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特開2023-102763燃料電池用分離板およびこれを含む燃料電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102763
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】燃料電池用分離板およびこれを含む燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20230718BHJP
   H01M 8/0267 20160101ALN20230718BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/0267
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199668
(22)【出願日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0004721
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム スン フィ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒュン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム アァ ラム
(72)【発明者】
【氏名】キム バエ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ヒュン キュ
(72)【発明者】
【氏名】キム チャン ギ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126EE05
5H126JJ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】分離板を通過する流体の冷却効率を向上させることができるように改善された燃料電池用分離板およびこれを含む燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池用分離板は、第1プレート110と、第1プレート110に結合され、流体が流れるチャネル100aを形成する第2プレート120と、流体の流れ方向に沿ってチャネル100a内に離隔配置される複数の突起131,132とを含む。流体がこれら複数の突起131,132に衝突して層流から乱流に流れが変化して熱伝達係数が上昇することにより熱伝達効率を上昇させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プレートと、
前記第1プレートに結合され、流体が流れるチャネルを形成する第2プレートと、
前記流体の流れ方向に沿って前記チャネル内に離隔配置される複数の突起と、を含む燃料電池用分離板。
【請求項2】
前記チャネルは、前記第1プレートの第1面と、前記第1面と対向する前記第2プレートの第2面と、を含み、
前記複数の突起は、
前記第1面上から前記第2面に向かう方向に突出した第1突起と、
前記第2面から前記第1面に向かう方向に突出した第2突起と、を含む、請求項1に記載の燃料電池用分離板。
【請求項3】
前記第1突起および前記第2突起は、それぞれ、
前記流体の流れ方向に沿って長手方向に延伸する形状に設けられた第1突出ボディと、
前記第1突出ボディの前記長手方向に延伸する形状の両端部からラウンド形状に突出する第2突出ボディと、を含む、請求項2に記載の燃料電池用分離板。
【請求項4】
前記第1突起の前記第1突出ボディは、前記第1面から前記第2面に向かってラウンド形状を有するように突出し、
前記第2突起の前記第1突出ボディは、前記第2面から前記第1面に向かってラウンド形状を有するように突出する、請求項3に記載の燃料電池用分離板。
【請求項5】
前記第1突起の前記第1突出ボディは、前記第2面から前記第1面に向かう方向に凹設した第1溝を含み、
前記第2突起の前記第1突出ボディは、前記第1面から前記第2面に向かう方向に凹設した第2溝を含む、請求項4に記載の燃料電池用分離板。
【請求項6】
前記第1溝および前記第2溝は、前記流体の流れ方向に沿って延びる、請求項5に記載の燃料電池用分離板。
【請求項7】
前記第1突起および前記第2突起は、それぞれ、
円柱状を有する、請求項2に記載の燃料電池用分離板。
【請求項8】
前記第1突起および前記第2突起は、それぞれ、前記チャネルの中心に向かって半球状に突出する、請求項2に記載の燃料電池用分離板。
【請求項9】
前記第1突起および前記第2突起は、
前記第1面から前記第2面に向かう方向に互いに重なるように配置された、請求項2に記載の燃料電池用分離板。
【請求項10】
前記第1突起および前記第2突起は、
前記第1面から前記第2面に向かう方向に互いに対向しないように配置された、請求項2に記載の燃料電池用分離板。
【請求項11】
前記チャネルは、前記第1面と前記第2面との間の第3面と、前記第3面と対向する第4面と、をさらに含み、
前記第3面の一部は、前記第1プレートに含まれ、前記第3面の残りの一部は、前記第2プレートに含まれ、
前記第4面の一部は、前記第1プレートに含まれ、前記第4面の残りの一部は、前記第2プレートに含まれ、
前記第1面と前記第3面間の角度は、90°~110°を成す、請求項2に記載の燃料電池用分離板。
【請求項12】
前記複数の突起は、
前記第3面および前記第4面のうちいずれか一方に配置された第3突起と、
前記第3面および前記第4面のうち他方に配置された第4突起と、をさらに含む、請求項11に記載の燃料電池用分離板。
【請求項13】
膜電極接合体と、
前記膜電極接合体の一方側および他方側に配置されるガス拡散層と、
前記ガス拡散層の外側に配置される分離板と、を含み、
前記分離板は、
第1プレートと、
前記第1プレートに結合され、流体が流れるチャネルを形成する第2プレートと、
前記流体の流れ方向に沿って前記チャネル内に離隔配置される複数の突起と、を含む燃料電池。
【請求項14】
前記複数の突起は、フォトリソグラフィ(Photolithography)工程を通じて形成可能である、請求項13に記載の燃料電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用分離板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池(fuel cell)は、燃料と酸化剤の電気化学反応によって電気エネルギーを発生させるエネルギー変換装置であり、燃料が継続的に供給される限り、持続的に発展が可能な長所がある。
【0003】
燃料と酸化剤の電気化学反応を発生させるための触媒が必要である。この際、燃料と酸化剤の化学反応は、発熱反応を起こすので、発熱による燃料電池の損傷を防止するために、冷却水などの冷却流体を用いて燃料電池の作動温度を一定に維持しなければならない。
【0004】
したがって、燃料、酸化剤および冷却流体の供給および排出、化学反応を容易にするために、分離板を用いる。分離板には、燃料用流路、酸化剤用流路および冷却流体用流路が形成されている。
【0005】
しかしながら、従来の燃料電池用分離板は、冷却流体が入口から出口まで流れる過程で分離板に隣接する部分だけで熱伝達が発生する現象があった。そのため、分離板から熱伝達が十分に行われないので、冷却流体(以下「流体」という)を介した冷却効率が低下する問題点がある。
【0006】
また、燃料と酸化剤の化学反応は、発熱反応を起こすので、流体を介した熱伝達が十分に行われない場合、発熱反応による分離板が焼ける現象(Burning)が発生し、燃料電池の作動効率が低下する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述のような問題点を解決するためのものであって、本発明の実施形態による目的は、分離板を通過する流体の冷却効率を向上させることができるように改善された燃料電池用分離板およびこれを含む燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による燃料電池用分離板は、第1プレートと、前記第1プレートに結合され、流体が流れるチャネルを形成する第2プレートと、前記流体の流れ方向に沿って前記チャネル内に離隔配置される複数の突起と、を含む。
【0009】
前記チャネルは、前記第1プレートの第1面と、前記第1面と対向する前記第2プレートの第2面と、を含み、前記複数の突起は、前記第1面上から前記第2面に向かう方向に突出した第1突起と、前記第2面から前記第1面に向かう方向に突出した第2突起と、を含んでもよい。
【0010】
前記第1突起および前記第2突起は、それぞれ、前記流体の流れ方向に沿って長手方向に延伸する形状に設けられた第1突出ボディと、前記第1突出ボディの前記長手方向に延伸する形状の両端部からラウンド形状に突出する第2突出ボディと、を含んでもよい。
【0011】
前記第1突起の前記第1突出ボディは、前記第1面から前記第2面に向かってラウンド形状を有するように突出し、前記第2突起の前記第1突出ボディは、前記第2面から前記第1面に向かってラウンド形状を有するように突出していてもよい。
【0012】
前記第1突起の前記第1突出ボディは、前記第2面から前記第1面に向かう方向に凹設した第1溝を含み、前記第2突起の前記第1突出ボディは、前記第1面から前記第2面に向かう方向に凹設した第2溝を含んでもよい。
【0013】
前記第1溝および前記第2溝は、前記流体の流れ方向に沿って延びてもよい。
【0014】
前記第1突起および前記第2突起は、それぞれ、円柱状を有していてもよい。
【0015】
前記第1突起および前記第2突起は、それぞれ、前記チャネルの中心に向かって半球状に突出していてもよい。
【0016】
前記第1突起および前記第2突起は、前記第1面から前記第2面に向かう方向に互いに重なるように配置されてもよい。
【0017】
前記第1突起および前記第2突起は、前記第1面から前記第2面に向かう方向に互いに対向しないように配置されてもよい。
【0018】
前記チャネルは、前記第1面と前記第2面との間の第3面と、前記第3面と対向する第4面と、をさらに含み、前記第3面の一部は、前記第1プレートに含まれ、前記第3面の残りの一部は、前記第2プレートに含まれ、前記第4面の一部は、前記第1プレートに含まれ、前記第4面の残りの一部は、前記第2プレートに含まれ、前記第1面と前記第3面との間の角度は、90°~110°を成してもよい。
【0019】
前記複数の突起は、前記第3面および前記第4面のうちいずれか一方に配置された第3突起と、前記第3面および前記第4面のうち他方に配置された第4突起と、をさらに含んでもよい。
【0020】
また、本発明の一実施形態による燃料電池は、膜電極接合体と、前記膜電極接合体の一方側および他方側に配置されるガス拡散層と、前記ガス拡散層の外側に配置される分離板と、を含み、前記分離板は、第1プレートと、前記第1プレートに結合され、流体が流れるチャネルを形成する第2プレートと、前記流体の流れ方向に沿って前記チャネル内に離隔配置される複数の突起と、を含む。
【0021】
前記複数の突起は、フォトリソグラフィ(Photolithography)工程を通じて形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によれば、チャネル内部に流れる流体が複数の突起に衝突して層流から乱流に流れが変化して、熱伝達係数が上昇するので、流体による熱伝達効率が上昇することができる。これによって、冷却流体の冷却効率が向上することができる。
【0023】
また、本発明の実施形態によれば、流体の冷却効率が向上して、分離板が焼ける現象が防止されるので、燃料電池の作動効率が上昇することができる。
【0024】
また、本発明の実施形態によれば、冷却流体の冷却効率が向上して、冷却流体の供給量を低減させることができるので、冷却に使用される費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態による燃料電池を概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態による燃料電池用分離板の一部分を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態による燃料電池用分離板の一部分を示す正面図である。
図4】本発明の実施形態による燃料電池用分離板の一部分を示す側面図である。
図5】本発明の実施形態による第1突起を示す拡大図である。
図6】本発明の実施形態による第2突起を示す拡大図である。
図7】本発明の実施形態による第2突起が第1突起と互いに対向しないように配置された様子を示す図である。
図8】本発明の実施形態による第1突起がフォトリソグラフィ工程を通じて第1プレート上に形成される過程を示すフローチャートである。
図9】本発明の他の実施形態による第1突起および第2突起を示す図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態による第1突起および第2突起を示す図である。
図11】本発明のさらに他の実施形態による第1突起および第2突起を示す図である。
図12】本発明のさらに他の実施形態による燃料電池用分離板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができるとところ、特定の実施形態を図面に例示し、説明する。しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解すべきである。
【0027】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内で、第2構成要素は、第1構成要素と命名することができ、同様に、第1構成要素も、第2構成要素と命名することができる。「および/または」という用語は、複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちいずれかの項目を含む。
【0028】
任意の構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、または「接続されて」いると言及されたときには、当該他の構成要素に直接的に連結されているか、または接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解すべきである。一方、任意の構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、または「直接接続されて」いると言及されたときには、中間に他の構成要素が存在しないと理解すべきである。
【0029】
実施形態の説明において、いずれか1つの構成要素が他の構成要素の「上(上方)または下(下方)(on or under)」に形成されるものと記載される場合に、上(上方)または下(下方)(on or under)は、2つの構成要素が互いに直接(directly)接触したり、1つ以上の他の構成要素が前記2つの構成要素の間に配置されて(indirectly)形成されることを全て含む。また、「上(上方)または下(下方)(on or under)」で表現される場合、1つの構成要素を基準として上側方向だけでなく、下側方向の意味も含むことができる。
【0030】
本出願において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されるものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0031】
別途定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解すべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味と解釈しない。
【0032】
以下、添付の図面を参照して実施形態を詳細に説明するが、参照符号に関係なく、同一または対応の構成要素は、同じ参照番号を付与し、これに関する重複する説明は省略することとする。
【0033】
図1は、本発明の実施形態による燃料電池を概略的に示す図であり、図2は、本発明の実施形態による燃料電池用分離板の一部分を概略的に示す斜視図であり、図3は、本発明の実施形態による燃料電池用分離板の一部分を示す正面図であり、図4は、本発明の実施形態による燃料電池用分離板の一部分を示す側面図であり、図5は、本発明の実施形態による第1突起を示す拡大図であり、図6は、本発明の実施形態による第2突起を示す拡大図である。
【0034】
図1図6を参照すると、本発明の実施形態による燃料電池1は、膜電極接合体10、ガス拡散層20および燃料電池用分離板100を含む。燃料電池用分離板100の内部には、チャネル100aが形成されてもよい。
【0035】
本明細書においてX方向は、チャネル100aの長さ方向を意味し、Y方向は、X方向と交差する方向およびチャネル100aの幅方向を意味し、Z方向は、X方向およびY方向と垂直に交差する方向およびチャネル100aの中心から上側または下側に向かう方向を意味する。
【0036】
膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly,MEA10)は、化学的反応によって酸素と水素を電気エネルギーに変換させることができる。膜電極接合体10は、高分子物質で構成された電解質膜を中心に電解質膜の一方側に配置されるアノード電極層と、電解質膜の他方側に配置されるカソード電極層と、を含む。
【0037】
ガス拡散層20は、アノード電極層の酸化反応によって発生した電子をカソード電極層側に伝達することができる。ガス拡散層20は、アノード電極層上およびカソード電極層上に配置されてもよい。
【0038】
さらに図1図6を参照すると、燃料電池用分離板100は、水素、酸素および流体をそれぞれ分離して膜電極接合体10の全面に均一に分配および供給し、電気化学反応によって生成された電流を収集および伝達することができる。また、燃料電池用分離板100は、膜電極接合体10およびガス拡散層20を支持することができる。
【0039】
燃料電池用分離板100は、第1プレート110、第2プレート120および複数の突起130を含む。
【0040】
第1プレート110は、ガス拡散層20と接触することができる。第1プレート110は、一面からZ方向に沿って凹設した複数の凹部110aと、凹部110aと反対になる方向に凸設した複数の凸部110bの組み合わせからなってもよい。
【0041】
第1プレート110は、第1面111を含む。
【0042】
第1面111は、第1プレート110の凹部110aに形成されてもよい。図3に示されたように、第1面111は、前記チャネル100aの中心Cを基準として上側に配置されてもよい。
【0043】
第2プレート120は、第1プレート110と結合されてもよい。第2プレート120は、第1プレート110に対称形状に設けられ得る。第2プレート120は、一面から凹設した複数の凹部120aと、凹部120aと反対になる方向に凸設した複数の凸部120bの組み合わせからなってもよい。
【0044】
第2プレート120は、第2面121を含む。
【0045】
第2面121は、第2プレート120の凹部120aに形成されてもよい。図3に示されたように、第2面121は、前記チャネル100aの中心を基準として下側に配置されてもよい。
【0046】
チャネル100aは、第1プレート110と第2プレート120の結合を通じて形成されてもよい。より詳細には、第1プレート110の凹部110aと第2プレート120の凹部120aが互いに連結されて、チャネルを形成することができる。チャネル100aの内部には、冷却流体F(以下「流体」という)が流れることができる。
【0047】
チャネル100aは、Y方向に沿って配置された複数個の単位チャネル100bが互いに連結されて、一体に形成されてもよい。単位チャネル100bには、流体Fが流れることができる。単位チャネル100bは、X方向に沿って形成されてもよい。
【0048】
複数の突起130は、単位チャネル100bに流入する流体Fの流れ方向に沿って単位チャネル100b内に離隔配置されてもよい。
【0049】
複数の突起130は、第1突起131および第2突起132を含む。
【0050】
図5を参照すると、第1突起131は、第1面111上から第2面121に向かう方向(Z方向)に突出していてもよい。
【0051】
第1突起131は、単位チャネル100bの内部に流れる流体Fと衝突することができる。第1突起131と衝突する流体Fは、その流れが層流(Laminar flow)から乱流(Turbulent flow)に変化して、渦(eddy)が発生することがある。渦によって流体Fは、層流の時よりも、摩擦係数、熱伝達係数および物質伝達係数が大きく増加することができる。これによって、乱流に変化した流体Fは、層流の時よりも、熱伝達効率が上昇し、冷却効率が上昇することができる。
【0052】
第1突起131は、第1突出ボディ131aおよび第2突出ボディ131bを含んでもよい。
【0053】
第1突出ボディ131aは、単位チャネル100bの内部に流れる流体Fの流れ方向X方向に沿って長手方向に延伸する形状に設けられてもよい。第1突出ボディ131aは、第1面111から第2面121に向かってラウンド形状を有するように突出していてもよい。
【0054】
第1突出ボディ131aは、第1溝131a1を含んでもよい。
【0055】
第1溝131a1は、第2面121から第1面111に向かう方向に凹設してもよい。第1溝131a1は、単位チャネル100bの内部に流れる流体Fの流れ方向に沿ってその長さが延びてもよい。第1溝131a1は、第1突出ボディ131aが配置される方向と異なる方向に凹設してもよい。第1溝131a1は、第1突出ボディ131aから第2突出ボディ131bまで延びてもよい。
【0056】
第1突起131に向かって流れる流体Fは、第1溝131a1に衝突して、その流れが層流から乱流に変化することができる。第1溝131a1に衝突した流体Fは、第1溝131a1の形状に沿って流れ、第1突起131の外部に流れることができる。
【0057】
第2突出ボディ131bは、第1突出ボディ131aの長手方向に延伸する形状の両端部からラウンド形状に突出する。これによって、第2突出ボディ131bが直角形状であるときに比べて、流体Fが衝突して流れ方向の逆方向に流動する割合が減少することができる。
【0058】
単位チャネル100bの内部に流れる流体Fは、第2突出ボディ131bに衝突して、その流れが層流から乱流に変化することができる。第2突出ボディ131bに衝突した流体Fは、第2突出ボディ131bから第1突出ボディ131aにガイドされて流れることができる。
【0059】
図6を参照すると、第2突起132は、第2面121上から第1面111に向かう方向(Z方向)に突出していてもよい。また、第2突起132は、第1突起131と対向するように配置されてもよく、第1突起131と対称の形状を有していてもよい。これによって、第1突起131および第2突起132は、第1面111から第2面121に向かう方向に互いに重なるように配置されてもよい。
【0060】
単位チャネル100bの内部に流れる流体Fは、複数個が離隔配置された第1突起131または第2突起132に規則的に衝突することができる。したがって、流体Fの乱流変化が規則的に発生することができる。
【0061】
第2突起132は、単位チャネル100bの内部に流れる流体Fと衝突することができる。第2突起132と衝突する流体Fは、その流れが層流(Laminar flow)から乱流(Turbulent flow)に変化して、渦(eddy)が発生することがある。渦によって流体Fは、層流の時よりも、摩擦係数、熱伝達係数および物質伝達係数が大きく増加することができる。これによって、乱流に変化した流体Fは、層流の時よりも、熱伝達効率が上昇し、冷却効率が上昇することができる。
【0062】
第2突起132は、第1突出ボディ132aおよび第2突出ボディ132bを含んでもよい。
【0063】
第1突出ボディ132aは、単位チャネル100bの内部に流れる流体Fの流れ方向(X方向)に沿って長手方向に延伸する形状に設けられてもよい。第1突出ボディ132aは、第2面121から第1面111に向かってラウンド形状を有するように突出していてもよい。
【0064】
第1突出ボディ132aは、第2溝132a1を含んでもよい。
【0065】
第2溝132a1は、第1面111から第2面121に向かう方向に凹設する。第1溝132a1は、単位チャネル100bの内部に流れる流体Fの流れ方向に沿ってその長さが延びる。第2溝132a1は、第1突出ボディ132aが配置される方向と異なる方向に凹設する。第2溝132a1は、第1突出ボディ132aから第2突出ボディ132bまで延びてもよい。
【0066】
第2突起132に向かって流れる流体Fは、第2溝132a1に衝突して、その流れが層流から乱流に変化することができる。第2溝132a1に衝突した流体Fは、第2溝132a1の形状に沿って流れ、第2突起132の外部に流れることができる。
【0067】
第2突出ボディ132bは、第1突出ボディ132aの長手方向に延伸する形状の両端部からラウンド形状に突出する。単位チャネル100bの内部に流れる流体Fは、第2突出ボディ132bに衝突して、その流れが層流から乱流に変化することができる。第2突出ボディ132bに衝突した流体Fは、第2突出ボディ132bから第1突出ボディ132aにガイドされて流れることができる。
【0068】
本実施形態では、第1突起131が第1面111に配置され、第2突起132が第2面121に配置されることを例示したが、これに限定されない。第1突起131は、第2面121に配置されてもよく、第2突起132は、第1面111に配置されてもよい。
【0069】
図7は、本発明の実施形態による第2突起が第1突起と互いに対向しないように配置された様子を示す図である。
【0070】
図7を参照すると、第1突起131と第2突起132は、第1面111から第2面121に向かう方向に互いに対向しないように配置されてもよい。
【0071】
例えば、複数の第1突起131が第1面111に離隔配置されると、複数の第2突起132は、第2面121上で2つの第1突起131の間に配置されてもよい。
【0072】
反対に、複数の第2突起132が第2面121に離隔配置されると、複数の第1突起131は、第1面111上で2つの第2突起132の間に配置されてもよい。
【0073】
これによって、単位チャネル100bの内部に流れる流体Fは、第1突起131または第2突起132に不規則的に衝突することができる。したがって、流体Fの乱流の変化が不規則的に発生することができる。
【0074】
図8は、本発明の実施形態による第1突起がフォトリソグラフィ工程を通じて第1プレート上に形成される過程を示すフローチャートである。
【0075】
図8を参照すると、複数の突起130は、下記のフォトリソグラフィ工程を通じて形成されてもよい。本実施形態では、第1突起131が第1プレート110上に形成される過程について説明する。
【0076】
第1突起131は、第1プレートを洗浄する段階S100、第1プレート上に蒸着物質を塗布する段階S200、蒸着物質上にフォトレジストを塗布し、フォトレジスト層を形成する段階S300、フォトレジスト層上にマスクおよび光源を配置する段階S400、光源を通じてフォトレジスト層に露出領域と非露出領域を形成させる段階S500、非露出領域を除去する段階S600を通じて第1プレート上に形成されてもよい。
【0077】
第1プレートを洗浄する段階S100は、第1プレート110の表面に含まれた不純物またはパーティクルなどを除去するように洗浄する過程を含んでもよい。
【0078】
蒸着物質上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト層を形成する段階S300で、フォトレジストは、スピンコーティング(Spin coating)工法を通じて塗布することができる。また、フォトレジスト層が形成された後には、ソフトベーク(Soft bake)過程を通じてフォトレジストに残留するソルベントを除去することができる。
【0079】
フォトレジスト層上にマスクおよび光源を配置する段階S400で、マスクは、フォトレジスト層の上側に配置され、光源は、マスクの上側に配置されてもよい。マスクは、一部分が空いている形状が繰り返し配置されるパターンを有していてもよい。前記パターンは、第1突起131の外周面形状に対応する形状を有していてもよい。
【0080】
光源を通じてフォトレジスト層に光を透過させて露出領域と非露出領域を形成させる段階S500では、光源から発散する光がマスクの空いている部分に通過することができる。マスクの空いている部分の形状に沿って光が透過すると、フォトレジスト層には、一定の形状を有する露出領域が形成される。反対に、フォトレジスト層において光が透過しない部分は、非露出領域として残ることとなる。
【0081】
非露出領域を除去する段階S600は、現像液などの液体を通じて非露出領域を洗浄する過程を含んでもよい。この過程を通じてフォトレジスト層が完全に除去され、露出領域だけが残ることとなる。また、液体を通じて非露出領域を洗浄した後、ハードベーク(Hard bake)過程を通じてフォトレジスト層に残留するソルベントをさらに除去することができる。
【0082】
前記の過程を通じて形成された第1突起131は、微細なサイズで形成されてもよい。また、X方向に沿って複数の第1突起131が複数のパターンを有するマスクによって一度に形成することができるので、製作に所要する時間を短縮することができる。
【0083】
本実施形態では、フォトリソグラフィ工程を通じて第1突起131が第1プレート110上に配置されることを例示したが、これに限定されるものではない。第2突起132も、フォトリソグラフィ工程を通じて第2プレート120に形成されてもよい。
【0084】
図9は、本発明の他の実施形態による第1突起および第2突起を示す図であり、図10および図11は、本発明のさらに他の実施形態による第1突起および第2突起を示す図である。
【0085】
図9を参照すると、第1突起131および第2突起132は、それぞれ、円柱状を有していてもよい。
【0086】
円柱状の第1突起131および第2突起132は、流体Fの流れ方向に沿って図1図7による長手方向に延伸する形状の第1突起131および第2突起132に比べて短い長さを有していてもよい。また、第1突起131および第2突起132は、図1図7による長手方向に延伸する形状の第1突起131および第2突起132に比べてさらに多い個数がチャネル100a内に配置されてもよい。したがって、乱流が形成される周期が、図1図7による長手方向に延伸する形状の第1突起131および第2突起132に比べてさらに短くなり得る。
【0087】
図示してはいないが、単位チャネル100bには、それぞれ図1図7による突起と図9による突起が配置されてもよい。
【0088】
例えば、第1面111に図1図7による突起が配置され、第2面121に図9による突起が配置されてもよい。また、第1面111に図9による突起が配置され、第2面121に図1図7による突起が配置されてもよい。
【0089】
図10を参照すると、第1突起131および第2突起132は、それぞれチャネル100aの中心に向かって半球状に突出していてもよい。
【0090】
半球状に突出する第1突起131および第2突起132は、図1図7による長手方向に延伸する形状の第1突起131および第2突起132に比べて短い長さを有していてもよい。また、第1突起131および第2突起132は、図1図7による長手方向に延伸する形状の第1突起131および第2突起132に比べてさらに多い個数がチャネル100a内に配置されてもよい。したがって、乱流が形成される周期が、図1図7による長手方向に延伸する形状の第1突起131および第2突起132に比べてさらに短くなり得る。
【0091】
図示してはいないが、単位チャネル100bには、それぞれ図1図7による突起と図10による突起が配置されてもよい。
【0092】
例えば、第1面111に図1図7による突起が配置され、第2面121に図10による突起が配置されてもよい。また、第1面111に図10による突起が配置され、第2面121に図1図7による突起が配置されてもよい。
【0093】
図11を参照すると、第1突起131および第2突起132は、流体Fの流れ方向(X方向)に沿って長手方向に延伸する形状を有していてもよい。長手方向に延伸する形状を有する第1突起131および第2突起132は、図1図7による長手方向に延伸する形状の第1突起131および第2突起132に比べて乱流を迅速に流体Fの流れ方向にガイドすることができる。
【0094】
図示してはいないが、単位チャネル100bには、それぞれ図1図7による突起と図11による突起が配置されてもよい。
【0095】
例えば、第1面111に図1図7による突起が配置され、第2面121に図11による突起が配置されてもよい。また、第1面111に図11による突起が配置され、第2面121に図1図7による突起が配置されてもよい。
【0096】
図12は、本発明のさらに他の実施形態による燃料電池用分離板を示す図である。
【0097】
図12を参照すると、本発明のさらに他の実施形態による燃料電池用分離板200は、第3面112、122および第4面113、123をさらに含んでもよい。
【0098】
第3面112、122は、第1プレート110と第2プレート120の結合によって形成されたチャネル100aに配置されてもよい。
【0099】
第1プレート110と第2プレート120が結合されると、第3面112、122は、第1面111と第2面121の一方側にそれぞれ配置されてもよい。
【0100】
第3面112、122は、第1面111および第2面121にそれぞれ第1角度θ1を成してもよい。第1角度θ1は、90°~110°の間であってもよい。好ましくは、第1角度θ1は、90°~100°の間であってもよい。より好ましくは、第1角度θ1は、90°~95°の間であってもよい。
【0101】
これは、第3面112、122と第1面111および第2面121とが成す角度が、第1角度θ1を超過するときよりも、単位チャネル100bの面積が狭くなることを意味する。
【0102】
したがって、ベンチュリー効果によって第3面112、122と第1面111および第2面121とが成す角度が、第1角度θ1を超過するときよりも、単位チャネル100bの内部の圧力が低くなって、流体Fの流動速度が上昇するので、冷却に所要する時間を短縮することができる。
【0103】
また、第4面113、123は、第1プレート110と第2プレート120の結合によって形成されたチャネル100aに配置されてもよい。
【0104】
第1プレート110と第2プレート120が結合されると、第4面113、123は、第1面111と第2面121の他方側に配置されてもよい。第4面113、123は、第3面112、122と対向するように配置されてもよい。
【0105】
第4面113、123は、第1面111および第2面121にそれぞれ第2角度θ2を成してもよい。第2角度θ2は、90°~110°の間であってもよい。好ましくは、第2角度θ2は、90°~100°の間であってもよい。より好ましくは、第2角度θ2は、90°~95°の間であってもよい。
【0106】
これは、第4面113、123と第1面111および第2面121とが成す角度が、第2角度θ2を超過するときよりも、単位チャネル100bの面積が狭くなることを意味する。
【0107】
したがって、ベンチュリー効果によって第4面113、123と第1面111および第2面121とが成す角度が、第2角度θ2を超過するときよりも、単位チャネル100b内部の圧力が低くなって、流体Fの流動速度が上昇するので、冷却に所要する時間を短縮することができる。
【0108】
また、本発明のさらに他の実施形態による燃料電池用分離板200は、第3突起133および第4突起134をさらに含んでもよい。第3突起133および第4突起134は、図1図7に示された第1突起131および第2突起132と同じ形状を有していてもよい。また、第3突起133および第4突起134は、図9図11のうちいずれか1つに示された第1突起131および第2突起132と同じ形状を有していてもよい。
【0109】
第3突起133および第4突起134は、第3面112、122および第4面113、123にそれぞれ配置されてもよい。
【0110】
例えば、第3面112、122に第3突起133が配置され、第4面113、123に第4突起134が配置されてもよい。また、図示してはいないが、第4面113、123に第3突起133が配置され、第3面112、122に第4突起134が配置されてもよい。第3突起133と第4突起134は、それぞれ対向するように配置されてもよい。
【0111】
また、図示してはいないが、第3突起133および第4突起134は、互いに対向しないように配置されてもよい。
【0112】
例えば、第3突起133が第1プレート110に含まれた第3面112に配置され、第4突起134が第2プレート120に含まれた第4面123に配置されてもよい。また、第3突起133が第2プレート120に含まれた第3面122に配置され、第4突起134が第1プレート110に含まれた第4面113に配置されてもよい。
【0113】
また、第3突起133が第1プレート110に含まれた第4面113に配置され、第4突起134が第2プレート120に含まれた第3面122に配置されてもよい。また、第3突起133が第2プレート120に含まれた第4面123に配置され、第4突起134が第1プレート110に含まれた第3面112に配置されてもよい。
【0114】
これによって、第3突起133または第4突起134のうちいずれか1つが損傷する場合、損傷した突起が含まれたプレートだけを交換することができるので、交換および修理に所要する時間を短縮することができる。
【0115】
以上、本発明の実施形態を参照して説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域を逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができる。また、このような修正と変更に関連した差異点を添付の請求範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解すべきである。
【符号の説明】
【0116】
1 燃料電池
10 膜電極接合体
20 ガス拡散層
100、200 燃料電池用分離板
100a チャネル
100b 単位チャネル
110 第1プレート
120 第2プレート
130 複数の突起
131 第1突起
132 第2突起
F 流体(矢印で表示)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12