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特開2023-102728ロボット制御装置及びロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102728
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ロボット制御装置及びロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
B25J19/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003415
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 耕司
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CX01
3C707CY05
3C707CY12
3C707HS27
3C707JS06
3C707KS21
3C707KS24
3C707KV01
3C707KW07
3C707KX10
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】製造コストの増大や大型化を抑制しつつ、電子部品毎に適した電位を各電子部品に供給できるロボット制御装置を提供する。
【解決手段】ロボット制御装置10Aは、直列に接続された複数のアーム部23A~23Eと、複数のアーム部23A~23Eのうち少なくとも2つに設けられる電子部品220と、を有する可動アーム20を電子部品220毎に接続されそれぞれ長さが異なるケーブル31A~31Fを介して制御し、ケーブル31A~31Fを介して電子部品220に電位を供給する電位供給部11Aと、ケーブル31A~31F毎に接続されるとともに、一端が電位供給部11Aに接続され、他端が対応するケーブル31A~31Fに接続され、一端と他端との間の抵抗値を調整する複数の抵抗調整回路12Aと、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数のアーム部と、複数の前記アーム部のうち少なくとも2つに設けられる電子部品とを有するロボットの可動アームの動作を、前記電子部品毎に接続されそれぞれ長さが異なるケーブルを介して制御するロボット制御装置であって、
前記ケーブルを介して前記電子部品に電位を供給する電位供給部と、
前記ケーブル毎に接続されるとともに、一端が前記電位供給部に接続され、他端が対応する前記ケーブルに接続され、前記一端と前記他端との間の抵抗値を調整する複数の抵抗調整回路と、
を備えることを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
前記抵抗調整回路の前記抵抗値は、対応する前記電子部品に供給される電位が前記電子部品毎に定められている所定の範囲の電位になるような値であることを特徴とする請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記抵抗調整回路は、それぞれ抵抗値が異なり、前記抵抗調整回路の外部からの入力に応じて導通状態と遮断状態とのうち何れか1つの状態が選択される第一電流経路を複数有し、
前記第一電流経路は、前記一端と前記他端との間においてそれぞれ並列に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記電位供給部は、前記電位供給部の外部からの入力に応じて供給する電位を調整する電位調整回路を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記電位供給部は、電位を供給するための出力端子と、基準電位を有する基準線に接続される基準端子とを有し、
前記電位調整回路は、それぞれ抵抗値が異なり、導通状態と遮断状態とのうち何れか1つの状態が選択される第二電流経路を複数有し、
前記第二電流経路は、前記出力端子と前記基準端子との間においてそれぞれ並列に接続されることを特徴とする請求項4に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
直列に接続された複数のアーム部と、複数の前記アーム部のうち少なくとも2つに設けられる電子部品と、を有するロボットの可動アームと、
前記電子部品毎に接続されそれぞれ長さが異なるケーブルと、
前記ケーブルを介して前記電子部品に電位を供給する電位供給部と、前記ケーブル毎に接続されるとともに、一端が前記電位供給部に接続され、他端が対応する前記ケーブルに接続され、前記一端と前記他端との間の抵抗値を調整する複数の抵抗調整回路と、を有するロボット制御装置と、
を備えることを特徴とするロボットシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置及びロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロボットにおける多関節型の可動アームを制御するためのロボット制御装置が知られている。ロボット制御装置は、ケーブルを介して、可動アームに電力を供給したり、可動アームの動作の制御を行ったりする。このような可動アーム及びロボット制御装置を備えたロボットシステムでは、ロボット制御装置から各関節に至るまでのケーブル長は、関節毎に大きく異なる。よって、ロボット制御装置から各関節に設けられている電子部品に供給される電位は、ケーブルの抵抗に伴う電圧降下の差異によって大きく異なってしまう。
【0003】
これに関し、特許文献1には、可動アームの各関節部に設けられたエンコーダから送信される通信状況の良否に基づいて、可動アームに供給する電圧を制御ユニットが調整する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-56039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、各電子部品に供給する電圧を一律に調整するため、電子部品毎に適した電位を供給できなかった。また、電子部品毎に供給する電圧を調整しようとすると、電子部品毎に電源回路が必要となり、ロボット制御装置の製造コストの増大や装置の大型化を招いてしまう。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造コストの増大や大型化を抑制しつつ、電子部品毎に適した電位を各電子部品に供給できるロボット制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係るロボット制御装置は、直列に接続された複数のアーム部と、複数の前記アーム部のうち少なくとも2つに設けられる電子部品とを有するロボットの可動アームの動作を、前記電子部品毎に接続されそれぞれ長さが異なるケーブルを介して制御するロボット制御装置であって、前記ケーブルを介して前記電子部品に電位を供給する電位供給部と、前記ケーブル毎に接続されるとともに、一端が前記電位供給部に接続され、他端が対応する前記ケーブルに接続され、前記一端と前記他端との間の抵抗値を調整する複数の抵抗調整回路と、を備える。
【0008】
また、本発明の第二態様に係るロボット制御装置では、前記抵抗調整回路の前記抵抗値は、対応する前記電子部品に供給される電位が前記電子部品毎に定められている所定の範囲の電位になるような値である。
【0009】
また、本発明の第三態様に係るロボット制御装置では、前記抵抗調整回路は、それぞれ抵抗値が異なり、前記抵抗調整回路の外部からの入力に応じて導通状態と遮断状態とのうち何れか1つの状態が選択される第一電流経路を複数有し、前記第一電流経路は、前記一端と前記他端との間においてそれぞれ並列に接続される。
【0010】
また、本発明の第四態様に係るロボット制御装置では、前記電位供給部は、前記電位供給部の外部からの入力に応じて供給する電位を調整する電位調整回路を有する。
【0011】
また、本発明の第五態様に係るロボット制御装置では、前記電位供給部は、電位を供給するための出力端子と、基準電位を有する基準線に接続される基準端子とを有し、前記電位調整回路は、それぞれ抵抗値が異なり、導通状態と遮断状態とのうち何れか1つの状態が選択される第二電流経路を複数有し、前記第二電流経路は、前記出力端子と前記基準端子との間においてそれぞれ並列に接続される。
【0012】
また、本発明の第六態様に係るロボットシステムは、直列に接続された複数のアーム部と、複数の前記アーム部のうち少なくとも2つに設けられる電子部品と、を有するロボットの可動アームと、前記電子部品毎に接続されそれぞれ長さが異なるケーブルと、前記ケーブルを介して前記電子部品に電位を供給する電位供給部と、前記ケーブル毎に接続されるとともに、一端が前記電位供給部に接続され、他端が対応する前記ケーブルに接続され、前記一端と前記他端との間の抵抗値を調整する複数の抵抗調整回路と、を有するロボット制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ロボット制御装置は、製造コストの増大や大型化を抑制しつつ、電子部品毎に適した電位を各電子部品に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一実施形態に係るロボットシステムを示す図である。
図2図1に示すロボットシステムの回路構成を示す図である。
図3図1に示すロボットシステムの回路構成の他の例を示す図である。
図4図1に示すロボットシステムの各エンコーダにおけるケーブルによる電圧降下量を示すグラフである。
図5図1に示すロボットシステムにおけるケーブル長並びにケーブル及びエンコーダの電気特性を示す表である。
図6】調整後の図1に示すロボットシステムの各エンコーダに供給される電位を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0016】
――-第一実施形態―――
まず、第一実施形態について説明する。
【0017】
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係るロボットシステム1を示す図である。
【0018】
図1に示すように、ロボットシステム1は、例えば、産業用ロボットであり、ロボット制御装置10Aと、ロボットの可動アーム20と、ケーブル束30とを含んで構成される。
【0019】
ロボット制御装置10Aは、ケーブル束30を介して可動アーム20に電力を供給するとともに、ケーブル束30を介して可動アーム20の制御を行う。
【0020】
可動アーム20は、複数のアーム部23A~23Eが互いに回転可能に直列に接続されており、先端に装着される作業ユニット(図示せず)を所望の位置及び方向に設定することによって、所定の作業を実行する例えば6軸型のマニピュレータである。可動アーム20は、ロボット制御装置10Aからケーブル束30を介して電力が供給されるとともに、ケーブル束30を介してロボット制御装置10Aによって制御される。可動アーム20は、例えば、基台部21と、アーム部23A~23Eとを含んで構成される。
【0021】
基台部21は、可動アーム20を可動アーム20の設置面に固定するための部位である。基台部21は、可動アーム20を設置面に固定することによって、可動アーム20を支持する。また、基台部21は、ロボット制御装置10Aから伸びているケーブル束30を基台部21の内部を通すか又は基台部21の外周を這わせることによってアーム部23Aに中継する。
【0022】
アーム部23A~23Eは、それぞれが互いに回転可能に直列に接続されており、対応するアーム部23A~23Eの間の回転の角度によって、アーム部23Eの先端に装着される作業ユニットを所望の位置及び方向に設定する。アーム部23A~23Eは、ロボット制御装置10Aから基台部21を介して伸びているケーブル束30によって電力が供給されるとともに、ケーブル束30を介してロボット制御装置10Aによって制御される。また、アーム部23A~23Eは、ケーブル束30をアーム部23A~23Eの内部又は外周を這わせることによって、次段のアーム部23A~23E又は作業ユニットにケーブル束30を中継する。また、アーム部23A~23Eは、それぞれ互いに回転可能に接続されるための関節部22A~22Fを他のアーム部との接続箇所に有する。
【0023】
アーム部23Aは、基台部21及びアーム部23Bに互いに回転可能に接続される。アーム部23Aは、前段である基台部21に回転可能に接続されるための関節部22Aを有する。アーム部23Aは、ケーブル束30から供給される電力を関節部22Aに供給し、ケーブル束30を介して基台部21及びアーム部23Aの間の相対角度がロボット制御装置10Aによって制御される。
【0024】
アーム部23Bは、アーム部23A及び23Cに互いに回転可能に接続される。アーム部23Bは、前段であるアーム部23Aと回転可能に接続されるための関節部22Bを有する。アーム部23Bは、ケーブル束30から供給される電力を関節部22Bに供給し、ケーブル束30を介してアーム部23A及びアーム部23Bの間の相対角度がロボット制御装置10Aによって制御される。
【0025】
アーム部23Cは、アーム部23B及び23Dに互いに回転可能に接続される。アーム部23Cは、前段であるアーム部23Bと回転可能に接続されるための関節部22Cを有する。アーム部23Cは、ケーブル束30から供給される電力を関節部22Cに供給し、ケーブル束30を介してアーム部23B及びアーム部23Cの間の相対角度がロボット制御装置10Aによって制御される。
【0026】
アーム部23Dは、アーム部23C及び23Eに互いに回転可能に接続される。アーム部23Dは、前段であるアーム部23Cと回転可能に接続されるための関節部22Dを有する。アーム部23Dは、ケーブル束30から供給される電力を関節部22Dに供給し、ケーブル束30を介してアーム部23C及びアーム部23Dの間の相対角度がロボット制御装置10Aによって制御される。
【0027】
アーム部23Eは、アーム部23D及び作業ユニットに互いに回転可能に接続される。アーム部23Eは、前段であるアーム部23Dと回転可能に接続されるための関節部22Eを有する。アーム部23Eは、ケーブル束30から供給される電力を関節部22Eに供給し、ケーブル束30を介してアーム部23D及びアーム部23Eの間の相対角度がロボット制御装置10Aによって制御される。また、アーム部23Eは、次段である作業ユニットと回転可能に接続されるための関節部22Fを有する。アーム部23Eは、ケーブル束30から供給される電力を関節部22Fに供給し、ケーブル束30を介してアーム部23E及び作業ユニットの間の相対角度がロボット制御装置10Aによって制御される。
【0028】
関節部22A~22Fは、それぞれ対応するアーム部23A~23Eに設けられ、アーム部同士を互いに回転可能に接続する。関節部22A~22Fは、回転軸に沿って回転するモータと、モータの回転方向、回転角度及び回転速度を検出するエンコーダ220とを有する。関節部22A~22Fは、それぞれ、ケーブル束30に含まれるモータ用電源線から供給される電力を対応するモータに供給し、ケーブル束30を介してロボット制御装置10Aから送信される制御信号を対応するモータに送信する。また、関節部22A~22Fは、それぞれケーブル束30に含まれるケーブル31A~31Fのうち対応するケーブル31A~31Fから供給される電力を対応するエンコーダ220に供給する。
【0029】
関節部22Aは、アーム部23Aに設けられ、可動アーム20の設置面に対して垂直な第1軸を回転軸として基台部21及びアーム部23Aを回転可能に接続する。
【0030】
関節部22Bは、アーム部23Bに設けられ、アーム部23Bの延伸方向に対して垂直な第2軸を回転軸としてアーム部23A及びアーム部23Bを回転可能に接続する。
【0031】
関節部22Cは、アーム部23Cに設けられ、アーム部23Cの延伸方向に対して垂直な第3軸を回転軸としてアーム部23B及びアーム部23Cを回転可能に接続する。
【0032】
関節部22Dは、アーム部23Dに設けられ、アーム部23Dの延伸方向に対して水平な第4軸を回転軸としてアーム部23C及びアーム部23Dを回転可能に接続する。
【0033】
関節部22Eは、アーム部23Eに設けられ、アーム部23Eの延伸方向に対して垂直な第5軸を回転軸としてアーム部23D及びアーム部23Eを回転可能に接続する。
【0034】
関節部22Fは、アーム部23Eに設けられ、アーム部23Eの延伸方向に対して水平な第6軸を回転軸としてアーム部23E及び作業ユニットを回転可能に接続する。
【0035】
モータは、例えば、サーボモータである。モータは、関節部22A~22Fにそれぞれ設けられており、ロボット制御装置10Aからケーブル束30を介して送信される制御信号と、対応する関節部22A~22Fに設けられているエンコーダ220からの検出信号とに従って、対応する関節部22A~22Fの回転軸に沿って回転する。具体的には、モータは、検出信号に含まれる対応する関節部22A~22Fの回転に関する情報に従って、制御信号に含まれるモータへの命令に対して補正を行い、補正を行った命令に従って回転する。また、モータは、対応する関節部22A~22Fが接続する基台部21及びアーム部23A~23Eに当該回転を伝達する。
【0036】
エンコーダ220は、関節部22A~22Fにそれぞれ設けられており、対応する関節部22A~22Fの回転に関する情報(回転方向や回転角度、回転速度など)を検出する。エンコーダ220は、検出した対応する関節部22A~22Fの回転に関する情報を対応する関節部22A~22Fに設けられているモータに送信する。また、エンコーダ220は、ロボット制御装置10Aから対応するケーブル31A~31Fを介して供給される電力によって駆動する。
【0037】
ケーブル束30は、ロボット制御装置10Aから可動アーム20に電力の供給や、ロボット制御装置10Aが可動アーム20を制御するための制御信号の送信などを行うための各種ケーブルがまとめられている束である。ケーブル束30は、一端がロボット制御装置10Aに、他端が可動アーム20にそれぞれ接続される。ケーブル束30は、例えば、対応するエンコーダ220に電力を供給するためのケーブル31A~ケーブル31Fと、モータなどの電子部品に電力を供給するための電源線と、モータなどの電子部品に制御信号を送信するための制御信号線とを含んで構成される。
【0038】
ケーブル31A~31Fは、ロボット制御装置10Aから供給される電力を対応する関節部22A~22Fに設けられているエンコーダ220に供給するためのケーブルである。ケーブル31A~31Fは、ロボット制御装置10Aから伸びており、基台部21から可動アーム20の内部又は外周を経由して、対応する関節部22A~22Fに設けられているエンコーダ220に接続される。ケーブル31A~31Fは、基台部21及びアーム部23A~23Eが直列に接続されているため、ロボット制御装置10Aから対応するエンコーダ220に至るまでの長さがそれぞれ異なる。これに伴い、ケーブル31A~31Fは、ロボット制御装置10Aから対応するエンコーダ220に至るまでの抵抗値もまた異なる。
【0039】
ケーブル31Aは、関節部22Aに設けられているエンコーダ220に電力を供給するためのケーブルである。ケーブル31Aは、ロボット制御装置10Aから伸びており、基台部21を経由して、関節部22Aに設けられているエンコーダ220に接続される。
【0040】
ケーブル31Bは、関節部22Bに設けられているエンコーダ220に電力を供給するためのケーブルである。ケーブル31Bは、ロボット制御装置10Aから伸びており、基台部21及びアーム部23Aを順に経由して、関節部22Bに設けられているエンコーダ220に接続される。
【0041】
ケーブル31Cは、関節部22Cに設けられているエンコーダ220に電力を供給するためのケーブルである。ケーブル31Cは、ロボット制御装置10Aから伸びており、基台部21、アーム部23A及びアーム部23Bを順に経由して、関節部22Cに設けられているエンコーダ220に接続される。
【0042】
ケーブル31Dは、関節部22Dに設けられているエンコーダ220に電力を供給するためのケーブルである。ケーブル31Dは、ロボット制御装置10Aから伸びており、基台部21及びアーム部23A~アーム部23Cを順に経由して、関節部22Dに設けられているエンコーダ220に接続される。
【0043】
ケーブル31Eは、関節部22Eに設けられているエンコーダ220に電力を供給するためのケーブルである。ケーブル31Eは、ロボット制御装置10Aから伸びており、基台部21及びアーム部23A~アーム部23Dを順に経由して、関節部22Eに設けられているエンコーダ220に接続される。
【0044】
ケーブル31Fは、関節部22Fに設けられているエンコーダ220に電力を供給するためのケーブルである。ケーブル31Fは、ロボット制御装置10Aから伸びており、基台部21及びアーム部23A~アーム部23Eを順に経由して、関節部22Fに設けられているエンコーダ220に接続される。
【0045】
続いて、ロボットシステム1の回路構成について説明する。図2は、図1に示すロボットシステム1の回路構成を示す図である。図2に示すように、ロボット制御装置10Aは、電位供給部11Aと、複数の抵抗調整回路12Aとを含んで構成される。
【0046】
電位供給部11Aは、可動アーム20における各エンコーダ220が駆動するのに必要な電位が各エンコーダ220に供給されるように電位VOUTを生成し、生成した電位VOUTを各抵抗調整回路12Aに供給する。また、電位供給部11Aは、外部からの入力に従って電位VOUTを調整する。電位供給部11Aは、複数の抵抗調整回路12Aと、基準電位GNDの電位を有する基準線W_GNDとに接続される。電位供給部11Aは、例えば、電源回路110と、電位調整回路111Aとを含んで構成される。
【0047】
電源回路110は、電位VOUTを生成し、生成した電位VOUTを出力端子Oから各抵抗調整回路12Aに供給する。また、電源回路110は、帰還端子Fに入力される電位に従って電位VOUTの電位を調整する。電源回路110は、出力端子Oが各抵抗調整回路12Aの入力側と、電位調整回路111Aにおける抵抗Raの一端とに接続され、帰還端子Fが電位調整回路111Aにおける抵抗Raの他端と、電位調整回路111Aにおける抵抗調整回路112Aの一端とに接続され、基準端子Gが基準線W_GNDに接続される。
【0048】
電位調整回路111Aは、電源回路110から供給される電位VOUTに従って電位FBを生成し、生成した電位FBを電源回路110に出力する。電位調整回路111Aは、抵抗Raと、抵抗調整回路112Aとを含んで構成される。電位調整回路111Aは、電源回路110から供給される電位VOUTを抵抗Ra及び抵抗調整回路112Aで分圧することによって電位FBを生成する。
【0049】
抵抗Raは、例えば、抵抗素子である。抵抗Raは、一端が電源回路110の出力端子Oと、各抵抗調整回路12Aの入力側とに接続され、他端が電源回路110の帰還端子Fと、抵抗調整回路112Aの一端とに接続される。
【0050】
抵抗調整回路112Aは、外部からの入力に従って一端及び他端の間の抵抗値が可変な回路である。抵抗調整回路112Aは、一端が抵抗Raの他端と、電源回路110の帰還端子Fとに接続され、他端が基準線W_GNDに接続される。抵抗調整回路112Aは、例えば、抵抗Rb1~Rbnと、短絡制御素子SWb1~SWbnとを含んで構成される。
【0051】
抵抗Rb1~Rbnは、例えば、抵抗素子である。抵抗Rb1~抵抗Rbnは、対応する短絡制御素子SWb1~SWbnと直列に接続されることによって、第二電流経路1120Aを形成する。抵抗Rb1~Rbnの抵抗値は、それぞれ異なり、対応する第二電流経路1120Aの状態が導通状態である場合の抵抗値となる。
【0052】
短絡制御素子SWb1~SWbnは、例えば、ジャンパスイッチなどの物理スイッチであり、外部からの入力(例えば、ロボットシステム1の調整者による手動操作)に従って、短絡及び開放の状態が切り替わる。短絡制御素子SWb1~SWbnは、対応する抵抗Rb1~Rbnと直列に接続されることによって、第二電流経路1120Aを形成する。短絡制御素子SWb1~SWbnは、外部からの入力に従って短絡及び開放の状態が切り替わることによって、対応する第二電流経路1120Aの状態を導通状態及び遮断状態のうちいずれかに切り替える。
【0053】
第二電流経路1120Aは、抵抗Rb1~Rbnのうち1つと当該抵抗に対応する短絡制御素子SWb1~SWbnとの直列接続によって形成され、外部からの入力によって導通状態及び遮断状態のうちいずれか1つの状態が選択される電流経路であり、抵抗調整回路112Aに複数設けられる。第二電流経路1120Aは、典型的には、それぞれ導通している場合の抵抗値が異なる。第二電流経路1120Aは、抵抗調整回路112Aにおいて、抵抗調整回路112Aの一端及び他端の間にそれぞれ並列に接続される。
【0054】
以上のように構成される抵抗調整回路112Aは、短絡制御素子SWb1~SWbnの短絡及び開放の状態によって各第二電流経路1120Aの導通及び遮断の状態が決定し、決定した各第二電流経路1120Aの導通及び遮断の状態に応じて一端及び他端の間の抵抗値が決定する。
【0055】
また、以上のように構成される電位調整回路111Aは、外部からの入力に従って調整される抵抗調整回路112Aの抵抗値によって、電源回路110に出力する電位FBの電位を決定する。電位調整回路111Aは、電源回路110が帰還端子Fに入力される電位FBによって電位VOUTの電位を調整することから、外部からの入力に従う抵抗調整回路112Aの抵抗値の調整によって電位VOUTを調整することとなる。したがって、電位供給部11Aは、外部からの入力に従う電位調整回路111Aにおける抵抗調整回路112Aの抵抗値の調整によって電位VOUTを調整する。
【0056】
抵抗調整回路12Aは、外部からの入力に従って一端及び他端の間の抵抗値が可変な回路であり、ケーブル31A~31F毎にロボット制御装置10Aに設けられている。抵抗調整回路12Aは、対応するケーブル31A~31Fの先に接続されているエンコーダ220に適した電位(具体的には、動作保証範囲内の電位)が供給されるように、抵抗値が調整される。また、抵抗調整回路12Aは、電位供給部11Aから供給される電位VOUTを抵抗値の調整によって対応するケーブル31A~31Fに応じた電位V1~V6に調整し、調整した電位V1~V6を対応するケーブル31A~31Fに供給する。抵抗調整回路12Aは、一端が電位供給部11Aに接続され、他端が対応するケーブル31A~31Fに接続される。抵抗調整回路12Aは、例えば、抵抗Rj1~Rjmと、短絡制御素子SWj1~SWjmとを含んで構成される。
【0057】
抵抗Rj1~Rjmは、例えば、抵抗素子である。抵抗Rj1~抵抗Rjmは、対応する短絡制御素子SWj1~SWjmと直列に接続されることによって、第一電流経路120Aを形成する。抵抗Rj1~Rjmの抵抗値は、典型的には、それぞれ異なり、対応する第一電流経路120Aが導通している場合の抵抗値となる。
【0058】
短絡制御素子SWj1~SWjmは、例えば、ジャンパスイッチなどの物理スイッチであり、外部からの入力(例えば、ロボットシステム1の調整者による手動操作)に従って、短絡及び開放の状態が切り替わる。短絡制御素子SWj1~SWjmは、対応する抵抗Rj1~Rjmと直列に接続されることによって、第一電流経路120Aを形成する。短絡制御素子SWj1~SWjmは、外部からの入力に従って短絡及び開放の状態が切り替わることによって、対応する第一電流経路120Aの状態を導通状態及び遮断状態のうちいずれかに切り替える。
【0059】
第一電流経路120Aは、抵抗Rj1~Rjmのうち1つと当該抵抗に対応する短絡制御素子SWj1~SWjmとの直列接続によって形成され、外部からの入力によって導通状態及び遮断状態のうちいずれか1つの状態が選択される電流経路であり、抵抗調整回路12Aに複数設けられる。第一電流経路120Aは、典型的には、それぞれ導通している場合の抵抗値が異なる。第一電流経路120Aは、抵抗調整回路12Aにおいて、抵抗調整回路12Aの一端及び他端の間にそれぞれ並列に接続される。
【0060】
以上のように構成される抵抗調整回路12Aは、短絡制御素子SWj1~SWjmの短絡及び開放の状態によって各第一電流経路120Aの導通及び遮断の状態が決定し、決定した各第一電流経路120Aの導通及び遮断の状態に応じて一端及び他端の間の抵抗値が決定する。
【0061】
以上のように構成されるロボット制御装置10Aでは、ケーブル31A~31Fの先に接続されているエンコーダ220に適した電位が供給されるように、外部からの入力に従って、電位調整回路111Aにおける抵抗調整回路112Aの抵抗値と、ケーブル31A~31Fのそれぞれに対応する抵抗調整回路12Aの抵抗値とが調整される。これにより、ロボット制御装置10Aは、可動アーム20に設けられている各エンコーダ220に応じた電位V1~V6を生成し、生成した電位V1~V6をケーブル31A~31Fに供給することによって、適した電位を対応するエンコーダ220に供給する。
【0062】
<調整方法>
以上、ロボットシステム1の回路構成について説明した。次に、ロボット制御装置10Aが各エンコーダ220に適した電位を供給するように、電位V1~V6を調整するための調整方法について説明する。図4は、ロボットシステム1の各エンコーダ220におけるケーブル31A~31Fによる電圧降下量を示すグラフである。また、図5は、ロボットシステム1におけるケーブル長並びにケーブル31A~31F及びエンコーダ220の電気特性を示す表である。
【0063】
図4に示すように、ケーブル31A~31Fは、それぞれロボット制御装置10Aから対応するエンコーダ220に至るまでの長さが異なることから、抵抗値がそれぞれ異なる。よって、ロボット制御装置10Aから対応するエンコーダ220に至るまでのケーブル31A~31Fによる電圧降下量もそれぞれ異なる。具体的には、第1軸を回転軸とする関節部22Aに設けられているエンコーダ220に接続されるケーブル31Aと、第6軸を回転軸とする関節部22Fに設けられているエンコーダ220に接続されるケーブル31Fとの間では、電圧降下量が0.56V異なっている。
【0064】
エンコーダ220に供給する電位の調整方法について、ロボットシステム1の調整者は、まず、測定やシミュレーションなどによってロボットシステム1における最大電圧降下量を導出する。本実施形態では、図5に示す特性より第6軸を回転軸とする関節部22Fに対応するケーブル31Fによる電圧降下量が最大となるため、図4より最大電圧降下量は、1.18Vとなる。なお、ケーブル31Fに対応する抵抗調整回路12Aの抵抗値は、ケーブル31Fによる電圧降下量を測定又は算出する前に予め適当な値(例えば0Ω)に調整しておく。
【0065】
続いて、ロボットシステム1の調整者は、エンコーダ220の動作保証電圧の最小値に導出した最大電圧降下量を加算することによって、電位供給部11Aが供給する電位VOUTの値を決定する。エンコーダ220の動作保証電圧が5V±5%である場合、最大電圧降下量が1.18であることから、電位VOUTの値は、5×0.95+1.18=5.93Vとなる。さらに、ロボットシステム1の調整者は、電位供給部11Aが決定した電位VOUTの値に最も近い電位を出力するように、抵抗調整回路112Aの短絡制御素子SWb1~SWbnの状態を切り替える。具体的には、ロボットシステム1の調整者は、例えば、電位VOUTが6.0Vとなるように、抵抗調整回路112Aの抵抗値を調整する。
【0066】
続いて、ロボットシステム1の調整者は、抵抗値が最大である第6軸を回転軸とする関節部22Fに対応するケーブル31Fの抵抗値と、各ケーブル31A~31Eの抵抗値との差分を算出する。図4より、ケーブル31Fの抵抗値は、4.7Ωである。また、ケーブル31A~31Eの抵抗値は、それぞれ、2.23Ω、2.45Ω、4.25Ω、4.4Ω及び4.7Ωである。よって、ケーブル31F及び31Aの抵抗値の差分は、4.7―2.23=2.47Ωとなる。同様に、ケーブル31Fに対するケーブル31B~31Eの抵抗値の差分は、それぞれ、2.25Ω、0.45Ω、0.3Ω及び0Ωとなる。
【0067】
ロボットシステム1の調整者は、ケーブル31Fの抵抗値とケーブル31A~31Eの抵抗値との差分にケーブル31Fに対応する抵抗調整回路12Aの抵抗値を加算した値に最も近い抵抗値となるように、ケーブル31A~31Eに対応する抵抗調整回路12Aの短絡制御素子SWj1~SWjnの状態を切り替える。具体的には、ケーブル31Fに対応する抵抗調整回路12Aの抵抗値が0Ωである場合、ロボットシステム1の調整者は、例えば、抵抗値が2Ωになるようにケーブル31A及び31Bに対応する抵抗調整回路12Aの抵抗値を調整し、抵抗値が0.5Ωになるようにケーブル31C及び31Dに対応する抵抗調整回路12Aの抵抗値を調整し、抵抗値が0Ωになるようにケーブル31Eに対応する抵抗調整回路12Aの抵抗値を調整する。これにより、ロボットシステム1のロボット制御装置10Aは、各エンコーダ220に適した電位を各エンコーダ220に供給するようになる。
【0068】
図6は、調整後のロボットシステム1の各エンコーダ220に供給される電位を示すグラフである。図6に示すように、ロボットシステム1の第1軸~第6軸に対応する関節部22A~22Fに設けられている各エンコーダ220には、エンコーダ220の動作保証範囲内となる電位がそれぞれ供給される。
【0069】
<効果>
以上、本実施形態の構成によれば、ロボット制御装置10Aは、エンコーダ220(電子部品)毎に接続されるケーブル31A~31Fのロボット制御装置10Aから対応するエンコーダ220(電子部品)までの抵抗が調整されるため、コストの増大やロボット制御装置10Aの大型化を抑制しつつ、エンコーダ220(電子部品)毎に供給する電位を調整できる。
【0070】
また、ロボット制御装置10Aは、エンコーダ220(電子部品)に適した電位が供給されるように、エンコーダ220(電子部品)毎に接続されるケーブル31A~31Fのロボット制御装置10Aから対応するエンコーダ220までの抵抗が調整される。したがって、ロボット制御装置10Aは、コストの増大やロボット制御装置10Aの大型化を抑制しつつ、エンコーダ220(電子部品)毎に適した電位を各エンコーダ220(電子部品)に供給できる。
【0071】
また、ロボット制御装置10Aは、簡易な構成によってコストの増大やロボット制御装置10Aの大型化を抑制しつつ、エンコーダ220(電子部品)毎に適した電位を各エンコーダ220(電子部品)に供給できる。
【0072】
また、ロボット制御装置10Aは、コストの増大やロボット制御装置10Aの大型化を抑制しつつ、高精度でエンコーダ220(電子部品)毎に適した電位を各エンコーダ220(電子部品)に供給できる。
【0073】
また、ロボット制御装置10Aは、簡易な構成で電位供給部11Aが各抵抗調整回路12Aに供給する電位VOUTを調整できる。
【0074】
―――第二実施形態―――
以上、第一実施形態について説明した。続いて、第二実施形態について説明する。
【0075】
<構成>
図3は、図1に示すロボットシステム1の回路構成の他の例を示す図である。本実施形態のロボット制御装置10Bは、第一実施形態のロボット制御装置10Aと比して、短絡制御素子SWj1~SWjn及びSWb1~SWbnの状態の切り替えを制御回路13によって行う点が異なる。なお、第一実施形態と同様の構成については、その説明を省略し、同一の符号を用いる。
【0076】
ロボット制御装置10Bは、例えば、電位供給部11Bと、複数の抵抗調整回路12Bと、制御回路13とを含んで構成される。
【0077】
電位供給部11Bは、第一実施形態の電位供給部11Aと比して、電位調整回路111Aの代わりに電位調整回路111Bを用いる点が異なる。電位供給部11Bは、制御回路13の制御に従って、電位VOUTの電位を生成し、生成した電位VOUTを各抵抗調整回路12Bに供給する。
【0078】
電位調整回路111Bは、第一実施形態の電位調整回路111Aと比して、抵抗調整回路112Aの代わりに抵抗調整回路112Bを用いる点が異なる。電位調整回路111Bは、制御回路13の制御に従って、電位FBを生成し、生成した電位FBを電源回路110に出力する。これにより、電位調整回路111Bは、電位VOUTの電位を調整する。
【0079】
抵抗調整回路112Bは、抵抗調整回路112Aと比して、制御回路13の制御に従って一端及び他端の間の抵抗値が制御される点が異なる。抵抗調整回路112Bは、抵抗調整回路112Aと比して、短絡制御素子SWb1~SWbnの代わりに、短絡制御素子SWc1~SWcnを含んで構成される。
【0080】
短絡制御素子SWc1~SWcnは、例えば、トランジスタなどの回路スイッチであり、制御回路13から入力される対応する制御信号CTx1~CTnに従って、短絡及び開放が切り替わる。短絡制御素子SWc1~SWcnは、対応する抵抗Rb1~Rbnと直列に接続されることによって、第二電流経路1120Bを形成する。短絡制御素子SWc1~SWcnは、対応する制御信号CTx1~CTnに従って短絡及び開放が切り替わることによって、対応する第二電流経路1120Bの導通及び遮断を切り替える。
【0081】
第二電流経路1120Bは、抵抗Rb1~Rbnのうち1つと当該抵抗に対応する短絡制御素子SWb1~SWbnとの直列接続によって形成され、外部からの入力によって導通及び遮断が切り替わる電流経路であり、抵抗調整回路112Bに複数設けられる。第二電流経路1120Bは、典型的には、それぞれ導通している場合の抵抗値が異なる。第二電流経路1120Bは、抵抗調整回路112Bにおいて、抵抗調整回路112Bの一端及び他端の間にそれぞれ並列に接続される。
【0082】
抵抗調整回路12Bは、抵抗調整回路12Aと比して、制御回路13の制御に従って一端及び他端の間の抵抗値が制御される点が異なる。抵抗調整回路12Bは、対応するケーブル31A~31Fの先に接続されているエンコーダ220に適した電位が供給されるように、制御回路13によって抵抗値が調整される。また、抵抗調整回路12Bは、抵抗調整回路12Aと比して、短絡制御素子SWj1~SWjmの代わりに短絡制御素子SWk1~SWkmを含んで構成される。
【0083】
短絡制御素子SWk1~SWkmは、例えば、トランジスタなどの回路スイッチであり、制御回路13の制御に従って、短絡及び開放が切り替わる。短絡制御素子SWk1~SWkmは、対応する抵抗Rj1~Rjmと直列に接続されることによって、第一電流経路120Bを形成する。短絡制御素子SWk1~SWkmは、制御回路13の制御に従って短絡及び開放が切り替わることによって、対応する第一電流経路120Bの導通及び遮断を切り替える。
【0084】
制御回路13は、抵抗調整回路112B及び各抵抗調整回路12Bの抵抗値を制御することによって、各エンコーダ220に供給する電位をそれぞれ調整する。具体的には、制御回路13は、記憶部(図示しない)などから抵抗調整回路112Bの抵抗値に関する情報を取得する。制御回路13は、取得した抵抗値に関する情報に従って、制御信号CTx1~CTnを生成し、生成した制御信号CTx1~CTnを抵抗調整回路112Bの対応する短絡制御素子SWc1~SWcnにそれぞれ出力する。
【0085】
また、制御回路13は、記憶部(図示しない)などから各抵抗調整回路12Bの抵抗値に関する情報を取得する。制御回路13は、取得した抵抗値に関する情報に従って、制御信号CTa1~CTanを生成し、生成した制御信号CTa1~CTanをケーブル31Aに対応する抵抗調整回路12Bにおける対応する短絡制御素子SWk1~SWknにそれぞれ出力する。同様に、制御回路13は、制御信号CTb1~CTbnをケーブル31Bに対応する抵抗調整回路12Bに、制御信号CTc1~CTcnをケーブル31Cに対応する抵抗調整回路12Bに、制御信号CTd1~CTdnをケーブル31Dに対応する抵抗調整回路12Bに、制御信号CTe1~CTenをケーブル31Eに対応する抵抗調整回路12Bに、制御信号CTf1~CTfnをケーブル31Fに対応する抵抗調整回路12Bに、それぞれ生成して出力する。
【0086】
<効果>
以上、本実施形態によれば、ロボット制御装置10Bは、制御回路13によってエンコーダ220(電子部品)毎に接続されるケーブル31A~31Fのロボット制御装置10Bから対応するエンコーダ220(電子部品)までの抵抗を調整するため、ジャンパスイッチなどの切り替えを手動で行う際の手間をかけずに、コストの増大やロボット制御装置10Bの大型化を抑制しつつ、エンコーダ220(電子部品)毎に供給する電位を調整できる。
【0087】
―――変形例―――
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0088】
例えば、上記実施形態では、可動アーム20が6軸型のマニピュレータである場合を説明したが、これに限られるものではなく、任意の型式のマニピュレータでも良い。さらに、上記実施形態では、ケーブル31A~31Fは、エンコーダ220に接続されるが、電力によって駆動する他の電子部品(例えばDCファンなど)に接続されても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、抵抗調整回路12Aや抵抗調整回路112Aにおいて、いずれかの電流経路のみが導通することによって抵抗値が調整されるが、複数の電流経路が導通されても良い。また、抵抗Rj1~Rjmは、同じ抵抗値であっても良く、抵抗Rb1~Rbmは、同じ抵抗値であっても良い。
【0090】
この構成によれば、抵抗調整回路12Aや抵抗調整回路112Aが調整され得る抵抗値の値が第一電流経路120A及び第二電流経路1120Aの導通状態及び遮断状態の組み合わせの分だけ増えるため、ロボット制御装置10Aは、コストの増大やロボット制御装置10Aの大型化を抑制しつつ、高精度でエンコーダ220(電子部品)毎に供給する電位を調整できる。
【符号の説明】
【0091】
1…ロボットシステム、10A…ロボット制御装置、10B…ロボット制御装置、20…可動アーム、23A~23E…アーム部、11A…電位供給部、11B…電位供給部、12A…抵抗調整回路、12B…抵抗調整回路、31A~31F…ケーブル、111A…電位調整回路、111B…電位調整回路、120A…第一電流経路、120B…第一電流経路、220…エンコーダ(電子部品)、1120A…第二電流経路、1120B…第二電流経路、G…基準端子、О…出力端子

図1
図2
図3
図4
図5
図6