(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102735
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】排熱エネルギー回収動力装置
(51)【国際特許分類】
F03G 7/00 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
F03G7/00 B
F03G7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022012379
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】521109970
【氏名又は名称】小川 静男
(72)【発明者】
【氏名】小川 静男
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動車が始動・加速時及び走行中に発生する二酸化炭素の量を少なくする。
【解決手段】空気駆動機4と熱回収筒32、39と回生制動装置27を用いて、自動車が持っている全エネルギーを有効利用する。本システムで回転エネルギーを生み出すことにより、自動車を少ない燃料で加速走行させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気駆動機はエンジンの出力軸と増速機構で連結されており、エンジンが回転している間は常に空気駆動機も回転していて、圧縮空気を作り続ける。この圧縮空気を第一空気ボンベと第二空気ボンベに蓄える。空気駆動機と各ボンベはアクセルペダル弁と逆止弁を介して連通している。エンジンのアイドリング時は、空気タービンポンプから送り出された圧縮空気を第一空気ボンベに流入して蓄える。そして逆止弁とパイパス管路を通って空気タービンモーターに供給されて、そして空気タービンポンプで圧縮空気の圧力を高める。再度第一空気ボンベに流入させて、蓄える。アクセルペダル弁を踏み込むと、第二空気ボンベより、大量の圧縮空気が空気タービンモーターに供給されて、大きな回転動力を生み出す。この回転力とエンジンの回転力が協働して、自動車を始動・加速して一定速度走行させる。
【請求項2】
内部に高圧力空気ボンベと中圧空気ボンベを内蔵した熱回収筒と、前記で説明した空気駆動機とアクセルペダル弁をそれぞれパイプで連通させたシステムで、エンジンが回転している間は圧縮空気は循環している。熱回収筒にはエンジンから排出された高熱エネルギーを持った排気ガスが流入する。そして熱回収筒内の高圧力空気ボンベと中圧空気ボンベに蓄積された圧縮空気を加熱膨張させると、各ボンベ内の圧縮空気は高圧力空気になる。アクセルペダルの踏み込みによって、高圧力空気ボンベ内の高圧空気が空気駆動機内の空気タービンモーターに流入され、そして高い回転力を生み出す。これは排気ガスが持っている高熱エネルギーをまず空気圧力エネルギーに変える。さらに回転力エネルギーに変換したことになり、排気ガス熱エネルギーを回収したことになる。熱回収筒と空気駆動外壁ともに耐熱断熱材で覆われており、排気ガス熱を外部に逃げないようにしてある。
【請求項3】
自動車の両後車輪軸のハブには、ディスクを連結させる回転軸が取り付けられている。回生制動装置にディスクブレーキが固着されており、そして自動車の制動時に摩擦熱で発熱したディスクを冷やす冷却液が満たされており、ブレーキペダルスイッチが通電すると、ポンプモーターが作動して、加熱された冷却液が第二熱回収筒に送り込まれて、第二熱回収筒内のタンクに貯められた圧縮空気を加熱膨張させて、高圧力空気を作り出す。これを熱回収筒内の回生制動ボンベに逆止弁を通って流入させる。そして熱回収筒内に満たされた高熱エネルギーの排気ガスより熱エネルギーを取り込んで高圧力空気を加熱膨張させて、高圧力空気の圧力を高める。これをアクセルペダルの調整開放によって、空気駆動機に高圧力空気を供給して、力強い回転力を生み出す。この回転力とエンジンの回転力が協動して、自動車を始動・加速・一定速度走行運転をする。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
本発明はエンジンから排出される全熱エネルギーを利用して、回転動力を生み出す装置に関するものである。排気ガスの高熱エネルギーを利用して圧縮空気の圧力を高める熱回収筒(内部に中圧空気ボンベと高圧空気ボンベを内蔵)と、この熱回収筒内の高圧空気ボンベで生み出された高圧空気を空気駆動機(内部に空気タービンモーターと空気タービンポンプを内蔵)に供給して、回転動力を生み出す装置から構成された燃料消費の少ない自動車を提供するものである。
本発明の一つである空気駆動機(内部に空気タービンモーターをと空気タービンポンプを一体的に内蔵している。)について
図1で説明する。空気駆動機4の回転軸12はエンジン1の出力軸2と増速機構3(逆に減速機構としても使用される。)で連結されて、エンジン1が回転している間は常に空気駆動機4も増速されて回転している。空気駆動機4内部の空気タービンポンプ6で作られた圧縮空気は第一空気ボンベ7に供給される。一部の圧縮空気はボンベ内に貯められるが、残りの圧縮空気はバイバス管路9を通って、空気タービンモーター5に流入される。そして空気タービンポンプ6で圧縮空気の圧力を高めて、再度第一空気ボンベ7内に供給する。第一空気ボンベ7内の圧縮空気圧が増していくと、第二空気ボンベ8内の空気圧力よりも高くなり、逆止弁10を通って第二空気ボンベ8に蓄えられる。第二空気ボンベ8内に蓄えられた圧縮空気を自動車の始動時や加速時にアクセルペダル弁11を介して、空気駆動機4内の空気タービンモーター5に供給して回転動力を生み出す。この回転動力とエンジン1の回転動力が協同して自動車を走行させる。自動車の加速時にアクセルペダル弁11を強く踏み込むと、第二空気ボンベ8に蓄えられた圧縮空気が大流量になって空気タービンモーター5に供給されて高速回転して大きな回転力を生み出す。そして圧縮空気エネルギーを空気タービンモーター5の回転力として取り出した後の圧縮空気を、空気タービンポンプ6に流入させて第一空気ボンベ7に蓄える。順次このサイクルを繰り返す。エンジン1がアイドリング状態のときは、エンジン1の回転は低いので空気駆動機4の回転も低くなり、空気タービンポンプ6で作られる圧縮空気の圧力も低い。このときアクセルペダル弁11が閉じられており、第一空気ボンベ7に一旦貯められて、再度バイバス管路9を通って空気タービンモーター5と空気タービンポンプ6に供給され、循環している。エンジンが回転しない時は、空気駆動機4内及び第一空気ボンベ7内の空気圧力は同一になっているが第二空気ボンベ8に蓄積されている圧縮空気は高い空気圧力を保っている。エンジンの再始動、加速時に利用される。圧力計13で得た情報を基にして、システム全体の空気圧力が調整される。空気圧力が設定値より低いと圧力充填口15より補給する。
次に二つ目の発明を
図2で説明すると、前記で説明した空気駆動機4は熱回収筒16とパイプで連通しており、空気駆動機4で作られた圧縮空気を循環させて排気ガスの高熱エネルギーを取り出す装置に関するものである。この熱回収筒16は内部に高圧空気ボンベ17と中圧空気ボンベ18を逆止弁20を介してパイプで連通している。この熱回収筒16にエンジン1より排出された高熱エネルギーを持った排気ガスを高圧力空気ボンベ17側より流入させて、中圧力空気ボンベ18側から触媒マフラー23に流入させて、大気に放出する。中圧力空気ボンベ18と高圧力空気ボンベ17に蓄えられた圧縮空気を、排気ガスの高熱エネルギーで加熱膨張させて、各ボンベ内の圧縮空気の圧力を高める。これを自動車の始動時や加速時にアクセルペダル弁19を介して空気駆動機4に供給させる。この空気駆動機4の外壁は耐熱断熱材14で覆われている。また熱回収筒16も耐熱断熱材22で覆われており、排気ガスの熱エネルギーを外気に逃げないようにしている。
次に空気駆動機4について説明する。自動車が一定速度で走行中は空気駆動機4内の空気タービンポンプ6で増圧された圧縮空気を逆止弁21を通って、熱回収筒16内の中圧力空気ボンベ18に流入させる。中圧力空気ボンベ18内の空気圧が高圧力空気ボンベ17内の圧縮空気よりも高くなると、逆止弁20を通って高圧力空気ボンベ17に流入させる。そして排気ガスの高熱エネルギーをもらって更に加熱膨張させて圧縮空気の圧力を高める。アクセルペダル弁19を軽く踏み込んでいるので、この高圧力空気は空気駆動機4内の空気タービンモーター5に供給される。そして空気タービンポンプ6を通って再度中圧力空気ボンベ18に流入させる。自動車エンジン1の回転力を利用して熱回収筒4内の各ボンベに高圧力空気を蓄積していく。
次に自動車エンジン1がアイドリング状態中について説明する。エンジン1がアイドリング状態のときはエンジン1の回転は低くなり、エンジン1と増速機構3と連結している空気駆動機4の回転も低くなり、空気タービンポンプ6が作り出す空気圧力も低い。この低圧力空気を熱回収筒16内の中圧力空気ボンベ18に流入させて、排気ガスの高熱エネルギーをもらって圧力を高める。そして再度空気駆動機4に流入させて、圧縮空気の圧力を高める。そして中圧力空気ボンベ18に流入させる。このとき高圧力空気ボンベ17内に蓄えられた圧縮空気の圧力が高いと、高圧力空気ボンベ17に流入することはできないので、中圧力空気ボンベ内の圧縮空気はバイバス管路24を通って空気タービンモーター5に供給される。これを繰り返すことにより少しずつ空気圧力は増していき、中圧力空気ボンベ18内の空気圧力は高まっていく。この空気圧力が高圧力空気ボンベ17に蓄えられた空気圧力よりも高くなると、逆止弁20を通って高圧力空気ボンベ17に流入して蓄えられる。
次に自動車の始動時や加速時について説明する。アクセルペダル弁19を踏み込んでいくと、高圧力空気ボンベ17内に蓄えられた高圧力空気が空気駆動機4内の空気タービンモーター5に供給されて回転力を生み出す。更にアクセルペダル弁19を強く踏み込んでいくと高圧力空気ボンベ17より大量の高圧力空気が、空気タービンモーター5に供給されて、タービンは高速回転して、強い回転力が発生する。この強い回転力とエンジン1が生み出す回転力を用いて自動車を少ない燃料で加速走行させられる。
本発明の三つ目は、空気駆動機及び熱回収筒及び回生制動装置からなるシステムを用いて、自動車が持っている全熱エネルギーを圧縮空気エネルギーに変換して、空気駆動機を用いて回転動力を生み出して、自動車の始動時や加速時や一定速度走行にこの回転力をエンジンの補助動力として活用するものである。
図3で説明すると、空気駆動機4とエンジン1の機能と構造は
図2で説明した通りであり、詳しくは述べない。熱回収筒32の内部には高圧力空気ボンベ34と逆止弁35を介して連通している回生制動空気ボンベ33とから構成されており、熱回収筒32内部にエンジン1から排出された高熱エネルギーの排気ガスを高圧力空気ボンベ34側より流入させて、回生制動空気ボンベ33側より排出させて触媒マフラー23に流入させ、大気に放出する。そして熱回収筒32内の各ボンベに蓄えられた圧縮空気を加熱膨張させて高圧空気を作る。そしてこれを利用して空気駆動機4内の空気タービンモーター5を高速回転させて大きな回転動力を生み出す。
次に回生制動装置について説明すると、回生制動装置27と第二熱回収筒39の外壁は断熱材29で覆われている。自動車の両後車輪25のハブ26には回転軸28が取り付けられている。回生制動装置27内にはディスクブレーキ30が固着されている。また冷却液(水溶液等)36で満たされており、この冷却液36は自動車の制動時にディスク31で発生した摩擦熱エネルギーをもらって加熱される。ディスク31は回転軸28と連結されている。ブレーキペダル41を踏み込むと、ブレーキペダルスイッチ42が通電してポンプモーター43が作動する。そして加熱された冷却液36を第二熱回収筒39に送り込まれる。第二熱回収筒39内のタンク38には空気駆動機4の空気タービンポンプ6より流出された圧縮空気が貯められている。このタンク38内の圧縮空気を加熱された冷却液36で加熱膨張させる。そして逆止弁40を介して高熱エネルギーの排気ガスで満たされた熱回収筒32内の回生制動ボンベ33に流入させて、さらに加熱膨張させて高圧空気を生み出す。そして逆止弁35を通って高圧力空気ボンベ34に流入させる。ここで加熱膨張させてさらに高圧空気を作り出して蓄える。そして自動車を始動・加速させる。アクセルペダル弁11を踏み込むと、高圧力空気ボンベ34に蓄積された高圧力空気は空気駆動機4の空気タービンモーター5に供給され、そして回転力を生み出す。この回転力とエンジン1が生み出した回転力が協動して自動車を始動・加速させて一定速度走行させる。少ない燃料消費で自動車を走行させることが出来る。とくに始動・加速・一定速度走行・減速を繰り返す。市街地走行をする時、威力を発揮することが出来る。二酸化炭素や窒素酸化物等の有害物質の発生量を少なく出来て、地球環境を良くする。小さなエンジンで大馬力が出せるので、製造コストは低くできる。これが普及すれば化石燃料である石油の消費を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【符号の説明】
1 エンジン 22 耐熱断熱材
2 出力軸 23 触媒マフラー
3 増速機構 24 バイバス管路
4 空気駆動機 25 後車輪
5 空気タービンモーター 26 ハブ
6 空気タービンポンプ 27 回生制動装置
7 第一空気ボンベ 28 回転軸
8 第二空気ボンベ 29 断熱材
9 バイバス管路 30 ディスクブレーキ
31 ディスク
10 逆止弁 32 熱回収筒
11 アクセルペダル弁 33 回生制動空気ボンベ
12 回転軸 34 高圧力空気ボンベ
13 圧力計 35 逆止弁
14 耐熱断熱材 36 冷却液
15 圧力空気充填口 37 ピストン
16 熱回収筒 38 タンク
17 高圧力空気ボンベ 39 第二熱回収筒
18 中圧力空気ボンベ 40 逆止弁
19 アクセルペダル弁 41 ブレーキペダル
20 逆止弁 42 ブレーキペダルスイッチ
21 逆止弁 43 ポンプモーター