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特開2023-102771電池及び当該電池の製造方法、当該電池を用いた電池ユニットおよび自動車
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102771
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】電池及び当該電池の製造方法、当該電池を用いた電池ユニットおよび自動車
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/62 20130101AFI20230718BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230718BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20230718BHJP
   H01M 10/36 20100101ALI20230718BHJP
   H01M 4/583 20100101ALI20230718BHJP
   H01G 11/42 20130101ALI20230718BHJP
   H01G 11/30 20130101ALI20230718BHJP
   H01G 11/14 20130101ALN20230718BHJP
【FI】
H01G11/62
H01M4/36 D
H01M4/587
H01M10/36 A
H01M4/583
H01G11/42
H01G11/30
H01G11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000399
(22)【出願日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2022003401
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598014825
【氏名又は名称】株式会社クオルテック
(72)【発明者】
【氏名】冨安 博
(72)【発明者】
【氏名】杉林 祐至
(72)【発明者】
【氏名】高原 博司
【テーマコード(参考)】
5E078
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA01
5E078AA11
5E078AB02
5E078BA06
5E078BA13
5E078BA18
5E078BA30
5E078BA32
5E078DA07
5H029AJ02
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL18
5H029AM00
5H029HJ01
5H029HJ02
5H050AA02
5H050AA15
5H050BA08
5H050CA08
5H050CB08
5H050CB09
5H050HA01
5H050HA02
(57)【要約】
【課題】
2次電池は、電解液に有機系電解液を用いるため、発火の危険性がある。
【解決手段】
正極205には、黒鉛とLiCoO2の混合物からなる正極材料221(正極205)が配置され、負極206には、黒鉛と活性炭混合物の混合物からなる負極材料231(負極206)が配置されている。正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)間は、過塩素酸リチウム水溶液が充填されている。正極材料221(正極205)の黒鉛と混合せる材料との含有割合は、1:0.8~1:1.5である。容器としての正極205と負極206はガスケット207で絶縁および封止されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛と活性炭の混合物からなる負極と、
コバルト酸リチウムを含有する正極と、
前記正極および負極間に充填された過塩素酸リチウム水溶液を具備することを電池。
【請求項2】
黒鉛と活性炭の混合物からなる負極と、
黒鉛とコバルト酸リチウムを含有する正極と、
前記正極および負極間に充填された過塩素酸リチウム水溶液を具備し、
前記正極の黒鉛と混合せる材料との含有割合は、1:0.8~1:1.5であることを特徴とする電池。
【請求項3】
黒鉛と活性炭の混合物からなる負極と、
低スピン鉄(II)錯体材料からなる正極と、
前記正極および負極間に充填された電解液を具備し、
前記電解液は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、過塩素酸バリウム(Ba(ClO4)2)、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO4)2)のうち、いずれかであることを特徴とする電池。
【請求項4】
黒鉛と活性炭の混合物からなる負極および正極と、
前記正極および負極間に充填された電解液を具備し、
前記電解液は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、過塩素酸バリウム(Ba(ClO4)2)、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO4)2)のうち、いずれかであることを特徴とする電池。
【請求項5】
前記低スピン鉄(II)錯体材料は、[Fe(phen)3]2+、[Fe(bipy)3]2+、[Fe(terpy)3]2+のいずれかであることを特徴とする電池。
【請求項6】
前記負極と正極のうち、すくなくとも一方にFe2O3をコーティングされていることを特徴とする請求項4記載の電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ電池と二次電池の材料、構造、および本発明の電池の製造方法に関するものである。また、当該電池の充電方法、充電装置、当該電池を用いた電池ユニットに関するものである。また、当該電池ユニットを用いた自動車、自転車等の乗り物に関するものである。
【0002】
本発明の電池は電解液に過塩素酸塩水溶液、飽和過塩素酸塩水溶液を用いる。本発明は正極等に鉄錯体を有し、キャパシタ電池および二次電池の機能を有する電池に関するものである。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン二次電池としては正極にマンガン複合酸化物、負極にリチウム・アルミニウム合金を使用するマンガンリチウム二次電池(ML系)が普及している。
特許文献1には、リチウムイオン二次電池用正極材料等に特徴を有するリチウムイオン二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-155223
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリチウムイオン二次電池あるいはナトリウムイオン二次電池は、電解液に有機系電解液を用いるため、発火の危険性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
二次電池の起電力は負極と正極での酸化還元反応によって支配される。たとえば、リチウムイオン電池において、起電力は3V以上のものも、3V以下のものと様々である。このことは、負極と正極で起こる反応が異なるからである。
【0007】
本発明は、過塩素酸リチウム水溶液、過塩素酸ナトリウム水溶液等をキャパシタ電池の電解液に使用する。過塩素酸塩水溶液は、広い電位窓を有するため、二次電池の電解液として優れた特性を発揮する。
【0008】
本発明の電池の一実施態様例として、正極は、黒鉛と活性炭の混合物にLiCoO2を添加する。あるいは、酸化鉄(Fe2O3)で構成あるいは形成する。また、黒鉛と活性炭混合物に低スピン鉄錯体、たとえば、[Fe(phen)3](ClO4)2を添加する。
【0009】
また、負極は、黒鉛と活性炭混合物、あるいは酸化鉄(Fe2O3)で構成あるいは形成する。また、過塩素酸クロム(III)(Cr(ClO4)3)を添加する。
【0010】
また、電解液は、12~14(mol/kg)の過塩素酸ナトリウム水溶液が適する。飽和未満の水溶液では、電位窓は狭くなるが、操作電圧を下げる(たとえば最大2.5V)ことにより良好な電池特性が得られる。
飽和未満の水溶液は、飽和状態の70%以上であれば良い。さらに好ましくは、85%以上であれば良い。さらに好ましくは、90%以上であれば良い。
正極にLiCoO2を用いれば、電解液は過塩素酸リチウム水溶液を採用することができる。
なお、Fe2O3電極は、鉄めっきを形成し、350以上500℃以下で焼結して形成または作成することが好ましい。
【0011】
過塩素酸ナトリウム(NaClO4)の場合、飽和濃度(重量濃度17.1(mol/kg))未満であっても、重量濃度10(mol/kg)以上で、飽和と同等の機能を発揮する。飽和未満の水溶液の場合、重量濃度数(mol/kg)の過塩素酸クロム(III)(Cr(ClO4)3)を加えることができる。過塩素酸クロムを加えても、電気二重層キャパシタとしての機能に変化は生じない。
【0012】
しかし、電流密度を小さくして、非常にゆっくりと電圧を印加すると、Cr3+はCr2+に還元される。正極に鉄(II)錯体が存在すると、正極では、Fe2+はFe3+に酸化される。
したがって、この状態でゆっくり充電すると、負極ではCr2+が、正極ではFe3+が生成する。反応を下式に示す。
Cr3+ + Fe2+ -> Cr2+ + Fe3+ (1)
ここで、 Cr2+と Fe3+は、それぞれ、以下に示すような酸化還元電位を有する。
Cr3+ + e- -> Cr2+ E0 = -0.424V (2)
[Fe(phen)3]2+ ->[ (phen)3]3+ + e- E0 = -1.06V (3)
反応(1)は可逆反応であるから、起電力1.48Vの二次電池を意味する。
【0013】
電解液に過塩素酸クロムを混合し、正極に鉄(II)錯体が含まれると、急速充電の場合、電気二重層キャパシタだけが機能する。ゆっくり充電すると、電気二重層キャパシタ電池に二次電池の機能が加わる(キャパシタ電池)。これにより、蓄電容量は二次電池の機能分が増加する。キャパシタ電池と二次電池機能とは合わせ持つ。
【0014】
なお、鉄(II)錯体(特に低スピン錯体)は数多く存在し、酸化還元電位も異なる。たとえば、[Fe(CN)6]4-の場合、酸化電位は-0.36Vで、二次電池の起電力は0.78Vになる。また、クロムの代わりに過塩素酸バナジウム(III)を用いることも可能である。反応は以下に示す。
V3+ + e- -> V2+ E0=-0.26V
過塩素酸バナジウムと[Fe(CN)6]4-の組み合わせでは、起電力は0.62Vである。
少なくとも正極を鉄錯体で構成あるいは形成する。また、正極と負極のうち少なくとも一方の電極をFe2O3でコーティングした構成である。
【0015】
以上のように、本発明の一実施態様として、本発明の電池は負極として、黒鉛、または活性炭混合物、または黒鉛と活性炭混合物で構成される。また、正極として、黒鉛、またはLiCoO2(あるいは酸化されて構造変化しないもの)混合物、または黒鉛とLiCoO2を使用する。
【0016】
正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)間にはセパレータ204が配置される。セパレータ204は、過塩素酸リチウム(LiClO4)水溶液に含浸されている。正極205と負極206はガスケット207により絶縁されている。
【0017】
本発明の一実施態様例として、キャパシタ電池、二次電池等は正極205および負極206を1つの基板、箔、シート、またはフィルム301上に形成する。前記基板またはフィルム301上に電解液222が配置、あるいは前記正極205および負極206が電解液222に浸漬されて構成される。
【0018】
基板(フィルム、箔、シート、ベース板)301aおよび基板(フィルム、箔、シート、ベース板)301bに正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とを隣接して配置している。基板301aの正極材料221(正極205)の対向する基板301bには正極材料221(正極205)が配置される。
【0019】
基板301aの負極材料231(負極206)の対向する基板301bには負極材料231(負極206)が配置される。正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)の表面は、Fe2O3でコーティングあるいは被覆もしくは形成する。
基板301aと基板301b間はガスケット207で封止され、過塩素酸塩水溶液からなる電解液222が充填される。
【0020】
なお、説明あるは図示を容易にするため、本発明は正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)間に電解液222を充填するとして説明するが、これに限定するものではない。正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)内に電解液222を浸透、含侵させても良いことは言うまでもない。
【0021】
本発明の電池は、黒鉛と活性炭の混合物からなる負極と、コバルト酸リチウムを含有する正極と、正極および負極間に充填された過塩素酸リチウム水溶液を具備する。
【0022】
また、本発明の電池の一実施態様として、黒鉛と活性炭の混合物からなる負極と、黒鉛とコバルト酸リチウムを含有する正極と、正極および負極間に充填された過塩素酸リチウム水溶液を具備し、正極の黒鉛と混合せる材料との含有割合は、1:0.8~1:1.5である。
容器(ケース)としての正極205と負極206はガスケット207で絶縁および封止されている。
【0023】
本発明の電池の一実施態様として、黒鉛と活性炭の混合物からなる負極と、低スピン鉄(II)錯体材料からなる正極と、正極および負極間に充填された電解液を具備し、電解液は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、過塩素酸バリウム(Ba(ClO4)2)、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO4)2)のうち、いずれかである。
【0024】
低スピン鉄(II)錯体材料は、[Fe(phen)3]2+、[Fe(bipy)3]2+、[Fe(terpy)3]2+のいずれかであることが好ましい。
【0025】
本発明の電池は、黒鉛と活性炭の混合物からなる負極および正極と、正極および負極間に充填された電解液を具備し、電解液は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、過塩素酸バリウム(Ba(ClO4)2)、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO4)2)のうち、いずれかである。
【0026】
負極と正極のうち、すくなくとも一方にFe2O3をコーティングされていることが好ましい。Fe2O3は、鉄めっきを500℃以下で焼結して作製あるいは形成する。
【発明の効果】
【0027】
本発明のキャパシタ電池、二次電池等は、電解液をして、飽和過塩素酸塩水溶液を使用しているため、発火の恐れがない。また、飽和過塩素酸塩水溶液の伝導率は有機系電解液より10倍前後大きく、大きな電力を蓄積でき、高速充電でき、高い電流容量を得ることができる。
本発明の電池はキャパシタ電池に、二次電池の機能が加わることにより、電気二重層キャパシタより大きな蓄電容量を実現できる。
【0028】
水溶液系の電解液(過塩素酸塩水溶液)をキャパシタ電池、二次電池に用いることにより、電池の導電性を高めると同時に火災の恐れを無い。また、キャパシタ電池、二次電池の製造工程において、水分を除去したドライルームを使用する必要がないため、製造設備コストを低減できる。
【0029】
本発明の電池は正極205および負極206を1つの基板またはフィルム301上に形成しているため、セパレータ204を使用しない電池を構成することができる。したがって、セパレータ204を使用する必要がなく、正極205を負極206が短絡することがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明のキャパシタ電池、二次電池の構成および説明図である。
図2】本発明のキャパシタ電池、二次電池の斜視図および一部断面図である。
図3】飽和過塩素酸塩水溶液のサイクリックボルタモグラム(CV)の説明図である。
図4】飽和過塩素酸リチウム水溶液のサイクリックボルタモグラム(CV)および温度変化の説明図である。
図5】飽和過塩素酸リチウム水溶液および飽和過塩素酸リチウム水溶液の導電率とその温度変化の説明図である。
図6】本発明の電池の充放電動作を説明する説明図である。
図7】本発明の電池の充放電動作を説明する説明図である。
図8】本発明の電池の特性を説明する説明図である。
図9】本発明の電池の特性を説明する説明図である。
図10】本発明電池の特性を説明する説明図である。
図11】本発明電池の特性を説明する説明図である。
図12】本発明電池の構成図および説明図である。
図13】本発明電池の構成図および説明図である。
図14】本発明電池の構成図および説明図である。
図15】本発明電池の構成図および説明図である。
図16】本発明電池の構成図および説明図である。
図17】本発明電池の製造方法の説明図である。
図18】本発明電池の製造方法の説明図である。
図19】本発明電池の製造方法の説明図である。
図20】本発明電池の製造方法の説明図である。
図21】本発明電池の構成図および説明図である。
図22】本発明電池の構成図および説明図である。
図23】本発明電池の構成図および説明図である。
図24】本発明の二次電池のサイクル数と重量当たり容量に関するグラフである。
図25】電池の放電容量を電圧のグラフである。
図26】本発明の電池充電回路の構成図である。
図27】本発明の電池ユニットの構成図および動作の説明図である。
図28】本発明の電池ユニットの構成図である。
図29】本発明の電池の構成図および説明図である。
図30】本発明の電池の構成図および説明図である。
図31】本発明の電池の構成図および説明図である。
図32】本発明の電池の構成図および説明図である。
図33】本発明の電池の構成図および説明図である。
図34】本発明の電池の構成図および説明図である。
図35】本発明の電池の構成図および説明図である。
図36】本発明の電池の構成図および説明図である。
図37】本発明の電池の構成図および説明図である。
図38】本発明の電池の構成図および説明図である。
図39】本発明の電池の構成図および説明図である。
図40】本発明の電池ユニットを用いた機器の構成図および説明図である。
図41】本発明の電池ユニットの構成図および動作の説明図である。
図42】本発明の電動アシスト自転車の構成図である。
図43】本発明の電動アシスト自転車の説明図である。
図44】本発明の電動アシスト自転車の説明図である。
図45】本発明の電動アシスト自転車の説明図である。
図46】本発明の電動アシスト自転車の構成図および説明図である。
図47】本発明の電動自動車の構成図および説明図である。
図48】本発明の電動自動車の構成図および説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明のキャパシタ電池および二次電池の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
発明を実施するための形態を説明するための各図面において、同一の機能を有する要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
また、本明細書に記載する本発明の実施例は、それぞれの実施例と一部または全部を組み合わせることができる。
発明を実施するための形態を説明するための各図面において、理解、説明を容易にするため、図示を容易にするため、拡大、縮小、省略する場合がある。
【0032】
なお、本発明の実施例の説明あるいは図示において、正極、負極とは容器あるいは電極の概念として説明あるいは図示する場合がある。また、使用する電極材料の概念として説明する場合がある。また、容器、電極材料を含む概念として説明する場合がある。
【0033】
電気二重層キャパシタの充電では、負極に陽イオンの吸着を牽引するのは、負極と陽イオンの間の静電的な相互作用である。蓄電容量と充放電速度が、温度に依存せず、また電解液の導電率にも影響されない。
二次電池のように、バルクにおけるイオンの拡散が必須な場合、蓄電容量と充放電速度は温度と電解液の導電率の影響を受ける。
電解液の導電率は、セルの内部抵抗に関する支配的な因子であるから、電気二重層キャパシタにおいても重要な要素である。
【0034】
非対称型キャパシタでは、対象型キャパシタと様相が異なる。充電において、負極に活性炭あるいは活性炭と同様の機能を有する物質が存在すると、その広い表面に陽イオンが吸着し、電気的中性を維持するため、電極中に電子が蓄積する。
【0035】
対象型キャパシタでは、正極に活性炭あるいは活性炭と同様の機能を有する物質が存在するため、正極の表面に陰イオンが吸着し、電気的中性を保つため、電極中に正孔が生じる。
【0036】
非対称型キャパシタにおいて、正極に活性炭あるいは活性炭と同様の機能を有する物質が存在しない場合、負極と同じように陰イオンが正極に吸着することは不可能である負極と正極の間の電気的中性を保つためには、正極がプラスの電荷を持たねばならない。
【0037】
以上の事項は、正極が酸化されることを意味する。正極には酸素がなく、また水も分解しないため、正極の酸化とは、正極から電子が引き抜かれることを意味し、正孔が生じる。
【0038】
ただし、通常の酸化反応のように、物質(イオン)の移動は伴わず、電子が移動するだけである。充電により、正極で酸化反応が起こるレドックスキャパシタと呼ぶことができる。
【0039】
正極に、鉄(II)低スピン錯体が存在する場合、鉄(II)低スピン錯体は酸化すると鉄(III)低スピン錯体になる。鉄II価とIII価の低スピン錯体はいずれも八面体錯体で、可逆的な酸化還元反応をする。
【0040】
鉄II価とIII価の間では、d電子が6個と5個に変化するだけで、水溶液中に両者を共存させると、電子交換反応が起こり、II価はIII価に、III価はII価に迅速に変化する。
酸化還元電位は、ヘキサシアノ鉄(II)錯体では、0.36V、トリス1,10-フェナントロリン鉄(II)錯体では、1.06Vである。
正極における負荷電圧が酸化還元電位を超えると、鉄(II)錯体は酸化されて鉄(III)錯体になる。この反応は可逆的で、迅速に進行する。
トリス1,10-フェナントロリン鉄(II)錯体、[Fe(II)(phen)3]2+の酸化還元反応を以下に示す。
1,10-フェナントロリン : phen
[Fe(II)(phen)3]2+ <--> [Fe(III)(phen)3]3+ + e-
【0041】
低スピン鉄錯体は、II価とIII価において、八面体を維持し、構造的にはほとんど変化しない。ただし、カウンターイオン(ClO4 -)は酸化に伴い一つ増える。つまり、充電に伴い、電気的中性を維持するため、負極から正極にClO4 -が移動する。
【0042】
NaClO4を電解液とする電気二重層キャパシタでは、充電に伴い、Na+は正極から負極に移動する。セル全体の中和の観点から見ると、負極から正極へのClO4 -の移動と正極から負極へのNa+の移動は同じ現象である。
【0043】
正極に鉄(II)低スピン錯体を混合させると、正極における負荷電圧が鉄(II)錯体の酸化還元電位を超えると、鉄(II)が酸化されて鉄(III)になる。
放電では、鉄(III)は還元され、鉄(II)になる。充放電に酸化還元反応が伴うので、レドックスキャパシタであることを意味する。
【0044】
正極に鉄(II)高スピン錯体を混合させても、レドックス効果を否定するものでないが、多くの鉄(II)高スピン錯体は低スピン錯体に比べると安定ではない。
空気酸化する可能性もあるので、扱いに注意が必要である。鉄(II)硫酸塩や鉄(II)リン酸塩は安定で、特に、鉄(II)リン酸塩は水に不溶である。
【0045】
以上に説明したように、鉄錯体は良好な酸化還元作用を有する。電解液は、電極の極近傍(Helmholtz層)とバルクの拡散層に分けられる。充電によるイオンの局在化はHelmholtz層の近傍に制約される。この際、陽イオンは溶媒和(水系では水和)した状態で、負極に吸着する。
【0046】
飽和過塩素酸ナトリウム水溶液を電解液とする場合、図7(b)に図示するように電極の表面に水が吸着する構造は合理的ではない。この水溶液では、水分子は金属イオンに束縛され、自由な水分子はほとんど存在しない。
陽イオンはカウンターイオン(ClO4 -)から引き離されて負極表面に吸着するので、電気的中性を保つため、負極に電子が蓄積する。
【0047】
正極では、負極に吸着した電子と同じ電荷量の正に帯電した空孔(正孔)が生じる。充電によるイオンの吸着は、Helmholtz層の近傍で起こり、バルク層での拡散の影響を受けない。
【0048】
陽イオンの吸着は、電極とイオンの間の静電的相互作用により引き起こされると考えるのが妥当である。なぜならば、充放電において、イオンの拡散が律速するならば、電解液の導電率と温度による影響を受けなければならない。また、電極近傍のイオン分布に、統計力学的なボルツマン分布を適用することも適切ではない。ボルツマン分布は温度の関数だからである。
【0049】
二次電池では、酸化還元反応に物質移動が含まれるため、バルク層におけるイオンの拡散が不可欠である。酸化還元反応がどれほど速くても、拡散速度に律速されるため、電解液の導電率と温度による影響を受けることになる。
【0050】
二次電池における充電速度は原理的に拡散速度より速くはない。電気二重層キャパシタでは、充放電速度を支配するのは、負極と陽イオンの間の静電的な相互作用であり、陽イオンのイオン半径と電荷が重要な因子となる。
電気二重層キャパシタの電解液として、飽和LiClO4と飽和NaClO4水溶液を用いた場合を比較する。
【0051】
集電極はチタン箔、活物質は活性炭と黒鉛の混合物である。チタン上に活物質を塗布技術、印刷技術等を用いて形成する。また、チタン箔の他、ステンレス箔、鉄箔、銀箔等の他の金属箔、金属板を用いることができることは言うまでもない。
【0052】
二つのキャパシタの違いは、陽イオンでのLi+とNa+だけである。Li+はNa+よりイオン半径は小さいが、水和半径ではLi+が大きいとされている。Na+とLi+は共にhardな酸に分類され、負極との間で、強い静電的な相互作用が期待される。
重量モル濃度の単位はmol/kgである。重量モル濃度の単位は、mと記載する場合がある。
【0053】
イオンが電極に吸着する際、図7(a)に示すように、水和を伴って移動する。ここで、飽和LiClO4水溶液の重量モル濃度は5.27(mol/kg)、飽和NaClO4水溶液の重量モル濃度は17.1(mol/kg)である。
【0054】
LiClO4の水への溶解度は高くないが、それも電位窓は飽和NaClO4水溶液と同等である。このことは、Li+の水和力が強いことを示している。水の束縛は第二配位圏に及ぶとされている。飽和LiClO4水溶液の導電率は20℃で200mS/cmを超え、飽和NaClO4水溶液と比べると約2倍大きい。
【0055】
図8に、飽和NaClO4水溶液と飽和LiClO4水溶液を電解液とした場合、活性炭の比率とエネルギー密度の関係を示す。いずれの電解液においても、エネルギー密度は活性炭の比率に比例して増加する。
【0056】
図8に示すように、エネルギー密度の値は、飽和NaClO4水溶液の方が飽和LiClO4水溶液より僅かに大きい。このことは、Li+の水和半径がNa+より大きいことに起因していると考えられる。
【0057】
したがって、Na+がLi+より、イオンの容積が小さく(Stokes半径では、Na+とLi+は、それぞれ、1.84と2.38Å)、その結果、Na+では、より多くのイオンが電極に吸着することになり、蓄電容量が大きくなる。
【0058】
この際、飽和LiClO4水溶液の重量モル濃度は5.27(mol/kg)と比較的に低いが、エネルギー密度と活性炭比率が比例するので、電解液として十分に濃厚であることを意味する。
【0059】
導電率は、飽和LiClO4水溶液が飽和NaClO4水溶液より2倍大きい。それに関わらず、前者ではエネルギー密度が後者より小さいことは、導電率が蓄電容量には影響を与えないことを支持する。
【0060】
非対称キャパシタでは、対象型電気二重層キャパシタと様相が変わる。図10では、負極は黒鉛(アセチレンブラックを含む)と活性炭の混合物であり、正極は黒鉛(アセチレンブラックを含む)で構成されている。
【0061】
充電時におけるセル電圧は、約3Vである。放電時におけるcut-off電圧は2.5Vから3.2Vに変化させている。放電時におけるcut-off電圧3.2Vと2.7Vの差が大きい。cut-off電圧2.7V以下では、蓄電能力が非常に低いことが分かる。
このことは、正極において、陰イオン、ClO4 -が吸着する電極表面が小さく、電極で正孔が生じ難いことを意味する。
【0062】
しかし、cut-off電圧3.2Vでは、放電曲線が一変し、エネルギー密度も20Wh/kgになる。このことは、以下のように説明される。正極において、印加電圧がしきい値を超えると、黒鉛が酸化される。酸化と言っても、正極には酸素がなく水も分解しない。
黒鉛から電子が引き抜かれ、正孔が生じる。即ち、正極では、以下の酸化反応が起こる。Cは黒鉛である。
C -> C+ + e-
通常は物質移動を伴うが、ここでは、物質移動はなく、電子移動だけが起こる。
図11は、別の形の非対称キャパシタである。電極とするカーボンクロスにFe2O3をコーティングすると、活性炭のように表面積の大きな電極になる。
【0063】
本発明の一実施態様は、正極と負極のうち少なくとも一方にFe2O3をコーティングし ている。Fe2O3はめっき技術で鉄めっき層を構成し、300℃以上~500℃以下で焼成あるいは焼結して形成する。
【0064】
図11(a)は正極と負極は共にFe2O3をコーティングあるいは被覆している。図11(b)は負極のみにFe2O3をコーティングあるいは被覆している。正極はカーボンクロスである。
【0065】
図11(a)に図示するように、カーボンクロスにFe2O3をコーティング等した電極を負極と正極に使うと、活性炭に勝るとも劣らない電気二重層キャパシタができる。
一方、図11(b)に図示するように、負極にFe2O3をコーティングし、正極にカーボンクロスのみを用いると、蓄電容量は極端に減少する。
【0066】
図11(a)の実施態様のように、カーボンクロス等で電極を形成し、前記正極と負極は共にFe2O3をコーティングした電極を採用することが好ましい。また、形成方法は鉄めっき工程を行い、鉄めっきを焼成、あるいは焼結してFe2O3を形成する。
【0067】
以上の結果から、電気二重層キャパシタは負極によりけん引され、活性炭あるいは活性炭と同様の機能を有するものが存在すれば、そこにイオンが吸着し、負極では電子が蓄積する。
【0068】
正極では、セル全体の電気的中性を保つため、正孔が蓄積する。非対称キャパシタでは、正極に、活性炭あるいは活性炭と同様の機能を有するものが存在しない場合、正極が酸化されることがある。この場合、エネルギー密度は活性炭を有する対称型電気二重層キャパシタに劣らない大きさを持ち、放電曲線は二次電池のようにプラトーな特性を示す。
【0069】
正極の添加物として、鉄(II)低スピン錯体を想定する。鉄以外の遷移金属錯体でも同様である。冒頭に述べたように、鉄(II)低スピン錯体は酸化すると鉄(III)低スピン錯体になる。
【0070】
酸化還元電位は、ヘキサシアノ鉄(II)錯体では、0.36V、トリス1,10-フェナントロリン鉄(II)錯体では、1.06Vである。正極における負荷電圧が酸化還元電位を超えると、鉄(II)錯体は酸化されて鉄(III)錯体になる。
【0071】
この反応は可逆的で、迅速に進行することが知られている。トリス1,10-フェナントロリン鉄(II)錯体、[Fe(II)(phen)3]2+,の酸化還元反応を以下に示す。
ここで、phen : 1,10-フェナントロリンである。
[Fe(II)(phen)3]2+ <--> [Fe(III)(phen)3]3+ + e-
【0072】
低スピン鉄錯体は、II価とIII価において、八面体を維持し、構造的にはほとんど変化しない。ただし、カウンターイオン(ClO4 -)は酸化に伴い、一つ増える。つまり、充電に伴い、電気的中性を維持するため、負極から正極にClO4 -が移動する。
【0073】
電気二重層キャパシタにおいても、セル全体では、イオンは移動している。たとえば、NaClO4を電解液とする場合、充電に伴い、Na+は正極から負極に移動する。二次電池との違いは、電気二重層キャパシタでは、イオンの移動が律速段階にならないことである。セル全体の中和の観点から見ると、負極から正極へのClO4 -の移動と正極から負極へのNa+の移動は同じ現象である。
【0074】
非対称キャパシタを実用化の観点から見ると、充電による正極での酸化反応は、セル電圧が2~2.5Vで起こることが望ましい。鉄(II)低スピン錯体は数多く存在するので、その中から、先の条件を満たす錯体を選べば良い。
鉄(II)低スピン錯体には、天然由来の錯体がある。鉄(II)ポルフィリン錯体は哺乳動物の血液から分離できる。
活物質として、汎用の活性炭や安価な金属化合物を用いることを前提にし、長時間の安定性を考えると、cut-off電圧は2.5~2.7Vとする。
【0075】
本発明の電池は、正極は黒鉛と活性炭の混合物にLiCoO2を添加する。あるいは、酸化鉄(Fe2O3)で構成あるいは形成する。Fe2O3電極は、鉄めっきを500℃以下で焼結して作ることが好ましい。
黒鉛と活性炭混合物に低スピン鉄錯体、たとえば、[Fe(phen)3](ClO4)2、を添加して構成あるは形成する。
【0076】
一方、負極は、黒鉛と活性炭混合物あるいは酸化鉄(Fe2O3)で構成あるいは形成する。正極と同様に、酸化鉄(Fe2O3)膜は、鉄めっきを500℃以下で焼結して作る。黒鉛と活性炭の混合物の代わりに酸化鉄(Fe2O3)を使用すると蓄電量が多く、安価に電池を構成できる。また、負極には、過塩素酸クロム(III)(Cr(ClO4)3)を添加する。
【0077】
電解液は、12~16(mol/kg)の過塩素酸ナトリウム水溶液が適する。飽和未満の水溶液では、電位窓は狭くなるが、操作電圧を下げる(たとえば最大2.5V )ことにより、良好な性能を得ることができる。正極にLiCoO2を用いれば、電解液は(飽和)過塩素酸リチウム水溶液を用いる。
【0078】
過塩素酸クロムは溶解度が高いため、最初から電解液に混ぜるのが好ましい。混合電解液における過塩素酸クロムの濃度は約1mとする。Cr3+は負極において、充電すると(電圧を印加すると)Cr2+に還元される(Cr3+ + e- -> Cr2+ E0 = -0.424V )。
正極において、黒鉛と活性炭の混合物に添加する鉄錯体は電解液に不溶性であることが好ましい。充電するとFe2+はFe3+に酸化される。
[Fe(phen)3]2+ ->[ (phen)3]3+ + e- E0 = -1.06V phen :1,10フェナントロリン
【0079】
ここで、phenと同様、bipy(ビピリジン)やen(エチレンジアミン)を配位子としても、2価と3価の酸化還元電位は約1Vである。Na4[Fe(CN)6]も添加剤に使用できる。この場合、[Fe(CN)6]4-がマイナスイオンであるから、錯体が電解液に溶けても、錯体は正極から離れないため、問題にならない。
[FeII(CN)6]4- -> [FeIII(CN)6]3- + e- E0=-0.36V
急速充電すると、電気二重層キャパシタだけが機能するが、電流密度を小さくしてゆっくりと充電すると二次電池が機能する。つまり、鉄―クロム電池である。
過塩素酸クロム(III) の代替に過塩素酸バナジウム(III)を用いても良い。
反応は、V3+ + e- -> V2+ E0=-0.26V
本発明の電池は、キャパシタ電池に、二次電池の機能が加わることにより、電気二重層キャパシタより大きな蓄電容量が期待できる。
【0080】
図9において、電極中の黒鉛と活性炭の比率を変えると、活性炭の比率に比例してエネルギー密度は増加する。このことは、イオン濃度は十分に高く、活性炭の増加と共に吸着するイオン濃度が増加することを意味する。
【0081】
黒鉛と活性炭の混合物では、活性炭70%が限界であるが、活性炭とアセチレンブラックとの混合物では、活性炭を90%まで上げることができる。その場合、エネルギー密度は30Wh/kgを超える。
これまでの結果から、活性炭を電極に用いると、30Wh/kgが水系電気二重層キャパシタにおけるエネルギー密度が得られる。
以下、本発明の電池の構造、構成について図面を参照しながら説明をする。図1は、電池の一例を示す断面図である。
【0082】
図1ではコイン型電池を例示して説明しているが、本発明の技術的思想は、これに限定するものではない。たとえば、図2に図示するように円筒形等であっても良いことは言うまでもない。その他、フィルム形状、箱型形状が例示される。
【0083】
図1に図示するように、本発明の電池は、正極205をなす導電体に正極材料221(正極205)が形成または配置されている。負極206をなす導電体に負極材料231(負極206)が形成または配置されている。
【0084】
正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)間にセパレータ204が配置され、セパレータ204は電解液222が充填、浸透、含浸されている。
【0085】
なお、説明あるは図示を容易にするため、本発明は正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)間にセパレータ204を配置し、セパレータ204の周囲に電解液222を充填するとして説明するが、これに限定するものではない。
【0086】
正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)内に電解液222を浸透、含侵させ、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)間にセパレータ204を接触するように配置しても良いことは言うまでもない。
正極材料221(正極205)あるいは負極材料231(負極206)にセパレータ204を密着するように配置しても良いことは言うまでもない。
【0087】
図1では省略しているが、正極205には正極端子202が接続され、負極206には負極端子203が接続される。正極205と負極206間はガスケット207により絶縁されている。
【0088】
正極205の内面に位置して接続される正極材料221(正極205)で構成され、負極は正極材料221(正極205)と対面する位置に配置され、正極と負極間にセパレータ204が配置される。
正極材料221(正極205)には、黒鉛と活性炭の混合物にLiCoO2を添加する。あるいは、酸化鉄(Fe2O3)で構成する。
二次電池としての機能も発揮させる場合は、黒鉛と活性炭混合物に低スピン鉄錯体、たとえば、[Fe(phen)3](ClO4)2を添加する。
添加量は混合物の1%以上6%以下にすることが好ましい。さらに好ましくは、添加量は混合物の2%以上5%以下にすることが好ましい。
【0089】
正極材料221(正極205)は、黒鉛とコバルト酸リチウム(LiCoO2)の混合物を使用しても良い。また、黒鉛と混合せる材料との含有割合は、1:0.8~1:1.5の範囲とすることが好ましい。
【0090】
その他、正極材料221(正極205)は、黒鉛とコバルトを使用する材料(LiCoO2)の混合物、黒鉛とマンガンを使用する材料(LiMn2O4)の混合物、黒鉛とニッケルを使用する材料(LiNiO2の混合物)、黒鉛とリン酸鉄を使用する材料(LiFePO4)の混合物、黒鉛と酸化鉄を使用する材料(Fe2O、Fe2O3)の混合物が例示される。また、炭素量子ドット(Carbon quantum dots:CQDs)も例示される。
【0091】
図11で説明したように、正極と負極のうち少なくとも一方は、Fe2O3をコーティングする。好ましくは、正極および負極は共に、Fe2O3をコーティングすることが好ましい。
【0092】
正極、負極の電極材料の形態としてはどのようなものでもよい。たとえば、上記導電性炭素材料と酸化物金属を加圧成型して固形化したもの、容器に充填したもの、加圧して焼結あるいは焼成させたものが例示される。
導電性炭素材料と酸化物金属、燐等を金属板等上に加圧成型して固体化し、その後、焼成あるいは焼結させても良い。
【0093】
導電性炭素材料と酸化物金属、燐等をペレット状に作製し、このペレットをスパッタリングして、導電性炭素材料と酸化物金属、燐等を、電極としての金属板等の上に着膜させた後、焼成あるいは焼結させてもよい。
炭素材料のペレット、酸化物金属等のペレットを作製し、これらペレットを順次あるいは同時にスパッタリングして、金属板等上に着膜させても良い。
【0094】
最初に、炭素材料のペレットのみをスパッタリングする。次に、炭素材料のペレットと酸化物金属のペレットを同時にスパッタリングする。すると、金属板上に炭素材料が形成され、次に炭素材料と酸化物金属が混合した層が形成される。酸化物金属と金属板間に炭素材料の層が形成されて、密着性が良好となる。
【0095】
焼結あるいは焼結は、NまたはArガスの不活性ガス雰囲気中で行う。焼結温度は300℃以上500℃以下が好ましい。昇温速度は2~5℃/minとする。前記温度で略2時間保持する。冷却は、自然に冷却する。
【0096】
加熱温度は、300℃以上500℃以下が好ましい。温度500℃を超えると、酸化物金属は緻密化する。特に、900℃以上でほぼ完全に緻密化し、電極材料中の空隙がなくなる。緻密化すると電極材料中に電解液222が浸透しにくくなる。
【0097】
酸化物金属を500℃以下で焼結させることにより、電極材料中に適度な空隙を発生させることができ、空隙に電解液222が浸透し、イオンの吸着量が増大する。したがって、電池等の容量を大きくすることができる。300℃以下では、酸化鉄の錯体状態等が悪く、充電量が低下する。
金属板上にカーボン成分を電着することにより、酸化鉄がカーボン上に電着でき、酸化鉄はカーボンとの密着性が良好になる。
【0098】
LiCoO2等の混合物は酸化されて構造変化しないものであればいずれの酸化物であっても良い。なお、黒鉛に限定するものではなく、グラファイト系、コークス系等のカーボン材料を使用することができる。
【0099】
黒鉛と混合させる材料は、酸化材料に限定されるものではない。たとえば、黒鉛と低スピン鉄錯体、たとえば、鉄フェナントロリン錯体([Fe(phen)3](ClO4)2)を使用する材料の混合物、黒鉛と鉄シアノ錯体(Li4[Fe(CN)6])を使用する材料の混合物が例示される。
【0100】
鉄(II)錯体の配位子はフェナントロリンに限らずビピリジンのような低スピン錯体を形成するものでも良い。他に、黒鉛と水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を使用する材料の混合物が例示される。
【0101】
負極は、黒鉛と活性炭混合物あるいは酸化鉄(Fe2O3)で構成あるいは形成される。酸化鉄(Fe2O3)の場合は、正極と同様に、焼成あるいは焼結して形成する。また、過塩素酸クロム(III)(Cr(ClO4)3)を添加する。
【0102】
セパレータ204は、過塩素酸ナトリウム水溶液等の過塩素酸塩水溶液に含浸されている。過塩素酸塩水溶液は飽和過塩素酸塩水溶液であることが好ましいが、飽和状態に近い水溶液でも性能、効率に差異はない。
【0103】
電解液222は、10(mol/kg)~16(mol/kg)の過塩素酸ナトリウム水溶液が適する。さらに好ましくは、12(mol/kg)~16(mol/kg)の過塩素酸ナトリウム水溶液が適する。正極にLiCoO2を用いる場合は、電解液は(飽和)過塩素酸リチウム水溶液を使用する。
飽和未満の水溶液では、電位窓は狭くなるが、操作電圧を下げることで良好な特性を実現できる。たとえば、最大2.5Vとする。
【0104】
正極に黒鉛と活性炭混合物に低スピン鉄錯体、たとえば、[Fe(phen)3](ClO4)2、を添加すること、負極に過塩素酸クロム(III)(Cr(ClO4)3)を添加することにより、キャパシタ電池に、二次電池の機能が加わることにより、電気二重層キャパシタより大きな蓄電容量を実現できる。
【0105】
図1等に図示するように、負極206は、その端部がその下端および両側面をガスケット207で包んだ状態で正極205内に挿入され、負極206を正極205と、かしめてあるいは狭持させて固定する。また、負極206と正極205とはガスケット207により絶縁している。
【0106】
図6は、本発明の電池の充放電の動作を説明する説明図である。図6において、図6(a)は充電器(充電装置)112により電池に充電しているときの動作の説明図であり、図6(b)はモバイル機器等の負荷装置に放電しているときの動作の説明図である。
電極208aには電極端子304aが接続され、電極208bbは電極端子304aが接続されている。
【0107】
電池動作は、電解液中に溶解しているイオンの局在化で発生する。即ち、溶液に電圧を印加すると、陽イオンは負極に、負イオン正極に局在化する。電気的中性を保つため、負極には電子が吸着し、正極では正に帯電した空孔が生じる。
【0108】
二次電池では、充電において、正極における酸化反応に呼応して、負極で還元反応が起こる。リチウムイオン電池を例にとると、正極にはLiCoO2が負極には黒鉛が存在し、両者はセパレータを挟んで、対峙している。電解液222は、過塩素酸ナトリウム水溶液、過塩素酸リチウム水溶液とする。
たとえば、電圧を印加し、正極での印加電圧がLiCoO2の酸化還元電位(約0.9V)を超えると、Co(III)は酸化される。
結晶構造における反応は複雑で、反応のストイキオメトリは単純ではない。それに呼応して、負極ではLi+が黒鉛にインターカレーションし、還元される。
【0109】
図6(a)に図示するように、Liイオン電池において、電圧を印加すると、下の式に示すように、正極では、コバルトが、部分的に、3価(LiCoO2)から4価(CoO2)に酸化される。部分的は、x < 1 で表現される。
LiCoO2 <--> Li(1-x)CoO2 + xLi+ + xe- 正極 (4)
6xC + xLi+ + xe- <--> xC6Li 負極 (5)
【0110】
一方、負極では、リチウムイオンが黒鉛にインターカレーション(Intercalation)して、部分的に還元される。つまり、正極で放出されたLi+が負極で還元されC6Liになる。
【0111】
この時、インターカレーションしたC6Liの酸化還元電位(C6Li / Li+=2.90)は単体Liにおける(Li / Li+=3.05)より低い。正極(反応1)における電位は0.90Vであるから、(4)と(5)を加えると全反応(電池)の起電力は3.8Vになる。しかし、xの値により起電力は変わる。
【0112】
負極に黒鉛を用いた電池では、正極で酸化されるものがなく、正に帯電した空孔が発生して電気的中性を維持している。負極では、Li+は還元されることなく、単に電極中に局在化する。
【0113】
正極に、LiCoO2のように酸化される物質が存在すると、ある電圧(起電力を超えた)では、負極のLi+は黒鉛にインターカレーションしてC6Liを生成する。つまりLi+は還元される。この場合、リチウムイオン電池の負極と同じ現象が起こる。
【0114】
図6(a)のように電圧を印加すると、電圧上昇に伴い充電が開始する。最初は全て電池によるものである。2V以上で、ある電圧(起電力)を超えると、リチウムイオン電池と同様の酸化還元反応が発生する。Cut-off電圧は2.7Vとする。これは、電池に酸化還元反応を付随させた蓄電デバイスとなる。
【0115】
大電流を印加したとき、酸化還元反応は追いつかず、電池のみが機能する。小電流を長い時間をかけ印加すると、起電力を超えた電圧で、酸化還元反応が起こり、全体のエネルギー密度は著しく増加することになる。
したがって、低電流密度で本発明の電池を充電すると二次電池として機能する。また、低電圧で本発明の電池を充電すると二次電池として機能する。
また、高電流密度で本発明の電池を充電するとキャパシタ電池として機能する。また、高電圧で本発明の電池を充電するとキャパシタ電池として機能する。
【0116】
低電流密度での充電と、高電流密度での充電を同時にあるいは交互に行うと、本発明の電池は、キャパシタ電池としての機能と、二次電池として機能を併せ持つ電池を実現できる。
【0117】
また、低電圧での充電と、高電圧での充電を同時にあるいは交互に行うと、本発明の電池は、キャパシタ電池としての機能と、二次電池として機能を併せ持つ電池を実現できる。
【0118】
本発明の電池は、電流密度20mA/cm2で、充放電容量0.03mAh/cm2が得られている(クーロン効率はほぼ100%)。このことは、5.4秒で満充電し、0.03mAh/cm2の充電容量が得られることを意味する。
【0119】
5.4秒間では、二次電池(酸化還元反応)はほとんど応答せず、急速充電では電気二重層キャパシタだけが機能することになる。他方、低い電流密度で長時間充電する、たとえば電流密度が1/10以下では、二次電池つまり酸化還元反応が機能し始める。
【0120】
負極では、Li+は黒鉛にインターカレーションしてC6Liを生成し、部分的に還元される。正極では、たとえば、LiCoO2は部分的に酸化されLi(1-x)CoO2になる。もし正極に[Fe(phen)3](ClO4)2が存在すると、酸化されて[Fe(phen)3](ClO4)3になる。つまり、鉄は2価から3価に酸化される。
【0121】
二次電池では、充電において、正極における酸化反応に呼応して、負極で還元反応が起こる。リチウムイオン電池を例にとると、正極にはLiCoO2が負極には黒鉛が存在し、両者はセパレータを挟んで、対峙している。電解液は飽和過塩素酸リチウム水溶液、あるいは過塩素酸リチウム水溶液とする。電圧を印加し、正極での印加電圧がLiCoO2の酸化還元電位(約0.9V)を超えると、Co(III)は酸化される。
結晶構造における反応は複雑で、反応のストイキオメトリは単純ではない。それに呼応して、負極ではLi+が黒鉛にインターカレーションし、還元される。
【0122】
正極に、LiCoO2と同程度の酸化還元電位で可逆的に反応する物質が存在すれば、リチウムイオン電池は機能する。着目するのは、[Fe(phen)3](ClO4 -)2である。
ここで、phen:1,10フェナントロリンである。
[Fe(phen)3]( ClO4 -)3と間の酸化還元電位は約1Vで、酸化還元電位とほぼ等しい。
[Fe(phen)3](ClO4 -)2 + ClO4 - <--> [Fe(phen)3]( ClO4 -)3 + e-
【0123】
[Fe(phen)3]2+と同様、低スピン鉄(II)と(III)錯体、たとえば、[Fe(bipy)3]2+および[Fe(terpy)3]2+、ここで、bipy:2,2’-bipyridineおよびterpy:2,2’:6,2”terpyridine、は酸化電位が約1Vで、正極の活物質に使用できる。
【0124】
上記は二次電池であるが、負極と正極に活性炭を加え、セルに電圧を印加すると、電圧に関わらず、負極に電子が蓄積し、正極には正に帯電した空孔(正孔)が発生する。即ち、電気二重層キャパシタとして充電が開始する。印加を続けて、正極の電圧がLiCoO2の酸化還元電位(約0.9V )を超えると、Co(III)は酸化され、負極ではLi+が黒鉛にインターカレーションし、還元される。
【0125】
正極で、LiCoO2の代わりに、[Fe(phen)3](ClO4 -)2を用いても同じことが起こる。即ち、Fe(II)は酸化され、負極では、Li+が黒鉛にインターカレーションする。
【0126】
一つの電池で、電気二重層キャパシタと二次電池が独立して起こる。後で述べるレドックスキャパシタは全く異なる。レドックスキャパシタでは、レドックス反応がキャパシタの反応の一部だからである。
電気二重層キャパシタでは、負極が牽引して充電が始まる。実際には、負極に電子が吸着し、それに呼応して、正極では、正に帯電した空孔(正孔)が生じる。
【0127】
実際に、対象型セルにおいて、NaClO4水溶液を電解液とする場合、負極の電極表面にNa+が局在化し、カウンターイオン(ClO4 -)を引き離して、負極に吸着する。電気的中性を保つため、電極には電子(e-)が蓄積する。正極では、ClO4 -が正極に吸着し、正極には正孔が生じる。
しかし、正極が黒鉛だけで、活性炭が存在しない場合、正極の表面積は小さく、ClO4 -
【0128】
の局在化も少ない。それでも、負極に電子が蓄積すると、セル全体の中性を保つため、正極には正孔が生じる。つまり、正極の黒鉛が以下のように酸化される。C+は正孔を意味する。
C -> C+ + e-
黒鉛の代わりに、正極に、[Fe(phen)3](ClO4 -)2が存在すると、Fe(II)がFe(III)に酸化される。すなわち、
[Fe(phen)3](ClO4 -)2 + ClO4 - ->[Fe(phen)3]( ClO4 -)3 + e-
【0129】
この非対称型キャパシタでは、負極では対象型と同様に電極に電子が蓄積される。対象型との違いは、正極では、酸化反応が起こり蓄電される。これは、半分電気二重層キャパシタ、半分二次電池からなる新しいレドックスキャパシタである。
【0130】
キャパシタ電池の場合には、負極で、酸化還元反応がおこり、レドックスキャパシタでは、電気二重層キャパシタにおける負極とおなじことが起こっている。キャパシタ電池との違いは、反応の酸化還元電位がどのように小さくてもレドックスキャパシタは機能することである。たとえば、[(Fe(CN)6)]4-、酸化還元電位は0.36Vである。ただし、酸化還元電位が小さいと、蓄電容量も小さくなる。
[(Fe(CN)6)]4- -> [(Fe(CN)6)]3- + e-
電解液の電位窓が狭いと印加電圧を高くすることができず、酸化還元反応は起こらない。即ち二次電池として機能しない。
【0131】
これまで報告されているレドックスキャパシタとは本質的に異なる。同様に、有機系電解液を用いても行うことはできるが、有機系電解液における電気二重層キャパシタの蓄電容量は二次電池の数%にしかならず、ほとんど誤差の範囲となる。
【0132】
二次電池は負極と正極で起こる酸化還元反応を電気エネルギーに変換するものである。電解液の役割は、電子とイオンが負極と正極の間での移動を可能にすることである。
【0133】
電位窓が3V以上の飽和過塩素酸リチウム水溶液は、リチウムイオン電池の電解液に使用することができる。飽和でなくても、飽和に近い濃厚水溶液において、広い電位窓を有するため、二次電池の電解液に使用することができる。
【0134】
飽和過塩素酸塩水溶液を二次電池の電解液にするためには、電解液の電位窓は固有であるので、二次電池の起電力が電解液の電位窓よりも小さなものを選ばなければならない。
【0135】
セパレータ204に固体電解質を用いても良い。固体電解質は負極と正極の間のイオンの移動を抑えるため、個々の電極、即ち負極と正極には独立して印加されるため、充電において、負極における還元電位と正極における酸化電位を低く抑えることができる。
【0136】
そのため、電位窓の狭い水溶液を電解液にすることが可能になる。過塩素酸ナトリウム水溶液、飽和過塩素酸リチウム水溶液は、他の水溶液よりも電位窓が広く(25℃で3.2V)、電解液として好ましい。
【0137】
本発明は、電位窓が広いため、安定して長時間の使用が可能である。ナトリウムイオン電池においても、同様に飽和過塩素酸ナトリウム水溶液を電解液として使用することができる。
【0138】
飽和過塩素酸塩水溶液は過塩素酸リチウム(LiClO4),過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、過塩素酸バリウム(Ba(ClO4)2)および過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO4)2)である。これら飽和過塩素酸塩水溶液あるいは過塩素酸塩水溶液を二次電池の電解液に用いる。
【0139】
本発明の実施例において、電解液として、飽和過塩素酸塩水溶液を用いるとして説明するが、飽和に限定するものではない。飽和に近い過塩素酸塩水溶液であっても、効果、能力、性能に大きな差異はない。したがって、過塩素酸塩水溶液を用いても良いことはいうまでもない。
【0140】
図2は、本発明の電池の斜視図および一部断面図である。本発明の電池を筒状に構成した実施態様である。なお、図示を容易にするため、正極205、負極206等を省略している。本発明の電池二次電池等は、その他、箱型、板状等の多種多様な形状に構成できることは言うまでもない。
【0141】
図1図2等に図示するように、本発明の電池二次電池は容器(ケース)107に、正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)、セパレータ204が構成され、また、必要に応じて、正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)、セパレータ204間等に絶縁フィルム108が配置される。
【0142】
セパレータ204、正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)間には電解液222が充填され、また、正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)中に電解液222が充填される。
図3は、飽和過塩素酸塩水溶液のサイクリックボルタモグラム(CV)の説明図である。参照電極としてAg/AgCl電極を用いた。
図3に図示するCV測定において、平坦な部分では電流が流れていない。つまり、水の分解反応が起きていないことを意味する。平坦な部分が電位窓である。
【0143】
飽和過塩素酸ナトリウム水溶液と飽和過塩素酸リチウム水溶液では電位窓は3.2Vで、飽和過塩素酸マグネシウムと飽和過水溶液と飽和過塩素酸バリウム水溶液においても広い電位窓(約3V)を持つことが分かる。
【0144】
このことは飽和過塩素酸リチウム(LiClO4)水溶液、飽和過塩素酸ナトリウム(NaClO4)水溶液、飽和過塩素酸バリウム(Ba(ClO4)2)水溶液および飽和過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO4)2)水溶液が、二次電池の電解液に使えることを意味する。
図3に図示するように、過塩素酸塩水溶液の飽和水溶液は広い電位窓を持つ。これらの水溶液を電解液にすると高い印加電圧を操作することが可能である。
【0145】
図4は、飽和過塩素酸リチウム水溶液のサイクリックボルタモグラム(CV)および温度変化の説明図である。参照電極としてAg/AgCl電極を用いている。
CVは温度に依存するので、電位窓も温度により変化する。25℃では3.2Vであるが、40℃で3.0V、60℃では、2.8Vに減少する。
【0146】
図4において、25℃では飽和水溶液であるが、温度上昇に伴い、過塩素酸リチウムの溶解度は増加するので、40℃と60℃では、飽和状態ではなく、飽和状態に近い濃厚水溶液である。
【0147】
図4において、40℃と60℃では、広い電位窓を維持している。即ち、飽和に近い濃厚水溶液においても電位窓が広く、二次電池の電解液として使用することができる。
【0148】
過塩素酸リチウム(LiClO)以外の水溶液も電解液として用いることができる。たとえば、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO4)2)、過塩素酸カルシウム(Ca(ClO4)2)、過塩素酸バリウム(Ba(ClO4)2)または過塩素酸アルミニウム(Al(ClO4)3)といった過塩素酸塩水溶液が例示される。
図5は、飽和過塩素酸ナトリウム水溶液および飽和過塩素酸リチウム水溶液の導電率とその温度変化の説明図である。
飽和過塩素酸リチウム水溶液の導電率は飽和過塩素酸ナトリウム水溶液の導電率より倍以上大きい。いずれの場合も、導電率は温度上昇と共に上昇する。
【0149】
図5において、グラフの横軸は温度とし、縦軸は導電率でミリジーメンス毎センチメートル(mS/cm)としている。過塩素酸リチウム(LiClO)水溶液の導電率は、飽和NaClO4水溶液よりも約2倍高く、飽和LiClO4水溶液は優れた電解液である。
【0150】
以上の結果、飽和過塩素酸リチウム(LiClO4)水溶液を電解液に使用すると、25℃において、最大3.2Vの印加電圧が可能で、60℃においても2.8Vの印加電圧が可能である。
過塩素酸リチウム(LiClO)水溶液の導電率は過塩素酸ナトリウム(NaClO4)水溶液よりも高く、電池の電解液として好ましい。
【0151】
水は水素結合を介してクラスター状に大きな構造を形成している。このクラスター構造が水の結合を弱め、結果として電位窓を狭くしている。逆に、独立したH2Oなら、電位窓は広いことが推測される。このことを可能にしたのが超濃厚水溶液である。
【0152】
飽和過塩素酸ナトリウム水溶液の重量濃度は(25℃において17.1mol/(水1kg))と超濃厚で、水のクラスター構造はほぼ破壊されていると推測される。
【0153】
上述の飽和過塩素酸ナトリウム水溶液、飽和過塩素酸リチウム水溶液、飽和過塩素酸マグネシウム、飽和過塩素酸カルシウム、飽和過塩素酸バリウム、飽和過塩素酸アルミニウム、飽和硫酸マグネシウム水溶液、飽和硫酸カリウム水溶液および飽和硫酸ナトリウム水溶液のうち、複数の飽和水溶液を混合した混合物を電解液として用いることもできる。
【0154】
飽和過塩素酸ナトリウムの水溶液と飽和過塩素酸リチウム水溶液との混合物というような2種の飽和水溶液の組み合わせによる混合物に限られない。また、飽和過塩素酸ナトリウム水溶液、飽和過塩素酸リチウム水溶液および飽和過塩素酸バリウム水溶液の混合物というような3種以上の飽和水溶液の混合物であっても良い。
かかる混合物には、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム水溶液を含まなくともよく、様々な組み合わせによる混合物を電解液として用いることができる。
図24は、様々な濃度の過塩素酸ナトリウム(NaClO4)水溶液を電解液に用いた場合の充放電実験の結果を示す。
【0155】
過塩素酸ナトリウム(NaClO4)の重量濃度を10(mol/kg)~17(mol/kg)に変化させている。最大電圧は2Vとしている。横軸は、充放電の繰り返しの数であり、縦軸は重量当たりの放電容量(mAh/g)である。
【0156】
17(mol/kg)もそれほど悪くないが、16(mol/kg)以下の方が蓄電容量は大きい。10(mol/kg)以下では、サイクル週に対する重量当たりの変化が大きく、電池として電気仕様設計が難しくなる。
【0157】
10(mol/kg)以上16(mol/kg)以下の範囲はサイクル数に対する重量当たりの放電容量(mAh/g)変化が少なく安定している。また、重量当たりの放電容量が大きい。
【0158】
したがって、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)水溶液は、10(mol/kg)以上16(mol/kg)が好ましい。更に好ましくは、12(mol/kg)以上14(mol/kg)が好ましい。
【0159】
以上の事項は、過塩素酸リチウム(LiClO4)水溶液についても同様である。正極にLiCoO2を用いる場合は、電解液222として過塩素酸リチウム(LiClO4)水溶液を使用する。
【0160】
本発明において、負極に過塩素酸クロム(III)(Cr(ClO4)3)を添加する。過塩素酸クロムは溶解度が高い。そのため、最初から電解液に混ぜるのが好ましい。
【0161】
混合電解液における過塩素酸クロムの濃度は0.6(mol/kg)以上1.4(mol/kg)以下とすることが好ましい。更に好ましくは、0.8(mol/kg)以上1.2(mol/kg)以下とすることが好ましい。
Cr3+は負極において、充電すると(電圧を印加すると)Cr2+に還元される(Cr3+ + e- -> Cr2+ E0 = -0.424V )。
正極において、黒鉛と活性炭の混合物に添加する鉄錯体は電解液に不溶性であることが好ましい。充電するとFe2+はFe3+に酸化される。
[Fe(phen)3]2+ ->[ (phen)3]3+ + e- E0 = -1.06V
【0162】
ここで、phenと同様、bipy(ビピリジン)やen(エチレンジアミン)を配位子としても、2価と3価の酸化還元電位は約1Vである。Na4[Fe(CN)6]も添加剤に使用できる。この場合、[Fe(CN)6]4-がマイナスイオンであるから、錯体が電解液に溶けても、錯体は正極から離れないため、問題にならない。
[FeII(CN)6]4- -> [FeIII(CN)6]3- + e- E0=-0.36V
【0163】
本発明の電池は、急速充電すると、電気二重層キャパシタ機能となる。電流密度を小さくしてゆっくりと充電すると二次電池が機能する。つまり、鉄-クロム電池となる。
なお、過塩素酸クロム(III)の代替に過塩素酸バナジウム(III)でも良い。反応は、
V3+ + e- -> V2+ E0=-0.26V
【0164】
黒鉛と活性炭の混合物の代わりに酸化鉄(Fe2O3)を使用することが好ましい。酸化鉄(Fe2O3)は蓄電量が大きくなる。また、酸化鉄(Fe2O3)は安価であるため、低コストの電池を実現できる。
図25は、キャパシタ電池と二次電池の放電容量(mAh)に対する電圧(V)特性を模式的に示したグラフである。
【0165】
図25において、実線はキャパシタ電池である。放電容量(mAh)が増加するに対してキャパシタ電池の端子電圧(V)が線形に低下する。点線は二次電池の特性を示している。一定の放電容量(mAh)が増加に対して一定電圧をほぼ維持する。二次電池の放電量が終了に近くなると、二次電池の端子電圧が急激に低下する。
【0166】
本発明の電池は、急速充電すると、電気二重層キャパシタ機能となる。電流密度を小さくしてゆっくりと充電すると二次電池が機能するとして表現したが、本発明の電池の構成あるいは充電方法を工夫等することにより、電気二重層キャパシタ機能と二次電池機能を併せ持った電池を実現できる。
図26は、本発明の電池の放電容量(mAh)に対する電圧(V)特性を模式的に示したグラフである。
【0167】
放電容量(mAh)が少ない領域では、電気二重層キャパシタ機能となり、放電容量の増加と電池端子電圧の低下は線形に変化する。放電容量(mAh)が増加する(進むと)、放電容量に対して端子電圧の変化は小さくなり、ほぼ一定となる二次電池の特性となる。
【0168】
モータを回転させる時は、モータの起動時に大きな電流を流し起動させる必要がある。モータが回転すると定常時に流れる電流は小さくなり、一定電流を維持すれば良い。
本発明は、電気自動車等に搭載する。電気自動車では、回生制動時に発電し、発電した電力は、本発明の電池に蓄電される。
【0169】
電気自動車の起動時は、本発明の電池からモータに電力を供給する。モータの起動時は、本発明の電池は、キャパシタ電池としての機能が発揮され、低インピーダンスで大きな起動電流をモータに流すことができる。モータ起動後は、本発明の電池は主として二次電池として機能させる。二次電池の端子電圧は一定電圧に維持され、定常的なモータの回転が維持される。
【0170】
モータが一定の回転時(定常回転時)は、本発明の電池を二次電池特性で使用する。モータの回転が変化しても、二次電池の出力電流を回転数あるいはトルクに対応して電力供給を実現できる。
【0171】
図28図29図40図41で説明する動作、機能、構成を使用してモータに適正な回転数あるいはトルクに対応して電力供給を実現できる。電力供給には温度センサ604の温度データを加味して制御する。
【0172】
本発明の電池は、急速充電すると、キャパシタ電池として機能する。電流密度を小さくしてゆっくりと充電すると二次電池が機能する。あるいはキャパシタ電池と二次電池の機能を合わせ持つ。中間状態では、二次電池とキャパシタ電池の両方の機能を発揮し、印加電圧あるいは充電電流の大きさにより、二次電池とキャパシタ電池の割合を設定することができる。
キャパシタ電池に、二次電池の機能が加わることにより、電気二重層キャパシタより大きな蓄電容量が期待できる。
【0173】
図27は、本発明の電池の充電回路、充電装置の説明図である。本発明の電池の充電回路は、急速充電と、電流密度を小さくする充電とを設定でき、実施できる。
図27(a)は電圧制御回路方式の回路構成である。急速充電を実施でき、また、電池が過充電にならないように上限の充電電圧を制御できる。
【0174】
駆動制御回路622は、図27(a)の抵抗回路609c(VR1)を制御して出力電圧(VOUT)を設定する。レギュレータ回路(定電圧回路、定電流回路)505aは入力電圧(VIN)を、出力電圧(VOUT)に調整して出力する。出力電圧の制御は、抵抗回路609c(VR1)の値を変えて実施する。
【0175】
駆動制御回路622は、充電時に本発明の電池に流れる電流の値を検出あるいは測定し、電池に流れる電流の値を所定の範囲にするように制御する。また、本発明の電池の端子電圧を規定の電圧値に調整あるいは設定する。電池の充電時はスイッチ回路608aをオフ(オープン)させる。
充電された電池からの電力(電圧、電流)は、スイッチ回路508aをオン(クローズ)することにより、VIN端子を介して出力される。
【0176】
図27(b)は、電流制御回路方式の回路構成である。駆動制御回路622は抵抗回路609f(VR2)の値を制御し、抵抗回路609f(VR2)の値を変えれば、本発明の電池に充電する電流を変えることができる。
電流制御回路方式は、電池に充電する電流量を制御することにより、急速充電を実施でき、また、電池が過充電にならないように充電量を制御できる。
【0177】
駆動制御回路622は、図27(b)の抵抗回路609f(VR2)を制御して出力電流(VOUT)を設定する。レギュレータ回路(定電圧回路、定電流回路)505aは、出力電圧(VOUT)から出力される電流量を調整して出力する。
【0178】
駆動制御回路622は、充電時に本発明の電池に流れる電流の値を検出あるいは測定し、電池に流れる電流の値を所定の範囲にするように制御する。または、本発明の電池の端子電圧を規定の電圧値に調整あるいは設定する。電池の充電時はスイッチ回路608bをオフ(オープン)させる。
充電された電池からの電力(電圧、電流)は、スイッチ回路508bをオン(クローズ)することにより、VIN端子を介して出力される。
図27(a)の電圧制御回路方式の出力VOUTに図27(b)の電流制御回路方式の入力VINを接続した回路構成で、電池を充電しても良い。
【0179】
図28は、本発明の電池を用いた電池ユニット624の構成図および説明図である。図28は本発明の電池601を2個と、スイッチ回路2個を組み合わせた構成を図示しているがこれに限定されるものではない。出力電流、出力電圧に対応して、2個以上の電池と組み合わせても良い。
【0180】
図28(a)は本発明の電池601(電池601a、電池601b)を直列にした状態を図示している。スイッチ回路608aをオープン(オフ)にし、スイッチ回路608bは端子bを選択する。
【0181】
電極端子304から見ると、電極端子304、電池601a、スイッチ回路608b、電池601b、グランドが接続されている状態となる。つまり、コンデンサC1とC2とは直列接続されていることなる。
【0182】
図28(b)は本発明の電池601(電池601a、電池601b)を並列にした状態を図示している。スイッチ回路608aをクローズ(オン)にし、スイッチ回路608bは端子cを選択する。
【0183】
電極端子304から見ると、電極端子304、電池601a、スイッチ回路608b、グランドが接続されている状態となる。また、電極端子304、スイッチ回路608a、電池601b、グランドが接続されている状態となる。つまり、コンデンサC1とC2とは並列接続されていることなる。
【0184】
図28の電極端子304には、図27(a)の電圧制御回路の端子(VOUT)304bまたは図27(b)の電流制御回路の端子(VOUT)304bが接続される。もしくは、図27(a)の電圧制御回路の端子(VOUT)304bと図27(b)の電流制御回路の端子(VIN)304aを接続し、図27(b)の電流制御回路の端子(VOUT)304bを図28の電極端子304に接続しても良い。
【0185】
図28(a)に図示するように、電池601aと電池601bとを直列接続すると、電極端子304に印加されている電圧は、電池601aと電池601bで分圧される。分圧されることにより、電池601aと電池601bに印加される電圧は小さくなり、電池601はゆっくりと充電される。
【0186】
つまり、電池は低電流で充電される(低充電モード)。低電流で充電することにより、本発明の電池は、二次電池として機能させることができる。あるいは二次電池の機能の割合が大きくすることができる。
【0187】
図28(b)に図示するように、電池601aと電池601bとを並列接続すると、電極端子304に印加されている電圧は、電池601aと電池601bに印加される。電池601aと電池601bに同じ電圧が印加され、印加電圧に比例して、電池601は高速に充電される。つまり、電池は、大電流あるいは高速に充電することができる(高充電モード)。大電流あるいは高速に充電することにより、本発明の電池は、キャパシタ電池として機能させることができる。あるいはキャパシタ電池の機能の割合が大きくすることができる。
【0188】
実際には、充電する電流の大きさ、電圧により、キャパシタ電池と二次電池の機能を併せ持つ。また、キャパシタ電池と二次電池の機能の割合等は、充電の状態によって変化させることができる。図26におけるキャパシタ電池の機能が多い領域と二次電池の機能が多い領域を可変あるいは変更することができる。
【0189】
キャパシタ電池の機能が多い領域と二次電池の機能が多い領域を可変あるいは変更は、図27(a)の電圧制御回路で充電するか、図27(b)の電圧制御回路で充電するかを使い分けることにより制御できる。また、抵抗回路609f、抵抗回路609cの設定値で制御できる。
【0190】
図28(a)の電池の直列接続か、図28(b)の電池の並列接続かを切り替えること、あるいは、時間的に図28(a)の状態と図28(b)の状態とを変化あるいは切り替えることにより実現できる。あるいは、あるいは、PWM(Pulse Width Modulation)的に図28(a)の状態と図28(b)の状態とを変化あるいは切り替えることにより実現できる。
【0191】
たとえば、図28(a)の電池接続の状態を、10単位時間実施し、図28(b)の電池接続の状態を、1単位時間実施すれば、二次電池の機能としての動作が主にすることができる。図28(b)の電池接続の状態を、1単位時間実施し、図28(b)の電池接続の状態を、10単位時間実施すれば、キャパシタ電池の機能としての動作が主にすることができ構成した実施例であるが、
【0192】
回生制動により発電量が大きく、電池を急速に充電する必要がある場合は、本発明の電池601の端子電圧を高くする。すると、キャパシタ電池として、急速充電される。急速充電された電力はモータの起動電力として活用する。
【0193】
図28は、2個の電池(電池601aと電池601b)で電池ユニット624を構成した実施例であるが、3個以上の電池で構成しても良いことは言うまでもない。
【0194】
並列接続、直列接続は、2個の電池に限定するものではなく、3個以上の電位を並列接続、3個以上の電位を直列接続しても良いことは言うまでもない。並列接続する電池構成と直列接続する電池構成とを組み合わせも良いことは言うまでもない。
【0195】
つまり、電池ユニット624の電池はC1、C2の2個に限定するものではない。3個以上の電池で構成しても良いことは言うまでもない。また、複数の並列接続と複数の直列接続を組み合わせても良い。その他、たとえば電池で梯子段回路を構成しても良いことは言うまでもない。
【0196】
図40に図示するように、複数の電池ユニット624を使用して電池駆動回路627を構成しても良いことは言うまでもない。また、複数の電池駆動回路627を用いて、大規模の電池駆動回路627を構成しても良いことは言うまでもない。
【0197】
電池ユニット624にゆっくりと低電流で充電する状態(低充電モード)、高速の高電流で充電する状態(高充電モード)の切替えは、電圧制御回路503と、電流制御回路504の切替え、あるいは設定で実施できる。
【0198】
また、電圧制御回路503のボリウム(VR1)609c、電流制御回路504のボリウム(VR2)609fの調整により実施できる。ボリウムは電子ボリウムを使用し、駆動制御回路622で制御する。
【0199】
電池ユニット624を低充電モードで充電する場合は、電流センサ625で流れる電流を測定あるいは検出し、第1の所定の低電流となるようにボリウム(VR1)609cあるいはボリウム(VR2)609fの値を調整する。同時に温度センサ(温度計、温度測定器、温度検出器)604により、電池ユニット624の温度を測定し、測定した温度データで制御方式を変更あるいは設定する。
【0200】
電池ユニット624を高充電モードで充電する場合は、電流センサ625で流れる電流を測定あるいは検出し、第2の所定の低電流となるようにボリウム(VR1)609cあるいはボリウム(VR2)609fの値を調整する。
【0201】
たとえば、低充電モードの第1の所定の電流が1mAであれば、電池ユニット624に充電のために流れる電流を1mAあるいは以下となるように、ボリウム(VR1)609cあるいはボリウム(VR2)609fの値を調整し、あるいは可変して設定する。可変はリアルタイムで実施することが好ましい。
【0202】
高充電モードの第2の所定の電流が10mAであれば、電池ユニット624に充電のために流れる電流を10mAあるいはそれ以上となるように、ボリウム(VR1)609cあるいはボリウム(VR2)609fの値を調整し、あるいは可変、変更する。可変はリアルタイムで実施することが好ましい。
【0203】
高充電モード、低充電モードの切り替え、設定は、電流センサ625の測定電流値あるいは電流の変化の大きさ、ADコンバータ605cが測定する端子電圧あるいは端子電圧の変化の大きさの値により、変更、設定、切り替える。
電圧制御回路503と電流制御回路504の使い分けることによっても低充電モードと高充電モードの切り替え、設定を実施できる。
【0204】
電圧制御回路503は所定の電圧値に調整が容易であり、電池ユニット624に定電圧を印加する、あるいは定電圧の設定が容易である。たとえば、通常の充電電圧が、2Vの場合、充電電圧を2.5Vにすることにより、電池ユニット624に高電流で充電することができる。つまり、高充電モードで電池ユニット624を充電することができる。
【0205】
電流制御回路504は所定の電流値に調整、設定が容易であり、電池ユニット624に定電流を印加する、あるいは低電流の設定が容易である。たとえば、通常の充電電圧が、10mAの場合、充電電流を2mAにすることにより、電池ユニット624に低電流で充電することができる。つまり、低充電モードで電池ユニット624を充電することができる。
【0206】
したがって、図40図41図46図47等のスイッチ回路608aのスイッチSWa、スイッチSWbを選択することにより、電圧制御回路503と電流制御回路504を選択することができ、高充電モードと低充電モードを切り替えること、設定すること、変更することができる。
【0207】
図28に図示するように、電池ユニット624のスイッチ回路608aとスイッチ回路608bのオン状態あるいはオフ状態と設定、変更することによっても、低充電モードと高充電モードとを切替え、設定、変更を実施できる。また、ボリウム(VR1)609cあるいはボリウム(VR2)609fの値を調整する。
【0208】
図28(a)はスイッチ回路608により、電池601aと電池601bとが直列接続に設定している。図28(b)はスイッチ回路608により、電池601aと電池601bとが並列接続に設定している。
【0209】
電極端子304に印加される電圧が図28(a)と図28(b)で同一の場合、図28(a)の電池601の接続では、印加される電圧は電池601aと電池601bで分圧されるため、電池601aと電池601bに充電される電流は小さくなる。したがって、低充電モードとなる。
【0210】
図28(b)の電池601の接続では、印加される電圧は電池601aと電池601bでは同一電圧が印加されるため、電池601aと電池601bに充電される電流は大きくなる。したがって、高充電モードとなる。
【0211】
図28(a)と図28(b)との状態を切り替えることにより、高充電モードと低充電モードとを切り替えることができる。ボリウム(VR1)609cあるいはボリウム(VR2)609fの値を調整する。切替えには、電池601の温度によりボリウムの値を変更あるいは設定する。
【0212】
図28(a)と図28(b)の状態の切替えは、電流センサ624の測定電流値あるいは電流の変化の大きさ、ADコンバータ605cが測定する端子電圧あるいは端子電圧の変化の大きさの値により、変更、設定、切り替える。
【0213】
図27(a)と図27(b)、図28(a)と図28(b)は、時間設定により、あるいは時分割で設定変更することが好ましい。高充電モードと低充電モードとを時分割で設定変更することにより、キャパシタ電池機能と二次電池機能を合わせ持つ機能の電池を実現できる。
以上の事項は、本発明の他の実施例にも適用できることは言うまでもない。また、他の実施例と組み合わせることができることも言うまでもない。
【0214】
図28では、2個の電池を並列接続、直列接続するとして説明しが、図29にように、1つの電池構造に複数の電池を構成あるいは形成しても良いことは言うまでもない。また、1つの電池構造に、複数の電池を構成しても良いことは言うまでもない。
図30は、他の実施例における本発明の電池の説明図である。図30において、容器(ケース)107には、2個の電池が構成させている。
【0215】
箔、フィルム、シート、板等からなる基板301bには、正極205a(正極材料221a)、正極205b(正極材料221b)が形成または配置されている。また、箔、フィルム、シート、板等からなる基板301aには、負極206(負極材料231)が形成または配置されている。
【0216】
正極205a(正極材料221a)、正極205b(正極材料221b)と負極206(負極材料231)間にはセパレータ204が配置され、セパレータ204と、正極205(正極材料221b)、負極206(負極材料231)間には電解液222(電解液222a、電解液222b)が充填されている。
【0217】
図31は、図30の構成を模式的に図示した説明図である。セパレータ204と正極205a間、セパレータ204と正極205b間に電解液222aが配置され、セパレータ204と負極206間に電解液222bが配置されている。電解液222は正極材料221、負極材料231に含侵あるいは浸透させる。
【0218】
正極205aと負極206で1個の電池C1を構成あるいは形成されている。正極205bと負極206で1個の電池C2を構成あるいは形成されている。正極205a、正極205bの電極面積を変更することにより、電池C1と電池C2との容量を変更あるいは設計することができる。
電池C1と電池C2を用いることにより、図28の電池ユニットを構成することができる。
【0219】
正極205aと負極206間に電源回路(電源装置)501aを接続あるいは配置し、正極205bと負極206間に電源回路501bを接続あるいは配置し、電源回路501aと電源回路(電源装置)501bとを独立して充電電圧あるいは充電電流を設定できるように構成する。
たとえば、電源回路501aを、低電圧あるいは低電流に設定すれば、正極205aと負極206からなる電池は、主に2次電池として機能する。
また、電源回路501aを、高電圧あるいは高電流に設定すれば、正極205aと負極206からなる電池は、主にキャパシタ電池として機能する。
同様に、電源回路501bを、低電圧あるいは低電流に設定すれば、正極205bと負極206からなる電池は、主に2次電池として機能する。
また、電源回路501bを、高電圧あるいは高電流に設定すれば、正極205bと負極206からなる電池は、主にキャパシタ電池として機能する。
【0220】
図31は、正極205を、正極205a、正極205bと分割する実施例であったが、本発明は、これに限定するものではない。たとえば、図32に図示するように、負極を負極206aと負極206bに分離しても良い。
【0221】
正極205と負極206aで1個の電池C1を構成あるいは形成されている。正極205と負極206bで1個の電池C2を構成あるいは形成されている。負極206a、負極206bの電極面積を変更することにより、電池C1と電池C2との容量を変更あるいは設計することができる。
【0222】
この電池C1と電池C2を用いることにより、図28の電池ユニットを構成することができる。なお、構成する電池は3個以上であっても良いことは言うまでもない。
【0223】
正極205と負極206a間に電源回路501aを接続あるいは配置し、正極205と負極206b間に電源回路501bを接続あるいは配置する。電源回路501aと電源回路501bとを独立して充電電圧あるいは充電電流を設定できるように構成する。
【0224】
たとえば、電源回路501aを、低電圧あるいは低電流に設定すれば、正極205と負極206aからなる電池は、主に2次電池として機能する。また、電源回路501aを、高電圧あるいは高電流に設定すれば、正極205と負極206aからなる電池は、主にキャパシタ電池として機能する。
【0225】
図33は、他の実施例における本発明の電池の説明図である。図33において、容器(ケース)107には、ストライプ状の正極205または負極206が形成されている。
【0226】
箔、フィルム、シート、ベース板等からなる基板301bには、正極205a(正極材料221a)、正極205b(正極材料221b)が、ストライプ状に、あるいは溝状に、あるいはドット状に、形成または配置されている。
箔、フィルム、シート、板等からなる基板301aには、負極206(負極材料231)が形成または配置されている。
【0227】
正極205a(正極材料221a)、正極205b(正極材料221b)と負極206(負極材料231)間にはセパレータ204が配置されていることは、図30等と同様である。
【0228】
セパレータ204と、正極205(正極材料221)、負極206(負極材料231)間には電解液222(電解液222a、電解液222b)が充填されている。
【0229】
図34は、図33の構成を模式的に図示した説明図である。セパレータ204と正極205間、セパレータ204と負極206間に電解液222が配置、充填、含侵されている。
【0230】
正極205aと負極206で1個の電池C1を構成あるいは形成されている。正極205bと負極206で1個の電池C2を構成あるいは形成されている。正極205a、正極205bの電極面積を変更することにより、電池C1と電池C2との容量を変更あるいは設計することができる。なお、図32等で説明するように、負極を複数に分離しても良いことは言うまでもない。
電池C1と電池C2を用いることにより、図28の電池ユニットを構成することができる。
【0231】
図31と同様に、正極205aと負極206間に電源回路501aを接続あるいは配置し、正極205bと負極206間に電源回路501bを接続あるいは配置し、電源回路501aと電源回路501bとを独立して充電電圧あるいは充電電流を設定できるように構成する。
【0232】
たとえば、電源回路501aを、低電圧あるいは、ゆっくりと電流を供給できるように抑制電流回路に設定すれば、正極205aと負極206からなる電池は、主に2次電池として機能する。また、電源回路501aを、高電圧あるいは電源回路501の出力インピーダンスを低く設定すれば、正極205aと負極206からなる電池は、主にキャパシタ電池として機能する。
【0233】
同様に、電源回路501bを、電圧を下げ、あるいは電池に流れる電流をモニターして所定値以下となるように制御すれば、正極205bと負極206からなる電池は、主に2次電池として機能する。
【0234】
電源回路501bを、高電圧、あるいは電池に流れる電流を所定値よりも大きく設定すれば、正極205bと負極206からなる電池は、主にキャパシタ電池として機能する。
【0235】
図33図34において、正極205aと正極205bの形成面積を変更すること、異なる面積に設計することにより、電池C1と電池C2の容量を変更あるいは異なる容量に設計することができる。
【0236】
図33図34は、正極205を、正極205a、正極205bと分割する実施例であったが、本発明は、これに限定するものではない。たとえば、図32と同様に、負極を、負極206aと負極206bに分離しても良い。
図30図34で説明した電池を用いることにより、図28の電池ユニット624を構成することができる。
図31の実施例は、独立した電源回路501a、電源回路501bでキャパシタ電池の特性と、二次電池の特性を設定あるいは調整する実施例であった。
図35の実施例は、1つの電源回路501でキャパシタ電池の特性と、二次電池の特性を設定あるいは調整する実施例である。
【0237】
図35において、基板301等上に、正極205と負極206間の距離を規定する厚み規定膜502が形成または配置されている。厚み規定膜502は、シート、フィルム、樹脂等の有機材料、ガラス等の無機材料、導電体材料等で形成される。
【0238】
厚み規定膜502は、嵩上げ部である。また、正極205bと負極206の電解液222層の厚みを、正極205aと負極206の電解液222層の厚みと異ならせる、あるいは規定するためのギャップ層である。
【0239】
したがって、正極205bと負極206の電解液222層の厚みを、正極205aと負極206の電解液222層の厚みと異ならせるための構成であれば、いずれの形態、構成、構造であっても良い。
【0240】
なお、本発明の実施例において、セパレータ204を図示しているが、これに限定するものではない。セパレータ204は正極205と負極206が直接あるいは電気的に接触しないように規定することを1つの機能としている。
セパレータ204の厚みを正極205と負極206間で変化させても、電解液222層の厚みを規定あるいは変化させることができる。
【0241】
正極205と負極206が直接あるいは電気的に接触しないような構造であれば、セパレータ204は省略することができる。たとえば、正極205と負極206間に、液晶パネルの液晶層のギャップを規定するビーズの散布、絶縁体柱を形成する構成が例示される。
【0242】
箔、フィルム、シート、板等からなる基板301bには、厚み規定膜502が形成または配置されている。厚み規定膜502は、膜厚等が厚い正極205として構成あるいは作製しても良いことは言うまでもない。また、正極205側に限定されるものではなく、負極206側に構成あるいは作製しても良い。また、厚み規定膜502は、正極205、負極206の両方に構成あるいは作製しても良いことは言うまでもない。
あるいは、正極205側または負極206の上に、電界強度を抑制する低誘電体膜を形成または作製しても良い。
以上の事項は、本発明の他の実施例においても適用される。あるいは、本発明の他の実施例と組み合わせることができることは言うまでもない。
【0243】
厚み規定膜502を形成または作製することにより、正極205aと負極206間に距離が、正極205bと負極206間に距離よりも長くなる。または、正極205bと負極206間に距離が、正極205aと負極206間に距離よりも短くなる。
【0244】
基本的には、正極205と負極206間の距離が短いほど、正極205と負極206間の電界強度が高くなる。電界強度が高いほど充電電流は大きくなる。逆に正極205と負極206間の距離が長いほど、正極205と負極206間の電界強度が低くなる。電界強度が低いと充電電流はゆっくりとなる。
【0245】
相対的に、ゆっくりと充電するためには、正極205と負極206の距離を離す、あるいは、正極205と負極206間の電界強度を小さくする。相対的に、高速に充電するためには、正極205と負極206の距離を近くする、あるいは、正極205と負極206間の電界強度を高くなるように構成することにより実現できる。
【0246】
本発明の電池は充電する電流の大きさ、電圧により、キャパシタ電池と二次電池の機能を併せ持つ。あるいは、キャパシタ電池と二次電池の機能を持たせることができる。あるいは、キャパシタ電池と二次電池の機能の割合を任意に設定することができる。
【0247】
キャパシタ電池と二次電池の機能の割合等は、充電の状態によって変化させることができる。図35では、キャパシタ電池の機能が多い領域と二次電池の機能が多い領域を可変あるいは変更することができる。
【0248】
図35のように構成することにより、図36に図示するように、1つの電源回路501aで、正極205aと負極206間の電界強度と、正極205bと負極206間の電界強度とを異ならせることができる。
電源回路501aは、印加する電圧あるいは電流密度を変化あるいは調整もしくは設定することができる。
【0249】
図36の実施例では、正極205aと負極206間の電界強度は、正極205bと負極206間の電界強度に比較して相対的に弱くなる。正極205aと負極206で構成される電池は、ゆっくりと充電される。したがって、二次電池の機能が大きくなる。
【0250】
正極205bと負極206間の電界強度は、正極205aと負極206間の電界強度に比較して相対的に強くなる。正極205bと負極206で構成される電池は、急速に充電できる。したがって、キャパシタ電池の機能が大きくなる。
二次電池の機能と、キャパシタ電池の機能の割合、動作は、電源回路501aの電圧等を調整あるいは設定することにより実施する。
電源回路501は図27の回路構成を使用しても良いことは言うまでもない。
【0251】
図37は、本発明の他の実施例における説明図である。図37に図示するように、正極205あるいは負極206を複数に構成しても良いことは言うまでもない。また、負極206かつ、正極205に対向する位置に、厚み規定膜502を形成しても良いことは言うまでもない。
【0252】
正極205bと負極206間に電界強度は、厚み規定膜502により相対的に弱くすることができる。したがって、ゆっくりと充電することができ、二次電池の機能が発揮される。あるいは相対的に二次電池として機能する割合が大きくなる。
【0253】
一方、正極205aと負極206間に電界強度は、厚み規定膜502がないため、正極205bに比較して電界強度を強くすることができる。したがって、急速に充電することができ、キャパシタ電池の機能が発揮される。あるいは相対的にキャパシタ電池として機能する割合が大きくなる。
【0254】
図38は、本発明の他の実施例における電池の説明図あるいは構成図である。図38では、基板301上に、凹凸あるいは二次元方向で、厚みの異なる厚み規定膜502(厚み規定膜502a、厚み規定膜502b)が形成されている。または配置されている。
【0255】
基板301に厚み規定膜502が形成され、厚み規定膜502上に、正極205、負極206が形成されている。厚み規定膜502は、凹凸状(サインカーブ状、矩形状、三角状、ドット状等)に形成または構成されている。したがって、厚み規定膜502aと厚み規定膜502bにより正極205と負極206間の距離が面内で異なる分布となるように形成または構成できる。
【0256】
正極205bと負極206間に電界強度は、厚み規定膜502により相対的に変化する。正極205bと負極206間が相対的に離れている部分は、電界強度が弱くなり、ゆっくりと充電することができ、二次電池の機能が発揮される。あるいは相対的に二次電池として機能する割合が大きくなる。
【0257】
正極205bと負極206間が相対的に近い部分は、電界強度が強くなり、急速に充電することができ、キャパシタ電池の機能が発揮される。あるいは相対的にキャパシタ電池として機能する割合が大きくなる。
【0258】
図39は、基板301を矩形にした構成である。矩形はドット状、ストライプ状、三角状、サインカーブ状等のいずれでも良い。基板301を直接に加工して矩形形状にしても良いし、また、基板301に、厚み規定膜502を形成して凹凸を形成しても良い。
【0259】
図39は、基板301aに段差tを形成した構成である。基板301aに樹脂などを使用して形成しても良いし、基板301を溝状に切削して形成しても良い。以上の事項は、図16でも同様である。
【0260】
図39の実施例では、基板301bを凹凸状とし、基板301bに正極205を形成している。正極205は、凹凸による段差tによって、電極を構成する膜に段切れが発生し、正極205aと正極205bに分離される。したがって、図34に図示して説明したように、正極205aと正極205bとに異なる電源回路501(電源回路501a、電源回路501b)から、電流または電圧を供給できる。
【0261】
また、基板301aを凹凸状とし、基板301aに負極206を形成している。負極206は、凹凸による段差によって、段切れが発生し、負極206aと負極206bに分離される。
【0262】
したがって、図34に図示して説明したように、負極206aと負極206bとに異なる電源回路501(電源回路501a、電源回路501b)から、電流または電圧を供給できる。
正極205と負極206間に電界強度は、正極205と負極206との距離に依存する。
【0263】
正極205bと負極206bとは相対的に距離が離れている。したがって、電界強度が弱くなり、ゆっくりと充電することができ、二次電池の機能が発揮される。あるいは相対的に二次電池として機能する割合が大きくなる。また、時間が長くなる。
【0264】
正極205aと負極206a間が相対的に近い部分は、電界強度が強くなり、急速に充電することができ、キャパシタ電池の機能が発揮される。あるいは相対的にキャパシタ電池として機能する割合が大きくなる。
電源回路501の電圧の調整等により、二次電池機能とキャパシタ電池機能の割合、比率、充電容量を設定、変更、調整を行うことができる。
【0265】
本発明は、1つの電池あるいは1つの容器(ケース)107内に電解液に異なる電界強度の部分あるいは構成を作製あるいは形成する。また、1つの電池内に急速充電される部分(箇所)と低速充電される部分(箇所)を作成あるいは形成する。また、キャパシタ電池として機能する部分と二次電池として機能する部分を形成する。
【0266】
キャパシタ電池として機能する部分と二次電池として機能する部分は、正極205あるいは負極206を形成する領域あるいは範囲を異ならせることにより実現できる。また、厚み規定膜502を形成することにより実現する。
また、複数の電源回路で、独立して正極205あるいは負極206に印加する電圧あるいは電流を変化・調整することにより実現する。
【0267】
電源回路501aを、低電圧あるいは低電流に設定すれば、正極205と負極206aからなる電池は、主に2次電池として機能する。また、電源回路501aを、高電圧あるいは高電流に設定すれば、正極205と負極206aからなる電池は、主にキャパシタ電池として機能する。
以上の実施例は、1つの基板301上に、正極205または負極206を形成した構成であった。本発明は、これに限定するものではない。
【0268】
本発明の他の実施例について説明をする。以前に説明した事項と同一あるいは類似の事項、内容は説明を省略することがある。また、本明細書、図面で記載した実施例は一部または全部を組み合わせることができる。
【0269】
図12は、本発明の他の実施例における電池の構成図および説明図である。図1図2図30図39の実施例では、負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)がセパレータ204と対面した位置に配置されている。
【0270】
図12の本発明の実施例では、基板あるいはフィルム(シート)(以下、基板(フィルム)と呼ぶ)301aに負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)が交互に隣接して配置または形成されている。負極材料231(負極206)(負極206)と正極材料221(正極205)の周囲には電解液222が充填、含侵されている。
【0271】
基板(フィルム)301bに正極材料221と負極材料231が交互に隣接して配置または形成されている。正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)の周囲には電解液222が充填されている。
【0272】
基板(フィルム)301aの正極材料221(正極205)の対向位置には、基板(フィルム)301bの正極材料221(正極205)が配置されている。基板(フィルム)301aの負極材料231(負極206)の対向位置には、基板(フィルム)301bの負極材料231(負極206)が配置されている。
【0273】
基板(フィルム)301aと基板(フィルム)301b間にはセパレータ204が配置され、セパレータ204はガスケット(密閉具、密閉材料、封止部、封止材料)207に取り付けられている。基板(フィルム)301a、基板(フィルム)301b、セパレータ204の周囲には電解液222が充填されている。
【0274】
基板(フィルム)301aの正極材料221(正極205)に対向する位置には基板(フィルム)301bの正極材料221(正極205)が配置または形成され、基板(フィルム)301aの負極材料231(負極206)に対向する位置には基板(フィルム)301bの負極材料231(負極206)が配置または形成されている。
【0275】
本発明において、セパレータ204は電解膜として機能するが、負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)が接触することを防止する機能も有する。
電解液(充填液)222は、正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)に含侵、浸透させて構成しても良いことは言うまでもない。
【0276】
図12の実施例では、基板(フィルム)301aの正極材料221(正極205)に対向する位置には基板(フィルム)301bの正極材料221(正極205)が配置または形成されているため、セパレータ204aがなく、基板(フィルム)301aの正極材料221(正極205)と、基板(フィルム)301bの正極材料221(正極205)とが接触しても、電気的短絡が発生することがない。したがって、正極205と負極が206接触することがなく、セパレータ204を省略することができる。
図12では、電解液(充填液)222と隣接した正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)で電池を構成する。
【0277】
基板(フィルム)301の正極材料221(正極205)は正極として、負極材料231(負極206)は負極として機能し、電解液222を機能させて電池を構成する。
基板(フィルム)301a、基板(フィルム)301dは片面に負極材料231(負極206)、正極材料221(正極205)が配置または形成されている。
【0278】
基板(フィルム)301b、基板(フィルム)301cは、両面に負極材料231(負極206)、正極材料221(正極205)が配置または形成されている。
【0279】
各基板(フィルム)301の両端はガスケット207で封止され、各セパレータ204(セパレータ204a、セパレータ204b、セパレータ204c)が配置され、対向する電極材料が接触することを防止している。
基板(フィルム)301a、基板(フィルム)301b、基板(フィルム)301c、
基板(フィルム)301dは、容器(ケース)107内に保持される。
基板(フィルム)301は多数に積み重ねることにより、電力容量を増加させることができる。
【0280】
図12等の構成において、図30図39等で説明した実施例を適用することにより、キャパシタ電池と二次電池の機能を付加できることは言うまでもない。他の実施例においても同様である。
本明細書、図面で説明した事項は相互に組み合わせることができる。また、一部または全部を組み合わせ、あるいは実施することができる。
【0281】
図13図23は、本発明の他の実施例における電池の構成図および説明図である。図13において、負極材料231(負極206)に負極コーティング材303を被覆(コーティング)し、正極材料221(正極205)に正極コーティング材302を被覆(コーティング)している。
【0282】
図11で説明したように、カーボンクロス等で構成あるいは形成された電極材料にFe2O3をコーティングすると、活性炭のように表面積の大きな電極になる。
図11(a)では正極と負極は共にFe2O3をコーティングしている。図11(b)は負極のみにFe2O3をコーティングしている。
【0283】
図13図23に図示するように、正極材料221(正極205)にFe2O3等の酸化鉄材料を正極コーティング材302として被覆し、負極材料231(負極206)にFe2O3等の酸化鉄材料を負極コーティング材303として被覆することにより、活性炭のように表面積の大きな電極になり、電池効率が向上する。
なお、コーティング材による電極の被覆は、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)のうち、一方の電極材料に形成しても良い。
図13図23の実施例のように、カーボンクロス等で電極を形成し、前記電極にFe2O3をコーティングした電極を採用することが好ましい。
【0284】
図12図13で図示するように、対向する位置に同一極性の電極を配置することにより、対向する位置の電極(たとえば、基板(フィルム)301aの正極材料221(正極205)と、基板(フィルム)301bの正極材料221(正極205))が積極しても電池機能として動作する。したがって、電極材料が接触を防止する機能として使用するセパレータ204は不要である。
なお、図13の構成においても、セパレータ204を使用しても良いことは言うまでもない。
図14図15は、本発明の他の実施例における電池等の構成図および説明図である。セパレータ204は図示することを省略している。
【0285】
図14は、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)の配置を模式的に図示した説明図である。正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とは、櫛歯状に形成され、隙間をあけて配置されている。電極材料の周囲はガスケット207が配置され、ガスケット207内には電解液222が充填されている。
【0286】
正極材料221(正極205)の一端は正電位を印加する電極端子304aに接続されている。負極材料231(負極206)の一端は負電位を印加する電極端子304bに接続されている。
電極端子304aと電極端子304b間には電源回路501が接続され、電圧あるいは電流が印加される。
【0287】
櫛歯状、ストライプ状に形成された正極材料221(正極205)と、櫛状に形成された負極材料231(負極206)と、充填された電解液222で電池を構成する。
【0288】
基板(フィルム)301a上に、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とを隣接して配置または形成することにより、セパレータ204は不要となる。あるいは省略できる。
櫛歯状等に形成することにより、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とが隣接する面積が広くなり、良好な電流容量を実現できる。
【0289】
図14等において、電極材料は櫛歯状として図示したが、これに限定するものではなく、1平面において、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とが隣接するように配置または形成した構成であればいずれの構成であっても良い。
【0290】
図15は、図14のAA’線での断面図である。図15(a)は基板301aに正極材料(正極)と負極材料(負極)が形成あるいは構成された実施例である。図15(b)は基板301aおよび基板301bに正極材料(正極)と負極材料(負極)が形成、あるいは構成あるいは配置された実施例である。
【0291】
図15(a)は、基板301bに電解液222の充填穴(入出穴)305が形成されている。入出穴305aから電解液を注入することができ、入出穴305bから電解液を注出することができる。したがって、電解液222を入れ替えることができる。
【0292】
電解液222は、電池の使用により劣化する。したがって、一定以上、電解液222を入れ替えることが好ましい。また、電解液は基板301aと基板301bとをガスケット207で組み立ててから、注入するように構成すれば、電池の製造が容易となる。
【0293】
入出穴305は、基板301aと基板301bの両方に形成または配置して良い。また、ガスケット207に入出穴(図示せず)を形成し、この入出穴(図示せず)から電解液222を注入、注出しても良い。
入出穴305aから電解液222を注入し、入出穴305bから注出するように構成し、電解液222を巡廻させても良い。
【0294】
図15(b)等の本発明の電池等において、基板301aの正極材料221(正極205)と基板301bの正極材料221(正極205)とを対向位置に配置する。また、基板301aの負極材料231(負極206)と基板301bの負極材料231(負極206)とを対向位置に配置することが好ましい。
【0295】
基板301a、基板301bが外部押圧などにより変形し、基板301aの正極材料221(正極205)と基板301bの正極材料221(正極205)が接触し、また、基板301aの負極材料231(負極206)と基板301bの負極材料231(負極206)とが接触しても電池の動作的に問題が少ないからである。
図14図15は、基板301に正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)を隣接して、平面上に配置または形成した構成である。
【0296】
図16は、基板301aに段差tを形成した構成である。段差tは、凸部307の形成により作製する。凸部307は、基板301aに樹脂などを使用して形成しても良いし、基板301aを溝状に切削して形成しても良い。以上の事項は、図39でも同様である。
図16の実施例では、凸部307に正極材料221(正極205)を形成し、凹部308に負極材料231(負極206)を形成しているとして図示している。
【0297】
正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)の位置は、この逆でも良い。たとえば、凸部307に負極材料231(負極206)を形成し、凹部308に正極材料221(正極205)を形成する。
【0298】
段差tは、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)の膜厚で決定する。正極材料221(正極205)あるいは負極材料231(負極206)の膜厚をaとすれば、t > aの関係となるように形成し、さらに好ましくは、2t > aの関係となるように形成する。
【0299】
図16では、凹凸がある基板301aに、正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)が形成され、基板301bと基板301a間に電解液222が充填されている。正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)と、その間にある電解液222でキャパシタ電池等が構成される。
本発明の電池の製造方法では、正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206)は、蒸着技術、スパッタ技術で形成する。
【0300】
図17図18図19図20は本発明の電池等の製造方法の説明図である。図17(a)は基板301aの平面図であり、図17(b)は、図17(a)のAA’線での断面図である。
【0301】
基板301aには段差tが形成されている。凸部307は、基板301aに樹脂などを使用して形成しても良い。基板301aを溝状に切削して凹部308を形成しても良い。
【0302】
図17(a)に図示するように、基板301aに櫛歯状の凹部308、凸部307が形成され、凹部308の一端には負電圧を印加する電極端子304aが配置され、凹部308の一端には正電圧を印加する電極端子304bが配置される。
なお、櫛歯状、ストライプ状に限定されるものではなく、少なくとも一対の凸部307と凹部308とが形成すれば良い。
【0303】
図18は、基板301aに蒸着技術(蒸着製膜)により膜306を形成している実施例である。なお、蒸着技術(蒸着製膜)に限定されるものではなく、スパッタリング成膜を採用しても良い。また、イオンプレーティング、気相成長(CVD)を用いて膜306を形成あるいは構成しても良いことは言うまでもない。
【0304】
蒸発源から蒸着材料309(正極材料221(正極205)、負極材料231(負極206))が蒸発され、上方に配置された基板301aの膜306が蒸着される。膜306aが正極材料221(正極205)となり、膜306bが負極材料231(負極206)となる。
【0305】
正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とは、同一の蒸着材料309で形成されるが、段差tがあるため、蒸着膜306は「膜段切れ」し、蒸着膜306aと蒸着膜306bに分離される。したがって、蒸着膜306はエッチング処理を実施して、分離する必要がない。
【0306】
凸部307に形成された蒸着膜306aが正極材料221(正極205)となり、凹部308に形成された蒸着膜306bが負極材料231(負極206)となる。
【0307】
したがって、1回の蒸着工程において、段差tにより、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とを同時に形成または構成することができる。かつ、段差tにより、図17(a)に図示するように、櫛歯状に正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とを形成することができる。また、電極端子304a、電極端子304bとを、蒸着材料309で形成することができる。
【0308】
図11等で説明したように、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)を酸化鉄(たとえば、Fe2O3)でコーティングする場合は、蒸着膜306(蒸着膜306a、蒸着膜306b)を形成後、蒸着材料309として、酸化鉄(たとえば、Fe2O3)を使用して、蒸着膜306(蒸着膜306a、蒸着膜306b)上に酸化鉄(たとえば、Fe2O3)を形成する。
なお、電極端子304a、電極端子304bの蒸着材料309は、Niめっき、Cuめっき等のめっき技術でめっき膜を形成することが好ましい。
【0309】
図18の本発明の製造方法の実施例は、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とを同一材料で形成する場合の実施例である。図19の本発明の製造方法は、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とは、異なる材料で形成する場合の実施例である。
正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)で、形成材料を変化あるいは変更するためには、蒸着マスク310を使用する。
【0310】
図19(a)で図示するように、凹部308部に開口部を有する蒸着マスク310aを基板301aの下に配置する。蒸着材料309は蒸着マスク310aの開口部を通過して基板301aの凹部308に蒸着膜306bとして蒸着される。蒸着膜306bは負極材料231(負極206)となる。
【0311】
図19(b)で図示するように、凸部307部に開口部を有する蒸着マスク310bを基板301aの下に配置する。蒸着材料309は蒸着マスク310bの開口部を通過して基板301aの凸部307に蒸着膜306aとして蒸着される。蒸着膜306aは正極材料221(正極205)となる。
【0312】
図19の実施例では、正極材料221(正極205)の形成に使用する蒸着マスク310aと、負極材料231(負極206)の形成に使用する蒸着マスク310bを使用することにより、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とは、異なる材料で形成することができる。
【0313】
図20に図示するように、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)とのうち、一方の電極材料を形成し、かつ、図11等で説明したように、電極材料を酸化鉄(たとえば、Fe2O3)でコーティングする場合は、蒸着膜306(蒸着膜306aまたは蒸着膜306b)を形成する。次に、蒸着材料309として、酸化鉄(たとえば、Fe2O3)を使用して、蒸着膜306(蒸着膜306aまたは蒸着膜306b)上に酸化鉄(たとえば、Fe2O3)を形成する。
正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)のうち、一方の電極を形成するためには、蒸着マスク310を使用する。
【0314】
図20(a)で図示するように、凹部308部に開口部を有する蒸着マスク310を基板301の下に配置する。蒸着材料309は蒸着マスク310の開口部を通過して基板301aの凹部308に蒸着膜306bとして蒸着される。
【0315】
図20(b)で図示するように、蒸着マスク310を用いず、蒸着材料309として、酸化鉄(たとえば、Fe2O3)を使用して、蒸着膜306b上に酸化鉄(たとえば、Fe2O3)を形成する。
【0316】
図20の実施例では、負極材料231(負極206)の形成に蒸着マスク310を使用する。また、基板301aの全体を被覆するように、酸化鉄(たとえば、Fe2O3)を形成することができる。
【0317】
以上の実施例は、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)を櫛歯状に配置した実施例である。本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図21に図示するように、円弧状、渦巻き状あるいはらせん状に形成しても良い。
【0318】
本発明は、1つの基板あるいはフィルムに隣接して正極材料221(正極205)からなる正極と、負極材料231(負極206)からなる負極とを形成し、正極材料221(正極205)と負極材料231(負極206)間に電解液222を充填あるいは含侵した構成であればいずれの構成あるいは構造であっても良い。
【0319】
以上の実施例は、隣接して正極材料221(正極205)からなる正極と、負極材料231(負極206)からなる負極の位置配置が固定された実施例であったが、本発明はこれに限定するものではない。
【0320】
図22は、本発明の電池などの構成図および説明図である。図22において、容器(ケース)107内に、正極材料221(正極205)からなる正極は、中心位置Cを中心に円筒状、かつL方向に回転できるように配置している。
【0321】
容器(ケース)107内に、負極材料231(負極206)からなる負極は、中心位置Cを中心に円筒状、かつR方向に回転できるように配置している。容器(ケース)107内に電解液222が充填されている。
【0322】
正極材料221(正極205)からなる正極は、中心位置Cを中心に回転し、負極材料231(負極206)からなる負極は、中心位置Cを中心に回転する。回転に伴い、正極と負極との位置関係が変化するとともに、電解液222が攪拌される。
【0323】
図22においても、図15(a)に図示するように、容器(ケース)107に電解液222の充填穴(入出穴)305(図示せず)を形成または配置しても良い。入出穴305から電解液を注入することができ、また、電解液を注出することができる。したがって、電解液222を入れ替えることができる。
充電あるいは放電の状態をモニターあるいは監視し、充電あるいは放電の状態にしたがって、電解液の流量あるいは移動量を変化あるいは調整しても良い。
入出穴305から電解液を注入、排出することにより、電解液を移動、攪拌することができ、充電、放電状態を良好にできる。
【0324】
図22において、正極材料221(正極205)からなる正極はL方向に回転できるように配置、構成し、負極材料231(負極206)からなる負極はR方向に回転できるように配置、構成するとしたが、これに限定するものではない。
【0325】
正極材料221(正極205)からなる正極の回転方向と、負極材料231(負極206)の回転方向を同一方向としても良い。正極材料221(正極205)からなる正極の回転方向と、負極材料231(負極206)の回転方向とを同期を取り、位置関係を保持した状態で回転させても良い。位置関係を保持することにより、電池の充電あるいは放電状態を一定にすることができ、また、電解液を攪拌することができる。
【0326】
以上の事項は他の実施例にも適用される。また、回転に限定されるものではなく、たとえば、図21の実施例において、中心Oで回転させても良い。また、回転に限定されるものではなく、振動させても良い。
【0327】
たとえば、図16の実施例において、基板(フィルム、シート)301aを上下方向、左右方向に移動あるいは振動させることにより、電解液を攪拌等することができる。振動は超音波等による振動、移動であっても良い。
【0328】
本発明の実施例において、対向する位置に同一極性の電極あるいは電極材料を配置するとしたが、これに限定するものではない。対向する位置に異なる極性の電極あるいは電極材料を配置しても良い。
【0329】
以上の実施例では、負極あるいは負極材料231(負極206)と正極あるいは正極材料221(正極205)間に、間隙あるいは段差を形成あるいは構成し、電解液222を充填等するとしたが、これに限定するものではない。
【0330】
図23は、本発明の他の実施例における電池の構成図および説明図である。図23では負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)間に、絶縁材料312からなる絶縁膜あるいは絶縁壁を形成または配置した構成である。
【0331】
絶縁材料312を形成または配置することにより、負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)に電解液がなく、負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)との電界強度が均一となる。
【0332】
セパレータ204の存在は正極と負極が短絡(ショート)することを防ぐことである。短絡を防ぐ機能があれば、セパレータ204は必要ない。しかし、内部抵抗が電解液の導電率に支配される構造ならば、正極と負極の距離は短い方が良い。
【0333】
図23のように、絶縁材料312を配置すれば、正極と負極の間の実質的な距離は短くできる。もし、短絡が生じた場合(抵抗が異常に小さくなった場合)、その部分を自動的に排除すれば、電池全体では、問題なく機能する。
【0334】
絶縁材料312として、セラミック、SiO2、SiNx、TiO2、SiON等の無機材料、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等の誘電体材料、有機材料が例示される。
【0335】
絶縁材料312は壁状の絶縁壁であっても良い。また、隣接した電極間の電界強度を均一あるいは電界集中がないように隔離あるいは隔離間隔を設ける隔離膜あるいは隔離壁であっても良いことは言うまでもない。図23の絶縁材料312等の構成、形態は本発明の他の実施例にも適用できることは言うまでもない。
【0336】
負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)とは、エッチング工法等によりパターニングしても分離しても良いし、また、印刷工法により、負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)とは分離して形成しても良い。
【0337】
また、負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)とを1つの電極として形成し、レーザ等を負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)との間に照射し、負極材料231(負極206)と正極材料221(正極205)とを分離しても良い。
【0338】
以上の実施例では、1つの容器(ケース)107に1個または2個の電池が構成されるとして説明した。本発明は、図29に図示するように、多数個の電池が1つあるいは複数の容器(ケース)107内に構成しても良いことは言うまでもない。
【0339】
図29は、本発明の電池の説明図である。図29に図示するように、本発明の電池は、容器(ケース)107内に電池601bと電池601bが構成、または配置されている。
【0340】
図29において、セパレータ204は図示することを省略している。図29において、単位電池(電池)Cとして図示している。単位電池Cの構成、容量は同一であることに限定されない。Cの構成、容量は電池601aと電池601bでそれぞれ異なっていても良いことは言うまでもない。
【0341】
図29において、電池601aと電池601bが1個の容器(ケース)107に構成されている。容器(ケース)107には、電解液222が充填されている。電極端子304には電極材料104(正極材料221、負極材料231)が接続あるいは配置される。
【0342】
電極端子304a1には電極材料104aが接続され、電極端子304bには電極材料104cが接続されている。電極端子304a2には電極材料104bが接続され、電極端子304bには電極材料104cが接続されている。
電池601aは電極材料104aと電極材料104cが対向等して配置され、電極材料104aと電極材料104c間に単位電池C1が構成されている。
電池601bは電極材料104bと電極材料104cが対向等して配置され、電極材料104bと電極材料104c間に単位電池C2が構成されている。
【0343】
以上のように、図29の本発明の電池601では、1つの容器(ケース)107内に電池601aと電池601bが構成、あるいは配置または形成されている。電池601aと電池601bでは、電極端子304bが共通となっている。電池601a、電池601bで電池ユニット624を構成する。
【0344】
本発明は、図29の電池ユニット624内の2つの電池601a、電池601bの構成に限定されるものではない。たとえば、電池ユニット624に1つの電池601、あるいは3つ以上の電池601を配置または構成しても良いことは言うまでもない。
図29の電池ユニット624において、電池601aを一次側の電池ユニット624aとし、電池601bを一次側の電池ユニット624bとする。
【0345】
図40は、電池ユニット624bから、インバータ回路606に電力を供給状態の説明図である。図40において、スイッチ回路608aのスイッチSWaとスイッチSWbのうち少なくとも一方のスイッチがクローズし、電池駆動回路627a、電池駆動回路627bとインバータ回路606が接続される。
電池駆動回路627a、電池駆動回路627bには図28等で説明した複数の電池ユニット624が構成あるいは配置されている。
【0346】
各電池ユニット624内のスイッチ回路608(スイッチ回路608a、スイッチ回路608b)は、オンまたはオフ動作し、電池601(電池601a、電池601b)を直列接続あるは並列接続に変更あるいは設定する。
【0347】
スイッチ回路Sa(スイッチ回路Sa1~スイッチ回路Sa4)は独立してオンまたはオフ動作する。オンすることにより、該当の電池ユニット624aが選択されて、電圧制御回路(電圧制御装置)503と接続される。
【0348】
スイッチ回路Sb(スイッチ回路Sb1~スイッチ回路Sb4)は独立してオンまたはオフ動作する。オンすることにより、該当の電池ユニット624bが選択されて、電流制御回路(電流制御装置)504と接続される。
【0349】
電圧制御回路503は電池ユニット624aと接続される。インバータ回路606からの回生電力は、電圧制御回路503を介して、電池ユニット624aに供給され、電池ユニット624aに電力が充電される。電池ユニット624aに充電された電力は、電圧制御回路503のスイッチ回路608aをオンさせることにより、インバータ回路606に供給される。
【0350】
電流制御回路504は電池ユニット624bと接続される。インバータ回路606からの回生電力は、電流制御回路504を介して、電池ユニット624bに供給され、電池ユニット624bに電力が充電される。
【0351】
電池駆動回路627に接続する電池ユニット624の個数、電池ユニット624のスイッチ回路608の接続状態(図28(a)、図28(b))の変更、設定により、インバータ回路606に印加する電圧、インバータ回路606に供給する電流の大きさを設定、変更できる。
電池ユニット624bに充電された電力は、電流制御回路504のスイッチ回路608bをオンさせることにより、インバータ回路606に供給される。
【0352】
電圧制御回路503を介して電池ユニット624aに電力が供給されるか、電流制御回路504を介して電池ユニット624bに電力が供給されるかの選択は、インバータ回路606の出力電圧、出力電流の大きさで判断される。
【0353】
出力電圧は、AD(アナログ-デジタル)コンバータ回路605cで測定され、測定された電圧は駆動制御回路622に送られる。出力電流は、電流センサ625で測定され、測定された電流は駆動制御回路622に送られる。
【0354】
出力電流、出力電圧に基づいて、選択スイッチ回路Sa(選択スイッチ回路Sa1~選択スイッチ回路Sa4)、選択スイッチ回路Sb(選択スイッチ回路Sb1~選択スイッチ回路Sb4)が選択される。また、電池ユニット624のスイッチ回路608(スイッチ回路608a、スイッチ回路608b)のオン(クローズ)、オフ(オープン)状態が制御される。
【0355】
電池ユニット624は温度により充電できる容量、放電できる容量が変化する。したがって、電池ユニット624の温度監視が重要である。温度は電池駆動回路627に取り付けられた温度センサ604で測定、監視する。
【0356】
電池駆動回路627aに付加された温度センサ604aで、電池駆動回路627aが充電できる容量を把握する。また、電池駆動回路627bに付加された温度センサ604bで、電池駆動回路627bが充電できる容量を把握する。
【0357】
本発明の電池は、低温時でも容量の低下が少ないが、温度センサ604で電池の温度を測定、あるいは検出することにより、正確に電池の充電容量の余裕度を把握(測定)することができる。
温度センサ604は熱電対、半導体素子等、温度あるいは温度の変化を検出素子、機器であればいずれの物であっても良い。
【0358】
一例として、図40では、スイッチ回路608aのスイッチSWaがオフし、スイッチSWbがオンされる。電池ユニット624bのスイッチ回路Sb4~スイッチ回路Sb4がオンされている。電池ユニット624aのスイッチ回路Sa4~スイッチ回路Sa4はオフされている。
【0359】
したがって、電流制御回路504からの回生電力は、電池ユニット624b(電池ユニット624b1~電池ユニット624b4)に供給される。各電池ユニット624のスイッチ回路Sb(スイッチ回路Sb1~スイッチ回路Sb4)は、各電池ユニット624(電池ユニット624b1~電池ユニット624b4)の充電容量によって、オンまたはオフ制御される。たとえば、電池ユニット624b1が満充電となると、スイッチ回路Sb1がオフする。回生電流は他の電池ユニット624bに供給される。
【0360】
電池ユニット624bから電力を供給する際も同様である。電池ユニット624b(電池ユニット624b1~電池ユニット624b4)のスイッチ回路Sb(スイッチ回路Sb1~スイッチ回路Sb4)がオンまたはオフ制御され、端子電圧が所定の範囲内になるように制御される。
【0361】
また、電池ユニット624のスイッチ回路608(スイッチ回路608a、スイッチ回路608b)がオンオフ制御され、電池C1、電池C2の直列、並列接続が変更される。電池ユニット624のスイッチ回路608(スイッチ回路608a、スイッチ回路608b)を制御することにより、電池ユニット624bの端子電圧が調整あるいは設定される。
以上の事項は、電池駆動回路627aについても同様である。
【0362】
スイッチ回路Sa、スイッチ回路Sbをオン(クローズ)、またはオフ(オープン)させることにより、電池ユニット624を選択することができる。また、電池駆動回路627に接続する電池ユニット624の個数を変化あるいは設定できる。
【0363】
電流センサ625に流れる電流が一定値の場合において、低充電モードで充電する場合は、電池駆動回路627に接続する電池ユニット624の個数を多くすることにより、実現できる。高充電モードで充電する場合は、電池駆動回路627に接続する電池ユニット624の個数を少なくすることにより、実現できる。
低充電モードと高充電モードは、PWM的、時分割的に交互に繰り返す、あるいは変化させて実施しても良いことは言うまでもない。
【0364】
たとえば、電流センサ625(電流の大きさの測定器)に流れる電流が10mAの場合において、低充電モードの電流が1mAであれば、電池駆動回路627に接続する電池ユニット624の個数を10個以上に設定すれば良い。そのために、スイッチ回路Sa、スイッチ回路Sbをオンさせる個数は10個以上をオン状態にする。
【0365】
電流センサ625(電流の大きさの測定器)に流れる電流が20mAの場合において、高充電モードの電流が10mAであれば、電池駆動回路627に接続する電池ユニット624の個数を2個以下に設定すれば良い。そのために、スイッチ回路Sa、スイッチ回路Sbをオンさせる個数は2個以下をオンにする。
【0366】
高充電モード、低充電モードの切り替え、設定は、電流センサ624の測定電流値あるいは電流の変化の大きさ、ADコンバータ605cが測定する端子電圧あるいは端子電圧の変化の大きさの値により、変更、設定、切り替える。
【0367】
電極端子304に印加される電圧が図28(a)と図28(b)で同一の場合、図28(a)の電池601の接続では、印加される電圧は電池601aと電池601bで分圧されるため、電池601aと電池601bに充電される電流は小さくなる。したがって、低充電モードとなる。
【0368】
図28(b)の電池601の接続では、印加される電圧は電池601aと電池601bでは同一電圧が印加されるため、電池601aと電池601bに充電される電流は大きくなる。したがって、高充電モードとなる。
したがって、図28(a)と図28(b)との状態を切り替えることにより、高充電モードと低充電モードとを切り替えることができる。
【0369】
選択するスイッチ回路Sa、スイッチ回路Sbの設定、切替えは、時間設定により、あるいは時分割で設定変更することが好ましい。高充電モードと低充電モードとを時分割等で設定変更することにより、キャパシタ電池機能と二次電池機能を合わせ持つ機能の電池を実現できる。
以上の事項は、本発明の他の実施例にも適用できることは言うまでもない。また、他の実施例と組み合わせることができることも言うまでもない。
電池駆動回路627aのスイッチ回路608aのスイッチ回路Sa(スイッチ回路Sa1~スイッチ回路Sa4)がオンまたはオフされる。
【0370】
電流制御回路504から、回生電力が電池ユニット624a(電池ユニット624a1~電池ユニット624a4)に供給される。各電池ユニット624のスイッチ回路Sa(スイッチ回路Sa1~スイッチ回路Sa4)は、各電池ユニット624(電池ユニット624a1~電池ユニット624a4)の充電容量によって、オンまたはオフ制御される。たとえば、電池ユニット624a2が満充電となると、スイッチ回路Sa2がオフする。回生電流は他の電池ユニットに供給される。
【0371】
電池ユニット624aから電力を供給する際も同様である。電池ユニット624a(電池ユニット624a1~電池ユニット624a4)のスイッチ回路Sa(スイッチ回路Sa1~スイッチ回路Sa4)がオンまたはオフ制御される。各スイッチ回路Saを独立してオンまたはオフ制御することにより、端子電圧が所定の範囲内になるように制御される。
【0372】
電池ユニット624aのスイッチ回路608(スイッチ回路608a、スイッチ回路608b)がオンオフ制御され、電池C1、電池C2の直列、並列接続が変更される。直列、並列接続が変更することにより、各電池ユニット624aの端子電圧が所定値となるように調整される。
【0373】
電池ユニット624a、電池ユニット624bの出力電圧は、モータ607の駆動電圧となるように、クローズさせるスイッチ回路Sb、スイッチ回路Sbの位置、数量を制御する。
電池ユニット624の端子電圧を昇圧あるいは降圧しても良い。図41は、本発明の一実施例における電池駆動回路627のブロック図および説明図である。
【0374】
ただし、説明、図示を容易にするため、1つの電池ユニット624を図示している。実際には、図40に図示するように複数の電池ユニット624、電池駆動回路627が配置される。
【0375】
図41は、電流制御回路504から電池ユニット624aに電力が充電され、電池ユニット624aの出力電圧を昇圧回路(降圧回路)626で昇圧(降圧)して電池ユニット624bを充電する構成で図示している。
【0376】
しかし、これに限定するものではない。電圧制御回路503から電池ユニット624bに電力が充電され、電池ユニット624bの出力電圧を昇圧回路(降圧回路)626で昇圧(降圧)して電池ユニット624aを充電しても良い。
【0377】
電池ユニット624a、電池ユニット624bの出力電圧は、電圧制御回路503のスイッチ回路608aをオンすることにより、電流制御回路504のスイッチ回路608bをオンすることにより、インバータ回路606に供給される。
【0378】
電池ユニット624の構成はたとえば、図29が例示される。電池601bの電極端子304a1をVINに接続する。電池601aの電極端子304a1をVOUTに接続する。
【0379】
図41に図示するように、電池ユニット624aの出力は、VIN端子に接続される。電池ユニット624bは、昇圧回路626のVOUT端子に接続される。電池601aの電極端子304bと電池601bの電極端子304bは共通であるから接地することにより実現できる。
【0380】
回生制動による発電電力を、電池ユニット624aに充電させる時は、スイッチ回路608aのスイッチSWaをオンさせる。スイッチSWaのオンにより、回生制動による電流が電池ユニット624aに流入する。
【0381】
昇圧回路626は、電池ユニット624aの端子電圧をたとえば2逓倍等の逓倍して、電池ユニット624bに充電する。昇圧回路626は、回生制御による電流を充電中でもあっても動作させることができる。
電池ユニット624a、電池ユニット624bの制御、動作、構成については、説明しているので省略する。
【0382】
回生制動による発電量は、ブレーキで理論上回収できないエネルギー(回生発電機の効率による損失エネルギー、空気抵抗による損失エネルギー、路面抵抗による損失エネルギー、車両の機械損によるエネルギー)を無視すれば、1~5kWh程度のバッテリがあれば十分である。
【0383】
なお、昇圧回路(昇降圧回路)226は、説明を容易にするため、電圧を昇圧するとして説明するが、これに限定するものではなく、電圧を降圧しても良い。昇圧回路226は電圧コンバータ回路であり、または、電力コンバータ回路であり、または、インピーダンスコンバータ回路である。
【0384】
電流センサ625は回生電流を検出する。回生電流を検出した電流センサ625は、検出信号を駆動制御回路622に送り、駆動制御回路622はスイッチ回路608のスイッチSWを制御する。
【0385】
スイッチ回路608のスイッチSWaがオンすることにより、電流センサ625を流れた電流または電圧は、電流制御回路504または電圧制御回路503で定電流または低電圧が調整あるいは設定され、電池ユニット624aに充電される。電池ユニット624aに充電された電力は昇圧回路(降圧回路)626で昇圧(降圧)されて電池ユニット624bを充電する。
【0386】
図41では、一次側の電池ユニット624aにスイッチ回路608b1を構成するとともに、二次側の電池ユニット624bにスイッチ回路608b2を構成している。
【0387】
電池ユニット624aの端子電圧はスイッチ回路608b1をオンさせて放電させることにより、低下させることもできる。同様に、電池ユニット624b1bに回生制動による発電電力を充電することができる。また、電池ユニット624bの端子電圧はスイッチ回路608b2をオンさせて放電させることにより、電圧を低下させることもできる。
図41において、電池ユニット624aに充電した電力を、昇圧回路(降圧回路)626により、電池ユニット624bに充電する回路構成である。
【0388】
回生制動による回生電力は、スイッチ回路608aのスイッチSWaをクローズした場合は、電池ユニット624aに充電する。スイッチ回路608aのスイッチSWbをクローズした場合は、電池ユニット624bに充電する。
また、電池ユニット624bの電力はスイッチ回路608を介して、動力源に供給できるように構成されている。
【0389】
図42は、本発明の電気自転車(電動アシスト自転車)の外観図である。図43図44図45は、本発明の電気自転車、電動アシスト自転車のハンドル部、操作部の説明図である。
電動アシスト自転車は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動回路は、制御部610、電池駆動回路627等から構成される。
【0390】
電池駆動回路627は、電池ユニット624、電流制御回路504、電圧制御回路503、スイッチ回路608、電流センサ625、抵抗回路609等を保有している。
【0391】
制御部610は、駆動制御回路622、ペダルトルクセンサ684、ペダル回転センサ685、ブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673等を保有する。また、温度入力回路611、車速入力回路620、ブレーキ入力回路615、ペダル回転入力回路616、ペダルトルク入力回路617、位置検出センサ618、GPS(Global Positioning System, Global Positioning Satellite)ユニット636を有する。
本発明の電動アシスト自転車、または自動車は、操作パネル671、フリーホイール(図示せず)および変速機(図示せず)も有している。
【0392】
ペダルトルクセンサ684は、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、運転者によるペダルの踏力を検出する。検出結果は、制御部610の駆動制御ユニット683に出力される。
【0393】
ペダル回転センサ685は、ペダルトルクセンサ684と同様に、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、回転に応じたパルス信号を駆動制御ユニット683に出力
【0394】
電動アシスト自転車は、ペダル688にかかる踏力を検出し、踏力に応じた補助動力をモータ607によって発生し、モータ607の補助動力により前車輪689を回転駆動させる。
【0395】
モータ607は、三相ブラシレスモータであり、前車輪689に設けられている。なお、モータ607は三相ブラシレスモータに限定されるものではない。2極のDCモータ607等であってもよい。
【0396】
フレーム690には、モータ607に駆動用の電力を供給する電池等を有する電池ユニット624、制御部610、前車輪689に機械的な制動力を付与する前部のブレーキ692(たとえばキャリパーブレーキ等)、後車輪691に機械的な制動力を付与する後部のブレーキ(図示せず)(たとえばローラーブレーキ等)等が配置されている。
【0397】
ハンドル674には、前部のブレーキ692を作動させる一方のブレーキレバー675、またはブレーキレバー676と、ブレーキレバー675が設けられている。
【0398】
またはブレーキレバー676に連動してオン/オフが切り換えられるブレーキセンサ672、またはブレーキセンサ673と、後部のブレーキ(図示せず)を作動させるブレーキレバー675、またはブレーキレバー676と、ブレーキレバー675、またはブレーキレバー676に連動してオン/オフが切り換えられるブレーキセンサ672、またはブレーキセンサ673とが設けられている。
【0399】
前部のブレーキ692とブレーキレバー675、ブレーキレバー676とはブレーキワイヤ677またはブレーキワイヤ678を介して連動連結され、後部のブレーキ(図示せず)とブレーキレバー675またはブレーキレバー676とはブレーキワイヤ677またはブレーキワイヤ678を介して連動連結されている。
電動アシスト自転車には、制動時にモータ607から発生した電気を電池ユニット624に充電する回生充電機能が備えられている。
【0400】
電動アシスト自転車、電気自動車等には、本発明の電池601、本発明の電池ユニット624、本発明の駆動制御回路622、本発明の電池駆動回路627が使用、構成されている。
回生充電機能の作動および停止はブレーキセンサ672またはブレーキセンサ673あるいは両方のブレーキセンサのオン/オフによって切換えられる。
【0401】
図43図44に図示するように、ブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673は、ブレーキレバー675、ブレーキレバー676の位置により、ブレーキの度合を検出する。ブレーキレバーがA位置の場合は、ブレーキは動作せず、また、B位置までは、ブレーキレバー位置が変化したことは検出するが、ブレーキによる制動制御は実施されない。
ブレーキレバーの位置がB位置からD位置まではブレーキレバー位置に応じて、ブレーキ制動力が増加するようにブレーキセンサの出力が増加する。
【0402】
ブレーキレバーの位置に基づいて、図27の電圧制御回路503または電流制御回路504が選択される。また、電池ユニット624のスイッチ回路608(スイッチ回路608a、スイッチ回路608b)のオン状態またはオフ状態が変化あるいは設定される。
【0403】
また、図40で説明したように、スイッチ回路Saまたはスイッチ回路Sbが選択され、また、オンまたはオフして必要な電池ユニット624が接続される。また、図41の昇圧(降圧)回路626の逓倍率が設定される。
以上の事項は、電流センサ625、AD(アナログ-デジタル)コンバータ回路605による端子電圧、温度センサ604の温度データが加味されて決定する。
【0404】
本発明の電池601の温度が高くなると、充電に必要な電圧が高くなる。電池601の温度が低くなると、充電に必要な電圧は低くなる。電池601の温度が所定温度以上の場合、図27(a)の電圧制御回路503を選択し、電池601の温度が所定温度以下の場合、図27(b)の電流制御回路504を選択する。以上のように、電池601の温度を温度センサ604で検出または測定し、測定等された温度により、図27の制御回路を選択する。
【0405】
また、電池601あるいは電池ユニット624の温度により、図27の抵抗回路(VR1)609c、抵抗回路(VR2)609fの抵抗値を変化あるいは設定することが好ましい。
【0406】
本発明の電池601の温度が高くなると、充電に必要な電圧が高くなる。電池601の温度が低くなると、充電に必要な電圧は低くなる。電池601の温度が所定温度以上の場合、図28(b)の電池の並列接続状態を選択し、電池601の温度が所定温度以下の場合、図28(a)の電池の直列接続状態を選択する。以上のように、電池601の温度を温度センサ604で検出または測定し、測定等された温度により、図28の接続状態を選択する。
【0407】
図40で説明するスイッチ回路Sa、スイッチ回路Sbのオンまたはオフの個数を、温度センサ604で検出または測定等された温度により、変化あるいは設定することも好ましい。電池ユニット624の温度により、充電電流が変化する。したがって、電池ユニット624(電池601)の温度を検出等し、所定温度以上または以下の場合に対応して、スイッチ回路Sa、スイッチ回路Sbのオンさせる個数を設定することにより、充電電流を調整でき、低充電モードと高充電モードを適切に設定できる。
【0408】
以上の事項は、図33図34図37図39で説明する本発明の電池に対しても適用できる。温度センサ604が出力する温度を基準として、電源回路501aまたは電源回路501bと接続する正極205または負極206の個数を変化させる、また、電源回路501aまたは電源回路501bの出力電圧を変化あるいは調整する。
また、図41の昇圧(降圧)回路626の出力電圧VOUTを温度を基準として変化あるいは調整する。
【0409】
図44におけるブレーキレバーの変化距離L1、変化距離L2の変化割合で、ブレーキ制動の強弱を設定することができる。設定は、ブレーキセンサ(ブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673)とブレーキ入力回路615、駆動制御回路622で実現する。変化距離L1、変化距離L2は、学習機能で学習させて距離を決定することが好ましい。
【0410】
ブレーキセンサ672とブレーキセンサ673は独立してデータ出力を行う。したがって、ブレーキセンサ672とブレーキセンサ673のいずれか一方の場合のブレーキ制動力と両方の場合のブレーキ制動力とを異ならせる。
【0411】
両方の場合は、一方の場合よりも強い制動力で回生制動を実施することができる。回生制動が高い場合は、発生する電力も大きくなる。その場合は、電池に充電電流を高くし、キャパシタ電池として機能させて瞬時に電力の回収を行う。回生制動が低い場合は、発生する電力も小さくなり、長い期間発生する場合が多い。その場合は、本発明の電池601に充電電流を低く、二次電池として機能させて、比較的長時間での電力の回収を行う。
以上の事項は、電動アシスト自転車だけでなく、電気自動車等にも適用できることは言うまでもない。
【0412】
回生制動によるブレーキのオンオフは、図45に図示する操作パネル671で設定できる。片方の場合と、両方の場合との動作は、学習機能で学習させて距離を決定することが好ましい。
【0413】
乗車者が電動アシスト自転車を走行させているとき、たとえば、一方のブレーキレバー675またはブレーキレバー676(もしくは両方のブレーキレバー)を操作して、ブレーキセンサ672またはブレーキセンサ673(もしくは両方のブレーキセンサ)をオフからオンに切り換ると、回生制動による充電機能が働き、モータ607から発生した電気が電池ユニット624に充電される。
【0414】
ブレーキレバーの位置がC位置までは回生制動による充電機能はオフさせる。B位置、C位置はブレーキセンサ(ブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673)の設定により調整することができる。
ブレーキレバーのA位置からB位置で、電池601の電位を測定するとともに、電池601の充電量を調整する。
【0415】
本発明は、ブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673を有し、ブレーキ入力回路615は、ブレーキレバーの変化速度を加味して、回生制動力を設定する。たとえば、ブレーキレバーが高速に変化するとき、回生制動力を大きくする。低速に変化する時、回生制動力を小さくする。
また、電池に充電させる時間、電流の大きさにより、充電方式を変化させ、キャパシタ電池機能と二次電池機能が発揮できるように適正な充電を実施する。
【0416】
駆動制御回路622は、ペダルトルクセンサ684、ペダル回転センサ685の出力も加味して、回生制動によるブレーキを実施するかを判断する。たとえば、ペダルが動作し、ペダルトルクセンサ684が出力している時は、ブレーキを押されている力が小さいか、ブレーキは実施されていない。
【0417】
以上のことは、自動車でも同様である。アクセルペダルのアクセルペダルセンサ695が押圧(動作)されている時に、ブレーキペダルのブレーキペダルセンサ693が押圧(動作)されていることは少ないか、または、押圧(動作)されていない。
【0418】
図47は本発明の電気自動車の説明図である。本発明の自動車は、ブレーキペダルの踏込強さ、踏込速度にブレーキペダル備わったブレーキペダルのブレーキペダルセンサ693の出力が変化し、回生制御ブレーキ、機構制御ブレーキのブレーキ速度、ブレーキ強さが変化するように構成されている。
【0419】
アクセルペダルに取り付けられたアクセルペダルセンサ695の出力はアクセル入力回路694に入力される。ブレーキパダルに取り付けられたブレーキペダルセンサ693の出力はブレーキ入力回路615に入力される。
【0420】
モータ607に電圧・電流を供給する期間は、電流制御回路504または電圧制御回路503のスイッチ回路608をクローズして、電池ユニット624をインバータ回路606aに接続する。
【0421】
同様に、両方のブレーキレバー675、ブレーキレバー676を操作して両方のブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673が共にオフからオンに切り換ると、回生充電機能が働き、モータ607から発生した電気が電池ユニット624に充電される。
【0422】
電動アシスト自転車が一定の車速で走行している際、前記一方のブレーキレバー675またはブレーキレバー676のみを操作した場合の回生量と、両方のブレーキレバー675、ブレーキレバー676を操作した場合の回生量とで回生量を同一あるいは差異となるように設定する。
【0423】
強い制動力で回生制動を実施する場合は発生する電力も大きくなる。その場合は、電池に充電電流を高くし、キャパシタ電池として機能させて瞬時に電力の回収を行う。回生制動が低い場合は、発生する電力も小さくなり、長い期間発生する場合が多い。その場合は、電池に充電電流を低く、二次電池として機能させて、比較的長時間での電力の回収を行う。
【0424】
ブレーキレバーのA位置(スイッチ切換位置A(A位置))から、ブレーキレバーB位置(スイッチ切換位置B(B位置))との間はブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673がオフに保たれる。あるいはオフとなるように設定することができる。
【0425】
スイッチ切換位置B(B位置)と最大操作位置D(D位置)との間は、ブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673がオンに保たれる。特に、スイッチ切換位置C(C位置)と最大操作位置D(D位置)との間は、ブレーキセンサの出力は大きくなるように構成されている。
【0426】
また、最大操作位置D(D位置)に近くなると、図42に図示するように、機構的なブレーキ692が動作する。スイッチ切換位置B(B位置)と最大操作位置D(D位置)との間は、回生制動によるブレーキが動作し、駆動制御回路622は、回生制動のブレーキは最大操作位置D(D位置)になるにしたがって、強くなるように制御する。
【0427】
図45に図示するように、操作パネル671には、回生制動機能をオン/オフする選択スイッチ679が設けられている。また、回生制動によるブレーキ動作とブレーキ692等による機構的なブレーキを設定するAUTO位置が設けられている。
【0428】
選択スイッチ679をON(オン)にすることにより、回生制動機能が動作するようになり、選択スイッチ679をOFF(オフ)にすることにより、回生制動機能が停止する。あるいは回生制動機能が非常に小さくなる。
【0429】
AUTO位置は、学習機能を有する設定である。図44等のブレーキレバーによる位置で、回生制動のよるブレーキ動作と、機構制動によるブレーキ692の動作との割合、動作位置を学習する。
【0430】
たとえば、位置Aから位置Bでは、回生制動のブレーキを弱く動作するが、機構制動によるブレーキは動作させない。学習により位置Bを変化させる。位置Bから位置Cでは、回生制動のブレーキと機構制動によるブレーキを動作させる。学習により位置Cを変化させる。位置Cから位置Dでは、回生制動のブレーキは動作させず、機構制動によるブレーキのみを動作させる。
【0431】
図46に示すように、電動アシスト自転車には、制動時に、モータ607(たとえば三相のブラシレスモータ)から発生した電気を電池ユニット624に充電する回生充電機能、ブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673のオン/オフに基づいて回生充電機能の作動および停止を切換える制御部610と、電動アシスト自転車の車速(走行速度)を検出する位置検出センサ618と、ペダル688に作用するトルクを検出するペダルトルクセンサ684とが備えられている。
【0432】
制御部610は、インバータ回路606によりモータ607をPWM制御(パルス幅変調制御)しており、両方のブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673が共にオフであれば、回生充電を行なわず、ブレーキセンサ672またはブレーキセンサ673のいずれか一方がオンとなると、回生充電機能を働かせて回生充電を行なうように制御する。
【0433】
モータ607は、電動アシスト自転車の前車輪689に装着されている。しかし、これに限定するものではない。モータ607部を後車輪691に配置し、ペダル688にかかる踏力をチェン(図示せず)で後車輪691に伝達してもよい。
【0434】
モータ607は、前車輪689を回転させるとともに、前車輪689の回転に応じてローター(図示せず)が回転するように、ローターが前車輪689に直接または減速器等を介して連結されている。
【0435】
モータ607はホール素子等の位置検出センサ618を備えて、ローターの回転情報(すなわちホール信号)を制御部610の駆動制御ユニット683に出力する。
【0436】
電流センサ625はインバータ回路606に入力される入力電流、回生制動駆動により、インバータ回路606から出力される出力電流の有無、電流の大きさを測定または検出し、駆動制御回路622に伝達する機能を有する。
【0437】
駆動制御回路622は、電流センサ625の情報から、スイッチ回路608aを制御し、電池601に電荷を充電あるいは放電する。また、電池からインバータ回路606等に電流を供給等の制御を実施する。
【0438】
ブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673は、運転者のブレーキ(ブレーキレバー、ブレーキペダル)操作を検出して、ブレーキ操作に関する信号を制御部610の駆動制御ユニット683に出力する。駆動制御回路622は、電池ユニット624、PWMコンバータ回路612、インバータ回路606を制御する。
【0439】
本発明の電動アシスト自転車の駆動制御ユニット683に関連する構成を図46に示す。駆動制御ユニット683は、インバータ回路606と、スイッチ回路608aと、電池ユニット624、電池601等を有する。
【0440】
インバータ回路606には、モータ607のU相についてのスイッチングを行うHサイドFET(Ssu)、およびLサイドFET(Smu)と、モータ607のV相についてのスイッチングを行うHサイドFET(Ssv)、およびLサイドFET(Smv)と、モータ607のW相についてのスイッチングを行うHサイドFET(Ssw)、およびLサイドFET(Smw)とを含む。
【0441】
Hサイドは上側、Lサイドは下側と呼ぶこともある。インバータ回路606には、温度センサ604cが設けられており、モータ607には、温度センサ604dが設けられており、それぞれ制御部610に接続されている。インバータ回路606は、電池駆動回路627の一端に接続されている。
【0442】
スイッチ回路608aは、制御部610からの指示に応じて、電池ユニット624をインバータ回路606から分離するように作動する。また、電池ユニット624とインバータ回路606とを電気的に接続する。
電池ユニット624には、温度センサ604bが設けられており、温度センサ604bは温度入力回路611に接続されている。
制御部610には、駆動制御回路622が配置され、駆動制御回路622は、演算部(図示せず)、メモリ(図示せず)等を保有している。
【0443】
制御部610には、車速入力回路620、ブレーキ入力回路615、ペダル回転入力回路616、ペダルトルク入力回路617、温度入力回路611(温度入力回路611a、温度入力回路611b)、AD入力回路614、PWM(Pulse Width Modulation)コンバータ回路612、AD(アナログ-デジタル)コンバータ回路605等を有する。
【0444】
駆動制御回路622の演算部(図示せず)は、ペダル回転入力回路616からの入力、ペダルトルク入力回路617からの入力、車速入力回路620からの入力、ブレーキ入力回路615からの入力、AD入力回路614からの入力、温度入力回路611からの入力を用いて、演算を行いPWMコンバータ回路612に対して信号を出力する。
【0445】
PWMコンバータ回路612は、インバータ回路606のトランジスタSs(SSUSsv、Ssw、Smu、Smv、Smw)を制御し、3相交流信号を発生させる。3相交流信号はモータ607に印加される。モータ607の回転状態は位置検出センサ618で検出される。
【0446】
回生制動でモータ607が発電する場合は、逆動作である。位置検出センサ618でモータ607の回転状態を検出し、回転状態の情報は、車速入力回路620で処理されて、駆動制御回路622に送られる。駆動制御回路622はPWMコンバータ回路612を制御する。また、GPSユニット636情報等を使用して行程を予測する。
【0447】
回生制動の発生と同時に、あるいはそれ以前に、電池ユニット624の端子電圧をADコンバータ回路605aで測定し、電池ユニット624に充電容量があるかを判定する。また、同時に温度センサ604aにより電池ユニット624の温度を測定する。
【0448】
電池ユニット624に、回生制動による発電した電力を充電できる容量がない場合、スイッチ回路608bをクローズさせて、所定量の電荷を抵抗回路(放電回路)609、ヘッドライト(照明ライト)681、ブレーキライト(バックライト)686等で放電する。
回生制動で発電した電力は、スイッチ回路608aのスイッチSWaをクローズすることにより電池ユニット624に充電される。
【0449】
駆動制御回路622の演算部(図示せず)は、メモリ(図示せず)を有しており、メモリは、演算に用いる各種データおよび処理途中のデータ等を格納する。演算部(図示せず)はAI処理による学習機能を有する。
【0450】
演算部は、プログラムをプロセッサが実行することによって実現される場合もあり、この場合には当該プログラムがメモリに記録されている場合もある。また、メモリ(図示せず)は、演算部とは別に設けられる場合もある。
【0451】
ペダル回転入力回路616は、ペダル回転センサ685からの、ペダル回転位相角および回転方向を表す信号を、デジタル化して演算部(図示せず)に出力する。
車速入力回路620は、モータ607の位置検出センサ618が出力するホール信号から現在車速を算出して、演算部(図示せず)に出力する。
ペダルトルク入力回路617は、ペダルトルクセンサ684からの踏力に相当する信号をデジタル化して演算部(図示せず)に出力する。
ブレーキ入力回路615は、ブレーキセンサ672/ブレーキセンサ673からの信号を駆動制御回路622の演算部(図示せず)に出力する。
【0452】
温度入力回路611aは、温度センサ604a、温度センサ604bからの温度情報をデジタル化して駆動制御回路622の演算部(図示せず)に出力する。温度入力回路611bは、温度センサ604c、温度センサ604dからの温度情報をデジタル化して駆動制御回路622の演算部(図示せず)に出力する。
【0453】
AD(アナログ-デジタル)コンバータ回路605aは電池ユニット624の端子電圧を取得する。AD(アナログ-デジタル)入力回路614は、ADコンバータ回路605a、ADコンバータ回路605bの電圧データ、すなわち、電池ユニット624の出力電圧をデジタル化して演算部(図示せず)に出力する。
【0454】
電池ユニット624は、温度センサ604a、温度センサ604bからの温度情報だけではなく、フル充電状態を含む充電レベルの情報、他の理由から充電不可を表す信号を制御部610に伝達する場合もある。
【0455】
本発明のモータ付自転車、たとえば電動アシスト自転車は、通常のアシスト走行状態では、電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給する。電池ユニット624の放電時は、温度センサ604bで電池ユニット624の温度を検出する。
【0456】
スイッチ回路608aは、電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給する時は、スイッチSWaとスイッチSWbのうち少なくとも一方のスイッチをクローズする。また、電流制御回路504または電圧制御回路503のスイッチ回路608をクローズさせる。
なお、スイッチ回路608aのスイッチSWaとスイッチSWbの両方をクローズし、電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給してもよい。
電池ユニット624は放電特性が高速であるため、瞬時にインバータ回路606に電力を供給でき、モータ607の動作開始が良好となる。
【0457】
インバータ回路606に印加される電圧、あるいはインバータ回路606から出力される電圧は、ADコンバータ回路605cで取得し、AD入力回路614が収集して駆動制御回路622に伝達される。
【0458】
回生制動により、電池ユニット624に充電する際、電池ユニット624がフル充電、あるいは回生制動で発生した電力を充電できない場合は、スイッチ回路608cをオンさせて電池ユニット624の電荷の所定量を放電させる。
【0459】
以上のように、本発明は、電池ユニット624に回生制動による発電電力を充電することができ、省電力化を実現でき、回生制動による良好なブレーキ性能を実現することができる。
【0460】
ブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673のブレーキ出力をブレーキ入力回路615が収集、あるいは取得あるは供給されて、駆動制御回路622が演算処理すること、位置検出センサ618のモータ607の位置データを車速入力回路620が収集して駆動制御回路622が演算処理すること、ペダル回転センサ685がペダルの回転状態を検出すること、ペダル回転入力回路616が収集し、駆動制御回路622が演算処理すること、ペダルトルクセンサ684がペダルへのトルク印加状態を検出すること、ペダルトルク入力回路617が収集して、駆動制御回路622が演算処理すること等により、電池ユニット624の放電あるいは充電制御を最適に制御することができる。
【0461】
本発明の電動アシスト自転車は、GPSユニット636を保有する。GPSユニット636は経路情報で、次に坂道を上る方向に移動するか、坂道を下る方向に移動するかの情報を得ることができる。また、道路のカーブがあり、減速処理をするかの情報を得ることができる。
【0462】
この情報により、回生制動による発電量を駆動制御回路622が演算予測し、電池ユニット624の端子電圧を測定あるいは取得するとともに、必要であれば、電池ユニット624の電荷はスイッチ回路608cをオンさせて、抵抗回路609で放電制御する。
【0463】
図46では、電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給するとしたが、これに限定するものではなく、電池ユニット624あるいは電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給しても良いことは言うまでもない。また、電池ユニット624に回生制動による発電電力を充電することを排除するものではない。
【0464】
図46では、抵抗回路(放電回路)609により、電池ユニット624の電荷を放電するとして説明した。しかし、本発明はこれに限定するものではない。図15に図示するように、ヘッドライト(照明ライト)681、ブレーキランプ(バックライト)686に電流を流すことにより放電させても良い。
【0465】
図42図48では、スイッチ回路608cをクローズ(オン)することにより、ヘッドライト(照明ライト)681、ブレーキランプ(バックライト)686のうち少なくとも一方に電流を流す。
【0466】
図47は本発明の電気自動車等の駆動機構の説明図である。図47に図示するように、アクセルペダルに取り付けられたアクセルペダルセンサ695の出力はアクセル入力回路694に入力される。ブレーキパダルに取り付けられたブレーキペダルセンサ693の出力はブレーキ入力回路615に入力される。
【0467】
モータ607に電圧・電流を供給する期間は、スイッチ回路608cをクローズして、電池ユニット624をインバータ回路606aに接続する。電池ユニット624を接続することにより、インバータ回路606に供給する電流波形は平滑化されて安定する。
【0468】
モータ607が発電する期間は、スイッチ回路608cをオープンする。モータジェネレータ635が発電した電力は、急速に電池ユニット624に充電される。
【0469】
駆動制御回路622aは、エンジン632の位置検出センサ618b(回転状態の検出機能、回転速度の測定等を実施)が取り付けられ、または配置されている。動力分配統合機構633の位置検出センサ618a(回転状態の検出機能、回転速度の測定等を実施)が取り付けられ、または配置されている。位置検出センサ618の出力は、車速入力回路620に入力される。
【0470】
自動車の場合は、アクセルペダルとブレーキペダルに取り付けられたセンサ(アクセルペダルセンサ695、ブレーキペダルセンサ693)の出力、車速入力回路620、温度入力回路611、ブレーキ入力回路615を加味して、回生制動によるブレーキを実施するかを判断する。また、機構制御によるブレーキを実施するかを判断する。
スイッチ回路608bをクローズさせて、電池ユニット624の電荷を放電し、電極端子304aの電位を低下させる。
【0471】
同様に、両方のブレーキレバー675、ブレーキレバー676を操作して両方のブレーキセンサ672、ブレーキセンサ673が共にオフからオンに切り換ると、回生充電機能が働き、モータ607から発生した電気が電池ユニット624に充電される。
【0472】
本発明の自動車では、ブレーキペダルセンサ693、アクセルペダルセンサ695等と連動させて、回生制動ブレーキと、機構制動によるブレーキの稼働位置を調整する。
【0473】
自動車の場合は、アクセルペダルとブレーキペダルに取り付けられがセンサ(アクセルペダルセンサ695、ブレーキペダルセンサ693)の出力、車速入力回路620、温度入力回路611、ブレーキ入力回路615を加味して、回生制動によるブレーキを実施するか、あるいは機構制動によるブレーキを実施するか、あるいは両方のブレーキを実施するかを判断し、制御動作を実施する。
【0474】
図45で説明したように、操作パネル671により、回生制動ブレーキを動作するか、AUTOの学習機能による回生制動ブレーキ、機構制動ブレーキを動作させるかを選択する。
【0475】
本発明は、電池ユニット624がフル充電状態の場合は、スイッチ回路608を動作させて、回生制動による発電量を充電できるように、電池ユニット624の電荷を放電させる。
【0476】
ブレーキ入力回路615の出力により、また、電池ユニット624の端子電圧をADコンバータ回路605等の電圧測定装置で測定し、また、温度センサ604aで電池ユニット624の温度を測定し、電池ユニット624に充電できる容量があるかをモニターする。充電容量がない場合は、スイッチ回路608b等を動作させて回生制動による発電電力を充電できるようにする。
【0477】
モータ607はホール素子等の位置検出センサ618を備えて、ローターの回転情報(すなわちホール信号)を制御部610の駆動制御ユニット683に出力する。
【0478】
電流センサ625はインバータ回路606に入力される入力電流、回生制動駆動により、インバータ回路606から出力される出力電流の有無、電流の大きさを測定または検出し、駆動制御回路622に伝達する機能を有する。
【0479】
駆動制御回路622は、電流センサ625の情報から、スイッチ回路608aを制御し、電池ユニット624に電荷を充電あるいは放電、電池ユニット624からインバータ回路606に電流を供給等の制御を実施する。
【0480】
PWMコンバータ回路612は、インバータ回路606のトランジスタSs(SSUSsv、Ssw、Smu、Smv、Smw)を制御し、3相交流信号を発生させる。3相交流信号はモータ607に印加される。モータ607の回転状態は位置検出センサ618で検出される。
【0481】
回生制動でモータ607が発電する場合は、逆動作である。位置検出センサ618でモータ607の回転状態を検出し、回転状態の情報は、車速入力回路620で処理されて、駆動制御回路622に送られる。駆動制御回路622はPWMコンバータ回路612を制御する。また、GPSユニット636情報等を使用して行程を予測する。
【0482】
回生制動の発生と同時に、あるいはそれ以前に、電池ユニット624の端子電圧をADコンバータ回路605aで測定し、電池ユニット624に充電容量があるかを判定する。また、同時に温度センサ604aにより電池ユニット624の温度を測定する。
【0483】
電池ユニット624に、回生制動による発電した電力を充電できる容量がない場合、スイッチ回路608bをクローズさせて、所定量の電荷を抵抗回路(放電回路)609、ヘッドライト(照明ライト)681、ブレーキライト(バックライト)686で放電する。
回生制動で発電した電力は、スイッチ回路608aのスイッチSWaをクローズすることにより電池ユニット624に充電される。
【0484】
駆動制御回路622の演算部(図示せず)は、メモリ(図示せず)を有しており、メモリは、演算に用いる各種データおよび処理途中のデータ等を格納する。演算部(図示せず)はAI処理による学習機能を有する。
【0485】
演算部は、プログラムをプロセッサが実行することによって実現される場合もあり、この場合には当該プログラムがメモリに記録されている場合もある。また、メモリ(図示せず)は、演算部とは別に設けられる場合もある。
【0486】
駆動制御回路622には、エンジン632の位置検出センサ618b(回転状態の検出機能、回転速度の測定等を実施)が取り付けられ、または配置されている。動力分配統合機構633の位置検出センサ618a(回転状態の検出機能、回転速度の測定等を実施)が取り付けられ、または配置されている。位置検出センサ618の出力は、車速入力回路620に入力される。
【0487】
電気自動車の場合は、アクセルペダルとブレーキペダルに取り付けられたセンサ(アクセルペダルセンサ695、ブレーキペダルセンサ693)の出力、車速入力回路620、温度入力回路611、ブレーキ入力回路615を加味して、回生制動によるブレーキを実施するかを判断する。また、機構制御によるブレーキを実施するかを判断する。
【0488】
図47に示すように、ハイブリッド自動車(電気自動車)は、エンジン632と、モータジェネレータ634、モータジェネレータ635、電池ユニット624、リチウム二次電池等で構成された、インバータ回路606a等を有する。
【0489】
インバータ回路606は、電池ユニット624からの直流電力を、モータジェネレータ634、モータジェネレータ635を駆動する交流電力に変換する機能、モータジェネレータ634、モータジェネレータ635が発電した交流電力を電池ユニット624への充電用の直流電力に変換する機能を備えている。
【0490】
エンジン632の他に2個のモータジェネレータを搭載する。モータジェネレータは駆動用と発電用の2つである。構成や制御は多少複雑となるが、燃費向上と走りを両立している。
【0491】
エンジン632の出力軸とモータジェネレータ634、モータジェネレータ635の出力軸は、動力分配統合機構633に接続されている。動力分配統合機構633は、エンジン632の出力トルクを、駆動輪631を駆動するトルクと、モータジェネレータ634、モータジェネレータ635を発電機として機能させるためのトルクとに分配する。
【0492】
動力分配統合機構633は、モータジェネレータ634、モータジェネレータ635の出力トルクとエンジン632の出力トルクとを統合して駆動輪631に伝達することができる。
動力分配統合機構633には、温度センサ604d3が配置され、動力分配統合機構633の温度を温度入力回路611が測定あるいは監視する。
【0493】
発進・軽負荷時は、基本はエンジン632を停止し、駆動用モータが車軸を駆動する。定常走行時は、エンジン出力を車軸駆動と発電機駆動に分割し、電池ユニット624を充電する。
【0494】
加速する時は、エンジン出力と駆動モータ出力を加算して車軸駆動を駆動する。減速(ブレーキ)時は、モータにて運動エネルギーを回生して回生ブレーキとすると共に、電池ユニット624に充電する。リバース(バック)走行時は、駆動モータが車軸駆動する。
【0495】
説明を容易にするため、モータジェネレータ634を駆動機、モータジェネレータ635を発電機とすれば、モータジェネレータ634に電圧・電流を供給する期間は、スイッチ回路608cをクローズして、電池ユニット624をインバータ回路606aに接続する。電池ユニット624を接続することにより、インバータ回路606に供給する電流波形は平滑化されて安定する。
【0496】
モータジェネレータ635が発電機として発電する期間は、スイッチ回路608cをオープンして、電池ユニット624をインバータ回路606aから切り離す。モータジェネレータ635が発電した電力は、急速に電池ユニット624に充電される。
【0497】
モータジェネレータ635には、モータジェネレータ635の温度を検出する温度センサ604d2が配置されている。モータジェネレータ634には、モータジェネレータ634の温度を検出する温度センサ604d1が配置されている。インバータ回路606aには、インバータ回路606aの温度を検出する温度センサ604cが配置されている。
【0498】
ハイブリッド自動車(電気自動車)のエンジン632、モータジェネレータ634、モータジェネレータ635は、制御部610、電池ユニット624によって回転数、トルク等が調整される。
エンジン632を始動する際には、モータジェネレータ634を電動機として機能させてエンジン632を駆動方向に回転させる。
【0499】
エンジン632を停止させる際には、モータジェネレータ634を発電機として機能させてエンジン632に回転方向と逆方向のトルクを加える。この際、モータジェネレータ634で発電された電力は、インバータ回路606aを介して、電池ユニット624に充電される。
【0500】
ADコンバータ回路605aは電池ユニット624の端子電圧を取得する。ADコンバータ回路605bは電池ユニット624の端子電圧を取得する。AD入力回路614は、ADコンバータ回路605a、ADコンバータ回路605bの電圧データ、すなわち、電池ユニット624、電池ユニット624の出力電圧をデジタル化して演算部(図示せず)に出力する。
【0501】
電池ユニット624は、電池ユニット624、電池ユニット624からは、温度センサ604a、温度センサ604bからの温度情報だけではなく、フル充電状態を含む電池ユニット624等の充電レベルの情報、他の理由から充電不可を表す信号を制御部610に伝達する場合もある。
【0502】
本発明のハイブリッド自動車は、通常の走行状態では、電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給する。電池ユニット624の放電時は、温度センサ604bで電池ユニット624の温度を検出する。
【0503】
スイッチ回路608aは、電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給する時は、スイッチSWbをクローズする。また、電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給する時は、スイッチSWaをクローズする。
スイッチ回路608aのスイッチSWaとスイッチSWbの両方をクローズし、電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給してもよい。
【0504】
電池ユニット624は放電特性が高速であるため、瞬時にインバータ回路606に電力を供給でき、モータ607の動作開始が良好となる。また、電池ユニット624からインバータ回路606に電力を供給することもできる。
【0505】
ブレーキ動作のために回生制動が実施され、モータ607が発電状態となると、PWMコンバータ回路612が動作し、インバータ回路606aを介して電力が出力される。また、スイッチ回路608aは、スイッチSWaをクローズし、スイッチSWbをオープンにする。回生制動で発電した電流は、電池ユニット624aに充電される。
電池ユニット624の端子電圧はADコンバータ回路605aで測定される。また、電池ユニット624の温度は温度センサ604aで測定される。
【0506】
インバータ回路606に印加される電圧あるいはインバータ回路606から出力される電圧は、ADコンバータ回路605cで取得し、AD入力回路614が収集して、制御部610の駆動制御回路622に伝達される。
【0507】
回生制動により、電池ユニット624に充電する際、電池ユニット624がフル充電あるいは回生制動で発生した電力を充電できない場合は、スイッチ回路608bをオンさせて電池ユニット624の電荷の所定量を放電させる。
【0508】
端子電圧を変化させることにより、回生制動で発生した電力を、電池ユニット624に良好に充電できる方式についても説明しているので説明を省略する。この機能を実施する場合は、スイッチ回路608bにより放電させる必要はない。
【0509】
回生制動の発生と同時に、あるいはそれ以前に、電池ユニット624の端子電圧をADコンバータ回路605aで測定し、電池ユニット624に充電容量があるかを判定する。また、同時に温度センサ604aにより電池ユニット624の温度を測定する。
【0510】
電池ユニット624に回生制動による発電した電力を充電できる容量がない場合、スイッチ回路608bをクローズさせて、所定量の電荷を抵抗回路(放電回路)609、ヘッドライト(照明ライト)681、ブレーキライト(バックライト)686等で放電する。また、接地により放電させても良い。
【0511】
以上のように、本発明は、電池ユニット624に回生制動による発電電力を充電することができ、省電力化を実現でき、回生制動による良好なブレーキ性能を実現することができる。
【0512】
本発明の電池ユニット624は充電速度、放電速度が極めて速く、回生制動により発電した電力の充電制御に適する。また、高速にインバータ回路606に電池ユニット624からの電力を供給することができる。
【0513】
本発明のハイブリット自動車は、GPSユニット636を保有する。GPSユニット636は経路情報から、坂道を上る方向に移動するか、坂道を下る方向に移動するかの情報を得ることができる。また、道路のカーブにより、減速するか否かの情報も得ることができる。
【0514】
信号機の情報がリアルタイムに得ることができる時は次の信号機での停車情報も得ることができる。この情報により、回生制動による発電量を駆動制御回路622が演算予測し、また、AIによる学習を実施しつつ、電池ユニット624の電荷を放電制御する。
【0515】
図47の本発明の実施例では、エンジン632を保有しているが、エンジン632を保有しない電気自動車であっても、本発明の技術的思想を適用できることは言うまでもない。別途、回生制動のよる電力を発生する専用のモータを保有して、このモータの電力を電池ユニット624等に充電できるように構成しても良い。
【0516】
モータ607は、4500~6500回転で96%のピーク効率を得ている。また、広い範囲の回転数で88%以上の効率を確保している。モータ607の回転は位置検出センサ618で監視、検出する。電池ユニット624は、40KWh以上の容量を保有している。
【0517】
本発明の電池はキャパシタ電池としての機能だけでなく、二次電池、あるいは二次電池的な機能を有するものである。電圧を印加すると、電圧上昇に伴い充電が開始する。最初は全て電気二重層キャパシタによるものである。
【0518】
ある電圧(起電力)を超えると、リチウムイオン電池と同様の酸化還元反応が発生する。つまり、電気二重層キャパシタに酸化還元反応を付随させた新しい概念の蓄電デバイスである。したがって、高速な充放電機能と、二次電池的な電圧発生の両方の機能、構成、構造を有する。
【産業上の利用可能性】
【0519】
本発明の電池は、通常の二次電池と比較して高速な充放電が可能である。高出力特性に優れている電池は、新エネルギーの蓄電等、様々な利用分野への応用が期待されている。
【0520】
水溶液系の電解液を用いた、いわゆる水系の電池(二次電池)は、導電性が高く、電解質の解離、イオンの移動度に優れ、また、溶媒が水であることから安全性が高く、不揮発性で水分管理がしやすく、コストも低い。また、高速な充放電機能を発揮できる。
本発明の電池(二次電池)は、水の電気分解の制約を克服することができ、様々な分野での活用が期待できる。
【符号の説明】
【0521】
101 充電器
102 負荷
104 電極材料
107 容器(ケース)
112 充電器(充電装置)
204 セパレータ
205 正極
206 負極
207 ガスケット
208 電極
221 正極材料
222 電解液(充填液)
231 負極材料
301 基板(フィルム、シート、箔、ベース)
302 正極コーティング材(正極コーティング材料)
303 負極コーティング材(負極コーティング材料)
304 電極端子
305 入出穴
306 膜
307 凸部
308 凹部
309 蒸着材料
310 メタルマスク
312 絶縁材料(絶縁壁、隔離壁)
501 電源回路(電源装置)
502 厚み規定膜(厚み規定フィルム、嵩上げ部、厚み制御膜)
503 電圧制御回路(電圧制御器)
504 電流制御回路(電流制御器)
505 レギュレータ回路(定電圧回路、定電流回路)
601 電池
602 電池
604 温度センサ
605 AD(アナログ-デジタル)コンバータ回路
606 インバータ回路
607 モータ
608 スイッチ回路(切替え回路)
609 抵抗回路(放電回路)
610 制御部
611 温度入力回路
612 PWM(Pulse Width Modulation)変換回路
614 AD入力回路
615 ブレーキ入力回路(ブレーキ検出回路)
616 ペダル回転入力回路
617 ペダルトルク入力回路
618 位置検出センサ
620 車速入力回路
622 駆動制御回路
624 電池ユニット
625 電流センサ
626 昇圧回路(降圧回路)
627 電池駆動回路
631 駆動輪
632 エンジン
633 動力分配統合機構
634 モータジェネレータ
635 モータジェネレータ
636 GPS(Global Positioning System, Global Positioning Satellite)ユニット
671 操作パネル
672 ブレーキセンサ
673 ブレーキセンサ
674 ハンドル
675 ブレーキレバー
676 ブレーキレバー
677 ブレーキワイヤ
678 ブレーキワイヤ
679 選択スイッチ
681 ヘッドライト(照明ライト)
682 電池ユニット
683 駆動制御ユニット
684 ペダルトルクセンサ
685 ペダル回転センサ
686 ブレーキライト(バックライト)
688 ペダル
689 前車輪
690 フレーム
691 後車輪
692 ブレーキ
693 ブレーキペダルセンサ
694 アクセル入力回路
695 アクセルペダルセンサ

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