(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102739
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】回転モータのブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/102 20060101AFI20230718BHJP
F16D 55/28 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H02K7/102
F16D55/28
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070802
(22)【出願日】2022-04-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】202210033758.X
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】No.252,ShanYing Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan, R.O.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】蔡清雄
(72)【発明者】
【氏名】柯重光
(72)【発明者】
【氏名】徐雍智
(72)【発明者】
【氏名】蔡承勳
【テーマコード(参考)】
3J058
5H607
【Fターム(参考)】
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA58
3J058AA73
3J058AA78
3J058AA79
3J058BA21
3J058BA42
3J058CA65
3J058FA42
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC03
5H607CC09
5H607DD03
5H607EE07
5H607EE10
5H607EE19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ブレーキパッドの回転過程における摩耗及び騒音の発生を避ける、回転モータに適用されるブレーキ装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ装置1は、ベース10、上板20、スライド板30、伝達部材40、ブレーキパッド50、接続部材60、プレート本体70及び弾性要素80を含む。回転軸90はベースを軸方向に貫通している。スライド板はベースと上板との間に設置され、駆動モジュール11の駆動によって軸方向に沿ってベースに貼り付けたり、ベースから離脱したりする。伝達部材は回転軸に套設固定され、かつ嵌合周縁41、位置制限部42及び貫通穴43を含む。ブレーキパッドはスライド板と上板との間に位置する。弾性要素はプレート本体と位置制限部の下面との間に設置され、弾性力を与えるように組み立てられることで、プレート本体はブレーキパッドを移動させて軸方向に沿って位置制限部の上面に当接させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸にブレーキをかけるように組み立てられる回転モータのブレーキ装置であって、
駆動モジュール及びベース中空部を含み、前記回転軸が前記ベース中空部を軸方向に貫通している、ベースと、
前記ベースと空間的に対応しており、かつ前記軸方向に沿って間隔をおいて前記ベースに設置された、上板と、
前記ベースと前記上板との間に設置され、前記駆動モジュールの駆動によって前記軸方向に沿って前記ベースに貼り付けたり、前記ベースから離脱したりする、スライド板と、
前記回転軸に套設固定されて、前記回転軸と同期して回転し、嵌合周縁、位置制限部及び複数の貫通穴を含み、前記位置制限部が前記回転軸の径方向に沿って前記嵌合周縁から外側に突出しており、前記複数の貫通穴が前記軸方向に沿って前記位置制限部を貫通している、伝達部材と、
前記軸方向に沿って前記伝達部材の前記嵌合周縁に嵌合設置され、前記伝達部材の前記嵌合周縁と噛合しており、かつ前記位置制限部の上面に載せられるブレーキパッドであって、前記ブレーキパッドが、前記スライド板と前記上板との間に位置し、前記駆動モジュールが前記スライド板を駆動して前記ベースから離脱させると、前記ブレーキパッドが前記スライド板と前記上板によって挟まれて、前記伝達部材と前記回転軸を同期して静止するように阻止し、前記駆動モジュールが前記スライド板を駆動して前記ベースに貼り付けると、前記ブレーキパッドが前記スライド板及び前記上板と互いに分離し、かつ前記伝達部材の駆動によって回転する、ブレーキパッドと、
前記ブレーキパッドと空間的に対応する、プレート本体と、
それぞれ前記複数の貫通穴を通って前記プレート本体と前記ブレーキパッドとの間に接続される、複数の接続部材と、
複数の弾性要素であって、各弾性要素が前記接続部材に対応して套設され、かつ前記プレート本体と前記位置制限部の下面との間に設置され、弾性力を与えるように組み立てられることで、前記プレート本体が前記ブレーキパッドを移動させて前記軸方向に沿って前記位置制限部の前記上面に当接させる、複数の弾性要素と、
を含むことを特徴とする、回転モータのブレーキ装置。
【請求項2】
前記駆動モジュールがばね要素及びコイル要素を含み、前記ばね要素が前記ベースと前記スライド板との間に設置され、推力を与えるように組み立てられて、前記スライド板を駆動して前記ベースから離脱させ、前記コイル要素が前記ベース内に埋設され、通電時に磁気吸引力を発生させて、前記スライド板を駆動して前記推力に抵抗し、前記ベースに貼り付けることを特徴とする、請求項1に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項3】
前記接続部材がロックボルト及びブッシングを含み、前記ブッシングが対応する前記貫通穴を通って前記ブレーキパッドと前記プレート本体との間に接続され、前記ロックボルトが前記ブッシングを通って前記ブレーキパッドと前記プレート本体をロックすることを特徴とする、請求項1に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項4】
前記ブッシングが、前記位置制限部の前記上面から前記下面までの距離よりも大きい軸方向の高さを有することを特徴とする、請求項3に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項5】
前記弾性要素が、前記ブッシングの外周縁に套設された圧縮ばねを含み、前記プレート本体と前記位置制限部の前記下面との間に前記弾性力を与えることを特徴とする、請求項3に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項6】
前記ブレーキパッドが、前記伝達部材の前記複数の貫通穴と空間的に対応する複数の第一接続穴を含み、前記プレート本体が、前記伝達部材の前記複数の貫通穴と空間的に対応する複数の第二接続穴を有し、前記ロックボルトが対応する前記第一接続穴、対応する前記ブッシング及び対応する前記第二接続穴を介して、前記ブレーキパッドと前記プレート本体をロックし、前記第一接続穴の穴径及び前記第二接続穴の穴径が前記ブッシングの管径よりも小さいことを特徴とする、請求項3に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項7】
前記ベースと、前記位置制限部、前記プレート本体、前記複数の接続部材及び前記弾性要素とは前記軸方向にずれて設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項8】
前記伝達部材が、前記回転軸の径方向に沿って延びる少なくとも一つのロック穴を含み、前記ブレーキ装置が少なくとも一つのロック部材を含み、前記少なくとも一つのロック部材が前記少なくとも一つのロック穴を通って、前記伝達部材を前記回転軸にロックすることを特徴とする、請求項1に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項9】
前記複数の接続部材、前記弾性要素及び前記複数の貫通穴が、同じ数Nを有し、Nが整数であり、かつNが3以上であることを特徴とする、請求項1に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項10】
前記ブレーキパッドが嵌合口を有し、前記ブレーキパッドが前記嵌合口を介して前記伝達部材の前記嵌合周縁に套設され、前記ブレーキパッドの前記嵌合口が前記伝達部材の前記嵌合周縁より大きいまたは等しいことを特徴とする、請求項1に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項11】
前記スライド板がスライド板中空部を有し、前記上板が上板中空部を有し、前記プレート本体がプレート本体中空部を有し、前記回転軸が前記ベース中空部、前記スライド板中空部、前記上板中空部及び前記プレート本体中空部を貫通していることを特徴とする、請求項1に記載の回転モータのブレーキ装置。
【請求項12】
複数の仕切柱をさらに含み、前記複数の仕切柱が前記ベースと前記上板との間に接続され、かつ前記複数の仕切柱と前記スライド板とはずれて配列設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の回転モータのブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転モータのブレーキ装置に関し、特にブレーキパッドの軸方向の位置制限を与え、ブレーキパッドの回転過程における摩耗及び騒音の発生を避けるための、回転モータに適用されるブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転モータのブレーキ装置は、動的タイプと保持タイプの二つの機能に分けられ、回転モータの電源が切った後、回転モータの回転子は、完全に停止する前に、慣性作用でしばらく回転することがある。多くの産業での回転モータの応用において、回転モータの電源が切った直後に停止する必要がある場合、それを実現するために動的ブレーキ装置が必要である。回転モータの回転が止まった後、負荷端が回転したり緩んだりしないように確保する必要がある場合は、保持ブレーキが必要である。一般的な回転モータのブレーキ装置は、ベース、スライド板、ブレーキパッド、上板及び角鉄(またはスプライン)からなり、ベースは回転モータの筐体に鎖定され、ベースにコイル及びばねで形成された駆動モジュールがある。駆動モジュールに通電すると、コイルの電磁により吸引力が発生し、スライド板が吸着されてベースに貼り付けられ、上板とスライド板との間のブレーキパッドに回転の自由度を持たせ、ブレーキパッドと角鉄(またはスプライン)及び回転子は組み立て後に一緒に回転する。駆動モジュールの電源が切ると、磁力による吸着を失ったスライド板はばねによって押し上げられ、スライド板がブレーキパッドを上板まで押し上げ、ブレーキパッドはスライド板と上板の挟みによって回転の自由度を失い、角鉄(またはスプライン)とにより回転子の回転を停止する。
【0003】
しかし、駆動モジュールに通電しかつ回転子が回転する過程において、ブレーキパッドは軸方向の拘束がないため、重力の影響によりブレーキパッドが上下に移動したり、片寄りしたりすることで摩耗しやすい。摩耗により騒音や破片が発生する可能性があり、軽い場合は軸受及びエンコーダが汚染され、厳重な場合はブレーキが機能しなくなる。
【0004】
かかる事情に鑑み、ブレーキパッドの軸方向の位置制限を与え、ブレーキパッドの回転過程における摩耗及び騒音の発生を避けて、先行技術の欠如を解決するために、回転モータに適用されるブレーキ装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ブレーキパッドの軸方向の位置制限構造により、ブレーキパッドの回転過程における摩耗及び騒音の発生を避ける、回転モータに適用されるブレーキ装置を提供することにある。軸方向の位置制限構造は、プレート本体、接続部材及び弾性要素を追加することによって実現することができる。プレート本体とブレーキパッドは、接続部材を介して一定の軸方向の高さを維持し、弾性要素がプレート本体と伝達部材との間に弾性力を与えることで、プレート本体はブレーキパッドを移動させて軸方向に沿って伝達部材に当接させる。ブレーキパッドが伝達部材に軸方向に当接して軸方向の拘束を形成するため、伝達部材がブレーキパッドを回転させる時、重力の影響によりブレーキパッドが上下に移動したり、片寄りしたりすることによる摩耗は発生しにくくなるとともに、騒音及び破片の発生も避ける。
【0006】
本発明の別の目的は、回転モータに適用されるブレーキ装置を提供することにある。ブレーキパッドに対してプレート本体、接続部材及び弾性要素を追加することによって実現された軸方向の位置制限構造と、ベース、上板及びスライド板から構築されたブレーキ構造とは、互いにずれて設置されることができる。プレート本体、接続部材及び弾性要素が、例えばベース中空部に収納されているため、軸方向の位置制限構造の設置は、構造全体の寸法を増加させることがなく、ブレーキ装置の安定性及び製品競争力を効果的に向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、回転軸にブレーキをかけるように組み立てられる回転モータのブレーキ装置を提供する。ブレーキ装置は、ベース、上板、スライド板、伝達部材、ブレーキパッド、複数の接続部材、プレート本体及び複数の弾性要素を含む。ベースは駆動モジュール及びベース中空部を含み、回転軸はベース中空部を軸方向に貫通している。上板はベースと空間的に対応しており、かつ軸方向に沿って間隔をおいてベースに設置されている。スライド板はベースと上板との間に設置され、駆動モジュールの駆動によって軸方向に沿ってベースに貼り付けたり、ベースから離脱したりする。伝達部材は回転軸に套設固定されて、回転軸と同期して回転し、伝達部材は嵌合周縁、位置制限部及び複数の貫通穴を含み、位置制限部は回転軸の径方向に沿って嵌合周縁から外側に突出しており、複数の貫通穴は軸方向に沿って位置制限部を貫通している。ブレーキパッドは軸方向に沿って伝達部材の嵌合周縁に嵌合設置され、伝達部材の嵌合周縁と噛合しており、かつ位置制限部の上面に載せられ、ブレーキパッドはスライド板と上板との間に位置し、駆動モジュールがスライド板を駆動してベースから離脱させると、ブレーキパッドはスライド板と上板によって挟まれて、伝達部材と回転軸を同期して静止するように阻止する。駆動モジュールがスライド板を駆動してベースに貼り付けると、ブレーキパッドはスライド板及び上板と互いに分離し、かつ伝達部材の駆動によって回転する。プレート本体はブレーキパッドと空間的に対応しており、複数の接続部材は、それぞれ複数の貫通穴を通ってプレート本体とブレーキパッドとの間に接続されている。各弾性要素は接続部材に対応して套設され、かつプレート本体と位置制限部の下面との間に設置され、弾性力を与えるように組み立てられることで、プレート本体はブレーキパッドを移動させて軸方向に沿って位置制限部の上面に当接させる。
【0008】
一実施形態では、駆動モジュールはばね要素及びコイル要素を含み、ばね要素はベースとスライド板との間に設置され、推力を与えるように組み立てられて、スライド板を駆動してベースから離脱させ、コイル要素はベース内に埋設され、通電時に磁気吸引力を発生させて、スライド板を駆動して推力に抵抗し、ベースに貼り付ける。
【0009】
一実施形態では、接続部材はロックボルト及びブッシングを含み、ブッシングは対応する貫通穴を通ってブレーキパッドとプレート本体との間に接続され、ロックボルトはブッシングを通ってブレーキパッドとプレート本体をロックする。
【0010】
一実施形態では、ブッシングは、位置制限部の上面から下面までの距離よりも大きい軸方向の高さを有する。
【0011】
一実施形態では、弾性要素は、ブッシングの外周縁に套設された圧縮ばねを含み、プレート本体と位置制限部の下面との間に弾性力を与える。
【0012】
一実施形態では、ブレーキパッドは、伝達部材の複数の貫通穴と空間的に対応する複数の第一接続穴を含み、プレート本体は、伝達部材の複数の貫通穴と空間的に対応する複数の第二接続穴を有し、ロックボルトは、対応する第一接続穴、対応するブッシング及び対応する第二接続穴を介して、ブレーキパッドとプレート本体をロックし、第一接続穴の穴径及び第二接続穴の穴径はブッシングの管径よりも小さい。
【0013】
一実施形態では、伝達部材は角鉄またはスプラインである。
【0014】
一実施形態では、ベースと、位置制限部、プレート本体、複数の接続部材及び弾性要素とは軸方向にずれて設置されている。
【0015】
一実施形態では、伝達部材は、回転軸の径方向に沿って延びる少なくとも一つのロック穴を含み、ブレーキ装置は少なくとも一つのロック部材を含み、少なくとも一つのロック部材は、少なくとも一つのロック穴を通って伝達部材を回転軸にロックする。
【0016】
一実施形態では、複数の接続部材、弾性要素及び複数の貫通穴は同じ数Nを有し、Nは整数であり、かつNは3以上である。
【0017】
一実施形態では、複数の貫通穴は、回転軸を中心として位置制限部に等距離に環状設置されている。
【0018】
一実施形態では、ブレーキパッドは嵌合口を有し、ブレーキパッドは嵌合口を介して伝達部材の嵌合周縁に套設され、ブレーキパッドの嵌合口は、伝達部材の嵌合周縁より大きいまたは等しい。
【0019】
一実施形態では、スライド板はスライド板中空部を有し、上板は上板中空部を有し、プレート本体はプレート本体中空部を有し、回転軸は、ベース中空部、スライド板中空部、上板中空部及びプレート本体中空部を貫通している。
【0020】
一実施形態では、上板、スライド板、プレート本体及びベースは環状構造である。
【0021】
一実施形態では、ブレーキ装置は複数の仕切柱をさらに含み、複数の仕切柱はベースと上板との間に接続され、かつ複数の仕切柱とスライド板はずれて設置されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明実施形態の回転モータに適用されたブレーキ装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明実施形態の回転モータに適用されたブレーキ装置を示す断面構造図である。
【
図3】本発明実施形態のブレーキ装置を示す斜視図である。
【
図4】本発明実施形態のブレーキ装置を示す分解構造図である。
【
図5】本発明実施形態のブレーキ装置を示す別の視点からの分解構造図である。
【
図6】本発明実施形態のブレーキ装置を示す上面図である。
【
図7】本発明実施形態のブレーキ装置を示す断面構造図である。
【
図8】本発明実施形態のブレーキ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において記述する。本発明は異なる態様において様々な変化を有することができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に例示するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。例えば、本開示の以下の内容において、第一特徴を第二特徴の上または上方に設置することが記述される場合、設置された上記第一特徴が上記第二特徴と直接接触している実施形態を含み、追加の特徴を上記第一特徴と上記第二特徴との間に設置することで、上記第一特徴が上記第二特徴と直接接触していない実施形態も含むことを示す。さらに、本開示の異なる実施形態において、重複する参照符号及び/または記号を使用可能である。これらの重複は簡潔化と明確化の目的で、各実施形態及び/または前記外観構造間の関係を制限するために使用されるものではない。また、図面における構成要素または特徴要素と他の(複数の)構成要素または(複数の)特徴要素との関係を簡易に記述するために、例えば、「...の下に」、「下方」、「より下部」、「上方」、「より上部」、及び類似する用語などの空間関連の用語を用いることができる。図面に示される方位に加えて、空間関連の用語は、使用中または作動中の装置の異なる方位を含むために用いられる。前記装置は、別途に位置決めされ(例えば、90度回転または他の方位に位置し)てもよく、それに応じて使用される空間関連の用語の記述を解釈する。さらに、一つの構成要素が他の構成要素に「接続」または「結合」すると称する場合、他の構成要素に直接的に接続または結合することができ、または介在構成要素が存在しうる。本開示の広範な範囲の数値範囲とパラメータは近似値であるが、具体的な例においてできる限り正確に数値を記述する。さらに、「第一」、「第二」、「第三」などの用語は、特許請求の範囲において異なる構成要素を記述するために用いられることができるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されるべきではなく、実施形態において記述されたこれらの構成要素は異なる構成要素記号によって示されることを理解されたい。これらの用語は、異なる構成要素を区別するためのものである。例えば、第一構成要素は第二構成要素と称されることができ、同様に、第二構成要素も第一構成要素と称されることができ、実施形態の範囲から逸脱することがない。このように使用される用語「及び/または」には、一つまたは複数の列挙された項目のいずれかまたはすべての組み合わせが含まれている。作動例/作業例中以外に、または明示的に規定されない限り、本明細書で開示されるすべての数値範囲、量、値、及びパーセンテージ(例えば、角度、持続時間、温度、作動条件、量比、及び類似するもののパーセンテージなど)は、すべての実施形態において用語の「約」または「実質的に」によって修飾されるものと理解されるべきである。それに応じて、反対の指示がない限り、本開示及び添付の特許請求の範囲に記述される数値パラメータは、必要に応じて変更できる近似値である。例えば、各数値パラメータは、少なくとも記述される有効桁数の数字に基づいて、通常の丸めの原則を適用することによって解釈されるべきである。本明細書において、範囲は一つのエンドポイントからもう一つのエンドポイントまで、または二つのエンドポイント間として表現することができる。本明細書に開示されるすべての範囲は、特に規定がない限り、エンドポイントを含む。
【0024】
図1から
図8は、本発明の回転モータに適用されるブレーキ装置を示す。本実施形態では、回転モータのブレーキ装置(または単にブレーキ装置という)1は、例えば回転モータの回転軸90にブレーキをかけるように組み立てられる。ブレーキ装置1は、ベース10、上板20、スライド板30、伝達部材40、ブレーキパッド50、接続部材60、プレート本体70及び弾性要素80を含む。本実施形態では、ベース10は、例えば環状構造であり、かつ駆動モジュール11及びベース中空部12を含む。駆動モジュール11は、例えば、それぞれ推力及び磁気吸引力を与えるように組み立てられているばね要素(図示せず)及びコイル要素(図示せず)を含み、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、回転軸90は軸方向Cに沿ってベース10のベース中空部12を貫通している。上板20は、例えば環状構造であり、上板中空部21を有する。上板20はベース10と空間的に対応しており、かつ軸方向Cに沿って間隔をおいてベース10に設置されている。同様に、回転軸90は、例えば軸方向Cに沿って上板20の上板中空部21を貫通している。本実施形態では、ブレーキ装置1は、例えば複数の仕切柱22をさらに含み、上板20とベース10が一定の間隔の高さを維持するように、複数の仕切柱22はベース10と上板20との間に接続されている。さらに、スライド板30はベース10及び上板20と空間的に対応しており、例えば環状構造であり、スライド板中空部31を有する。回転軸90は、例えば軸方向Cに沿ってスライド板30のスライド板中空部31を貫通している。本実施形態では、スライド板30がベース10と上板20に対して軸方向Cにスライドすることができるように、スライド板30はベース10と上板20との間に設置され、かつ複数の仕切柱22とスライド板30はずれて配列設置されている。
【0025】
駆動モジュール11のばね要素は、例えばベース10とスライド板30との間に設置され、推力を与えるように組み立てられて、スライド板30を駆動してベース10から離脱させることを説明すべきである。さらに、駆動モジュール11のコイル要素は、例えばベース10内に埋設され、通電時に磁気吸引力を発生させて、スライド板30を駆動してばね要素によって提供された推力に対抗し、ベース10に貼り付ける。言い換えれば、本実施形態では、スライド板30は、駆動モジュール11の駆動によって軸方向Cに沿ってベース10に貼り付けたり、ベース10から離脱したりすることができる。もちろん、本発明は、駆動モジュール11がスライド板30を駆動してスライドさせる方式に限定されるものではない。
【0026】
本実施形態では、伝達部材40は、例えば角鉄またはスプラインであり、回転軸90に套設固定されて、回転軸90と同期して回転する。伝達部材40は、嵌合周縁41、位置制限部42、複数の貫通穴43及び軸穴45を含む。伝達部材40は、軸穴45を介して回転軸90に套設固定されている。嵌合周縁41は、ブレーキパッド50に係合するように組み立てられている。位置制限部42は、回転軸90の径方向に沿って嵌合周縁41から外側に突出しており、例えば環状ボスを形成する。もちろん、位置制限部42の嵌合周縁41から外側に突出した部分は、実際の応用要求に応じて調整でき、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、複数の貫通穴43は軸方向Cに沿って位置制限部42の上面421及び下面422を貫通している。ブレーキパッド50は嵌合口51を有する。ブレーキパッド50は嵌合口51を介して軸方向Cに沿って伝達部材40の嵌合周縁41に嵌合設置されている。本実施形態では、ブレーキパッド50の嵌合口51は、例えば伝達部材40の嵌合周縁41より大きいまたは等しく、これによって、伝達部材40が回転軸90によって駆動されると、ブレーキパッド50の嵌合口51は伝達部材40の嵌合周縁41と噛合しており、かつブレーキパッド50は位置制限部42の上面421に載せられる。
【0027】
本実施形態では、ブレーキパッド50はスライド板30と上板20との間に位置し、駆動モジュール11がスライド板30を駆動してベース10から離脱させると、ブレーキパッド50はスライド板30と上板20によって挟まれて、伝達部材40と回転軸90を同期して静止するように阻止する。駆動モジュール11がスライド板30を駆動してベース10に貼り付けると、ブレーキパッド50とスライド板30及び上板20は互いに分離し、ブレーキパッド50は回転の自由度を回復し、伝達部材40の駆動によって回転することができる。
【0028】
本実施形態では、プレート本体70はブレーキパッド50と空間的に対応しており、複数の接続部材60は、それぞれ伝達部材40の複数の貫通穴43を通ってプレート本体70とブレーキパッド50との間に接続されていることに注意すべきである。さらに、弾性要素80は接続部材60に套設され、かつプレート本体70と伝達部材40の位置制限部42の下面422との間に設置され、弾性力を与えるように組み立てられている。言い換えれば、プレート本体70とブレーキパッド50は、接続部材60を介して一定の軸方向の高さHを維持し、弾性要素80がプレート本体70と伝達部材40の位置制限部42の下面422との間に弾性力を与えることで、プレート本体70はブレーキパッド50を移動させて軸方向Cに沿って伝達部材40の位置制限部42の上面421に当接させる。ブレーキパッド50が軸方向Cに伝達部材40の位置制限部42に当接して軸方向Cの拘束を形成するため、伝達部材40がブレーキパッド50を回転させる時、重力の影響によりブレーキパッド50が上下に移動したり、片寄りしたりすることによる摩耗は発生しにくくなるとともに、騒音及び破片の発生も避ける。
【0029】
本実施形態では、複数の接続部材60、複数の弾性要素80及び伝達部材40の複数の貫通穴43は同じ数Nを有し、Nは整数であり、かつNは3以上である。これにより、複数の同じ高さの接続部材60によって接続されたブレーキパッド50とプレート本体70は、軸方向Cに一定の高さ差を維持することができる。本実施形態では、4つの貫通穴43は、例えば回転軸90を中心として位置制限部42に等距離に環状設置されている。他の実施形態では、接続部材60と貫通穴43の数及び配列は、実際の応用要求に応じて調整でき、本発明はこれに限定されない。
【0030】
さらに、本実施形態では、各接続部材60は、ロックボルト61及びブッシング62を含み、ブッシング62は、例えば管状であり、伝達部材40の位置制限部42における対応する貫通穴43を通って、ブレーキパッド50とプレート本体70との間に接続され、ロックボルト61はブッシング62を通ってブレーキパッド50とプレート本体70をロックする。本実施形態では、ブッシング62は、例えば、伝達部材40の位置制限部42の上面421から下面422までの距離よりも大きい軸方向の高さHを有する。すなわち、ブッシング62の軸方向の高さHは、位置制限部42の厚さTよりも大きい。なお、本実施形態では、ブレーキパッド50は、伝達部材40の複数の貫通穴43と空間的に対応する複数の第一接続穴52を含む。プレート本体70は、伝達部材40の複数の貫通穴43と空間的に対応する複数の第二接続穴72を有する。各接続部材60のロックボルト61は、対応する第一接続穴52、対応するブッシング62及び対応する第二接続穴72を介して、例えば両端のナットでブレーキパッド50とプレート本体70をロックする。第一接続穴52の穴径及び第二接続穴72の穴径dは、いずれもブッシング62の管径Dより小さい。これにより、ロックボルト61が例えば両端のナットでブレーキパッド50とプレート本体70をロックする時、ブッシング62は、ブレーキパッド50とプレート本体70との間に挟まれ、ブレーキパッド50とプレート本体70は、複数のブッシング62の支持及び接続により、一定の軸方向の高さHを維持することができる。
【0031】
一方、本実施形態では、弾性要素80は、例えば複数の圧縮ばねをさらに含み、各圧縮ばねは、例えば、ブッシング62の外周縁に套設されて、プレート本体70と位置制限部42の下面422の間に均一で安定した弾性力を与え、プレート本体70は、接続部材60によりブレーキパッド50を移動させて軸方向Cに沿って位置制限部42の上面421に当接させる。もちろん、本発明は弾性要素80の形態に限定されるものではない。他の実施形態では、弾性要素80は、例えばブッシング62の外周縁に套設されるのではなく、プレート本体70と伝達部材40との間に設置されてもよく、弾性力を与えることにより、プレート本体70は、接続部材60によりブレーキパッド50を移動させて軸方向Cに沿って位置制限部42の上面421に当接させることができる。本発明はこれに限定されず、かつ説明を省略する。
【0032】
本実施形態では、ベース10、上板20、スライド板30、伝達部材40及びブレーキパッド50が、回転軸90のブレーキ構造として構築され、回転軸90のブレーキ機能を与えることを説明すべきである。本発明のブレーキ装置1は、ブレーキパッド50に対してプレート本体70、接続部材60及び弾性要素80をさらに追加し、ブレーキパッド50の軸方向の位置制限構造をさらに構築する。本実施形態では、ベース10、スライド板30及び上板20はいずれも環状構造であり、回転軸90はベース中空部12、スライド板中空部31及び上板中空部21を貫通している。ベース10、スライド板30及び上板20は、回転軸90の回転に影響を及ぼさない。ブレーキパッド50に対してプレート本体70、接続部材60及び弾性要素80を追加することによって実現された軸方向の位置制限構造と、ベース10、上板20及びスライド板30から構築されたブレーキ構造とは、互いにずれて設置されることができることに注意すべきである。本実施形態では、ベース10と、位置制限部42、プレート本体70、複数の接続部材60及び弾性要素80とは軸方向Cにずれて設置されている。位置制限部42、プレート本体70、複数の接続部材60及び弾性要素80は、さらに例えばベース中空部12、スライド板中空部31及び上板中空部21によって連通された空間に収納されている。ブレーキパッド50に対してプレート本体70、接続部材60及び弾性要素80を追加することによって実現された軸方向の位置制限構造と、ベース10、上板20及びスライド板30から構築されたブレーキ構造とは、互いにずれて設置されることができる。したがって、軸方向の位置制限構造の設置は、構造全体の寸法を増加させることがなく、ブレーキ装置1の安定性及び製品競争力を効果的に向上させる。もちろん、他の実施形態では、ブレーキパッド50に対してプレート本体70、接続部材60及び弾性要素80を追加することによって実現された軸方向の位置制限構造は、ベース中空部12、スライド板中空部31及び上板中空部21によって連通された空間の外に構築されてもよい。本発明はこれに限定されず、かつ説明を省略する。
【0033】
さらに、本実施形態では、伝達部材40は、回転軸90の径方向に沿って延びる少なくとも一つのロック穴44をさらに含み、ブレーキ装置1は少なくとも一つのロック部材(図示せず)、例えばねじを含む。少なくとも一つのロック部材は少なくとも一つのロック穴44を通って、伝達部材40を回転軸90にロックする。これにより、伝達部材40が軸穴45を介して回転軸90に套設される時、さらに回転軸90にロックされて、伝達部材40と回転軸90は同期して動作することができる。もちろん、他の実施形態では、伝達部材40と回転軸90の嵌合固定は、さらに係合溝または係合キーの形態によって達成することができる。本発明はこれに限定されず、かつ説明を省略する。
【0034】
上記のように、本発明は、ブレーキパッドの軸方向の位置制限構造により、ブレーキパッドの回転過程における摩耗及び騒音の発生を避ける、回転モータに適用されるブレーキ装置を提供する。軸方向の位置制限構造は、プレート本体、接続部材及び弾性要素を追加することにより実現することができる。プレート本体とブレーキパッドは、接続部材を介して一定の軸方向の高さを維持し、弾性要素は、プレート本体がブレーキパッドを移動させて軸方向に沿って伝達部材に当接させるように、プレート本体と伝達部材との間に弾性力を与える。ブレーキパッドが伝達部材に軸方向に当接して軸方向の拘束を形成するため、伝達部材がブレーキパッドを回転させる時、重力の影響によりブレーキパッドが上下に移動したり、片寄りしたりすることによる摩耗は発生しにくくなるとともに、騒音及び破片の発生も避ける。さらに、ブレーキパッドに対してプレート本体、接続部材及び弾性要素を追加することによって実現された軸方向の位置制限構造と、ベース、上板及びスライド板から構築されたブレーキ構造とは、互いにずれて設置されることができる。プレート本体、接続部材及び弾性要素は、例えばベース中空部に収納されるため、軸方向の位置制限構造の設置は、構造全体の寸法を増加させることがなく、ブレーキ装置の安定性及び製品競争力を効果的に向上させる。
【0035】
本発明は、当業者なら様々な修正を加えることができるが、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0036】
1... ブレーキ装置
10... ベース
11... 駆動モジュール
12... ベース中空部
20... 上板
21... 上板中空部
22... 仕切柱
30... スライド板
31... スライド板中空部
40... 伝達部材
41... 嵌合周縁
42... 位置制限部
421... 上面
422... 下面
43... 貫通穴
44... ロック穴
45... 軸穴
50... ブレーキパッド
51... 嵌合口
52... 第一接続穴
60... 接続部材
61... ロックボルト
62... ブッシング
70... プレート本体
71... プレート本体中空部
72... 第二接続穴
80... 弾性要素
90... 回転軸
C... 軸方向
d... 穴径
D... 管径
H... 軸方向の高さ
T... 厚さ