(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102723
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ラグビー練習用バックプロテクター
(51)【国際特許分類】
A63B 71/12 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
A63B71/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003405
(22)【出願日】2022-01-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年8月6日~令和3年8月11日菅平高原における神戸市立科学技術高等学校ラクビー部の合宿で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月21日~令和3年10月30日神戸市立科学技術高等学校ラクビー部の練習で発表
(71)【出願人】
【識別番号】522015984
【氏名又は名称】株式会社アゼリア
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】城島 弦太
(57)【要約】
【課題】 タックル練習の際の選手のダメージを十分に保護し、存分にタックルの練習を行うこと可能とするラグビー練習用バックプロテクターを提供する。
【解決手段】 装着者の後頭部から背中および腰までを覆って太ももが露出する状態となる大きさを備えた背面保護体110と内部に充填された緩衝材120と、左肩と右肩にそれぞれ掛けることのできる左肩帯体130および右肩帯体140と、腹に掛けることのできる腹帯体150を備えた構成である。装着者200が背負うように装着し、後方に倒れても後頭部から腰までを保護することができる。左右の肩帯体脱着リリースバックル133および143と腹帯体脱着リリースバックル153で着脱自在となっている。背面保護体110において折り曲げ部113と後頭部から背中を保護する上半身エリア114と腰を保護する下半身エリア115を備え、前傾姿勢に応じて折り曲げられる構成も可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の後頭部から背中および腰までを覆って太ももが露出する状態となる大きさを備えた背面保護体と、
前記背面保護体の内部に充填された緩衝材と、
前記背面保護体を背負った前記装着者の背面に前記背面保護体を固定する取り付け具を備え、
前記装着者が背負うように装着し、後方に倒れても後頭部から腰までを保護することを特徴とするラグビー練習用バックプロテクター。
【請求項2】
前記取り付け具が、前記背面保護体を背負った前記装着者の肩上部付近の高さの前記背面保護体の肩上部取り付け箇所から前記装着者の脇下付近の高さの前記背面保護体の脇下取り付け箇所まで斜め方向に設けられた左右2つの帯体であって前記装着者が左肩と右肩にそれぞれ掛けることのできる右肩帯体および左肩帯体と、前記背面保護体を背負った前記装着者の腹付近の高さの前記背面保護体の一の腹部取り付け箇所から他の腹部取り付け箇所まで横方向に設けられた帯体であって前記装着者が腹に掛けることのできる腹帯体を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載のラグビー練習用バックプロテクター。
【請求項3】
前記取り付け具が、前記背面保護体を背負った前記装着者の脇下付近の高さの前記背面保護体の一の胸部取り付け箇所から他の胸部取り付け箇所まで横方向に設けられた帯体であって前記装着者が脇下付近の胸に掛けることのできる胸部帯体と、前記背面保護体を背負った前記装着者の腹付近の高さの前記背面保護体の一の腹部取り付け箇所から他の腹部取り付け箇所まで横方向に設けられた帯体であって前記装着者が腹に掛けることのできる腹帯体を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載のラグビー練習用バックプロテクター。
【請求項4】
前記右肩帯体および前記左肩帯体がそれぞれ、前記帯体の長さを調整でき、前記帯体を2つに分離したり連結したりすることのできる肩帯体脱着リリースバックルを備え、
前記肩帯体脱着リリースバックルの配設位置が、前記脇下取り付け箇所近くであり、前記肩帯体脱着リリースバックルが前記装着者の体表面側には位置せず、前記装着者の背面にも接触しない位置にあることを特徴とする請求項2に記載のラグビー練習用バックプロテクター。
【請求項5】
前記胸部帯体が前記帯体の長さを調整でき、前記帯体を2つに分離したり連結したりすることのできる胸部帯体脱着リリースバックルを備え、
前記胸部帯体脱着リリースバックルの配設位置が、前記脇下取り付け箇所近くであり、前記胸部帯体脱着リリースバックルが前記装着者の体表面側には位置せず、前記装着者の背面にも接触しない位置にあることを特徴とする請求項3に記載のラグビー練習用バックプロテクター。
【請求項6】
前記腹帯体が、前記帯体の長さを調整でき、前記帯体を2つに分離したり連結したりすることのできる腹帯体脱着リリースバックルを備え、
前記腹帯体脱着リリースバックルの配設位置が、前記他の腹部取り付け箇所近くであり、前記腹帯体脱着リリースバックルが前記装着者の体表面側には位置せず、前記装着者の背面にも接触しない位置にあることを特徴とする請求項2または3に記載のラグビー練習用バックプロテクター。
【請求項7】
前記背面保護体における前記緩衝材の変形により発生する空気のベンチレーションができるベンチレーション孔が、前記背面保護体の側面および上下面に複数設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のラグビー練習用バックプロテクター。
【請求項8】
前記背面保護体が、前記装着者の前後方向に屈折できる折り曲げ部を備え、前記装着者の前傾姿勢に応じて前記折り曲げ部により折り曲がることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のラグビー練習用バックプロテクター。
【請求項9】
前記背面保護体が、前記装着者の後頭部から背中を保護する上半身エリアと、前記装着者の腰を保護する下半身エリアを備え、前記上半身エリアと前記下半身エリアが前記折り曲げ部により折り曲げ可能に連結されていることを特徴とする請求項8に記載のラグビー練習用バックプロテクター。
【請求項10】
前記緩衝材が、シリコンまたはポリプロピレンを原料にした連通気泡の発泡体、または、ポリウレタン樹脂を組成とした連通気泡の発泡体である請求項1から9のいずれかに記載のラグビー練習用バックプロテクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラグビー練習用プロテクターに関するもので、例えば、タックルを受ける選手のコンタクト・スキルの練習を安全に実施するために装着するものである。特に後頭部、背中、腰背面のプロテクトを行うものである。
【背景技術】
【0002】
ラグビーは、ボールを持った者に対してのタックルを始め、相互に体をハードにコンタクトし合うプレイの多いスポーツである。しかも、動いている者同士の激しいぶつかり合いであるため、練習においてもこうしたコンタクト・スキルを向上しておく必要がある。
従来技術において、練習選手が攻撃する側であることを前提とした練習用具と、練習選手が攻撃を受ける防御側であることを前提とした練習用具が知られている。
攻撃、防御、いずれの前提の練習用具であっても、従来技術における練習用具には、衝撃を緩衝する緩衝材となる素材として、ウレタンを天然皮革や人工皮革で被覆したもの、あるいは前面がゆるやかな凸面や凹面に成形されたウレタンスポンジを天然皮革や人工皮革で被覆したもの等が採用されている。
【0003】
従来技術の第1のタイプの練習用具としては、練習選手が攻撃する側であることを前提とした練習用具であり、特許文献1(特開平9-122284号)、特許文献2(特開2012-524595号)、特許文献3(特開2017-164449号)に示すものが知られている。
図10は、従来技術における特許文献1に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
特許文献1に示す練習用具は、
図10に示すように、タックルの練習をするためのタックルダミーと呼ばれるものである。タックルダミーは、ボールを持った相手選手と見立てて、タックルの標的として用いるものである。従来のタックルダミーは、
図10に示すタックルダミー1のように円筒形に縫製して製作した外袋2の中に、ウレタンや綿などの端材など緩衝性を備えた内容物を充填して構成されていた。
図10に示すように、タックルダミーの重心Gはほぼ中心に配置するなどの工夫を行っているものが多い。
これらタックルダミーは、グラウンドに設置しておき、そのままタックル練習選手が体当たりしたり、タックルダミーを背面からコーチが支えた状態でタックル練習選手に体当たりさせたりするものである。
図11は、従来技術における特許文献2(特開2012-524595号)、特許文献3(特開2017-164449号)に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
特許文献2(特開2012-524595号)、特許文献3(特開2017-164449号)に示すものは、特許文献1に示したタックルダミーよりもさらに進化したものとなっており、
図11に示すように、全体の外形が人形となっている。また、緩衝性をさらに向上させるために内部の充填物が空気となっている。
【0004】
従来技術の第2のタイプの練習用具としては、練習選手が防御する側であることを前提とした練習用具であり、特許文献4(特表平6-504689号)、特許文献5(実登3049417号)、特許文献6(特開平8-257197号)に示すものが知られている。
図12は、従来技術における特許文献4(特表平6-504689号)に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
特許文献4(特表平6-504689号)に示す練習用具は、
図12に示すように、ハードコンタクトプレー時のケガを防止・低減するためのボティスーツ型プロテクターと呼ばれるものである。この特許文献4のボティスーツ型プロテクターは、選手の走りなども阻害しないように体表面に沿ったものであり、特に練習の内容によらず、いかなる場合やシチュエーションでもケガしないように配慮されたものである。体の躯体や間接などに装着するボディースーツのようなものの外表面に緩衝部材を取り付けたものとなっており、ハードコンタクトプレー時の外衝撃を緩和するものとなっている。
【0005】
図13は、従来技術における特許文献5(実登3049417号)に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
特許文献5(実登3049417号)に示す練習用具も、
図13に示すように、ハードコンタクトプレー時のケガを防止・低減するためのボティスーツ型プロテクターと呼ばれるものである。この特許文献5のボティスーツ型プロテクターは、
図13(b)に示すように、いわゆるポンチョのように頭からスッポリと被って装着するものである。
図13(a)の左図が前面、右図が背面であるが、
図13(a)に示すように、特に、体前面でのコンタクトプレー時のケガ防止を効果的に防止することを意識したものであり、タックルを受けた場合にコンタクトが大きな胸部前面、肩部前面、腹部前面、太もも前面に緩衝材を配置したものとなっている。
【0006】
図14は、従来技術における特許文献6(特開平8-257197号)に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
特許文献6(特開平8-257197号)に示す練習用具も、特許文献5に示したものとほぼ同様のものであり、ハードコンタクトプレー時のケガを防止・低減するためのボティスーツ型プロテクターと呼ばれるものである。この特許文献6のボティスーツ型プロテクターは、特許文献5と同様、いわゆるポンチョのように頭からスッポリと被って装着するものである。
【0007】
【特許文献1】特開平9-122284号公報
【特許文献2】特開2012-524595号公報
【特許文献3】特開2017-164449号公報
【特許文献4】特表平6-504689号公報
【特許文献5】実登3049417号公報
【特許文献6】特開平8-257197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術のラグビー練習用具には、タックルというハードコンタクトプレイが絡むシーンの練習において改善すべき点があった。
効果的なタックルの第1の練習は、ボールを持って前進してくる攻撃側選手に対して、ディフェンス側選手がなるべく低い姿勢で攻撃選手の低い位置にタックルすることである。つまり、ディフェンス側選手にとっては、攻撃側選手の足元に踏み込んで勢いよく攻撃側選手の腰から下に肩をぶつける、いわゆるタックルの「ヒット」を練習することが必要である。攻守逆に言えば、ボールを持った攻撃側選手にとっては、このように低い位置にタックルの「ヒット」を受けることを練習する必要がある。
このタックルの「ヒット」を主とするシーンは、選手同士の直接の衝突のハードコンタクトプレーであり、タックルを行うディフェンス側選手のみならず、ボールを持ってタックルを受ける選手も十分に練習して慣れておかないとケガをしてしまう。
効果的なタックルの第2の練習は、タックルを行うディフェンス側選手が、ボールを持っている攻撃側選手の腰や太ももに両腕を回して締め付けるいわゆる「バインド」を行うことである。つまり、ディフェンス側選手にとっては、攻撃側選手の動きを封じるように腰や太ももを両腕で挟み込む効果的な「バインド」を行う練習を行う必要がある。もっとも効果的なディフェンスは、しっかりと相手の太もも裏を両腕でバインドしつつ押し込んで、ボールを持つ攻撃側選手の重心を浮かせてしまい、ひっくり返して背中や腰から落下させてしまうことである。攻守逆に言えば、ボールを持った攻撃側選手にとっては、このようなタックルの「バインド」を伴うディフェンスを受けた場合の対処、安全な倒れ方を習得する必要がある。
この「バインド」を主とするタックルシーンは、ボールを持った攻撃側選手がタックルによりひっくり返された結果、背中や腰や頭部から地面に叩きつけられるハードコンタクトプレーであり、ボールを持って前進中にタックルを受ける選手が十分に練習して慣れておかないとケガをしてしまう。
特に、後頭部が地面に叩きつけられる衝撃は危険であり、タックルの「ヒット」や「バインド」を伴うディフェンスを受けた場合の対処として後頭部の守り方を習得しておくことは重要であり、ヘッドギアなどの装着によって練習において1回1回の衝撃は少ないものに抑制したとしても、練習で多数回繰り返すことにより蓄積してゆくダメージは大きくなるので、十分にプロテクトしないといけない。また、ヘッドギアは後頭部しか保護できないので、首を支点に落下する後頭部の衝撃を効果的には和らげることができず、頸椎を傷める可能性もある。
もちろん、背中や腰が地面に叩きつけられる衝撃も危険であり、最悪な場合には歩行に支障を来すような重大な事故もあり得る。このことはタックルを行うディフェンス側選手も意識せざるを得ず、練習といえども実際の生身の選手を相手にタックルのバインドの練習を十分に行うことができない。
効果的なラグビー練習用具を用いて、ボールを持った攻撃側選手になっても、それを止めるディフェンス側選手になっても、上記のようなタックルの第1の練習、第2の練習をしっかりと習得し、ケガやダメージを低減させる必要がある。
【0009】
上記課題に鑑みて、上記した従来技術を見れば、特許文献1から6のいずれの従来技術のラグビー練習用具であっても改善すべき点がある。
特許文献1、特許文献2,特許文献3に示す練習用具は、いわゆるタックルダミーであり、タックルを行うディフェンス側選手の練習には資するものである。しかし、ボールを持って前進してタックルを受ける選手の練習は行えないものである。攻撃側選手のタックルを受ける技量向上には役に立たない。
特許文献4は、いわゆるボティスーツ型プロテクターと呼ばれるものであり、装着することで、ボールを持った攻撃側選手になっても、それを止めるディフェンス側選手になっても、タックルの「ヒット」時の外力を緩衝する意味において一定の役割は果たすものと言える。しかし、
図12に示すように、前面に緩衝材が配置されており、タックルの「ヒット」時の選手同士の直接のコンタクトポイントに生じる外力を緩衝するものであるが、その後に生じ得る「バインド」に伴う選手の頭、背中、腰から地面に叩きつけられる衝撃には十分に対応できるものではない。
特許文献5,特許文献6に示す練習用具は、いわゆるボティスーツ型プロテクターと呼ばれるものであり、これは装着することで、ボールを持った攻撃側選手になっても、それを止めるディフェンス側選手になっても、タックルの「ヒット」時の外力を緩衝する意味において一定の役割は果たすものと言える。しかし、
図13や
図14に示すように、主として前面に緩衝材が配置されており、タックルの「ヒット」時の選手同士の直接のコンタクトポイントに生じる外力を緩衝できるものであるが、その後に生じ得る「バインド」に伴うタックルを受けた選手が頭、背中、腰から地面に叩きつけられる衝撃に対する考慮が十分にはないものである。また、特許文献5,特許文献6に示す練習用具は、後頭部を保護する構造になっておらず、この特許文献5,特許文献6に示す練習用具にヘッドギアを併用したとしても、首を支点に落下する後頭部の衝撃を効果的には和らげることができず、また頸椎を傷める可能性もある。
【0010】
上記問題を解決するために、本発明は、タックルの「バインド」に伴うタックルを受ける選手のダメージ、特に、頭、背中、腰から地面に叩きつけられる衝撃を十分に緩衝することを主な目的とし、従来のヘッドギアやボティスーツ型プロテクターでは不十分であったタックルを受ける選手のダメージを十分に緩衝して保護し、タックルを行うディフェンス側選手も不慮の事故を気にせず、生身の練習相手に存分にタックルの「ヒット」や「バインド」の練習を行うことができるラグビー練習用バックプロテクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるラグビー練習用バックプロテクターは、装着者の後頭部から背中および腰までを覆って太ももが露出する状態となる大きさを備えた背面保護体と、前記背面保護体の内部に充填された緩衝材と、前記背面保護体を背負った前記装着者の背面に前記背面保護体を固定する取り付け具を備え、前記装着者が背負うように装着し、後方に倒れても後頭部から腰までを保護することを特徴とするラグビー練習用バックプロテクターである。
取り付け具としては、背面保護体を背負った前記装着者の背面に背面保護体を固定するものであれば良く、取り付け箇所は限定されない。
例えば、取り付け具が、前記背面保護体を背負った前記装着者の肩上部付近の高さの前記背面保護体の肩上部取り付け箇所から前記装着者の脇下付近の高さの前記背面保護体の脇下取り付け箇所まで斜め方向に設けられた左右2つの帯体であって前記装着者が左肩と右肩にそれぞれ掛けることのできる『右肩帯体および左肩帯体』と、前記背面保護体を背負った前記装着者の腹付近の高さの前記背面保護体の一の腹部取り付け箇所から他の腹部取り付け箇所まで横方向に設けられた帯体であって前記装着者が腹に掛けることのできる『腹帯体』を備えたパターンがある。
また例えば、取り付け具が、前記背面保護体を背負った前記装着者の脇下付近の高さの前記背面保護体の一の胸部取り付け箇所から他の胸部取り付け箇所まで横方向に設けられた帯体であって前記装着者が脇下付近の胸に掛けることのできる『胸部帯体』と、前記背面保護体を背負った前記装着者の腹付近の高さの前記背面保護体の一の腹部取り付け箇所から他の腹部取り付け箇所まで横方向に設けられた帯体であって前記装着者が腹に掛けることのできる『腹帯体』を備えたパターンがある。
もちろん『右肩帯体および左肩帯体』『胸部帯体』『腹帯体』の3つの部材を持つ構成も可能である。
上記構成により、タックルの「バインド」に伴うタックルを受ける選手のダメージ、特に、頭、背中、腰から地面に叩きつけられる衝撃を十分に緩衝することができる。特に、後頭部から首、肩、背中、腰とフラットに同時に保護することができ、特許文献5や6のものでは不十分であった首を支点に落下する後頭部の衝撃を効果的に和らげることができ、頸椎を十分に保護することもできる。
【0012】
ここで、上記のラグビー練習用バックプロテクターの構成において、右肩帯体および左肩帯体がそれぞれ、帯体の長さを調整でき、帯体を2つに分離したり連結したりすることのできる肩帯体脱着リリースバックルを備えた構成とし、特に、脱着リリースバックルの配設位置を装着者の脇下取り付け箇所近くとする。
同様に、胸部帯体を設ける構成の場合も、帯体の長さを調整でき、帯体を2つに分離したり連結したりすることのできる胸部帯体脱着リリースバックルを備えた構成とし、特に、胸部帯体脱着リリースバックルの配設位置が、脇下取り付け箇所近くであり、胸部帯体脱着リリースバックルが装着者の体表面側には位置せず、装着者の背面にも接触しない位置にあることが好ましい。
腹帯体についても、帯体の長さを調整でき、帯体を2つに分離したり連結したりすることのできる腹帯体脱着リリースバックルを備えた構成とし、特に、腹帯体脱着リリースバックルの配設位置を、一又は他の腹部取り付け箇所近くとし、腹帯体脱着リリースバックルが装着者の体表面側には位置せず、装着者の背面にも接触しない位置にあることが好ましい。
【0013】
肩帯体脱着リリースバックル、腹帯体脱着リリースバックル、胸部帯体脱着リリースバックルなどの各々の脱着リリースバックルの素材を比較的柔らかい樹脂性の素材としても、タックル練習時の選手同士が衝突する「ヒット」時には危険な部材となり得るし、タックルを受けた装着者が地面に叩きつけられる可能性のある「バインド」時にも危険な部材となり得るところ、上記の位置に各々の脱着リリースバックルを設けることにより、各々の脱着リリースバックルが装着者の体表面側には位置せず、装着者の背面にも接触しない位置に設けることができ、タックル練習時の選手同士が衝突する「ヒット」時やタックルを受けた装着者が地面に叩きつけられる可能性のある「バインド」時にも接触することがなくなる。各々の脱着リリースバックルを備えることにより帯体の長さを適切に調整でき、本発明のラグビー練習用バックプロテクターを装着した装着者とラグビー練習用バックプロテクターとの間に不要な遊びがなくなり、かつ、不適当に体を締め上げることもなくなる。
なお、脱着リリースバックルには様々な種類があり得る。特に限定されないが、連結と離脱が簡単に行える脱着可能な脱着リリースバックルが好ましい。素材としては樹脂製のものが好ましい。例えば、1方の樹脂具を他方の樹脂具に突っ込めば爪が係合して連結でき、爪の係合を解くように変形させれば2片の樹脂具の連結が開放されるものである。
【0014】
次に、上記のラグビー練習用バックプロテクターの構成において、背面保護体において、内部の緩衝材の変形により発生する空気のベンチレーションができるベンチレーション孔を背面保護体の側面や上下面に複数設けた構成とすることが好ましい。
上記構成により、背面保護体において内部の緩衝材が変形することにより背面保護体の緩衝性能が向上するところ、ベンチレーションがないと背面保護体の内部の緩衝材が即応して変形しにくくなって背面保護体の高い緩衝性能が得られないところ、空気のベンチレーションができるベンチレーション孔が側面や上下面にあれば、ベンチレーションが十分に行うことができ、背面保護体の高い緩衝性能が得られる。ベンチレーション孔が前面にあると装着者の体に封止されたり、ベンチレーション孔が背面にあると地面に封止されたりする可能性があるが、側方にあればベンチレーションを阻害するものがない。
【0015】
次に、背面保護体が、装着者の前後方向に屈折できる折り曲げ部を備えた構成とすることが好ましい。例えば、背面保護体が、装着者の後頭部から背中を保護する上半身エリアと、装着者の腰を保護する下半身エリアを備え、上半身エリアと下半身エリアが折り曲げ部により折り曲げ可能に連結されている構成とする。
上記構成より、背面保護体が装着者の前傾姿勢に応じて折り曲げ部により折り曲がって体に沿う形状となる。背面保護体は装着者の後頭部から背中および腰までを覆う大きさを備えたものであるが、背面保護体が折り曲がるものであれば、装着者が姿勢を低くした前傾姿勢を取りやすくなる。
次に、背面体表面の素材としては特に限定されないが、例えば、人工皮革、天然皮革、ターポリン、ポリエステル系布、塩化ビニル系布などがある。
次に、緩衝材の素材としては特に限定されないが、例えば、シリコンまたはポリプロピレンまたはポリウレタン樹脂を組成とした連通気泡の発泡体またはモールド状体またはビーズ集合体、または綿の積層集合体を素材とするものなどが好ましい。
これら素材を用いて背面保護体を製作すれば、丈夫で破けにくくかつ軽量となり、優れた緩衝性と耐久性が獲得できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のラグビー練習用バックプロテクターは、タックルの「バインド」に伴うタックルを受けた選手のダメージ、特に、頭、背中、腰から地面に叩きつけられる衝撃を十分に緩衝することができる。後頭部から首、肩、背中、腰とフラットに同時に保護することができ、首を支点に落下する後頭部の衝撃を効果的に和らげることができ、頸椎を十分に保護することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100の構造を簡単に示した図である。
【
図2】実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100を装着者200が装着する様子を示す図である。
【
図3】実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100を装着者200が装着した使用状態の一例を示す図である。
【
図4】実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100を装着者200が装着してタックルを受ける練習時の動きの一例を示す図である。
【
図5】実施例2にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100aの構造を簡単に示した図である。
【
図6】実施例2にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100aを装着者200が装着する様子を示す図である。
【
図7】実施例3にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100bの構造を簡単に示した図である。
【
図8】実施例3にかかるラグビー練習用バックプロテクター100bを装着者200が装着した使用状態の一例を示す図である。
【
図9】実施例3にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100bを装着者200が装着してタックルを受ける練習時の動きの一例を示す図である。
【
図10】従来技術における特許文献1に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
【
図11】従来技術における特許文献2(特開2012-524595号)、特許文献3(特開2017-164449号)に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
【
図12】従来技術における特許文献4(特表平6-504689号)に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
【
図13】従来技術における特許文献5(実登3049417号)に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
【
図14】従来技術における特許文献6(特開平8-257197号)に示す練習用具の構成例を簡単に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明にかかるラグビー練習用バックプロテクターの実施形態を説明する。なお、以下の実施形態は一例に過ぎず本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【実施例0019】
実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100は、装着者が背負うように装着し、装着者が後方に倒れても後頭部から腰までを保護することを特徴とするラグビー練習用バックプロテクターである。基本形のものを示す。
ラグビー練習用バックプロテクター100は、基本構成として、背面保護体、緩衝材、取り付け具を備えたものとなっている。
ここで、取り付け具は、背面保護体を背負った装着者の背面に背面保護体を固定する部材であり様々なものがあり得るが、実施例1では、取り付け具として、右肩帯体、左肩帯体、腹帯体を備えた例となっている。
図1は、実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100の構造を簡単に示した図である。
図1に示す実施例1にかかるラグビー練習用バックプロテクター100は、背面保護体110、緩衝材120、取り付け具として、右肩帯体130、左肩帯体140、腹帯体150を備えた構成となっている。
【0020】
背面保護体110は、装着者200の後頭部から背中および腰までを覆って太ももが露出する状態となる大きさを備えた構造物であり、装着者200を保護するプロテクターの本体である。
背面保護体110の表面材111としては、特に限定されないが、例えば、人工皮革、天然皮革、ターポリン、ポリエステル系布、塩化ビニル系布などがある。これら素材は耐久性があり破けにくいという特徴がある。
【0021】
背面保護体110の内部には緩衝材120が充填されてクッション性を備えたものとなっている。装着者200が後方に倒れ込んでも装着者200を安全に受け止めることができ、装着者200に掛かる衝撃力を分散することができるものである。
緩衝材120としては緩衝材の素材としては特に限定されないが、例えば、シリコンまたはポリプロピレンまたはポリウレタン樹脂を組成とした連通気泡の発泡体またはモールド状体またはビーズ集合体、または低反発性素材、綿の積層集合体を素材とするものなどが好ましい。
【0022】
この構成例では、背面保護体110の側面と上下面には、装着者が倒れ込んで緩衝材120の変形により発生する空気の噴き出しを即座に調節するベンチレーションができるベンチレーション孔112が複数設けられている。なお、この例では、バランス良く背面保護体110の側面と上下面に沿ってそれぞれ5つずつ設けられている例となっている。このベンチレーション孔112がないと、装着者が倒れ込んで緩衝材120の変形により発生する空気の噴き出しに即応できず、背面保護体110内の圧力が減殺されず高反発となってしまい、かえって跳ね返りによるダメージが発生しかねない。
このベンチレーション孔112の径は、5mmから1cmぐらいが適切である。ベンチレーション孔112の径が大きすぎるとベンチレーション孔112から小石や異物が入り込む可能性があり、背面保護体110の一部に硬い箇所が形成されてしまうおそれがある。ベンチレーション孔112の径が小さすぎるとベンチレーションが十分に機能せず背面保護体110の内の圧力が減殺されず高反発となってしまうおそれがある。
【0023】
次に、左肩帯体130および右肩帯体140を説明する。左肩帯体130および右肩帯体140は左右一対をなしている。右肩帯体140についても、左右違うだけで左肩帯体130と同様になっているので、ここでの説明は左肩帯体130について記載する。
左肩帯体130は、背面保護体110の表面において、一端が肩上部取り付け箇所131、他端が脇下取り付け箇所132に設けられ、両者の間に渡された帯体である。
肩上部取り付け箇所131は、背面保護体110の表面のうち、背面保護体110を背負った装着者200の肩上部付近の高さ付近に設けられている。
脇下取り付け箇所132は、背面保護体110の表面のうち、背面保護体110を背負った装着者200の脇下付近の高さ付近に設けられている。
なお、この例では、帯体自体は上側左肩帯体130-1と下側左肩帯体130-2の2片に分かれており、左肩帯体脱着リリースバックル133を介して連結されている。つまり、上側左肩帯体130-1は、肩上部取り付け箇所131から左肩帯体脱着リリースバックル133にかけて渡されており、下側左肩帯体130-2は、左肩帯体脱着リリースバックル133から脇下取り付け箇所132にかけて渡されている。
【0024】
ここで、この例では、
図1に示すように、左肩帯体脱着リリースバックル133の配設位置と下側左肩帯体130-2の長さが工夫されている。下側左肩帯体130-2が短く、左肩帯体脱着リリースバックル133が脇下取り付け箇所132の近くに設けられている。この工夫により左肩帯体脱着リリースバックル133が装着者200の体表面側には位置せず、また装着者200の背面にも接触しない位置となるように工夫されている。つまり、タックルというハードコンタクトプレーの中で左肩帯体脱着リリースバックル133および右肩帯体脱着リリースバックル143が装着者200を傷つけることはなく、また、タックルを行う選手側にも左肩帯体脱着リリースバックル133および右肩帯体脱着リリースバックル143が当たることがない。
【0025】
左肩帯体脱着リリースバックル133は、連結している上側左肩帯体130-1と下側左肩帯体130-2の連結長さを調整でき、上側左肩帯体130-1と下側左肩帯体130-2を2つに分離したり両者を連結したりすることのできるものである。この例では、上側左肩帯体130-1の長さが十分に長く、左肩帯体脱着リリースバックル133のスリットに通し入れて折り返すなどして長さを調節することができるものとなっている。
図1に示すように、この例では、肩上部取り付け箇所131と脇下取り付け箇所132の位置関係から、左肩帯体130は左肩付近を斜め方向に渡された帯体となっており、ちょうど左肩を掛けやすい形状であり、左肩帯体脱着リリースバックル133を介して締めることにより左肩に締結できるものとなっている。
【0026】
なお、脱着リリースバックルとしては様々な種類があり、特に限定されないが、連結と離脱が簡単に行える脱着可能なリリースバックルが好ましい。素材としては樹脂製のものが好ましい。例えば、1方の樹脂具を他方の樹脂具に突っ込めば爪が係合して連結でき、爪の係合を解くように変形させれば、2片の樹脂具の連結が開放されるものである。
図1では、いわゆるサイドリリースバックルが例示されている。
【0027】
次に、腹帯体150は、背面保護体110の表面において、一端が右側の腹部取り付け箇所、他端が左側の腹部取り付け箇所に設けられ、両者の間に渡された帯体である。
右側の腹部取り付け箇所および左側の腹部取り付け箇所は、背面保護体110の表面のうち、背面保護体110を背負った装着者200の腹部付近の高さに設けられている。
なお、この例では、帯体自体は右側腹帯体150-1と左側腹帯体150-2の2片に分かれており、腹帯体脱着リリースバックル153を介して連結されている。つまり、右側腹帯体150-1は、右側の腹部取り付け箇所から腹帯体脱着リリースバックル153にかけて渡されており、左側腹帯体150-2は、腹帯体脱着リリースバックル153から左側の腹部取り付け箇所にかけて渡されている。
【0028】
ここで、この例では、
図1に示すように、腹帯体脱着リリースバックル153の配設位置と左側帯体150-2の長さが工夫されている。左側腹帯体150-2が短く、腹帯体脱着リリースバックル153が左側の腹部取り付け箇所の近くに設けられている。この工夫により腹帯体脱着リリースバックル153が装着者200の体表面側には位置せず、また装着者200の背面にも接触しない位置、例えば、脇下の腹横付近に隠れるように配置されるように工夫されている。つまり、タックルというハードコンタクトプレーの中で腹帯体脱着リリースバックル153が装着者200を傷つけることはなく、また、タックルを行う選手側にも腹帯体脱着リリースバックル153が当たることがない。
【0029】
腹帯体脱着リリースバックル153は、連結している右側腹帯体150-1と左側腹帯体150-2の連結長さを調整でき、右側腹帯体150-1と左側腹帯体150-2を2つに分離したり両者を連結したりすることのできるものである。この例では、右側腹帯体150-1の長さが十分に長く、腹帯体脱着リリースバックル153のスリットに通し入れて折り返すなどして長さを調節することができるものとなっている。また、左側腹帯体150-2の長さが十分に短く、腹帯体脱着リリースバックル153が左腹の隙間に隠れるように配置されている。
図1に示すように、この例では、右側の腹部取り付け箇所と左側の腹部取り付け箇所の位置関係から、腹帯体150は腹付近を横方向に渡された帯体となっており、ちょうど腹に掛けやすい形状であり、腹に締結できるものとなっている。
なお、左肩帯体脱着リリースバックル133、右肩帯体脱着リリースバックル143と同様、腹帯体脱着リリースバックル153としても、様々な種類があり、特に限定されないが、連結と離脱が簡単に行える脱着可能なリリースバックルが好ましい。素材としては樹脂製のものが好ましい。例えば、1方の樹脂具を他方の樹脂具に突っ込めば爪が係合して連結でき、爪の係合を解くように変形させれば2片の樹脂具の連結が開放されるものである。
図1では、いわゆるサイドリリースバックルが例示されている。
【0030】
図2は、実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100を装着者200が装着した様子の一例を示す図である。
図2(a)は、ラグビー練習用バックプロテクター100を身にあてがった状態の正面視の図である。
図2(b)は、ラグビー練習用バックプロテクター100を身にあてがって、左肩帯体130の長さを調節して左肩を締め、右肩帯体140の長さを調節して右肩も締め、腹帯体150の長さを調節して腹部を締めて装着した様子を示す図である。
図2(a)では体がまだ締まっていない状態であるが、これらの左肩帯体130、右肩帯体140、腹帯体150の長さを調節して適切に体にフィットさせて本発明のラグビー練習用バックプロテクター100を装着する。
【0031】
図2(b)に示すように、装着者200がラグビー練習用バックプロテクター100を装着した状態において、装着者200の頭部から腰部まで背面保護体110が覆って保護しており、太もも付近は露出している状態となっていることが分かる。装着者200の前面や太ももは露出しており、タックル練習時においてタックルを受ける選手の動きを過度に制約することがなく十分に動くことができ、タックルを行う選手も相手との組み合いやいわゆる「ヒット」は違和感のない練習を行うことができる。ここで、左肩帯体脱着リリースバックル133、右肩帯体脱着リリースバックル143は脇下の腹横付近に隠れるように配置されており、腹帯体脱着リリースバックル153が左腹の隙間に隠れるように配置されているので、「ヒット」の練習時に、タックルを行う選手およびタックルを受ける選手もケガをすることがない。
タックルのいわゆる「バインド」後のタックルを受ける選手の後方への押し倒しの練習においては、タックルを受ける選手を十分に保護することができ、また、タックルを行う選手も十分に保護することができるものとなっている。
【0032】
図3は、実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100を装着者200が装着して構えた様子の一例を示す図である。
図3に示すように、ボールを持って前進する選手は、防御側の選手からタックルを受ける直前に腰を低くして前傾姿勢で構える。
図3の姿勢からタックルにより後方へ倒れてもタックルを受けた選手は安全に受け身を行うことができる。
【0033】
図4は、実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100を装着者200が装着してタックルを受ける練習時の動きの一例を示す図である。
図4(a)は、タックルを行う選手が、タックルを受ける装着者200の太もも裏にいわゆる「バインド」を行った様子を示す図である。
タックルの練習時において、
図4に示すように、本発明にかかるラグビー練習用バックプロテクター100を装着した装着者200の太ももは露出しており、実際の試合のようにタックルの掛け方を練習できる。もっとも効率的なタックルは相手選手の太もも裏あたりを「バインド」することである。
その後、
図4(b)から
図4(c)の一連の動きとなる。
図4(b)は、タックルを行う選手が、タックルを受ける装着者200の太もも裏をいわゆる「バインド」したまま持ち上げた様子を示す図である。
図4(c)は、タックルを行う選手が、タックルを受ける装着者200の太もも裏をいわゆる「バインド」したまま押し倒した様子を示す図である。
ここで、
図4(b)から
図4(c)の動きは、タックルを受ける選手がそのまま後方に倒れた場合の状況のシミュレーションとなる。この場合、タックルを受ける装着者200が本発明にかかるラグビー練習用バックプロテクター100に保護されているので、そのまま後方に倒れた場合でも、後頭部や背中や腰を地面に痛打することが回避できる。
【0034】
なお、念のために記述しておくが、このタックル練習は、タックルを行う選手が意図的にタックルを受ける選手のダメージを大きくするために後方へ押し倒す練習ではなく、タックルを受けた選手がタックルをまともに受けてしまった場合の対処法を習得するための練習である。何度も練習するうちに体を回転させつつバランスを取るなどのいわゆる「受け身」が練習できる。
以上、実施例1にかかる本発明のラグビー練習用バックプロテクター100を説明してきたが、上記の数値やサイズや素材などは一例であり、他の変形や代替が可能であることは言うまでもない。
なお、実施例1で説明した腹部帯体150と同様の工夫を施すことが好ましい。つまり、胸部帯体160は、背面保護体110の表面において、一端が右脇下付近の胸部取り付け箇所、他端が左脇下付近の胸部取り付け箇所に設けられ、両者の間に渡された帯体である。
右脇下付近の胸部取り付け箇所および左脇下付近の胸部取り付け箇所は、背面保護体110の表面のうち、背面保護体110を背負った装着者200の脇下付近の高さに設けられている。なお、この例では、帯体自体は右側胸部帯体160-1と左側胸部帯体160-2の2片に分かれており、胸部帯体脱着リリースバックル163を介して連結されている。つまり、右側胸部体160-1は、右脇下付近の胸部取り付け箇所から胸部帯体脱着リリースバックル163にかけて渡されており、左側胸部帯体160-2は、胸部帯体脱着リリースバックル163から左脇下付近の胸部取り付け箇所にかけて渡されている。