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特開2023-102770ナノ電界エミッタを用いたマイクロフォーカスX線管
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102770
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ナノ電界エミッタを用いたマイクロフォーカスX線管
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/16 20060101AFI20230718BHJP
   H01J 35/18 20060101ALI20230718BHJP
   H01J 35/06 20060101ALI20230718BHJP
   H01J 35/08 20060101ALI20230718BHJP
   H05G 1/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H01J35/16
H01J35/18
H01J35/06 B
H01J35/08 C
H05G1/00 R
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212648
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0004632
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0128048
(32)【優先日】2022-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】596180076
【氏名又は名称】韓國電子通信研究院
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】218,Gajeong-ro Yuseong-gu Daejeon 34129,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジン-ウ
【テーマコード(参考)】
4C092
【Fターム(参考)】
4C092AA01
4C092AB27
4C092AC08
4C092BD05
4C092BD19
4C092BE02
(57)【要約】
【課題】本発明はマイクロフォーカスX線管を開示する。
【解決手段】マイクロフォーカスX線管は、優れた特性のナノ電界エミッタを用いて排気管のない金属及びセラミックが積層された接合構造を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォーカスX線管であって、
金属材質のヘッド部と、
前記ヘッド部の一面と高温接合されるセラミック絶縁管と、
前記ヘッド部の側面と接合されてナノ電界エミッタが備えられた電子銃と、
高温接合された前記ヘッド部と前記セラミック絶縁管によって形成された内部空間に設けられるアノードと、
前記ノードに装着された板状のターゲットと、
を含むマイクロフォーカスX線管。
【請求項2】
前記ヘッド部は、
シート状のウィンドウと接地され、
前記シート状のウィンドウは、前記電子銃から放出された電子ビームによって発生したX線をマイクロフォーカスX線管の外部に放出させる、請求項1に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項3】
前記ヘッド部は、前記ヘッド部の一面に陰刻溝を含む挿入管構造に形成され、
前記挿入管構造は、前記セラミック絶縁管の内部に挿入されて絶縁管整列ガイドにより前記セラミック絶縁管と離隔配置される、請求項1に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項4】
前記ヘッド部は、電子銃の接合リングを介して前記電子銃の絶縁セラミックと接合され、
前記電子銃は、前記ヘッド部の側面に形成された電子銃ガイドにより前記電子銃の位置が整列される、請求項1に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項5】
前記セラミック絶縁管は、
アノード連結リングを介してアノードと接合され、
前記ノード連結リングに形成された絶縁管ガイドにより前記セラミック絶縁管の位置が整列される、請求項1に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項6】
前記電子銃は、
前記ナノ電界エミッタが形成されたカソード板が結合されたカソード電極と、
ゲート板が結合されたゲート電極と、
フォーカス板が結合されたフォーカス電極と、
を含む、請求項1に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項7】
前記ゲート板は、前記ナノ電界エミッタから電子を引き出すゲート開口が形成され、
前記フォーカス板は、前記電子を加速して放出された電子ビームを集束するフォーカス開口が形成される、請求項6に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項8】
前記ターゲットは、前記ノードと真空ろう材によって接合され、
前記ノードは、前記ターゲットの面積よりも接合面積が狭くなるように陰刻溝が形成される、請求項1に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項9】
マイクロフォーカスX線管であって、
ナノ電界エミッタが備えられた電子銃と接合されるヘッド部と、
前記ヘッド部と高温接合されるセラミック絶縁管と、
前記セラミック絶縁管と接合されて板状のターゲットが装着されたアノードと、
を含むマイクロフォーカスX線管。
【請求項10】
前記ヘッド部は、
電子銃から放出された電子ビームを外部に放出させるウィンドウと、
前記ヘッド部とウィンドウを接地する過程でのろう材を最小化するための拡散防止溝と、
前記拡散防止溝に沿って配置されるリング蓋と、
を含む、請求項9に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項11】
前記ヘッド部は、前記セラミック絶縁管の内部に前記ヘッド部の一部領域が挿入される挿入管構造に形成される、請求項9に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項12】
前記ヘッド部は、
前記ヘッド部の側面に電子銃の接合リングを介して前記電子銃の絶縁セラミックと接合され、
前記ヘッド部の側面に形成された電子銃ガイドにより前記電子銃の位置が整列される、請求項9に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項13】
前記セラミック絶縁管は、
アノード連結リングを介してアノードと接合され、
前記ノード連結リングに形成された絶縁管ガイドにより前記セラミック絶縁管の位置が整列される、請求項9に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項14】
前記電子銃は、
前記ナノ電界エミッタが形成されたカソード板が結合されたカソード電極と、
ゲート板が結合されたゲート電極と、
フォーカス板が結合されたフォーカス電極と、
を含む、請求項9に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項15】
前記ゲート板は、前記ナノ電界エミッタから電子を引き出すゲート開口が形成され、
前記フォーカス板は、前記電子を加速して放出された電子ビームを集束するフォーカス開口が形成される、請求項14に記載のマイクロフォーカスX線管。
【請求項16】
前記ノードは、前記ターゲットの面積よりも接合面積が狭くなるように形成された陰刻溝によって前記ターゲットが装着される、請求項9に記載のマイクロフォーカスX線管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロフォーカスX線管に関し、より詳しくは、異種物質が接合された構造を有するマイクロフォーカスX線管に関する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線映像撮影方法は、微細構造の素子、部品の破壊なしに精密に検査する撮影方法である。X線映像撮影方法は、極めて小さいサイズで集束されている電子ビームが金属アノードターゲットにぶつかるときに発生する制動放射X線を使用する。ここで、内部の微細構造を観察するためには、素子、部品を通過したX線の影映像を拡大して取得しなければならず、デジタルX線映像検出器(Digital X-ray Image Detector)を使用する場合、ピクセルサイズの縮小の限界により適切な映像拡大の過程が必要である。
【0003】
言い換えれば、X線映像撮影方法は、デジタルX線映像検出器とX線源との間に距離が遠ざかるほど影映像の拡大が可能であるものの、これはX線量が距離の二乗に反比例して減少する問題がある。したがって、映像の拡大率とX線量を取得するためには、被写体をX線源、すなわち、アノードターゲットの電子ビーム集束点に隣接して位置させるほど有利である。
【0004】
但し、アノードターゲットは、電子ビームが放出されるカソード電極よりも相対的に数十から数百kV高いため、カソードが接地である場合、アノード電極が高電圧になることから被写体をアノードターゲットに接近させることが絶縁などの問題で困難となる。したがって、アノード電極を接地する負電源カソード構造やアノードが正電源でも被写体が接する箇所は、接地されたウィンドウ構造が必要である。このような構造を有するX線管は、図1に示す。
【0005】
詳細に、従来のX線管は両電源アノードと接地されたウィンドウ構造を有し、ガラス管と金属電極の接合により真空容器を作り、排気管を用いて内部の気体を排気してから密封形成する。ここで、金属ヘッド部は、ガラスバルブに融着された金属リングと結合し、電子銃の各電極もガラスと融着したステム構造を介して外部と連結される構造を有する。ここで、ナノ電界エミッタを電子銃の電子源として使用する場合、ガラス管の絶縁構造の排気管方式で真空X線管を製造すれば、良質の特性を取得することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、セラミック絶縁体と金属電極を積層する方式で実現されるナノ電界エミッタを有するマイクロフォーカスX線管の構造を提供する。
【0007】
本発明は、セラミック絶縁体を用いて排気管なしに直接的に真空ブレージングを介して高温接合されるマイクロフォーカスX線管の構造を提供する。
【0008】
本発明は、マイクロフォーカスX線のヘッド部に接地されたウィンドウの電極と正極アノードを用いて、X線が発生されるターゲットの位置と被写体との間に距離を最小化できるマイクロフォーカスX線管の構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係るマイクロフォーカスX線管は、金属材質のヘッド部と、前記ヘッド部の一面と高温接合されるセラミック絶縁管と、前記ヘッド部の側面と接合されてナノ電界エミッタが備えられた電子銃と、高温接合された前記ヘッド部と前記セラミック絶縁管によって形成された内部空間に設けられるアノードと、前記ノードに装着された板状のターゲットとを含む。
【0010】
本発明の一実施形態に係るヘッド部は、薄い板(シート)状のウィンドウと接地され、前記シート状のウィンドウは、前記電子銃から放出された電子ビームによって発生したX線をマイクロフォーカスX線管の外部に放出させることができる。
【0011】
本発明の一実施形態に係るヘッド部は、前記ヘッド部の一面に陰刻溝を含む挿入管構造に形成され、前記挿入管構造は、前記セラミック絶縁管の内部に挿入されて絶縁管整列ガイドにより前記セラミック絶縁管と離隔配置されることができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係るヘッド部は、電子銃の接合リングを介して前記電子銃の絶縁セラミックと接合され、前記電子銃は、前記ヘッド部の側面に形成された電子銃ガイドにより前記電子銃の位置が整列されることができる。
【0013】
本発明の一実施形態に係るセラミック絶縁管は、アノード連結リングを介してアノードと接合され、前記ノード連結リングに形成された絶縁管ガイドにより前記セラミック絶縁管の位置が整列されることができる。
【0014】
本発明の一実施形態に係る電子銃は、前記ナノ電界エミッタが形成されたカソード板が結合されたカソード電極と、ゲート板が結合されたゲート電極と、フォーカス板が結合されたフォーカス電極とを含むことができる。
【0015】
本発明の一実施形態に係るゲート板は、前記ナノ電界エミッタから電子を引き出すゲート開口が形成され、前記フォーカス板は、前記電子を加速して放出された電子ビームを集束するフォーカス開口が形成されることができる。
【0016】
本発明の一実施形態に係るターゲットは、前記ノードと真空ろう材によって接合され、前記ノードは、前記ターゲットの面積よりも接合面積が狭くなるように陰刻溝が形成されることができる。
【0017】
本発明の一実施形態に係るマイクロフォーカスX線管は、ナノ電界エミッタが備えられた電子銃と接合されるヘッド部と、前記ヘッド部と高温接合されるセラミック絶縁管と、前記セラミック絶縁管と接合されて板状のターゲットが装着されたアノードとを含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係るヘッド部は、電子銃から放出された電子ビームを外部に放出させるウィンドウと、前記ヘッド部とウィンドウを接地する過程でのろう材を最小化するための拡散防止溝と、前記拡散防止溝に沿って配置されるリング蓋とを含むことができる。
【0019】
本発明の一実施形態に係るヘッド部は、前記セラミック絶縁管の内部に前記ヘッド部の一部領域が挿入される挿入管構造に形成されることができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係るヘッド部は、前記ヘッド部の側面に電子銃の接合リングを介して前記電子銃の絶縁セラミックと接合され、前記ヘッド部の側面に形成された電子銃ガイドにより前記電子銃の位置が整列されることができる。
【0021】
本発明の一実施形態に係るセラミック絶縁管は、アノード連結リングを介してアノードと接合され、前記ノード連結リングに形成された絶縁管ガイドにより前記セラミック絶縁管の位置が整列されることができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る電子銃は、前記ナノ電界エミッタが形成されたカソード板が結合されたカソード電極と、ゲート板が結合されたゲート電極と、フォーカス板が結合されたフォーカス電極とを含むことができる。
【0023】
本発明の一実施形態に係るゲート板は、前記ナノ電界エミッタから電子を引き出すゲート開口が形成され、前記フォーカス板は、前記電子を加速して放出された電子ビームを集束するフォーカス開口が形成されることができる。
【0024】
本発明の一実施形態に係るノードは、前記ターゲットの面積よりも接合面積が狭くなるように形成された陰刻溝によって前記ターゲットが装着されることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態によると、マイクロフォーカスX線管は、セラミック絶縁体と金属電極を積層する方式で実現されるナノ電界エミッタを有することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によると、マイクロフォーカスX線管は、セラミック絶縁体を用いて排気管なしに直接的に真空ブレージングを介して高温接合されることができる。
【0027】
本発明の一実施形態によると、マイクロフォーカスX線管は、マイクロフォーカスX線のヘッド部に接地されたウィンドウの電極と正極アノードを用いてX線が発生するターゲットの位置と被写体との間に距離を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態に係るマイクロフォーカスX線管を示す図である。
図2A】一実施形態に係るマイクロフォーカスX線管の部位ごとの電圧を示す図である。
図2B】一実施形態に係るマイクロフォーカスX線管の接合構造を示す図である。
図2C】一実施形態に係る電子銃を示す図である。
図2D】一実施形態に係るアノード及びターゲットを示す図である。
図3A】一実施形態に係るヘッド部を示す図である。
図3B】一実施形態に係るヘッド部及び電子銃を示す図である。
図3C】一実施形態に係るヘッド部を拡大した図である。
図4A】一実施形態に係るセラミック絶縁管の下段のアノード連結リングを示す図である。
図4B】一実施形態に係るセラミック絶縁管の下段の接合構造を示す図である。
図5】一実施形態に係る電子銃の細部構成を示す図である。
図6】一実施形態に係るアノード及びターゲットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1は、一実施形態に係るマイクロフォーカスX線管を示す図である。
【0031】
図1を参照すると、マイクロフォーカスX線管100は、アノード150、ヘッド部160及びセラミック絶縁管180で構成されている。
【0032】
詳細に、ヘッド部160は金属材質で構成され、ヘッド部160の一面にシート状のウィンドウ161と接合されることができる。一例として、シート状は薄い板であってもよい。ここで、ヘッド部160は、ウィンドウ161とのヘッド部160のブレージング接合収率を高めるために、リング状のシート蓋162と共に接合されてもよい。ヘッド部160は、ヘッド部160の側面にナノ電界エミッタ123が備えられた電子銃110が接合される。ここで、ウィンドウ161は、電子銃110から放出された電子ビーム111によって発生したX線200をマイクロフォーカスX線管100の外部に放出させる役割を行う。
【0033】
ヘッド部160は、ヘッド部160の他の一面にセラミック絶縁管180が高温接合されることができる。セラミック絶縁管180は、アノード連結リング152を介してアノード150と接合される。セラミック絶縁管180は、アノード連結リング152に形成された絶縁管ガイドによりマイクロフォーカスX線管100を形成しているセラミック絶縁管180の位置が整列される。セラミック絶縁管180の内径とアノード連結リング152の外径は、熱膨張係数の差、加工誤差などを考慮して離隔されてもよく、離隔される距離は半径基準0.2mm以下であってもよい。ここで、アノード150は、高温接合されたヘッド部160とセラミック絶縁管180により形成された内部空間の中央に配置されてもよい。
【0034】
アノード150は、耐電圧を確保するために一定の地点を基準にしてアノード150の幅が狭くなるボトルネック構造に実現され得る。アノード150は、内部空間内のセラミック絶縁管180と一定の間隔に離隔した状態であってもよい。アノード150のヘッド部は、板状のターゲット151が配置される。アノード150のヘッド部は、特定の角度に傾いて形成されてもよい。ターゲット151は、アノード150のヘッド部が有する特定の角度に応じて、ブレージング接合されて配置されることができる。
【0035】
また、電子銃110から放出された電子ビーム111は、アノード150に印加された電圧によって加速され、ターゲット151に達した電子ビーム111から発生するX線200は、ヘッド部160のウィンドウ161を介してマイクロフォーカスX線管100の外部に放出されることができる。
【0036】
図2A図2Dは、一実施形態に係るマイクロフォーカスX線管の接合構造を示す図である。
【0037】
図2A図2Dを参照すると、マイクロフォーカスX線管100は、真空排気のための別途の排気管を設置せず、真空の雰囲気で各部品のブレージング接合時に真空密封管に製造されている。また、セラミック絶縁管180と金属材質のヘッド部160との間の熱膨張係数の差による応力を最小化するために、各接合部は、特徴的な接合構造を有し得る。
【0038】
詳細に、マイクロフォーカスX線管100は、セラミック絶縁管180のセラミック材質とヘッド部160の金属材質で異種物質が高温接合する構造を有してもよい。マイクロフォーカスX線管100は、ヘッド部160の側面に大口径が形成され、側面に形成されている大口径を介して電子銃120が接合する構造を有する。
【0039】
また、マイクロフォーカスX線管100は、マイクロフォーカスX線管100の内部に高電圧の正極アノードが配置され、ヘッド部160の側面及び上面にそれぞれ接地負極カソード120とウィンドウ161が配置される構造を有してもよい。バイポーラ電源駆動の場合、アノードは正電圧が印加され、ウィンドウ161及びカソードは負電圧が印加されてもよい。
【0040】
したがって、本発明は、優れた特性のナノ電界エミッタ基盤のX線管を製造するために、セラミック絶縁構造で排気管なしに直接真空ブレージングする方法を活用することで、より向上したマイクロフォーカスX線管100を提供することができる。
【0041】
図3A図3Cは、一実施形態に係るヘッド部及び電子銃を示す図である。
【0042】
図3A図3Cを参照すると、ヘッド部160は、ヘッド部160の側面にナノ電界エミッタを備える電子銃110が配置されている。ヘッド部160の電子銃の接合リング169は、電子銃110の絶縁セラミック管141とブレージング接合されてもよい。電子銃110は、ヘッド部160に形成されている電子銃の整列ガイド170によりヘッド部160に整列されてもよい。電子銃110は、外部電源装置(図示せず)と接続されるカソード電極120、ゲート電極130、及びフォーカス電極140を含む。また、カソード電極120、ゲート電極130、及びフォーカス電極140のそれぞれは、絶縁セラミック管121、131、141によって絶縁されて接合されることができる。電子銃110は、図5を参照してより詳しく説明する。
【0043】
ヘッド部160は、ヘッド部160の一面にウィンドウ161が接地されることができる。ヘッド部160は、ウィンドウ161と関連して拡散防止溝166、リング蓋162をさらに含んでもよい。ウィンドウ161は、電子銃110から放出された電子ビームを外部に放出させることができる。一例として、ウィンドウ161は、ベリリウム(Beryllium)又は、厚さ50um以下の薄い金属であって、例えば、銅材質から形成されてもよい。
【0044】
ヘッド部160は、ヘッド部160とウィンドウ161が接地される過程において、ろう材を最小化するための拡散防止溝166が形成される。拡散防止溝166は、ヘッド部160に凹んだリング状に長く凹んだ列である。拡散防止溝166は、少なくとも1つの互いに異なる直径をもってヘッド部160に形成されてもよい。リング蓋162は、拡散防止溝166に沿ってヘッド部160に配置される。
【0045】
拡散防止溝166及びリング蓋162は、ろう材の接合表面拡散程度を調整して接合収率を上昇することができる。
【0046】
ヘッド部160は、セラミック絶縁管180と接合されるとき、ヘッド部160に形成された絶縁管接合リング167とブレージング接合されてもよい。ヘッド部160は、絶縁管整列ガイド168によってヘッド部160とセラミック絶縁管180の整列が行われる。ヘッド部160は、陰刻溝163を含む挿入管構造164が形成される。セラミック絶縁管180の内径とヘッド部160の外径は、熱膨張係数の差、加工誤差などを考慮して離隔されてもよく、その距離は、半径基準0.2mm以下であってもよい。
【0047】
また、本発明で提案する異種物質が接合されるヘッド部160の電子銃の接合リング169及びヘッド部160の絶縁管接合リング167を形成する厚さ及び長さは、0.5mm、1.5mmであってもよい。
【0048】
挿入管構造164は、セラミック絶縁管180の内部に挿入され、陰刻溝163によりセラミック絶縁管180と離隔配置される形態である。一例として、挿入管構造164は、帯状の非揮発性ゲッター(図示せず)が装着され得る陰刻溝163を形成することができる。
【0049】
ヘッド部160とセラミック絶縁管180との間には、陰刻溝163による離隔空間165が形成されることができる。一例として、ヘッド部160は、セラミック絶縁管180の内側に挿入される挿入管構造164が存在し、絶縁管整列ガイド168によってセラミック絶縁管180に届かない離隔空間165が形成されてもよい。
【0050】
図4A図4Bは、一実施形態に係るアノード、セラミック絶縁管、及びアノード連結リングを示した図である。
【0051】
図4A図4Bを参照すると、アノード150、セラミック絶縁管180、及びアノード連結リング152の間の接合構造を示す。詳細に、アノード150は、熱伝導性の優れた銅などの材質から製造されてもよい。アノード150は、熱膨張係数の差を克服するためにコバールなどの材質からなるアノード連結リング152を用いてもよい。
【0052】
アノード150とセラミック絶縁管180それぞれの接合部は、薄い接合リング構造153、156、157を有するアノード連結リング152を活用することで、熱膨張係数の差による応力を最小化することができる。
【0053】
アノード150とアノード連結リング152は接合点155でブレージング接合され、セラミック絶縁管180は、アノード連結リング152の接合リング構造153によって接合されて絶縁管ガイド154によって位置整列されることができる。
【0054】
図5は、一実施形態に係る電子銃の細部構成を示す図である。
【0055】
図5を参照すると、電子銃110は、ナノ電界エミッタ123が形成されたカソード板122、ゲート板132、及びフォーカス板142を含む。ここで、カソード板122はカソード電極が結合され、ゲート板132はゲート電極130が結合され、フォーカス板142はフォーカス電極が結合されている。
【0056】
また、ゲート板132は、ナノ電界エミッタ123から電子を引き出すようにゲート開口133が形成されてもよい。フォーカス板142は、電子を加速して放出された電子ビーム111を集束できるようにフォーカス開口143を形成することができる。
【0057】
カソード板122、ゲート板132、及びフォーカス板142は、それぞれカソード電極120、ゲート電極130、及びフォーカス電極140に電気的に連結接合されており、カソード電極120、ゲート電極130、フォーカス電極140及びヘッド部160は、各絶縁セラミック管121、131、141によって絶縁されて接合されてもよい。
【0058】
3つの各電極は、外部電源装置と接続され得る。ナノ電界エミッタ123の大きさと共に、カソード板122、ゲート板132、フォーカス板142、及びヘッド部160の間の距離とゲート開口133、フォーカス開口143、及びヘッド部開口171の大きさは、最適な電子ビーム111に集束のために最適化されることができる。
【0059】
図6は、一実施形態に係るアノード及びターゲットを示す図である。
【0060】
図6を参照すると、アノード150と板状のターゲット151は様々な方法で接合されてもよい。ここで、アノード150は、ろう材を用いて接合される場合、フィーラーがあふれることを防止するために、ターゲットの面積よりも接合面積が狭くなるように陰刻溝163を形成することができる。
【0061】
一方、本発明に係る方法は、コンピュータで実行されることができるプログラムで作成されてマグネチック格納媒体、光学的な読み出し媒体、デジタル格納媒体などの様々な記録媒体に実現されてもよい。
【0062】
本明細書に説明された各種技術の実現はデジタル電子回路組織であって、又は、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアで、又は、その組み合せで実現されてもよい。実現は、データ処理装置、例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、又は、複数のコンピュータの動作による処理のために、又は、その動作を制御するためにコンピュータプログラム製品、すなわち、情報キャリア、例えば、機械読み出し可能な格納装置(コンピュータで読み出し可能な記録媒体)又は電波信号で有形的に具体化されたコンピュータプログラムとして実現されてもよい。上述したコンピュータプログラムのようなコンピュータプログラムは、コンパイルされた又はインターフリットされた言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記録され、独立型プログラムとして又はモジュール、構成要素、サブルーチン、又は、コンピューティング環境における使用に適切な他のユニットとして含む任意の形態に展開されることができる。コンピュータプログラムは、1つのサイトで1つのコンピュータ又は複数のコンピュータ上で処理されるよう、又は、複数のサイトにわたって分配されて通信ネットワークにより相互接続されるように展開されることができる。
【0063】
コンピュータプログラムの処理に適切なプロセッサは、例として、汎用及び特殊目的のマイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ、又は両方から命令語及びデータを受信するのである。コンピュータの要素は、命令語を実行する少なくとも1つのプロセッサ及び命令語及びデータを格納する1つ以上のメモリ装置を含んでもよい。一般に、コンピュータは、データを格納している1つ以上の大量格納装置、例えば、磁気、磁気-光ディスク、又は、光ディスクを含んでもよく、これからデータを受信したり、これにデータを送信したり、又は両方となるよう結合されてもよい。コンピュータプログラム命令語及びデータを具体化するために適切な情報キャリアは、例として、半導体記憶装置、例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープのような磁気媒体(Magnetic Media)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(DigitalVideo Disk)のような光記録媒体(Optical Media)、フロプティカルディスク(Floptical Disk)のような磁気-光媒体(Magneto-Optical Media)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などを含む。プロセッサ及びメモリは、特殊目的の論理回路組織によって補充されたり、これに含まれてもよい。
【0064】
また、コンピュータで読み出し可能な記録媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の可用媒体であってもよく、コンピュータ格納媒体及び送信媒体を全て含んでもよい。
【0065】
本明細書は複数の特定の具現物の細部事項を含むが、これらは、いかなる発明や請求可能なものの範囲に対しても制限的なものとして理解されてはならず、逆に、特定の発明の特定の実施形態に特有になる特徴に対する説明として理解しなければならない。個別的な実施形態の文脈で本明細書に記述された特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせられて実現されてもよい。反対に、単一の実施形態の文脈で記述した様々な特徴においても個別的又はいかなる適切な下位の組み合せでも複数の実施形態に実現可能である。さらに、特徴が特定の組み合せで動作し、初期にそれとともに請求されたように描写され得るが、請求された組み合わせから1つ以上の特徴は場合に応じてその組み合わせから排除され、その請求された組み合せは、下位の組み合せや下位の組み合せの変形物に変更されてもよい。
【0066】
同様に、特定の順に図面で動作を描写しているが、これは好ましい結果を取得するために示されたその特定の順や順次的な順にそのような動作を実行すべきものであるか、全ての示された動作が実行されなければならないものとして理解されてはならない。特定の場合、マルチタスキングと並列プロセッシングが有利なこともある。また、上述した実施形態の様々な装置の構成要素の分離は、そのような分離を全ての実施形態において要求するものと理解されてはならず、説明したプログラム構成要素及び装置は、一般に、単一のソフトウェアの製品と共に統合されたり、多重ソフトウェアの製品にパッケージングされるという点を理解しなければならない。
【0067】
一方、本明細書及び図面に開示された本発明の実施形態は、理解を助けるために特定の例を提示したものに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。本明細書に開示された実施形態の他にも、本発明の技術的な思想に基づいた他の変形例が実施可能であることは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明である。
【符号の説明】
【0068】
100:マイクロフォーカスX線管
110:電子銃
111:電子ビーム
120:カソード
130:ゲート
140:フォーカス
150:アノード
151:ターゲット
152:アノード連結リング
160:ヘッド部
161:ウィンドウ
162:リンドプケ
163:陰刻溝
164:挿入管
180:セラミック絶縁管
200:X線
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6