(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102778
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ベンゾイソキサゾール誘導体を含有する医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/423 20060101AFI20230718BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230718BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230718BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230718BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230718BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230718BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20230718BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230718BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230718BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20230718BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230718BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230718BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230718BHJP
A61P 9/06 20060101ALI20230718BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230718BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230718BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230718BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230718BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A61K31/423
A61P43/00 111
A61P25/00
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P29/02
A61P25/04
A61P29/00
A61P25/18
A61P25/24
A61P25/20
A61P25/22
A61P9/06
A61P9/12
A61P35/00
A61P3/10
A61P15/00
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002533
(22)【出願日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2022002703
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】住友ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 知行
(72)【発明者】
【氏名】磯部 義明
(72)【発明者】
【氏名】北野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】奈良井 峻
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋明
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA062
4C084ZA081
4C084ZA082
4C084ZA122
4C084ZA182
4C084ZA362
4C084ZA422
4C084ZA812
4C084ZB112
4C084ZB262
4C084ZC352
4C084ZC411
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086BC68
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA18
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA81
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬および神経因性疼痛治療薬として有用な化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩(式中、R
1は水素等を表し、R
2はハロゲン等を表し、R
3、R
4、R
5及びR
6は水素等を表す)を有効成分として含有する、治療剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物、又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【化1】
[式中、
R
1は、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2は、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表すか、あるいは
R
1及びR
2はそれらが結合する炭素原子と一緒になってC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基を表し、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
【請求項2】
R1が、水素、フッ素、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、フッ素、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは
R1及びR2がそれらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基である、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC1-6アルコキシ(該アルコキシはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
R1が、水素、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは
R1及びR2がそれらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基である、
請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン、又はC1-3アルコキシ(該アルコキシは、1~3個のフッ素で置換されていてもよい)である、
請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
R1が、水素、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは
R1及びR2がそれらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基であり、
R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン、又はC1-3アルコキシ(該アルコキシは、1~3個のフッ素で置換されていてもよい)である、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
式(1)で表される化合物が以下の化合物から選択される、請求項1に記載の医薬組成物:
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、
2-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロメタンスルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1,1-ジフルオロメタンスルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-1-スルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)ブタン-1-スルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロエタン-1-スルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-2-メチルプロパン-1-スルホンアミド、
1-(5-メトキシ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、
1-(5-フルオロ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、
1-(5-クロロ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド。
【請求項8】
式(1)で表される化合物が以下の化合物から選択される、請求項1に記載の医薬組成物:
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、
2-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロメタンスルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1,1-ジフルオロメタンスルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロエタン-1-スルホンアミド、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド。
【請求項9】
式(1)で表される化合物が以下の化合物から選択される、請求項1に記載の医薬組成物:
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、
2-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド。
【請求項10】
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、5.7°±0.2、および17.3°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、5.7°±0.2、14.1±0.2°、17.3°±0.2°、19.1°±0.2°、19.3±0.2°、21.6°±0.2°、22.5±0.2°、23.1°±0.2°、23.3°±0.2°、および26.5°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、8.7°±0.2°、および17.6°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、8.7°±0.2°、13.5°±0.2°、15.5°±0.2°、17.6°±0.2°、20.3°±0.2°、21.6°±0.2°、22.6°±0.2°、26.2°±0.2°、26.8°±0.2°、および35.2°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、11.1°±0.2°、および20.3°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、11.1°±0.2°、13.8°±0.2°、17.0°±0.2°、20.3°±0.2°、21.4°±0.2°、22.1°±0.2°、22.4°±0.2°、24.8°±0.2°、26.3°±0.2°、および27.9°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患又は精神疾患の治療剤および/又は予防剤。
【請求項17】
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、てんかん、発作性疾患、運動機能異常(痙攣を含む筋肉痙縮に関連する障害、振戦、本態性振戦、ハンチントン舞踏病、ミオクローヌス、チック、下肢静止不能症候群及びジストニー)、無動症及び硬直症候群を含む運動障害およびパーキンソニズム(パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、突発性及び薬剤誘発性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、レビー小体型認知症、小脳性運動失調、パーキンソニズム-ALS認知症複合及び大脳基底核石灰化を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、薬剤誘発性ジスキネジア、侵害受容性疼痛(外傷痛、片頭痛、頭痛、慢性疼痛(腰背部痛、リウマチ性関節痛、繊維筋痛症、骨関節炎など)、炎症性疼痛)、神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)、疲労(パーキンソン疲労、多発性硬化症疲労、睡眠障害又は日周期リズムの障害により引き起こされる疲労、投薬誘発性パーキンソニズムを含む慢性疲労症候群など)、片頭痛、統合失調症、自閉症、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、双極性障害、うつ病、不安(全般的不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む)、睡眠障害(不眠症、過眠症、睡眠発作、レム睡眠障害を含む)、うつ病における睡眠障害、心不整脈、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能不全を含む多様な疾患及び障害である、請求項16に記載の治療剤および/又は予防剤。
【請求項18】
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、本態性振戦、不安(全般的不安障害)、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)である、請求項16に記載の治療剤及び/又は予防剤。
【請求項19】
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害を含む)、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害である、請求項16に記載の治療剤及び/又は予防剤。
【請求項20】
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩の使用。
【請求項21】
パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することを特徴とする、T型カルシウムチャネルの異常が関与する疾患を治療するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【請求項22】
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬と、パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
【請求項23】
パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することを特徴とする、神経系疾患又は精神疾患を治療するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【請求項24】
式(2):
【化2】
[式中、
R
1Aは、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2Aは、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、R
1AとR
2Aは、異なる置換基であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩の製造方法であって、下記の工程1~3を含む製造方法;
(工程1)式(3):
【化3】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩と式(4a)または(4b):
【化4】
[式中、R
7は、2-(メトキシカルボニル)エチル、メシチレンカルボニロキシメチル、2-ベンゾチアゾイル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、水酸基、シアノ、ニトロ、アミノ(該アミノは、C
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、カルボン酸、カルバモイル(該カルバモイルは、アミノ部分がC
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、2-ピリジル、2-ピリミジニルまたは2-(トリメチルシリル)エチルから選択されるスルフィン酸塩を放出することが可能な脱離基を表す。]
で表される化合物またはその塩を反応させて、式(5):
【化5】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程2)式(5)で表される化合物またはその塩を酸化して、式(6):
【化6】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程3)式(6)で表される化合物またはその塩のR
7を除去してスルホンアミド化して、式(2)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程。
【請求項25】
以下の工程を含む、請求項24に記載の製造方法;
(工程4a)式(7):
【化7】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5およびR
6は、請求項21と同じ基を表し、R
8は、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルキルカルボニロキシメトキシを表す。]
で表される化合物またはその塩を、リパーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、またはプロテアーゼから選択される加水分解酵素を用いて光学選択的に加水分解し、式(3)で表される化合物を製造する工程。
【請求項26】
R
1Aが水素であり、以下の工程を含む、請求項24に記載の製造方法;
(工程4b)式(8):
【化8】
[式中、R
2A、R
3、R
4、R
5およびR
6は、請求項21と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を、還元酵素、およびNADHまたはNADPHから選択される補酵素を用いて光学選択的に還元し、式(3)で表される化合物を製造する工程。
【請求項27】
R7が、2-ベンゾチアゾイルである、請求項24~26のいずれかに記載の製造方法。
【請求項28】
R8が、メチルであり、加水分解酵素が、リパーゼである、請求項25または27に記載の製造方法。
【請求項29】
R2Aが、メチルであり、還元酵素が、カルボニル還元酵素またはアルコール脱水素酵素である、請求項26または27に記載の製造方法。
【請求項30】
式(2):
【化9】
[式中、
R
1Aは、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2Aは、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、R
1AとR
2Aは、異なる置換基であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩の製造方法であって、下記の工程1~2を含む製造方法;
(工程1)式(9):
【化10】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、上記と同じ基を表し、X
1Aは、ハロゲンを表す。]
で表される化合物またはその塩と式(10):
【化11】
[式中、P
1Aは、2-インダノール-1-イル、2-フェニルエタン-1-オール-2-イル、または3-メチルブタン-1-オール-2-イルを表し、P
2Aは、水素またはベンジル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される光学活性化合物またはその塩を反応させてジアステレオマー分割をして、式(11):
【化12】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6、P
1A、およびP
2Aは、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程2)式(11)で表される化合物またはその塩を脱保護して、式(2)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程。
【請求項31】
R1Aが、水素であり、R2Aが、メチルである、請求項30に記載の製造方法。
【請求項32】
P1Aが、2-インダノール-1-イルであり、P2Aが、水素である、請求項30または31に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウムチャネル阻害活性を有するベンゾイソキサゾール誘導体及びその製薬学的に許容される塩、並びにそれらを有効成分として含有する医薬組成物又はパーキンソン病治療剤、本態性振戦治療剤、および神経因性疼痛治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞膜上にあるカルシウムチャネルは、電位依存型チャネルタンパク質の多種多様なスーパーファミリーのひとつであり、細胞外液から細胞内へのCa2+イオンの進入を制御する膜貫通型サブユニットタンパク質である。生体細胞において存在する電位依存型カルシウムチャネルは開口する電位により、高電位で活性化するL型(Cav.1)および非L型(P/Q型、N型およびR型)(Cav.2)と低電位で活性化するT型(Cav.3)に分類される。L型チャネルは骨格筋、心臓、内分泌組織、脳、網膜などに発現が認められ、非L型は神経細胞に発現しており、T型チャネルは脳に広くかつ豊富に発現している(非特許文献1)。
【0003】
T型カルシウムチャネルは、てんかん、本態性振戦、パーキンソン病、小脳性運動失調、痛覚過敏およびアロディニアを含む神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、片頭痛、統合失調症、自閉症、双極性障害、うつ病、不安、睡眠障害、心不整脈、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能不全を含む多様な疾患及び障害に関与していることが報告されている(非特許文献2、3および4)。現在、これら疾患及び障害に対する治療剤・治療方法は数多く存在するが、それらの効果が患者の治療満足度を十分満たされているとは言えず、よりよい治療剤の登場はいまなお熱望されているところである。
【0004】
特許文献1および2には、ベンゾイソキサゾール誘導体が記載されているが、後述の式(1)で表される化合物と化学構造が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭53-77057号
【特許文献2】米国4172896号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Pharmacological Reviews 57(4) 397-409 (2005)
【非特許文献2】Drug Discovery Today 11(5/6) 245-253 (2006)
【非特許文献3】Neuron 98(3) 466-481 (2018)
【非特許文献4】Q. Ashton Acton, PhD. (Eds.), Ion Channels-Advances in Research and Application. 2013 Edition. ScholarlyEditionsTM, Atlanta, Georgia, pp. 1-106.
【非特許文献5】泌尿器科紀要 57, 125-128 (2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、様々な神経系疾患または精神疾患に対する治療薬、具体的にはパーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬および神経因性疼痛治療薬として有用な化合物を含有する医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記式(1)で表される化合物がT型カルシウムチャネル阻害活性を有することを見出し、抗パーキンソン病作用(レボドパ作用の増強効果および抗振戦作用)および抗本態性振戦作用を有すること、加えて化学療法誘発性末梢神経障害に対して有効であることを見出し、本発明を完成した。本発明によれば、下記式(1)で表されるベンゾイソキサゾール誘導体(以下、「本発明の化合物」と称することもある)が提供される。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0010】
[項1]
式(1)で表される化合物、又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【化1】
[式中、
R
1は、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2は、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表すか、あるいは
R
1及びR
2はそれらが結合する炭素原子と一緒になってC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基を表し、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
【0011】
[項2]
R1が、水素、フッ素、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、フッ素、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは
R1及びR2がそれらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基である、
項1に記載の医薬組成物。
【0012】
[項3]
R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC1-6アルコキシ(該アルコキシはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
項1または2に記載の医薬組成物。
【0013】
[項4]
R1が、水素、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは
R1及びR2がそれらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基である、
項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
【0014】
[項5]
R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン、又はC1-3アルコキシ(該アルコキシは、1~3個のフッ素で置換されていてもよい)である、
項1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
【0015】
[項6]
R1が、水素、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは
R1及びR2がそれらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基であり、
R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン、又はC1-3アルコキシ(該アルコキシは、1~3個のフッ素で置換されていてもよい)である、
項1に記載の医薬組成物。
【0016】
[項7]
式(1)で表される化合物が以下の化合物から選択される、項1に記載の医薬組成物:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
2-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(実施例2)、
ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル-フルオロメタンスルホンアミド(実施例3)、
ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル-ジフルオロメタンスルホンアミド(実施例4)、
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(実施例5)、
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)プロパン-1-スルホンアミド(実施例6)、
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ブタン-1-スルホンアミド(実施例7)、
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)-1-フルオロエタン-1-スルホンアミド(実施例8)、
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)-2-メチルプロパン-1-スルホンアミド(実施例9)、
1-(5-メトキシベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例10)、
1-(5-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例11)、
1-(5-クロロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例12)、
(R)-1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、または
(S)-1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13、または14)。
【0017】
[項7a]
式(1)で表される化合物が以下の化合物から選択される、項1に記載の医薬組成物:
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
2-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(実施例2)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロメタンスルホンアミド(実施例3)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1,1-ジフルオロメタンスルホンアミド(実施例4)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(実施例5)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-1-スルホンアミド(実施例6)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)ブタン-1-スルホンアミド(実施例7)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロエタン-1-スルホンアミド(実施例8)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-2-メチルプロパン-1-スルホンアミド(実施例9)、
1-(5-メトキシ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例10)、
1-(5-フルオロ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例11)、
1-(5-クロロ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例12)、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13)、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例14)。
【0018】
[項8]
式(1)で表される化合物が以下の化合物から選択される、項1に記載の医薬組成物:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
2-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(実施例2)、
ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル-フルオロメタンスルホンアミド(実施例3)、
ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル-ジフルオロメタンスルホンアミド(実施例4)、
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(実施例5)、
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)-1-フルオロエタン-1-スルホンアミド(実施例8)、
(R)-1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、または
(S)-1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13、または14)。
【0019】
[項8a]
式(1)で表される化合物が以下の化合物から選択される、項1に記載の医薬組成物:
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
2-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(実施例2)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロメタンスルホンアミド(実施例3)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1,1-ジフルオロメタンスルホンアミド(実施例4)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(実施例5)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロエタン-1-スルホンアミド(実施例8)、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13)、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例14)。
【0020】
[項9]
式(1)で表される化合物が以下の化合物から選択される、項1に記載の医薬組成物:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
2-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(実施例2)、
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(実施例5)、
(R)-1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド、または
(S)-1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13、または14)。
【0021】
[項9a]
式(1)で表される化合物が以下の化合物から選択される、項1に記載の医薬組成物:
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
2-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(実施例2)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(実施例5)、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13)、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例14)。
【0022】
[項10]
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、5.7°±0.2、および17.3°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、項1に記載の医薬組成物。
【0023】
[項11]
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、5.7°±0.2、14.1±0.2°、17.3°±0.2°、19.1°±0.2°、19.3±0.2°、21.6°±0.2°、22.5±0.2°、23.1°±0.2°、23.3°±0.2°、および26.5°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、項1に記載の医薬組成物。
【0024】
[項12]
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、8.7°±0.2°、および17.6°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、項1に記載の医薬組成物。
【0025】
[項13]
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、8.7°±0.2°、13.5°±0.2°、15.5°±0.2°、17.6°±0.2°、20.3°±0.2°、21.6°±0.2°、22.6°±0.2°、26.2°±0.2°、26.8°±0.2°、および35.2°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、項1に記載の医薬組成物。
【0026】
[項14]
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、11.1°±0.2°、および20.3°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、項1に記載の医薬組成物。
【0027】
[項15]
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、11.1°±0.2°、13.8°±0.2°、17.0°±0.2°、20.3°±0.2°、21.4°±0.2°、22.1°±0.2°、22.4°±0.2°、24.8°±0.2°、26.3°±0.2°、および27.9°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、項1に記載の医薬組成物。
【0028】
[項16]
項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患又は精神疾患の治療剤および/又は予防剤。
【0029】
[項17]
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、てんかん、発作性疾患、運動機能異常(痙攣を含む筋肉痙縮に関連する障害、振戦、本態性振戦、ハンチントン舞踏病、ミオクローヌス、チック、下肢静止不能症候群及びジストニー)、無動症及び硬直症候群を含む運動障害およびパーキンソニズム(パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、突発性及び薬剤誘発性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、レビー小体型認知症、小脳性運動失調、パーキンソニズム-ALS認知症複合及び大脳基底核石灰化を含む)、薬剤誘発性ジスキネジア、侵害受容性疼痛(外傷痛、片頭痛、頭痛、慢性疼痛(腰背部痛、リウマチ性関節痛、繊維筋痛症、骨関節炎など)、炎症性疼痛)、神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)、疲労(パーキンソン疲労、多発性硬化症疲労、睡眠障害又は日周期リズムの障害により引き起こされる疲労、投薬誘発性パーキンソニズムを含む慢性疲労症候群など)、片頭痛、統合失調症、自閉症、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、双極性障害、うつ病、不安(全般的不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む)、睡眠障害(不眠症、過眠症、睡眠発作、レム睡眠障害を含む)、心不整脈、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能不全を含む多様な疾患及び障害である、項16に記載の治療剤および/又は予防剤。
【0030】
[項17a]
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、てんかん、発作性疾患、運動機能異常(痙攣を含む筋肉痙縮に関連する障害、振戦、本態性振戦、ハンチントン舞踏病、ミオクローヌス、チック、下肢静止不能症候群及びジストニー)、無動症及び硬直症候群を含む運動障害およびパーキンソニズム(パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、突発性及び薬剤誘発性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、レビー小体型認知症、小脳性運動失調、パーキンソニズム-ALS認知症複合及び大脳基底核石灰化を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、薬剤誘発性ジスキネジア、侵害受容性疼痛(外傷痛、片頭痛、頭痛、慢性疼痛(腰背部痛、リウマチ性関節痛、繊維筋痛症、骨関節炎など)、炎症性疼痛)、神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)、疲労(パーキンソン疲労、多発性硬化症疲労、睡眠障害又は日周期リズムの障害により引き起こされる疲労、投薬誘発性パーキンソニズムを含む慢性疲労症候群など)、片頭痛、統合失調症、自閉症、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、双極性障害、うつ病、不安(全般的不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む)、睡眠障害(不眠症、過眠症、睡眠発作、レム睡眠障害を含む)、うつ病における睡眠障害、心不整脈、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能不全を含む多様な疾患及び障害である、項16に記載の治療剤および/又は予防剤。
【0031】
[項18]
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、本態性振戦、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)である、項16に記載の治療剤及び/又は予防剤。
【0032】
[項18a]
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、本態性振戦、不安(全般的不安障害)、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)である、項16に記載の治療剤及び/又は予防剤。
【0033】
[項19]
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病における振戦、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害である、項16に記載の治療剤及び/又は予防剤。
【0034】
[項19a]
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害を含む)、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害である、項16に記載の治療剤及び/又は予防剤。
【0035】
[項20]
治療が必要な患者に、治療上の有効量の項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患を治療及び/又は予防するための方法。
【0036】
[項21]
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩の使用。
【0037】
[項22]
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患の治療及び/又は予防に使用するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【0038】
[項23]
治療が必要な患者に、治療上の有効量の項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、本態性振戦、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)の治療及び/又は予防するための方法。
【0039】
[項23a]
治療が必要な患者に、治療上の有効量の項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、本態性振戦、不安(全般的不安障害)、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)の治療及び/又は予防するための方法。
【0040】
[項24]
パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、本態性振戦、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩の使用。
【0041】
[項24a]
パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、本態性振戦、不安(全般的不安障害)、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩の使用。
【0042】
[項25]
パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、本態性振戦、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)の治療及び/又は予防に使用するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【0043】
[項25a]
パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、本態性振戦、不安(全般的不安障害)、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)の治療及び/又は予防に使用するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【0044】
[項26]
治療が必要な患者に、治療上の有効量の項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、パーキンソン病における振戦、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害の治療及び/又は予防するための方法。
【0045】
[項26a]
治療が必要な患者に、治療上の有効量の項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害を含む)、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害の治療及び/又は予防するための方法。
【0046】
[項27]
パーキンソン病における振戦、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩の使用。
【0047】
[項27a]
パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害を含む)、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩の使用。
【0048】
[項28]
パーキンソン病における振戦、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害の治療及び/又は予防に使用するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【0049】
[項28a]
パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害を含む)、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害の治療及び/又は予防に使用するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【0050】
[項29]
パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することを特徴とする、T型カルシウムチャネルの異常が関与する疾患を治療するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【0051】
[項30]
項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬と、パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
【0052】
[項31]
パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することを特徴とする、神経系疾患又は精神疾患を治療するための、項1~15(項7a~9aを含む)のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【0053】
[項32]
式(2):
【化2】
[式中、
R
1Aは、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2Aは、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、R
1AとR
2Aは、異なる置換基であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩の製造方法であって、下記の工程1~3を含む製造方法;
(工程1)式(3):
【化3】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩と式(4a)または(4b):
【化4】
[式中、R
7は、2-(メトキシカルボニル)エチル、メシチレンカルボニロキシメチル、2-ベンゾチアゾイル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、水酸基、シアノ、ニトロ、アミノ(該アミノは、C
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、カルボン酸、カルバモイル(該カルバモイルは、アミノ部分がC
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、2-ピリジル、2-ピリミジニルまたは2-(トリメチルシリル)エチルから選択されるスルフィン酸塩を放出することが可能な脱離基を表す。]
で表される化合物またはその塩を反応させて、式(5):
【化5】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程2)式(5)で表される化合物またはその塩を酸化して、式(6):
【化6】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程3)式(6)で表される化合物またはその塩のR
7を除去してスルホンアミド化して、式(2)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程。
【0054】
[項33]
以下の工程を含む、項32に記載の製造方法;
(工程4a)式(7):
【化7】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5およびR
6は、項32と同じ基を表し、R
8は、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルキルカルボニロキシメトキシを表す。]
で表される化合物またはその塩を、リパーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、またはプロテアーゼから選択される加水分解酵素を用いて光学選択的に加水分解し、式(3)で表される化合物を製造する工程。
【0055】
[項34]
R
1Aが水素であり、以下の工程を含む、項32に記載の製造方法;
(工程4b)式(8):
【化8】
[式中、R
2A、R
3、R
4、R
5およびR
6は、項32と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を、還元酵素、およびNADHまたはNADPHから選択される補酵素を用いて光学選択的に還元し、式(3)で表される化合物を製造する工程。
【0056】
[項35]
R7が、2-ベンゾチアゾイルである、項32~34のいずれかに記載の製造方法。
【0057】
[項36]
R8が、メチルであり、加水分解酵素が、リパーゼである、項33または35に記載の製造方法。
【0058】
[項37]
R2Aが、メチルであり、還元酵素が、カルボニル還元酵素またはアルコール脱水素酵素である、項34または35に記載の製造方法。
【0059】
[項38]
式(2):
【化9】
[式中、
R
1Aは、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2Aは、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、R
1AとR
2Aは、異なる置換基であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩の製造方法であって、下記の工程1~2を含む製造方法;
(工程1)式(9):
【化10】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、上記と同じ基を表し、X
1Aは、ハロゲンを表す。]
で表される化合物またはその塩と式(10):
【化11】
[式中、P
1Aは、2-インダノール-1-イル、2-フェニルエタン-1-オール-2-イル、または3-メチルブタン-1-オール-2-イルを表し、P
2Aは、水素またはベンジル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される光学活性化合物またはその塩を反応させてジアステレオマー分割をして、式(11):
【化12】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6、P
1A、およびP
2Aは、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程2)式(11)で表される化合物またはその塩を脱保護して、式(2)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程。
【0060】
[項39]
R1Aが、水素であり、R2Aが、メチルである、項38に記載の製造方法。
【0061】
[項40]
P1Aが、2-インダノール-1-イルであり、P2Aが、水素である、項38または39に記載の製造方法。
【0062】
[項41]
式(2-1):
【化13】
[式中、
R
1Aは、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2Aは、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、R
1AとR
2Aは、異なる置換基であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩の製造方法であって、下記の工程1~3を含む製造方法;
(工程1)式(3-1):
【化14】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩と式(4a)または(4b):
【化15】
[式中、R
7は、2-(メトキシカルボニル)エチル、メシチレンカルボニロキシメチル、2-ベンゾチアゾイル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、水酸基、シアノ、ニトロ、アミノ(該アミノは、C
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、カルボン酸、カルバモイル(該カルバモイルは、アミノ部分がC
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、2-ピリジル、2-ピリミジニルまたは2-(トリメチルシリル)エチルから選択されるスルフィン酸塩を放出することが可能な脱離基を表す。]
で表される化合物またはその塩を反応させて、式(5-1):
【化16】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程2)式(5-1)で表される化合物またはその塩を酸化して、式(6-1):
【化17】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程3)式(6-1)で表される化合物またはその塩のR
7を除去してスルホンアミド化して、式(2-1)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程。
【0063】
[項42]
以下の工程を含む、項41に記載の製造方法;
(工程4a)式(7):
【化18】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5およびR
6は、項41と同じ基を表し、R
8は、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルキルカルボニロキシメトキシを表す。]
で表される化合物またはその塩を、リパーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、またはプロテアーゼから選択される加水分解酵素を用いて光学選択的に加水分解し、式(3-1)で表される化合物を製造する工程。
【0064】
[項43]
R
1Aが水素であり、以下の工程を含む、項41に記載の製造方法;
(工程4b)式(8):
【化19】
[式中、R
2A、R
3、R
4、R
5およびR
6は、項41と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を、還元酵素、およびNADHまたはNADPHから選択される補酵素を用いて光学選択的に還元し、式(3-1)で表される化合物を製造する工程。
【0065】
[項44]
R7が、2-ベンゾチアゾイルである、項41~43のいずれかに記載の製造方法。
【0066】
[項45]
R8が、メチルであり、加水分解酵素が、リパーゼである、項42または44に記載の製造方法。
【0067】
[項46]
R2Aが、メチルであり、還元酵素が、カルボニル還元酵素またはアルコール脱水素酵素である、項43または44に記載の製造方法。
【0068】
[項47]
式(2-1):
【化20】
[式中、
R
1Aは、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2Aは、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、R
1AとR
2Aは、異なる置換基であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩の製造方法であって、下記の工程1~2を含む製造方法;
(工程1)式(9):
【化21】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、上記と同じ基を表し、X
1Aは、ハロゲンを表す。]
で表される化合物またはその塩と式(10):
【化22】
[式中、P
1Aは、2-インダノール-1-イル、2-フェニルエタン-1-オール-2-イル、または3-メチルブタン-1-オール-2-イルを表し、P
2Aは、水素またはベンジル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される光学活性化合物またはその塩を反応させてジアステレオマー分割をして、式(11-1):
【化23】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6、P
1A、およびP
2Aは、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程2)式(11-1)で表される化合物またはその塩を脱保護して、式(2-1)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程。
【0069】
[項48]
R1Aが、水素であり、R2Aが、メチルである、項47に記載の製造方法。
【0070】
[項49]
P1Aが、2-インダノール-1-イルであり、P2Aが、水素である、項47または48に記載の製造方法。
【0071】
[項50]
式(2-2):
【化24】
[式中、
R
1Aは、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2Aは、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、R
1AとR
2Aは、異なる置換基であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩の製造方法であって、下記の工程1~3を含む製造方法;
(工程1)式(3-2):
【化25】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩と式(4a)または(4b):
【化26】
[式中、R
7は、2-(メトキシカルボニル)エチル、メシチレンカルボニロキシメチル、2-ベンゾチアゾイル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、水酸基、シアノ、ニトロ、アミノ(該アミノは、C
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、カルボン酸、カルバモイル(該カルバモイルは、アミノ部分がC
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、2-ピリジル、2-ピリミジニルまたは2-(トリメチルシリル)エチルから選択されるスルフィン酸塩を放出することが可能な脱離基を表す。]
で表される化合物またはその塩を反応させて、式(5-2):
【化27】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程2)式(5-2)で表される化合物またはその塩を酸化して、式(6-2):
【化28】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程3)式(6-2)で表される化合物またはその塩のR
7を除去してスルホンアミド化して、式(2-2)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程。
【0072】
[項51]
以下の工程を含む、項50に記載の製造方法;
(工程4a)式(7):
【化29】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5およびR
6は、項50と同じ基を表し、R
8は、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルキルカルボニロキシメトキシを表す。]
で表される化合物またはその塩を、酸または塩基を用いて加水分解し、式(3-2)で表される化合物を製造する工程。
【0073】
[項52]
R
1Aが水素であり、以下の工程を含む、項50に記載の製造方法;
(工程4b)式(8):
【化30】
[式中、R
2A、R
3、R
4、R
5およびR
6は、項50と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を、還元剤を用いて還元し、式(3-2)で表される化合物を製造する工程。
【0074】
[項53]
R7が、2-ベンゾチアゾイルである、項50~52のいずれかに記載の製造方法。
【0075】
[項54]
R1Aが、水素であり、R2Aが、メチルである、項50~53のいずれかに記載の製造方法。
【0076】
[項55]
式(2-2):
【化31】
[式中、
R
1Aは、水素、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
R
2Aは、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、R
1AとR
2Aは、異なる置換基であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す。]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩の製造方法であって、下記の工程1~2を含む製造方法;
(工程1)式(9):
【化32】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、上記と同じ基を表し、X
1Aは、ハロゲンを表す。]
で表される化合物またはその塩と式(10-2):
【化33】
[式中、P
1BおよびP
2Bは、同一または異なって、水素または窒素原子の保護基を表す。]
で表される化合物またはその塩を反応させて、式(11-2):
【化34】
[式中、R
1A、R
2A、R
3、R
4、R
5、R
6、P
1B、およびP
2Bは、上記と同じ基を表す。]
で表される化合物またはその塩を製造する工程、
(工程2)式(11-2)で表される化合物またはその塩を脱保護して、式(2-2)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程、ただし、P
1B、およびP
2Bがいずれも水素である場合は、本工程は不要である。
【0077】
[項56]
R1Aが、水素であり、R2Aが、メチルである、項55に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0078】
本発明の化合物は、T型カルシウムチャネル阻害活性を有することから、様々な神経系疾患または精神疾患(例えば、てんかん、本態性振戦、パーキンソン病、小脳性運動失調、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、薬剤誘発性ジスキネジア、痛覚過敏およびアロディニアを含む神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、片頭痛、統合失調症、自閉症、双極性障害、うつ病、不安、睡眠障害、うつ病における睡眠障害、心不整脈、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能不全等)に対する治療薬及び/又は予防薬として有用である。本発明の化合物はまた、モノアミン酸化酵素B(monoamine oxidase B、以下「MAOB」という)阻害作用によらないレボドパ誘発運動亢進増強作用を有し、好ましい化合物においては炭酸脱水酵素阻害作用の減弱により腎結石リスクが低減していることから、安全性の高いパーキンソン病治療のためのレボドパ製剤との併用薬として有用である。本発明の化合物は更に、レボドパ誘発ジスキネジアモデルにおいてジスキネジアの発症を抑制したことから、既存のレボドパとの併用薬とは異なり安全性の高いパーキンソン病治療薬及び/又は予防薬として有用である。加えて、パーキンソン病振戦モデルや本態性振戦モデルに対して有効性を示したことから、パーキンソン病における振戦、本態性振戦、さらには神経系疾患又は精神疾患に認められるパーキンソニズムの治療薬及び/又は予防薬としても有用である。さらに、オキサリプラチン誘発疼痛モデルにおいて抗アロディニア作用を示したことから、神経因性疼痛(特に、化学療法誘発性末梢神経障害における疼痛やアロディニア)の治療薬及び/又は予防薬としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1-1】
図1-1は、実施例15で行った実施例13の化合物のX線結晶構造図を示す。
図1-1はベンゾイソキサゾール環を正面から見た図である。
【
図1-2】
図1-2は、実施例15で行った実施例13の化合物のX線結晶構造図を示す。
図1-2はベンゾイソキサゾール環を横から見た図である。
【
図2】
図2は、実施例23で行った実施例13の化合物(形態I)のX線粉末回折パターンである。x軸は2θ値、y軸は強度を示す。
【
図3】
図3は、実施例23で行った実施例13の化合物(形態II)のX線粉末回折パターンである。x軸は2θ値、y軸は強度を示す。
【
図4】
図4は、実施例23で行った実施例13の化合物(形態III)のX線粉末回折パターンである。x軸は2θ値、y軸は強度を示す。
【
図5】
図5は、実施例24で行った実施例13の化合物(形態I)に関する示差走査熱量測定(DSC)を示す。x軸は温度(℃)、y軸は熱流量(ワット/g)を示す。
【
図6】
図6は、実施例24で行った実施例13の化合物(形態II)に関する示差走査熱量測定(DSC)を示す。x軸は温度(℃)、y軸は熱流量(ワット/g)を示す。
【
図7】
図7は、実施例24で行った実施例13の化合物(形態III)に関する示差走査熱量測定(DSC)を示す。x軸は温度(℃)、y軸は熱流量(ワット/g)を示す。
【
図8】
図8は、実施例25で行った実施例13の化合物(形態I)に関する熱重量分析(TGA)を示す。x軸は温度(℃)、y軸は重量変動(%)を示す。
【
図9】
図9は、実施例25で行った実施例13の化合物(形態II)に関する熱重量分析(TGA)を示す。x軸は温度(℃)、y軸は重量変動(%)を示す。
【
図10】
図10は、実施例25で行った実施例13の化合物(形態III)に関する熱重量分析(TGA)を示す。x軸は温度(℃)、y軸は重量変動(%)を示す。
【
図11】
図11は、実施例26で行った実施例13の化合物(形態I)に関する動的蒸気吸着(DVS)を示す。x軸は相対湿度(%)、y軸は質量変動(%)を示す。
【
図12】
図12は、実施例26で行った実施例13の化合物(形態II)に関する動的蒸気吸着(DVS)を示す。x軸は相対湿度(%)、y軸は質量変動(%)を示す。
【
図13】
図13は、実施例26で行った実施例13の化合物(形態III)に関する動的蒸気吸着(DVS)を示す。x軸は相対湿度(%)、y軸は質量変動(%)を示す。
【
図14】
図14は、試験例2において、実施例1~5の化合物についての、レセルピン誘発パーキンソン病モデルマウスにおけるレボドパ誘発運動亢進に対する増強効果を示す図である。白カラムは、レボドパ単独投与群のトータル運動量を100%として表し、色付きカラムは、レボドパ単独投与群のトータル運動量に対するレボドパと実施例化合物もしくはラサギリンのそれぞれの投与量(mg/kg)との併用投与におけるトータル運動量の割合(%)を表す。
【
図15】
図15は、試験例3において、実施例1、2、3、5、8、13、および14の化合物についての、6-ヒドロキシドパミン(6-OHDA)による片側黒質線条体ドパミン神経破壊モデルにおけるレボドパ誘発回転行動の持続時間延長効果を示す図である。縦軸は、後期相回転数(回転行動観察開始から100分から120分の間)を表す。白カラム(Veh)はレボドパ単独投与群を表し、色付きカラムは、レボドパと実施例化合物、サフィナミドもしくはラサギリンとの併用投与群を、併用するそれぞれの化合物の投与量(mg/kg)とともに表す。
【
図16】
図16は、試験例4において、実施例1および13の化合物についての、タクリン誘発パーキンソン病振戦モデルにおける抗振戦作用を示す図である。縦軸は、タクリン投与10分後から10分間の下顎振戦回数を表す。白カラム(Vehicle)はタクリン単独投与群を表し、色付きカラムはタクリンと実施例化合物との併用投与群を、それぞれの実施例化合物の投与量(mg/kg)とともに表す。
【
図17】
図17は、試験例5において、実施例1および13の化合物についての、レボドパ誘発ジスキネジア抑制効果を示す図である。縦軸は、レボドパ投与後20分から180分まで20分ごとにスコア付けしたトータルジスキネジア様症状スコアを表す。白カラム(MC)はレボドパと溶媒反復投与群を表し、色付きカラムはレボドパと実施例化合物もしくはラサギリンとの併用反復投与群を、併用するそれぞれの化合物の投与量(mg/kg)とともに表す。
【
図18】
図18は、試験例7において、実施例1、13および14の化合物についての、ハルマリン誘発本態性振戦モデルマウスにおける振戦抑制効果を示す図である。縦軸は、ハルマリンによって誘発される振戦の強度を表す。白カラム(Vehicle)はハルマリン単独投与群を表し、斜線カラム(Propranolol)はハルマリンとβ-プロプラノロール(10mg/kg)との併用投与群を、色付きカラムはハルマリンと実施例化合物との併用投与群を、併用するそれぞれの化合物の投与量(mg/kg)とともに表す。
【
図19】
図19は、試験例8において、実施例13の化合物についての、化学療法誘発性末梢神経障害モデルにおける抗冷感アロディニア作用を示す図である。縦軸は、アセトン試験におけるトータルスコアを表す。白カラムは、オキサリプラチン反復処置前と反復処置後のオキサリプラチン+溶媒反復投与群を表し、色付きカラムはオキサリプラチン+実施例化合物もしくはデュロキセチンの反復投与群を表す。
【
図20】
図20は、試験例10において、実施例13の化合物についての、6-OHDA片側黒質線条体ドパミン神経破壊モデルにおける抗振戦作用を示す図である。縦軸は、本モデルにおける10分間の下顎振戦回数を表す。白カラム(Vehicle)は溶媒投与群を表し、色付きカラムは実施例化合物の投与群をその投与量(mg/kg)とともに表す。
【
図21】
図21は、試験例11において、実施例13の化合物についての、マウス脳スライスにおける神経細胞発火抑制作用を示す図である。縦軸は、パッチクランプ手法により測定された、神経細胞における実施例化合物添加前と添加後のスパイク発火頻度の比を百分率で示している。A、Bはそれぞれ視床下核神経細胞および小脳プルキンエ細胞における結果を表す。化合物の用量は脳スライスを潅流する記録溶液中の濃度(μmol/L)として示している。
【
図22】
図22は、試験例12において、実施例13の化合物についての、抗不安作用を示す図である。
図9Aおける縦軸は、全アーム進入回数に対するオープンアーム進入の割合、
図9Bにおける縦軸は、全探索時間に対するオープンアーム滞在時間の割合を示す。白色カラム(Vehicle)は溶媒投与群を表し、斜線カラム(DZP_3)は陽性対照物質として用いた抗不安薬であるジアゼパム(diazepam)3 mg/kg投与群、色付きカラムは実施例13の投与群を表し、カラムの下限に記載の数字はその投与量を表す。
【
図23】
図23は、試験例13において、実施例13の化合物についての、(A)ノンレム睡眠潜時、(B)レム睡眠潜時(C)覚醒時間、(D)ノンレム睡眠時間、(E)レム睡眠時間に対する作用を示す図である。縦軸は投与後6時間までの合計時間を分で表している。白色カラムは溶媒投与群を表し、灰色カラムは実施例13の化合物投与量群であり、投与量(mg/kg)を数字で示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本明細書における用語について以下に説明する。
【0081】
本明細書において、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分又は置換基である場合にも該当する。
【0082】
「ハロゲン」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素が挙げられる。好ましくはフッ素、又は塩素である。さらに好ましくは、フッ素である。
【0083】
「C1-6アルキル」とは、炭素原子数が1~6の直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味し、「C6アルキル」とは、炭素原子数が6のアルキルを意味する。他の数字の場合も同様である。「C1-6アルキル」として、好ましくは「C1-4アルキル」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルキル」が挙げられる。「C1-3アルキル」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル等が挙げられる。「C1-4アルキル」の具体例としては、例えば、前記「C1-3アルキル」の具体例として挙げたものに加え、ブチル、1,1-ジメチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル等が挙げられる。「C1-6アルキル」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルキル」の具体例として挙げたものに加え、ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0084】
「C3-6シクロアルキル」とは、炭素原子数が3~6の環状アルキルを意味し、一部架橋された構造のものも含まれる。「C3-6シクロアルキル」として、好ましくは「C3-5シクロアルキル」が挙げられる。「C3-5シクロアルキル」の具体例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル等が挙げられる。「C3-6シクロアルキル」の具体例としては、例えば、前記「「C3-5シクロアルキル」の具体例として挙げたものに加え、シクロへキシル等が挙げられる。
【0085】
「C1-6アルコキシ」とは、前記「C1-6アルキル」によって置換されたオキシ基を意味する。「C1-6アルコキシ基」として、好ましくは「C1-4アルコキシ」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルコキシ」が挙げられる。「C1-3アルコキシ」の具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ等が挙げられる。「C1-4アルコキシ」の具体例としては、例えば、前記「C1-3アルコキシ」の具体例として挙げたものに加え、ブトキシ、1,1-ジメチルエトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシが挙げられる。「C1-6アルコキシ」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルコキシ」の具体例として挙げたものに加え、ペンチロキシ、3-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、1-エチルプロポキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、4-メチルペンチロキシ、3-メチルペンチロキシ、2-メチルペンチロキシ、1-メチルペンチロキシ、ヘキシロキシ等が挙げられる。
【0086】
「C1-6アルコキシカルボニル」とは、前記「C1-6アルコキシ」によって置換されたカルボニル基を意味する。「C1-6アルコキシカルボニル基」として、好ましくは「C1-4アルコキシカルボニル」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルコキシカルボニル」が挙げられる。「C1-3アルコキシカルボニル」の具体例としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、1-メチルエトキシカルボニル等が挙げられる。「C1-4アルコキシカルボニル」の具体例としては、例えば、前記「C1-3アルコキシカルボニル」の具体例として挙げたものに加え、ブトキシカルボニル、1,1-ジメチルエトキシカルボニル、1-メチルプロポキシカルボニル、2-メチルプロポキシカルボニルが挙げられる。「C1-6アルコキシカルボニル」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルコキシカルボニル」の具体例として挙げたものに加え、ペンチロキシカルボニル、3-メチルブトキシカルボニル、2-メチルブトキシカルボニル、2,2-ジメチルプロポキシカルボニル、1-エチルプロポキシカルボニル、1,1-ジメチルプロポキシカルボニル、4-メチルペンチロキシカルボニル、3-メチルペンチロキシカルボニル、2-メチルペンチロキシカルボニル、1-メチルペンチロキシカルボニル、ヘキシロキシカルボニル等が挙げられる。
【0087】
「C1-6アルキルカルボニロキシメトキシ」とは、前記「C1-6アルキル」によって置換されたカルボニロキシメトキシ基を意味する。「C1-6アルキルカルボニロキシメトキシ基」として、好ましくは「C1-4アルキルカルボニロキシメトキシ」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルキルカルボニロキシメトキシ」が挙げられる。「C1-3アルキルカルボニロキシメトキシ」の具体例としては、例えば、メチルカルボニロキシメトキシ、エチルカルボニロキシメトキシ、プロピルカルボニロキシメトキシ、1-メチルエチルカルボニロキシメトキシ等が挙げられる。「C1-4アルキルカルボニロキシメトキシ」の具体例としては、例えば、前記「C1-3アルキルカルボニロキシメトキシ」の具体例として挙げたものに加え、ブトキシカルボニロキシメトキシ、1,1-ジメチルエチルカルボニロキシメトキシ、1-メチルプロピルカルボニロキシメトキシ、2-メチルプロピルカルボニロキシメトキシが挙げられる。「C1-6アルキルカルボニロキシメトキシ」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルキルカルボニロキシメトキシ」の具体例として挙げたものに加え、ペンチルカルボニロキシメトキシ、3-メチルブチルカルボニロキシメトキシ、2-メチルブチルカルボニロキシメトキシ、2,2-ジメチルプロピルカルボニロキシメトキシ、1-エチルプロピルカルボニロキシメトキシ、1,1-ジメチルプロピルカルボニロキシメトキシ、4-メチルペンチルカルボニロキシメトキシ、3-メチルペンチルカルボニロキシメトキシ、2-メチルペンチルカルボニロキシメトキシ、1-メチルペンチルカルボニロキシメトキシ、ヘキシルカルボニロキシメトキシ等が挙げられる。
【0088】
R1、R2、R3、R4、R5、R6で、好ましいものは以下のとおりであるが、本発明の技術的範囲は下記に挙げる化合物の範囲に限定されるものではない。
【0089】
R1及びR2の好ましい態様としては、R1が、水素、フッ素、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、フッ素、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、
あるいは、R1及びR2が、それらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基が挙げられる。
【0090】
R1及びR2のより好ましい態様としては、R1が、水素、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、
あるいは、R1及びR2が、それらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基が挙げられる。
【0091】
R1及びR2の更により好ましい態様としては、R1が、水素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、
あるいは、R1及びR2が、それらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基が挙げられる。
【0092】
R
1及びR
2が結合する炭素原子と一緒になって構成したC
3-6シクロアルキルとしては、例えば以下の(2a)~(2d)が挙げられる。好ましくは(2a)または(2b)が挙げられ、より好ましくは、(2a)が挙げられる。
【化35】
【0093】
R3、R4、R5及びR6の好ましい態様としては、R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン(該ハロゲンとしては、フッ素、塩素、または臭素が好ましい)、シアノ、ニトロ、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC1-6アルコキシ(該アルコキシはフッ素、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
【0094】
R3、R4、R5及びR6のより好ましい態様としては、R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン(該ハロゲンとしては、フッ素、または塩素が好ましい)、又はC1-3アルコキシ(該アルコキシは、1~3個のフッ素で置換されていてもよい)が挙げられる。
【0095】
R1A及びR2Aの好ましい態様としては、R1Aが、水素、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2Aが、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)挙げられる。ここにおいて、R1AとR2Aは、異なる置換基である。
【0096】
R1A及びR2Aのより好ましい態様としては、R1Aが、水素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2Aが、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。ここにおいて、R1AとR2Aは、異なる置換基である。
【0097】
R1A及びR2Aの更により好ましい態様としては、R1Aが、水素であり、
R2Aが、メチルが挙げられる。
【0098】
R7の好ましい態様としては、2-(メトキシカルボニル)エチル、メシチレンカルボニロキシメチル、2-ベンゾチアゾイル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、2-ピリジル、2-ピリミジニルまたは2-(トリメチルシリル)エチルが挙げられる。
【0099】
R7のより好ましい態様としては、2-ベンゾチアゾイル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、2-ピリミジニルまたは2-(トリメチルシリル)エチルが挙げられる。
【0100】
R7の更により好ましい態様としては、2-ベンゾチアゾイルが挙げられる。
【0101】
R8の好ましい態様としては、C1-6アルキルが挙げられ、より好ましい態様としては、メチルが挙げられる。
【0102】
X1Aの好ましい態様としてはハロゲンが挙げられ、より好ましい態様としては、塩素または臭素が挙げられ、更により好ましい態様としては、塩素が挙げられる。
【0103】
P1A及びP2Aの好ましい態様としては、P1Aが、2-インダノール-1-イルまたは2-フェニルエタン-1-オール-2-イル、3-メチルブタン-1-オール-2-イルであり、
P2Aが、水素、2,4-ジメトキシベンジル、p-メトキシベンジルが挙げられる。
【0104】
P1A及びP2Aのより好ましい態様としては、P1Aが、2-インダノール-1-イルまたは2-フェニルエタン-1-オール-2-イルであり、
P2Aが、水素が挙げられる。
【0105】
P1A及びP2Aの更により好ましい態様としては、P1Aが、2-インダノール-1-イルであり、
P2Aが、水素が挙げられる。
【0106】
P1B及びP2Bの好ましい態様としては、同一または異なって、水素、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル(該ベンジルオキシカルボニルは、フェニル部分にC1-6アルコキシによって1~5個置換されていてもよい)、ベンジル(該ベンジルは、フェニル部分にC1-6アルコキシによって1~5個置換されていてもよい)が挙げられる。
【0107】
P1B及びP2Bのより好ましい態様としては、同一または異なって、水素、2,4-ジメトキシベンジルまたはp-メトキシベンジルが挙げられる。
【0108】
加水分解酵素の好ましい態様としては、リパーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、またはプロテアーゼが挙げられる。
【0109】
加水分解酵素のより好ましい態様としては、リパーゼが挙げられる。
【0110】
還元酵素の好ましい態様としては、カルボニル還元酵素またはアルコール脱水素酵素が挙げられ、より好ましくは、カルボニル還元酵素が挙げられる。
【0111】
補酵素の好ましい態様としては、NADHまたはNADPHが挙げられ、より好ましくは、NADPHが挙げられる。
【0112】
加水分解反応に用いる酸または塩基の好ましい態様としては、酸としては塩酸、硫酸、またはトリフルオロ酢酸が挙げられ、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウムが挙げられる。
【0113】
還元剤の好ましい態様としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化リチウムアルミニウムが挙げられる。
【0114】
窒素原子の保護基の好ましい態様としては、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル(該ベンジルオキシカルボニルは、フェニル部分にC1-6アルコキシによって1~5個置換されていてもよい)、ベンジル(該ベンジルは、フェニル部分にC1-6アルコキシによって1~5個置換されていてもよい)が挙げられ、好ましくは、2,4-ジメトキシベンジルまたはp-メトキシベンジルが挙げられる。
【0115】
式(1)で表される化合物のうちで、好ましい化合物としては、以下のような化合物又はその製薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0116】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(A)が挙げられる。
(A)
R1が、水素又はハロゲンであり、
R2が、ハロゲン又はC1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0117】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(B)が挙げられる。
(B)
R1及びR2が、C1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0118】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(C)が挙げられる。
(C)
R1及びR2が、それらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基であり、
R3、R4、R5及びR6が、同一又は異なって、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0119】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(D)が挙げられる。
(D)
R1が、水素、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、フッ素、又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、
あるいは、R1及びR2が、それらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基であり、
R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン(該ハロゲンとしては、フッ素、または塩素が好ましい)、又はC1-3アルコキシ(該アルコキシは、1~3個のフッ素で置換されていてもよい)である化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0120】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(E)が挙げられる。
(E)
R1が、水素又はC1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R2が、C1-6アルキル(該アルキルはフッ素、水酸基及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であるか、
あるいは、R1及びR2が、それらが結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはフッ素、水酸基、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を構成した基であり、
R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素、ハロゲン(該ハロゲンとしては、フッ素、または塩素が好ましい)、又はC1-6アルコキシ(該アルコキシは、フッ素によって1~3個置換されていてもよい)である化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0121】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の化合物が挙げられる。
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
2-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(実施例2)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロメタンスルホンアミド(実施例3)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1,1-ジフルオロメタンスルホンアミド(実施例4)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(実施例5)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-1-スルホンアミド(実施例6)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)ブタン-1-スルホンアミド(実施例7)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロエタン-1-スルホンアミド(実施例8)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-2-メチルプロパン-1-スルホンアミド(実施例9)、
1-(5-メトキシ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例10)、
1-(5-フルオロ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例11)、
1-(5-クロロ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例12)、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13)、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例14)。
【0122】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の化合物が挙げられる。
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
2-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(実施例2)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロメタンスルホンアミド(実施例3)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1,1-ジフルオロメタンスルホンアミド(実施例4)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(実施例5)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-1-フルオロエタン-1-スルホンアミド(実施例8)、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13)、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例14)。
【0123】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の化合物が挙げられる。
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
2-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(実施例2)、
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(実施例5)、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13)、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例14)。
【0124】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の化合物が挙げられる。
1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例1)、
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例13)、または
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(実施例14)。
【0125】
式(I)の化合物のいくつかには多形が存在する。結晶性物質を、X線粉末回折(以下、「XRPD」)分析、示差走査熱量測定(以下、「DSC」)、熱重量分析(以下、「TGA」)、動的蒸気吸着(以下、「DVS」)、拡散反射赤外フーリエ変換(DRIFT)分光法、近赤外(NIR)分光法、液相および/または固相核磁気共鳴分光法などの慣用技術を用いて分析できることが一般に知られている。また、結晶性物質の含水率は、カールフィッシャー分析により測定できる。
【0126】
例えば、実施例13の化合物には多形が存在し、本明細書では3つの結晶形(形態I、形態IIおよび形態III)が特定されるが、本発明の結晶形はこれらの結晶形に限られるものではない。
【0127】
本発明のさらなる態様としては、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドが挙げられる。
【0128】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、少なくとも5.7°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態(形態I)が挙げられる。
【0129】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、少なくとも17.3°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態(形態I)が挙げられる。
【0130】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、少なくとも5.7°±0.2°、および17.3°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態(形態I)が挙げられる。
【0131】
本発明のさらなる態様としては、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、5.7°±0.2°、14.1±0.2°、17.3°±0.2°、19.1°±0.2°、19.3°±0.2°、21.6°±0.2°、22.5°±0.2°、23.1°±0.2°、23.3°±0.2°、および26.5°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有するものが挙げられる。これら10個のピークから選択される4つまたは5つを有することで、当該結晶は特定される。
【0132】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図2に示すX線粉末回折パターンと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する結晶形態(形態I)が挙げられる。
【0133】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、示差走査熱量測定(DSC)において144.0℃±5℃に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを有する結晶形態(形態I)が挙げられる。
【0134】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図5に示すDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを有する結晶形態(形態I)が挙げられる。
【0135】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図8に示すTGAグラフと実質的に同じTGAグラフを有する結晶形態(形態I)が挙げられる。
【0136】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図11に示すDVSグラフと実質的に同じDVSグラフを有する結晶形態(形態I)が挙げられる。
【0137】
実施例13の形態Iは、実施例13のアセトニトリル溶液を濃縮する、または、実施例13の形態IとIIの混合物の水懸濁液を25℃で9~11日間振とうすることで製造できる。
【0138】
本発明のさらなる態様としては、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドが挙げられる。
【0139】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、少なくとも17.6°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態(形態II)が挙げられる。
【0140】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、少なくとも8.7°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態(形態II)が挙げられる。
【0141】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、少なくとも8.7°±0.2°、および17.6°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態(形態II)が挙げられる。
【0142】
本発明のさらなる態様としては、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、8.7°±0.2°、13.5°±0.2°、15.5°±0.2°、17.6°±0.2°、20.3°±0.2°、21.6°±0.2°、22.6°±0.2°、26.2°±0.2°、26.8°±0.2°および35.2°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有するものが挙げられる。これら10個のピークから選択される4つまたは5つを有することで、当該結晶は特定される。
【0143】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図3に示すX線粉末回折パターンと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する結晶形態(形態II)が挙げられる。
【0144】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、示差走査熱量測定(DSC)において143.8℃±5℃に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを有する結晶形態(形態II)が挙げられる。
【0145】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図6に示すDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを有する結晶形態(形態II)が挙げられる。
【0146】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図9に示すTGAグラフと実質的に同じTGAグラフを有する結晶形態(形態II)が挙げられる。
【0147】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図12に示すDVSグラフと実質的に同じDVSグラフを有する結晶形態(形態II)が挙げられる。
【0148】
実施例13の形態IIは、実施例13のアセトニトリル/水混液(1:1)溶液またはアセトン/ヘプタン混液(1:1)溶液を約80℃で約1時間加熱し、室温で1日静置することで製造できる。
【0149】
本発明のさらなる態様としては、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドが挙げられる。
【0150】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、少なくとも11.1°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態(形態III)が挙げられる。
【0151】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、少なくとも20.3°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態(形態III)が挙げられる。
【0152】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、少なくとも11.1°±0.2°、および20.3°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態(形態III)が挙げられる。
【0153】
本発明のさらなる態様としては、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、2θで表して、11.1°±0.2°、13.8°±0.2°、17.0°±0.2°、20.3°±0.2°、21.4°±0.2°、22.1°±0.2°、22.4°±0.2°、24.8°±0.2°、26.3°±0.2°、および27.9°±0.2°に特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有するものが挙げられる。これら10個のピークから選択される4つまたは5つを有することで、当該結晶は特定される。
【0154】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図4に示すX線粉末回折パターンと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する結晶形態(形態III)が挙げられる。
【0155】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、示差走査熱量測定(DSC)において142.5℃±5℃に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを有する結晶形態(形態III)が挙げられる。
【0156】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図7に示すDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを有する結晶形態(形態III)が挙げられる。
【0157】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図10に示すTGAグラフと実質的に同じTGAグラフを有する結晶形態(形態III)が挙げられる。
【0158】
本発明のさらなる態様としては、(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドであって、
図13に示すDVSグラフと実質的に同じDVSグラフを有する結晶形態(形態III)が挙げられる。
【0159】
実施例13の形態IIIは、実施例13の有機溶媒(エタノール、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン及びテトラヒドロフラン/ヘプタン混液(1:1))等)懸濁液を約50℃で9~11日間振とうすることで製造できる。または、実施例13の有機溶媒(アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、アセトン/水混液(1:1)、及びテトラヒドロフラン/ヘプタン混液(1:1))等)懸濁液を約25℃で9~11日間振とうすることで製造できる。または、実施例13の形態IとIIの混合物の有機溶媒(エタノール、2-プロパノール、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、及びテトラヒドロフラン/ヘプタン混液(1:1))等)懸濁液を約50℃で9~11日間振とうすることで製造できる。または、実施例13の形態IとIIの混合物の有機溶媒(2-プロパノール、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、メタノール/水混液(1:1)、2-プロパノール/水混液(1:1)、アセトン/水混液(1:1)、及びテトラヒドロフラン/ヘプタン混液(1:1))等)懸濁液を約25℃で9~11日間振とうすることで製造できる。または、実施例13のtert-ブチルメチルエーテル溶液を約80℃で約1時間加熱し、室温で1日静置することで製造できる。形態IIIは、I~IIIの形態の、複数種類の溶媒による懸濁液を9~11日間振とうすることにより再現性良く製造できることから、再安定の形態である。
【0160】
X線粉末回折パターンの2θ値は、機器毎にまたは試料毎にわずかに変化し得るので、本明細書に記載した数値は絶対ではない(Jenkins, R & Snyder, R.L. 'Introduction to X-Ray Powder Diffractometry' John Wiley & Sons 1996; Bunn, C.W. (1948), Chemical Crystallography, Clarendon Press, London; Klug, H. P. & Alexander, L. E. (1974), X-Ray Diffraction Procedures参照)。一般に、X線粉末回折スペクトルにおける回折角の測定誤差は、2θで例えば約±0.2°であり、X線粉末回折データを検討する際にはその程度の測定誤差を考慮に入れるべきである。さらに、実験条件や試料調製(好ましい配向)によって強度が変動し得る。本願においては、銅放射(Cu Kα1、λ=1.5406Å、Kα2、λ=1.5444Å)を使用して実施した際の測定値で示している。
【0161】
また、測定条件(たとえば、使用する機器または装置)によって1またはそれ以上の測定誤差を有するX線粉末回折パターンが得られる可能性があることも知られている。例えば、30ミクロンを超えるサイズやアスペクト比が単一ではない結晶粒は、ピークの相対強度に影響を及ぼす可能性がある。また、反射の位置が、回折計にサンプルを置いた際の厳密な高さと回折計のゼロ校正によって影響を受ける可能性もある。サンプル表面の平面性も多少影響を及ぼしうる。したがって、特に記載しない限り、上記の本発明の結晶形態は、
図2、3および4に示すX線粉末回折パターンをもたらす結晶に限定されるわけではなく、これらの図に示すX線粉末回折パターンと実質的に同じX線粉末回折パターンをもたらす結晶はいずれも本発明の範囲に含まれる。
【0162】
また、示差走査熱量測定(DSC)の補外開始温度(Tim)、吸熱ピーク温度(Tpm)等においては、±5℃が許容される。示差走査熱量測定(DSC)の補外開始温度(Tim)とは、吸熱ピークの曲線の立ち上がり部分と基線とのそれぞれの外挿線が交わる点の温度を言い、吸熱ピーク温度(Tpm)とは、吸熱ピークのピークトップの温度を言う。
【0163】
「製薬学的に許容される塩」としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。例えば、酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、又はクエン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、para-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基塩、又はトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチルアミン、の有機塩基塩等が挙げられる。さらに、「製薬学的に許容される塩」としては、アルギニン、リジン、オルニチン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸等の塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とのアミノ酸塩も挙げられる。
【0164】
原料化合物及び中間体の好適な塩及び医薬品原料として許容しうる塩は、慣用の無毒性塩であり、それらとしては、有機酸塩(例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ギ酸塩又はpara-トルエンスルホン酸塩等)及び無機酸塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩又はリン酸塩等)のような酸付加塩、アミノ酸(例えばアルギニン、アスパラギン酸又はグルタミン酸等)との塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩又はカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、又は有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩又はN,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩等)等の他、当業者が適宜選択することができる。
【0165】
本発明の化合物の塩を取得したいとき、本発明の化合物が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、適当な有機溶媒に溶解若しくは懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
【0166】
本発明において、式(1)で表される化合物のいずれか1つ又は2つ以上の1Hを2H(D)に変換した重水素変換体も、式(1)で表される化合物に包含される。
本発明には、式(1)で表される化合物、又はその製薬学的に許容される塩が含まれる。また、本発明の化合物は、水和物及び/又は各種溶媒との溶媒和物(エタノール和物等)の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物も本発明の化合物に含まれる。さらに、本発明には、本発明の化合物(1)のあらゆる互変異性体、存在するあらゆる立体異性体、及びあらゆる様態の結晶形のもの、さらにこれらの混合物も含まれる。
【0167】
本発明の化合物(1)の中には、光学活性中心に基づく光学異性体、分子内回転の束縛により生じた軸性又は面性キラリティーに基づくアトロプ異性体、その他の立体異性体、互変異性体、及び幾何異性体等が存在し得るものがあるが、これらを含め、全ての可能な異性体、ラセミ体及びそれらの混合物は本発明の範囲に包含される。
【0168】
特に光学異性体やアトロプ異性体は、ラセミ体として、又は光学活性の出発原料や中間体が用いられた場合には光学活性体として、それぞれ得ることができる。必要であれば、下記製造法の適切な段階で、対応する原料、中間体又は最終品のラセミ体を、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法等の公知の分離方法によって、物理的に又は化学的にそれらの光学対掌体に分割することができる。具体的には、例えばジアステレオマー法では、光学活性分割剤を用いる反応によってラセミ体から2種のジアステレオマーを形成する。この異なるジアステレオマーは一般に物理的性質が異なるため、分別結晶化等の公知の方法によって分割することができる。
【0169】
製造法1
式(I)の化合物[下記式(Ia)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【化36】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1の定義に同じである。P
1は、2,4-ジメトキシベンジル、p-メトキシベンジル、2-インダノール-1-イル、2-フェニルエタン-1-オール-2-イル、3-メチルブタン-1-オール-2-イル等の、酸性条件で除去することのできる窒素原子の保護基であり、P
2は、水素、または2,4-ジメトキシベンジル、p-メトキシベンジル、2-インダノール-1-イル、2-フェニルエタン-1-オール-2-イル、3-メチルブタン-1-オール-2-イル等の、酸性条件で除去することのできる窒素原子の保護基である。)
【0170】
化合物(IIa)を脱保護すると、化合物(Ia)が得られる。
【0171】
化合物(IIa)の脱保護は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は化合物(IIa)とトリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機強酸、あるいは塩酸、硫酸、硝酸等の無機強酸と反応させることによって達成される。
【0172】
化合物(IIa)の脱保護は、溶媒中又は無溶媒下に行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、ジオキサン、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。なお、化合物(IIa)の保護基として2,4-ジメトキシベンジル基以外でも、t-ブトキシカルボニル基、t-ブチル基、p-メトキシベンジル基等酸性条件で開裂する保護基で代用してもよい。反応温度は、用いられる原料化合物の種類等により異なるが、通常、約-30℃~約150℃、好ましくは約-10℃~約70℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0173】
製造法2
前記製造法で用いられる化合物(IIa)は、下記反応式で示される方法に従って製造される。
【化37】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1の定義に同じである。P
1及びP
2は、製造法1と同義である。)
【0174】
(工程1):化合物(VIIa)をヒドロキシルアミンと反応させると、化合物(VIa)が得られる。
【0175】
工程1の反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は化合物(VIIa)を適当な溶媒中塩基存在下又は非存在下でヒドロキシルアミンを反応させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばEt2O、THF、ジオキサン、DME等のエーテル類やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、水、トルエン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。また、使用される塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、t-ブトキシカリウム等のアルコキシアルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸アルカリ金属、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100℃~200℃、好ましくは0℃~150℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0176】
(工程2):化合物(VIa)をクロロ硫酸と反応させると、化合物(Va)が得られる。
【0177】
工程2の反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は化合物(VIa)を溶媒中、クロロ硫酸と反応させることによって達成される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばEt2O、THF、ジオキサン、DME、トルエン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100℃~200℃、好ましくは0℃~150℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0178】
(工程3):化合物(Va)をスルホンアミド化すると、化合物(IVa)が得られる。
【0179】
工程3の反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は化合物(Va)をスルホニルクロリドに変換後、アミンと反応させることによって達成される。スルホニルクロリドへの変換は溶媒中又は無溶媒中でオキシ塩化リンを作用させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばEt2O、THF、ジオキサン、DME、トルエン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100℃~200℃、好ましくは0℃~150℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0180】
工程3の中間体であるスルホニルクロリドのスルホンアミドへの変換は、溶媒中塩基存在下又は非存在下で、酸性条件で除去することのできる保護基によってモノまたはジ置換されたアミンNHP1P2を作用させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばEt2O、THF、ジオキサン、DME、DMF、アセトニトリル、トルエン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。また、使用される塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、t-ブトキシカリウム等のアルコキシアルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸アルカリ金属、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100℃~200℃、好ましくは0℃~150℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0181】
(工程4):化合物(IVa)をアルキル化又はハロゲン化すると、化合物(IIIa)が得られる。ただし、当該工程は、R1が水素の場合は省略される。
【0182】
工程4のアルキル化あるいはハロゲン化反応は、常法に従って行うことができる。例えば、このアルキル化反応は適当な溶媒中で塩基存在下で化合物(IVa)とアルキルハライドR1Xを、ハロゲン化反応は適当な溶媒中で塩基存在下で化合物(IVa)とハロゲン化試薬を反応させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、ジオキサン、DME、HMPA、DMPU等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。使用される塩基の具体例としては、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム等のアルキルリチウム試薬、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、水素化ナトリウム、t-ブトキシカリウム等のアルカリ金属試薬が挙げられる。ハロゲン化試薬の具体例としては、N-フルオロベンゼンスルホンイミド、(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド、ビス(2-メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100~50℃、好ましくは-78~25℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0183】
(工程5):化合物(IIIa)をアルキル化あるいはハロゲン化すると、化合物(IIa)が得られる。
【0184】
工程5のアルキル化あるいはハロゲン化反応は、常法に従って行うことができる。例えば、このアルキル化反応は適当な溶媒中で塩基存在下で化合物(IIIa)とアルキルハライドR2Xを、ハロゲン化反応は適当な溶媒中で塩基存在下で化合物(IIIa)とハロゲン化試薬を反応させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、ジオキサン、DME、HMPA、DMPU等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。使用される塩基の具体例としては、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム等のアルキルリチウム試薬、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、水素化ナトリウム、t-ブトキシカリウム等のアルカリ金属試薬が挙げられる。ハロゲン化試薬の具体例としては、N-フルオロベンゼンスルホンイミド、(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド、ビス(2-メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100~50℃、好ましくは-78~25℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0185】
化合物(IIa)において、R1とR2が異なり、かつP1とP2のうち少なくとも一方が光学活性体である場合、化合物(IIa)はジアステレオマー混合物である。化合物(IIa)がジアステレオマー混合物である場合、常法に従って分割することができる。例えば、ジアステレオマーの分割は、クロマトグラフィー、分別結晶化等により達成される。
【0186】
製造法3
製造法1で用いられる化合物(IIa)は、下記反応式で示される方法に従っても製造される。
【化38】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、およびP
2は製造法1と同義である。P
1Bは、水素、または2,4-ジメトキシベンジル、p-メトキシベンジル、2-インダノール-1-イル、2-フェニルエタン-1-オール-2-イル、3-メチルブタン-1-オール-2-イル等の、酸性条件で除去することのできる窒素原子の保護基であり、P
3は置換されていてもよいC
1-6アルキルまたは置換されていてもよいC
3-6シクロアルキル等の、酸素原子の保護基である。)
【0187】
(工程1):化合物(Va)をエステル化すると、化合物(VIIIa)が得られる。
【0188】
工程1の反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は化合物(Va)を適当な溶媒中、銀塩存在下でハロゲン化アルキルを反応させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばEt2O、THF、ジオキサン、DME等のエーテル類やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、水、トルエン、アセトニトリル、DMF、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。また、使用される銀塩の具体例としては、酸化銀、塩化銀、臭化銀等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100℃~200℃、好ましくは0℃~150℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0189】
(工程2):化合物(VIIIa)をアルキル化又はハロゲン化すると、化合物(IXa)が得られる。ただし、当該工程は、R1が水素の場合は省略される。
【0190】
工程2のアルキル化あるいはハロゲン化反応は、製造法2の工程4に記載の方法に従って行うことができる。
【0191】
(工程3):化合物(IXa)をアルキル化あるいはハロゲン化すると、化合物(Xa)が得られる。
【0192】
工程3のアルキル化あるいはハロゲン化反応は、製造法2の工程5に記載の方法に従って行うことができる。
【0193】
(工程4):化合物(Xa)を脱エステル化すると、化合物(XIa)が得られる。
【0194】
工程4の反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中で化合物(Xa)をアルカリ金属のヨウ化物塩と反応させることによって達成される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、ジオキサン、DME、トルエン、アセトニトリル、DMF、NMP等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。アルカリ金属のヨウ化物塩の具体例としては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100℃~200℃、好ましくは0℃~150℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0195】
(工程5):化合物(XIa)をスルホンアミド化すると、化合物(IIa)が得られる。
【0196】
工程5の反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は化合物(XIa)をスルホニルクロリド等に変換後、アミンと反応させることによって達成される。スルホニルクロリドへの変換は溶媒中又は無溶媒中でオキシ塩化リンを作用させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばEt2O、THF、ジオキサン、DME、トルエン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100℃~200℃、好ましくは0℃~150℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。工程5の中間体であるスルホニルクロリドのスルホンアミドへの変換は、製造法2の工程3に記載の方法に従って行うことができる。
【0197】
化合物(IIa)において、R1およびR2が共に水素である場合は、その後に続く脱保護の工程は不要である。
【0198】
化合物(IIa)において、R1とR2が異なり、かつP1BとP2のうち少なくとも一方が光学活性体である場合、化合物(IIa)はジアステレオマー混合物である。化合物(IIa)がジアステレオマー混合物である場合、製造法2の工程5に記載の方法に従って分割することができる。
【0199】
製造法4
製造法3で用いられる化合物(XIa)は、下記製造法によっても製造することができる。
【化39】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1の定義に同じである。Xはハロゲン、トルエンスルホニロキシ、メタンスルホニロキシ、トリフルオロメタンスルホニロキシ等の脱離基を意味する。
【0200】
(工程1):化合物(XIIa)を置換反応すると、化合物(XIa)が得られる。
【0201】
工程1の置換反応は、常法に従って行うことができる。例えば、適当な溶媒中で化合物(XIIa)と亜硫酸塩を反応させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、ジオキサン、アセトニトリル、DMF、アセトン、水、エタノール、メタノール等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。使用される亜硫酸塩としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、メチルアミン亜硫酸塩、エチルアミン亜硫酸塩、ジメチルアミン亜硫酸塩、トリエチルアミン亜硫酸塩等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100~150℃、好ましくは0~100℃である。反応時間は、通常30分~1週間である。
【0202】
製造法5
製造法1で用いられる化合物(Ia)は、下記製造法によっても製造することができる。
【化40】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1の定義に同じである。R
7は2-(メトキシカルボニル)エチル、メシチレンカルボニロキシメチル、2-ベンゾチアゾイル(該基は、ベンゼン環上に、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシ(該アルコキシはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、水酸基、シアノ、ニトロ、アミノ(該アミノは、C
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、カルボン酸、カルバモイル(該カルバモイルは、アミノ部分がC
1-3アルキルによって1~2個置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、2-ピリジル、2-ピリミジニルまたは2-(トリメチルシリル)エチル等の適当な条件下で除去しスルフィン酸塩を放出することが可能な脱離基である。Mは金属イオンまたは4級アンモニウムイオンである。)
【0203】
化合物(XIIIa)を分解した後、アミノ化試薬と反応すると化合物(Ia)が得られる。
【0204】
化合物(XIIIa)の脱離基の除去は、常法に従って行うことができる。例えば、R7が2-(メトキシカルボニル)エチル基であれば、適当な溶媒中、塩基を作用させることで達成される。塩基としてはナトリウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられる。また、R7が2-ピリジル基、2-ピリミジニル基や2-ベンゾチアゾイル基であれば、適当な溶媒中で適当な求核剤を用いて達成される。求核剤としてはナトリウムエトキシド、エタンチオールナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等が挙げられる。また、R7が2-(トリメチルシリル)エチル基であれば、適当な溶媒中で適当なフッ化物試薬を用いて達成される。フッ化物試薬としてテトラブチルアンモニウムフルオリド、ジフルオロトリメチルケイ酸トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム等が挙げられる。
【0205】
中間体であるスルフィン酸塩のスルホンアミドへの変換は、溶媒中、塩基存在下でアンモニアまたはその塩と酸化剤を反応させるか、または、溶媒中、塩基存在下で脱離基の結合したアンモニアを作用させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばエタノール、メタノール、水、THF、ジオキサン、DME、DMF、アセトニトリル等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。また、使用される塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。酸化剤としては、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)等が挙げられる。脱離基の結合したアンモニアの具体例としてはヒドロキシルアミン-O-スルホン酸、O-メシチレンスルホニルヒドロキシルアミン、モノクロラミン等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100℃~200℃、好ましくは-20℃~100℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0206】
製造法6
製造法5で用いられる化合物(XIIIa)は、下記製造法によって製造することができる。
【化41】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1の定義に同じであり、R
7は製造法5と同義であり、Xは製造法4と同義である。
【0207】
(工程1):化合物(XIIa)を置換反応すると、化合物(XIVa)が得られる。
【0208】
工程1の置換反応は、常法に従って行うことができる。例えば、適当な溶媒中で化合物(XIIa)にチオール(R7-SH)のアルカリ金属塩を作用させることにより達成される。アルカリ金属塩の具体例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、ジオキサン、アセトニトリル、DMF、トルエン、クロロベンゼン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100~150℃、好ましくは-20~100℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0209】
(工程2):化合物(XIVa)を酸化反応すると、化合物(XIIIa)が得られる。
【0210】
工程2の酸化反応は、常法に従って行うことができる。例えば、適当な溶媒中で化合物(XIVa)に酸化剤を作用させることにより達成される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、DMF、トルエン、クロロベンゼン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。使用される酸化剤としては過マンガン酸カリウム、タングステン酸ナトリウムと過酸化水素、mCPBA、ビス(モノペルオキシフタル酸)マグネシウム六水和物、Oxone等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100~150℃、好ましくは-10~100℃である。反応時間は、通常30分~48時間である。
【0211】
製造法7
製造法6で用いられる化合物(XIVa)は、下記製造法によって製造することができる。
【化42】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1の定義に同じであり、R
7は製造法5と同義である。R
8はC
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
1-6アルコキシまたはC
1-6アルキルカルボニロキシメトキシである。)
【0212】
(工程1):化合物(XVa)を加水分解すると、化合物(XVIa)が得られる。
【0213】
工程1の反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は化合物(XVa)を適当な水性溶媒中、酸または塩基存在下で反応を行うことにより達成される。水性溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばEt2O、THF、ジオキサン、DMEやDMF、アセトニトリル、アセトン、トルエン、メタノール、エタノール等が挙げられる溶媒を、単独あるいは複数を水に加えて使用することができる。また、使用される酸としては、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0℃~120℃、好ましくは40℃~100℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0214】
R1とR2が異なる場合、化合物(XVa)を水性溶媒中で加水分解酵素を用いて反応させると光学活性な化合物(XVIa)を得ることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、DMSO、アセトニトリル、アセトン、トルエン、エタノール、ヘキサン等の溶媒を、単独あるいは複数を水に加えて使用することができる。また、使用される加水分解酵素としては、リパーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、プロテアーゼ等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0℃~100℃、好ましくは20℃~60℃である。反応時間は、通常30分~1週間である。
【0215】
(工程2):化合物(XVIa)を置換反応すると、化合物(XIVa)が得られる。
【0216】
工程2の置換反応は、常法に従って行うことができる。例えば、適当な溶媒中で化合物(XVIa)にチオール(R7SH)、光延試薬およびホスフィン試薬を作用させるか、あるいはジスルフィド(R7S-SR7)とホスフィン試薬を作用させることにより達成される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、ジオキサン、アセトニトリル、DMF、トルエン、クロロベンゼン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。使用される光延試薬としてはジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、N,N,N’,N’-テトラメチルアゾジカルボキサミド、1,1’-(アゾジカルボニル)ジピペリジン等が挙げられる。ホスフィン試薬としてはトリフェニルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100~150℃、好ましくは-20~100℃である。反応時間は、通常30分~24時間である。
【0217】
製造法8
製造法7で用いられる化合物(XVIa)のうちR
1が水素である(XVIb)は、下記製造法によっても製造することができる。
【化43】
(式中、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1の定義に同じであり、R
2Bは、ハロゲン、C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、水酸基、C
3-6シクロアルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、又はC
3-6シクロアルキル(該シクロアルキルはハロゲン、水酸基、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である。)
【0218】
(工程1):化合物(XVIIb)を還元反応すると化合物(XVIb)が得られる。
【0219】
工程1の化合物(XVIIb)の還元は、常法に従って行うことができる。例えば、適当な溶媒中で化合物(XVIIb)に還元剤を作用させることにより達成される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、アセトニトリル、DMF、トルエン、メタノール、エタノール、2―プロパノール、水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。使用される還元剤としては水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化リチウムアルミニウム等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常-100~150℃、好ましくは-10~100℃である。反応時間は、通常30分~48時間である。
【0220】
不斉還元により光学活性な化合物(XVIb)を得ることができる。例えばこの反応は化合物(XVIIb)を水性溶媒中、還元酵素と補酵素を用いて反応させることで達成される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、DMSO、アセトニトリル、アセトン、トルエン、エタノール、ヘキサン等の溶媒を、単独あるいは複数を水に加えて使用することができる。また、使用される還元酵素としては、カルボニル還元酵素またはアルコール脱水素酵素等が挙げられる。補酵素としてはNADH、NADPH等が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0℃~100℃、好ましくは20℃~60℃である。反応時間は、通常30分~1週間である。
【0221】
また、上記製造方法における中間体又は最終生成物は、その官能基を適宜変換すること、また特に、アミノ、水酸基、カルボニル、ハロゲン等から種々の側鎖を伸張すること、及び、その際に必要に応じて上記の保護、脱保護を行うことによって、本発明に含まれる別の化合物へ導く事もできる。官能基の変換及び側鎖の伸張は、通常行われる一般的方法(例えば、Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, John Wiley & Sons Inc.(1999)等を参照)によって行うことができる。
【0222】
式(1)で表される本発明の化合物又はその製薬学的に許容される塩には、不斉が生じる場合又は不斉炭素を有する置換基を有する場合があり、そのような化合物にあっては光学異性体が存在する。本発明の化合物にはこれらの各異性体の混合物や単離されたものも含まれ、通常の方法に従って製造することができる。製造方法としては例えば、不斉点を有する原料を用いる方法か、又は途中の段階で不斉を導入する方法が挙げられる。例えば、光学異性体の場合、光学活性な原料を用いるか、製造工程の適当な段階で光学分割等を行うことで、光学異性体を得ることができる。光学分割法としては例えば、式(1)で表される化合物又はその中間体が、塩基性官能基を有する場合には、不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、アセトニトリル等の非プロトン系溶媒、又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N-ベンジルオキシアラニン、乳酸等のモノカルボン酸、酒石酸、o-ジイソプロピリデン酒石酸、リンゴ酸等のジカルボン酸、カンファースルホン酸、ブロモカンファースルホン酸等のスルホン酸)を用いて塩を形成させるジアステレオマー法が挙げられる。式(1)で表される本発明の化合物又はその中間体が、カルボキシル基等の酸性官能基を有する場合には、光学活性なアミン(例えば1-フェニルエチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン)を用いて、塩を形成させることにより、光学分割を行うこともできる。
【0223】
塩を形成させる温度としては、-50℃から溶媒の沸点までの範囲、好ましくは0℃から溶媒の沸点までの範囲、より好ましくは室温から溶媒の沸点までの範囲から選択される。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取する際、必要に応じて冷却し、収率を向上させることができる。光学活性な酸又はアミンの使用量は、基質に対し約0.5~約2.0当量の範囲、好ましくは1当量前後の範囲が適当である。必要に応じ結晶を不活性溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。また、必要に応じて光学分割した塩を通常の方法で酸又は塩基で処理し、フリー体として得ることもできる。
【0224】
以上説明した各々の製造法における原料、中間体のうち、特にあらためてその製造法を記載しなかったものについては、市販化合物であるか、又は市販化合物から当業者に公知の方法、若しくはそれに準じた方法によって合成することができる。
【0225】
本発明の新規ベンゾイソキサゾール誘導体は、T型カルシウムチャネル阻害活性を有することから、T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される様々な神経系疾患または精神疾患(例えば、てんかん、発作性疾患、運動機能異常(痙攣を含む筋肉痙縮に関連する障害、振戦、本態性振戦、ハンチントン舞踏病、ミオクローヌス、チック、下肢静止不能症候群及びジストニー)、無動症及び硬直症候群を含む運動障害およびパーキンソニズム(パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、突発性及び薬剤誘発性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、レビー小体型認知症、小脳性運動失調、パーキンソニズム-ALS認知症複合及び大脳基底核石灰化を含む)、薬剤誘発性ジスキネジア、侵害受容性疼痛(外傷痛、片頭痛、頭痛、慢性疼痛(腰背部痛、リウマチ性関節痛、繊維筋痛症、骨関節炎など)、炎症性疼痛)、神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)、疲労(パーキンソン疲労、多発性硬化症疲労、睡眠障害又は日周期リズムの障害により引き起こされる疲労、投薬誘発性パーキンソニズムを含む慢性疲労症候群など)、片頭痛、統合失調症、自閉症、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、双極性障害、うつ病、不安(全般的不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む)、睡眠障害(不眠症、過眠症、睡眠発作、レム睡眠障害を含む)、心不整脈、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能不全を含む多様な疾患及び障害等)に対する治療薬及び/又は予防薬として有用である。
本発明の新規ベンゾイソキサゾール誘導体は、好ましくは、本態性振戦、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)、に対する治療薬及び/又は予防薬として有用である。
本発明の新規ベンゾイソキサゾール誘導体は、より好ましくは、本態性振戦、パーキンソン病における振戦、化学療法誘発性末梢神経障害に対する治療薬及び/又は予防薬として有用である。
【0226】
本発明の新規ベンゾイソキサゾール誘導体は、てんかん、発作性疾患、運動機能異常(痙攣を含む筋肉痙縮に関連する障害、振戦、本態性振戦、ハンチントン舞踏病、ミオクローヌス、チック、下肢静止不能症候群及びジストニー)、無動症及び硬直症候群を含む運動障害およびパーキンソニズム(パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、突発性及び薬剤誘発性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、レビー小体型認知症、小脳性運動失調、パーキンソニズム-ALS認知症複合及び大脳基底核石灰化を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、薬剤誘発性ジスキネジア、侵害受容性疼痛(外傷痛、片頭痛、頭痛、慢性疼痛(腰背部痛、リウマチ性関節痛、繊維筋痛症、骨関節炎など)、炎症性疼痛)、神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)、疲労(パーキンソン疲労、多発性硬化症疲労、睡眠障害又は日周期リズムの障害により引き起こされる疲労、投薬誘発性パーキンソニズムを含む慢性疲労症候群など)、片頭痛、統合失調症、自閉症、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、双極性障害、うつ病、不安(全般的不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む)、睡眠障害(不眠症、過眠症、睡眠発作、レム睡眠障害を含む)、うつ病における睡眠障害、心不整脈、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能不全を含む多様な疾患及び障害等に対する治療薬及び/又は予防薬として有用である。
本発明の新規ベンゾイソキサゾール誘導体は、好ましくは、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、本態性振戦、不安(全般的不安障害)、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)に対する治療薬及び/又は予防薬として有用である。
本発明の新規ベンゾイソキサゾール誘導体は、より好ましくは、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害を含む)、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害に対する治療薬及び/又は予防薬として有用である。
【0227】
本発明の化合物はまた、MAOB阻害作用によらないレボドパ誘発運動亢進増強作用を有し、好ましい化合物においては炭酸脱水酵素阻害作用の減弱により腎結石リスクが低減していることから、安全性の高いパーキンソン病治療のためのレボドパ製剤との併用薬として有用である。本発明の化合物は更に、レボドパ誘発ジスキネジアモデルにおいてジスキネジアの発症を抑制したことから、薬剤誘発性ジスキネジア発症リスクの高い既存のレボドパとの併用薬とは異なり安全性の高いパーキンソン病治療薬及び/又は予防薬として有用である。加えて、パーキンソン病振戦モデルや本態性振戦モデルに対して有効性を示したことから、パーキンソン病における振戦や、本態性振戦、さらには神経系疾患又は精神疾患に認められるパーキンソニズムの治療薬及び/又は予防薬としても有用である。また、本発明の化合物は高架式十字迷路における抗不安様作用や睡眠脳波評価においてノンレム睡眠潜時の短縮や覚醒時間の短縮作用を示したことから、精神症状や睡眠障害などのパーキンソン病の非運動症状に対する治療薬及び/又は予防薬としても有用である。さらに、オキサリプラチン誘発疼痛モデルにおいて抗アロディニア作用を示したことから、神経因性疼痛(特に、化学療法誘発性末梢神経障害における疼痛やアロディニア)の治療薬及び/又は予防薬としても有用である。
なお、本発明において、「予防」とは、疾患を発症していない健常人に対して本発明の有効成分を投与する行為であり、例えば、疾患の発症を防止することを目的とするものである。「治療」とは、医師により疾患を発症していると診断をされた人(患者)に対して本発明の有効成分を投与する行為である。かかる疾患に罹患している患者が、かかる疾患に関連する発作を抑えるために服用する行為も、ここでの「予防」または「治療」に該当する。
【0228】
本発明の新規ベンゾイソキサゾール誘導体は、MAOB阻害薬であるラサギリンやサフィナミドと比較してMAOB阻害活性が弱いことから、レボドパと併用して反復投与した際にジスキネジアを発症しにくい安全な薬剤である。本明細書において、「MAOB阻害活性が弱い」とは、本明細書の試験例6に記載の条件でMAOB阻害活性を測定した際に、IC50の値が70μmol/L以上の値であることを意味し、好ましくは、100μmol/L以上の値であることを意味する。
【0229】
本発明の新規ベンゾイソキサゾール誘導体の好ましい態様においては、炭酸脱水酵素阻害薬であるトピラマートやアセタゾラミドと比較してCA-II阻害活性が弱いことから、尿路結石等のリスクが低い安全な薬剤である。本明細書において、「CA-II阻害活性が弱い」とは、本明細書の試験例9に記載の条件でCA-II阻害活性を測定した際に、IC50の値が1 μmol/L以上の値であることを意味し、好ましくは、3 μmol/L以上の値であることを意味し、より好ましくは、10 μmol/L以上の値であることを意味する。
【0230】
本発明の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、通常、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01~1000mg、さらに好ましくは約0.1~500mgを1~数回に分けて投与することができる。静注等の非経口投与の場合は、通常、例えば、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01mg~300mg、さらに好ましくは約1mg~100mgを投与することができる。
【0231】
本発明の化合物は、上記のごとき医薬用途に使用する場合、通常、製剤用担体と混合して調製された製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の化合物と反応しない無毒性の物質が用いられる。具体的には、例えばクエン酸、グルタミン酸、グリシン、乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、シクロデキストリン、デンプン、部分アルファー化デンプン、白糖、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、プロピレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、水等が挙げられる。
【0232】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、塗布剤、貼付剤、吸入剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また、錠剤及び顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。さらに、これらの製剤は治療上価値ある他の成分を含有してもよい。
【0233】
本発明の化合物は、パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される少なくとも1種以上の薬剤と併用することができる。なお、ここで併用とは、本発明の化合物とは別に調製された製剤として投与される形態であり、投与対象に対し、本発明の化合物を含有する製剤と同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。
パーキンソン病治療薬に分類される薬剤としては、例えば、レボドパ、カルビドパ、エンタカポン、MAOB阻害剤(例えば、セレギリン、ラサギリン、サフィナミド等)、ドパミン受容体アゴニスト(例えば、ブロモクリプチン、ペルゴリド、タリペキソール、カベルゴリン、プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン、アポモルヒネ等)、アマンタジン、ドロキシドパ、イストラデフィリン、抗コリン薬(例えば、トリヘキシフェニジル、ビペリデン等)等が挙げられる。
本態性振戦治療薬に分類される薬剤としては、例えば、アロチノロール、プリミドン、プロプラノロール等が挙げられる。
神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤としては、例えば、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(例えば、デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルナシプラン等)、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、イミプラミン、クロミプラミン、ノルトリプチリン、デシプラミン等)、セロトニン再取り込み薬(例えば、パロキセチン塩酸塩、エスシタロプラム、フルボキサミンマレイン酸塩、セルトラリン塩酸塩等)、ミルタザピン、ワクシニアウィルス接種家兎炎症皮膚抽出液、トラマドール、ブプレノルフィン、ガバペンチン、プレガバリン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、トピラマート、デキストロメトルファン臭化水素塩酸、メキシレチン塩酸塩、ビタミンB12等が挙げられる。
【実施例0234】
以下に本発明を、参考例、実施例及び試験例により、さらに具体的に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
【0235】
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。THFはテトラヒドロフラン、DMSOはジメチルスホキシド、TFAはトリフルオロ酢酸、Et2Oはジエチルエーテル、DMFはN,N-ジメチルホルムアミド、DMEは1,2-ジメトキシエタン、NMPはN-メチルピロリドン、HMPAはヘキサメチルリン酸トリアミド、HMPUはジメチルプロピレンウレアを意味する。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重線の二重線、tは三重線、tdは三重線の二重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brsは幅広い多重線及びJは結合定数を意味する。光学活性体の合成時に用いられる用語としては、eeは鏡像体過剰率(Enantiomeric Excess)を意味する。
【0236】
参考例および実施例記載の各種データは以下の機器で取得した。
【0237】
NMRスペクトル:[1H-NMR]400 MHz:JEOL JNM-ALシリーズAL400
LC-MSスペクトル:Waters ACQUITYTM UltraPerformance LC, Agilent 1260 InfinityHPLC - Agilent 6120 Quadrupole LC/MS
光学純度測定:Shimadzu LC-20AT HPLCシステム, Agilent 1200 HPLCシステム
【0238】
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]をMH-で、保持時間をRt(分)で示す。
【0239】
測定条件(i)
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7 μm 2.1×30 mm column
溶媒:A液:0.05% HCOOH/H2O、B液:CH3CN
グラジエント条件:0.0~1.3分;A/B = 90/10~5/95(linear gradient)1.3~1.5分;A/B = 90/10
流速:0.80 mL/min
UV:220 nm, 254 nm
カラム温度:40℃
測定条件(ii)カラム:ZORBAX SB-C18 2.1×50 mm 1.8 μm
溶媒:A液:0.1% HCOOH/H2O、B液:CH3CN
グラジエント条件:B% 5% (ini)→90% (5-6分)→5% (6-10分)
流速:0.60 mL/min
UV:210 nm, 254 nm, 280 nm
カラム温度:40℃
【0240】
参考例1:
2-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)酢酸(IUPAC名:(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)酢酸)
【化44】
4-ヒドロキシ-2H-クロメン-2-オン(1.00g)、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(0.18g)を硫酸ヒドロキシルアミン(2.03g)、水(5.6mL)、25%水酸化ナトリウム水溶液(2.7mL)の混合液に加え、85℃加温下で4時間撹拌した。溶液を硫酸で酸性に調整後、ジクロロエタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して表題化合物(862mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d
6)δ :4.09(s,2H),7.39(dd,1H),7.65(ddd,1H),7.73(d,2H),7.84(d,1H)
【0241】
参考例2-4:
対応する原料化合物を用い、参考例1に記載の方法と同様に反応・処理して表1に示す化合物を得た。
【表1】
【0242】
参考例5:
ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イルメタンスルホン酸(IUPAC名:(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)メタンスルホン酸)
【化45】
参考例1で得られた化合物(17.0g)のトルエン(150mL)/酢酸エチル(25mL)混合溶媒懸濁液に、クロロ硫酸(9.6mL)の1,2-ジクロロエタン(50mL)溶液を室温で滴下後、80度加温下で2時間撹拌した。析出固体をろ取し、トルエンで洗浄後乾燥し、表題化合物(20.5g)を得た。
MS(m/z)212(MH-),Rt=0.28min.
【0243】
参考例6-8:
対応する原料化合物を用い、参考例5に記載の方法と同様に反応・処理して表2に示す化合物を得た。
【表2】
【0244】
参考例9:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)-N,N-ビス(2,4-ジメトキシベンジル)メタンスルホンアミド(IUPAC名:1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-N,N-ビス[(2,4-ジメトキシフェニル)メチル]メタンスルホンアミド)
【化46】
参考例5で得られた化合物(5.30g)のトルエン(80mL)懸濁液に、オキシ塩化リン(22.9g)を加え2時間加熱還流後、減圧濃縮した。残渣をTHF(80mL)に溶解し、トリエチルアミン(13.9ml)、4-ジメチルアミノピリジン(0.30g)、ビス(2,4-ジメトキシベンジル)アミン(7.89mL)のTHF(80mL)へ滴下後、室温で12時間撹拌した。不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n-ヘキサン:酢酸エチル;1:2)で精製することにより、表題化合物(5.05g)を固体として得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ :3.77(s,6H),3.77(s,6H),4.31(s,4H),4.45(s,2H),6.39-6.41(m,4H),7.18(d,2H),7.31(ddd,1H),7.52-7.54(m,2H),7.88(d,1H)
【0245】
参考例10-12:
対応する原料化合物を用い、参考例9に記載の方法と同様に反応・処理して表3に示す化合物を得た。
【表3】
【0246】
参考例13:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)-N,N-ビス(2,4-ジメトキシベンジル)エタン-1-スルホンアミド(IUPAC名:1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-N,N-ビス[(2,4-ジメトキシフェニル)メチル]エタン-1-スルホンアミド)
【化47】
参考例9で得られた化合物(4.69g)のTHF(40mL)溶液にn-ブチルリチウム(1.55mоl/Lヘキサン溶液、7.1ml)を窒素雰囲気下-78℃で加え、そのままの温度で1時間撹拌した。-78℃冷却下でヨードメタン(0.63mL)を加えた後に、ゆっくりと室温に戻しながら12時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル;2:1)で精製し、表題化合物(4.26g)を油状物として得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ :1.81(d,3H),3.74(s,6H),3.77(s,6H),4.20(d,2H),4.33(d,2H),4.60(q,1H),6.36-6.40(m,4H),7.16(d,2H),7.26-7.30(m,1H),7.49-7.55(m,2H),7.98(d,1H)
【0247】
参考例14~21:
対応する原料化合物を用い、参考例13に記載の方法と同様に反応・処理して表4に示す化合物を得た。
【表4】
【0248】
参考例22:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)-N,N-ビス(2,4-ジメトキシベンジル)-1-フルオロメタンスルホンアミド(IUPAC名:1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-N,N-ビス[((2,4-ジメトキシフェニル)メチル]-1-フルオロメタンスルホンアミド)
【化48】
参考例9で得られた化合物(2.00g)のTHF(30mL)溶液に窒素気流下-78℃でナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0mоl/lTHF溶液、4.29mL)を加えた後に、0℃冷却下で20分撹拌した。再度-78℃へ冷却し、N-フルオロベンゼンスルホンイミド(1.29g)のTHF(15mL)溶液を滴下した。ゆっくりと室温へ昇温し12時間撹拌した後に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで洗浄後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル;1:1)で精製し、表題化合物(1.98g)を油状物として得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ :3.80(s,6H),3.82(s,6H),4.32(d,2H),4.61(d,2H),6.22(d,1H),6.45-6.47(m,4H),7.20(d,2H),7.32-7.36(m,1H),7.53-7.61(m,2H),8.01(d,1H)
【0249】
参考例23-24:
対応する原料化合物を用い、参考例22に記載の方法と同様に反応・処理して表5に示す化合物を得た。
【表5】
【0250】
参考例25:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)-N,N-ビス(2,4-ジメトキシベンジル)-3-ヒドロキシプロパン-1-スルホンアミド(IUPAC名:1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-N,N-ビス[(2,4-ジメトキシフェニル)メチル]-3-ヒドロキシプロパン-1-スルホンアミド)
【化49】
参考例21で得られた化合物(4.64g)のTHF(50mL)溶液に窒素気流下0℃でリチウムアルミニウムヒドリド(1mоl/l THF溶液、7.94mL)を加え、そのままの温度で1時間撹拌した。飽和硫酸ナトリウム水溶液を加え還元剤を失活させたのちに、析出した固体をセライト濾過により除去した。濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n-ヘキサン:酢酸エチル;1:19)で精製することにより、表題化合物(3.13g)をアモルファスとして得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ :2.44-2.53(m,1H),2.56-2.65(m,1H),3.65-3.70(m,1H),3.74(s,6H),3.76(s,6H),4.18(d,2H),4.24(d,2H),4.78(dd,1H),6.36-6.39(m,4H),7.14(d,2H),7.28(ddd,1H),7.49-7.56(m,2H),7.95(d,1H)
【0251】
参考例26:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)-3-クロロ-N,N-ビス(2,4-ジメトキシベンジル)プロパン-1-スルホンアミド(IUPAC名:1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-3-クロロ-N,N-ビス[(2,4-ジメトキシフェニル)メチル]プロパン-1-スルホンアミド)
【化50】
参考例25で得られた化合物(3.13g)のジクロロメタン(30mL)溶液に窒素気流下で1-クロロ-N,N,2-トリメチルプロペニルアミン(1.12mL)を加え、室温で2時間撹拌後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n-ヘキサン:酢酸エチル;1:1)で精製することにより、表題化合物(3.12g)を油状物として得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ :2.72-2.79(m,2H),3.16-3.22(m,1H),3.50-3.55(m,1H),3.76(s,6H),3.77(s,6H),4.21(d,2H),4.25(d,2H),4.71(dd,1H),6.38-6.42(m,4H),7.16(d,2H),7.29(ddd,1H),7.50-7.57(m,2H),7.86(d,1H)
【0252】
参考例27:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)-N,N-ビス(2,4-ジメトキシベンジル)シクロプロパン-1-スルホンアミド(IUPAC名:1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-N,N-ビス[(2,4-ジメトキシフェニル)メチル]シクロプロパン-1-スルホンアミド)
【化51】
参考例26で得られた化合物(3.12g)のTHF(50mL)溶液にn-ブチルリチウム(2.65mоl/Lヘキサン溶液、2.5mL)を窒素雰囲気下-78℃で加えた後に、1時間かけ室温へ昇温した。室温で終夜撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル;1:1)で精製し、表題化合物(2.86g)をアモルファスとして得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ :1.40(dd,2H),1.81(dd,2H),3.60(s,6H),3.71(s,6H),4.18(s,4H),6.18(d,2H),6.24(dd,2H),7.09(d,2H),7.30-7.35(m,1H),7.49-7.54(m,2H),8.06(d,1H)
【0253】
実施例1:
1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(IUPAC名:1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド)
【化52】
参考例13で得られた化合物(4.26g)のトルエン(30mL)溶液にトリフルオロ酢酸(20mL)を加え室温で3時間撹拌後、反応溶液を減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル(100mL)を加え撹拌後、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル;1:1)で精製し、表題化合物(1.16g)を固体として得た。
1H-NMR(DMSO-d
6)δ :1.81(d,3H),4.92(q,1H),7.17(s,2H),7.38-7.42(m,1H),7.63-7.67(m,1H),7.74-7.76(m,1H),7.96-7.98(m,2H)
MS(m/z)225(MH-),Rt=0.50min.
【0254】
実施例2-12:
対応する原料化合物を用いて実施例1と同様に反応・処理し、表6に示す化合物を得た。
【表6-1】
【表6-2】
【0255】
実施例13及び14:
(R)-1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(IUPAC名:(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド)及び(S)-1-(ベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド(IUPAC名:(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド)
【化53】
実施例1の化合物をダイセル社製CHIRALPAK
TM AY-H(移動相:100%アセトニトリル)で分取し、前ピーク(エナンチオマーA、絶対配置未決定)及び後ピーク(エナンチオマーB、絶対配置未決定)を得た。
実施例13(エナンチオマーA):保持時間 3.46分、Chiral HPLC(Chiralpak
TM AY-H、0.46 cm I.D.×25 cm L、移動相:100 %アセトニトリル、流量:1.0 mL/min、温度:40℃、波長:238 nm)
実施例14(エナンチオマーB):保持時間 4.15分、Chiral HPLC(Chiralpak
TM AY-H、0.46 cm I.D.×25 cm L、移動相:100 %アセトニトリル、流量:1.0 mL/min、温度:40℃、波長:238 nm)
【0256】
実施例13および実施例14の化合物の比旋光度を以下の条件で測定した。
測定機器:JASCO P-1020 Polarimeter
温度:21.6℃
溶液濃度:10 mg/mL
測定溶媒:MeOH
波長:589 nm
セル長:50 mm
実施例13(エナンチオマーA):比旋光度 -30.1886
実施例14(エナンチオマーB):比旋光度 +31.4743
【0257】
実施例15:
実施例13の単結晶X線結晶構造解析
結晶の構造を決定するために実施例13の単結晶に対し、回折計(ピンポイント構造計測装置)を用いて、-173℃において単結晶X線回折測定を実施した。
【0258】
単結晶の取得
実施例13(0.01~0.03g)をガラススクリュー管に添加し、テトラヒドロフラン(約0.02mL)を添加し、スクリュー管にキャップをし、懸濁液を約50℃で約10日間振とうし、実施例13の単結晶を取得した。
【0259】
単結晶X線結晶構造解析
実施例13の単結晶を回折計に取り付け、-173℃の不活性ガス気流中で、所定の波長のX線を用いて、回折画像を測定した。次に、回折画像から算出された面指数と回折強度の組から、直接法による構造決定と最小二乗法による構造精密化[Acta Cryst. A64,112(2008)]を行い、分子構造、および結晶構造を得た。X線結晶構造解析の結果から、実施例13の化合物(比旋光度が-30.1886であるエナンチオマーA)のベンゾイソキサゾールのα位における絶対立体配置はRであった。解析した結果は表7、
図1-1および
図1-2に示される。
【表7】
【0260】
実施例16:
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドの製造(実施例13の別法)
【化54】
標題の化合物を以下に記載する工程により製造した:
(i)プロパン-2-イル (1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)メタンスルホネート
【化55】
(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)メタンスルホン酸(13.00 g) のアセトニトリル(130 ml) 溶液に酸化銀(16.96 g)と2-ヨウ化プロピル(7.32 ml)を加え室温で1時間撹拌した。不溶物をセライトろ過で除きろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル; 19:1→1:1)で精製し黄色固体の表題化合物を13.00 g得た。収率84 %。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 1.34 (d, J=6.4 Hz, 6H), 4.75 (s, 2H), 4.85 (dt, J=12.8, 6.4 Hz, 1H), 7.38 (t, J=8.0, 6.0, 2.4 Hz, 1H), 7.56-7.62 (m, 2H), 7.90 (d, J= 8.0 Hz, 1H),
【0261】
(ii)プロパン-2-イル 1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホネート
【化56】
実施例16工程(i)で得られた化合物(13.00 g, 50.9 mmol)の THF(255 ml)溶液に水素化ナトリウム(2.222 g, 50.9 mmol)を0℃で加え、同温度で10分撹拌した。そこへヨウ化メチル(3.80 ml, 61.1 mmol)を加え 0℃で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;19:1→3:1)で精製し黄色オイル状の標題化合物を10.60 g得た。収率77%。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 1.20 (d, J=6.2 Hz, 3H), 1.27 (d, J=6.2 Hz, 3H), 1.95 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.72 (sep, 6.2 Hz, 2H), 4.82 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.27-7.32 (m, 1H), 7.49-7.55 (m, 2H), 7.89 (d, J= 8.0 Hz, 1H),
MS(m/z): 270.2 [M+1]+ , Rt=0.99 min.
【0262】
(iii)ナトリウム 1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホネート
【化57】
実施例16工程(ii)で得られた化合物(7.80 g, 29.0 mmol)のアセトン(250 ml)溶液にヨウ化ナトリウム(4.34 g, 29.0 mmol)を加え、4時間加熱還流した。白色析出物をろ取しアセトンでかけ洗いして白色固体の表題化合物(6.60 g, 91 % yield)を得た。
1H NMR (400 Hz, DMSO-d
6) δ 1.65 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.22 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.31 (t, J=7.4 Hz, 1H), 7.57 (dt, J=8.8, 1.2 Hz, 1H), 765 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 8.09 (d, J= 8.0 Hz, 1H)
MS(m/z): 228.1 [M-21]+, Rt=0.48 min.
【0263】
(iii-a)ナトリウム 1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホナート(実施例16工程(iii)の別法)
【化58】
3-(1-ブロモエチル)-1,2-ベンゾオキサゾール(226 mg)、亜硫酸ナトリウム(189 mg)およびヨウ化カリウム(17 mg)をTHF(0.5 mL)、水(1 mL)に懸濁し50℃で80時間撹拌した。冷却後、反応液に酢酸エチル(1 mL)を加えて混合し、分液した。水層を濃縮乾固し、掲題化合物の混合物416 mgを得た。収率96 %。
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6) δ 1.65 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.22 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.31 (t, J=7.4 Hz, 1H), 7.57 (dt, J=8.8, 1.2 Hz, 1H), 765 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 8.09 (d, J= 8.0 Hz, 1H)
【0264】
(iv)1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホニル クロリド
【化59】
実施例16工程(iii)で得られた化合物(600 mg, 2.408 mmol)のTHF(10 ml)懸濁液に塩化チオニル(0.210 ml, 2.89 mmol)とN,N‐ジメチルホルムアミド(9.32μl, 0.120 mmol)を加え、4時間加熱還流した。室温に冷却した後、反応液を酢酸エチルで希釈し冷水で3回洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮し、褐色オイル状の表題化合物(606.00 mg、収率102 %)を得た。
MS(m/z): 246.1 [M+1]+, Rt=1.00 min.
【0265】
(v)(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-N-[(1S,2S)-2-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]エタン-1-スルホンアミド
【化60】
(1S,2S)-(+)-trans-1-アミノ-2-インダノール(359 mg, 2.406 mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.880 ml)のアセトニトリル(10 ml)溶液に実施例16工程(iv)で得られた化合物(591 mg, 2.406 mmol)のアセトニトリル(10 ml)溶液を加え、室温で15時間撹拌した。10%クエン酸水溶液で希釈し酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル; 19:1→1:1)で精製し、白色固体の表題化合物(174 mg、収率20.18 %)とそのジアステレオマーである(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-N-[(1S,2S)-2-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]エタン-1-スルホンアミド(192.00 mg、収率22.27 %)を得た。
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-N-[(1S,2S)-2-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]エタン-1-スルホンアミド
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 2.10 (d, J=7.2 Hz, 3H), 2.89 (dd, J=15.2, 9.2 Hz, 1H), 3.20 (dd, J=16.0, 8.0 Hz, 1H), 4.27-4.35 (m, 1H), 4.36 (d, 9.6 Hz, 1H), 4.63 (d, 3.6 Hz, 1H), 4.74 (dd, J=9.6, 7.2 Hz, 1H), 5.14 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.13-7.17 (m, 1H), 7.21-7.24 (m, 2H), 7.32-7.35 (m, 1H), 7.38-7.42 (m, 1H), 7.62 (d, J=3.6 Hz, 2H), 8.03 (dd, J=9.2, 1.2 Hz, 1H)
MS(m/z): 359.2 [M+1]+, Rt=0.92 min.
(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)-N-[(1S,2S)-2-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]エタン-1-スルホンアミド
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 2.13 (d, J=7.2 Hz, 3H), 2.84 (dd, J=16.0, 8.0 Hz, 1H), 3.24 (dd, J=16.0, 8.0 Hz, 1H), 3.59 (d, 3.2 Hz, 1H), 4.36-4.42 (m, 1H), 4.48 (d, J=9.2 Hz, 1H), 4.62 (dd, J=8.8, 6.8 Hz, 1H), 5.07 (q, 7.2 Hz, 1H), 7.15-7.19 (m, 1H), 7.22-7.30 (m, 3H), 7.38-7.42 (m, 1H), 7.59-7.65 (m, 2H), 7.97-8.00 (m, 1H)
MS(m/z): 359.2 [M+1]+, Rt=0.90 min.
【0266】
(vi)(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド
【化61】
実施例16工程(v)で得られた化合物(51 mg, 0.142 mmol)のトルエン(1 ml)懸濁液に0℃でトリフルオロメタンスルホン酸(0.252 ml, 2.85 mmol)加え0℃で0.5時間撹拌した。アセトニトリル1 mLを加え、 酢酸エチルで希釈して分液した。有機層を水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;19:1→1:1)で精製し、白色固体の表題化合物(27.50 mg、収率85 %、>99% ee)を得た。
【0267】
実施例17:
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドの製造(実施例13の別法)
【化62】
標題の化合物を以下に記載する工程により製造した:
(i)1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エチル アセテート
【化63】
3-(1-ブロモエチル)-1,2-ベンゾオキサゾール(4.52 g)、酢酸ナトリウム(3.28 g)およびヨウ化カリウム(3.32 g)にDMF(20 mL)を加えて50℃で14時間撹拌した。冷却後、反応液をチオ硫酸ナトリウム五水和物(2 g)の水(40 g)溶液を加え、酢酸エチル(40 mL)で抽出した。水層を酢酸エチル(20 mL)で2回抽出し、合わせた有機層をチオ硫酸ナトリウム五水和物(1 g)の水(20 g)溶液で洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;98:2→70:30)で精製し、無色オイル状の標題化合物3.72 g(収率91 %)を得た。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 1.79 (d, J=6.8 Hz, 3H), 2.144 (s, 3H), 6.39 (q, J=6.8 Hz, 1H), 7.34 (ddd, J=8.0, 6.4, 1.6 Hz,1H), 7.54-7.61 (m, 2H), 7.78 (d, J= 8.8 Hz, 1H).
【0268】
(ii)1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-オール
【化64】
実施例17工程(i)で得られた化合物(1.54 g)のメタノール(15 mL)溶液に氷冷下1N 水酸化ナトリウム水溶液 (7.5 mL)を加えて室温で4時間撹拌した。反応液をある程度濃縮した後、酢酸エチル(25 mL)で3回抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;98:2→70:30) で精製し、無色オイル状の標題化合物1.20 gを得た。収率98 %。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 1.77 (d, J=6.4 Hz, 3H), 2.32 (d, J=4.8 Hz, 1H), 5.39 (ddd, J=13.6, 6.8, 4.8 Hz, 1H), 7.33 (ddd, J=8.0, 6.0, 2.0 Hz, 1H), 7.56-7.60 (m, 2H), 7.89 (dd, J= 8.0, 1.2 Hz, 1H)
【0269】
(iii)1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-オン
【化65】
実施例17工程(ii)で得られた化合物(1.42 g)と二酸化マンガン(7.58 g)のジクロロメタン(20 g)溶液を室温で20時間撹拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮乾固して標題化合物を1.31 g(収率93 %)を得た。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 2.81 (s, 3H), 7.41-7.469 (m, 1H), 7.58-7.67 (m, 2H), 8.24 (dd, J= 8.0, 1.2 Hz, 1H)
【0270】
(iv)(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-オール
【化66】
リン酸二水素ナトリウム・2水和物(1.25 g)、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(2.87 g)および硫酸マグネシウム(38 mg)を脱イオン水(160 g)に室温で溶解した。Codexis社製ケトリダクターゼ(KRED P1-B05)(200 mg)およびNADP
+(80 mg)を加えて室温で撹拌して溶解した。実施例17工程(iii)で得られた化合物(10.00 g)のイソプロピルアルコール(31.5 g)溶液を加えて35℃で41時間撹拌した。反応液をある程度濃縮した後、クロロベンゼン(200 g)を加えてセライトろ過したろ液を分液した。有機層を水(200 g)で洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。淡黄色オイル状の掲題化合物を含む混合物9.61 gを得た。混合物1gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;98:2→96:4)で精製し、無色オイル状の標題化合物901 mgを得た。収率85 %, 99.3 %ee。
【0271】
(iv-a)(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-オール
【化67】
カルボニル還元酵素スクリーニングキット(CODEX(登録商標)、CODEXIS社)を用いて、表8に示す1-24に示すカルボニル還元酵素と補酵素の組み合わせを用いて、実施例17工程(iii)で得られた化合物の還元反応を行った。
表8に示すカルボニル還元酵素1-19においては、以下の操作を行った。
補酵素混合物(128 mM リン酸ナトリウム、1.7 mM 硫酸マグネシウム、1.1 mM NADP
+, pH 7.0)(0.6g)の脱イオン水(33g)溶液を調製し、そのうち0.9mLずつをカルボニル還元酵素1-19(10mg)にそれぞれ添加し、溶解するまで撹拌した。実施例17工程(iii)で得られた化合物(161mg)のイソプロピルアルコール(4mL)溶液を調整し、そのうち0.1mLずつを上記反応系にそれぞれ添加し、30℃で20時間撹拌した。酢酸エチルを加えて混合し、遠心分離を行い、酢酸エチル層をHPLCにて分析した。
表8に示すカルボニル還元酵素20-24においては、以下の操作を行った。
補酵素混合物(263 mM リン酸ナトリウム、1.7 mM 硫酸マグネシウム、1.1 mM NADP
+、1.1 mM NAD
+、80 mM D-グルコース、4.3 U/mL グルコース脱水素酵素、pH 7.0)(0.3g)の脱イオン水(6g)溶液を調製し、実施例17工程(iii)で得られた化合物(48mg)のDMSO(0.3mL)溶液と混合した。混合液1mLずつをカルボニル還元酵素20-24(10mg)にそれぞれ添加し、30℃で20時間撹拌した。酢酸エチルを加えて混合し、遠心分離を行い、酢酸エチル層をHPLCにて分析した。
表8に示す通り、カルボニル還元酵素(1-24)と補酵素(NADPHまたはNADH)の組み合わせにおいて、実施例17工程(iii)で得られた化合物が光学選択的に還元されることを確認した。
【表8】
【0272】
(iv-b)(1S)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-オール(実施例17工程(iv)の別法)
【化68】
実施例17工程(i)で得られた化合物(3.50 g)にリン酸緩衝液 (pH 7.0)(35 mL)とノボザイム435(0.70 g)を加え37℃で7時間撹拌した。反応液をろ過した後、ろ液を酢酸エチル(70 mL、35 mL×2)で抽出し、有機層を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;98:2→70:30)で精製し、無色オイル状の(R)-酢酸 1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エチル 1.74 g(収率50 %, 97.4% ee)とともに、無色オイル状の標題化合物1.37 g(収率49 %, 99.1 % ee)を得た。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 1.77 (d, J=6.4 Hz, 3H), 2.32 (d, J=4.8 Hz, 1H), 5.39 (ddd, J=13.6, 6.8, 4.8 Hz, 1H), 7.33 (ddd, J=8.0, 6.0, 2.0 Hz, 1H), 7.56-7.60 (m, 2H), 7.89 (dd, J= 8.0, 1.2 Hz, 1H)
【0273】
(v)3-{(1R)-1-[(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)スルファニル]エチル}-1,2-ベンゾオキサゾール
【化69】
実施例17工程(iv)または(iv-b)で得られた化合物(979 mg)とジベンゾチアゾイルジスルフィド(2.39 g)のTHF(20 mL)懸濁液に水冷下トリn-ブチルホスフィン(1.78 mL)を10分かけて滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液に酢酸エチル(50 mL)および5%炭酸水素ナトリウム水溶液(50 mL)を加えて分液した。水層を酢酸エチル(50 mL)で2回抽出し、有機層を合わせて5%炭酸水素ナトリウム水溶液(50 mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;98:2→82:18)で精製し、無色ガム状の標題化合物1.873 gを得た。収率100 %、98.0 %ee。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 2.07 (d, J=6.4 Hz, 1H), 5.74 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.28-7.35 (m, 2H), 7.44 (dt, J= 7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.52-7.60 (m, 2H), 7.76 (d, J= 8.0Hz, 1H), 7.90 (dd, J= 8.0, 1.2 Hz, 1H), 7.92 (d, J= 8.0Hz, 1H)
【0274】
(vi) 3-[(1R)-1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-スルホニル)エチル]-1,2-ベンゾオキサゾール
【化70】
実施例17工程(v)で得られた化合物(250 mg)のクロロベンゼン(7.5 g)溶液にビス(モノペルオキシフタル酸)マグネシウム六水和物(0.95 g)の水(5 g)溶液を加えて室温で4日間撹拌した。ビス(モノペルオキシフタル酸)マグネシウム六水和物(0.24 g)の水(1.25 g)溶液を追加し室温で8時間撹拌した後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液(0.24 g/1 g)を水冷下に滴下してクエンチした。クロロベンゼン(20 g)、水(20 g)を加えて分液した。有機層をリン酸二水素カリウム(272 mg)とリン酸水素二カリウム(87 mg)の水(10 g)溶液で洗浄し、続いて水(10 g)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。濃縮残渣をクロロベンゼン(2 g)およびヘプタン(4 g)でリスラリーした後析出結晶をろ取し、ヘプタン(1 g)でかけ洗いした。40℃で真空乾燥し、標題化合物(10.44 g)を白色結晶として得た。収率72 %、99.8 %ee。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 2.11 (d, J=7.6 Hz, 1H), 5.37 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.33-7.37 (m, 1H), 7.56-7.60 (m, 3H), 7.62-7.66 (m, 1H), 7.91-7.97 (m, 2H) 8.24 (d, J= 8.4Hz, 1H)
【0275】
(vii) (1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド
【化71】
塩化マグネシウム(0.69 g)のNMP(20 g)溶液に実施例17工程(vi)で得られた化合物(5.0 g)を加えて懸濁させたものを、0℃に冷やした水素化ホウ素ナトリウム(1.10 g)のエタノール(22.5 g)懸濁液に滴下し、NMP(2.5 g)で洗い込んだ後、0℃で2時間反応させた。0℃に冷やした酢酸ナトリウム(11.91 g)とヒドロキシアミン-O-スルホン酸(16.42 g)の水(62.5 g)溶液に、上記の反応液を滴下し、水(5 g)で洗い込んだ後、0℃で3.5時間反応させた。反応液に6M塩酸(25 g)および酢酸エチル(90 g)を加えて分液した。水層を酢酸エチル(45 g)で2回抽出した後、有機層を1M塩酸(90 g)で洗浄した。有機層に活性炭(0.25 g)を加えて1時間撹拌した後、ろ過し濃縮した。酢酸エチルを加えて全量を22.5 gに調製し、20℃でヘプタンを20 g滴下して結晶化させた。0℃まで冷却した後、析出結晶をろ取し、ヘプタン-酢酸エチル(5 g/2.5 g)混合液でかけ洗いした。結晶を40℃で真空乾燥し、粗結晶2.40 gを帯黄白色結晶として得た。
粗結晶(2.0 g)に酢酸イソプロピル(19.6 g)を加え50℃で1時間撹拌した後10℃に冷却し3時間撹拌した。不溶物をろ去した後酢酸イソプロピル0.5 gで洗浄した。ろ液を濃縮した後、酢酸イソプロイルを加えて全量を4.4 gに調製し、50℃で4時間懸濁撹拌した。0℃まで冷却した後、析出結晶をろ取し、酢酸イソプロピル(1.5 g)でかけ洗いした。結晶を40℃で真空乾燥し、標題化合物10.44 gを白色結晶として得た。収率37.6 %、98.5 %ee。
【0276】
実施例18:
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドの製造(実施例13の別法)
【化72】
標題の化合物を以下に記載する工程により製造した:
(i)3-{(1R)-1-[(ピリミジン-2-イル)スルファニル]エチル}-1,2-ベンゾオキサゾール
【化73】
トリフェニルホスフィン(531 mg)のトルエン(1.5 mL)溶液に0℃でアゾジカルボン酸ジイソプロピル(90 %, 420μL)を滴下して0℃で15分撹拌した。実施例17工程(iv)または(iv-a)で得られた化合物(245mg)のトルエン(2 mL)溶液を滴下して0℃で30分撹拌した。反応液にピリミジン-2-チオール(227 mg)を加えて0℃で5時間撹拌した。析出物をろ去し、ろ液を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;80:20→70:30)で精製して表題化合物を290 mg得た。収率75%、100 %ee。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 1.98 (d, J=7.2 Hz, 3H), 5.64 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.01 (t, J=5.0, 1H), 7.27-7.31 (m, 1H), 7.53-7.58 (m, 2H), 7.87 (dd, J=8.0, 1.2 Hz, 1H), 8.56 (d, J= 5.2Hz, 2H)
【0277】
(ii)3-[(1R)-1-(ピリミジン-2-スルホニル)エチル]-1,2-ベンゾオキサゾール
【化74】
実施例18工程(i)で得られた化合物(257 mg)のジクロロメタン(5 mL)溶液に氷冷下m-クロロ過安息香酸(542 mg)を加えて室温で5時間撹拌した。酢酸エチル(5 mL)、チオ硫酸ナトリウム5水和物(250 mg)と炭酸水素ナトリウム(250 mg)の水(5 mL)溶液を加えて分液した。水層を酢酸エチル(2 mL)で2回抽出し、有機層を合わせてチオ硫酸ナトリウム5水和物(250 mg)と炭酸水素ナトリウム(250 mg)の水(5 mL)溶液で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;80:20→20:80)で精製して表題化合物を238 mg得た。収率82%、99.3 %ee。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 2.08 (d, J=7.2 Hz, 3H), 5.57 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.38 (ddd, J=8.4, 6.4, 2.0 Hz 1H), 7.53-7.60 (m, 3H), 8.05 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.91 (d, J=4.8Hz, 2H)
【0278】
(iii)(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド
【化75】
実施例18工程(ii)で得られた化合物(28.9 mg)と塩化マグネシウム(28.6 mg)のDMF(300μL)溶液に10℃で水素化ホウ素ナトリウム(22.7 mg)のエタノール(300μL)を滴下して20℃で1時間撹拌した後10℃に冷却した。酢酸ナトリウム(82 mg)を加えた後、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(113 mg)の水(600μL)溶液を滴下し、20℃で1時間撹拌した。反応液を1N塩酸(1.5 mL)に加え、酢酸エチル(3 mL)で抽出した。有機層を1N塩酸(1.5 mL)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル88/12-0-100)で精製して標題化合物17 mgを白色結晶として得た。収率75 %、25.2 %ee。
【0279】
実施例19:
(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドの製造(実施例13の別法)
【化76】
標題の化合物を以下に記載する工程により製造した:
(i)3-[(1R)-1-{[2-(トリメチルシリル)エチル]スルファニル}エチル]-1,2-ベンゾオキサゾール
【化77】
(i-1)実施例17工程(iv)または(iv-a)で得られた化合物(979 mg)とN,N,N’,N’-テトラメチルアゾジカルボキサミド(1550 mg)のTHF(10 mL)溶液にチオ酢酸(0.67 mL)を加え撹拌した。水冷下、トリn-ブチルホスフィン(2.27 mL)を滴下し、室温で6時間撹拌した。水(25mL)で希釈した後、酢酸エチル(25mL)で3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;94:6→70:30)で精製してチオ酢酸 (R)-S-(1,2-ベンゾキサゾール-3-イル)エチル)を285 mg得た。収率21 %、99.6 %ee。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 1.87 (d, J=7.2 Hz, 3H), 2.39 (s, 1H), 4.58 (quin, J=7.0 Hz, 1H), 7.34 (ddd, J=8.0, 6.0, 1.6 Hz 1H), 7.53-7.59 (m, 2H), 7.88 (dd, J=8.0, 1.2 Hz, 1H)
(i-2)実施例19工程(i-1)で得られた化合物(221 mg)のメタノール(2 mL)溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(1 mL)を滴下し室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮し、水(1 mL)を加え、1N塩酸(1 mL)を滴下しpH<3にし、酢酸エチル(4.5 mL)で3回抽出した。有機層を水(2 mL)で洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;94:6→70:30)で精製して、(R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタンチオールを140 mg得た。収率78%。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ 1.92 (d, J=6.8 Hz, 3H), 2.22 (d, J=7.2 Hz, 1H), 5.24 (q, J=3.2 Hz, 1H), 7.31 (ddd, J=8.0, 5.6, 1.6 Hz 1H), 7.53-7.59 (m, 2H), 7.71 (d, J=8.0 Hz, 1H)
(i-3)実施例19工程(i-2)で得られた化合物(139 mg)、トリメチルシリル(ビニル)シラン(93mg)および2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)(2.6 mg)を混合し、70℃で6時間撹拌した。トリメチルシリル(ビニル)シラン(93 mg)およびAIBN(2.6 mg)を追加し、70℃で2時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;98:2→82:18)で精製して表題化合物を117 mg得た。収率54%。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ -0.06 (s, 9H), 0.69-0.77 (m, 1H), 0.83-0.91 (m, 1H), 1.80 (d, J=7.6 Hz, 3H), 2.37-2.48 (m, 2H), 4.45 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.31 (ddd, J=8.0, 6.0, 2.0 Hz 1H), 7.52-7.59 (m, 2H), 7.94 (dt, J=8.0, 1.2 Hz, 1H)
【0280】
(ii)3-{(1R)-1-[2-(トリメチルシリル)エタンスルホニル]エチル}-1,2-ベンゾオキサゾール
【化78】
実施例19工程(i)で得られた化合物(112 mg)のn-ブタノール-水(1 mL/1 mL))溶液に氷冷下、ビス(モノペルオキシフタル酸)マグネシウム六水和物(476 mg)を加え室温で5時間撹拌した。1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液(2 mL)を加えてクエンチし酢酸エチル(2 mL)で3回抽出した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(2 mL)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;98:2→70:30)で精製して表題化合物を126 mg得た。収率100 %、93.1 %ee。
1H NMR (400 Hz, CDCl
3) δ -0.01 (s, 9H), 0.92-1.11 (m, 2H), 2.01 (d, J=7.2 Hz, 3H), 2.78-2.90 (m, 2H), 4.86 (q, J=7.2 Hz, 1H), 7.38 (ddd, J=8.0, 6.0, 2.0 Hz 1H), 7.58-7.64 (m, 2H), 7.99 (d, J=8.0 Hz, 1H)
【0281】
(iii)(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミド
【化79】
実施例19工程(ii)で得られた化合物(31.1 mg)のTHF(300μL)溶液に10℃で1 mol/Lのフッ化テトラブチルアンモニウム(300μL)を加えて20℃で5時間撹拌した後、10℃に冷却した。酢酸ナトリウム(41 mg)を加えた後、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(57 mg)の水(600μL)溶液を滴下し、20℃で2時間撹拌した。反応液に水(3 mL)を加え、酢酸エチル(3 mL)で3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル;88/12→0:100) で精製して標題化合物13 mgを白色結晶として得た。収率58 %、0 %ee。
【0282】
実施例20:
実施例13の形態Iの調製
実施例1の化合物をダイセル社製CHIRALPAK(登録商標) AY-H(移動相:100%アセトニトリル)で分取し、得た実施例13のアセトニトリル溶液を濃縮することで実施例13の化合物の形態Iを単離し、以下に論じる通り特徴付けた。
【0283】
実施例21:
実施例13の形態IIの調製
実施例13(0.01~0.03g)をガラススクリュー管に添加し、アセトン/ヘプタン混液(1:1)(約0.02mL)を添加し、スクリュー管にキャップをし、溶液を約80℃で約1時間加熱した。スクリュー管のキャップを外し、室温で1日静置して実施例13の化合物の形態IIを単離し、以下に論じる通り特徴付けた。
【0284】
実施例22:
実施例13 形態IIIの調製
実施例13 ( 0.01~0.03g)をガラススクリュー管に添加し、酢酸エチル(約0.02mL)を添加し、スクリュー管にキャップをし、懸濁液を約50℃で約10日間振とうした。実施例13の化合物の形態IIIを単離し、以下に論じる通り特徴付けた。
【0285】
結晶形態の特徴付け
本発明の結晶形態を、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、および動的蒸気吸着(DVS)を含む様々な分析技術によって、下記の手順を使用して特徴付けた。
【0286】
実施例23:
実施例20~22で得られた化合物のX線粉末解析(XRPD)
実施例13の形態I~形態IIIのXRPD分析を、以下の測定条件により実施した。
X線粉末回折(測定条件A):XRPD分析を、回折計(Bruker AXS D8 ADVANCE、Bruker、Billerica、Massachusetts、America)で、銅放射(Cu Kα1、λ=1.5406Å、Kα2、λ=1.5444Å)を使用して実施した。試料を、ゼロバックグラウンドプレートを備えた鋼ホルダーの中心に粉末化試料を載せて、分析のための調製をした。発電機を、電圧40kVおよびアンペア数40mAで操作した。使用したスリットは、Soller slit 2.500 rad、散乱線除去1.0°、および発散であった。試料回転速度は、0.25回転/秒であった。走査は、2~40°の2θで10分間、ステップサイズ0.015°の2θで実施した。データ分析を、DIFFRAC.EVA( Bruker、Billerica、Massachusetts、America)によって実施した。
【0287】
X線粉末回折(測定条件B):XRPD分析を、回折計(PANanalytical XPERT-PRO、PANanalytical B.V.、Almelo、Netherlands)で、銅放射(Cu Kα、λ=1.5418Å)を使用して実施した。試料を、ゼロバックグラウンドプレートを備えた鋼ホルダーの中心に粉末化試料を載せて、分析のための調製をした。発電機を、電圧40kVおよびアンペア数40mAで操作した。使用したスリットは、Soller slit 2.500 rad、散乱線除去1.0°、および発散であった。試料回転速度は、0.25回転/秒であった。走査は、4~40°の2θで10分間、ステップサイズ0.015°の2θで実施した。データ分析を、HigiScore Plus ver. 4.9(Malvern PANalytical B.V.、Almelo、Netherlands)によって実施した。
【0288】
実施例13の形態IのXRPD分析を、測定条件Aにより実施した。実施例13の形態IのXRPDパターンは、表9および
図2に示される。
【表9】
【0289】
実施例13の形態IIのXRPD分析を、測定条件Bにより実施した。実施例13の形態IIのXRPDパターンは、表10および
図3に示される。
【表10】
【0290】
実施例13の形態IIIのXRPD分析を、測定条件Aにより実施した。実施例13の形態IIIのXRPDパターンは、表11および
図4に示される。
【表11】
【0291】
実施例24:
実施例20~22で得られた化合物の示差走査熱量測定(DSC)
実施例13の形態I~形態IIIの示差走査熱量測定を、以下の手法により実施した。
示差走査熱量測定: 熱的特性を、示差走査熱量測定(DSC)機器(DSCQ1000、TA Instruments、New Castle、DE、USA)を使用して評価した。固体試料およそ1~10mgを、各実験に対して、ピンホールで通気した標準アルミニウム鍋に入れ、5~10℃/分の速度で、50 mL/分の窒素パージ下で加熱した。データ分析を、Universal Analysis 2000 Version 4.1D (TA Instruments、New Castle、DE 、USA)を使用して実施した。
【0292】
実施例13の形態IのDSCは、
図5に示される。形態Iは、融点が100℃以上であり、結晶の安定性が高い。
【0293】
実施例13の形態IIのDSCは、
図6に示される。形態IIは、融点が100℃以上であり、結晶の安定性が高い。
【0294】
実施例13の形態IIIのDSCは、
図7に示される。形態IIIは、融点が100℃以上であり、結晶の安定性が高い。
【0295】
実施例25:
実施例20~22で得られた化合物の熱重量分析(TGA)
実施例13の形態I~形態IIIの熱重量分析を、以下の手法により実施した。
熱重量分析: 熱重量分析(TGA)を、TGA機器(TGA Q500、TA Ins truments、New Castle、DE、USA)で実施した。固体試料およそ1~10mgを、各実験に対して、開放アルミニウム鍋に入れ、5~10℃/分の速度で、60mL/分の窒素パージ下で加熱した。データ分析を、Universal Analysis 2000 Version 4.1D (TA Instruments、New Castle、DE 、USA)を使用して実施した。
【0296】
実施例13の形態IのTGAは、
図8に示される。形態Iは、融解温度まで減量がなく、製剤化に適している。
【0297】
実施例13の形態IIのTGAは、
図9に示される。形態IIは、融解温度まで減量がなく、製剤化に適している。
【0298】
実施例13の形態IIIのTGAは、
図10に示される。形態IIIは、融解温度まで減量がなく、製剤化に適している。
【0299】
実施例26:
実施例20~22で得られた化合物の動的蒸気吸着(DVS)
実施例13の形態I~形態IIIの動的蒸気吸着測定を、以下の手法により実施した。
動的蒸気吸着: 吸湿性を、動的蒸気吸着(DVS)機器(IGAsorp、Hiden Isochema、Warrington、England)を使用して室温で評価した。水吸着および脱着を、相対湿度(RH)の関数として、0~90%の範囲にわたって25℃で研究した。チャンバ内の相対湿度を、10%RHずつ増大し、固体および雰囲気が平衡に達するまで保持した。平衡試験を、5時間または10時間後に合格または失効するまで継続した。この時点で、RHは10%上昇し、プロセスを、90%RHに達し平衡化するまで反復した。この期間中、水分収着をモニタリングした。脱着のために、相対湿度を同様の様式で低減して、完全な収着/ 脱着サイクルを測定した。サイクルは、必要に応じて反復した。すべての実験を、dm/dtモード(経時的に質量変動)で操作して、平衡化エンドポイントを決定した。固体およそ5~10mgを使用した。データ分析を、Hisorp v4.02(Hiden Isochema、Warrington、England )を使用して実施した。
【0300】
実施例13の形態IのDVSは、
図11に示される。形態Iは、0-90%RHにおいて重量変化が1%以内であり、製剤化に適している。
【0301】
実施例13の形態IIのDVSは、
図12に示される。形態IIは、0-90%RHにおいて重量変化が1%以内であり、製剤化に適している。
【0302】
実施例13の形態IIIのDVSは、
図13に示される。形態IIIは、0-90%RHにおいて重量変化が1%以内であり、製剤化に適している。
【0303】
実施例27:実施例13の形態IIIの製造実施例(別法)
実施例13の形態I、形態II及び形態III(0.08~0.12g)をそれぞれガラススクリュー管に添加し、エタノール、2-プロパノール、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン及びテトラヒドロフラン/ヘプタン混液(1:1)(約0.02mL)を添加し、スクリュー管にキャップをし、懸濁液を45~55℃で約9~11日間振とうした。その結果、すべてのガラススクリュー管で実施例13の化合物の形態IIIを単離した。
【0304】
以下に、本発明の代表的化合物の薬理試験結果を示し、該化合物についての薬理作用を説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0305】
試験例1.T型カルシウムチャネル阻害活性
本発明化合物のT型カルシウムチャネルに対する阻害活性を、ヒトCav3.1、ヒトCav3.2およびヒトCav3.3をそれぞれ発現させたHEK293細胞(HEK293細胞入手元:ATCC, Manassas, VA, USA、発現細胞構築元:ChanTest Corporation., Cleveland, OH, USA)を用いて全細胞パッチクランプ手法にて計測した。HEK293細胞の培養溶液には、ダルベッコ改変イーグル培地/ハムF-12混合培地にウシ胎児血清を10%、ペニシリンGナトリウムを100 U/mL、ストレプトマイシン硫酸塩を100 μg/mL、G418を500 μg/mL加えたものを用いた。全細胞電流の評価には、IonWorks BarracudaシステムおよびPopulation Patch Clamp(いずれもMolecular Device Corporation, Union City, CA, USA)を用いた。記録時の細胞外記録溶液にはハンクス緩衝塩溶液を用いた。内部記録溶液には、50 mmol/L CsCl、90 mmol/L CsF、5 mmol/L MgCl2、1 mmol/L グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)および10 mmol/L 4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-エタンスルホン酸(HEPES(pH 7.2)を用いた。-90 mVの保持電圧を維持した後、-65 mVの保持電圧に変え、60秒後に-20 mVのパルスを200ミリ秒加えて細胞膜上のチャネルを活性化しカルシウム電流を惹起させた。カルシウム電流をIonWorks Barracudaシステムの増幅器を介して記録し、同システムのプログラム(Version 2.0.2)にて解析した。カルシウム電流の記録は、化合物の添加前と後の2回実施した。化合物添加後の測定の際には、化合物を含む記録溶液に5分間以上暴露したのちに電流を記録した。解析に際しては、化合物添加前の電流計測値に対する化合物添加後の電流計測値の比を1から引き、百分率に換算した。さらに陽性対照化合物および溶媒処置時について得られた同様の値をそれぞれ阻害率100%、0%とみなして正規化した値を各化合物の阻害率とした。陽性対照化合物にはT型カルシウムチャネル阻害剤として知られるTTA-A2を用いた。IC50値はヒルの式(Hill equation)に当てはめて算出した。
【0306】
本発明化合物のT型カルシウムチャネルに対する評価濃度(600 μmol/L)における阻害率(%)(括弧内は用量反応性試験により算出したIC
50値(μmol/L))を表12に示す。
【表12】
【0307】
試験例2.レセルピン誘発パーキンソン病モデルマウスにおけるレボドパ誘発運動亢進に対する増強効果
レセルピン処置によりドパミンが枯渇したマウスはパーキンソン病の寡動症状を反映したモデル動物であり、レボドパ(L-DOPA)によりその症状は緩和される。本発明化合物のレボドパの効果に対する増強効果について検証した。
【0308】
本試験においては、雄性Crl:CD1 (ICR)マウス(日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。運動量測定開始の20~24時間前にレセルピン(3 mg/kg)を腹腔内投与した。本発明化合物(実施例1、2、3、4および5、それぞれ12.5 mg/kgまたは25 mg/kg)を運動量測定の1時間前に経口投与し、運動量測定開始直前にフリー体濃度換算でレボドパの1/4量のベンセラジドを含むレボドパ(200 mg/kg)を腹腔内投与した。運動量は90分間測定し、トータルの運動量を比較した。
図14にその結果を示すが、実施例1、2、3、4及び5の化合物は有意にレボドパによる寡動マウスの運動量増加作用を示した。一方、パーキンソン病治療薬として臨床使用されているMAOB阻害剤であるラサギリン(3 mg/kgまたは10 mg/kg)は運動量増加傾向を示したが統計学的に有意な差は認められなかった。
【0309】
この結果は、本発明化合物がパーキンソン病治療に用いられるレボドパの効果を増強する可能性を示すものである。ヒトにおいても同様に、従来公知のプロトコールを用いてレボドパによるパーキンソン病治療効果の増強作用が期待される。
図14において、(A)N=7または8、(B)N=8、(C)N=7、(D)N=13または14、(E)N=6、7または8、(F)N=7または8である。また、#はL-DOPA単独投与群との統計学的比較(Dunnett's test)においてp<0.05であることを表す。
【0310】
試験例3.6-ヒドロキシドパミン(6-OHDA)による片側黒質線条体ドパミン神経破壊モデルにおけるレボドパ誘発回転行動の持続時間延長効果
6-OHDAはドパミン神経を特異的に破壊する神経毒である。6-OHDAを片側内側前脳束(MFB)へ注入することにより片側の黒質から線条体へ投射するドパミン神経を破壊したモデル動物は、レボドパやドパミン受容体アゴニストなど脳内ドパミン神経系を賦活化するパーキンソン病治療薬によって回転行動を示すことが知られており、この回転行動を指標にパーキンソン病治療薬の有用性が評価できる。レボドパによる回転行動時間を延長することは、パーキンソン病におけるON時間の延長につながる。本発明化合物のON時間延長効果を評価するため、本モデルを用いてレボドパ誘発回転行動時間の延長について評価した。
【0311】
本試験においては、雄性Slc:Wistarラット(日本エスエルシー株式会社)を用いた。破壊術実施時の麻酔30分前にデシプラミン(25 mg/kg)を腹腔内投与した。麻酔下、ラットを脳固定装置に固定し、内側前脳束(bregmaを起点として、AP: -4.4 mm, ML: 1.5 mm, DV: 7.8 mm)へ6-OHDA(含0.02 %アスコルビン酸)9 μg/4 μLを4分間かけて投与した。手術2週間後、塩酸アポモルヒネ(0.5 mg/kg)を皮下投与し回転運動を観察し、1分間に7回転以上したラットをモデル動物として採用した。
【0312】
これらのラットに本発明化合物(実施例1、2、3、5、8、13および14、それぞれ10 mg/kgまたは30 mg/kg)を回転行動観察の60分前に経口投与し、フリー体重量換算でレボドパの1/4量のベンセラジドを含むレボドパメチルエステル塩酸塩(レボドパフリー体重量に換算して5 mg/kg)を回転行動観察の20分前に腹腔内投与した。120分間回転行動を観察し、観察開始から100分から120分の間の回転数を後期相回転数として集計した。
【0313】
図15にその結果を示すが、実施例1、2、13、および14の化合物ならびにMAOB阻害剤であるラサギリン(0.6 mg/kg)は後期相回転数を有意に増加させた。また、実施例3、5、および8の化合物ならびにMAOB阻害剤であるサフィナミドにおいては、統計学的有意差は認められなかったものの、後期相回転数を増加させる傾向を示した。
【0314】
この結果は、本発明の化合物がパーキンソン病治療に用いられるレボドパの効果を持続させることが出来ることを示すものである。ヒトにおいても同様に、従来公知のプロトコールを用いてレボドパによるパーキンソン病治療におけるオン時間の延長効果が期待される。
図15において、(A)N=12、(B)N=10、11または12、(C)N=9または11、(D)N=7または12、(E)N=10または11、(F)N=12または16、(G)N=12または16、(H)N=10、11または12、(I)N=10または11である。また、#および##はそれぞれL-DOPA単独投与群との統計学的比較(Dunnett's test)においてp<0.05およびp<0.01であることを表す。
【0315】
試験例4.タクリン誘発パーキンソン病振戦モデルにおける抗振戦作用
パーキンソン病に認められる振戦は、その原因のひとつに、脳内のドパミン量が減少するため相対的にアセチルコリン神経系が過活動となり発症すると考えられている。本モデルでは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬によってアセチルコリン神経系を賦活化させ、脳内のドパミンとアセチルコリンのバランスを崩すことにより振戦症状を惹起させることから、パーキンソン病における振戦を模した薬剤誘発性モデルとして広く知られている。本モデルを用いて、本発明化合物のパーキンソン病における振戦抑制効果について評価した。
【0316】
本試験においては、雄性Slc:SDラット(日本エスエルシー株式会社)を用いた。本発明化合物(実施例1(10 mg/kg、30 mg/kgまたは100 mg/kg)、実施例13(3 mg/kg、10 mg/kg、30 mg/kgまたは100 mg/kg))を経口投与し、1時間後にタクリン(2.5 mg/kg)を腹腔内投与した。タクリン投与の10分後から10分間、下顎振戦数をカウントした。結果を
図16に示す。実施例1および13の化合物は、単位時間当たりの下顎振戦回数を有意に減少させた。
【0317】
この結果は、本発明の化合物は経口投与でパーキンソン病における振戦症状を緩和する可能性を示すものである。ヒトにおいても同様に、従来公知のプロトコールを用いてパーキンソン病振戦の治療効果が期待される。
図16において、(A)N=9または10、(B)N=10または12である。また、#および##はそれぞれタクリン単独投与群との統計学的比較(Dunnett's test)においてp<0.05およびp<0.01であることを表す。
【0318】
試験例5.レボドパ誘発ジスキネジア抑制効果
6-ヒドロキシドパミン(6-OHDA)による片側黒質線条体ドパミン神経破壊モデルは、試験例2に記載した通りパーキンソン病治療薬の薬効評価に汎用されている。一方、本モデルに対するレボドパの反復投与は、ジスキネジアを誘発させることが知られており、これは臨床におけるレボドパ長期服用がパーキンソン病患者にジスキネジアを生じさせることに類似している。本モデルを用いて、本発明化合物のレボドパ反復投与によるジスキネジア誘発に対する影響について評価した。
【0319】
試験例2に記載した通り片側黒質線条体ドパミン神経破壊モデルを作成した。レボドパの反復投与開始前日に、ベンセラジド塩酸塩(22.8 mg/kg)を含むレボドパメチルエステル塩酸塩(5.86 mg/kg)(フリー体重量換算で4:1)を腹腔内へ投与し、回転行動を投与後20分から140分まで観察した。回転行動を示した個体から総回転数(投与後20~140分間)と回転後期(投与後120~140分間)および回転持続時間の3因子を用いて各群での分散が均等になるように群分けを行った。
【0320】
群分けの2日後より、レボドパメチルエステル塩酸塩(6 mg/kg)およびベンセラジド塩酸塩(12 mg/kg)を1日1回2週間の反復投与を行った。また、実施例1の化合物(30 mg/kgまたは100 mg/kg)および13の化合物(30 mg/kgまたは100 mg/kg)およびMAOB阻害剤であるラサギリン(0.2 mg/kgまたは0.6 mg/kg)は、レボドパ投与の1時間前に毎日経口投与した。
【0321】
反復投与1週間および2週間においてジスキネジア評価を行った。L-DOPA投与後ジスキネジア測定用の透明円筒ケージにそれぞれのラットを入れ、20分後から20分おきに1分間行動観察を行いジスキネジア様症状のスコア付けを行った。スコア付けは、ラット用Abnormal Involuntary Movement Scales (AIMS; Neurobiology of Disease 10, 165-186 (2002))に基づいて行った(評価内容:[回転行動]破壊反対側への回転行動、[上肢の動き]不随意な曲げ伸ばし、掌の開閉、手首の上下、舞踏病様の震え、ジストニア様の硬直、[体軸の状態]破壊反対側への上半身・首のねじり、バランスを崩して倒れる、ジストニア様の姿勢の維持、[口舌]顎の不随意的異常運動、舌の前方への突き出し、[スコア付け]0:なし、1:30秒未満発現、2:30秒以上発現、3:常時発現(音などの刺激によって止める)、4:常時発現(音などの刺激によっても止めない))。観察はレボドパ投与後180分まで行った。
【0322】
結果を
図17に示す。実施例1および13の化合物の反復投与群においては、レボドパ反復投与によるジスキネジアの発症を抑制し、溶媒反復投与群との比較において統計学的に有意な差が認められた。一方、MAOB阻害剤であるラサギリン反復投与群においては、レボドパ反復投与によるジスキネジアを有意に増悪させた。この結果は、本発明の化合物は反復経口投与でパーキンソン病におけるレボドパ誘発ジスキネジアの発症を抑制する可能性を示すものである。ヒトにおいても同様に、従来公知のプロトコールを用いてレボドパ長期服用によって発症する薬剤誘発性ジスキネジアの発症抑制効果が期待される。
図17において、(A)N=10、(B)N=10または11、(C)N=10である。また、##はL-DOPAと溶媒反復投与群との統計学的比較(Dunnett's test)においてp<0.01であることを表す。
【0323】
試験例6.モノアミン酸化酵素B(MAOB)阻害活性
MAOBは、ドパミンを始めとする内因性モノアミン神経伝達物質の酸化的脱アミノ酸反応に関与する酵素である。MAOB阻害剤はドパミン分解を阻害することで脳内のドパミン濃度を上昇させ、パーキンソニズムを改善する一方、過剰なドパミン濃度上昇により、ジスキネジアなどの副作用が生じる原因ともなる。本発明の化合物におけるラット線条体およびサル線条体のMAOBに対する阻害活性を評価した。
【0324】
MAOBを含むミトコンドリア・シナプトソーム画分を以下の方法にて調製した。雄性Slc: Wistarラット(日本エスエルシー株式会社)および雄性カニクイザル(ハムリー株式会社)線条体に対して、組織の湿重量1 gあたり10 mLの0.32 mol/Lのスクロース水溶液を加えてホモジナイズした。ホモジネートを4℃条件下で1,000 gにて10分間遠心分離して得られた上清を、再び4℃条件下で17,200 gにて20分間遠心分離した。得られた沈殿に、元の組織湿重量1 gあたり10 mLの調製緩衝液(10 mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH 7.4)、0.25 mol/L スクロース水溶液、0.5 mmol/L EDTA-2K)を添加して懸濁し、再び4℃条件下で17,200 gにて20分間遠心分離した。得られた沈殿に、元の組織湿重量1 gあたり40 mLの調製緩衝液を添加し、懸濁後、酵素ホモジネート液として用いた。
【0325】
MAOBの分解基質として、14Cで標識したβフェニルエチルアミン([14C]β-PEA)を用いた。[14C]β-PEAおよび各濃度に希釈した本発明の化合物を酵素ホモジネート液と共に37℃条件下で所定の時間インキュベートした後、3 mol/Lの氷冷HClを添加することで反応を停止させた。反応生成物は、水飽和トルエンおよび酢酸エチルの1:1混合物にて抽出した。有機層上清を分取し液体シンチレーションカクテル(ACSII、GEライフサイエンス社)を加え、液体シンチレーションカウンタ(TRI-CARB 3100TR, Packard)にて放射活性を定量した。化合物のIC50値は、複数回の試験から得た各濃度の阻害率データを2パラメータのロジスティックモデルに当てはめて求めた。なお実験系の陽性対照化合物として、選択的MAOB阻害剤であるサフィナミドを用いた。
【0326】
表13にその結果を示すが、サフィナミドは強いMAOB阻害活性を示しているのに対して、本発明の化合物におけるMAOB阻害活性はいずれも極めて弱かった。この結果と〔試験例1〕および〔試験例2〕の結果を総合的に考察すると、本発明化合物はMAOB阻害によらないレボドパ増強薬であることを示している。
【表13】
【0327】
試験例7.ハルマリン誘発本態性振戦モデルにおける抗振戦作用
本態性振戦の動物モデルとしてハルマリンを投与する試験が広く用いられている。ハルマリンは延髄の下オリーブ核を過剰活動させることで、運動制御に関わる小脳-視床-皮質ループのネットワーク異常を引き起こし、本態性振戦に特徴的な動作時振戦を誘発する。ハルマリン急性投与により誘発される振戦に対する本発明化合物の抑制効果について検討した。
【0328】
雄性Crl:CD1マウス(6~7週齢)(日本チャールス・リバー株式会社)に対しハルマリン(30 mg/kg)を腹腔内投与し、振戦を誘発させた。本発明化合物(実施例1(25 mg/kgまたは50 mg/kg)、実施例13(25 mg/kgまたは50 mg/kg)、実施例14(3.125 mg/kg、6.25 mg/kg、12.5 mg/kgまたは25 mg/kg))はハルマリン投与の1時間前に経口投与した。また、生理食塩液もしくは陽性対照化合物のβ-プロプラノロール(10 mg/kg)を、ハルマリン投与の20分前に腹腔内投与した。マウスはハルマリン投与の35分前に驚愕反応装置(O'hara & Co., Ltd.、東京)の防音箱内にある測定ケージ(水平方向に接地されたアクリル製円筒、φ65 mm、長さ145 mm)に1個体ずつ入れた。マウスが引き起こす振動データを振戦現象として経時的に記録した。動物を入れた後、ハルマリン投与直前の20分間(PRE)および投与直後の20分間(POST)を記録した。時系列信号データに対しては、解析ソフトウェアとしてVitalTracerおよびBIMUTAS II-A(いずれもKissei Comtech Co., Ltd.、松本市)を用いて周波数解析をおこなった。振戦に伴い増加する値として12~15 Hzまたは12~18 Hzのスペクトル含有量を抽出し、各個体の振戦強度Tを以下の式で算出した。
T=POST/PRE
【0329】
結果を
図18に示す。実施例1、13および14の化合物はハルマリン誘発振戦を抑制した。本態性振戦治療剤として臨床において用いられているβ-プロプラノロールも有意にハルマリン誘発振戦を抑制した。これらのことは、本発明化合物が本態性振戦に対して有効であることを示している。ヒトにおいても同様に、従来公知のプロトコールを用いて本態性振戦の治療効果が期待される。
図18において、(A)N=11または12、(B)N=16、(C)N=7、13または14である。また、**はハルマリン単独投与群との統計学的比較(Welch's t-test)においてp<0.01であることを表す。#および##はそれぞれハルマリン単独投与群との統計学的比較(Dunnett's test)においてp<0.05およびp<0.01であることを表す。
【0330】
試験例8.化学療法誘発性末梢神経障害モデルにおける抗アロディニア作用
化学療法誘発性末梢神経障害のひとつには、抗がん剤シスプラチンやオキサリプラチンといった白金製剤によって引き起こされる神経細胞体障害による感覚障害があり、この障害は薬剤中止後も回復が困難である。オキサリプラチンの反復投与による感覚障害に対する治療効果について検討した。
【0331】
雄性Crl:CD (SD)ラット(7週齢)(日本チャールス・リバー株式会社)に対し、オキサリプラチン(5 mg/kg)を1週間に1日1回2回連続腹腔内投与を計6回行い、化学療法誘発性末梢神経障害モデルを作成した。実施例13の化合物(100 mg/kg)は、1日1回反復経口投与を計17回行った。なお、オキサリプラチン投与日においては、実施例13の化合物は、オキサリプラチン投与の1時間前に投与した。陽性対照物質デュロキセチン(30 mg/kg)はアセトンテストの1時間前に経口投与した。オキサリプラチン処置開始から18日目にアセトンテストを行った。アセトンテストではラット後肢の足底に0.1 mLのアセトンを噴射し、その反応をスコア付け(Cold Score)により評価した。アセトン噴射後20秒間観察し、何も反応を示さなかった場合はスコア0として観察終了、20秒間で何らかの反応を示した場合は噴射40秒後まで観察を続け、評価スケールに従いスコア付けを行った。左右後肢2回ずつアセトン噴射を行い、トータルスコアを算出した。
【0332】
評価スケールは以下の通りである。
スコア0:反応なし、スコア1:Stamping、Flickingなどの行動(瞬時もしくは1回)を示す、スコア2:持続的あるいは複数回のStamping、Flickingなどの行動を示す、スコア3:Licking、Bitingなどの行動を伴う逃避行動を示す。
【0333】
結果を
図19に示す。実施例13の化合物は、反復経口投与により溶媒反復投与群に比べ有意にCold Scoreが低値であった。また、臨床において化学療法性末梢神経障害に起因するアロディニア治療に用いられるデュロキセチン単回投与群のCold Scoreも有意に低値であった。このことは、実施例13の化合物が化学療法誘発性末梢神経障害(冷感アロディニア)に対して有効であることを示している。ヒトにおいても同様に、従来公知のプロトコールを用いて化学療法性末梢神経障害に対する治療効果が期待される。
図19において、N=12である。また、##はオキサリプラチン+溶媒反復投与群との統計学的比較(Wilcoxon test)においてp<0.01であることを表す。
【0334】
試験例9.炭酸脱水酵素(CA)阻害活性
CAは、二酸化炭素から重炭酸およびプロトンへの可逆的水和を触媒する亜鉛金属酵素ファミリーである。アセタゾラミド、トピラマートなどスルホンアミド骨格を持つ化合物はしばしばCA阻害活性を有しており、CA阻害剤は尿細管のCAを阻害することで高カルシウム尿症および尿pHの上昇を引き起こし、尿路結石といった重篤な副作用の原因となることが知られている(非特許文献5)。本発明の化合物もスルホンアミド骨格を有することから、CA阻害作用について以下の方法で評価した。なおここでは、全身に発現する高活性なCAアイソザイムであり、アセタゾラミドで強く阻害されることが知られているCA-IIに関して検討した。
【0335】
CA-IIの分解基質には、4-ニトロフェニル酢酸を用いた。4-ニトロフェニル酢酸はCA-IIにより脱水化され4-ニトロフェノールが生成される。市販のヒトCA-II(組換えタンパク、2184-CA、R&D Systems, Inc. USA)を調製緩衝液(12.5 mmol/L Tris、75 mmol/L NaCl、pH 7.5)にて終濃度が2 μg/mLになるよう希釈した。4-ニトロフェニル酢酸(終濃度5 mmol/L)および各濃度に調製した本発明の化合物を加えて、遮光条件下にて37℃で30分間インキュベートした。緩衝液(12.5 mmol/L Tris、pH 8.0)を加え反応を停止したのち、反応生成物である4-ニトロフェノールの量を吸光光度法(410 nm)にて定量した。化合物のIC50値は、複数回の試験から得た各濃度の阻害率データを2パラメータのロジスティックモデルにあてはめて求めた。実験系の陽性対照化合物として、CA阻害剤であるトピラマートとアセタゾラミドを用いた。
【0336】
結果を表14に示す。トピラマートとアセタゾラミドはいずれも強いCA-II阻害作用を示した。一方、本発明化合物のCA-II阻害活性は、実施例3、4及び8の化合物を除いて総じて弱いことが明らかとなった。この結果は、本発明化合物はヒトにおける尿路結石リスクが低いことを示唆するものである。
【表14】
【0337】
試験例10.6-ヒドロキシドパミン(6-OHDA)による片側黒質線条体ドパミン神経破壊モデルにおける抗振戦作用
6-OHDAによる片側黒質線条体ドパミン神経破壊モデルは、試験例3に記載した通りパーキンソン病治療薬の薬効評価に汎用されている。さらに本モデルにおいてはパーキンソン病患者の振戦周期と一致した下顎振戦が生じることが知られており、パーキンソン病における振戦モデルとしても期待できる。本モデルを用いて、本発明化合物のパーキンソン病における振戦抑制効果について評価した。
【0338】
試験例3に記載した通り片側黒質線条体ドパミン神経破壊モデルを作成した。実施例13の化合物(3 mg/kg)を経口投与し、1時間後に10分間、下顎振戦数をカウントした。結果を
図20に示す。実施例13の化合物は、単位時間当たりの下顎振戦回数を有意に減少させた。
【0339】
この結果は、本発明の化合物は経口投与でパーキンソン病における振戦症状を緩和する可能性を示すものである。ヒトにおいても同様に、従来公知のプロトコールを用いてパーキンソン病振戦の治療効果が期待される。
図20において、N=8である。また、*は溶媒投与群との統計学的比較(Dunnett's test)においてp<0.05であることを表す。
【0340】
試験例11.マウス脳スライスにおける神経細胞発火抑制作用
パーキンソン病や本態性振戦等の神経疾患における運動症状には、視床下核や小脳などの過剰興奮による運動回路調節異常が関与することが示唆されている。本発明化合物の視床下核神経細胞および小脳プルキンエ細胞における自発発火頻度の調節作用を、マウス脳スライスに対するパッチクランプ測定により計測した。雄性C57BL/6Jマウス(>7週齢)(日本チャールス・リバー株式会社)より脳組織を摘出し、切片作成溶液中にて脳スライスを作成した(切片作成溶媒の組成:92 mmol/L N-メチル-D-グルカミン(NMDG)、25 mmol/L D-「グルコース、20 mmol/L HEPES、30 mmol/L NaHCO3、0.5 mmol/L CaCl2、10 mmol/L MgSO4・7H2O、2.5 mmol/L KCl、1.25 mmol/L NaH2PO4・2H2O、2 mmol/L チオウレア、5 mmol/L アスコルビン酸、3 mmol/L ピルビン酸、12 mmol/L N-アセチル-L-システイン(NAC)(pH 7.4、5%CO2・95%O2混合ガスにて通気))。脳スライスは37℃に加温した記録溶液(記録溶媒の組成:11.9 mmol/L NaCl、0.2 mmol/L CaCl2、0.2 mmol/L MgSO4・7H2O、0.25 mmol/L KCl、0.125 mmol/L NaH2PO4・2H2O(5%CO2・95%O2混合ガスにて通気))にて30分間培養したのち、同記録溶液を室温にて潅流しパッチクランプ測定を実施した。ガラス電極内部の記録溶液には1 mmol/L MgCl2、20 mmol/L KCl、 1 mmol/L EGTA、10 mmol/L HEPES、4 mmol/L D-グルコース、123 mmol/L グルコン酸カリウム(pH 7.4)を用いた。電極を記録対象の細胞に密着させ、ギガオームレベルのシール抵抗が形成されたことを確認し、電位を静止膜電位付近に固定し、電極に陰圧を付加して細胞膜を穿孔させた。刺激プロトコールとして、+200pAまたは+400pAの電流を400ミリ秒間加え、惹起される活動電位を記録した。上記刺激プロトコールは各電流量に対してそれぞれ10回ずつ実施した。活動電位は増幅器(MultiClamp 700B)を介して、デジタイザ(Digidata1400A)にてデジタル化した。刺激制御とデジタル化された活動電位の記録にはClampex (Version 10.2)ソフトウェアを用いた(いずれもMolecular Device Corporation, Union City, CA, USA)。活動電位の記録は実施例13の化合物(500μmol/L)の添加前と後の2回実施した。実施例13の化合物添加後の測定の際には、実施例13の化合物を含む記録溶液を10分間以上潅流させたのちに活動電位を記録した。解析に際しては、実施例13の化合物添加前の電流刺激時におけるスパイク発火頻度(Hz)に対する実施例13の化合物添加後の電流刺激時におけるスパイク発火頻度の比を百分率に換算し、各細胞についてのスパイク発火頻度の変化率とした。
【0341】
結果を
図21に示す。実施例13の化合物は(A)視床下核神経細胞および(B)小脳プルキンエ細胞のスパイク発火頻度を有意に抑制した。これらの結果は、本発明化合物が神経疾患における運動症状の治療に有効であることを示唆している。
図21において、(A)N=10または11、(B)N=5または6である。また、*は溶媒添加群との統計学的比較(Welch's t-test)においてp<0.05であることを表す。
【0342】
試験例12.抗不安様作用
パーキンソン病においては、非運動症状の一つに精神症状(うつや不安)が知られている。本発明品の抗不安様作用について、マウス高架式十字迷路を用いて評価した。なお、本試験法は薬剤の抗不安様作用を評価する手法として広く一般的に用いられている。
【0343】
本試験においては、雄性Crl:CD1 (ICR)マウス(日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。試験開始の1時間前に溶媒、実施例13の化合物(3 mg/kg、10 mg/kg、30 mg/kg、または100 mg/kg)あるいは陽性対照物質のジアゼパム(diazepam)(3 mg/kg)を経口投与した。マウスを中央プラットホーム(照度を80-100 Luxレベルに調整)に、頭をclosed armに向けて置いて試験を開始し、5分間自由に探索行動させた。マウスの体の1/3がアームに侵入した場合に、アーム進入としてカウントし、また、open armの滞在時間をストップウォッチで計測した。全アーム進入回数に対するオープンアーム進入回数の割合と探索時間5分間に対するオープンアーム滞在時間の割合を計算した。高架式十字迷路において、マウスは壁のないオープンアームでは不安を感じるため、好んでオープンアームへの進入や探索行動をとらない。このため、全アーム進入回数に対するオープンアーム進入の割合や全探索時間に対するオープンアーム滞在時間の割合で評価した場合、値が小さくなる。溶媒投与群に比べ薬剤投与群においてそれらの割合が高い場合は、抗不安様作用を有する薬剤であると判断できる。
【0344】
結果を
図22に示す。ジアゼパム(DZP)はオープンアーム進入回数の割合とオープンアーム滞在時間の割合を有意に増加させ、このことは、本試験が抗不安様作用の評価系として成立したことを示している。実施例13の化合物は10 mg/kgの用量から有意にオープンアーム進入回数の割合とオープンアーム滞在時間の割合を増加させた。この結果は、実施例13の化合物が抗不安様作用を有することを示唆するものである。
図22において、Vehicle:N=13、DZP:N=11、実施例13:3mg/kg N=7、10mg/kg N=13、30mg/kg N=12、100mg/kg N=13である。**は、溶媒投与群とジアゼパム投与群との統計学的比較(Student’s t-test)においてp<0.01であることを表す。また、#および##は、溶媒投与群と実施例13投与群との統計学的比較(Dunnett’s test)においてp<0.05およびp<0.01であることを表す。
【0345】
試験例13.睡眠・覚醒ステージに対する作用
パーキンソン病においては、非運動症状として不眠などの睡眠障害(入眠障害や中途覚醒など)が知られており、睡眠の質を改善することは重要である。本発明品の睡眠に対する作用について、ラット睡眠脳波を計測して評価した。
【0346】
本試験においては、雄性Crlj:WIラット(日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。麻酔下ラットに対して、腹腔内にラジオ波送信機(HD-S02, Data Science International, Inc.)を留置し、頭蓋骨内部に2本の脳波測定電極を定位固定した(前頭頭頂電極:bregmaより2mm前方かつ正中線より2mm左側、頭頂電極:bregmaより5mm後方かつ正中線の2mm右側)。背側頸部の筋肉に筋電図記録用の電極を留置した。手術後1週間以上の回復期間をおいた後、睡眠脳波測定に用いた。
【0347】
ラットに実施例13の化合物(30 mg/kgまたは100 mg/kg)を明期直前に経口投与し、防音箱内の飼育ケージにて脳波および筋電を500Hzにて6時間に渡り記録した。記録された信号は睡眠解析プログラム Sleepsign(version 3, Kissei Comtec Co., Ltd.)にて、10秒おきに覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠の3ステージに分類し集計した。具体的には、個体ごとに定めた閾値以上の筋電応答があれば覚醒とみなし、それ以外を睡眠とみなした。睡眠において、脳波の周波数成分におけるデルタ波(0.5-4Hz)のパワー値が事前に個体ごとに設定した閾値を超えている場合をノンレム睡眠、シータ波(4-8Hz)のパワー値が0.5-80Hzのパワー値全体の40%を超えている場合をレム睡眠と分類した。
【0348】
結果を
図23に示す。実施例13の化合物は用量依存的かつ有意にノンレム睡眠潜時を短縮させるとともにノンレム睡眠時間を増加させ、覚醒時間を有意に短縮させた。一方、レム睡眠潜時を延長させる傾向を示すとともにレム睡眠時間を用量依存的かつ有意に短縮させた。これらの結果は、実施例13の化合物が入眠障害や中途覚醒などの睡眠障害を改善しうる可能性を示すものである。
図23において、各群N=8である。*、**および***は、溶媒投与群と実施例13投与群との統計学的比較(One-way ANOVA, followed by parametric Dunnett’s test)においてそれぞれp<0.05、p<0.01およびp<0.001であることを示す。
本発明の化合物は、T型カルシウムチャネル阻害活性を有することから、様々な神経系疾患または精神疾患に対する治療薬及び/又は予防薬として有用である。また、MAOB阻害作用によらないレボドパ誘発運動亢進増強作用を有し、好ましい化合物においては炭酸脱水酵素阻害作用の減弱により腎結石リスクが低減していることから、安全性の高いパーキンソン病治療のためのレボドパ製剤との併用薬として有用である。また、レボドパ誘発ジスキネジアモデルにおいてジスキネジアの発症を抑制したことから、既存のレボドパとの併用薬とは異なり安全性の高いパーキンソン病治療薬及び/又は予防薬として有用である。加えて、パーキンソン病振戦モデルや本態性振戦モデルに対して有効性を示したことから、パーキンソン病における振戦の治療薬や本態性振戦、さらには神経系疾患又は精神疾患に認められるパーキンソニズムの治療薬及び/又は予防薬としても有用である。また、高架式十字迷路における抗不安様作用や睡眠脳波評価においてノンレム睡眠潜時の短縮や覚醒時間の短縮作用を示したことから、精神症状や睡眠障害などのパーキンソン病の非運動症状に対する治療薬及び/又は予防薬としても有用である。さらに、オキサリプラチン誘発疼痛モデルにおいて抗アロディニア作用を示したことから、神経因性疼痛(特に、化学療法誘発性末梢神経障害における疼痛やアロディニア)の治療薬及び/又は予防薬としても有用である。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、5.7°±0.2、および17.3°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、5.7°±0.2、14.1±0.2°、17.3°±0.2°、19.1°±0.2°、19.3±0.2°、21.6°±0.2°、22.5±0.2°、23.1°±0.2°、23.3°±0.2°、および26.5°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、8.7°±0.2°、および17.6°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、8.7°±0.2°、13.5°±0.2°、15.5°±0.2°、17.6°±0.2°、20.3°±0.2°、21.6°±0.2°、22.6°±0.2°、26.2°±0.2°、26.8°±0.2°、および35.2°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、11.1°±0.2°、および20.3°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、11.1°±0.2°、13.8°±0.2°、17.0°±0.2°、20.3°±0.2°、21.4°±0.2°、22.1°±0.2°、22.4°±0.2°、24.8°±0.2°、26.3°±0.2°、および27.9°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患又は精神疾患の治療剤および/又は予防剤。
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、てんかん、発作性疾患、運動機能異常(痙攣を含む筋肉痙縮に関連する障害、振戦、本態性振戦、ハンチントン舞踏病、ミオクローヌス、チック、下肢静止不能症候群及びジストニー)、無動症及び硬直症候群を含む運動障害およびパーキンソニズム(パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、突発性及び薬剤誘発性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、レビー小体型認知症、小脳性運動失調、パーキンソニズム-ALS認知症複合及び大脳基底核石灰化を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、薬剤誘発性ジスキネジア、侵害受容性疼痛(外傷痛、片頭痛、頭痛、慢性疼痛(腰背部痛、リウマチ性関節痛、繊維筋痛症、骨関節炎など)、炎症性疼痛)、神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)、疲労(パーキンソン疲労、多発性硬化症疲労、睡眠障害又は日周期リズムの障害により引き起こされる疲労、投薬誘発性パーキンソニズムを含む慢性疲労症候群など)、片頭痛、統合失調症、自閉症、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、双極性障害、うつ病、不安(全般的不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む)、睡眠障害(不眠症、過眠症、睡眠発作、レム睡眠障害を含む)、うつ病における睡眠障害、心不整脈、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能不全を含む多様な疾患及び障害である、請求項19に記載の治療剤および/又は予防剤。
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、本態性振戦、不安(全般的不安障害)、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)である、請求項19に記載の治療剤及び/又は予防剤。
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害を含む)、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害である、請求項19に記載の治療剤及び/又は予防剤。
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩の使用。
パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することを特徴とする、T型カルシウムチャネルの異常が関与する疾患を治療するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬と、パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することを特徴とする、神経系疾患又は精神疾患を治療するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、5.7°±0.2、および17.3°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、5.7°±0.2、14.1±0.2°、17.3°±0.2°、19.1°±0.2°、19.3±0.2°、21.6°±0.2°、22.5±0.2°、23.1°±0.2°、23.3°±0.2°、および26.5°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態Iの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、8.7°±0.2°、および17.6°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、8.7°±0.2°、13.5°±0.2°、15.5°±0.2°、17.6°±0.2°、20.3°±0.2°、21.6°±0.2°、22.6°±0.2°、26.2°±0.2°、26.8°±0.2°、および35.2°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、11.1°±0.2°、および20.3°±0.2°に回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
式(1)で表される化合物が、X線粉末回折において、11.1°±0.2°、13.8°±0.2°、17.0°±0.2°、20.3°±0.2°、21.4°±0.2°、22.1°±0.2°、22.4°±0.2°、24.8°±0.2°、26.3°±0.2°、および27.9°±0.2°から選択される4つ以上の回折角(2θ°)ピークを有する、形態IIIの結晶形態の(1R)-1-(1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)エタン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、てんかん、発作性疾患、運動機能異常(痙攣を含む筋肉痙縮に関連する障害、振戦、本態性振戦、ハンチントン舞踏病、ミオクローヌス、チック、下肢静止不能症候群及びジストニー)、無動症及び硬直症候群を含む運動障害およびパーキンソニズム(パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、突発性及び薬剤誘発性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、レビー小体型認知症、小脳性運動失調、パーキンソニズム-ALS認知症複合及び大脳基底核石灰化を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、薬剤誘発性ジスキネジア、侵害受容性疼痛(外傷痛、片頭痛、頭痛、慢性疼痛(腰背部痛、リウマチ性関節痛、繊維筋痛症、骨関節炎など)、炎症性疼痛)、神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)、疲労(パーキンソン疲労、多発性硬化症疲労、睡眠障害又は日周期リズムの障害により引き起こされる疲労、投薬誘発性パーキンソニズムを含む慢性疲労症候群など)、片頭痛、統合失調症、自閉症、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、双極性障害、うつ病、不安(全般的不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む)、睡眠障害(不眠症、過眠症、睡眠発作、レム睡眠障害を含む)、うつ病における睡眠障害、心不整脈、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能不全を含む多様な疾患及び障害である、請求項19に記載の治療剤および/又は予防剤。
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害、嗅覚障害、レム睡眠障害、便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、不安、頭痛、腰痛の症状を含む)、パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、本態性振戦、全般的不安障害、または神経因性疼痛(帯状疱疹痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、末梢神経障害(糖尿病性神経障害、ハンセン病など)、化学療法誘発性末梢神経障害、幻影痛、中枢性疼痛(脊椎損傷後痛、脳卒中後痛など)、ギランバレー症候群に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、パーキンソン病に伴う疼痛、神経因性疼痛に伴う痛覚過敏またはアロディニア)である、請求項19に記載の治療剤及び/又は予防剤。
T型カルシウムチャネルの異常によって惹起される神経系疾患または精神疾患が、パーキンソン病(振戦、筋硬直・筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害を含む)、本態性振戦、または化学療法誘発性末梢神経障害である、請求項19に記載の治療剤及び/又は予防剤。
パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することを特徴とする、T型カルシウムチャネルの異常が関与する疾患を治療するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物を含有する医薬。
パーキンソン病治療薬、本態性振戦治療薬、または神経因性疼痛治療薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することを特徴とする、神経系疾患又は精神疾患を治療するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物を含有する医薬。