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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102710
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003384
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】山岸 拓生
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA14
2E025AA15
(57)【要約】
【課題】スキップ床部を備える住宅において、外観が損なわれるのを抑制しながら、スキップ床部により仕切られる下側空間部及び上側空間部にそれぞれ採光を可能とする。
【解決手段】
住宅10は、通常の床高さとは異なる高さに設けられたスキップ床部26と、スキップ床部26により上下に仕切られた吹き抜け空間19及び収納空間25と、を備えている。吹き抜け空間19及び収納空間25は、外壁部32を隔てて屋外と隣接している。外壁部32には、スキップ床部26を上下に跨いで延び、吹き抜け空間19と収納空間25とにそれぞれ採光可能とする採光窓部33が設けられている。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の床高さとは異なる高さに設けられたスキップ床部と、
前記スキップ床部により上下に仕切られた下側空間部及び上側空間部と、を備える住宅であって、
前記下側空間部及び前記上側空間部は、外壁部を隔てて屋外と隣接しており、
前記外壁部には、前記スキップ床部を上下に跨いで延び、前記下側空間部と前記上側空間部とにそれぞれ採光可能とする採光窓部が設けられていることを特徴とする、住宅。
【請求項2】
前記スキップ床部は、前記下側空間部の天井面を形成する天井面材と、前記上側空間部の床面を形成する床面材とを有して構成され、
前記採光窓部と前記スキップ床部との間に設けられ、前記採光窓部側から前記床面材と前記天井面材との間を覆い隠すカバー部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記外壁部には、前記採光窓部が設けられる窓開口部が形成されており、
前記採光窓部が前記窓開口部において屋外寄りに配置されていることで、前記採光窓部と前記スキップ床部とが互いに離間しており、
前記カバー部材は、前記天井面材と前記床面材との間を覆い隠す覆い部と、前記覆い部から前記採光窓部側に延出する延出部と、を有することを特徴とする、請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
前記延出部は、前記覆い部の上端部から延出していることを特徴とする、請求項3に記載の住宅。
【請求項5】
前記床面材は、前記上側空間部の床面を形成する床仕上げ面材を有しており、
前記延出部の上面側には、前記床仕上げ面材の一部が載置されているか、又は前記床仕上げ面材と隣り合う別の床仕上げ面材が載置されていることを特徴とする、請求項4に記載の住宅。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記延出部の前記採光窓部側の端部から立ち上がる立ち上がり部を有し、
前記立ち上がり部は、前記延出部の上面側に載置されている前記床仕上げ面材の一部又は前記別の床仕上げ面材を前記採光窓部側から覆い隠すことを特徴とする、請求項5に記載の住宅。
【請求項7】
前記外壁部には、前記採光窓部が設けられる窓開口部が形成されており、
前記窓開口部には、その周縁部に沿って窓枠が配設されているとともに、その窓枠よりも屋外側に前記採光窓部が配設されており、
前記カバー部材は、
前記窓開口部における屋内外方向の中間部に配置され、前記天井面材と前記床面材との間を覆い隠す覆い部と、
前記覆い部の側端部から前記採光窓部側とは反対側に延び、前記窓枠に固定された固定部と、を有することを特徴とする、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項8】
前記床面材は、床下地面材と、前記床下地面材の上に重ねられ前記上側空間部の床面を形成する床仕上げ面材とを有し、
前記カバー部材は、前記床下地面材の上面に載置された載置部を有し、
前記載置部は、前記床下地面材と前記床仕上げ面材との間に挟まれた状態で配置されていることを特徴とする、請求項2乃至7のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項9】
前記カバー部材は、前記採光窓部側の面が濃色に着色されていることを特徴とする、請求項2乃至8のいずれか一項に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上階部と下階部とを有し、上階部に中間床(スキップ床部)が設けられた住宅が開示されている。特許文献1の住宅において、中間床の上側には寝室等の上階居室空間が形成され、中間床の下側には収納空間が形成されている。この場合、上階居室空間と収納空間とはいずれも、天井高が低い低天井空間とされている。また、上階居室空間の外壁と収納空間の外壁とには、それぞれ窓が設けられている。これにより、各々の窓を通じて上階居室空間及び収納空間に外光を採り入れることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-144391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の住宅では、上階居室空間の窓と収納空間の窓とがいずれも、低天井空間とされたこれらの空間の天井高に合わせて形成される。そのため、これらの窓は上階部に設けられた他の窓と比べて上下方向の寸法が著しく小さくなる。この場合、住宅を屋外側から見たときに、これらの窓と他の窓とのバランスが悪く、住宅の外観が損なわれるおそれがある。
【0005】
また、上階居室空間及び収納空間に窓を設けないようにすることで、住宅の外観が損なわれるのを回避することも考えられるが、その場合、これらの空間に外光を採り入れることができなくなるため望ましくない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スキップ床部を備える住宅において、外観が損なわれるのを抑制しながら、スキップ床部により仕切られる下側空間部及び上側空間部にそれぞれ採光を可能とすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の住宅は、通常の床高さとは異なる高さに設けられたスキップ床部と、前記スキップ床部により上下に仕切られた下側空間部及び上側空間部と、を備える住宅であって、前記下側空間部及び前記上側空間部は、外壁部を隔てて屋外と隣接しており、前記外壁部には、前記スキップ床部を上下に跨いで延び、前記下側空間部と前記上側空間部とにそれぞれ採光可能とする採光窓部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、採光窓部がスキップ床部を上下に跨いで延びているため、スキップ床部により採光窓部の大きさが制限されることがない。そのため、採光窓部と、それ以外の窓部とのバランスを確保することができる。また、採光窓部がスキップ床部を上下に跨いでいることで、下側空間部と上側空間部とにそれぞれ採光が可能となっている。これにより、スキップ床部を備える住宅において、外観が損なわれるのを抑制しながら、下側空間部及び上側空間部にそれぞれ外光を採り入れることが可能となる。
【0009】
第2の発明の住宅は、第1の発明において、前記スキップ床部は、前記下側空間部の天井面を形成する天井面材と、前記上側空間部の床面を形成する床面材とを有して構成され、前記採光窓部と前記スキップ床部との間に設けられ、前記採光窓部側から前記床面材と前記天井面材との間を覆い隠すカバー部材を備えることを特徴とする。
【0010】
ところで、採光窓部がスキップ床部を上下に跨いで設けられる上記第1の発明の構成では、屋外側から採光窓部を通じてスキップ床部が見えてしまうことが想定される。スキップ床部は、下側空間部の天井面材と上側空間部の床面材とを含んで構成されているため、この場合、屋外側から床面材と天井面材との間に配設された下地材等の部材についても見えてしまうおそれがある。そうすると、通常は見えないこれらの部材が見えてしまうことで、住宅の外観が大きく損なわれるおそれがある。
【0011】
そこで、第2の発明では、このような点に鑑み、採光窓部とスキップ床部との間にカバー部材を設け、そのカバー部材により採光窓部側からスキップ床部における床面材と天井面材との間を覆い隠すようにしている。これにより、屋外側から採光窓部を通じて床面材と天井面材との間を見えないようにすることができるため、住宅の外観が大きく損なわれるのを回避することができる。
【0012】
第3の発明の住宅は、第2の発明において、前記外壁部には、前記採光窓部が設けられる窓開口部が形成されており、前記採光窓部が前記窓開口部において屋外寄りに配置されていることで、前記採光窓部と前記スキップ床部とが互いに離間しており、前記カバー部材は、前記天井面材と前記床面材との間を覆い隠す覆い部と、前記覆い部から前記採光窓部側に延出する延出部と、を有することを特徴とする。
【0013】
通常、採光窓部は窓開口部において屋外寄りに配置される。そのため、採光窓部がスキップ床部を上下に跨ぐ構成では、採光窓部とスキップ床部とが互いに離間することになる。そうすると、採光窓部とスキップ床部との間を通じて上側空間部の物が下側空間部に落下してしまうことが懸念される。そこで、第3の発明によれば、カバー部材は、天井面材と床面材との間を覆い隠す覆い部と、その覆い部から採光窓部側に延出する延出部とを有している。この場合、延出部は、採光窓部とスキップ床部との離間部分を覆った状態となる。これにより、上側空間部の物が下側空間部に落下してしまうのを抑制することができる。
【0014】
第4の発明の住宅は、第3の発明において、前記延出部は、前記覆い部の上端部から延出していることを特徴とする。
【0015】
採光窓部とスキップ床部との間に延出部が設けられる上記第3の発明の構成では、採光窓部を通じて採り入れられた外光が延出部により遮られ、延出部よりも下方にある下側空間部への採光が制限されることが懸念される。その点、第4の発明によれば、延出部は、覆い部の上端部から延出している。これにより、下側空間部への採光が延出部により制限されるのを抑制することができる。そのため、下側空間部への採光をより好適に行うことができる。
【0016】
第5の発明の住宅は、第4の発明において、前記床面材は、前記上側空間部の床面を形成する床仕上げ面材を有しており、前記延出部の上面側には、前記床仕上げ面材の一部が載置されているか、又は前記床仕上げ面材と隣り合う別の床面材が載置されていることを特徴とする。
【0017】
第5の発明によれば、延出部が床仕上げ面材の一部(又は隣り合う別の床仕上げ面材)により上方から覆われるため、上側空間部において延出部により見栄えが損なわれるのを抑制することができる。
【0018】
第6の発明の住宅は、第5の発明において、前記カバー部材は、前記延出部の前記採光窓部側の端部から立ち上がる立ち上がり部を有し、前記立ち上がり部は、前記延出部の上面側に載置されている前記床仕上げ面材の一部又は前記別の床仕上げ面材を前記採光窓部側から覆い隠すことを特徴とする。
【0019】
第6の発明によれば、延出部の上面側に床仕上げ面材を載置した場合であっても、その床仕上げ面材を、立ち上がり部によって採光窓部側から覆い隠すことができる。これにより、屋外側から採光窓部を通じて床仕上げ面材を見えないようにすることができるため、住宅の外観が損なわれるのをより確実に回避することができる。
【0020】
第7の発明の住宅は、第2乃至第6のいずれかの発明において、前記外壁部には、前記採光窓部が設けられる窓開口部が形成されており、前記窓開口部には、その周縁部に沿って窓枠が配設されているとともに、その窓枠よりも屋外側に前記採光窓部が配設されており、前記カバー部材は、前記窓開口部における屋内外方向の中間部に配置され、前記天井面材と前記床面材との間を覆い隠す覆い部と、前記覆い部の側端部から前記採光窓部側とは反対側に延び、前記窓枠に固定された固定部と、を有することを特徴とする。
【0021】
第7の発明によれば、固定部は、覆い部の側端部から採光窓部側とは反対側に延びている。これにより、屋外側から採光窓部を通じて固定部を見えないようにすることができるため、住宅の外観が損なわれるのをより確実に回避することができる。
【0022】
第8の発明の住宅は、第2乃至第7のいずれかの発明において、前記床面材は、床下地面材と、前記床下地面材の上に重ねられ前記上側空間部の床面を形成する床仕上げ面材とを有し、前記カバー部材は、前記床下地面材の上面に載置された載置部を有し、前記載置部は、前記床下地面材と前記床仕上げ面材との間に挟まれた状態で配置されていることを特徴とする。
【0023】
第8の発明によれば、カバー部材は、載置部を有している。載置部は、床下地面材の上面に載置されている。この場合、カバー部材の高さ位置は、載置部によって定まることになる。したがって、カバー部材をスキップ床部に固定する際の位置合わせを容易とすることができる。また、載置部は、床下地面材と床仕上げ面材との間に挟まれた状態で配置されている。これにより、載置部が床仕上げ面材により上方から覆われるため、上側空間部において載置部により見栄えが損なわれるのを抑制することができる。
【0024】
第9の発明の住宅は、第2乃至第8のいずれかの発明において、前記カバー部材は、前記採光窓部側の面が濃色に着色されていることを特徴とする。
【0025】
採光窓部とスキップ床部との間にカバー部材を設けると、屋外側から採光窓部を通じてカバー部材が見えることが懸念される。第9の発明によれば、カバー部材は、採光窓部側の面が濃色に着色されている。これにより、採光窓部越しにカバー部材が目立ってしまうのを抑制することができるため、住宅の外観が損なわれるのをより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】住宅の一部を示す断面図。
図2】住宅の外観を示す図。
図3】スキップ床部が設けられた建物ユニットを示す斜視図。
図4】採光窓部を収納空間側から見た斜視図。
図5】カバー部材の構成を示す斜視図。
図6】採光窓部とスキップ床部との間にカバー部材が設けられた状態を示す断面図。
図7】採光窓部とスキップ床部との間にカバー部材が設けられた状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、住宅が二階建てのユニット式住宅として具体化されている。ユニット式住宅は、複数の建物ユニットが互いに組み合わされることにより構成されている。図1は、住宅の一部を示す断面図である。
【0028】
図1に示すように、住宅10は、一階部分11と、二階部分12と、二階部分12の上方に設けられた屋根部13と、を有している。一階部分11には、一階空間15が設けられ、二階部分12には、二階空間16が設けられている。一階空間15は、例えば廊下であり、二階部分12は、例えば居室である。また、屋根部13は、切り妻式の屋根となっている。
【0029】
なお、一階空間15の床部17と二階空間16の床部18とはいずれも各階の通常高さに設定された床部となっている。つまり、これらの床部17,18は、いわゆるスキップ床部ではない。
【0030】
住宅10には、一階部分11と二階部分12とに跨って吹き抜け空間19が設けられている。吹き抜け空間19は、例えばリビングとなっている。吹き抜け空間19は、一階部分11と二階部分12との境界部に形成された吹き抜け開口部24を有し、その吹き抜け開口部24を通じて一階部分11から二階部分12に吹き抜けている。吹き抜け空間19は、一階部分11において一階空間15と隣接し、二階部分12において二階空間16と隣接している。吹き抜け空間19の床部21は、一階空間15の床部17と同じ高さ位置に設定されている。
【0031】
吹き抜け空間19の上方には、スキップ床部26が設けられている。スキップ床部26は、二階空間16における床部18と天井部23との間の中間高さに設定されている。つまり、スキップ床部26は、二階部分12において通常の床高さとは異なる高さに設けられている。
【0032】
二階部分12において、スキップ床部26の上方には、収納空間25が設けられている。収納空間25は、スキップ床部26により吹き抜け空間19と上下に仕切られている。これにより、収納空間25は、天井高が低い低天井空間となっている。収納空間25には、物を収容することが可能となっている。また、収納空間25と吹き抜け空間19とは、外壁部32を隔てて屋外と隣接している。なお、吹き抜け空間19は、下側空間部に相当し、収納空間25は、上側空間部に相当する。
【0033】
収納空間25は二階空間16と隣接している。収納空間25には、二階空間16に開放された開口部27が形成されている。開口部27は、収納空間25を挟んで外壁部32と対向している。この開口部27を通じて二階空間16から収納空間25に出入りが可能となっている。なお、図示は省略するが、二階部分12には、二階空間16と収納空間25との間で昇降を行うための梯子又は階段が設けられている。
【0034】
開口部27の下方には、腰壁部28が設けられている。腰壁部28は、スキップ床部26と二階空間16の床部18とに跨って設けられている。腰壁部28は、吹き抜け空間19を挟んで外壁部32と対向している。
【0035】
図2に示すように、二階部分12には、収納空間25及び吹き抜け空間19と隣接する二階居室33が設けられている。二階居室33は、外壁部32を隔てて屋外と隣接している。外壁部32の二階部分12には、二階居室33への採光を可能とする採光窓部34が設けられている。また、外壁部32の二階部分12には、吹き抜け空間19への採光を可能とする採光窓部35が設けられている。なお、二階居室33の床部は、二階空間16の床部18と同じ高さ位置に設定されており、二階居室33の天井部は、二階空間16の天井部23と同じ高さ位置に設定されている。
【0036】
上述したように、本住宅10は、直方体状の建物ユニットが複数組み合わされて構成されるユニット式住宅となっている。以下では、住宅10を構成する建物ユニットのうち、スキップ床部26が設けられた建物ユニット40の構成について説明する。
【0037】
図3に示すように、建物ユニット40は、その四隅に配設される4本の柱41と、各柱41の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁42及び床大梁43を備えている。それら柱41、天井大梁42及び床大梁43により直方体状の枠体が形成されている。
【0038】
建物ユニット40の床部には、対向する長辺側の各床大梁43の中間部に中間床梁47が架け渡されている。建物ユニット40の天井部には、長辺側の各天井大梁42の中間部に中間天井梁48が架け渡されている。中間天井梁48は、中間床梁47の真上に配置され、中間床梁47と上下に対向している。
【0039】
なお、図示は省略するが、建物ユニット40の長辺部の相対する天井大梁42の間には、所定間隔で複数の天井小梁が架け渡されており、それら天井小梁によって二階部分12の天井面材が支持されている。建物ユニット40の長辺部の相対する床大梁43の間には、所定間隔で複数の床小梁が架け渡されており、それら床小梁によって二階部分12の床面材が支持されている。また、建物ユニット40の床部において、中間床梁47と一方の短辺側の床大梁43との間には床小梁が設けられていない。そのため、建物ユニット40の床部には、中間床梁47と上記一方の短辺側の床大梁43と長辺側の各床大梁43とにより囲まれた床開口部49が形成されている。床開口部49は、吹き抜け開口部24を構成している。
【0040】
建物ユニット40には、中柱51と中柱52とが設けられている。中柱51は、上下に対向する床大梁43及び天井大梁42に跨って設けられている。中柱52は、上下に対向する中間床梁47及び中間天井梁48に跨って設けられている。中柱51は、床大梁43の両端側にそれぞれ配置されており、中柱52は、中間床梁47の両端側にそれぞれ配置されている。この場合、各中柱51と各中柱52とは、床梁43,45の長手方向において同じ位置に位置している。
【0041】
各中柱51,52の中間部には、スキップ床部26が架け渡されて設けられている。スキップ床部26は、収納空間25の床面を形成する床面材53と、吹き抜け空間19の天井面を形成する天井面材61と、床面材53と天井面材61との間に設けられそれら両面材53,61を支持する支持フレーム57とを有して構成されている。
【0042】
床面材53は、床下地面材54と床仕上げ面材55とを有して構成されている。床下地面材54は、矩形の合板からなる。床仕上げ面材55は、フローリングからなり、床下地面材54の上面に重ねて設けられている。また、天井面材61は、矩形の石膏ボードからなる。
【0043】
支持フレーム57は、対向する各中柱51,52の中間部に架け渡された一対の支持梁58と、各支持梁58の間に架け渡された複数の小梁59とを有している。各支持梁58は、中柱51,52に固定されている。各支持梁58及び小梁59は木製の角材からなり、釘等を用いて連結されている。
【0044】
支持フレーム57の上面には、床面材53が載置されている。床面材53は、支持フレーム57にビス等により固定されている。また、支持フレーム57の下面側には、天井面材61がビス等により固定されている。また、床面材53(床下地面材54)と天井面材61との間の空間には、支持フレーム57が設けられている他、図示しない電気配線等が設けられている。
【0045】
ところで、収納空間25と吹き抜け空間19とにそれぞれ外光を採り入れるために、外壁部32に採光窓部を設けることが考えられる。この場合、外壁部32の二階部分12において、収納空間25と吹き抜け空間19とにそれぞれ個別に採光窓部を設けることが考えられる。しかしながら、そうすると、採光窓部の高さ寸法が、同じく外壁部32に設けられた他の採光窓部34の高さ寸法よりも著しく小さくなる。この場合、住宅10を屋外側から見たときに、各採光窓部の間のバランスが悪く、住宅10の外観が損なわれるおそれがある。
【0046】
そこで、本実施形態の住宅10では、外壁部32の二階部分12に、スキップ床部26を上下に跨いで延びる採光窓部62を設けることとした。以下、採光窓部62の構成について、図1図2及び図4を適宜参照しつつ説明する。なお、図4は、採光窓部62を収納空間25側から見た斜視図であり、説明の都合上、スキップ床部26の図示を省略している。
【0047】
図4に示すように、外壁部32には、窓開口部63が形成されている。窓開口部63は、上下に延びるスリット状の開口であり、屋内外を連通して設けられている。窓開口部63は、スキップ床部26を上下に跨いで延びている。
【0048】
窓開口部63には、採光窓部62が設けられている。採光窓部62は、窓開口部63において屋外寄りに配置されている(図1参照)。採光窓部62は、嵌め殺し式のスリット窓であり、窓ガラス64と、窓枠サッシ65とを有している。窓ガラス64は、矩形板状に形成されている。窓枠サッシ65は、窓開口部63の周縁部に設けられ、その内側に窓ガラス64が取り付けられている。
【0049】
額縁66は、窓開口部63において、採光窓部62よりも屋内側に設けられている。額縁66は、窓開口部63の周縁部に配置されている。額縁66は、窓開口部63の上縁部に沿って延びる上枠部と、窓開口部63の下縁部に沿って延びる下枠部と、窓開口部63の各側縁部に沿って延びる一対の側枠部66aとを有している。なお、額縁66は、窓枠に相当する。
【0050】
図2及び図4に示すように、採光窓部62は、横並びに複数(具体的には、3つ)設けられている。各採光窓部62の高さ寸法は、採光窓部34の高さ寸法と同じとなっている。このため、各採光窓部62と採光窓部34とのバランスが確保されている。また、採光窓部62(窓ガラス64)は、スキップ床部26を上下に跨いで延びている。そのため、採光窓部62を通じて収納空間25及び吹き抜け空間19にそれぞれ採光が可能となっている。これにより、住宅10の外観が損なわれるのを抑制しながら、収納空間25及び吹き抜け空間19にそれぞれ外光を採り入れることが可能となっている。
【0051】
ところで、採光窓部62がスキップ床部26を上下に跨いで設けられる本実施形態の構成では、屋外側から採光窓部62を通じてスキップ床部26が見えてしまうことが想定される。スキップ床部26は、床面材53と天井面材61とを含んで構成されているため、この場合、屋外側から床面材53と天井面材61との間に配設された支持フレーム57や電気配線といった部材についても見えてしまうおそれがある。そうすると、通常は見えないこれらの部材が見えてしまうことで、住宅10の外観が大きく損なわれるおそれがある。
【0052】
そこで、本実施形態では、その点を鑑み、採光窓部62とスキップ床部26との間にカバー部材71を設け、そのカバー部材71により床面材53と天井面材61との間を覆い隠すこととした。以下、カバー部材71について、図5図7を参照しつつ説明する。なお、図6及び図7には、説明の便宜上、カバー部材71にドットハッチを付している。
【0053】
図5図7に示すように、カバー部材71は、本体部72と、本体部72に設けられた第1ブラケット83及び第2ブラケット85とを有して構成されている。カバー部材71は各採光窓部62に対して設けられ、それぞれ採光窓部62とスキップ床部26との間に配置されている。
【0054】
本体部72は、鋼板が折り曲げられることにより形成されている。本体部72は、覆い部73と、延出部74と、立ち上がり部78とを有して構成されている。また、本体部72は、その全面が黒色に塗装(着色)されている。
【0055】
覆い部73は、上下方向に延びており、窓開口部63において採光窓部62とスキップ床部26との間に配置されている。覆い部73は、採光窓部62と対向して配置され、天井面材61と床面材53との間を採光窓部62側から覆い隠している。詳しくは、覆い部73は、天井面材61の下面から床面材53(具体的には床下地面材54)の上下方向の中間部までの領域を覆い隠している。これにより、屋外側から採光窓部62を通じて天井面材61と床面材53との間を見えないようにすることができる。また、覆い部73は、窓開口部63における屋内外方向の中間部に配置され、額縁66の各側枠部66aに跨って幅方向(採光窓部62の幅方向と同方向)に延びている。なお、覆い部73の幅方向の長さは各側枠部66aの間隔と同じとなっている。
【0056】
延出部74は、覆い部73の上端部から採光窓部62側に水平に延びている。延出部74は、採光窓部62側の端部が採光窓部62に近接する位置まで延びている。これにより、物がスキップ床部26と採光窓部62との間を通じて、収納空間25から吹き抜け空間19に落下するのを抑制することができる。また、立ち上がり部78は、延出部74の採光窓部62側の端部から上方に立ち上がっている。
【0057】
覆い部73のスキップ床部26側の板面には、長尺状の角材81が設けられている。角材81は、覆い部73の上辺部に沿って延びており、詳しくは上辺部全域に亘って延びている。角材81は、覆い部73にねじ89により固定されている。また、角材81の上面は、延出部74の上面と面一となっている。
【0058】
第1ブラケット83は、本体部72の覆い部73に角材81を介して設けられている(図5参照)。つまり、第1ブラケット83は、角材81を挟んで覆い部73とは反対側に設けられている。第1ブラケット83は、鋼板によりL字状に形成され、互いに直角をなす一対の板部83a,83bを有している。各板部83a,83bのうち、一方の板部83aは、角材81における覆い部73とは反対側の面にねじ89により固定されている。また、他方の板部83bは、板部83aの上端部から採光窓部62とは反対側に延びている(図6参照)。他方の板部83bは、延出部74及び角材81の各上面よりも上方に位置している。なお、第1ブラケット83は、覆い部73の幅方向に間隔をおいて複数(具体的には2つ)設けられている(図7参照)。
【0059】
第1ブラケット83の板部83bは、床下地面材54の上面に載置されている。床下地面材54には、板部83bが配置される凹部54bが形成されている。凹部54bは、上方に開口され、かつ採光窓部62側に開口されている。この凹部54bに板部83bが配置された状態で、板部83bの上面と床下地面材54の上面とが面一となっている。また、板部83bには、板厚方向に貫通するねじ孔83cが形成されている。ねじ孔83cにはねじ89が挿通され、そのねじ89により板部83bが床下地面材54に固定されている。これにより、第1ブラケット83ひいてはカバー部材71がスキップ床部26に固定されている。
【0060】
床下地面材54の上面には、上述したように、床仕上げ面材55が敷設されている。板部83bは、床仕上げ面材55と床下地面材54との間に挟まれた状態で配置されている。これにより、板部83bを収納空間25から見えないようにすることができる。なお、板部83bは、載置部に相当する。
【0061】
第2ブラケット85は、覆い部73における幅方向の両側にそれぞれ設けられている。各第2ブラケット85は、覆い部73の下部に配置されている。各第2ブラケット85は、鋼板によりL字状に形成され、互いに直角をなす一対の板部85a,85bをそれぞれ有している。各板部85a,85bのうち、一方の板部85aは、覆い部73のスキップ床部26側の板面に溶接により固定されている。また、他方の板部85bは、板部85aから採光窓部62側とは反対側に延びている(図6参照)。この場合、各板部85bは、覆い部73の幅方向の端部、つまり覆い部73の側端部からそれぞれ採光窓部62側とは反対側に延びており、互いの板面を向き合わせて配置されている。
【0062】
各板部85bの外面はそれぞれ側枠部66aの内面に当接している。各板部85bは、その当接状態でねじ89により側枠部66aに固定されている。詳しくは、各板部85bには、板厚方向に貫通するねじ孔85cが形成されており、そのねじ孔85cにねじ89が挿通されている。これにより、第2ブラケット85については、カバー部材71は、額縁66に固定されている。なお、板部85bは、固定部に相当する。
【0063】
延出部74及び角材81の各上面には、床下地面材54とは別の床下地面材76が載置されている。床下地面材76は、木製の合板である。床下地面材76は、延出部74の上面全域と角材81の上面とに跨って配置されている。各床下地面材54,76は、互いの上面が面一となっている。また、床下地面材76の上面には、床仕上げ面材55の一部(以下、床部分55aという)が重ねられている。床仕上げ面材55は、その一部が床下地面材54よりも採光窓部62側に延出しており、その延出した部分が床部分55aとなっている。床部分55aは、床下地面材76の上面全域に重ねられている。これにより、延出部74及び角材81の上面を覆い隠すことができる。なお、図7においては、便宜上、床仕上げ面材55、床部分55a及び床下地面材76の図示を省略している。床部分55aは、特許請求の範囲に記載の「床仕上げ面材の一部」に相当する。
【0064】
上下に重なる床下地面材76及び床部分55aよりも採光窓部62側には、本体部72の立ち上がり部78が配置されている。立ち上がり部78は、その高さ寸法が、床部分55aの板厚と床下地面材76の板厚との合計値と略同じとされている(図6参照)。このため、立ち上がり部78は、床部分55aと床下地面材76とを採光窓部62側から覆い隠している。これにより、屋外側から採光窓部62を通じて床部分55a及び床下地面材76を見えないようにすることができる。
【0065】
また、カバー部材71は、全体として、天井面材61の下面から床仕上げ面材(床部分55a)の上面までの領域を採光窓部62側から覆い隠している。これにより、屋外側から採光窓部62を通じてスキップ床部26の高さ方向の全域を見えないようにすることができる。
【0066】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0067】
上記実施形態によれば、採光窓部62がスキップ床部26を上下に跨いで延びているため、スキップ床部26により採光窓部62の大きさが制限されることがない。そのため、採光窓部62と、それ以外の採光窓部34とのバランスを確保することができる。また、採光窓部62がスキップ床部26を上下に跨いでいることで、吹き抜け空間19と収納空間25とにそれぞれ採光が可能となっている。これにより、スキップ床部26を備える住宅10において、外観が損なわれるのを抑制しながら、吹き抜け空間19及び収納空間25にそれぞれ外光を採り入れることが可能となる。
【0068】
採光窓部62がスキップ床部26を上下に跨いで設けられる上記実施形態の構成では、屋外側から採光窓部62を通じてスキップ床部26が見えてしまうことが想定される。スキップ床部26は、吹き抜け空間19の天井面材61と収納空間25の床面材53とを含んで構成されているため、この場合、屋外側から床面材53と天井面材61との間に配設された支持フレーム57や電気配線等の部材についても見えてしまうおそれがある。そうすると、通常は見えないこれらの部材が見えてしまうことで、住宅10の外観が大きく損なわれるおそれがある。
【0069】
そこで、上記実施形態では、このような点に鑑み、採光窓部62とスキップ床部26との間にカバー部材71を設け、そのカバー部材71により採光窓部62側からスキップ床部26における床面材53と天井面材61との間を覆い隠すようにしている。これにより、屋外側から採光窓部62を通じて床面材53と天井面材61との間を見えないようにすることができるため、住宅10の外観が大きく損なわれるのを回避することができる。
【0070】
上記実施形態では、採光窓部62は窓開口部63において屋外寄りに配置されている。そのため、採光窓部62がスキップ床部26を上下に跨ぐ構成では、採光窓部62とスキップ床部26とが互いに離間することになる。そうすると、採光窓部62とスキップ床部26との間を通じて収納空間25の物が吹き抜け空間19に落下してしまうことが懸念される。そこで、上記実施形態によれば、カバー部材71は、天井面材61と床面材53との間を覆い隠す覆い部73と、その覆い部73から採光窓部62側に延出する延出部74とを有している。この場合、延出部74は、採光窓部62とスキップ床部26との離間部分を覆った状態となる。これにより、収納空間25の物が吹き抜け空間19に落下してしまうのを抑制することができる。
【0071】
採光窓部62とスキップ床部26との間に延出部74が設けられていると、採光窓部62を通じて採り入れられた外光が延出部74により遮られ、延出部74よりも下方、つまり吹き抜け空間19への採光が制限されることが懸念される。上記実施形態によれば、延出部74は、覆い部73の上端部から延出している。これにより、吹き抜け空間19への採光が延出部74により制限されるのを抑制することができる。そのため、吹き抜け空間19への採光をより好適に行うことができる。
【0072】
上記実施形態によれば、延出部74が床仕上げ面材55の一部(床部分55a)により上方から覆われるため、収納空間25において延出部74により見栄えが損なわれるのを抑制することができる。また、延出部74が日射によって熱を帯びた場合であっても、居住者が延出部74に触れないようにすることができる。
【0073】
上記実施形態によれば、延出部74の上面側に載置された床部分55a及び床下地面材76を、立ち上がり部78によって採光窓部62側から覆い隠すことができる。これにより、屋外側から採光窓部62を通じて床部分55a及び床下地面材76が見えてしまうことを防止できるため、住宅10の外観が損なわれるのをより確実に回避することができる。
【0074】
また、立ち上がり部78によって、床部分55a及び床下地面材76がずれ動くことを抑制することができる。
【0075】
上記実施形態によれば、第2ブラケット85は、覆い部73の側端部から採光窓部62側とは反対側に延びている。これにより、屋外側から採光窓部62を通じて第2ブラケット85を見えないようにすることができるため、住宅10の外観が損なわれるのをより確実に回避することができる。
【0076】
また、窓開口部63においては、窓開口部63の周縁部に額縁66が配設されるとともに、その額縁66よりも屋外側に採光窓部62が配置されている。そして、上記実施形態では、かかる構成において、覆い部73が額縁66により囲まれた内側領域に配置され、詳しくは当該内側領域における屋内外方向の中間部に配置されている。これにより、第2ブラケット85が覆い部73の側端部から採光窓部62側とは反対側に延びている場合であっても、第2ブラケット85を額縁66に固定することができる。
【0077】
上記実施形態によれば、カバー部材71は、第1ブラケット83を有している。第1ブラケット83の板部83bは、床下地面材54の上面に載置されている。この場合、カバー部材71の高さ位置は、板部83bによって定まることになる。したがって、カバー部材71をスキップ床部26に固定する際の位置合わせを容易とすることができる。
【0078】
また、板部83bは、床下地面材54と床仕上げ面材55との間に挟まれた状態で配置されている。これにより、板部83bが床仕上げ面材55により上方から覆われるため、収納空間25において板部83bにより見栄えが損なわれるのを抑制することができる。
【0079】
採光窓部62とスキップ床部26との間にカバー部材71を設けると、屋外側から採光窓部62を通じてカバー部材71(本体部72)が見えることが懸念される。上記実施形態によれば、本体部72は、その全体が黒色に塗装(着色)されている。これにより、採光窓部62越しにカバー部材71が目立ってしまうのを抑制することができるため、住宅10の外観が損なわれるのをより確実に回避することができる。
【0080】
本発明は、上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0081】
(1)上記実施形態では、下側空間部は吹き抜け空間19としたが、これに限定されない。つまり、下側空間部は、複数階を跨ぐものに限定されない。例えば、下側空間部の床部は、二階空間16の床部18と同じ高さ位置に設定されていてもよい。
【0082】
(2)上記実施形態では、上側空間部は収納空間25としたが、これに限定されない。例えば、居室であってもよい。
【0083】
(3)上記実施形態では、住宅10の二階部分12にスキップ床部26を設けたが、これに限定されない。例えば、住宅の一階部分にスキップ床部を設けるようにしてもよい。その場合、上側空間部の天井部を一階空間15の天井部と同じ高さ位置に設定し、上側空間部が低天井空間となるようにしてもよいし、上側空間部の天井部を二階空間16の天井部と同じ高さ位置に設定し、上側空間部が吹き抜け空間となるようにしてもよい。
【0084】
(4)上記実施形態では、採光窓部62とスキップ床部26との間にカバー部材71を設けたが、カバー部材71は必須の構成ではない。ただし、スキップ床部によって住宅の外観が損なわれるのを回避する観点から、カバー部材は設けられていることが好ましい。
【0085】
(5)上記実施形態では、採光窓部62はスリット窓部としたが、これに限定されない。つまり、採光窓部の幅寸法は特に限定されない。
【0086】
(6)上記実施形態では、1つの採光窓部62に1つのカバー部材71を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、1つの採光窓部に対し、複数のカバー部材を横並びに設けるようにしてもよい。その場合、複数のカバー部材同士の間からスキップ床部が見えてしまうことを防止するため、複数のカバー部材は、互いを近接させて設けることが好ましい。
【0087】
(7)上記実施形態では、カバー部材71は、本体部72と、第1ブラケット83と、第2ブラケット85と、角材81とから構成されているが、これらの部材は別部材である必要はない。つまり、カバー部材は、全体が一部材として形成されていてもよい。
【0088】
(8)カバー部材の素材は、十分な強度が確保されるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、樹脂により形成されているものであってもよい。
【0089】
(9)上記実施形態では、本体部72は、その全面が黒色に着色(塗装)されているが、これに限定されない。必ずしも本体部72の全面が着色されていなくてもよく、少なくともカバー部材の採光窓部側の面が着色されていればよい。また、色については黒色に限定されない。例えば、ダークグレーや濃紺等といった、濃い色合い(濃色)に着色されていればよい。また、着色の方法は、表面を塗装することに限定されない。例えば、カバー部材の素材を製造する際に着色料を添加することにより、濃い色合いに着色するようにしてもよい。
【0090】
(10)上記実施形態では、カバー部材71に延出部74が設けられているが、延出部74は必須の構成ではない。例えば、カバー部材とは別の閉塞部材をカバー部材と採光窓部との間に設けるようにしてもよい。
【0091】
(11)上記実施形態では、カバー部材71に立ち上がり部78が設けられているが、立ち上がり部78は必須の構成ではない。ただし、延出部の上面に床面材等を載置する場合には、美観を確保する観点から、立ち上がり部を設けることが好ましい。また、立ち上がり部の高さ寸法は、床面材等を採光窓部側から完全に覆い隠せるように設定することが好ましい。
【0092】
(12)上記実施形態では、第1ブラケット83が覆い部73に角材81を介して設けられているが、角材81は、必須の構成ではない。ただし、角材81によって覆い部73の屋内外方向の位置を調整することができるため、簡易な構成で、覆い部73を窓開口部63における屋内外方向の中間部に配置することが可能となる。
【0093】
(13)上記実施形態では、第2ブラケット85は、覆い部73から採光窓部62側とは反対側に延びているが、これに限定されない。固定部は、覆い部から採光窓部側に延びていてもよい。ただし、その場合、固定部が屋外側から採光窓部を通じて見えてしまうおそれがあるため、上記実施形態の構成が好ましい。
【0094】
(14)上記実施形態では、第1ブラケット83と第2ブラケット85とを設けたが、これらは必須の構成ではない。例えば、覆い部を床下地面材の下面にL字アングル等により固定するようにしてもよい。
【0095】
(15)上記実施形態では、延出部74は、覆い部73の上端部から延出しているが、延出部を覆い部に設ける位置は、上端部に限定されない。ただし、下側空間部への採光を好適に行う観点からは、上記実施形態の構成が好ましい。
【0096】
(16)上記実施形態では、スキップ床部26の床面材53は、床下地面材54と床仕上げ面材55とから構成されているが、これに限定されない。スキップ床部の床面材は、1つの面材からなるものであってもよい。
【0097】
(17)上記実施形態では、延出部74の上面側に載置された床部分55aは、床仕上げ面材55の一部となっているが、これに限定されない。延出部の上面側には、スキップ床部を構成する床面材と隣り合う別の床面材が載置されていてもよい。
【0098】
(18)上記実施形態では、住宅10は二階建てとしたが、これに限定されない。例えば、三階建てであってもよいし、平屋建てであってもよい。また、上記実施形態ではユニット式住宅に適用したが、鉄骨軸組工法や在来木造工法等、他の工法で構築された住宅に適用してもよい。
【符号の説明】
【0099】
10…住宅、19…下側空間部としての吹き抜け空間、25…上側空間部としての収納空間、26…スキップ床部、32…外壁部、53…床面材、54…床下地面材、55…床仕上げ面材、55a…床仕上げ面材の一部としての床部分、61…天井面材、62…採光窓部、63…窓開口部、66…窓枠としての額縁、71…カバー部材、72…本体部、73…覆い部、74…延出部、78…立ち上がり部、83b…載置部としての板部、85b…固定部としての板部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7