック図である。
図5図1に示した計量搬送部への荷重変化を概略的に示すグラフである。
図6図5のグラフの一部を拡大して示す図である。
図7】詰め込み対象の受箱以外の受箱の乗継による計量搬送部への荷重の時間波形と、詰め込み対象の受箱への製品の投入による計量搬送部への荷重の時間波形と、それら2つの時間波形の和である計量搬送部への荷重の時間波形の例を示す表である。
図8図4に示した乗継荷重波形算出部、乗継変化量算出部、及び荷重補正部の処理を説明するためのグラフである。
図9】本発明の実施形態に係る箱詰めシステムを用いる箱詰め方法の処理を示すフローチャートである。
図10図9のフローチャートにおける投入判断ステップの処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る箱詰めシステム及び箱詰め方法の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1及び図2に示すように、箱詰めシステム1は、製品Pを搬送する供給ライン2と、製品Pが詰め込まれる受箱Bを搬送する箱詰めライン3と、供給ライン2が搬送してくる製品Pを箱詰めライン3上の受箱Bに詰め込む箱詰め手段4と、箱詰めシステム1の各部を制御する制御部20と、操作部30と、表示部31と、を備えている。箱詰めシステム1の目的は、所定入数の製品Pを受箱Bに詰め込み、排出することにある。すなわち、入数とは、受箱Bに詰め込むべき製品Pの規定数を意味する。
【0020】
ここで、製品Pは、それぞれが同じ形状の包材に所定重量の内容物がパッケージされた食品や薬品などの工業製品であり、図示しない重量検査工程において過量品や軽量品があらかじめ除かれたものである。
【0021】
図2に示すように、供給ライン2は、コンベア等の搬送手段によって構成されており、図中左方にある図示しない供給源から、図中右方の終端部に向けて、所定間隔をおいて配置された製品Pを連続的に搬送することができる。
【0022】
図1及び図2に示すように、箱詰めライン3は、複数台のコンベアからなり、製品Pを収納する受箱Bを搬送する搬送手段であるとともに、複数の製品Pを収納した受箱Bの重量を測定して計量値として出力する計量手段でもある。箱詰めライン3は、図中左方の上流側から順に並べられた3台のコンベア、すなわち前段搬送部としての前段コンベア5と、計量搬送部としての計量コンベア6と、後段搬送部としての後段コンベア7を備えている。これら3台のコンベアは、操作部30により設定される搬送速度で製品Pを搬送する。
【0023】
通常、これらのコンベアは、同じ搬送速度で製品Pを搬送するように設定されるが、前後の製品同士が接触しないように、後段のコンベアほど搬送速度をやや高めに設定してもよい。
【0024】
箱詰めライン3は、詰め込み対象の受箱B1を含む1個以上の受箱Bを前段コンベア5から計量コンベア6を経て後段コンベア7に搬送しながら、計量コンベア6で搬送されている詰め込み対象の受箱B1に所定入数の製品Pを詰め込むようになっている。なお、箱詰めライン3は、供給ライン2と平行かつ搬送面が概ね一致するように水平に配置されており、計量コンベア6の終端(図中右端)が、供給ライン2の終端部(図中右端)に略合致している。
【0025】
前段コンベア5の上流側には図示しない受箱Bの供給源があり、この供給源の供給コンベアが前段コンベア5に受箱Bを供給する。
【0026】
計量コンベア6は、コンベア8を計量部9で支持した構造である。計量部9は、詰め込み対象の受箱B1を含む1個以上の受箱Bによる計量コンベア6への荷重に応じた計量値を出力する。ここで、前段コンベア5による受箱Bの搬送は、計量コンベア6による受箱Bの連続的な搬送に同期して行われるものとする。
【0027】
図示はしないが、後段コンベア7の終端(図中右端)に隣接して出荷用のコンベアが設置されていてもよい。
【0028】
図1に示すように、供給ライン2及び箱詰めライン3の上方には、供給ライン2で搬送される製品Pを、箱詰めライン3の受箱Bに詰め込む箱詰め手段4が設けられている。箱詰め手段4は、図2の平面図に楕円で示した所定の移動範囲A内において移動可能であり、当該移動範囲A内において供給ライン2から製品Pを取り出し、当該移動範囲A内において箱詰めライン3の受箱Bに製品Pを詰める作業を行なうことができる。
【0029】
より具体的には、箱詰め手段4は、図2に示す前記移動範囲A内において移動可能な本体10と、本体10の下面側に設けられたアーム11と、アーム11の下端に設けられた吸着部12とを備えている。この箱詰め手段4によれば、製品Pを吸着部12に吸着してアーム11で持ち上げ、本体10を移動させて製品Pを所望の受箱B1の位置まで運び、製品Pを当該受箱B1に収納させることができる。なお、箱詰め手段4は、図1に模式的に示したような専用機でもよいし、前記移動範囲A内において同様の作業を行なえる汎用型のアーム構造のロボットでもよい。また、製品Pの保持手段は、前記吸着部12でもよいし、ロボットハンドでもよく、その機構・原理は問わない。
【0030】
ここでいう移動範囲Aは、箱詰め手段4が製品Pを取り扱うことができる範囲であり、箱詰め手段4が最初の製品Pを投入し始めてから、最後の製品Pを投入し終えるまでの間、受箱B1は計量コンベア6により前記移動範囲A内を搬送されることとなる。言い換えれば、箱詰め手段4の箱詰めに要する時間に応じて、受箱B1の移動速度すなわち計量コンベア6の搬送速度を設定すると、箱詰めの効率が良い。
【0031】
箱詰め手段4は、詰め込み対象の受箱B1に製品Pを投入する直前のタイミング、すなわち箱詰めのための投入動作を開始するタイミング(以下、「第1タイミング」とも称する)において、受箱B1に製品Pを投入する旨を通知する投入開始信号を後述する制御部20の箱詰め手段制御部23に出力する。より好ましくは、箱詰め手段4は、吸着部12に吸着されている製品Pを放すタイミングに投入開始信号を出力するとよい。
【0032】
あるいは逆に、箱詰め手段制御部23が、箱詰め手段4に受箱B1に製品Pを投入させるタイミングを指示する投入制御信号を出力してもよい。
【0033】
また、箱詰め手段4は、詰め込み対象の受箱B1に製品Pを投入する動作を行った直後のタイミング、すなわち箱詰めのための投入動作を終了するタイミング(以下、「第2タイミング」とも称する)において、受箱B1に製品Pを投入した旨を通知する投入終了信号を箱詰め手段制御部23に出力する。
【0034】
なお、箱詰め手段4は、吸着部12が製品Pを放してから所定時間経過後に投入終了信号を出力するようにしてもよい。あるいは、箱詰め手段制御部23が、箱詰め手段4から出力される投入開始信号あるいは箱詰め手段4に出力する投入制御信号に基づいてタイマを起動し、投入終了信号を内部的に生成してもよい。
【0035】
制御部20は、例えばCPU、FPGA、ROM、RAM、HDDなどを含むパーソナルコンピュータ等で構成され、後述する投入判断部21と、カウント部22と、箱詰め手段制御部23の機能を実現する。例えば、制御装置60は、CPUによる所定のプログラムの実行により、投入判断部21、カウント部22、及び箱詰め手段制御部23をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、上記のプログラムは、ROM又はHDDにあらかじめ格納されている。あるいは、上記のプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式でコンパクトディスク、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供又は配布されるようにしてもよい。あるいは、上記のプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータに格納され、ネットワーク経由でのダウンロードにより提供又は配布されるようにしてもよい。
【0036】
図3は、箱詰めシステム1が、計量コンベア6上で搬送される詰め込み対象の受箱B1に製品Pを箱詰めする手順を模式的に示す図である。ここでは、一例として、1個の受箱Bへの製品Pの入数が6であるものとしている。図3の上段は、1個目から3個目までの製品Pが既に投入された詰め込み対象の受箱B1に、4個目の製品Pが投入される直前の状態を示している。
【0037】
図3の中段は、詰め込み対象の受箱B1に4個目の製品Pが投入されている状態を示している。図3の下段は、詰め込み対象の受箱B1に4個目の製品Pが投入された直後の状態を示している。図3の上段から下段の変化に示すように、計量コンベア6上で搬送される詰め込み対象の受箱B1に箱詰め手段4が製品Pを投入する一連の手順の間、詰め込み対象の受箱B1を含む1個以上の受箱Bが前段コンベア5から計量コンベア6を経て後段コンベア7に搬送され続けている。
【0038】
制御部20の投入判断部21は、箱詰め手段4による詰め込み対象の受箱B1への製品Pの投入動作の直前の第1タイミングにおける計量部9の計量値と、箱詰め手段4による詰め込み対象の受箱B1への製品Pの投入動作の直後の第2タイミングにおける計量部9の計量値とに基づいて、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたか否かを判断するようになっている。
【0039】
図4に示すように、投入判断部21は、計量値差分算出部21aと、判断部21bと、含む。計量値差分算出部21aは、第2タイミングにおける計量部9の計量値から、第1タイミングにおける計量部9の計量値を減算した値である計量値差分を算出するようになっている。判断部21bは、計量値差分算出部21aにより算出された計量値差分があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたと判断する。ここで、判断部21bで用いられる所定範囲は、製品Pとして許容される重量のばらつきを加味したものであり、例えば製品Pの重量の1/2程度の値を含む範囲である。
【0040】
なお、計量部9は、第1タイミングに計量値を0に設定するリセット機能を有していてもよい。計量値差分算出部21aは、リセット機能により第1タイミングに計量部9の計量値が0に設定された場合に、第2タイミングにおける計量部9の計量値を計量値差分として算出する。
【0041】
カウント部22は、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたと投入判断部21が判断した回数をカウントするようになっている。
【0042】
箱詰め手段制御部23は、箱詰め手段4の動作を制御するものである。例えば、箱詰め手段制御部23は、カウント部22によりカウントされた回数が所定入数に達するまで、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが投入されるように箱詰め手段4を制御する。また、箱詰め手段制御部23は、カウント部22によりカウントされた回数が所定入数に達した場合に、前段コンベア5から計量コンベア6に搬送された空の受箱B0を新たな詰め込み対象の受箱B1とし、新たな詰め込み対象の受箱B1に製品Pが投入されるように箱詰め手段4を制御する。
【0043】
計量コンベア6は、カウント部22によりカウントされた回数が所定入数に達した受箱B2を、後段コンベア7に搬送するようになっている。
【0044】
以下、図5図7を参照して、受箱Bの乗継や製品Pの箱詰めに起因する計量コンベア6への荷重変化のメカニズムを説明する。図5は、計量コンベア6への荷重変化を概略的に示すグラフである。ここでは、一例として、1個の受箱Bへの製品Pの入数が6(高さ方向に3段、搬送方向に2列)であるものとしている。Δw1は、計量値差分算出部21aにより算出される箱詰め時の計量コンベア6への荷重の増加量である計量値差分を示している。図中の黒丸は、計量コンベア6への荷重値(重量値)を示している。また、時間的に隣り合う黒丸を結ぶ線分は、それらの2点の線形近似を示している。
【0045】
図6は、図5のグラフの一点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。図5と同様に、図中の黒丸は計量コンベア6への荷重値(重量値)を示しており、時間的に隣り合う黒丸を結ぶ線分はそれらの2点の線形近似を示している。波形Rは、空の受箱B0が前段コンベア5から計量コンベア6に乗り継ぐことによる計量コンベア6への荷重の時間波形と、所定入数の製品Pが詰め込まれた受箱B2が計量コンベア6から後段コンベア7に乗り継ぐことによる計量コンベア6への荷重の時間波形との和(以下、「乗継荷重波形」とも称する)を示している。波形Lは、詰め込み対象の受箱B1に製品Pを1個投入することによる計量コンベア6への荷重の時間波形と、上記の乗継荷重波形との和を示している。
【0046】
図7は、図5に示したような計量コンベア6への荷重の時間波形L3を、受箱B0,B2の乗継による計量コンベア6への荷重の時間波形(すなわち、乗継荷重波形)L1と、受箱B1への製品Pの投入による計量コンベア6への荷重の時間波形L2とに分離して示す図である。すなわち、計量コンベア6への荷重の時間波形L3は、受箱B0,B2の乗継による乗継荷重波形L1と、受箱B1への製品Pの投入による時間波形L2との和に相当する。
【0047】
受箱B0,B2の乗継による乗継荷重波形L1は、空の受箱B0が前段コンベア5から計量コンベア6に乗り継ぐことによる計量コンベア6への荷重の増加量と、所定入数の製品Pが詰め込まれた受箱B2が計量コンベア6から後段コンベア7に乗り継ぐことによる計量コンベア6への荷重の減少量との和によるものであり、連続的に変化する。
【0048】
受箱B1への製品Pの投入による時間波形L2は、製品Pが計量コンベア6上の受箱B1に順次投入されていくことにより、計量コンベア6への荷重が階段状に所定値ずつ増加する状況を示している。
【0049】
計量コンベア6への荷重の時間波形L3は、乗継荷重波形L1と時間波形L2との和であり、図中の破線の楕円部分において、受箱B1への製品Pの投入に伴う荷重の増加が見られる。
【0050】
図7の例1は、乗継荷重波形L1の傾きが一定、すなわち、受箱Bの乗継による計量コンベア6への荷重の単位時間当たりの増加量と減少量との和が一定である場合の時間波形を示している。
【0051】
図7の例2は、乗継荷重波形L1の傾きが3段階(傾きa、傾きb、傾き0)に変化する場合の時間波形を示している。傾きbの波形は、例えば、後段コンベア7と前段コンベア5の搬送速度の差が傾きaの波形よりも大きくなっている状態を示している。また傾きが0の波形は、例えば、前段コンベア5から計量コンベア6に乗り継ぐ受箱B0も、計量コンベア6から後段コンベア7に乗り継ぐ受箱B2もない状態を示している。
【0052】
なお、図5は、箱詰めによる荷重の変化を分かりやすくするため、受箱Bの乗継による計量コンベア6への荷重変化の傾きを図7の例1のように一定とし、箱詰め時間における6回の製品Pの投入による荷重の増加量と、受箱Bの乗継による荷重の減少量が等しいと仮定した場合のグラフになっている。
【0053】
なお、受箱B0の計量コンベア6への搬入タイミングを、受箱B2の計量コンベア6からの搬出タイミングに合わせて調整してもよい。つまり、計量コンベア6に搬入中の受箱B0の計量コンベア6に載っている部分の搬送方向に沿った長さと、計量コンベア6から搬出中の受箱B2の計量コンベア6から降りた部分の搬送方向に沿った長さとを常に一致させるように、箱詰めライン3が受箱B0,B2を搬送してもよい。これにより、受箱Bそのものの重量の影響を小さくした状態で、投入判断部21が受箱Bへの製品Pの投入を判断することができるようになる。
【0054】
このように、空の受箱B0と、所定入数の製品Pが詰め込まれた受箱B2の乗継のタイミングや、受箱Bの重量や入数などにより、計量部9が出力する計量値の時間波形の形状(傾斜や起伏など)の規則性は変化するが、第1タイミングと第2タイミングにおける計量値の変化量(図中の破線の楕円部分)を投入判断部21が認識することで箱詰めを判断することができる。ただし、図7に示した例の場合、投入判断部21が詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたことを検知するためには、1個の製品Pの重量が、第1タイミングと第2タイミングの間の乗継荷重波形の変化量よりも大きくなるように、前段コンベア5、計量コンベア6、及び後段コンベア7の搬送速度を調整する必要がある。
【0055】
図4に示すように、投入判断部21は、乗継荷重波形算出部21cと、乗継変化量算出部21dと、荷重補正部21eと、を更に含んでいてもよい。
【0056】
乗継荷重波形算出部21cは、空の受箱B0が前段コンベア5から計量コンベア6に乗り継ぐことによる計量コンベア6への荷重の時間波形と、所定入数の製品Pが詰め込まれた受箱B2が計量コンベア6から後段コンベア7に乗り継ぐことによる計量コンベア6への荷重の時間波形との和である乗継荷重波形を算出するようになっている。例えば、乗継荷重波形算出部21cは、前段コンベア5の搬送速度、計量コンベア6の搬送速度、後段コンベア7の搬送速度、空の受箱B0の重量、製品Pの重量などに基づいて、乗継荷重波形を算出する。図7の各例の左側の時間波形は、乗継荷重波形算出部21cによる算出例を模式的に示したものである。
【0057】
乗継変化量算出部21dは、図8の中段に示すように、乗継荷重波形の第2タイミングにおける値から、乗継荷重波形の第1タイミングにおける値を減算した乗継変化量Δw2を算出する。
【0058】
荷重補正部21eは、計量値差分算出部21aにより算出された計量値差分Δw1(図8の上段)から、乗継変化量算出部21dにより算出された乗継変化量Δw2(図8の中段)を減算した荷重補正値Δw1-Δw2を算出するようになっている。すなわち、この荷重補正値は、第1タイミングと第2タイミングの間に詰め込み対象の受箱B1に投入された1個の製品Pの重量の推定値である。
【0059】
判断部21bは、荷重補正部21eにより算出された荷重補正値があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたと判断するものであってもよい。
【0060】
このように、投入判断部21が、乗継荷重波形算出部21c、乗継変化量算出部21d、及び荷重補正部21eを含む場合には、受箱Bの乗継による計量コンベア6への荷重変化の影響を受けることなく、詰め込み対象の受箱B1への製品Pの投入を検出できるため、各コンベアの搬送速度の設定の自由度が高まる。
【0061】
操作部30は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部31の表示画面に対応する入力面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネルで構成される。操作部30は、ユーザが表示画面に表示されている特定の項目の位置を指やスタイラス等で触れた際に、タッチセンサが表示画面上で検出した位置と項目の位置との一致を認識することにより、各項目に割り当てられた機能を実行するための信号を制御部20に出力する。操作部30は、表示部31に操作可能に表示されるものであってもよく、あるいは、キーボード又はマウスのような入力デバイスを含んで構成されるものであってもよい。
【0062】
例えば、ユーザによる操作部30への操作入力により、受箱Bへの製品Pの入数、判断部21bで用いられる所定範囲、前段コンベア5、計量コンベア6、及び後段コンベア7の搬送速度などの設定を行うことが可能である。
【0063】
表示部31は、液晶ディスプレイやCRT等の表示機器で構成され、制御部20による表示制御に基づき、各種表示内容を表示画面に表示するようになっている。例えば、表示部31は、受箱Bへの製品Pの入数、判断部21bで用いられる所定範囲、前段コンベア5、計量コンベア6、及び後段コンベア7の搬送速度などを設定するための設定画面や、計量部9が出力する計量値のグラフなどを表示する。さらに、表示部31は、各種条件を設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行う。
【0064】
以下、本実施形態に係る箱詰めシステム1を用いる箱詰め方法について、図9のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
【0065】
まず、制御部20は、ユーザによる操作部30への操作に応じて、受箱Bへの製品Pの入数、判断部21bで用いられる所定範囲、前段コンベア5、計量コンベア6、及び後段コンベア7の搬送速度、受箱Bの乗継による計量コンベア6への荷重変化の補正を行うか否かなどの情報を設定する(ステップS1)。
【0066】
次に、前段コンベア5、計量コンベア6、及び後段コンベア7は、1個以上の受箱Bの搬送を開始する(ステップS2)。
【0067】
次に、計量部9は、計量コンベア6への荷重に応じた計量値の出力を開始する(計量ステップS3)。
【0068】
次に、箱詰め手段4は、計量コンベア6で搬送されている詰め込み対象の受箱B1に製品Pを投入する直前のタイミング、すなわち箱詰めのための投入動作を開始する第1タイミングにおいて、受箱B1に製品Pを投入する旨を通知する投入開始信号を箱詰め手段制御部23に出力する。これにより、制御部20は、第1タイミングにおける計量部9の計量値を記憶する(ステップS4)。
【0069】
次に、箱詰め手段4は、受箱B1への製品Pの投入動作を行う(ステップS5)。
【0070】
次に、箱詰め手段4は、計量コンベア6で搬送されている詰め込み対象の受箱B1に製品Pを投入する動作を行った直後のタイミング、すなわち箱詰めのための投入動作を終了する第2タイミングにおいて、受箱B1に製品Pを投入した旨を通知する投入終了信号を箱詰め手段制御部23に出力する。これにより、制御部20は、第2タイミングにおける計量部9の計量値を記憶する(ステップS6)。
【0071】
次に、投入判断部21は、ステップS4で記憶された第1タイミングにおける計量値と、ステップS6で記憶された第2タイミングにおける計量値とに基づいて、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたか否かを判断する(投入判断ステップS7)。投入判断部21が詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたと判断した場合には、引き続きステップS8の処理が実行される。一方、投入判断部21が詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたと判断しなかった場合には、箱詰め手段4が製品Pを取り損ねるなどして製品Pが受箱B1に投入できなかったものとして、再びステップS4以降の処理が実行される。
【0072】
次に、カウント部22は、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたと投入判断ステップS7が判断した回数をカウントする(カウントステップS8)。
【0073】
次に、制御部20は、カウントステップS8によりカウントされた回数が所定入数に達したか否かを判断する(ステップS9)。カウントステップS8によりカウントされた回数が所定入数に達していない場合には、再びステップS4以降の処理が実行される。一方、カウントステップS8によりカウントされた回数が所定入数に達した場合には、所定入数の製品Pが詰め込まれた受箱B2が得られたことになる。この受箱B2は、計量コンベア6によって後段コンベア7に搬入され、さらに後段コンベア7によって搬送されて次段へと排出される。このようにして、箱詰め手段4は、カウントステップS8によりカウントされた回数が所定入数に達するまで、詰め込み対象の受箱B1に製品Pを投入する。
【0074】
次に、制御部20は、詰め込み対象となる全ての受箱Bに対して製品Pの投入が完了したか否かを判断する(ステップS10)。全ての受箱Bに対して製品Pの投入が完了していない場合には、所定入数の製品Pが詰め込まれた受箱B2に後続する空の受箱B0を新たな詰め込み対象の受箱B1として、ステップS4以降の処理が実行される。一方、全ての受箱Bに対して製品Pの投入が完了した場合には、制御部20は、上記一連の箱詰め処理を終了する。
【0075】
以下、図10のフローチャートを参照しながら、投入判断ステップS7の処理の詳細を説明する。
【0076】
まず、計量値差分算出部21aは、第2タイミングにおける計量部9の計量値から、第1タイミングにおける計量部9の計量値を減算した計量値差分Δw1を算出する(計量値差分算出ステップS21)。
【0077】
次に、制御部20は、荷重変化の補正を行うことがステップS1において設定されているか否かを判断する(ステップS22)。荷重変化の補正を行うことが設定されていない場合には、引き続きステップS23の処理が実行される。一方、荷重変化の補正を行うことが設定されている場合には、引き続きステップS24の処理が実行される。
【0078】
判断部21bは、計量値差分算出ステップS21により算出された計量値差分Δw1があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたと判断する(判断ステップS23)。
【0079】
乗継荷重波形算出部21cは、空の受箱B0が前段コンベア5から計量コンベア6に乗り継ぐことによる計量コンベア6への荷重の時間波形と、所定入数の製品Pが詰め込まれた受箱B2が計量コンベア6から後段コンベア7に乗り継ぐことによる計量コンベア6への荷重の時間波形との和である乗継荷重波形を算出する(乗継荷重波形算出ステップS24)。
【0080】
次に、乗継変化量算出部21dは、乗継荷重波形の第2タイミングにおける値から、乗継荷重波形の第1タイミングにおける値を減算した乗継変化量Δw2を算出する(乗継変化量算出ステップS25)。
【0081】
次に、荷重補正部21eは、計量値差分算出ステップS21により算出された計量値差分Δw1から、乗継変化量算出ステップS25により算出された乗継変化量Δw2を減算した荷重補正値を算出する(荷重補正ステップS26)。
【0082】
次に、判断部21bは、荷重補正ステップS26により算出された荷重補正値があらかじめ定められた所定範囲内である場合に、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたと判断する(判断ステップS27)。
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係る箱詰めシステム1は、箱詰め手段4による詰め込み対象の受箱B1への製品Pの投入動作の直前の第1タイミングにおける計量部9の計量値と、箱詰め手段4による詰め込み対象の受箱B1への製品Pの投入動作の直後の第2タイミングにおける計量部9の計量値とに基づいて、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたか否かを判断するようになっている。このため、仮に箱詰めミスが起きても製品Pを追加投入することができるため、受箱B1内に詰め込む製品Pの数を確実に所定入数に合わせることができる。これにより、本実施形態に係る箱詰めシステム1は、詰め込み対象の受箱B1を含む1個以上の受箱Bの搬送を止めることなく、製品の箱詰めに要する時間を短縮できるとともに、所定入数の製品Pを自動的に確実に受箱B1に詰め込むことができる。
【0084】
また、本実施形態に係る箱詰めシステム1は、第2タイミングにおける計量部9の計量値から、第1タイミングにおける計量部9の計量値を減算した計量値差分Δw1に基づいて、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたか否かを判断することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る箱詰めシステム1は、詰め込み対象の受箱B1以外の受箱B0,B2の乗継に起因する計量コンベア6への荷重変化の影響を排除して、詰め込み対象の受箱B1に製品Pが1個投入されたか否かをより正確に判断することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 箱詰めシステム
2 供給ライン
3 箱詰めライン
4 箱詰め手段
5 前段コンベア
6 計量コンベア
7 後段コンベア
9 計量部
20 制御部
21 投入判断部
21a 計量値差分算出部
21b 判断部
21c 乗継荷重波形算出部
21d 乗継変化量算出部
21e 荷重補正部
22 カウント部
23 箱詰め手段制御部
A 移動範囲
B,B0,B1,B2 受箱
P 製品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10